スメルズライクグリーンスピリット SIDE:B

smells like green spirit

彷佛清新气息

スメルズライクグリーンスピリット SIDE:B
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神486
  • 萌×236
  • 萌16
  • 中立11
  • しゅみじゃない21

--

レビュー数
78
得点
2633
評価数
570
平均
4.7 / 5
神率
85.3%
著者
永井三郎 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
ふゅーじょんぷろだくと
レーベル
POEBACKS Be comic
シリーズ
スメルズライクグリーンスピリット
発売日
価格
¥680(税抜)  
ISBN
9784893938060

あらすじ

女装が好き、オトコが好き、 それは口に出来ない一夏の秘密。 大人が泣けるゲイ男子の青春。

女装に興味がある、同性が好き、人とはどこか違う…口に出来なかった悩みを打ち明ける事でクラスのいじめられっ子だった三島といじめっ子だった桐野は固い絆で結ばれていた。
休み時間の屋上で語られる2人だけの夢物語は現実の息苦しさを忘れさせてくれる唯一の居場所になる。しかしそんな束の間の平和も、三島が社会科の教師・柳田(ルビ:やなぎだ)に目をつけられてしまった事からガラガラと崩れ始める。
小さな田舎町に駆け巡るウワサや息子へ多大な期待を寄せる母の想い、その全てと対峙しながら三島と桐野、2人が導きだす答えとは――。
人は幸せになる為に、何を置き去りにしなければならないのか…誰しもが人生で向き合う葛藤に挑む少年達の姿がグサリ、グサリと心を突き刺す。

(出版社より)

表題作スメルズライクグリーンスピリット SIDE:B

その他の収録作品

  • 番外編
  • 描きおろしまんが
  • あとがき

レビュー投稿数78

greenには「未熟な、経験の浅い、世間知らずの」という意味があります

読もうかどうか迷ってる人、読んでください。
私自身、読んで本っっっっ当~~~に良かったです。
損はさせません。名作です。

便宜上女性コミックに分類されているけど、これは紛れもなくBLです。
桐野親子の回想シーン、自転車で別れるシーンでは目頭が熱くなりました。
ご安心ください、主人公はハピエンです。

ただ…桐野の選んだ道は賛否あり、本サイトに限らずレビュー欄にはピ側のかたも多いようですが、桐野のように性的指向(※"嗜好"ではない)を隠して偽装結婚する人は、可視化されてないだけで実際にはたくさんいるのだと思います。
現に私の友人も、妻子持ちさんとデュアルしたことがあると言ってましたから。
なので非常にせつないけれど、私としてはある程度は説明のつく、納得のいく終わり方でした。
女性とセッできてしまう時点で同性愛者じゃないのでは?という疑問もわきましょうが、こういった人々は現在では「ゲイフレキシブル」、ヘテロ寄りならば「ヘテロフレキシブル」と呼ばれています。
(ググってみてください)
もし桐野がゲイ男性ではなくトランスジェンダーMtFならば、この場合「ヘテロフレキシブル」です。

本作のタイトルはNirvanaの「Smells Like Teen Spirit」という曲から取られたものだ、と書いてくださったレビュワーさんのお陰で、この作品をより深く理解することができました。
(レビュワーさん、ありがとうございます)
作者さんはTeenをGreenに変えたのですね。
上手いなぁ…

2

早く読んでおけば良かった… エンタメとは一線を画す照然たる読み継がれるべき名作琴線BLが在りました

ずーーーっと積んでいた作品です
永井先生の楽し気な作品が好きで何作品か拝読しています
勿論この「スメルズライク~ SIDE A/B」の存在は存じておりましたし購入もしていたのですが読む機を逸してしまって早数年、、、

そこに実写化のニュースを目にしたので「あ、今かも知れない…!」と思い引っ張り出して読んでみました

感想は真っ先に、、、
「何で読まずに居たんだ、、、私、、、」
という自分への残念さ。゚(゚´Д`゚)゚。

何故かすっごく敷居の高さを感じていたのか、メリバ感を感じてしまっていたのか、、、読まずにここまで来てしまったのですが、、、
こんなにも真摯に向き合った思春期BLを今まで読んでいなかったなんて…!

確かにセンセーショナルな描写もありますし、若さ故の残忍さという言葉だけで片していいのか…と悩ませられる展開もあります
それでもそのどのエピソードも視点を変えるとそのエピを引き起こしてしまった側の事情も透けて見えて来ます
だから許せるって事ではないんです
ただ、事実の別の面を知る機会を与えられる事で見える景色もあるよって思わずには居られない

静と動、明と暗、清と濁
時に反発し、ふとした事で混ざり合い、またただ沈殿して分離する、、、
人との関わり方も絶対はなくて、その人によって変わる事もある
それでも変わらない自分の欲する自分の在り方を求める
桃源郷はきっと自分の胸の内にしか存在しないんだろうな

三島の母ちゃんに泣かされたな、、、
いや、三島と三島の母ちゃんの関係性そのものかな?
そして桐野、夢野の家庭にもその家庭の中でしか昇華も消化も出来ない事情がある
十人十色、家族だって辿ってみれば個の集合体
なのにそれだけでは済まされないのは「情」があるから

温かくも残酷でもある「情」
厄介だけど、、、人間らしさが1番詰まった感情なのかも知れない

言葉にし切れないけれど、絶対に逃したくない!と思える様々な感情が自分の中に去来する名作でした

2

大人だから泣けるのかなぁ

パンドラの箱の鍵。それのおかげで2人は本当の自分でいられた楽しかった時間。短かったけれど、あの時間があったから。
電車の場面で涙が溢れました。

何が幸せなのかは、人それぞれ。
予想の結末とは違ったけれど、私には受け入れられる結末でした。色々考えてしまいますが、自分のしたいように選択した結果だから、死んだ魚の目にならない。
本音を言うと、もう少し三島と桐野が幸せな時を見ていたかった。
少し時間をおいてから、また最初から一気に読みたいです。
番外編は、闇に落ちる前の柳田の話。ちょっと複雑な気持ちになります。

2

とても考えさせられる作品

全人類読んでほしいってこういう作品のことをいうんですね。
性に悩む思春期の男の子3人とその母親の話だなと思いました。
母親の選択の違いでここまで子の人生が変わってしまうのかとゾッとしました。
BL(こちらは女性漫画ですが)を読んでると思うと桐野の選んだ道はとても残酷ですが、実際は桐野のような人はたくさんいるのでしょう。
そこがとてもリアルであり、悲しくもあり、読み終えた後しばらく動けませんでした。
桐野はきっとそれなりに幸せなのだと思いますが、三島や夢野との対比が辛いです。
たくさんの人、特に親という立場の人に読んでもらいたい作品だと思いました。

4

ずっと忘れられない傑作

思春期特有の揺らぎ、閉鎖的な地方、腹に色々抱えてる教師、親との関係…など、沢山の要素があるのにこんなに綺麗にまとまるのか!と驚きました。
誰にも打ち明けられなかった秘密、自分の中のキラキラしたパンドラの箱を、互いに見せ合って言葉を交わすことができたこと。
箱に大切に鍵をかけたことも、箱の中身を身につけながら生きていくことも、どちらも間違っていない。
2人が出会えたことも、分かち合えたことも、別々の道を歩んだことも、思い返せば全てキラキラ輝くような、青春の時間で、全て抱きしめたくなるような作品だった。
何回も何回も読み返しては、心の中で3人のことを抱きしめている。
私の下手くそな感想では何も伝わらないけど、この作品は絶対に読んだ方が良いですよってことだけは伝えたい。

