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愛されたいから、愛したい―――
chicken heart serenade
ゲイである事を真正面から受け止めて、社会に溶け込んで生きていく為にどんな思いをしてるんだろうか。とか、センシティブに震え上がって、気付かないふりや入れこまないように深入りしないようにと心にストップをかけてしまう姿はなんて痛々しいんだろうか。 とか。色々考えさせられました。とっても上質で最高な作品に出会えたと思います。
自分に自信を持てないで、臆病でビビりな駿斗と央倫。過去の苦悩や家族の不理解から、もう傷付きたくないと思いながらも、やっぱり誰かを本気で愛したいし、愛されたいと願う2人。
人は誰しも愛されたいですよね。なので二人が想いを合わせたシーンは本当に優しくて美しかったです。そのままの自分を受け入れてくれる人に出逢えてよかったです。
そして2人ともなんといっても美しいんです!特にお着物のシーン!!本当に美しい〜!見惚れます。絶対にanotherstoryも読むことをおすすめします!読むと二人がなお一層好きになります!!
先生の作品はほとんど拝読していますが、本作が一番好きな作品。何度も読み返しています。
番外編2が電子で発売されて、再読したのでレビューします。
央倫(ひろみち)と駿斗(はやと)は、出会って3ヶ月で週2日は会うセフレ同士。
お互い名前しか知らなかったが、駿斗の務める呉服店に、央倫が見合い相手と偶然訪れたことにより、二人の関係が変化し始めて…というお話。
お話が進むに連れ、二人とも孤独を感じ、心に傷を持つ者同士ということが明らかになっていきます。
徐々に互いのことを知っていくうちに、多くを語らずとも、相手を思いやり寄り添っていく二人に、何度もキュンとさせられます。
駿斗の「誰かに愛されたい、…愛したい」というモノローグ。
央倫の「お前と一緒にいたいだけだ」というセリフ。
「本当にずっと居るか?」と不安を隠せない駿斗に、央倫が力強く言うあのセリフ。
本作には心にグッとくるモノローグやセリフがたくさん散りばめられていて、読んでいて何度も胸が締めつけられます。
本当に素晴らしい作品。大島先生の最高傑作と思います。
ぜひ多くの方に読んでもらいたい名作です。
電子の番外編「チキンハートセレナーデ another story」「チキンハートセレナーデ another story2」も、短いながら素晴らしい続編ですので、ぜひあわせて読んでいただきたいと思います。
何度読んでも素晴らしさの色褪せない、私にとって大切な作品です。
紙本 濡れ場は修正不要な描き方
リアルな描写に胸がザワつきました。
ハッピーエンドに辿り着くゲイのカップルってどれくらいいるんでしょう。性の多様性が認知されていない国や地域だと少ないだろうし、日本も最近は認められつつありますが、まだまだ成熟した社会とは言えません。
学校や職場や家族といった特定のコミュニティの中で、自分の性的指向を隠し生きていくことは悔しいことだけど自分や家族を守るためには仕方ないことかも知れない。カミングアウトがもらたす影響が、プラスかマイナスか…どちらに振れるかは分からないことですよね。
そういうジレンマが1つの軸となる物語がこの作品です。セフレ関係にある松根と倉橋のリアル描写が光る大人の恋愛ストーリーは、とても繊細で複雑で胸に沁みました。
2人の恋愛は、松根の建前の結婚願望によって"ナシ"の方向で始まっています。このことが2人の関係を前進させるストッパーになっていて、特別な感情を抱いたとしても、心を縛りつける制約になっているのが非常に切なかったです。
結婚に動きだしている松根と倉橋が過ごす金曜日の夜の逢瀬は、唯一自分らしくいられるひととき。2人にとっては幸せな時間だと思うのに、先がないと分かっている関係だからかだいぶしょっぱいテイストです。自分の感情より周囲の環境や期待…気持ちを抑えなければいけない状況にやるせない気持ちになりました。
何を考えているか分からない松根の静かな感情が結構じわじわきます。割り切っているようで割り切れていないような嫉妬心に、彼の熱い性格が見え隠れしますね。明るい性格の倉橋と真逆なタイプっぽいけど、いざその時!となったときの行動力は頼もしい限りです。
自分を偽って生きていくより自分に正直に、好きな人のために生きていく人生を選択した彼の思いが、派手さはないけど実にドラマチック。
静かに湧き上がる感動に酔いしれました。
同性が性の対象となる男たちの葛藤がありありと描かれた作品だと思います。女性とセックスできてホッとした…と吐露するセリフとかね、どれだけの思いを抱えてきたのかと想像すると胸が痛かった…。
BLはファンタジーだと言われるし、実際そうなんだと思いますが、この作品は現実の世界に限りなく近い世界線のお話の感覚で読めると思います。全体的にしっとりめで大人感漂う暗めのテイストが雰囲気あって好きです。
番外編も出ていて、その後の2人が読めるのも嬉しい配慮。
切なめだけど読後感は最高です^ ^
もう3~4回読んでいます。
黒髪受けか~~いいねえ~と思いながら購入を決めた本作品(男っぽい黒髪が受けてるの性癖な人)。それ以外にもツボポイントがありすぎて、毎回読むたびジーンと萌えています。
ストーリーは、ゲイバーで会った攻め・ヒロミチさんと受け・ハヤトさんが、一夜をともにしてそのまま体の関係が続いていたところ、ハヤトさんの仕事の顧客のところにヒロミチさんが居て、なんといいところのお嬢様と縁談を進めようとしているようで、あれヒロミチさんゲイのはずなのに?と聞くとヒロミチさんは一度ゲイばれして大騒ぎになったことがあって……というようなお話。
ハヤトさんの方はお兄ちゃんが本当に大好きで、家族愛よりも恋人に向けるタイプの愛情をお兄ちゃんに持ってしまっているんですよね。そしてお兄ちゃんは結婚して家族を他に持っているから、疎外感に苛まれているという。
ヒロミチさんの方は、男を好きという自分の心に従うよりも周りと平和にやり過ごせるほうを選んでしまうというチキン、ハヤトさんの方は愛されたいけど終わりを考えると耐えられないというチキン。大人らしく先々を見通したチキンハートな振る舞いが描かれていて、「なんと切ないチキンハート……」と思いながら読んでいました。
ですがハピエン厨の私を喜ばせてくださいました本作品、チキンハートに従って寂しく終わることはありません。ヒロミチさん、自分の心に従ってハヤトさんを選びます。
ハヤトさん、ほんとにうれしかったんだろうなあ。ヒロミチさんが来たとき、ちょっと行動バグっちゃうみたいになってたもんね……
その後、ヒロミチさんを信じきれないハヤトさんですが、二人でハヤトさんのお兄さんに会いに行って、ヒロミチさんが一緒にいるよって口にしたから安心できたのでしょうね。
よかったです。幸せそうで何よりTT
大人になればなるほど、周囲のこととかしがらみで雁字搦めになってしまうけども、それでも自分の心に従って生きていくという、BLらしいお話を読ませていただきました。
情事シーンを含め、文字を多用してないところがいいですよね。表情と絵で訴えられる心情とか、場面の静かさとか。
情事シーンも、その絵に見入っちゃうから逆にアダルティなエロみを感じたりして……(ありがとうございます!!)
