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マスターレビューアー 「BLアワード検定」合格証 ソムリエ合格

女性みざきさん

レビュー数12

ポイント数190

今年度18位

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もう少し肉付けがあれば

謎が残ったまま上巻から下巻へ。
勢いのまま一気に読んだ結果、物語としては非常に面白かったです。
でも、想像していたよりもあっさりすっきりとまとまってしまっていたかなと惜しく思うところありでした。

隼仁と凪冴の関係と共に描かれる、男性妊娠研究施設の闇。
国が明るく大々的に推し進めるプロジェクトの裏側。
この1番知りたかった部分がなんとも苦いものでして…
そんな口の中いっぱいに広がる苦味の中で、はらはらとした焦燥感と想いが増していく2人と、その後の「こう来たか」な展開はなんとも読み応えがあります。
闇行きジェットコースターの先にうっすら見える光といいますか、これしかないだろうなとしっくりとくる結びを含めて、お話の流れはどれもすごく面白かったです。

隼仁と凪冴の恋愛面もGOODだったのですが、個人的には濃厚なセックスよりももう少し他の被験者や職員もピックアップしてほしかったなー…なんて。
ラストまでの流れが好みなだけに、あとちょっとだけ話を太くする肉付けと掘り下げがほしかったです。
サブキャラクターもそれぞれキャラが立っていましたし、あっさりフェードアウトしてしまうのはやはりもったいない。
特に奏太とそのパートナー。リオたち3人も良いキャラクターなので。

隼仁たちに関しても、もっとセックス以外で育む強い繋がりも読めたらうれしかったかもしれないなと思いつつ…
あまり見かけないダークなディストピア設定が魅力的でした。
惜しいところがやや気になり、今回はこちらの評価に。

異様さと背徳感の中に

理原先生、漫画がすごくうまい。
続きが気になります。

男性妊娠の研究施設を舞台に繰り広げられる物語は、被験者たちが監視されていたりと設定的にも内容的にもほんのりダークなディストピアものといった感じ。
発情や男性妊娠といったテーマを扱いながら、オメガバース作ではないというところも独自設定の面白さが光るポイントのひとつだと思います。

第三者たちに監視された中で描かれる濃厚な性描写と共に、主人公である凪冴と幼馴染の隼仁のややどろついた再会劇が繰り広げられていくのですが…
レビュー冒頭にも書いた通り、工夫されたコマ割りやアングルによる視線誘導が非常にうまいので、自然と1コマずつ目で追いたくなるような仕掛けが本当によく効いているんです。
どうしても背徳的な設定と性描写に目がいきがちなのですけれど、他の見どころにもきちんと目がいくというのかな。
被験者が徹底的に管理・監視されている、この異様な箱庭に関する謎への疑問を膨らませながら、凪冴と隼仁のビターで複雑な現在と過去を時に切なく、時にもどかしく追いかけ楽しめました。
攻め視点で見えてくる一途さよ…ああ…

凪冴の母の謎や、ラストの不穏さ。
そして、どこからどう産むのか?
一筋縄ではいかなさそうな雰囲気にわくわくしますね。
やや好みが分かれる内容かもしれませんが、うす暗く危険な香りと共に香る想いと話運びが面白い1冊でした。
いったいどんな結末を迎えるのか?
引き続き下巻も見守りたいです。

ひとつ屋根の下の素敵なぬくさ

作品を生み出す才能と引き換えたかのように、生活能力にやや難ありの画家と、ひょんなことから彼の家で住み込みのマネージャー業を引き受けることになった元サラリーマンのお話。

素朴ながら目をひく四季の家をきっかけに、ほんの少し前まで他人だった2人がひとつ屋根の下で暮らしていく。
大きな出来事は起こりませんが、作品全体に流れるぬくさが気持ち良い作品でした。
世話焼きな敬語年上攻めと、攻めにぺたっと甘える天才肌の図がお好きな方にはピンとくるものがあるかも?