6

切ない分岐点

みんな読んだ方がいい。
青春の悩み、葛藤と決心。

同じ様な悩みを持つ三島くんと桐野くん。
どっちもお母さんが大事でお母さんのことを考えてるから、自分らしく生きる道をスパッと選べず悩んでる。
母親の価値観の違いで違う未来を選ぶ2人。
なんだかなぁ。やっぱり自分に正直に生きた方が幸せだと思うよ。偏見や辛い事もあるかもしれないけど、自分を偽らずにいれるって事は何事にも変え難い。
桐野くんは、柳田先生と同じ道を選んでしまった。本心はどう思ってるんだろう。いつか爆発してしまう事はないんだろうか。
現実でも隠れゲイの人はたくさんいるんだと思う。でも、自分を偽って結婚して家庭を営むってパートナーの方にも失礼だと思う。お互いが了承の上で結婚するならいいよ。
あの後桐野くんはどうなったんだろう。
三島くんと夢野くんは、いい感じのカップルになっててよかった。どっちのお母さんもいいお母さんだったな。

5

それぞれの選択

素晴らしい作品でした。

大人になってからの、三島・夢野・桐野のストーリーが読めて良かった。
そして、深潭回廊を完結してから読もうと積本にしている〜私にとっては、柳田先生の抱えている闇のキッカケになった頃の話。
これもまた、読めて良かった。

三島、夢野は〜色々あったけど、ノンケの夢野が乗り越えて三島とハッピーエンド。

しかし、なんか〜もぉ〜複雑だわ・・・桐野が。

やっぱり、登場人物の3人が未成年って事もあるし、どうしても親達の意見に左右されるよね。
思春期で多感な時期、普通と違う自分に悩んでる時に、親の態度や言葉は、その後の人生に響く事が〜しっかり描かれている。

三島母、世間体を気にせず、素のままで生きていけと背中を押す。

桐野母と、柳田母は、自分の都合を息子に押し付けた、咄嗟に出た発言が酷いわ。
その結果、柳田と言う拗れた大人が出来上がったりね。

夢野母、偏見の無い〜良き理解者。

母親の笑顔を守る為にした桐野の選択。
長い人生の中で、本当の自分でいられた、たった一瞬の夏。
いつか、桐野のパンドラの箱を〜また空けて欲しい。

3

問題外。

BLは所詮趣味。
その趣味枠でこのような作品を販売する時点で論外。
安っぽく「ゲイの味方です」といったメッセージしか感じる。

1

桐野くんについて

今更なんですが読み終えました。
サイドAはやたらおかしくて私は「ピューと吹くジャガー」を思い出していました。
サイドBはシリアスに傾いていきます。
もしや、このお話、連載中に人気うなぎのぼりになっちゃってちよっと進路変更したのでしょうか。いや、知らんけど。

で、読み終えてまず、とにかく桐野が桐野だけがかわいそーっ っていう感想。

桐野が選んだ道だから彼はそれなりに満足している、母の幸せをまず選んで妻子との生活も彼なりに幸せだと思う。

だなんて、絶対、全く思いません!
ワタシは縛られなきゃイケないの、でも彼は優し過ぎてそんなこと言えないわぁ ってな性癖の相違ではないんですよ、性的指向の問題ですから。
かなりのゲイ寄りのバイ、ではあるけれど女の子とやると吐いちゃうヒトだったんです、桐野は。

偽りの生活、偽りの性生活。
それなりの幸せ、彼なりの幸せ。
私はとてもそう思えない。
偽りの桐野の人生はそのまま澱んでいき、三島をいじめたりその三島と夢を語り合った子供の頃とは違ってなんの解決にもならないでしょう。

私は妄想します。
作中でも桐野は出張から帰っていましたが、たとえば出張先のゲイバーで一夜限りでも発散する相手を探すのが楽しみであるとか出張先に長年の恋人がいて別の生活を過ごしているとか。

でなきゃ結局あの母親を殺すとか妻子にDVして離婚とか暗い未来しか思い浮かびません。
桐野のような選択をするゲイの人はきっと多いでしょう。
それも想像出来る。
でもね、一生涯隠し通す人がいるのならそれは哀しすぎます。
残酷です。
桐野に別の人生、別のストーリーを作ってあげたいです。

2

萌えたというより★4つの感覚

めちゃくちゃ面白かった。面白い分、しんどかった。
キュンや萌えより、親と子、家族のあり方を考えさせられた。
恋愛漫画ではなく、青春漫画という印象で
BLではなく女性コミックに分類されていることが多いのも納得。

なので、読了後も母親達のことや、
自分を押し殺して生きる選択をした桐野、
自分を押し殺しきれなかった柳田のことを思って苦しくなる。

三島母の言葉は、強く優しく育った三島にだから響いて力になったけど
自分が中学生の時に言われた、そんなこと言われても自分のやりたいことって?
と余計にグルグルしたと思うから、それだけ三島は強い心を持ってて
そんな三島だから桐野も心を開けたのかもしれない。

桐野は「母が笑顔でいること」を選んだけれど
そう選ばざるを得なかったことがしんどかった。
桐野母のこれまでの夫との不仲や子への期待が招いたことであって
それは母としてどうのなのかなとか考えだすと…しんどい。
自分で決めたことだから、強くありたいと前向きな姿勢でいてくれて
そんな中でも幸せを感じていると願いたいけど
最後の笑顔はどちらからは私には判断できません。
自分を押し殺して選択した道と桐野母が知った時に笑顔でいれるんかな。
桐野はそんなこと微塵も感じさせないように努力して
桐野母は一生知らずに生きてそうで、なんとも言えない。

皆が皆、自分で考えだして進んだからこと、重みを感じ、
作品としては神レベルの衝撃作だけど、
BL的には三島と夢野の夫婦になるまでのラブ過程が少ないので、
萌えきゅん主体で見ると萌え1~中立だったりします。

キスのシーンも二人の拙さより、そのことを聞いて、
夢野に詰め寄る桐野の悲痛な表情の方が印象的。
三島と桐野の屋上でのやり取りは、あくまで友人の域だと思っているので
あ~青春…この間だけでも自分になれて良かったね(涙)という感想です。

3

こんな作品が有るなんて。

何となく昔の作品は使い古された様な、見覚えが有る物が多い気がして躊躇してたんです。
イヤイヤ、これは後世に引き継がなくては。

最初の数ページで三角関係ものかななんて軽く思っていたら、あまりにも深くて心が受け止められない。
自分の伝える語彙力が無くて悲しくなりました。
家族ってなんだろう。
少数派、多数派 何が違うのだろう。
何も悪いことをしてないのに何故ここまで苦しまなくてはいけないのか。
環境は似通った所もあるが、母親の決定的な違い。
リアルでした。
後半覚悟を決めた桐野君の真っ黒な顔で「頑張れー!」泣きそうになった。
あそこを黒塗りで読者の想像に任せるセンス。彼はどんな顔で叫んだんだろう。泣いたのか、我慢したのか、笑ってたのか。

果たして母親と桐野君どちらが愛情が深かったのか。最後、桐野君の眼にトンボが写ってたんですね。
レビュー見て気付きました。ありがとうございます。奥さんが全く出てこないのは桐野君の眼には子供と母親しか居ないのかしら。
後10年、20年後 彼は幸せなのか。そんなことを考えるのも彼の覚悟の前では烏滸がましく感じる。パンドラの箱はもう開かないのか。

