愛の嘘を暴け!

ai no uso o abake

愛の嘘を暴け!
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神41
  • 萌×215
  • 萌11
  • 中立1
  • しゅみじゃない1

7

レビュー数
11
得点
299
評価数
69
平均
4.4 / 5
神率
59.4%
著者
樋口美沙緒 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
街子マドカ 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫
シリーズ
愛の巣へ落ちろ!
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784592877509

あらすじ

「テオ、お前の俺への気持ちは、勘違いだ」
幼少期に母国ケルドアの事情で隣国ヴァイクへと追われたロウクラスのテオは、自分は周りから見ると「かわいそうな子」で「だれからも必要とされていない人間」だと自覚して生きてきた。わがままも言わず、真面目に堅実に。
そんなテオを「世界一美しい」と讃え、実の弟のように時にはからかい、励まし、やさしく包んでくれたのは、兄・シモンの友人でありハイクラス屈指の貴族でタランチュラ出身のフリッツだった。
いつしかテオは、フリッツのことを愛するようになるが、この気持ちは絶対に知られてはいけないと隠すようになる。
ところがフリッツは、まるでテオのことを特別に愛しているかのようなそぶりを見せてきて……!?
2024年6月刊

表題作愛の嘘を暴け!

フリッツ・ヴァイク、医師.レッド・スレート・オーナメンタルタランチュラ
テオドール・ケオドラ、エレサス・サンダリアトゥス

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数11

19歳上の攻の可愛さ

ムシシリーズの新刊!
今作は過去作のシモン×葵編に出てきた弟テオドールとフリッツのお話。まずあんなに可愛くて不憫だったテオが大きく成長してて感動でした…!


養父母やその息子達、実兄とその伴侶みんなに愛されていて、その自覚がありながらも、生い立ちの所為でどこにも本当の居場所を見出せず誰の唯一にもなれないと寂しく思う20歳のテオドール。彼が好きなのは幼い頃実家から亡命した時に愛を与えてくれた19歳上のフリッツ。養父母やフリッツを困らせたくないと気持ちを伝えるつもりはなかったが…



養父母家族がみんな良い人でテオを可愛がっていて読んでいて楽しかったです…!

テオは実母の事もあって愛する事や愛を求める事に後ろ向きなのですが、フリッツに伝えると決めたら猪突猛進勢いよくいっててめちゃくちゃ良かったです。笑 

逆にフリッツは最初はテオを思ってその告白を断るのですが、いざテオを受け入れると目は逸らすしちょっと赤くなるし、40間近の大人なのに可愛い攻めってどういう事!?とニヤニヤしてしまいました。笑

テオに想いを寄せる当て馬君が登場するのですが、どこまでも紳士で優しくて彼には幸せになってほしいと願うばかりです。



歳の差が好きで、歳下が保護者に押せ押せな関係性が好きな人にめちゃくちゃオススメです!シリーズ未読でも読めるとは思いますが、テオの背景を知っているとより楽しめると思うのでぜひシリーズ通して読んでほしいなと思います。

0

重たく苦しい愛について

久しぶりに読める!と楽しみにしていたムシシリーズ。
恵まれているがゆえに幸福で、少しだけ不幸という言葉がとても印象的でした。
樋口先生は、1人の人間の中に渦巻いているとびきり重たくて、とびきり一途な愛を描くのが上手い作家さんですよね。
今作も、テオという青年の心の動きをじっくりと追いかけられる1冊でした。

結論から言いますと、萌えた萌えないで言えば…残念ながらあまりツボには刺さらないまま読み終えて今に至ります。
正しくは「萌える寸前で終わってしまった」かな。
というのも、自身の未来のビジョンが見えずにひたすらにぐるぐると不安定な状態で思い悩むテオの心情は痛いほどに伝わってくるんですね。
じっくりコトコトではないですけれど、思い返せばかなりのページ数で思い悩んでいるのではないでしょうか。
彼の生い立ちを考えれば、ただひとつの愛を求めてやまないのも理解ができるもの。
樋口先生の心理描写が上手いがゆえに、ぐるぐると苦しい時間が続きます。