物語の進行と一緒に読者にゆっくり、しかし確実に切なさと喜びを与えてくれる本作、非常に楽しみました。ありがとうございました。
セフレで始まる二人の間には確実に「特別」があるんだろう。
そう思わせる始まり。
大島先生らしい大人な色気男子の愛のお話。
恋愛というより愛し合う事に視点をおいたものに感じました。
お互いの足りない寂しい部分にお互いが必要不可欠。
こんなにピッタリハマるパズルのピースようなカップリング中々ないなと思いながら読んでいました。
ノンケになろうとする攻め(真面目)・孤独を嫌う受け(明るい)。
二人には二人しかいないし最後は泣いてしまいました。
心からずっと幸せでいてほしいカップルです。
BLではよくある話なのかもしれないんだけど今まで読んだことない、こんなに切ない気持ちになったことないって気分になりました。上手くいかないけどそれなりに諦めながら生きてる大人の男性が本当は愛されたいし愛したいって気持ちを溢れさせる感じがぐさ〜って刺さりました。大島かもめ先生は2作目ですが、感情の流れが自然で何か大人に刺さる人生のもどかしさ?みたいなものを描くのがお上手だなあと思いました。この表紙の気だるく大人な感じそのままな気がするので表紙に惹かれる方は読んで損はないと思います。攻め目線の番外編がまた泣かせる。読めてよかったって思います。
セフレと言っても!ヒロミチは遊びなれてるわけじゃない。でもお互いに自分たちのことを話したりするわけでもなく。
最初のタバコのシーンが後になって効いてくる。ハヤトはヒロミチから「偽装結婚」の話を聞いてから、外で食事したり遊びに誘います。二人共それが楽しい。そんな中、本格的にヒロミチのお見合い?結婚の話が進むことに。
ゲイバレして、家庭が混乱してってのは現実でもよくあるのかも知れません。(今は無いかもだけど、病院連れて行くってのは別の小説でもありました)
勘当される、縁を切られるなんてことは芸能人でも言ってますし、そうじゃなかったら「治った」というしか無い切なさ。
ハヤトはお兄ちゃんにうまく?受け入れられて良かったんだろうけど、独占欲?孤独への恐怖感。トラウマ的になってるんですね。
そして若干コワイ…怖いよハヤト。
行き先告げずに出かけるときの「どこ行くんだ?」の表情。。。
もしかしたら共依存的関係なのかも?とも思いながらも読み返したい作品になりました。
AfterStoryもあるようなので読んでみたいと思います。
セフレから恋人に、という流れの中にたくさんの葛藤が詰め込まれた作品。読んだことないけどレディコミのごときドロっとしたものを感じました。家柄が合わない男女の話をゲイ版にしたような。駿斗に女の執念に似た怖さを感じたので。
といっても央倫視点だとBLになってて神評価だし大好きな作品。特に最後、心の闇(不安)が一つ消えてるのが分かる終わり方が好きです。
駿斗は割り切ったセフレで一見カラっとしてるようだけど、情の部分は粘度高めと思いました。
央倫はただのセフレに毎回「また」って言う時点で答えは出てたんじゃないかな。全てを諦めた顔してる人が先の希望のような言葉を口にするって相当な気が…慣れてないだけかな。たまに感情が表情に出るときゅんとします。
恐怖を感じたのは駿斗が「結婚生活頑張ってね」と言い放つシーン。セリフから表情から全てが呪いのよう。背筋が凍った理由を探し、これがもし女のセリフだったら?と考えたので冒頭の感想になったんですが。
正直こんなこと言われたら忘れられない。何をしていても頭の片隅に残りそうだし、絶対に結婚生活なんて上手くいかない。まさに呪いじゃないの…と。
で、怖かったけどそこからの流れは全部好き。何度も読み返したくなる作品だと思います。
読後何ヶ月も経っているのですが、何度も読み返し、その度胸がチクリとします。
こんなに攻めに感情移入する作品は初めてでした。あまり感情を表に出さないぶん痛くてリアル。
そしてハヤトの隙のある無邪気な笑顔に救われます。あまり表情の変化のないヒロミチですが、ハヤトが度々ヒロミチの表情で感情を汲み取るところ、2人の蜜な関係性を思わせて萌えました。
自分の語彙力のなさに悲しくなりますが、本当に読んでよかった作品です。アナザーストーリーも最高でした。
評価が高いことは以前から承知していたのですが、おくればせながら購入しました
二人の関係性の深まりや情緒が育つ様が表情やちょっとした細やかなセリフから読み取れ、じわじわと引き込まれます 何度も読み返す作品になりそうです
セフレな二人が、偶然“本当の”姿でエンカウントし、そこから関係性が変わっていくストーリー。とっても切なくて優しい話です
商社で働くヒロミチは、ゲイであることが家族にバレて、大騒ぎになった過去がある。ゲイを“治す”ことを約束し、なんとか関係を修復し、今は勤め先の役員令嬢と婚約間近。女性とセックスが出来たことに安堵し、家族が自分のためを思って様々な“助言”をしていることを知っている
呉服屋で働くハヤトは、優秀な兄に家督を継がせることに集中する両親のもと、親の愛を感じられずに生きてきた。兄だけがハヤトを見てくれ、ハヤトにとって、兄が一番大切な人だった。そんな兄が結婚し、じきに子どもも産まれる。着実に、新しい家族を築いていく。そこには、きっとハヤトはいない
それぞれが、それぞれの想いを抱え、それでも大切な人を傷つけまいと、本当の自分を隠して生きる。そんな日々の中で、身体を、言葉を、心を交わしていく。そして、気づいたときには、手放せなくなっていた
自分のために生きよう。別に、悪いことをしているわけではない。誰だって、幸せになってもいいはずだから
「男女がセックスしても病気」とが言われない
「ゲイは『治す』ものか」
性的マイノリティが肩を寄せ合うところに、腐女子も重なるところがある。
でも重たくなく、エンタテインメントの枠に心地よく読める。
セフレからカップルになる課程が、リアルでいたたまれなくて、でもそれが、二人の絆を深めていく。
何度読んでも、胸が苦しくてでも幸せな気分になれる
セフレとしていい関係を築いていた央倫と駿斗がその形を少しずつ変えていくお話でした。
央倫はわりといつも無表情で、あまり感情が表に出ないクールビューティー(駿斗談)。
一方の駿斗はころころと表情をかえる可愛い受けだなという印象でした。
セフレとして割り切った関係のようでしたが、はじめからお互いに惹かれているところはあったんじゃないかなと思います。
そんなふたりがお互いの過去や家族のこと、現在の状況を知って、距離が近付いたり遠退いたり。
切ない大人の駆け引きに胸がぎゅっとなりました。
央倫は家族にゲイである自分を否定されたことや家庭内が揉めたことで、それに抗わず諦めたように生きようとしていて。
それをさらりと語る彼の表情は冷めていたけど、どれほど苦しいことだっただろうかと切なくなりました。
駿斗は両親から愛されたかったけれどそれは叶わず、両親の愛を受けた兄を好きでいることで"家族からの愛"を受け取っていたのかな、と。
孤独をおそれる駿斗の表情にもまた、胸がしめつけられました。
ふたりが求めていたものは似たものがあったのかな。
大人になると自分が正しいと思うことだけを貫くことは難しいですが、ふたりはお互いを求め肯定し信じあうことで
今までの苦しいだけだった過去を変えることが出来たのかもしれません。
愛し愛されるふたりが見られて本当に良かったです。
大島かもめ先生、初読みですが綺麗で心理描写も丁寧です。
セフレの軽い関係から始まる物語。
明らかに駿斗もヒロミチも恋愛感情は無いように見える。
「どうやって結婚断るの?」「断らねえよ」なんて普通に話しちゃう位軽い。
過去に色々な経験をしてきた二人の心情が丁寧に綴られていて悲しくなった。
好きだけど、一緒にいてはいけない。
毎回ヒロミチから「次はいつ会う?」と伝えて居たんです。それを遮っての駿斗の言葉が切ない。
これぞ甘い大人の恋だな、と思います。
ヒロミチは本当に駿斗が大好きなんですね。本当に嬉しい時は茶化すとかよく見てる。
こんなに苦労した2人なんだから末長く幸せに暮らしてほしい。
他のレビュアーさんが教えて頂いたツィッターでのクリスマス拝見しました!