2人は幸せそうで良かった。たまに田舎に帰省するらしいけど、田舎だから偶然有ったりしないかな。こんな心配も田舎のおばちゃんみたい。

永井三郎先生初読みですがちょっと衝撃的過言葉が有りません。
続編覚悟を決めて刮目させて頂きます。

2

バッドエンドでもハピエンでもないけど、、、

ラストに涙が止まりませんでした。

三人それぞれが選んだ道が正しかったのか間違っていたのかはわかりません。だけど心のそこからみんな幸せになって欲しい。。。

ありのままの自分を生きて自分が幸せになるのが一番大切なのか、それとも周りの人を安心させ幸せにするのが一番大切なのか、何が正しいんだろう、

面白い中に切なさがギュギュっと詰まっていて読んでいてずっと泣いていました。作者さんが巧みにワンシーンごとに思春期の子供たちの切なさ脆さを描いていて、、、

ぜひ読んで欲しいです。

3

何が正しかったか、なんて誰にも分からない

はい、いきなりめっっっちゃ怖いです。
夜中に1人で読めないくらい怖い。
でもお願い、数ページ我慢して下さい。

好きな子には意地悪しちゃう典型的アホの子男子の夢野のターンです。
洞窟での初チュウがなんか…エロかった。
まだ中学生なんですよね、この子達。男同士がなんたるかなんて全然分かってなくて…やっぱりアホだった夢野。顔洗って出直して来るまで待ってやってください。
三島には酷だったなー…。

田舎は狭い世界なので、噂はあっという間に広がってしまう。
こんな時、三島の母のようになれるだろうか。と、考えこまずにはいられませんでした。

東京という名の桃源郷を目指す三島と桐野だったけど、それも叶わず。この後の展開は涙なしには読めません。
それぞれの道を歩み始めて、どういう道が正しかった、間違ってたとか答えは無いんだと思う。
それでも桐野の穏やかに家族と笑い合う顔の裏にあった苦悩を思うとね、胸が激痛で嗚咽が漏れます。

きっとどこかにいる桐野みたいな人が、自分の思うように生きられる世界にいつかなればいいのに、と願わずにはいられない。

番外編はまだ壊れてなかった頃の柳田少年のお話が。
可哀想な奴なんだよね、柳田も。
まわりにもう少し寄り添ってくれる誰かがいれば、こんな事にはならなかったはずなのに。

スピンオフで彼が幸せになれると信じて、これから読むぞー。

3

胸が苦しくなる

このお話は「青春エレジーズ」という作品から、同じ作家さんということで読むに至ったので、こちらもお笑い要素盛り沢山のギャグ漫画かと思ったら、良い意味で全然違いました。勿論クスリと笑える描写もありますが、とにかく胸が苦しくなりました。
これはBLというジャンルで分けられるものではないです…腐の方よりも同性が好きな方がより感情移入できる、そんな作品だと思いました。
BLが好きな人間としては、「パンドラの箱はみんな開けて良いんだよ!好きなように生きて!」となりますが、本人達にしか分からない葛藤の中で出た答えであり、それが本人の幸せの形で…
とにかくこれはフィクションなのか…?となるくらい、とても考えさせられる漫画でした。実際のところはどうなのか分かりませんが、リアルに一番近い作品なのではないかな、と思います。
とにかく本当に素晴らしい作品でした。スピンオフ作品は柳田先生に焦点を当てられているとのことなので、絶対に読みます。

3

「自分」とは何か?

sideAよりもヘビーな内容でした.......

マイノリティに対して排他的な雰囲気や、噂がすぐ広まってしまう田舎特有の環境もあって、三島も桐野も夢野も、みんな傷ついてしまいます。
3人は自分の想いと向き合って、それぞれの答えを出すのですが.......

この作品を「田舎の男子高校生が織りなす夏感満載!青春ボーイズラブ漫画」だと思って読んでいたので、まさかこんなに深いテーマがあるとは.......と、いい意味で期待を裏切られる展開が繰り広げられました。

2

青春ものの名作中の名作

言わずと知れた神作品。
自分がBLを読み出した初期に出会った作品だけど
久しぶりに読んでもやっぱり最後は泣いてしまった。
BLのジャンルにおさまらない青春物語の名作だと思う。
ほんと桐野と三島が最後にがんばれ!と叫んで
別れる所は切なく苦しい。
二人の一夏の青春の楽しかった思い出。
2度と交差しない2人。
桐野よ幸せになれたのか、、
最後のあの瞳の悲しいこと。。
私は1番夢野が好きです。
ネオンサインアンバーみたいな三島のちんこを見て逃げた夢野が
一年以上考えて同性愛者の告白の本を手に
再び三島の前に現れた所もぐっときます。
大人になった三島と夢野はそれはそれは
美しいカップルでしょうね。
少年性愛の柳田先生の番外編が最後に入るのが読後感としてどうよって思って
せめて三島達の番外編が良かったなあと思ったら
柳田のスピンオフが今年になって出たってゆうので
作者さまには柳田エピソードも重要な話だったんだなって思いました。
性癖を隠して爆発してしまった柳田が
あの後どうなったのか、力のある作家さんだから
スピンオフも読んでみたい。


2

最後まで読んでよかった

閉塞感あったり辛いこともあったけど、カタルシスもあり、意外な展開もあり。
ラストもよかった。

1

【ネタバレ有】自然と涙が出てきた。感動した。

狭い田舎、人には言えない一面を持ってる少年たちが、自分の進む道を選ぶ過程で、人の目や噂を気にしたり、人と違う自分を受け入れようと葛藤する様が瑞々しく描かれていて痛いくらいだった。誰が選ぶ道も正しい正しくないは本人が決めること。

登場人物の純粋さと、芯のある強さに心動かされた。面白かった。あまり実写化って好きじゃないけど、これはちょっと実写映画でみてみたいかも。読了後の余韻がすごい。映画をみてるみたいだった。色んな生き方があるけど、自分を貫いて自分を認めて、胸を張って生きていく難しさを実感させられた作品。
何回でも読み返したい。自分らしく生きる道を選んだ三島の選択も、母親を幸せにする道を選んだ桐野も、どっちも幸せになるための選択で、選んだ先にどちらも幸せな未来があってほしいと願わずにはいられない。そういう作品だった。皆に読んで欲しい。BL好きな人にも、そうじゃない人にも。

3

愛する為に変わる。愛の為に強くなれる。

〖DMM電子書籍〗
修正:ー
カバー折り返し:なし
カバー下:なし
帯:なし
裏表紙:なし
備考:

〖紙媒体〗
未読

0

涙が止まりませんでした
何度読み直しても涙が溢れてきました。
どんな感情による涙かは分かりません
いろいろなものが合わさって混ざって涙になりました
言葉には言い表せません
本当に神作中の神作だと思います
全人類に読んでもらって深く考えてもらいたい…

3

泣くしかない

レビューを書こうにも、上手く言葉にできないです。この気持ちをどう言語化すればいいのか…。
終盤を思い返すたびに、胸がつまって涙が出てきます。

人に知られてはいけない自分を詰め込んだパンドラの箱をそれぞれが持っていて、ほんのひと夏だけ箱の蓋を開いて見せあった。
子どもから大人に、心も体も変化していく微妙な季節だから起きた奇跡だと思います。
その奇跡と出会えたかどうかが、桐野くんと柳田先生の違いなのかな、と。

最終的には桐野くんはパンドラの箱の鍵を閉める道を選び、その鍵を三島くんに託すけど…。
口紅が桐野くんの形見みたいだと思いました。

誰かがこの世界のどこかで、パンドラの箱に押し込んで殺してしまった自分自身のことを知っておいてくれている。それだけでも桐野くんは救われるのかな。

幸せって本当になんだろう。どうしたら桃源郷に辿りつけるんだろう。

三島くんや桐野くんのような人が、辛い思いをすることのない世界になることを願わずにはいられないです。
そういう世界なら、柳田先生もきっと違った人生を歩んでいたんだろうな。

この作品と出会えて良かったです。

3

誰の為の幸せか

LGBTと呼ばれている方々の問題について色々と考えました。この作品に物凄く影響を与えて頂きました。
作品内の彼らは幸せかなぁと今でもふと思います。
特に桐野君はどうなのでしょうか…。
彼の選択が正しかったのか分からないけれど、ラストの彼の瞳を見て、あの夏の日々はまだ彼の中にあるのだなと感じました。あの田舎と環境が彼を苦しめていないかと不安に思います。
が、これが彼の選んだ「幸福」の形なので…。

