わたしにください-十八と二十六の間に-

watashi ni kudasai juuhachi to nijuuroku no aida ni

わたしにください-十八と二十六の間に-
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神57
  • 萌×216
  • 萌6
  • 中立5
  • しゅみじゃない8

--

レビュー数
17
得点
372
評価数
92
平均
4.2 / 5
神率
62%
著者
樋口美沙緒 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
チッチー・チェーンソー 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫
発売日
電子発売日
価格
¥790(税抜)  
ISBN
9784592877486

あらすじ

傷つけ合いながらも、ようやく距離を縮めることができたはずの路と森尾だったけれど、それぞれの恋情はこじれたままだった。
路への強い想いを自覚しながら、路を激しく傷つけた自分が許せず、再び想いを伝える資格がないと思い悩む森尾。
そんな森尾を追い詰めるかのように、後輩・臼井が路から「退け」と森尾に迫り……。
「わたしにください」のその後、多感な高校時代を経て、大人になるまでを描いた続編登場。
切な痛い恋と葛藤が胸を揺さぶる衝撃作!!

表題作わたしにください-十八と二十六の間に-

森尾祐樹,高校生(18)〜建築家(26)
崎田路,高校生(18)〜児童施設職員(26)

その他の収録作品

  • あとがき&描き下ろし

レビュー投稿数17

こんな悲しい両想いがあるだろうか…。

「わたしにください」続編。
色んな感情が溢れ取り留めのない文章ですみません。

なんて悲しい両想いなんだろう、と思いました。

私は前作を読んで、2人のすれ違いはスタートで躓いてしまっただけ、誤解を正せばすれ違いも修正できるとライトに捉えていました。けれど森尾の罪意識はそんなもんじゃなかった。こんなに長く強く自分を責め続ける攻めを初めて見たかもしれません。

痛々しささえ感じるほどの罪意識。
どこまでいっても許されようとしない。

愛すれば愛するほど、許してほしくて、許されたくない。
愛すれば愛するほど、自分の犯した罪の大きさを実感し打ちのめされる。

森尾の罪意識に終わりがないのです。崎田がどれだけ言葉を尽くしても、崎田が許しても、森尾自身が自分を許せない以上永遠にループが続く。皮肉なことに崎田を愛し続ける限り、罪も同じようについて回るのですね。

救いはどこにあるのだろうか?
愛とはなにか?許すとはなにか?
森尾と崎田が答えを求め続けた時間がとても切なくてどうしようもなく泣けました。

森尾の兄は
"(森尾は)存在するだけで傷つける側"
"恵まれるということはそれだけ他人を踏みつけることだ"と言います。
今作では森尾が記憶に留めることすらなかった過去が襲ってくるのですね。

森尾が罪の意識もなく送っていた"日常"は、
だれかにとっての"最悪な日"だった。

兄の指摘通り、森尾は無意識に人を傷つけてきました。
(森尾がクズすぎてゾッとする展開だった;;)
そして被害者の復讐・恨み・嫉みの矛先は……。

崎田に恋する前の森尾ならそんな過去を晒されたところで気にも掛けなかったでしょうね…。
けれど崎田に恋をして、崎田を通じて多大な苦しみを痛感して、今は感情を持っている。
因果応報なのですが、自分のクズさを目の当たりにして自分を追い詰めていくのがシンドイです。

そういう点では崎田のほうが強かった気がします。
 前を向く力がある。
 変えようとする努力がある。
でもそう強くなるキッカケを与えたのは森尾なんですよね。

森尾の存在に傷つけられた人もいるけど、助けられた人もいる。
けれど森尾は自分の負の面ばかりに苛まれて気付こうとしないほど拗らせてしまって。
崎田が真っ正面から向き合ってぶつかるのを、森尾は……。

愛=罪
愛が深ければ深いほど罪も深くなる。
こんな悲しい両想いありますか?
なんて大それたモノを抱えてるんだよぅ。

崎田は好きだから許せると言う。
森尾は好きだから自分を許せないと言う。
じゃあどうすれば許されるのか?
一体誰が何を許すというのだろうか?