教えて貰えてとても良かったです(*^^*)
甘々でしたね!ありがとう御座います。
攻めが「いい男」な漫画を教えてください!
イケメンでもスパダリでもなく、いい男
男前な色男とでも言いますか…という某トピで、
『チキンハートセレナーデ』の松根央倫。を挙げたほど、この攻めが好きです。
スーツ姿が様になるっていうのは、いい男の第一条件。修羅場をくぐり抜けてきた彼は、この先もっともっと男前度が上がると思う…なんて理由もありますが、結局は倉橋駿斗あっての彼なわけで。
私は名作だと思います。人間の喜怒哀楽が過不足なく描かれていて、読み手の「こうなったらいいな」を裏切らない。5年先10年先にも読み継がれてほしい作品。
余談ですが、大島先生のTwitterで過去のサイン会にて配布された小冊子漫画が公開されています。クリスマスのお話、素敵なんで是非!
【BL アワード 2019】BEST ディープ 2位
メアドと名前しか知らないセフレから始まったライトな関係かと思いきや・・・
めちゃくちゃ切なくて、ハピエンでした。
感情が読めない攻めのヒロミチも、軽い感じの受けのハヤトも、お互いのことが好きなのに気持ちを抑えて一旦離れるんだけど、結局2人とも抑えきれないんですよね。
ハヤトは愛情に飢えていて誰かと真剣に恋愛がしたい。だけど好きになれそうな男は婚約者候補がいて・・・
ヒロミチはゲイであることにコンプレックスと傷を抱えていて自分を偽って生きていこうとしている。
そんな二人が出会って、お互いのことが好きになってきているのに進めないところがもどかしくて切なくて泣けます。
ヒロミチの婚約者候補の女性も本当はヒロミチのことが好きなのに強がって離れてあげたんですよね。素敵な女性なので彼女にも幸せになってほしい。
「誰かに愛されたい だから誰かを本気で愛したい」
というハヤトの心情吐露が更に切なかった。
ハヤトの兄に対する気持ちは恋慕に近いものがあったのでしょうか。
幼少期から家族愛に飢えていたから愛情というものに信用がなくヒロミチの愛情も素直に受け取ることを怖がっていたのかな、と解釈しましたが。
最後、兄と3人で会ったときの「俺がいるので」でハヤトの臆病になっている気持ちも払拭できて安心しました。
個人的には、ヒロミチの過去、心情をもう少し知りたいと思っていたので、番外のanother storyで描いてくださったので補完することができました。
セ◯レから本気になり色々あってのハピエンよかった。
家族のしがらみが辛い
2人とも別の種類ながら家族への愛憎が
そこから解放されくっつくくだり、ヒロミチが言葉少ないのにしっかり行動で示すのがかっこいい。
表現もストレートで。
イケメン
正直なところ、駿斗のノリがついていけないとこがあった。
うれしい時は茶化してしまったりするのはわかるけど。
普段でも軽いノリがちょっと違和感w
あと、両親からの愛情を得られなくて、自分を愛してくれるのは兄しかいない。
兄に子どもができて落ち込んだ、というのも極端に感じてしまった。
余談ですが、家族のしがらみ、愛憎、トラウマからのその後の人生模様って、昭和、平成であらゆるコンテンツでやり尽くしていて、古く飽きている感が否めないのは私だけでしょうか。
普遍的なテーマだろうから、避けて通れないのかもしれないけど。
でも個人的には、家族のトラウマやしがらみには触れず、今を生きる姿をもがきながらも颯爽と描いてくれる作品が今の時代的には好きだなぁと余計なことを思った次第です。
とにもかくにもストーリーが良い。
以前仕立て屋と坊ちゃんが出版された時に話題になったので作家さんの名前は覚えていました。当時それも読んだもののあまり印象に残っていなかったのですが、これは大当たりでした。
商業BL読み始めて10年ほどですが、好きなBL漫画を挙げたら5本指には入ります。
セフレ同士、割り切っている関係だったのに…
個人的には「セフレから恋人になるなんてありえない」派なのですが、二人のセフレからの関係性の変化が自然で、「あり得ない」派の私も思わず感情移入してしまうほどでした。
基本的には受け目線でストーリーが進みますが、受けにも攻めにもそれぞれ悩みがあります。
それらを一緒に乗り越えていくさまがとても素敵でした。
絵柄やキャラのカッコ良さは他の方も仰っているので割愛します。
新刊コーナーに置いてあったのを何気なく手に取ってから約2年、今でも頻繁に読み返す作品の一つですし、初心者には必ずお薦めしている作品です。
作者さんの作品初読みでした。
作画も内容も大人の物語といった印象です。
セリフを喋っていない時の人物の表情がとてもよく、感情が伝わってきます。
2人とも過去にトラウマを抱えていて、本当の自分を隠して生きようとする攻めと、傷ついたり独りになるのが怖い受け。
結構ヘビーな家庭環境で育った2人が出会い、お互いの弱い部分に触れた上で惹かれあっていく様子が描かれています。
央倫に一緒にいたいと言われて、信じろとまで言われてもまだなお不安がっている駿斗が切なかったですね。
央倫の「俺がいるので」にはホントしびれました〜。 そら早く家に帰りたくもなるよね〜(´∀`)
書き下ろしの和装Hは眼福でした! もっと濃くても良かったです。
電子限定特典の2人もとても幸せそうでほっこりしてしまいました。外食の帰りに同じ場所に帰る幸せ。小さな幸せを感じてる2人が良かったです。
大島かもめさんの作品で初めて読ませていただきました。この作品が大好きです。お互いに軽い気持ちから始まった関係が取り巻く環境を知ることでどんどん覆されていく中で、色々なことを思い、相手の存在が大切なものだと気づいていくのですが、クールな攻めが明るい受けを思う気持ちを表に出すシーン、受けが攻めの置かれている立場を優先するシーンではどうしようもない胸熱を感じます。丁寧で美しい絵柄とキャラクターの表情、そしてシリアスだけどコミカルな内容がとても好きです。攻めが受けを好きすぎる設定好きの私は何度も繰り返しして読んでいます。
まるまる表題作。
セフレだった二人。しかし、攻めの央倫はゲイであることで家族と軋轢を抱えており、重役の娘と結婚しようとする。
本気になる前に、と、受けの駿斗は身を引く。けれど、気持ちは央倫に移っていて。。慕っていた兄も結婚して子供が生まれ、実家の呉服屋は安泰そう。自分は別の店で修行中だが、このまま仕事も恋も行き着くところを失って、絶望しかけたとき。。。
というストーリーです。
駿斗が切ないですが、仕事と実家との関係を超えて、駿斗を迎えにきた央倫に救われるのでした。
多分、硬派で多くを語らない央倫だけど、きっと駿斗同様に、会えない時間が辛かったのかもしれないな。
線が少ないのに、なんか二人の空気感が伝わってくる絵がいい。それから、にこりともしないけど、芯がしっかりした央倫と、明るく見せながらも傷つきやすくはかない駿斗がとてもいいカップル。
央倫はお仕事順調に行ってほしいです。
初めて読んだのは発売後すぐで、その時さらっと読んで、すごく良いなと思ったものの、その後読み返すことはなく。
最近本棚を見つめ直してたまたま手にとったら、琴線にがんがん触れてきたのか、何度も読み返しては心がじーんとしています。
ページ数的にはすごい短いですし、さらっとしてるんです。
(わたしにはすごく短く感じられました!!もっと読みたかった!!!)