だからこそ、後半にはきっともっとドカンと萌えられる何かが待っているはずなんだと、私はフリッツに大きな期待をしすぎてしまっていたのです。
フリッツの言動もテオのことを心から愛しているからこそなのだけれど、うーん…これは攻め視点もほしかったなあ。
19歳もの年齢差があるハイクラスの大人が、真っ直ぐに愛をぶつけてくる小さなテオに臆病になる姿はいいなあと思いつつ、途中までの溺愛っぷりからの焦れの長さと甘みの少なさに萌えきれずでした。
テオの心理描写と彼を愛する周囲の人々は好みだったのですけれど。
これから先が気になる2人かなと思います。

3

好きな人と結ばれない時どうする?

ムシシリーズの新作楽しみにしていました。
今回は、[愛の在り処をさがせ!][愛の在り処に誓え!]のスピンオフ。
今までいくつか出てるSSでテオがフリッツに片想いしているのは知ってた。さてこの2人のお話はどんななんだろうと読み始めたら、ムシ要素少なめ普遍的なお話に感じました。

・年の差
・年の離れた兄弟のように育った仲
・歳が離れているがゆえ?の執着と過保護さ
・好きな人と付き合えないならどうするべきか

ずっと1人を思い続けて何度もアタックするのか別の人を探すのか、好きだけど報われないままずっと1人で過ごすのか。
自分ならどうするかな?って感情移入しながら読みました。

側から見れば両思いに思える2人なのにテオが告白すると頑なに拒むフリッツ
なんでなんだ?なんか訳ありっぽい匂わせがあるんだけど、その伏線通りの理由で拒んでたフリッツ。わたしゃ納得いかんかったよ。未来に悲しませるかもしれないからって今悲しませるの?どんな理屈やねん!

テオに失恋したのに、『断られても何度もアタックしたらいい』と助言してくれた友達のアントニー。めっちゃいいやつだよ。フリッツやシモン、葵のような華やかさはないにしてもきっと美形で素敵な男なんだろうよ。きっとオーストラリアでいい恋人出来るはず。

テオが可愛いあまり、自分たちの身内にしたくて堪らないフリッツの両親のノリが凄かった。フリッツなんかにはテオは勿体無いって息子よりもテオって感じだし、なんなら孫達はどう?なんて誰でもいいからとにかくテオを招き入れたい感がすごい。2人の障害にならずに今後もテオサイドの味方になってくれる事間違いない。

そして、フリッツがあんなに不甲斐ないとは思いもしなかったです。愛の在り処〜では私の推しキャラだったのにー。テオに尻に敷かれる未来しか見えない。

このシリーズ、大体はエロエロなのですが今作は純愛な2人でした。この先エロエロになるんだろなー。

コミコミスタジオ特典小冊子にフリッツ視点のSSがありますので、興味のある方はぜひ読んでみて欲しいです。面白かったです。

それにしても、樋口美沙緒先生は一貫してテーマが[愛]なのだな。樋口先生がシナリオで参加されているこの春リリースされた旅と街おこしのアプリゲーム(なんて紹介w)でも[愛]について考えさせられるストーリーがあるの。
メインストーリーが面白いのでよければやってみて欲しい。

3

ムシシリーズ未読でも読めるけど、出来れば…!