サブタイトルに『ー 十八と二十六の間に ー』とあります。
ずっと前にも後ろにも動けなかった時間が動き出すまで8年。
動くキッカケとなったのが崎田の怒りだったのが個人的に印象に残りました。

思い返せば崎田は森尾に責めるような感情をあまりぶつけてないのですね。
早めの段階から手放しで許されてしまって森尾自身で自分を詰るほか無かった。

本音でぶつかりあってようやく少し許せたのかな。
タイトルの伏線が回収されて号泣しました。
そういう意味だったのか…!ですよ~(;////;)
ずっと後ろ向きだった森尾から前向きな言葉が聞けて良かったです。

※余談ですが
購入を予定してる方は特典小冊子が付くうちに是非。
本編再会後(崎田視点)の部分を森尾視点で書かれているのでより理解が深まります。
また本編では恋人エッチがないけど(解せぬ!)、その辺りは小冊子で読めました。

15

2人の「ごめんなさい」でパンクしそう

レイプという事実が二人の恋愛の必要条件だったか否か。

中々ショッキングな仮説だけれども、前巻でうっすらと感じていた疑問。
今巻ではその答えが明らかになります。

とある憤りからゴミ扱いのレイプをした相手、崎田路への罪悪感で彼を観察するうちに恋に落ちた攻の森尾。一度は告白したものの、言葉は届かず、それでも友達として崎田の傍で胸を焦がしては、過去の自分を悔いる日々。

そこへ前巻ラスト近くで登場し、二人をひっかき回していた臼井がまさかの森尾のレイプ被害者その2だったことが判明。被害当時の年齢なんと14歳。
しかもそれを森尾はすっかり忘れており、しれっと同じバスケ部に所属していた…。
ただでさえ、やらかしているのに、攻の過去のあまりのクズっぷりに思わず慄きます。
臼井のあれこれは当て馬感情ではなく、森尾への怨恨・路への同族嫌悪から生まれたものだったようです。

この事実の発覚に、路は多少の混乱はありつつも、片付けの魔法(?)で意外とあっさり苦しみを乗り越えます。

一方最もダメージを負ったのは他でもない元凶の森尾でした。
決定的に自分を許すことができなくなった森尾は、路からの好意を受け取ることなく路の傍を離れました。
好きだから、大切だから、自分みたいな存在が傍にいてはいけないという理由によって。

ここからが、好きだけど絶対に付き合わない攻VS生涯この攻しか愛せない受の8年間の長期戦。

8年間…長いです。
森尾の親友黒田だけでなく、読者としてもそろそろ森尾を許してあげたいタイミング。

とは言え何年経ってもこの攻はどこか愚かなのです。
会う気はないのに完全に連絡を絶つわけでもなく。
再開すれば、ためらいながらもデートを用意する。
告白されれば、後追いのように好きだと告げるけど、自分を許せないから付き合えないと言う。

なかなかの自己中っぷりに最後は路くんがキレました。
そして現実を突きつける。
「レイプがなかったら森尾は自分を好きにならなかった。見向きもしなかった。」
泣きながらそれを認める森尾。

やはり答えはこれでしたか。

だから、二人が結ばれるにはその事実丸ごと、愛も罪も表裏一体にして森尾は永遠に受け止め背負わなければいけない。
それが路の言う、「自分といると森尾を幸せにできない」という言葉。

「自分を許せない攻」と「相手を苦しめても傍にいたいと望む受」。
お互いの勝手な「ごめんなさい」が溢れていて、最後のシーンでは胸がパンクするかと思いました。

が、同時に既にこれが8年かけてたどり着いた、彼らの幸せの形なのでは?とも思いました。
罪だったり、許しだったり、葛藤だったり、躊躇だったり、見方を変えれば愛だったり、偶然だったり。
そういう過去と未来を全部ひっくるめて、森尾と路の幸せと定義しても良いのではないかと。
2人が2人でいることによってしか生まれない複雑な彩りは一言で言えば幸せと呼べるのではないかと。