生活能力がない美貌の画家・四季が加納に見せる、くるくると変化する表情がすごくかわいいんですよ。
芸術系の職業+生活能力皆無美人=個性的な思考回路の持ち主となりそうなところですけれど、今作の受け・四季はおおらかさはあってもあまり突飛さは感じられないかな。
どちらかというと、自身の外見と作品に対する評価に悩んだり、なかなかに人間くさいところがある人です。
そんな彼が住み込みマネージャーとして雇った加納に充電と言って甘える姿が妙にかわいらしくて、なんだか2人セットでまるっと愛でたくなってしまったなあ…

そもそも四季はゲイなのか?加納は?給料は?と気になるところもあるにはあるのです。
でも、1冊を通してきちんとお互いがお互いの内面と仕事ぶりをリスペクトし合っているのが伝わってくるからなのか、同居生活の中で育まれる微笑ましい恋を最後まで追いかけたくなります。
加納の世話焼き加減と適度な包容力が良い味を出していて、魅力的な外見のギャップに本人が気が付いていないのも良かったですし、基本は受けファーストの思いやりがありながら、しっかりと頭の片隅に煩悩もありの良い攻めでした。
オールバックにスーツであの気遣いはグッときますね…!

芸術という正解のない職業への向き合いかたと心身の救済。
そして、コミカルさと甘さとシリアスさのバランスが良く読みやすかったです。
欲を言えばもう少し恋愛面に深みがほしかったかなと思いつつ、寄り添い合うような2人の姿が素敵な1冊でした。

すこし苦くてとびきり甘い

これは…神評価以外の選択肢が自分の中にありませんでした。

受けのことが好きすぎる攻めが登場する、人によって好みが分かれる設定や内容の作品が読みたいと、ちるフェスのソムリエコーナーでおすすめしていただいたこちらの作品。
あらすじからして心惹かれるものがあったのですが、読んでみて思わず頭を抱えました。
最初から最後までドスドスドスっと萌えのツボに刺さってなかなか抜けません…好きだ〜…!!
熱く推してくださったソムリエさんに感謝です。

人身売買がごく当たり前に存在する世界の中の、そのもっともっと奥のほう。
表からは見えない薄暗いところにあるユートピアといいますか…全体的にも題材的にもダークな香りが漂うのだけれど、蓋を開けてみればとんでもない甘さなのです。
いやあ、なんでしょうかこの絶妙なバランスの良さは。
ほんのりどころじゃない苦味と、加糖練乳のような甘みがぐつぐつ煮込まれていて、一度味わったらやみつきになる味付けになっています。

劣悪な環境下で洗脳され慰みものとなっていた受けを、殺し屋の攻めが血で汚れた手を差し伸べて救い出す。
一筋縄ではいかないお話なのかなと思いきや、2人の暮らしはまさに楽園。スウィートルームそのものです。
柔らかい毛布で身も心もまるっと包み込んで、少しずつじっくりとやさしさで愛でつくすアムの溺愛っぷりがたまらなく良かったなあ…
そして、アムの手から情操教育を受け、毎日愛情をたっぷりと浴びた翠が2人の関係に見事な化学変化をもたらしてくれる素敵仕様となっているではないですか。
この展開と関係性の変化は大好きなやつー!と、すっかり彼らと作品の虜になってしまいました。
唯一無二の関係になるまでの流れが最高すぎて萌えざるを得ません。

薄暗さの中の多幸感や優しさ。
愛情や癒しという、世界観やバックボーンとは相反するテーマが非常に上手く効いている作品でした。
わくわくするような萌え要素がぎゅっと詰まっていて、刺さる人にはざくざく刺さるハッピーセットみたいな1冊だなと思います。
作家さんの既刊も追いかけたくなりました。