ムシシリーズは全く未読です!って方でも、わかるようにはなっています。

ですが。出来れば…
「愛の在り処をさがせ!」
「愛の在り処に誓え!」 を読んで欲しい。

更に望むなら、一作目の「愛の巣へ落ちろ!」
も読んで欲しい。

そして、シリーズの他作品は読んでなくても全く影響ないです。

まず、「愛の巣へ落ちろ!」でムシシリーズの世界観を網羅出来ます。
ハイクラス・ロウクラスだけでなく、攻・タランチュラ×受・性モザイクなので、ハイクラスの中でのタランチュラの位置や性モザイクについても理解できます。(テオは性モザイクじゃないけど、研究テーマにしています)
今作でも、攻めの七雲澄也くんの名前だけ論文か何かでチラッと出ます。
こちらは、ドラマCD、コミックスもあるので是非。

続いて、「在り処〜」2作。
2作読まずにはいられない続き物。読んで。
「愛の嘘を暴け!」は「在り処〜」のスピンオフなので、これを読んでいるかどうかは結構大きい気がします。
何故なら「在り処〜」はムシシリーズの中でも、少し毛色が違う。
舞台となるケルドア公国が独特なんです。
ケルドア公国は「愛の嘘〜」のテオの母国。
テオの兄・シモンとその子を産むために嫁いだ(嫁がされた)性モザイクの葵の話なのですが、一作目はかなり壮絶。
二作目は、シモンどうした?ってツッコミまくり。面白いです。

特殊な環境下で幼少期を過ごしていたこと、テオの母親や使用人達からされた扱い、今作の攻・フリッツの存在がどういったものだったのかが、わかります。

テオの愛されたい、望まれたい、自分の帰る場所が欲しい、といった欲求がどこからくるのか、を知って欲しい。

だから、「在り処〜」2作品は読んで欲しい。
ちなみに、「在り処〜」はドラマCDありません。ドラマCD向きではない話だけど、私はめっちゃくちゃ好きです。

それを踏まえて。
「愛の嘘を暴け!」良かった。エロが少な過ぎて、ムシシリーズか?と思ったけど。フリッツ、ヘタレおじさんだな、と思ったけど。
良かった。良かったよ。親戚の子の成長を見守った気分だわ。
感想少ない(笑)
個人的にはアントニーを選んだ方が幸せになれるんじゃ…と思ったが、ただ1人しか愛せないんだからしょうがないわね。
葵が元気そうで何より。産ませ過ぎだろ、と在り処に誓え!で思っていたので。

7

チョコレート・チョコレート・チョコレートより、ずっといいものなんだ」

愛の在り処~のスピンオフ、フリッツとテオのお話。とても良かったです。
テオの幸せは自分のことを1番に愛してくれる人と家族になりずっと一緒に暮らすこと。でもその相手は何度考えてもフリッツでなければならなくて。
みんながテオの幸せを願っているけれどそれを叶えられるのはフリッツだけなのだと何回も作中繰り返されるのがフリッツこんなに想われて幸せ者だななんて思いました。テオがフリッツに想いを告げたところ勘違いだと言われてしまい色々と理由はあったのですがテオが最後には押していくのがいいですね。
テオからの真っ直ぐな愛の言葉に照れちゃうフリッツも可愛い。シモンに筋を通すために関係を話す時に真っ青になってぐったりしてたり。フリッツ、しっかり!なシーンが多々見られて面白かったです。
にしても帯にムシシリーズ、第10弾とあって驚きました。これからも新作が読みたいシリーズです。

3

大好きムシシリーズの最強○○○

ムシシリーズまた読めるとは思ってなくて、嬉しい~先生有難うございます!ただ、めちゃ刺さって絶対忘れない!というほどではなかったので萌にしました。ムシシリーズが大好きな方でしたらご安心ください!○○○が大丈夫な方でしたらなお、おススメです!な一冊、本編330Pほど+あとがき。多幸感あふれる終わり方になってます~♡

7歳の時にフリッツと共に国を出てフリッツの国へ。そこで20歳で国立大学を卒業できることになった、優秀なテオ。一生懸命研究はしたものの、それを一生突き詰めていきたいか?と問われると???で、この後どう生きていけばよいのか分からない、ただただフリッツが好きということだけははっきりしていて・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
シモン、葵(受けの実兄とパートナー)、アントニー(受けの学友、ハイクラス)、攻めの兄+その子、父母(受けを育て可愛がる)、受けの研究仲間、上司、攻めの叔父の嫁ぐらい?