なので、路はああ言っていたけれども、この物語は十分お互いがお互いを「幸せ」にしているハッピーエンドだと思います。

レイプから回りだした歯車。
自身の卑劣さの自覚、正当化の感情を源に生まれた恋愛感情。
アンビバレンスな行動と態度。
一生モノの悔恨。
どこを取ったってよくあるBLではないです。
でもそこに、少しだけ痛いけれど、ちゃんと心に残るモノがある。
心に響かせるパワーがある。
甘々ハピエンとかそういう既存の面白さとは別の何か。
そういうモノと出会える機会はそうは多くないと思うのです。
そういう希少さをひっくるめて「読み応えのある作品」だと思いました。

15

どうか森尾が願ったとおり、優しく路を愛し続けられますように

勝手にですが、前巻で一番痛い部分は乗り越えたと思っていました。
何なら、後は巻き返しだけ~♪くらいの浮かれた気分でいたんですよね。
そしたら、想定外に今作もしんどくて「何でなのおおおおっ!」と悶絶する羽目になりましたよ。
もうこれ、あまりに切ないし何より哀しすぎる・・・!
ある意味、前作よりしんどい内容ですよ。

ただ、人を許す事。許される事。そして、愛する事。

もがき苦しみながら二人がたどりついた場所に、すごく心を動かされたし感動もしました。
これ、何で「-十八と二十六の間に-」になんかなぁと思ってましたが、この八年間と言うのは、森尾にとって必要な時間だったんでしょうね。きっと。
この二人を見ていると、愛とはとてつもなく身勝手で、なのにこの上なく純粋で、また救いでもあるんじゃないかと思えてくる。
森尾が神様に願い続けた「欲しかったもの」には、涙が止まりませんでした。

でも、かなりしんどいので、痛いのが苦手な方は最初から避けて下さい。

で、すでに素敵なレビューをあげてくださってるので、個人的に印象深い部分のみ語らせてもらおうと思います。

えーと、今作ですが、前作に引き続き・・・と言うより、更に二人のスレ違いが深刻だったりします。
前作で路をレイプした森尾。
路への想いを素直に認めた事で、逆にひどい罪悪感に苛まれるんですよね。
これが、もう本当に切なくて。
私は攻めザマァが好きなんですよ。
森尾みたいな攻めと言うのは、徹底的に痛めつけてくれていいと思ってるんですよ。
それが、こう、森尾のあまりの自分に対する厳しさに、何かもう「自分を許してあげてよ!」と言いたくなってくる・・・。
森尾にとって路は純粋でキレイな存在で、自分は汚して傷付けてしまうだけと言う、強迫観念にも似た強い思い込みがあるんですよね。

で、路は路で、森尾が自分と居てくれるのは、同情や罪滅ぼしでしか無いと勘違いしている。

スタートがスタートだった為、互いに相手を気遣いすぎて、一歩を踏み出させない状態と言いますか。

また、路のレイプによるトラウマがですね、かなり深刻なんですよね。
似たような状況に陥ると、戻したりマトモに動けなくなってしまう。
いやこれ、そんな路を見る度に、自分を強く責めてそばに居る資格は無いと絶望する森尾。
もうとっくに許しているのに、どうしても自分ではコントロール出来なくて、森尾を心配させる事で自身も傷付く路。

このトラウマって、厄介なんですよ。
普段は忘れてるつもりでも、本当に一瞬でフラッシュバックなんかが起こるんですよね。
身体が覚えてる。
私は足に包丁を落とした事があるんですけど(ネタじゃないです。ガチです)、それ以来、血が一切ダメですもん。
血を見た瞬間、足元からザッと震えが登ってきて失神しちゃうんですよね。
簡単には、忘れられるもんじゃない。
要は何を言いたいかなんですけど、自分の意思でコントロール出来るものじゃないと思うのです。
ましてや、まだ高校生の路がそんな簡単に乗り越えられるものでは無い。
しかし、その路の反応が、森尾を追い詰めてしまう。
こう、あまりに哀しい。
哀しすぎる。
いや、攻めが簡単に許されて受けと幸せになろうものなら「甘いよ!」と腹が立つのに、ここまで自分で自分を責めてると「もういい加減、罪悪感を捨てろよ!」と、今度は許さない事にもどかしくなってくる。
だって、本当に切なすぎるんだって!