夢野君もカッコ良かったです。馬鹿だけど一生懸命でとても可愛らしい…。
理解しようとする姿堪らないですね。
大人になった彼の瞳にはビクッとさせられるものがありました。

桃源郷なぁ… 泣けてきちゃいます…。
時代の変化を願うばかりです。

4

涙が止まりません。

桐野くんと柳田先生の生き方が、切なすぎて。
カミングアウトからの桃源郷、電車で交わした会話、夏の思い出、顔の見えない「がんばれ」。
大人になった桐野くんの、夏を想う目が何とも言えません。
わたしは腐女子なので、同性愛にもえを抱いてしまう性癖がありますが、当事者の方と現実的に向き合ったときどうしたらいいのか正直分かりません。
経験もないし、そもそも引きこもりなのでそんな機会があるのかも分かりません。
どうしたらいいのかは分からないけど、でも自分の中の「普通」じゃない部分と付き合いながら生きていくしんどさは、なんとなく分かるような気がするのです。

パンドラの箱を見せ合える人がいるというのは、人生において大変意味のあることだなとしみじみ思います。

6

1人ひとりの葛藤と答えが胸に突き刺さる

 前巻から一転して一気にシリアス感が強まりましたね。三島、桐野、夢野、柳田、1人ひとりがそれぞれに異なる葛藤をしていました。自分の性別・性癖や恋愛対象が自分自身ですらまだ分からずはっきりと定義できない悩み、分かっていてもそれを満たそうとすると異常者のレッテルを貼られてしまうという苦しみ、友人の目や世間体という重圧、一番長い付き合いであるからこそ最も言いにくい親への打ち明け方。柳田が三島を襲おうとしたのはけっして許せることではないけれども、彼が今までずっと母親からの言葉に縛られ、同性が好きだというありのままの自分を隠し続けなければならなかった辛さを想うと本当に胸が痛みました。

 そして、夢野が受けたショック。三島には酷な出来事でしたが、夢野の気持ちも十分に理解の余地がありました。三島を好きだと思っていた、でもいざ脱がせてみて彼の男の象徴を見て、コレは違うと感じてしまった。自分はゲイなのか? でも男の象徴の付いてない三島で妄想してきたのならノンケなのか? 結局三島の顔をした女性じゃないと駄目だったのか? 傷付いた三島目線が多かったですが、きっと夢野も自分自身についてすごく悩んだと思います。好きな人を傷付けた上に、自分のことが分からない。どんなに最悪の期間だったでしょうか。

 さらに、狭い田舎で噂が回り、三島と桐野、夢野のそれぞれの親に息子のゲイ疑惑が伝わります。薄々気付いていて改めて腹を割って話させてくれた三島の母、最初は戸惑ったけれど徐々に理解してくれた夢野の母、そして、ショックを受けて息子に言ってはならない言葉を吐いてしまった桐野の母。まさに三者三様でしたね。三島と夢野はラッキーだったかもしれません。のちに夢野が同性愛者について自分なりにきちんと調べ、もう一度三島に向き合おうとしたこと。この作品で一番の救いになりました。でも、桐野はついぞ親に自分の性を完全に打ち明けることができなかった。

 彼が、三島とありのままの自分を晒け出すことができた屋上での日々に別れを告げて、大切な母親のために「男」として生きていく決断をしたこと。何よりもこの作品の中で一番やりきれなかった部分でした。素の自分の幸せを守ることよりも、大切な人の幸せを守ることを選んだ。母親はきっと彼に無理強いはしなかったと思いますが、彼が自分で選んだからこそ、この若さでその決断をしなければならなかった事実があまりにも悲し過ぎて受け入れ難いのです。最終的に結婚して、子供もできて、孫ができたと母に喜んでもらえて、世間一般の幸せは手に入れたけれども、彼自身の幸せは本当にもう望めないのだろうか、と未だに引っかかっています。桐野の瞳だけは、諦めを含んでいるように見えて…。でもこうやって諦めてきた人たちが現実にもたくさんいるんですよね。私は三島の母のようになりたいと強く強く思いました。笑えるポイントも交えつつ、BLファンタジーで美化しない、どこまでも現実的な世界を改めて教えてくれた作品でした。

6

神作品

上巻は個人の努力でどうにかなるものに対してストーリーが展開し、下巻では同じ悩みを抱えていたそれぞれが、置かれていた環境によって運命の方向性が決まってゆく過程が描かれているように感じます。

ハッピーエンド。妥協した末に決心した幸福。行方不明など。それぞれの結論が出ていました。

三島、夢野、桐田先生は自分で選んだ方向にそのまま進んでいる印象でした。特に番外編も良かったので柳田先生が好きになってしまいました。

気になったのは桐野です。作中母親から「産むんじゃなかった」と言われていた事。それもあって最後に結婚したのは自己肯定感を埋めるためでもあったのかなと感じました。それでも学生時代という短い期間でしたが、三島と出会えた事で自分の素が出せる時期が確かにあった事は救いだったと思います。

いろいろ複雑な結末ではありましたが、桐田先生はどうなったのか、数年後に三島と桐野は再会しないだろうか・・・などのそれぞれの未来も見てみたいです。

3

全人類履修して

ボーイズラブという概念を超えてる作品でした。
未成熟な少年達の友情と葛藤と成長を描いた作品。
同性愛に対して自らも受け入れ難い思いを抱えつつ、迷っても進まずにはいられない若さ…痛いほどにリアル。
周りの大人たちの反応や心情も細かに色取り取りに描かれていて、本当に引き込まれる。

似て非なる思いを持ちながら、それぞれを取り巻く環境や容姿、自分を形成するものや優先順位の一つ一つの微妙な違いで、こうも道が別つなんて。結末は絶対に涙無しでは見られない。

主人公は女性らしい綺麗さを持った少年なんだけど、芯が本当に強くて、冒頭はそんな主人公がいじめられるシーンなんだけど、シュールでコミカルなタッチや主人公の臆さなさによって全然読みやすい。
それよりももっと痛ましい展開が何度も何度も待ってる。

これはハピエン厨もバドエン厨もギャフンと言う

6

らしさのある作品

ド田舎というか、お互いが密に関わり、人の噂で日々を過ごすような、
閉鎖的環境における同性愛に対する反応の「らしさ」が描けていた作品だと思います。

それぞれの母親の考え方が三者三様で、その元で育った主要人物4人。
様々な幸せの形を提示してくれたこの作品、定期的に読み返すレベルです。

ところどころにものすごいギャグ顔があったことについては、
永井先生の他作品を読了済の自分としてはちょっとしたお遊びかな?とクスっとさせて頂きましたが
初めてお手に取った方はシリアス作品であることも相まって賛否両論あるだろうな、と思いました。

2

パンドラの箱かぁ…

本棚整理して久しぶりに読み直しましたが、何度読んでも胸がギュゥゥゥっとなります。
セクシャリティの葛藤や、これからの生き方。
中学生の彼らの出すそれぞれの答えが胸を抉られる気分です。

三島母が格好よすぎます!!
もう惚れるレベルです(笑)
三島の涙にもらい泣きしました。

桐野と三島の母親は対照的ですね。
もし桐野母が三島母のような人だったら、彼の人生は全く違っていたでしょう。
「もし」なんてものは決して無いけど、つい考えてしまいます…。

大人になった夢野と三島が仲良く一緒に暮らしてるのは嬉しかったな〜。
桐野も今の生活がきっと幸せなはず…。

読後しばらくこの世界にはまって抜け出せないかもしれませんが、是非読んで欲しい作品です。

5

リアルに涙が溢れた

三者三様の家庭……三人が親バレしたあたりから苦しくて切なくて、涙がほろほろと流れました。
特に桐野くん……彼の選択が切なくて胸が苦しくて涙どばぁ。
お母さんの笑顔のために自分のパンドラの箱に鍵を締めることを自分で選択した桐野くん。
自分で選択した道。
自分の身体の変化についての思いを言葉にしていた彼。

大人になった彼には小さな娘さん、そして奥さんのお腹には赤ちゃんがいる。
お母さんを悩ませた父親も、奥さんとハンバーグ作るようなおじいちゃんになって。
桐野くんが笑顔を望んだお母さんも、にこにこと幸せそう。
……誰だって100%望んだ道を選べるわけじゃない。
そんなこと分かっているけど、屋上での三島くんとキャッキャして〝あたし〟って一人称使っていた桐野くんが幸せそうだったから……だから、だからこそなんだかやるせない。
アキアカネを見つめた桐野くんは何を思ったんだろう。

〝好き〟って気持ちは同じはずなのにね、〝幸せ〟って何なんだろう。

三島と夢野は末永く幸せになって欲しいな。
ドラァグクィーン「ミッシィ」な三島くん気になるんだがっ!
夢野パパとのご対面とかも気になるっ!!