++攻め受けについて

受けは、ずっと側で見守ってきてくれたフリッツの事が好きで好きで好きで、彼以外と心を通わせられることなんて出来ないと感じている方。自分の事が一番と思ってくれる、家族になってくれる方が欲しくてしようがないんですよね。まともな母親ではなかったし、フリッツの国に行って愛情深く育ててもらったけれど、やはり喪失感、求めてしようがないという気持ちはとても納得のいくものでした。ロウクラス故?仕事に人生をかけるって気概までは無いですし・・・。

攻めは○○○=ヘ、タ、レ!そりゃ理由はあるよ、あるけどさ?!好きになったらしょうがないじゃんよ?!とすごーく悶えましたねえ・・・ケツ蹴っ飛ばしたくなるやつです。で、その想いが通じ、ヘタレを払拭した後のページがほんとーに少ないんですよっ先生、ここだけは配分間違ってませんか!?と強く訴えたいです。ああ糖分。糖分はどこ。

なので、糖分少な目&ヘタレを許容できる方限定で、おススメしたいと思います。久しぶりのムシシリーズ、楽しかったなあ!

8

誰かの特別になりたい

今回はヴァイク元大公家の三男坊の医師と
ヴァイク元大公を養父母として育った青年のお話です。

不憫な生い立ちの受様が攻様の唯一無二の相手となるまで。

受様はタランチュラを起源種とする
ケルドア公国の大公夫婦の14男として生まれます。

大公家の血筋は
グーティ・サファイア・オーナメンタル・タランチュラで
母は起源種で生まれた受様の兄に執着し
ロウクラスのエレサス・サンダリアトゥスで生れた
受様を我がの子と認めませんでした。

狂気を育てた母は受様の命さえ奪いかねなくなり
受様は7才の時に兄の親友の攻様に助けられて
隣国ヴアイクへと移り住みます。

ヴァイクもタランチュラを起源種とする公国ですが
大公一家は一貴族に降りて権力を手放しており
受様は攻様の親である元大公夫妻に預けられ
愛情を注がれて育てられます。

受様がヴァイクで過ごした13年の間に
兄は故国を安定させてケルドアも共和国としての道を
歩み始めます。

そうしてやっと受様の兄は受様に帰国を促しますが
ヴァイク国立大学を卒業を控えた受様は
進路を決められずにいました。

愛する人に愛されない事を知る受様は
誰からも真には必要とはされていないように
思えてなりません。

受様が幼い頃から恋心を寄せている攻様は
兄とおない年で19も上の奔放な独身主義者で
受様の恋が叶う望みはありません。

ところが養父母に受様の恋心を知られると
攻様に告白する事を勧められてしまうのです。

果たして受様の恋は叶うのか!?

ムシシリーズ10作目である本作は
既刊「愛の在り処をさがせ!」「愛の在り処に誓え!」にて
脇キャラとして登場していた攻様の親友と弟の恋物語です♪

ムシシリーズはハイクラスとロークラスという
強者と弱者の階級差による距離感と様々な愛のカタチが
楽しいシリーズで今回も入手してから一気読みでした。

母から拒絶され、使用人達からも無視された受様にとって
誰かを愛すれば必ず愛し返されるものではないと
達観しているのが哀しくて切ないし

そのために攻様を愛していても好かれているはずはないと
攻様に愛を求めないと決めていて

母の妄執じみた執愛が兄を苦しめたように
愛する事が必ずしも幸せに結びつかないと知る受様が

弟のように可愛がってくれる攻様を好きになった事を
よこしまな事と養父母に謝罪する受様は可哀想すぎて
胸が痛かったです ๐·°(৹˃ᗝ˂৹)°·๐

ただ養父母が気づいたように
受様を好いた同期優勢が気づいたように
攻様も受様を愛している事は明らかなのに
攻様は受様の愛を受け入れません。

受様を大切なのに拒否する理由は
攻様にはとても重大な理由なのは後々わかるのですが
攻様はヘタレ以外の何物でもないと思いませんか!?