で、深く感動したのが、二人がたどり着いた答え。
この二人、深刻なスレ違いを経て、離ればなれになります。
八年もの間。
26才になって、再会した二人の選んだ道ー。

路ですが、森尾と出会った事により、自身の中の愛と深く向き合うんですよね。
路の出した答えは身勝手かもしれないけど、それもまた愛だと思う。
許す事も愛なら、苦しめると分かっていても共に居るのも愛だよ。
いや、正解なんて無くていいし、正しい愛し方なんて分からない。
ただ、信じる事が大切なんだろうなぁと。

どうか、森尾が願った通り、優しく路を愛し続けられますように。

9

許して、許されること

あ~~~~天才だな~~~~と思いながら後半はずっと泣いてました。

攻めの強姦からスタートした奇妙な関係は、まるで普通の高校生みたいにお互いの両片想いへと変化して、束の間の幸せで楽しい時間を過ごすようになって、でも「どこかズレてる」攻めが、その自覚していなかったズレのせいで、日に日に受けを強姦してしまったことへの罪悪感が大きくなっていくのがどうしようもなく苦しかったです。
受けを傷付ける相手に向ける感情が「同族嫌悪」になってしまうのはめちゃくちゃ苦しいですよね。
過去に攻めに傷つけられた子たちが、仲睦まじくしてる二人を見て「どうしてそれは俺じゃなかったんだろう」となるのも、そういう子たちの気持ちが痛いほど分かるのに「選ばれたのが俺でよかった」と思ってしまう受けも、あまりにも人間らしくて、誰かだけが悪いわけじゃないんだよなと痛感しました。

膨らんだ罪悪感に、他の感情をすべて塗りつぶされて、前にも後ろにも進めなくなってる攻めは、本当に「意気地なし」ですが、それでも、自分がいなくなった後の受けに「楽しい予定でたくさん埋まって欲しい」とスケジュール帳を渡して、約束を守れなかったと花火のムービーを送って、それがたとえ罪滅ぼしでもそういう不器用な優しさを見つけようとしてくれる受けと出逢えて本当によかったね……と思います。

樋口先生の書く受けは本当にいつも強くて美しくて、傷つけられて苦しんで理不尽な思いをしても、いつもで自分で世界を変える努力が出来るから大好きです。
今回も、「ゴミくずみたいにされたって、俺は立ち直って生きてきた!」の一言が最高すぎて、ぼろぼろに泣きました。
傷つけたくないと怯える攻めに、「傷つけられたって、俺は立ち直るから信じて!」と言う美しさよ……

誰だって、人生のどこかで取り返しのつかない失敗をしていて、あの時に戻れたらきっと違う未来を手に入れられたと妄想することをやめられないけど、その行動がなければ開かなかったルートも間違いなくあって、スタートを間違えたからこそ始まった二人の関係も、誰かに許されて、誰かを許して生きていくことを思い出せたことも、大切に思える二人の新生活が幸せであふれているように願うばかりです。

9

許す人も許さない人も居ていい

レイプ被害者の路と加害者の森尾の恋に決着がつく、『わたしにください』の続編です。

路は森尾のことを許しているので、このまま幸せが続けばと思っていたのですが、そう簡単にいかないのが樋口作品。
まさか、この因果が森尾の過去から続いていたとは……
森尾の過去のクズっぷりが酷い。
14歳の子どもをレイプしておいて、本人はすっかり忘れているとか……クズ過ぎる。