柳田先生……踏み越えちゃいけない一線を越えてしまいました。
幸い未遂で済んだけど。
人としてしちゃいけないことしたんだけど、それでも……男性でも女性でもいい。
いつかこの人にも受け入れてくれる存在が現れたらいいなって思ってしまった。
本当にやっちゃいけないことしたんだけどね。
したんだけど……三島くんに自分を受け入れて欲しいと訴えてたあの姿が、言葉が苦しくて。
ゲイだとバレたとき母親に化物を見るような目で見られて、それから必死に隠して結婚したら今度は奥さんにバレて否定され……更に再度母親に否定され……。

あと、人の悪意が怖い。
嫌な噂を愉しげに口にする、しかもそれを嬉嬉として相手に伝える。
その描写が本当に不快だった。(※褒めてます)

ってかこれ中学生だったのか!とびっくり。
side:A読んでた時、普通に高校生として読んでたから……柳田先生の「田舎の中学生」発言に((( ;゚Д゚))エッ!?となった。

5

すごい作品。

電子書籍で読んだのですが、そのサイトではジャンルが少女漫画か女性漫画?で見つけました。
BL!って感じの甘く幸せって感じの漫画ではけして無く、ヒューマンドラマというかゲイの子やその周りの人や環境といった人間模様が描かれている気がします。
本当に、はあああああとため息が出るくらい読むのが疲れました。痛い、心が痛い。でも読んでよかった。そんな風に思えるくらいの力がある作品だと思いました。なんか映画に出来そうなくらいしっかりしてる。けして疲れているときに読んではいけない作品です笑
気合いれて読みましょう!

4

せつない

本編の方はせつなくてギュッて胸が苦しくなっていくお話でした。
桐野のお母さんは息子の幸せのためと言うけれど半分は自分の幸せのためでもあるような気がします。
最終的にそれぞれの境遇を受け入れそれぞれの人生を歩んでいくあたりどこか物悲しげに感じました。
A-Bと読んでストーリーに抑揚があり結構読み応えがある作品でした。

最後の描き下ろし漫画すごく面白かったです。
夢野のお父さんすごくいいキャラしてます。
私の中でこの漫画唯一の癒しキャラです。

5

読後に多くの疑問が残りました

ここのレビューを見るとみなさん感動した!とか素晴らしい!と仰ってますがわたしはあんまり好きな作品ではなかったです。
個人的に暗めな作品が好きで、リアリティに溢れていると噂だったので購入に踏み切りました。
なんというかはっきりここがダメ!という部分もないので言いにくいんですが、強いて言うなら(どなたか既に書かれておいででしたが)BLではないかな、と思いました。
ボーイズがラブしているというより、己の性について悩む思春期の少年たちとそれを取り巻く環境についてのお話、といいますか…。
読み終わった後、なんだかモヤモヤとしてしまいました。
というのも、「あれから○年後……」というような手法で飛ばされすぎでは?と思ってしまったからです。
その後色々な人生を歩んでいく姿を描きたかったところは理解できますし、描かなければ成立しなかったのもわかるのですが、その後の姿になかなか納得がいきません。
なにより、キャラクターたちを中学生という設定にするところが最も意味がわかりませんでした。高校生、と言われた方がすんなりストーリーが入ってきたように思いますし、正直作者様は中学生を描くのに向いてない絵柄でいらっしゃるように思いました。
高校生の間になにか重要なことが起こるシーンでもあるのかと思いきや、1コマもなし…。どういう意図で中学生という設定になさったのか全く理解できませんでした。
また、三島はできれば夢野ではない、完全なモブとくっついてほしかったです。というのも、なんだかそれでは桐野だけがあまりに不憫な気がしてしまいます。というかなんなら全員不憫なエンドで良かったのでは?とさえ思いました。リアリティとか言っても、結局は男同士の恋愛に寛容な世界なのが少し残念です。(まあそうでないと成り立たないというのもありますが)
あと個人的に三島のお母さんが苦手なタイプのキャラだったので読んでいてしんどかったです。

4

開けた方が幸せな箱

皆さんの評価通り、凄い作品。
sideAだけでは、まだ分からなかったのだけど、sideBの最後まで読んで、圧倒された。
もう文学と言っていいくらい、テーマあり、ストーリーあり。

人の「幸せ」って何?っていうのが、この作品を読むとクリアに見えてくる。
自分に正直に、まっすぐに生きた方が幸せだよ、うん。
それを貫いて、幸せな場所をつかんだ主人公・三島と夢野はいいよね。

でも・・・でも。私は、壊れちゃった教師・柳田や、のちに結婚して子供までもつ桐野が、好きだ。すごく。

世間とか、目の前の家族の求める理想のあなた、を演じて、ねじ曲げられてしまった、見た目だけ美しい、ねじくれたゲイの男。

切ないよ、すごく。

性の問題って、それほど多様だということ。
男が好きでも、女とも何とかなっちゃうこともある。
夢野のように、最初は「男は無理」と思っても、愛のチカラで大丈夫、になることもある。

歪んでも歪んでも、時間は先にしか進まない。
過去の幸せだった夏休み。そこに置いてきた、好きだった少年も、その時の自分も、もういない。
柳田も、桐野も、本当に可哀想だと思う。
そこに、泣けた。

パンドラの箱は、思いきって開けちゃった方が幸せだよね。底に希望があるから。

読んで良かったです。

3

処分できない名作

いやぁ、なんか感動しちゃいました。
side Bは社会の先生が三島を連れ去るとこらから始まるのですが、それを知って必死の形相で探し回る夢野がよかった。そして、事件の事は公にせず、しかも先生の気持ちを考えて自分が受け入れてあげられたらと言う三島。切なかった。
萌えと言うより、同性愛とか性同一障害と言うことを改めて考えさせられたお話でした。
キャラが濃いので一人に絞れませんが私は三島のお母さんにすごく憧れます。あんな風に苛めにも女装にも薄々気づいていながら言ってくれるのを待ったり、自分は自分の道を行けとはっきりいってあげられるお母さんが物凄くかっこよかったです。
そして、夢野とのハッピーエンドがあってなんだかほっこりしました。
唯一気がかりなのは桐野の選択。子供までいて楽しそうにも見えますが、社会の先生のようにいつか爆発しなければいいけどと思ってしまいます。

実はこの漫画、処分しようかと思って読み直したのですがやはりたまに読んでみたくなる名作だわとまた本棚の奥にしまうことにしました。

6

再読したくなる

再読して評価を変えたいと思ったのはこの作品が初めてです。切なくてもう読まないと思ってたけど、やっぱりまた読んでしまった。

桐野の母よ……何でなんだよおー!親っちゅうのは子どもが幸せに生きることを望むもんでしょぉうおう!!自分のために子ども生んだのかあんたは!子どもの命は子どものものだ!子どもはそれを使って自由に生きて幸せになっていいんだよ!ぐわああぁー!!