でもすごい沢山の要素が詰め込まれていると思うんです。
そしてそれも、ぐちゃっとしてなくて引き出しにすっきり纏められているというか。
キャラクターがしっかり出来上がってるからでしょうか。
攻さんも、受さんも抱える人間としての寂しさ、切なさ、孤独さがどこかしこに散りばめられていて、でもふたりともそこに適合しようと、何とか頑張ろうとする姿が、見ていて胸がぎゅっと締め付けられるようでした。
好きな人、家族、その他の相手のことを大事に思う気持ち、でも自分自身も辛くて、何とか折り合いをつけようとするふたりがすごい愛しくなります。
大好きな相手の為に、自ら身を引くというテッパン好きな私にとって、受さんが攻さんにサヨナラ告げるシーンは、最高のごちそうでした。
その後絶対にやり直せるチャンスがあると信じられるBLお約束ならではのごちそうだなと、しみじみします。
セリフ以外の表情、態度、リアクションが読み返せば読み返すほどにじんわり胸に響きます。
そして大島先生の、コミカルなコマを割合と大きく扱うところが、いい閑話休題な感じで好きです。
良かったー!
ただのセフレからの…。
ああ!二人が幸せで最後の松根が出掛けるとき倉橋が見向きもせずに、行ってらーって気楽に言うとこ!
倉橋は両親から見向きもされず唯一情を傾けてくれた最愛の兄にもとうとう子供が生まれる。
セフレの松根は見合いして受けると言う。
本気になる前にもう会うのを止めると倉橋は別れを告げるが未練がたっぷりで。
愛されたい、愛したい。
心の底からの想い。倉橋ー!切ないよう、誰か倉橋を愛してあげて!松根カムバック!
と思ってたら松根も見合いを断り家族に話し倉橋の所へ来てくれて。信じられない倉橋。でも松根は今の自分が一番信じられるって!
でもまだ信じられない倉橋は松根が出掛けようとすると必ず不安そうに行き先をたずねて。
二人で倉橋兄に会いに行って、自分がいるから大丈夫ですと男前な松根。
泣けてくるよっ。
ずっと気になってた作品でしたがようやく読めました。意外とサクッと読んでしまいましたがこれは永久保存版になります。
過剰なキャラ属性はなく"大人の男同士の恋愛"を淡々と、ただじんわり熱が伝わるように描いた作品です。
◾︎松根央倫(まつねひろみち 会社員)×倉橋(呉服屋店員)
2人とも熱量が低いようでいて全然そんなことなく、内に秘めた思いがかなり強いのが"大人の恋愛"でじわじわきます。
特に松根が表情薄くて、ゲイだけど偽装結婚しようと考えてるところとか、割り切った生き方を望んでいるかと思いきや…という展開が、これはBL漫画ですからそれ以外のストーリー運びなんて正直ないんだけど、大満足でした。
偶然の使い方の程度も許容範囲内で、BLファンタジーとしてはベストの分量。
ストーリーは王道なんですが、話のテンポとか台詞とか、すごくセンスあるなと思いました。
ハヤトが「何か優しいこと言ってよ」って言ったあと、ヒロミチは何も言わずにハヤトを抱き締めて「優しい言葉が思いつかなかった」って言うところがあるんですけど、二人の関係性が変わる印象的なシーンで、大好きです。
今のところゲイ×ゲイの王道作品では、いちばん好きかも。
良かった。
ほんとに、互いが必要と気がつくまでは、現実としてこんな感じ。
気がついても、相手を信用して自分を受け止めてくれるか。
臆病になります。
央倫と駿斗はどちらも家族の中で疎外感を感じていて…どちらもゲイだけど、更にゲイばれした央倫は、自分を偽って家族を抑えるために結婚しようとします。
自己犠牲だよな~、でも家族の諍いになるくらいなら仕方ないと考えが行き着く辺り、相当しんどい思いを重ねてきたんだろうな。
駿斗は、駿斗で自分の存在価値をずっと探して。唯一認めてくれた兄がよりどころ。
でも兄の結婚、新家族の登場でそれすらも、ぐらりと揺らぐ。
偶然に出会ってセフレになった央倫と駿斗。
何だか、互いが引き合っていたのかな。
央倫の縁談から、ふたりの気楽なセフレ関係が変化して行く様は、説得力が有ります。
根っことなる家族関係が、揺らぐふたりが互いを一番理解し合い、必要とする。
これ、大人になったふたりだからセフレから進んで行けたのでしょう。
人の懐に入り、自分も人を受け入れる。出来ているつもり、じゃなくてほんとにパートナーとして人生を歩む。勇気がいるよね。
ふたりが互いを一番大事に思えるようになってよかった。
エピソードの中で、行き先を言わないと不安に駆られる駿斗が、央倫が行き先を言わなくても気にしないで送り出す何気ないシーン。
駿斗にとって、央倫は必ず自分のところに戻って着てくれる存在に換わっていた…これに央倫が気が付く。いーわ、ほんとにふたりの関係を表す良い場面だと思いますね!