ままならない関係

「かわいくないひと」が実はかわいかったというのは、何度読んでも良いものだなあと思います。

今作の受けである雨宮は、個人的にはどちらかというと、かわいくないひとというよりもクセが強くて生き辛そうな人といった印象が強かったです。
天才肌の空間デザイナーの彼のキャラクターがハマるかハマらないかで評価が分かれる作品かもしれません。
私はというと、うーん…攻めの瀬尾視点で雨宮を追っていくと、彼の分かりづらい変化がかわいらしく感じるところもあったのですが、すごく刺さったか?萌えたか?というと微妙なところかなと、2.5寄りのこちらの評価になりました。

というのも、三角関係の描き方は面白く読めたものの、雨宮が終始情緒不安定に見えてしまい、そちらが気になって密に描かれているお仕事描写に関してはあまりリアルには感じられなかったのです。
才能があるのに精神面で自立が出来ていない受けの描き方としてはありだと思います。
でも、せっかくの空間・建築関係の職業設定が、雨宮のキャラクターも相まって三角関係を描けば描くほどなんだかちょっぴり浮世離れしているように見えてしまって。
お仕事BL要素も期待して読んでいたものですから、この辺りは彼らが起こしたデザインも含めて想像がしにくかったのが少々残念でした。

雨宮を間に置いて形の違う愛し方を見せる男2人の図と、共依存のような不器用で歪な深海と雨宮の関係は追っていて面白かったです。
ただ、2人ともなぜそこまで雨宮が良いのかが最後まで分からなかったなあ。
後半でやっとかわいらしさの片鱗が見えてきて、そこでやっと雨宮がどんな人なのかが掴めた気がします。
めげない年下攻めは良かったかな。

素朴な萌え

ああきっとこの後こうなるんだろうなあと分かっていても、王道作品ならではの「きっとこうなる」を追うのが楽しかったりします。

アルファが側にいるだけで、まるで鼻炎か花粉症のようにくしゅんとくしゃみが止まらなくなってしまうアレルギー体質を持っている主人公…と、珍しい設定が面白い1冊でした。
ただ、先述の通り作中からBLの王道の香りがするものですから、全体的にお話の展開が読めてしまったんですね。
でもそこが安心して楽しめるポイントでもあったかなと思います。

元ベータの圭都がなぜオメガに変異したのかについてなど、疑問点や都合が良いと感じるところもあるのです。
しかしながら、なんというのかなあ。
特大級の萌えではなくて、道端できれいな花を見つけた時のような素朴な萌えを拾い集めるのが楽しかった印象でした。

佑星という人が、いわゆる一途で健気な攻めなのですけれど、それ以上にちょっとしたエピソードからかわいらしさを感じる人でして。
大きな体で圭都のためにせっせと緊急時用のハンカチを準備していたのかと思うと微笑ましいですし、ぼろぼろになるまでパンダのマスコットを大事にしていた佑星が健気ですごくかわいい。
国民的人気俳優だというのに、その実態は素朴な一途さん。
幼い頃から想いはとってもシンプル。
それが1番ちょうど良い甘さでおいしいのです。
なんだか圭都が作る焼き菓子のような人でしたね。

300P超のお話でしたが、幼馴染2人が恋にたどり着くまでの紆余曲折は決して悪いものではなく、ゴールが分かっていても見守りたくなる良い雰囲気です。
これは佑星視点のお話も読んでみたかったかも。
読み終えた後に焼き菓子とミルクティーが飲みたくなる1冊でした。

好きって素敵だ

何事もきちんと言葉に出して相手に伝えることができる、正直な人たちが繰り広げるやさしいお話でした。
うーん、素敵!好きなテイストのときめきが詰まっていたなあ。

30歳を前に、恋人ではなく結婚相手を見つけたい光成。
将来のための条件を挙げていたはずなのに、いざ目の前にまるで面食いな自分のための理想が服を着たような青年・新が現れた瞬間の反応がかわいいったらなかったです。
これは絶対面白いタイプの受けだと確信し、思わずにやりとしました。