失われるかもしれない未来を恐れる攻様の弱さも
一緒にいる今を大切にしたいという受様の強さも
とても心に響く物語でした。

病でなくても人の命は一瞬で失われます。
今を懸命に生きる線テクをした受様の幸せが
少しでも長く続きますように。

9

歳の差19の2人、愛の嘘とは、、、??

突然ですが、まりあげはは虫シリーズで一番シモンと葵のお話が大好きです。


ですのでスピンオフとはいえ、(というか絶対次はこの2人だと思っていた!)今回またケルドアの皆さんのお話を読むことができてとても嬉しいです!


そんな虫シリーズ記念すべき10作目。
シモンの歳離れた弟テオと、シモンの友人で医師のフリッツが主役のお話。
(そして、ラブセレシルバー読み返しました。フリッツとテオの予習は、万端です。)


ざっくりとストーリーを説明しますと、誰がどう見ても両片想いなテオとフリッツ。
けれど、フリッツはテオの気持ちをどうしても受け入れてもらえなくて、、、
その理由が分からず困惑するテオ。
フリッツを無理やり忘れようと、オーストラリアに短期留学へ行ったり、アントニーとデートしたり、、、
でも、やっぱりフリッツのことを好きで。
ふと、フリッツがテオを受け入れない理由が、とあるきっかけで判明して、、、
という展開。



虫シリーズなのでご存知の通り、ただ両片想いのすれ違いなわけじゃないんです。
テオは、王族だけどロウクラス故に母国を追われ、「誰からも必要とされてない存在」として、フリッツの家で7歳から育てられているし、フリッツはフリッツで、ハイクラスでいい身分だけど、頑ななにかに縛られているし(これはネタバレになるので言えない)、で。

相変わらず双方ハードルの高い恋愛であることは、間違いなくて。


でも、いつもの虫シリーズと違うのは、攻めが最初から受けを溺愛していること。


虫シリーズのデフォとして(まりあげは的に)、攻めが受けを心身ともに立ち直れないくらいざっくりと痛めつけるイメージがあったりするのですが、まったくフリッツはそんなことがなく、、、
むしろ、悪い虫がつかないようにセコム系攻めになっていて、萌えるわ! スパダリじゃない! って、ニヤニヤしたくらいで。

だからこそ、もどかしい1冊と言いますか。
フリッツは愛するが故に、テオへ嘘をついているのが切なくて、苦しくて。


けれど、いらない子だと思っていた自己肯定感低すぎテオにとって、生きる意味を、幸せの基盤となったフリッツが、果たしてなんの嘘をついているのか。
途中までまったく予想がつかなくて、、


フリッツがついた嘘の全貌が少しづつ明らかになっていったとき、そこにはテオへの大きな愛しかなくて…号泣


当たり前ですが、愛する人への愛のカタチって色々あるなあとしみじみ。

そして、虫の特徴をうまく捉えた先生の考えるドラマティックな設定が今回も素晴らしくて。
2人の歳の差も!
どうしたらそんな呪いのような美しい愛のお話が書けるの?? と、感嘆しました。(褒め言葉)



やっぱり虫シリーズ好きです…!
と再認識した1冊でした。


まったく参考にならないレビューで申し訳ないので、ぜひ読んでみてください。(できれば、葵とシモンのお話も…切ないの大好きな人には、超絶いいよ。)