あれやこれやからの平和な、同棲している二人のお正月。
呉服屋さんの、駿斗の本領発揮!着物で初詣、からの秘め初め❤裾を乱したい欲求は日本人の遺伝子由来かしら。大変よろしかったです。
良い作品に出会って、ますますBLから離れられませんね…
臆病な大人の恋愛
葛藤とか世間体とか自分の気持ちとか
いろいろ丁寧に緻密に繊細に描かれた作品
攻めの一見何を考えているのか掴みにくい風貌から時折見せる表情の豊かさ
マンガなのに言葉以外で、こんなにも丁寧に気持ちを描写出来るものなのですね
受けは健気なようで、それだけでない、自己肯定出来ない弱さを抱えながら
自分の気持ちも表出してるにもかかわらず、不器用で幼さの残る不安定な感じ
なのに、しっかり働いていてそのアンバランスさが絶妙でした
人物が魅力的で、お話も本当に深みのある魅力的な作品でした
BLアワード2019 ディープ部門2位受賞作品。
ホテル集合、行為が終わったら宿泊はせずにそのまま解散というごく普通なセフレ関係の松根と倉橋。
しかし、ある日倉橋が勤める呉服店に松根が上司の娘の付き添いとしてやってくる。
そのことをきっかけに2人の関係性は徐々に変わっていく。
ディープ部門に相応しく"大人の葛藤"を描いている作品でもある。男同士の前に2人にも親がいる。そして、大人だからこそ伝えたくても伝えられないことがある。
歳を取れば現実を知り、その分臆病になっていくという2人のそれぞれの葛藤がうまく1冊にまとめられている作品。
最後に我儘を言わせてもらうならば、この2人の「その後」を見たくなる。内容はもちろん満足の1冊だが、年齢関係なくきちんと言葉にして伝えることの大切さを再確認出来た。
私も歳を取ればとるほど「ずっと」と言う言葉が嫌いになっていく。どうせ「ずっと一緒」とかいいつつ離れていく人は多い。そんな私ですらこの作品で彼らがずっと幸せであり続けて欲しいと願わずにはいられない作品だ。
一見ちぐはぐに見えるカップリング。
攻めの方はありきたりな「お坊ちゃま・金持ちの孤独な悩み」的な部分があるキャラを持ってきているのに、うさん臭さや使い古しの設定臭さははそこまでなくて。
何故かすとんといい具合に合っていて良かったです。
ちょっと微笑ましさもあって、気持ちよく読めました。
表紙買いしました。
表紙の雰囲気や絵柄が好きで購入しましたが、
めちゃくちゃ心に刺さる作品でした。
買ってよかった。
ゲイである葛藤をいい意味で重すぎず、
上手く表現していると思いました。
個人的にあまりに重い救いのないお話が苦手なので、
ちょうどよかったです。
物語途中で、攻めが受けを抱き締めるシーンの
台詞とか雰囲気はぐっとくるものがありました。
お気に入りの一冊になりました。
初読み作家さんです。
気になる作家さんでしたが、今回も少し絵柄が苦手だったので、読まずにきてしまってました。
評価が高いのに興味をもちいよいよポチッてみようかとしたのですが‥品切れ続き‥(泣)今年やっと購入でしました(*^^)v
すごいなぁ〰人気あるんだな〰っとワクワクしながら読ませていただきましたが、なるほど‥これは深いストーリーですね。
輪郭などタッチがとてもハッキリで綺麗なので読みやすかったです。
静かに‥まるで他人事のように無表情な大人なキャラなので、こっちも大人になって言葉少ななセリフから心情を読み取っていかないと、一回読んだだけでは分からないかも。
何回か読んで溢れてくる心情に心打たれるとといいますか何にしても、奥の深い難しいお話だなぁと思います。
淡々と過ぎていく時間のなかで、「結婚やめてきた」のクライマックスシーン、ここぞというところに目に飛び込んで来る迫力がすごい。
やっぱり、人気のある作品はこういうところが違うんだなぁ。
決して騒がない静かだけど、心の底に揺るがない真実を見つけた2人に感動します。
もっと、幸せに暮らす2人を見たいけど、このぐらいでいいのかなぁ、結構、名残り惜しい‥。
ストーリーとしては、王道なのに、他の作品とはどこか違う、逃げ切れない現実の辛さと、ゲイ同士の恋愛の切なさとを、きちんと読者側に感じさせてくれる良作でした。
ストーリーとしては、
ゲイ同士のセフレ関係。攻にはお見合い話があり、でも受は「それでもまあこの関係は楽しく続けていこうね!」というままセフレ関係を続けていて。でも会うことを繰り返しているうちに、どんどん攻のことを好きになっている自分に気づき、傷つくのが怖いから「もう会うのはやめよう」と切り出して。
この流れとしては王道。しかし、大島先生の描かれる表情一つ一つが素晴らしくて切なくて。「もう会うのやめよっか」その言葉を頑張って切り出した受と、それを受け止めるしかない攻の表情が、切ない。本当は引き止めたい攻と引き止められたい受、でもどちらも勇気を出してその一歩を踏み出せなくて。それが表情と台詞で、読者側に痛いくらいにきちんと伝わって来るから、凄く切なくて凄く天才だと思いました…。
でも別れを切り出された時に踏み出せなかった一歩を、自分は受といたいという決意で、逃げてはいけない現実とケリをつけ、受の元に戻ってきたときは切なさと嬉しさで、読んでいる私までもが泣きそうになりました。そして、ベランダでのやり取り、攻から出た台詞、その台詞を言う為に乗り越えた現実。その重みがわかるからこその、受のあの表情。全てにトキメキ、台詞の良さに、読みながら顔が皺くちゃになりました……。そんな大切な台詞を言う時までも、攻はいつもの表情。そこで、攻は実は最初からちゃんと受のことが好きだったのではないのか、とも思いました…そして、その上での最終話は本当に嬉しさでいっぱいでした、本当に文句なしです!!表情、表現、台詞、全てが本当に素晴らしかったです!!
本当はもっともっと伝え切れない良いシーンがもっとあります、表情一つ一つからの感情の読み取りも最高です。是非、読んで頂きたい作品です!私は出会えて良かったです!これから、何度でも読み返して、切なさとトキメキに浸りたいです!