と、思ってたら、、全部三島の母ちゃんが言ってくれたー(T ^ T) アアァ

というのが一読目の感想だったけど、再読すると痛みだけじゃないものが見えてきました。冷静になれたのでしょうか。それくらい、この作品には引き込まれる吸引力があるってことなんだと気がつきました。

とにかく最初の読了後は屋上で生き生きオネエしてた桐野を思い出して胸がギュッと苦しくなって後味が悪かったけど、二回目は不思議とああこれでよかったんだと思えました。現在の桐野の周りにある、母親や子供の笑顔は本物で、桐野はこのために男として生きる道を選んだんだなと。自分を偽って生きるなんてと初めは思ったけど、桐野にとって譲れないことを選択した結果、こんな笑顔に包まれて暮らしているなら、きっと桐野も今は幸せなのでしょう。

自分にとっても思春期の恋や友情は今この手になくてもすごく特別に思う。だから桐野にも三島といたときの桐野でいて欲しいって思ってしまっていたけど、その後の桐野も、決して偽物ではない。二人目が出来るくらい、奥さんを愛しているのだろうし、奥さんの前ではオネエやってるのかもしれない。桐野は人の笑顔を守りたいっていうのを貫けるくらい強くて優しい人だから、きっと奥さんも懐の深い理解者となってくれているでしょう。

きっとみんな、どの道を選んでも幸せも苦労もあるはずで、三島も桐野も夢野も、自分が選んだ道を誇りを持って歩いている。三人とも、すごくカッコよくて痺れます。自分らしく生きるとはどういうことか、読めば読むほど考えさせられる面白い作品ですね。

ラストの夢野家の様子にほっこり。ナイスキャラの夢野パパに未来の幸せを予感させてもらえるおまけつきです^_^

5

born free

sideBは前巻に比べて分厚いです、ほぼ倍くらいあるんでしょうか。
厚い頁数に比例して、大変読みごたえがありました。
三島と桐野は悩み深き男子であっても澄んだ印象があります。が、柳田先生は違いました。
三人を性的嗜好で同じカテゴリで考えても、心に闇を抱えた柳田先生は二人とは全く違っているのです。
ストーリーの大まかな流れとしては、暴走した柳田先生、夢野と桐野が三島を助ける。夢野がついに三島への恋心を自覚する、いい感じで二人の初体験が成就するかといったらそうはならず(三島にtnkがある、明白な事実に夢野が怯んでしまったから)。
三島と桐野と夢野、三人の男子の答えがこの一冊に集約されています。
切ないのは桐野ですね。初めて感情の赴くままに行動しようとしたけれど、優しさからそうはできなかった。
彼の転換点はあまりにもさりげなく、切ない。
終盤は大人になった彼らの姿が描かれています。三島は夢野と東京で暮らしていて、桐野は普通に結婚して子供もできた。
「本来の自分」を諦めた桐野は不幸なのでしょうか・・・お母さんと娘と蜻蛉を見上げる彼の顔が物語っていますね。
巻末に収録された番外編は柳田先生の少年時代の短いストーリー、先生の闇に光差すことを願います。
 酷くとりとめのないレビューになってしまいました、このような圧倒的な作品に対して言葉をまとめるというのは難しいです。

5

BLってこんな可能性も含んでいるのか?!

いーやー、これはすごい作品。
Webコミックで読んだものを改めて買いなおしました。

こういったジェンダーの問題を取り扱った漫画は他にもあると思うんですよ。
けれど、これがBLのジャンルから出てきたのがすごいと思いました。BLというジャンルに含まれる一要素を追求するとこういうこともできるんだ、という驚き。

私は普段、BLは完全なるファンタジーとして楽しんでいます。
けれど、改めて考えたら、同性愛という現実にあるものを扱っているんですよね。例えば男性の同性愛者の人から見たら、BL作品や腐女子ってどううつるんだろう。今回この作品をきっかけにそんな視点があることに気づきました。逆に言えば、そんな当たり前のことも気づかないほど、現実の事象や社会とBLを切り離して読んでいたんですね。

そうした新しい気付きとともに、この作品を好きだなぁと思うのは、作者の、主人公の二人に対するやさしい眼差しが感じられること。そのやさしさは、主人公たちの周りの登場人物に託されているかんじがします。フトシのかあちゃんを筆頭に、桐野の母上、夢野、夢野の家族、など。桐野の母の最初の反応には胸をえぐられるようでしたが、その後は一応母なりに理解する努力は見えました。(しかしやはり息子を尊重する選択はできたかったのは残念)
夢野なんて、100パー異性愛のほうにいくんだろうな〜と思っていたら、まさかの「考えていきたい」告白ですよ。そんなドラマチックな展開は正直なくてもいいのに…現実はたぶんそんなに甘くないだろうし…と思ったのですが、あえてそうしたところに作者の意図というか信条みたいなものが感じられる。つまり、夢野のように私たちも「考えていく」べきなんだろうし、「考えていく」人がよりたくさんいる社会であるべき、ということ。

ただやはり桐野の母の考え方がもう少し違っていたら、と思うと残念な気持ちはぬぐいきれない。けれど、母が理解しようと努力しつつもありのままの息子をついに受け入れられなかった背景として、母親自身の人生に対するままならなさや苦しみも描かれていて、母を完全な悪者とは思えないんですよね。蜻蛉をみつめる桐野の瞳が切ないよ…。

BLをどう楽しむかはひとそれぞれですが、こういう方向性の作品もたまには読みたいし、それをきっかけに今回のように何かを考えるきっかけになるといいなと思います。
もっと後を追うような作品が出てきたら面白いな。

5

リアリティ溢れすぎる作品

タイトルからして、捻りが利いててアメリカンなロックしてんのかと思いきや、想像だにしなかった超ドメスティック&ローカルなお話でした。なんだかお昼のワイドショーなどでまれにとりあげられる好奇心半分のニューストピックを思い起させました。レビューの為に再読したのですが、こんなに絵柄が綺麗だったっけ?と思ったのが意外な発見。もっとギャグギャグしかったよーな気がしていました。

結論からいって萌えツボにははまりませんでした。多分、BLというジャンルでは語りきれない要素が盛り込まれていたからだと思います。ジェンダーについて教示してくれるお手本のような印象も受けました。少なくとも、物語全体を覆うトーンはラブストーリーではなく、友情物語だと思います。

自分が男なのか女なのか、またはどちらが性的対象なのかといったセクシュアリティーの見極めとか、成人男性が少年だけに欲情する性的嗜好についていうと、前者については己の思春期を顧みてなんとなくわかる気がするけれども、後者に至っては当方、女っちゅうこともあって、共感の「き」の字にも及びませんでした。(しかし、全くの無関心というわけではありません。そもそもジェンダーについて思うところがあるからこそ、BLを読んでいるわけです。)また、メインキャラである三島のどこまでも中立的な立場が、ストーリーの進行上必要な役割くらいにしか思えず、入り込めなかった。けれど、彼こそが作者さんの視点なのかなとも思います。

目が行ってしまうのは、三島に対し関係を迫ろうとする柳田先生の性癖。もう完全に闇として描かれちゃってる。彼に対して世間様が下す判断とは、今のところ「犯罪」ですよ、という決着のつけ方なのだったら、そんなのわかっとるわ!で終わってしまう。「それでも、生きていく。」みたいなメッセージも残すことなく忽然と姿を消してしまった。それがまた不気味さを醸し出しているんですけど、ストーリー上の演出なのでしょうか。彼については闇ばかりでなく、光を感じさせる何かがちょっとでも描かれていたら、共感はできなくとも寄り添えそうな取っ掛かりが得られたような気がします。また、桐野の方は母親との葛藤を経て本当の自分になる!と家出をしますが、結果彼は自分のためだけに母親を捨てることができなかったと仄めかされています。このキツさには現実の厳しさというリアリティを感じました。しかし、三島と過ごした短いけれど濃厚な時間が、その後の彼の心の拠り所となっていたことは間違いありません。