10

愛は道標である

虫シリーズ10作目、待望の新作は6.7巻に登場したテオと彼の命を守るため彼を保護し自分の家族に引き合わせ育んだフリッツとの19歳年の差カップルのお話。




以下ネタバレを含みます。(本作だけでなく、この登場人物に深くかかわるシリーズ6,7作目についても触れていますので、ご注意下さい)



ハイクラスばかりの国の中で、絶滅危惧種のハイクラスのみを求められる公族に生まれたロウクラスだったテオは、(もともと狂っていた)実母に疎まれ、しまいには殺されそうになってしまった過去を持つ。
実の兄は必至で彼を守ろうとしたが、兄自身も愛を知らず育ったため、テオが求める愛を彼の求める形で与えることができなかった。
だが愛を知らないという兄は確かに弟を愛しており、命を守るために友人フリッツに弟を託し、テオは隣国に亡命させられフリッツの家族に迎えられその後は温かく育てられる。
ハイクラスばかりの国の中で珍しいロウクラスの中、(しかもロウクラスでも珍しいレディバードスパイダーなのだが)人々が自分に興味を持つのは自分が珍しいロウクラスだから、愛玩具のように愛でられているに過ぎないと思っている。そしてそれだけでもありがたいと思っている。
そんな「かわいそうな子」テオ。
不遇な環境で育ったためか、その心の底に、自分だけに唯一注がれる愛がほしい、ただ一人でいいからその人の一番になりたい、その人が一番愛する人になりたいと心の飢えを抱えテオは生きていた。
そしてテオが愛されたいのは自分が愛するフリッツだった。
過保護すぎる兄として、テオを守ってきたフリッツ。その行動はどこからどう見ても過保護の域を超え、溺愛と執着の混合物を含んだ深い愛にしか見えないが、テオは今の関係が変わってしまうのを恐れ告白できない。
そんな中進路に迷うテオに、「人生の中幸せの基盤を決めなさい」と教授が言う。
進路よりも何よりも自分にとって大事なことは、フリッツと共に生き家族になることだと自覚したテオに、フリッツは「その気持ちは勘違いだ」と拒絶する。




前作のレビューでも書いた気がするのですが、樋口作品は恋愛の機微というよりも、愛は人をどう変えるのか、愛は時に人を強くし、時に弱くするかと言うことを描いていらっしゃると思う。
そして人の孤独について描き続けていると思う。
この虫シリーズはその傾向が顕著だし、前作愛の夜明けを待てはシリーズ中もっともその色が強く出ており、BL作品でありながらも、文芸作品に近かったと思う。(それは先生が一般文芸を経たからかとは思うが…)
そして今作は前作よりも少しBLに回帰された感じがする。
加えてここ最近の作品の受ちゃんは以前の運命に翻弄される(部分はもちろんあるが)よりも、運命に立ち向かう力強さというか、勇気をより感じられる気がしている。
今作のテオはもちろん不憫だ。
幼い頃からの状況はいっそ不憫のミルフィーユ状態と言っていいだろう。
テオはただただかわいそうな子だろうか?
もちろん実母からの仕打ちはありえなく、かわいそうの範疇は超えている。
でもテオは愛を自分の中で育てる強さを持っていたと思う。
テオの心の真ん中の本当に柔らかい部分はシオンが必死に守ったからだと思う。(ここら辺は6、7巻参照)
シオンからの不器用な手放すことで彼を守った愛や、フリッツ家族からの無償の愛はテオに孤独を与えたが、共に力を与えていたのだと思う。
その孤独ゆえに「ただ一人、フリッツに愛されたい」と強く願う。それさえあればもう何もいらないと思う位強い願う。
でも注がれた愛がテオに愛する強さも与えたのだと思う。
自分の気持ちに向き合い、フリッツを深く愛し、彼以外を愛することがないと気が付いてしまうほどの強い愛。
テオはそのことに最初絶望する。そしてそのことに喜びも得る。
ただ唯一に愛されたいと願う心は、ただ唯一に愛したいという勇気を持つ事なのだ。
19歳という年の差がある相手を愛するとき、その思いはテオの道標になるに違いない。