かつての被害者は、今度は加害者に。
まさに、負の連鎖ですね。
臼井が路にしたことは許せないけど、臼井は森尾を許さなくてもいいと思う。
臼井の姿は、もしかしたら路の未来だったかもしれないと思うと、やるせない気持ちになりました。

前を向いて歩き始めた路と、ネガティブ自己嫌悪の森尾。
近付いたと思った2人の道が、すれ違って離れていくのが切なくて切なくて。
道を違えてしまった2人の別離には胸が詰まる思いでした。

償う時間、
未来を掴む勇気、
愛し方、
……「わたしにください」な思いがたくさんありました。

路目線で描かれる後半は、路の一途な想いが浮き彫りに。
強い想いと、森尾を揺さぶる路の叫びに涙が溢れました。
〝愛する資格〟って何でしょうね?
そんなものあるのかな……
きっと、自分自身で自分を許さない限り前には進めないんですよね。
森尾の誠実さが路を苦しめるところが辛いですね。

愛は信じることだと思う。
そして、許し許されること。
傷つけ合ってここまできたけど、きっともう大丈夫だと思えるラストに、胸がいっぱいになりました。
最後まで諦めない路の強さ、成長に感動。

かつてのいじめっ子・大村と路の関係が良かったです。
どうか、臼井にも幸せになっていて欲しいなあ。

森尾が頑なで、最後の最後まで気を抜けない展開にハラハラしてページを捲る手が止まらなかったです。
読ませる力を感じる作品でした。


4

やきもきしました


とっても素敵なレビューがあるのでライトに書かせて頂きます。

樋口先生大好きな読者です。
また、電子版は読んだことがありません。
以上を踏まえた上でお読みください!!

前作からの続きなので、やっといちゃいちゃが見れるかな!とワクワクしていたのですが、思いっきりドロップキックを喰らいました。

私が感じたテーマは”許す”
過去の過ちは誰が許すのか。
被害者か。もしくは加害者自身、第三者か。
この”許す”ことが二人の中を引っ掻き回します。
拗れます。

どうしてそういう発想になるの?!という展開が多々あります。
この作品は行動より、心情を大切に描かれていると思います。なので、ふたり(主に攻め)の行動にやきもきさせられます。これは断言します。苦手な方は注意。

序盤は攻めの視点から書かれていますが、始めっからシリアス真っ只中です。受けを好きなのに目を背く事のできない罪の意識、過去に己がしてきた事。
最後は勿論ハッピーエンドですが、心が抉られます。

余談ですが、番外編がとっても欲しい。
綺麗に纏まっているのですが、ふたりのいちゃいちゃがもっと欲しいです。
あと、特典小冊子は是非お手にとって欲しい!
本作品がもっと好きになります!

3

新ジャンル:【報われ】を提唱したい一冊


「わたしにください」続巻です。
路が変われたことに嬉しくなったり、二人のすれ違いで悲しくなったり…まるで感情のジェットコースターでした。

さすが樋口美沙緒先生だな…と思ったのは、二人の感情が大人になりきれいない高校生そのものが表現されているところ。
互いを想い合っているのに、すれ違ってしまう。
思春期ならではの思いに「こうすれば上手くいくのに…!」と拳を握りしめる、もどかしさ…。

また苦しい状況になってしまい、路は落ち込んで…それでもまた立ち上がる姿にはこちらまで勇気を貰えます。
心の中で「がんばれー!!」と思わず応援してしまいました(笑)
路がくじけそうになった時に現れたまさかの人物も驚き!