好きな子をいじめる心理を体現してくれた夢野にしろ、三島と同族の桐野にしろ、三島はかなりお友達に恵まれていたと思います。彼ら以前に唯一の肉親である元ヤンの母親が三島の一番の理解者でした。彼女と夢野の母親の存在が、一番「ロック」してたかな。番外編として柳田先生の「芽生え」について描かれている短編が収録されていますが、ここに作者さんのキャラクターに対する愛情を見つけて、胸を撫で下ろした感もあります。もし彼に、桐野にとっての三島のような友人や、家族の中に、三島の母親のような理解者があったら、自身のセクシュアリティーを捻じ曲げることなく、それはそれとして受け入れて生きていくことができたのでしょうか。(勝手な妄想。)

なんだか三島だけある意味ハッピーになっちゃったのもどうなんだろうというのもあり、個人的には萌え要素がなかったけれども、物語としては示唆に富んでいて、長々と感想を書かせてしまうくらい読ませるものだったということで、「中立」寄りの「萌」で。

3

シリアスもギャグもフルスロットル!

超~有名な作品を今更…なんで読んでなかったんだコレー!!と自分をひっぱたきたくなるような作品、なんでかっていうとお試しで読んだ苛めシーンの絵柄が、あまりにホラーだったからなんですよね。
血走った眼ーひんむいた貞子みたいな主人公が怖かったのなんのって!(笑)
ところがおススメされて買ってみたら、なんなんだこの美しい絵とうすた京介ばりのギャグのギャップは!!
ダバダバ走り出してしまいそうなくらい、ぐいぐい引き込む展開とテンポのよいセリフ回し。分厚い二冊にも関わらずあっという間に読み切ってしまいました。
シリアスさよりもギャグ要素が勝つ前半から、同じ生きづらさを共有していたはずの三島と桐野が別々の道を選んで歩んでいく終盤…
もうこれはBLというより、同性愛やトランスジェンダーについての作品と言った方がいいかもしれません。
もちろんBL的展開も出てはくるんですが(三島と夢野のCP)、萌えうんぬんの前に、そこに至るまでの性的マイノリティの息詰まるような描写のほうが色濃いように感じます。
結果として、三島と桐野は「桃源郷」には行くことができません。
二人の思う「桃源郷」が同じものであるなら、きっとふたりでたどり着けただろう場所。三島にとっての「桃源郷」は体は男のままで男を愛することをオープンにできることであり、桐野にとっては、女の心はクローズにして、男として一般的な幸せを手に入れること。
秘密を共有した二人がキラキラした思い出を胸に抱えたまま、まったく別の道を選んだシーンは本当に切なかったけど、どっちも正しい選択をしたんだと思います。
ありきたりな言葉ですが、大事なのは後悔のない人生を生きること。それに尽きると思います。
同性が好きなのも、女装が好きなのも、体と心の性別が一致しないのも、そしてそれをおしてでも家庭を持つことも、なにひとつ恥ずべき事じゃない。
だから、胸を張れ!三島と桐野が最後にエールを送り合ったように、私もエールを送りたくなってしまいました。
結局シリアス寄りの感想になってしまいましたが、本当これは良作でした!
実写にしても面白いのではないか!?エロ度もほとんどないので、レーティングにひっかかる部分も少なそうですし。
…柳田先生のところはまずいかな。

5

家族に縛られて生きていくのか、解放されて生きていくのか

まず、本の厚さがSIDE:Aに比べてSIDE:Bの方が2倍厚くてビックリ(笑)
それだけ内容が詰まってると思って期待しました。

相変わらずホラーテイストで怖いのですが、
内容は、深いし考えさせられるのでとても良いと思います。
家族によって人生が左右されていく3人の物語と私は捉えています。

それぞれの家族(母親)と子供(登場人物)の生き方について
簡単にまとめると
・三島の母親:寛容、私は私、ふとしはふとしの生き方をしなさいと肯定
 →三島は同性愛者として自分を認めありのままの自分として生きていく
(・夢野の母親:寛容、同棲愛に対して理解しているので肯定
 →三島への想いを認め三島と一緒に人生を歩むことを決意)
・桐野の母親:同棲愛を認めない、お前を産まなきゃ良かったと否定
 →桐野は母親の目を気にし、女性と結婚し子供を産んで生きていく
・先生の母親:先生が同棲愛者であることを徹底的に否定(一番可哀想)
 →女性と結婚しても離婚、そして未だに母親に縛られ続けている
 →その呪縛をホラーとして表す?
と言った感じでしょうか。
このように皆家族の影響を受けて
それぞれの人生を選んで生きて行ってるんです。
家族は残念ながら選べません。
三島と夢野は家族が寛容でラッキーだったと思います。
桐野と先生は家族に縛られていることに気付き、
解放されたらどんなに幸せな人生を歩んでいけたでしょうか。

私は人はある程度家族に縛られて生きていると思います。
(私自身家族が厳しく縛られて生きていたのでとても辛かったです。
カウンセリングのよって大分解放されましたが)
それを知らない人達が多いと思います。
この作品はそれを気付かせてくれる物語と言っても
良いのではないでしょうか。
あなたのその辛い考えや価値観は
家族から受け継いだものではないでしょうか。
あなたが家族に縛られている考えや価値観はなんでしょうか。
それに気付いて、解放されたらもっと楽に
自由に幸せに生きていけると思います。

と、話がちょっと逸れてしまいましたが・・・
今の時代にはこの作品や某大ヒット映画のような
「ありのままの自分で生きる」というフレーズが
求められているのかも知れませんね。
私も昔だったらかなり共感するのかも知れませんが、
もう当たり前となった思考となったので、
正直にいうと目新しいとは思いませんが、
それでもこの作品は素晴らしいと思います。
今の現代人には胸にぐっとくる作品だと思います。
(少々冷めていてすみません)
なのでギャグ(SIDE:Bはギャグは少なめだと思いますが)や
ホラーが大丈夫な人は、読んでみると良いと思います。
私はそれらに気を取られてしまったので、
ギャグもホラーも許容範囲だったら神作品になったと思います。

4

切ない…!考えさせられる作品です!

Aを試しに…と思ってAだけ買ったら続きがきになりすぎて
すぐ本屋でBを買いに行きました。

柳田が、三島を強姦しようとしたけど、桐野と夢野にギリギリ止められます。その時の夢野の必死さに萌えました(笑)
その後、夢野は毎日部活をサボって三島を送るようになって、三島のことを好きなのにイジメてたと告白します。そしていい感じになるのですが、夢野は三島のチンコを見て逃げてしまいます。夢野は、男が好きだったわけではなく三島が好きだっただけで、ゲイではなかったからです。

このこじれたタイミングで、三島・夢野・桐野はホモという噂が近所に広まり、自分たちの母親にその噂が耳に入ってしまいます。桐野のお母さんは発狂してしまいます。
でも、自分ももしこの状況だったら桐野のお母さん見たいになっちゃうと思うし、避難できないけど、あの時の桐野がとても苦しくて、悲しかったです。そう考えたら三島と夢野のお母さんは、寛容な人で、理解のいお母さんだな、かっこいいな、と思いました。

夢野は1年以上同性愛のことについて考え、三島と一緒に歩む道を選びます。
だけど、桐野はその道を諦め「普通」になる道を選びます
その時の三島と桐野がとても切なくて、涙がたくさんでました。三島と桐野、ふたつの道はもう決して交わることがない。
桐野はお母さんのために、同性愛者であることを捨て、結婚して幸せな家庭を築いていく。三島と夢野は、2人で暮らしていく。どっちが正しいなんて、そんなのは人が決めることではなくて、その人自身なのだなと、感じました。

個人的に夢野が好きなので、最終的に夢野と三島が付き合ってていたのがすごく嬉しくて泣いて喜びました(笑)
夢野と三島のスピンオフとか出て欲しいな(笑)

これを読んで、改めて同性を愛することはとても大変で難しいんだなと感じたし考えてさせられる深い作品だなと思います。
是非、いろんな方に読んでもらいたいです!