顔よし、物腰よし、あらゆる意味での相性よし。
新という人は外見的にも光成の好みそのものなのだけれど、そこは理想と現実なんて言葉がぴったりなところでして。
現実的な部分での理想とは少々異なる背景を持つ新へ惹かれる気持ちはあっても、気持ちが良いほどにバッサリと切る光成のドライな一面におー!となりつつ…
それでもめげずに押していく新の一途さがまた良かったんですよねえ。

新の、やさしさとふわ〜っとした末っ子成分が絶妙に織り交ぜられた、庇護欲がわいてしまう完璧じゃないかわいらしさがずるくって!
しかもベッドでのギャップありときました。
これには光成も読み手もやられてしまいます。ああかわいい。
なんだかもう、2人の日常会話もデートも読んでいてすごく微笑ましくて楽しかったです。
胸がいっぱいになるようなときめきあふれる幸せが心地良く、光成の気持ちが少しずつ変化していく姿をわくわくしながら追いかけられました。

現実に直面した2人のやりとりにも恋愛パートが上手く効いていて、それはこの結論になるのは必然だよねと思えるもの。
この辺りはテンポを緩めてもう少しだけゆっくり読みたかったかなと思いましたが、全体的な流れと攻めと受けのキャラクター性がとっても良かった1冊でした。
正直な気持ちで相手にまっすぐ向き合う2人が好きだー…!

恋愛観と仕事描写。そして、登場人物たちがそこで生きていそうな奥行きを感じ取れる生活感と、家庭や家族の描写が満遍なく作中に散りばめられていたからこそ親しみを持って応援したくなるCPになったのではないかな。
彼らが出した答えも、その後のお話も含めて明るく前向きな気持ちになれて幸せです。
リオナ先生の既刊を遡って追いかけたくなりました。

今後の展開が楽しみ

簡単には進んでくれない、一筋縄ではいかないストーリーが好きです。
どんな結末を迎えるのかが気になる作品の上位に入る作品のひとつなのですが…
いやはや、今作もすごい迫力でした。

5巻はシリーズの中でも少々重ための内容となっていますので、目次の注意書き内容を受け入れられない方もいらっしゃるのではないかなと。
覡という存在にフォーカスをあてた掘り下げ巻だと思いますので、萌え要素を求めるとそちらに関しては少なめです。
カバーイラストの印象のまま読み進めるとちょっと温度差に風邪をひいてしまうかも。
この辺りは好みが分かれるかもしれませんね。
ただ、今まで見えそうで見えなかったブラックボックスの中身が一気に目の前に押し寄せてくる、非常に読み応えのあるお話だったと思います。
5巻まで進んだからこその内容といいますか、アルトとエルヴァが出逢った1巻から謎と共に歩みを進めてきた今だからこそ、今後を描くにあたって必要なものがここでどかっと投入された。
そんな印象を持ちました。

覡とは?外の世界の人間とは?
まるで黒海のようにどす黒い謎の一部が明かされましたが、明かされても謎が残る、全てを明らかにしない話運びが面白いです。
人々から「覡様」と呼ばれながらも孤独に戦う彼らの真実がなんとも苦しいものなのですけれど、ぼかさずに容赦のない描き方をされているがゆえに、彼らの悲しみや憎悪がより強く伝わってくるんですよね。

なぜ彼ら覡は存在するようになったのか。
何を基準に色が変化するのか。
黒海はどこから生まれ、どこからやってくるのか。

自分の意思とは関係なく、たまたま花が付いてしまっただけなのに、分からないことだらけの中で命を賭して戦い続ける覡たち。
不平等で理不尽な箱庭の真実を知った覡は、一体どんな選択をするのか?
覡を取り巻く人々の身勝手さを見れば見るほど、ミカイルの選択も決して悪だとは言えないなと思うのです。
エルヴァはもちろん、すべての覡の行く末を追いかけたいです。
そして、エルヴァにとって最大の癒しであり、同時に劇薬のようでもあったアルトの出自と存在がこの狭い箱庭と四方を囲む深い海にどう作用していくのでしょうか。