こういうハッピーへ向かっていく展開がすごく大好きなので、読みながらテンションが上がってきます。

―――しかし、その熱を冷ますように次のページをめくると、なんと八年後。
な、何があったんだ…!?と少し戸惑ってしまいましたが、タイトルに「十八と二十六の間に」とあったので、そういうことなんだろうなぁとどうにか自分を落ち着けて読みました。

そこからはもう、路がすごくすごく頑張ります。
森尾への思いや自分の考え方を伝える一言一言が胸に刺さりました。
けれど、それでも過去を捨てれない森尾は拒んで…。
読みながら「何で!!どうして!?」と私も路と同じく叫びそうになりました(笑)

そして気づく。
森尾、お前…ヘタレだったのか…。

とにかく切なくなって喜んで、大切な何かに気づかされて…。
こんなに感情が揺さぶられたのは久しぶりです。

そして特に良かったのが「描き下ろし」です。
その後が描かれているのですが、報われて本当に幸せになった二人と大村との絡みですごく良かったです!!

とにかく読了後は「とてもいい映画を見た!!」という気持ちが強かったです。

2

両片思い萌えまくる

ネタばれです。

余りに健気で、ひたむきに攻めを思う受けちゃん。
勇気を振り絞って、自分を嫌いだと思い込んでいる攻めに告白します。
読者からしたら、攻めの留学を、前にやっとやっと両片思い解消か、と期待するところが、自分の過去を許せない攻めは、受けちゃんの思いを『受け止められない』と返してしま。攻めの言葉がたりなすぎて、受けちゃんは、実は攻めが自分を好き過ぎる事実すら知れずに、攻めと離れてしまう。
二度と会わないつもりであることを感じさせて、ただ受けちやんはのことは『忘れない』とだけ言って留学してしまった攻めが、遠いところから限られた手段だけでとってくる連絡を、受けちゃんは本当に見事に前向きに受け止めて、攻めの幸せを願いながら、自分の人生にも真摯に向き合う。
攻めもまた、恵まれた資質を極限まで伸ばして自分を鍛えて、そしていつも受けちゃんの幸せを願っている。何でも忘れっぽかった攻めにとって、『忘れない』と伝えることは、ある意味最愛の告白のように思います。
このストイックな二人が結ばれる迄の長さ、切なくてじれったくて、途中で止まれない。
両片思いと健気な受けちゃんが大好物ですが、この二つのポイントを本作品はかなり押しまくってくれました。
樋口先生の他の作品も読みたくなりました。

0

許す強さ、許される勇気

前作を読んでモヤっとしていた部分がスッキリして評価が一つ上がりました。
ただ過去の自分の非道な行いを憎み許せないという攻めの気持ちが強すぎて読んでいて疲弊しました。

崎田の精一杯の告白を森尾に受け入れてもらえず、失恋した悲しみと遠く離れて行ってしまった寂しさに胸が押しつぶされる思いでした。

大人になったいじめっ子大村の反省に対する崎田の慈愛にじんわりと感動しました。

森尾が崎田に対する暴力を反省し、自身の暴力性について恐怖するのは必要なことですが、
崎田をゴミのように扱い傷つけた自分が許せないから崎田の気持ちを受け取るべきではないと
一生一人で生きていくという決意は自分勝手な暴走に思えました。

終盤になっても一向に再会もせず身も心も離れ離れのままでした。
そして漸く再会できても頑固な森尾の気持ちが動かない展開に、このまま結ばれることなく別れるのかと不安になりました。

自分を傷つけた相手を許せる心の強さと、「許されちゃいけない」という思いが一層相手を傷つける行為にもなることなのだとわかった作品でした。

特典小冊子の森尾視点の話は、理解しきれない部分が補われていました。
期間限定でしか入手できないのは大変残念です。
とても大事なところだと思うので必読といっても良いと思いました。

2

自分勝手な

それぞれの心の中では決定的にすれ違ったまま、仮初の蜜月を過ごしていた路と森尾だったが、後輩の臼井が路に近づいてきて、、

路は、森尾の気持ちを思い違いしているだけで、自分の恋情は、ずっと、しっかり持ち続けている。
それに比べると、森尾の方は、自分で自分が許せないからって、随分自分勝手な言い草で、ぐずぐず、うじうじ、路を拒んでて、もう、かなりマジで、この森尾ってキャラを罵りたい気分なんだが、
そんな森尾を、ちゃんと説得した路くんに敬意を表して、萌1つプラス。

1

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