名字もバックグラウンドも知らない、知らなくていいセフレの関係。
…だったのに、偶然オモテの仕事中に顔を合わせて、本名から何からわかってしまった央倫(ひろみち)と駿斗(はやと)。
駿斗は央倫の昼の顔を茶化すが…
絵柄はすっきりと読みやすく、話の展開もスムーズ、駿斗は軽く明るく振る舞うのでコメディテイストもあるのかな、と思いつつの序盤だったのですが、本作は読みやすさの裏側にかなりシリアスで重い、ゲイを取り巻く現実をえぐっていると感じました。
駿斗は呉服屋さんの店員。そこに上司の妻と娘と共にやってきた央倫に対して「見合いじゃないの?」と軽く聞く。
そして「女と寝れんの?」と。
そこに返す央倫の言葉は「寝たことある。寝れた時はホッとした」なのです。
そして、一度ゲイばれして大変だったから、結婚はする、と言う。
その時は軽く流してたような駿斗だけど、その後はただのセフレというより家にも招く友人〜恋人のような付き合いを続け、徐々に央倫に本気になっていく。
本気になったから、別に家庭を作ろうとしている央倫から離れようとする。
駿斗の方も家族の中で孤立感を募らせていて、自分の家族もつくれないという焦燥もあり。
一度は別れた2人だけど、央倫は結婚話を蹴って、家族にゲイ宣言をして、駿斗を選びます。
しかし、2人の恋が実ってめでたしめでたし、でエンドにならない所が何ともリアル。
自分のする事はいつも周囲を傷付ける…そう自覚して自分が傷付いている央倫。
央倫を信じないわけではなく、それでも外出するときに不安そうな表情をしてしまう駿斗。
永続的な関係性に怖気付く駿斗。
ゲイという現実を生きる上での生き辛さ、周囲との乖離が描かれます。
しかし央倫と駿斗は同居を通じてゆっくりと、しかし確固とした関係を築き始めます。
かつては愛を怖がっていた駿斗の「愛してる」は万感がこもってた…
駿斗に比べて央倫は表情があまり動かないので、結婚をやめてセフレだった駿斗を選び、お前とずっと一緒にいたい、という熱を持っていたのがわかりづらかった。ちょっと淡々としすぎだったかな。
ラストはお正月に和服で決めた2人。髪型も変えて2人ともとてもかっこいいです。
そして和服のままでHに突入。これは読者サービスですね。
この作家さんの作品を初めて読みしたが、すっきりとした描写と、でもストーリーは緻密かつ繊細で、良作でした。
セフレ同士がふとしたきっかけから互いを思いやっていくあたりや、互いの家族関係など、リアリティのある作品だったと思います。
大島かもめ先生の作品を初めて読んだのですが、言葉(台詞)にすんごくセンスを感じました。説明的な心情描写が少ないのに、表情や空気感、場面にしっくりくる台詞(これも過剰じゃないところが好き)、間?のとり方が絶妙なのでしょうか、、実際に描かれている以上の二人の心の動きや変化が伝わってくるんです。
セフレの二人が、偶然仕事を通じて再会したことで、お互いの生活、社会的立場の領域に踏み込むようになり、悩みや弱さに共感、気持ちをシェアしていくうちに、身体だけでなく心からお互いを満たすことができる相手に出会ったんだと知る、、その過程に激しい感情の揺れとか高ぶりが表面的に見られるわけではないんですが(大人だから…)、静かに葛藤して揺れる感じが、しっぽりした大人のための大人のBLという趣をだしているなぁと思いました。
恋愛モード全開になった後半、熱量が高めな二人の描写はセフレのときの物憂い感じがなくなって、お互いの居場所を見つけられた恋人同士の幸せな雰囲気が感じられます。
描き下ろし、大人の男の着物がめちゃくちゃ色っぽくて素敵でした。
軽い気持ちで読み始めました。
こんなに心抉ってくる作品だとは思わなかった…。
私はいつからゲイ同士の葛藤やしんどさについて深く考えるのを止めていたのだろう。
重た過ぎずさらっと読めるこの一冊に、ずっしりとしたテーマがたくさん詰め込まれていました。
ただのセフレとして関係を続けている央倫と駿斗。
ある日、駿斗の働く呉服店でまさかの遭遇。
駿斗がキラキラの笑顔で接客モードになっている姿には笑いました(笑)。
商社で働く央倫は専務のお嬢さんに気に入られ、いずれ結婚する予定だと告げます。
駿斗の店に一緒に行ったのは恐らく顔合わせのため。
家族に一度ゲイバレしたことのある央倫はもうあんな目には遭いたくないと。
少しずつ変わり始める2人の関係。
セフレではなく、一緒に遊びに出かけ、とうとう自宅に呼ぶ仲に。
そこに、突然遊びに来た駿斗の兄・佑斗(佑兄)。
酔いつぶれた佑兄を起こさないように自分の過去を語り始める駿斗。
跡取りとして、優秀な兄だけを大切にし、愛情を注ぐ両親。
そんな自分に唯一愛情をくれた兄。
ずっと自分が佑兄の一番だと思っていた。
でも、兄が結婚し、子供が出来たと聞いたときショックを受けたこと。
佑兄は自分の家庭を作る。そこに自分はいない。
…もうこの駿斗の話が辛くて、辛くて。
がんがん心抉られるんですよ。これでもか、これでもかって。
でもね、この後話を聞いていた央倫が黙って駿斗を抱きしめるんです。
「優しい言葉が思いつかなかった」って。
クールで無愛想でそんなキャラじゃないのに。
余計に泣けて困りました。
一方、央倫の縁談は着々と進みます。
本気になる前にセフレの関係を終わりにしたいと切り出す駿斗。
本当は、もう完全に本気になってるのに…。
さて、その後、無事佑兄の赤ちゃん誕生!!
実は先日央倫と駿斗の関係に気付いていた兄は、駿斗の感じてきた孤独に気が付いてやれずごめんな…と謝るのですが、駿斗は逆に惨めな気持ちに…。
ところが部屋に戻るとそこには央倫の姿が。
「結婚やめてきた」と言う彼でしたが…。
この日は央倫と洋子(専務の娘)さんがコンサートに行く日でした。
コンサートまでの間喫茶店で待つ2人。
きっかけは、たばこなのかな?
央倫が突然他に大切な人がいるので、もう会うのは最後にしましょうと。
この後の洋子さんの振る舞い。すごいんです。
央倫が傷つかないように上手に返して、最後のコンサートで涙を流すんです。
彼女にもいつか本当に幸せになって欲しい…。
「大学の経済学部を受けた時も、ゲイがばれた時も、自分の本当の望みはいつも誰かを傷つける。」央倫の心の声が痛かった。
その足で駿斗の元へ向かった央倫でしたが、ここで簡単にハピエンにはなりません。
央倫に「お前と一緒にいたいだけだ、ずっと」とほぼプロポーズのような言葉を言われても、いくら体を重ねても、怖いと脅える駿斗。央倫に「信じろ」と言われ、少しずつ心の傷を癒していきます。
その後家を追い出された央倫は駿斗の家で一緒に暮らすことになりますが、行先を告げずどこかへ出かけようとする度不安そうに行先を訪ねる駿斗。
そんなある日、駿斗は佑兄に、家に戻って来ないかと誘われます。
でもここで央倫、ビシッと男を見せます。
「大丈夫です。俺がいるので」
帰り道で央倫を茶化す駿斗ですが、「マジで嬉しい時って茶化すよな」と見抜かれて赤面。
部屋に戻って待ちきれず抱き合う2人。
「愛されたい」「誰かに愛されたい」「だから」「誰かを本気で愛したい」
物語中盤で駿斗が辛そうに望んでいた言葉。
愛した兄は自分の愛すべき家族を見つけ、央倫は結婚を選ぼうとしていた。
「愛」なんてずっとずっと望めなかった駿斗が央倫に抱かれながら初めて「愛してる」と幸せそうな顔をしたのが印象的でした。
何度も何度も心抉られたその先に見つけた大切な関係。
もう駿斗は出かける央倫に「どこに行くの?」と訊ねません。
「愛してる」は「信じてる」に近いのかもしれないとこの作品を読んで感じました。
傷ついた分、辛かった分、2人には思い切り幸せになって欲しいです。
そして、ゲイ本来の葛藤や悩み、生き辛さについて改めて考え始めた自分がいます。
そうだなぁ。それがBLだったよなぁ。
これからも、心に残る素敵な作品を描いて下さる日を楽しみにしつつ…。
この作品に出会えて本当に良かった。
ありがとうございます。
非常に割り切ったセフレ関係を築いている2人が、一度は互いに別の道を選択することを受け入れながらも、再び同じ居場所に戻って今度は本気の関係を築いていく過程が、とても丁寧に描かれていました。攻めの松根は、両親や祖母からゲイであることを疎まれなんとか女性と結婚して欲しいと願われていて、上司にあてがわれた娘との結婚を考えています。受けの倉橋は、唯一幼い頃から自分を気にかけてくれていた兄が家庭を持つことになり、今度こそ1人になってしまうという不安を抱えています。
倉橋は松根のことを考えて一旦身を引くんですが、松根はこれからずっとありのままの自分を抑圧して生きていかなければならなくなることの重さを改めて感じ、自身で縁談を破棄します。確かに彼が自分の思うままに生きることは、彼に期待する家族を傷付けているかもしれない、でもそれはあくまで身勝手な傷心でしかないのです。今後の人生を左右する分岐点で、すべてを断ち切るという大きな選択をした松根。その足で自分の元へと帰ってきてくれた松根に、幸せを噛み締める倉橋がとても健気で可愛かったです。お互いのどこに惚れていったのかをもう少し詳しく読みたかったなぁとも思いましたが、全体的なストーリーには満足でした。
・・いい作品ですね。
今回。男性目線ではなく
女性目線で一言。
P109
女性の横顔から涙が出る場面に
すぐに、察しました!