萌ではないかなと、星評価で4.5寄りのこちらの評価になりました。
折り返しとのことで、カバー下の色味も夜明けに近付いてきていますね。
恋愛面も気になるけれど、それ以上に先が気になる作品です。

萌えと中弛みと

帯の煽り文にもなっている「その内」を今か今かと楽しみにしている自分がいます。

ケンカップルも巻を増すごとに少しずつ甘みが増し…な4巻でした。
可愛くねーぞと言いながらも楪のことが可愛くて仕方がないんだろうなあと、ごく普通のことのように好きだとストレートに言う常盤がとっっても良かったなあ…!
なんだかどんどん彼氏力が上がっていませんか?

なかなか素直になれない楪と、その素直じゃない部分もきちんと分かった上で、素直に好きだと言う常盤の組み合わせはこれ以上ないほど良いものなのではないかな。
普段ツンとしてしまいがちな楪が突然放り込んでくる破壊力の高い素朴な可愛い発言に、ウッとやられてしまう常盤もまた良しでした。2人とも可愛いなあ!
溺愛の片鱗を見せつつ俺様っぽさもあり、かと思えば受けの一言で赤面をしたりと、今回は受けよりも攻めの変化に萌えた1冊かもしれません。

と、2人のLOVE面は良かったのですが、個人的にはちょっと中弛みしてしまうところもありでして…
堺くんの彼女のカナちゃんが楪に対して棘のある態度を取ってくる理由が気になっていたものですから、なにかよっぽどのことがあるのかなと思っていたんですね。
でもその理由が少々パンチに欠けているように思えてしまって、尺のわりに本当にただの僻みと八つ当たりだったなあと。
楪の顔に関してもだいぶ引っ張っているけれど、うーん…
トラウマから一歩ずつ前進はできてきているものの、流れが似たパターンになってしまっているのがちょっと残念。
この2点があまりリズム良くは読めなかった理由かもしれません。
今回は3.5寄りのこちらの評価になりました。

気になる点もありましたが、2人の今後をもっと追いかけたいですし、前巻からうやむやになったままの田名部くんの今後も気になります。
ミユちゃんと富田くんがすごく良い子なので、次巻でも登場してほしいなあ。

武士とジェントルマンの同居生活

時は令和、所は日本。
大学の美術論講師として来日した英国人のアンソニーを迎え入れてくれたのは、和装に髷姿の武士だった…
と、まるで数百年前の世界にタイムスリップしたかのような出で立ちの青年武士・隼人と、巧みに日本語を操るアンソニーが繰り広げる異文化交流同居物語。

外国人のアンソニー視点で語られる日々は、ヒューマンドラマあり、ほんのりブロマンスめいた雰囲気ありのあたたかみのあるものです。
やはり、武士や侍と書かれていれば過去を想像してしまいますが…「武士が存在する現代日本」が舞台だからこそが良い味を出している作品かなと。

いわゆる武士が使うような昔言葉で話す隼人が現代に溶けこんでいるごく普通の生活を楽しみながら、先入観がない外国人のアンソニー視点で見えてくるものを追いかけるかたちになります。
現代日本に武士制度があったら?とは、これまた奇抜で面白い設定だなあと読み進めてみると、これが想像していたよりも面白おかしい雰囲気ではなく、後半に向かうに連れて少々複雑で深みのある要素が混ざり合っていくではないですか。
後半の展開がおっとなるもので読み応えありでした。
アンソニーが隼人をはじめとした登場人物たちに、武士道とはなにか?と問いかけるシーンが度々登場するのですけれど、この問いかけと人それぞれな答えが、巡り巡ってなるほどこうきたか!な仕掛けになっていて上手いなあと。

多種多様な考えや在り方が認められつつある時世が反映されている内容だったように思います。
賑やかな周囲の人々はもちろん、13歳の年の差がある武士とジェントルマンの関係性が非常に素敵な作品でした。
隼人とアンソニーの出逢いはきっとお互いの人生を変えるものになったのではないかな。