虫シリーズ10作品目は力強いお話だったと思う。
樋口作品を読むと、愛とはいろいろあって正解も間違いもないといつも思う。
ただ、愛を手放したくないのなら、そして愛を手放したいのなら、そこには苦しみが伴い、だから強さが勇気が必要なのだとテオ君に教えてもらったような気がする。
愛を知り強くなる、愛を知り弱くなる。愛って難しいです。
このお話を私たちに届けてくださった先生に感謝です。










ちなみに、コミコミ小冊子はフリッツ視線。
友人で未来の義兄になるシオンや葵その息子たちVSフリッツともいえるお話。とても楽しかった。永遠に読んでいられる。
テオは不憫でかわいそうだけど実は強く、フリッツの方がテオに執着し脆さも抱えていると思うので、フリッツ視線で迷走しまくるのも読んでみたい気もしていたので、その部分もちょっと満たされたかな。

12

泣いた…( ; ; )”生涯ただ一人だけ””を愛し抜く覚悟に拍手

ムシシリーズ、最新作。素晴らしかった…最高だった…!✨

…実はシリーズ未読なのですが;(コミックス版の1巻のみ既読)、こちらのあらすじと表紙のバックハグの美しさが気になりすぎて、メイトさんで購入。

読み始めて17ページぐらいで既に涙でうるうるし始め、何度もティッシュで目を押さえながら読みました。テオ(受)の不遇さと精神的な強さが刺さって刺さって仕方なかった。

以下あらすじなしで、感想のみを。

養父母にも実の兄にも大切にされてはいるけれど、いつも誰かの”一番”になることのない人生を歩んできた、テオ。

ー誰かの唯一になるのって、どんな感じだろう?
ー自分だけが欲しい、と言われるのはどんな気分なのだろう?

もう、このテオの心の内を読んだ時点で涙が溢れてきてしまい、自分でもびっくりしました。。開始17ページで泣いてて300P超えの一冊に耐えられるんか?と。。
その後やっぱり、何度もボロボロ泣きました。

義兄弟 × 歳の差恋愛(なんと攻めが19歳上!!一回り以上違う)× 両片想いと、大好きな設定てんこ盛りの今作。

このほぼ20歳の歳の差と、攻めのフリッツがテオには告げていない”ある事実”がフリッツを尻込みさせ、頑なにテオを拒む理由になっていて、切なさMAXでした。

一度こっぴどくフラれて落ちるところまで落ちても、諦めずにフリッツに想いを告げるテオと、えちの時迫っちゃうテオ。めちゃくちゃ美人で可愛いのに男気溢れてて、惚れた…!!

で、二人のえちの際のある描写が最っ高で。

”レディバードスパイダー”という美しい種であるテオならではのある技(?)が無意識に出てしまうのですが、その技自体と、それを見て興奮するフリッツに興奮する私。愛する人を捕まえて、逃さないための…❤︎萌えと興奮しかない。。

作中に出てくる「チョコレート・チョコレート・チョコレート」の思い出エピソードが大好きです。好きすぎて読みながら声に出して呟いてた…

そして、最後に。
テオに長い間片想いしてアタックし続けるアントニー、私は君が好きだー!!!
なんっていい奴なの…と、読みながらアントニーへの同情と切なさが怒涛のように押し寄せて感情がぐちゃぐちゃになりました。想いが通じ合うって、なんでこんなに難しいのかなあ…!( ; ; )

とりあえず、読後すぐコミコミさんでシリーズ作品をカートにインしました。
9冊あるのか…!2日で1冊読めたら、3週間弱も楽しめるってことだ!とワクワクが止まりません。

長い長い片想いの末の、最っ高の「粘り勝ち」ラブストーリーでした✨

10

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