感動・そして涙が出ました。。
皆さんもお気づきの通り、
その涙から
彼女の「嘘」の強さと美しさを
感じました。
自分が気づつきたくないし、
凛として強い女性で魅てもらいたい 女心。
そして、彼を好きだったのでしょう。
わかります! わかりますとも!!!
よっつ! 大和撫子!!!
彼女にも、
必ず、幸せが訪れますように。。。(泣)
。・゚・(ノД`)・゚・。
セフレという関係性が変わっていく過程と結末、
結構あるお話にも関わらず
キャラの個性が際立っていて非常に楽しかったです!
呉服屋さんで接客も丁寧で明るい性格の駿斗と
滅多ににこりともしないくせに愛想を振りまける面もある央倫。
二人とも肌を重ねているだけじゃわからなかった胸に抱えている事や意外な表情が
徐々に情に変わっていき、
体だけではなく心の奥深くまで触れ合うようになれてよかった…。
やはり好きだと思える相手ってそんな簡単に現れないと思いますし
相手も同じように想ってくれることなんて奇跡みたいなものですから。
チキンハートセレナーデ、というタイトルですが
私は駿斗がチキンだとは思えませんでした。
傷つきたくないから別れを切り出したにしても
央倫の幸せの邪魔はしたくない理由もあったでしょうから
それは決して弱虫じゃない気がします。
“世間一般のでいうところの普通の幸せ”に身を任せようとする央倫も
肉親や他人をもう傷つけたくなかったのだから
逃げとは違うんじゃないかな。
二人とも、自分の幸せを優先出来ず生きてきたけど
これからはもうそんな必要がないなんて素晴らしい!!
人生一度きりですもの、後悔しないようにしたいですよね。
駿斗から別れを告げられ惜しむ央倫の表情、とても印象的です。
駿斗が央倫の決意を、抱かれながら「怖いんだよ」と泣くシーンも
それまでに見せたことがないそのままの駿斗が愛おしかった!!
ベッドシーンは過度なエロというわけではないけど
なんだか凄くセクシーだし愛を感じました。
とても素敵な二人です。
神寄りの萌×2で!!
静かで淡々としてるように見えるけど要所での台詞と表情が印象深い。
ヒロミチの親や祖母に逆らい縁談断ってハヤトを選んだ自分をどの自分より一番信じられるから「信じろ」と言う所がとても良かったです。ハヤトの兄に会うところもですが寡黙でクールだけど要所で言う台詞が本当にいいんですよね…
セフレ関係だった頃は夜にしか抱き合うことがなかったけど恋人になってから明るいところで…というのも良かった。二人の関係の印象も薄暗いとか夜のイメージから明るいところへと変わったなあと最終話の青空見て思いました
電子の試し読みで、セフレのお話かと思って敬遠しようかと考えていたのですが(セフレ嫌いではないです、気分です、すみません)、皆様のレビューを読んですぐに購入しました。
ほんっと良かったです。
はじめはあまり自分のことを話さない二人が、ハヤトの職場で出会ったことから、少しずつお互いのことを知っていく。
そのなかで、お互いの家庭のこと、過去のこと、今抱えている問題…いろんなことを語ったり、決断したり。
どのセリフも印象的で、素晴らしかったです。大事なセリフのとき、ヒロミチさんの表情があまり変わらなかったり、後ろ姿だったりするのが余計に言葉をひき立てていて、沁みました。
個人的に一番好きなのは、ヒロミチさんの「女と寝れたときはホッとした」の場面です。他にもたくさんいいシーンありますので、ぜひ。
一緒にいるって決めてからの二人の様子もさり気無く愛を感じられます。
ほんと、読んで良かったです!
ヒロミチのポーカーフェイスの裏に隠されているものと、ハヤトの明るさの中に潜んでいるもの。
二人の大人が、どうにもならない柵に雁字搦めになって身動きできない状況や、勇気を出してそこから飛び出す怖さ。
多くはないページ数の中で二人のセリフも多くはありませんが、だからこそ言葉一つ一つが胸に刺さりました。
「愛されたい」「愛したい」そして「信じろ」というセリフが涙を誘いました。
神です。
「猫背が伸びたら」を読んで好きになった大島かもめさん。
今作も良かった〜〜〜
名前とメアドしか知らない気軽な身体だけの付き合いをしていた〔ヒロミチ〕と〔ハヤト〕。
セフレになって3ヶ月が経った頃、仕事中にばったり出くわしお互いの昼の顔を知ってしまう。
そこから少しずつ相手のことを知っていって──
ゲイだけど世間体のために結婚しようとしているヒロミチは「自分の本当の望みはいつも誰かを傷つける」と言い、ゲイで家庭を持てなくて自分だけが取り残されていくような孤独を感じているハヤトは「誰かに愛されたい だから誰かを本気で愛したい」と言う。
「結婚」が邪魔をする大人の恋愛の切なさにキリキリさせられます。
読んでいて良かったなと思ったのは、両思いになってからもハヤトが不安を完全には拭えないままで、それが消え去るまでを描いてくださっているところ。
「幸せな日常」が段階を踏んで確固たるものになっていく感じ良かったです。
じわ〜〜〜っとあったかみが広がってく、読後感の良い落ち着いたラブストーリーでした。
立て続けに3回読んで、今とてもほっこりした気分です。
描き下ろしは和装エッチです!
大島さんのキャラってスーツも素敵だけど和装もなんてセクシーなんでしょ!
色っぽくて、エロ度はそう高くないけどとってもエッチでした♡
【電子】シーモア版:修正-、カバー下なし、裏表紙なし、電子限定描き下ろし(2p)付き
電子の発売予定欄でこのタイトルを目にした時から買おう!って思っていました。
内容はわからないけど大島さんならハズレはなさそうだし、なにしろ「チキンハート」っていいじゃないですか。
タイトルを見たときはビビリでヘタレ同士のもっと茶化したお話かと思いましたがそうではなく、それぞれの事情を抱えて慎重にならざる得ない大人同士の恋愛を描いていてとても良かった。
名前しか知らないセフレ同士だった二人。
ところがある日、受けが勤める呉服店に攻めがお得意様と一緒にやってきて、お得意様の娘と攻めの見合い話が進んでいることを知ります。
ただの気楽なセフレから、それぞれ抱える事情をお互い少しずつ知っていく二人。
事情は違うけれどそれぞれ家に囚われている彼ら。
攻めは家族にゲイばれした過去があり、修羅の果てに「治す」と約束している。だから女と結婚する事も受け入れざる得ないと諦めている。
受けは幼い頃から両親から期待されずに育ち、両親の期待を一身に背負った優秀な兄がただ一人自分を顧みてくれたけど、その兄も家庭を持ってしまった今、孤独感を感じている。
そんな二人が悩んだ末に、一歩踏み出して共に支えあって生きていくという選択をするというストーリーが綴られています。
自分を殺して両親&祖母の操り人形のように生きていくつもりだった攻めが受けに告げた「一緒にいたいだけだ ずっと」という言葉が、胸にすっと響きました。
別に大仰な望みではなく、とてもとてもシンプルな願い。
だけどそれを叶えるには家族と決別する必要があるし、出世も見込めないかもしれない。
どれだけの葛藤があったのかは描かれていませんが、生半可な気持ちではないことは容易に想像ができます。
そして決意したからには、受けの前では偽らず素直でいたいという気持ちが煙草にも現れていて、そういう細かな演出がとってもお上手だなぁと感心しました。
攻めって寡黙で表情もさほど変わらないタイプなんだけど、一度決めたら迷わないだろうなという芯を感じさせる人間です。
だから将来を不安する受けの兄に対しても「俺がいるので」とスッと言えてしまうところがとってもかっこよかったし、そんな攻めと一緒にいることで受けが安心して少しずつ変わっていく変化を静かに見守って嬉しく思っている様子が伝わってくるラストがとても良かった。
描き下ろしの美しい男二人の和装姿、眼福でした〜。
大島さんは、折り目正しくストイックな男性を描くのがとてもお上手だと思うので和装・時代物の作品も読んでみたいなぁって思いました。
表紙に惹かれて購入しましたが、中の絵も表紙通りの綺麗さ!
ストーリーもセフレの軽い話なのかな?と思いきや、ゲイのトラウマや不安をベースに、二人の繋がりをしっかり描き出すもので、心に刺さる良作品!!!
感情面を丁寧に描いた大人のラブストーリーを読みたい方に全力でオススメしたいです!
ストーリーは受けのハヤト視点で進みます。
ヒロミチとハヤトは、呼び名とメアドしか知らない完全なるセフレ。
バーで誘ってきたヒロミチは、余裕があるように見えたのに、セックスには慣れてない風で…
(余裕のあるイイ男なのに、遊び慣れてない、何か影があるところに惹かれます!)
それから、ぶっきらぼうなヒロミチ、明るめのハヤト、二人はホテルで待合せるようになります。
ハヤトは呉服屋の店員で、ある時、お得意様と一緒にヒロミチが店にやってきた!
ヒロミチは上司のお嬢様の婚約者?って感じで、愛想の良い笑顔はハヤトと会ってる時とはまるで別人!
それからもセフレとして会うと、ヒロミチは家族にゲイバレした時の混乱を繰り返したくないから結婚するつもりだと。
ハヤトから「女と寝れるのか?」と聞かれると、「女と寝れた時はホッとした。普通の人間でいられる感覚」と話す。
一言一言に重みがあって、ヒロミチがどんなに傷ついてきたかわかるのが辛い…
そして、このことをキッカケに二人の待合せはホテルから駅前になり、食事したりゲーセンで遊んだりして寝ない日もある、まるで心を許した友人か恋人同士のように関係を深めていきます。
ヒロミチもハヤトも女は愛せない完全なゲイ。
ヒロミチはゲイバレの混乱と言っていたけれど、厳しい祖母や両親に愛されていることを知っているから、家族の期待に応えたくて無理して ”普通” でいようとする。
ハヤトは結婚して子供を持つ、”普通” の家庭を築くことを諦めている人間。
小さい頃から両親の代わりに愛情を注いでくれた兄が結婚して、子どもができたことを知ると、兄はべつの家族を築き、そこに自分の居場所は無いことに、どうしようもない孤独を感じている…
二人はこんな本音を語り合える、心を許した関係になれたのに、ヒロミチの結婚を前に、ハヤトは別れを切り出します。
たとえ偽装結婚でも一緒にいれば情がわいてくる、兄が家族を築いていったように、ヒロミチが新しい家族を持つことを側で見ていることはできないから…
ヒロミチの自分を惜しむ表情、そんなささいな喜びの記憶を薄め込みながら生きていこうとするハヤトのゲイとしての諦め、寂しさが心に刺さります!
”普通” じゃなくたって、想い合ってる二人が一緒にいて楽しくて幸せなら、それだけで十分なのに…
結末は、二人で一緒に生きていこうとするハッピーエンドです。
でもヒロミチはハヤトと生きていくために、家族を混乱に落とし、結婚に期待していたお嬢様を裏切る、傷つけたくない人達を傷付けても、ハヤトと一緒に生きていく覚悟を決める。
ハヤトは明るく見えるのに、実はゲイである孤独に大きな不安を抱えている。
ヒロミチと一緒になったからって、その不安は簡単に消えるものではない。
ヒロミチは思ってることが顔に出ないクールなタイプ。
でも、ここぞって時には表情を変えないまま、とびきりの宣言をします!
それを聞いてやっとハヤトも安心できるようになったんだなってエピソードが心に沁みてきます。
ゲイであるがゆえにぶつかる壁や、内面の葛藤を丁寧に語り、ただ幸せになって終わりじゃない、大人が関係を築いていくまでを描いた良作品です!
どこか苦みが残る大人の幸せ、余韻を引きずるお話です。
大島先生の作品は『仕立て屋と坊ちゃん』しか読んだことがなかったのですが、画力がかなりアップされていて、この画力があるからこそ、この大人のストーリーがより心に沁みてきます!
表紙に惹かれるまま読んで本当に良かったです。これからも作家買いします!
大島かもめ先生...。今まで何冊か読ませて頂きましたが、自分的に何かピンと来るものがなく…。でも今作は!素晴らしい!購入を迷った自分に喝を入れたい!!
セフレから始まり愛してるになるまでの道のりが長いからこそ、愛がじっくり育つんですね!
受けの照れからくる茶化しグセも可愛いし、それを受け止める冷静な攻めの姿勢が良かった!読後感も良く、とっても好きな作品になりました!
書き下ろしペーパーも申し込もうかなぁ!