5

涙がでた…

言葉で言いあらわせないくらいの感動です。

”同性愛者であることはいけない事なのか”

ありのまま生きたい、誰かに迷惑はかけられない、愛する人のために我慢しなければならない、素直になってほしい、幸せになってほしい。

誰かの想いを受け止め、受け入れ少しずつ大人になっていく。

愛とか恋よりも青春でした。

親は子供の幸せを何よりも望んでいる
大切なことに改めて気付かされる作品でした。

「二つの道はもう決して交わることがないのだ」
どうやって受け止めればいいかわからなかったけど
とにかく涙が出ました。

それでもみんな最後はそれぞれ幸せそうでよかった。

5

こーゆー作品に出会いたかったのかもしれない

私も殿方に恋する男で、最近の言葉を使うとオネメン。
もっと言うと中途半端なオトメン。
乙女な欲求、それとは裏腹に男な自分。

この作品には、私とは少し違う、でも自分の持つ性癖というかコンプレックスというか、悩み抱えた方々が出演されていた。
そしてこの人達のお話を知ることができて良かった。
…そんな認識でこの本を読んでました。

BLとえばBL。
ゲイがノンケと結ばれたとことか。
ただ、「商業ボーイズラブを読みたい!」という方々のニーズとは少し離れたよーな(私の言葉を使うと)“こっち系”のお話。
つまりエロ目的でないゲイ向けな作品。

カフェ801で「ゲイが泣いた作品」みたく紹介され読んでみたけど、確かに泣きました。
主人公のお母さんが、主人公にいいこと言うんです!
それを見て自分の母親への感謝と申し訳なさと、母親という存在のありがたさをあらためて抱きました。
私は一人っ子で、母は女で一つで私を育ててくれました。
そんな母親にカミングアウトし、この作品の言葉を借りると“桃源郷”目指し私は上京し、そー多くはないけど、程ほどに、しかし地元ではあり得ない数の“こっち系”の人と会うことができました。
そして現実はなかなか色々厳しいことも知り、今3年が経ってBLとアニメと特撮+αの日々(笑)

…と自分の話をしてしまいましたが、私がBLで求めてたかもしれない内容、ファンタジーから少し離れた物語がこの作品だったのかもしれない。

えーっと、
何が言いたいのか分からなくなっちゃった( ̄▽ ̄;)
オチは悪いですが、この作品、私以外の方々にも是非見ていただきたい。

8

泣いた!

ゲイにまだなりきれない男の子たちの友情を丁寧に描いた力作。BLというにはなんだか違うような気がしますが、bl以上です。主人公のお母さんがすごくいいことを言ってます。こんな対応してくれる親はどれだけいるか...。

4

誰もが何か抱えて生きている

人はどう生きるべきなのか
一体幸せとはなんなのか
何が良くて何が悪いのか
色んな事を考えさせられました。
若さで駆け抜けた一時の青春と
大人になるという幸せと寂しさが入り混じった感じが
とても胸に刺さりました。

私はこの作品が好きでたまりません。
他とは一味違うボーイズラブを楽しみたい人にオススメです!

3

大切なテーマ

この作品は二人の主人公が狭い世界の中で どう歩んでいくかの葛藤を描いています。二人を取り巻く環境と人々 本当の自分らしく生きれない二人 互いに共通し理解し会える仲間がいることってなんて心強いんだろう 田舎の高校を舞台にしてますが テーマはもっと重い それに先生の独特の表現力ですよ!柳田が気持ち悪い!最高です!柳田気持ち悪い!

4

……

 SIDE:Aはよかった。が、SIDE:Bは無理でした。途中まではよかったのですが、桐野の母親のせいで気持ち悪い作品になりました。この作品はトラウマです。
 私の地雷は、NL・ヘテロ・異性愛(者)・BL作中の女の存在なのですが、見事に、この作品は、オチで、私の精神に地雷を、放り込んできいました。最悪です。
 桐野はなんであんな母親なんかの為に、異性と結婚し生の中出しセックスまでして、子供を作ったのか。しかも1人ならまだ嫌悪感で終わりましたが、2人も・・・・???? はああA????? ないわ。
 切なく、泣きながら呼んでいたのに最後(本当のオチ(HAPPY)を抜いて)は、涙じゃなくゲロが出ますわ。
 気持ち悪い。桐野のこれからの人生だけが無理。気色悪い。
 もう本当に納得の行かない作品でした。

4

出会えて良かった作品

今回初めてレビューを書かせていただきます。
もともとこの作品は知っていたのですが、基本雑食で表紙買いが当たり前な私がなかなか手を付けなかった数少ない作品の一つでした。
もしかしたら無意識のうちに分かっていたのかもしれません、軽い気持ちで読む作品ではないと。
BLだと思って読む作品ではないと私は思います。それよりも、もっと奥深くにある作品でした。

永井三郎先生の作品はこの作品が初めてなので、最初は単純にギャグのシーンやいきなりホラーテイストになるシーンの場面転換の面白さに興味を持って読んでいました。
しかし、読み進めていくうちにどんどん涙が溢れてきて物語の世界観に飲み込まれていました。

この物語の良さは三者三様の母親ですね。
三島の母親は、ゲイでもゲイでなくてもこんな母親が良かったと思えるような母親です。彼女が三島の母親で良かった。
三島がいじめられていても世界に絶望していないのは、彼の母親の強さを確実に引き継いでいるからだと思います。
「私のために選んだその道が少しでもお前の我慢や諦めの上にあるのなら、それでお前の思った道を行けないのなら、私は凄く悲しいしそれこそ不幸だ」
この言葉に涙が溢れてきました。

夢野の母親はこの親ありでこの子ありって感じでした。
「仕方ないんじゃないかなぁ。」って言葉が本当に良かった。ノンケだった夢野が三島を好きになるって、現実の世界で考えたら結構すごいことだと思うんですよね。男でも女でも本気で好きになれる人がいるってことの素晴らしさに改めて気付きました。夢野の父親、何気に好きでした(笑)
アメリカは日本よりもゲイやレズということをオープンにするぶん、ホモフォビアの方も多いですから…。だから、そういうことにも切り込んでいたので感心しました。

そして、桐野の母親。私はこの母親が一番リアルで当たり前だと思いました。どの母親もリアルなのですが、桐野の母親が一番、ゲイをカミングアウトされた母親の反応で自然だと思います。「子どもなんて産まなきゃ良かった。」なんて、母親として最低の言葉だと思います。でも、自分の子どもがそのようなことをカミングアウトすれば誰でも動揺してしまうと思います。

柳田先生もまた、かわいそうな人でした。三島にしたことは絶対に許せないことだと思います。でも、嫌いになれないんですよね…。「受け入れてくれよ」っていう言葉に色々な意味が含まれていて、すごく苦しい気持ちになりました。


私はこの話を読んでいるとき、なぜ中学生にしたのだろうかと疑問でした。高校生でも良かったんじゃないのか、と。
しかし、最後まで読んで分かりました。
この物語は中学生で進めていくからこそ、桐野が自分の成長について苦しんでいたり、三島が女の子みたいな容姿であることに説明がつくと。

夢野と三島の現在はほっと胸をなで下ろしたのですが、桐野の決断には何とも言えない気持ちになりました。
でも、桐野がそれで幸せならばそれで良いのです。

色々な行動に意味があって、言葉に思いが込められていて、本当に読んで良かったです。

たぶん、近年発売されているどのBL本よりもリアルでした。
リアルな恋愛で、リアルな決断で、リアルな物語でした。

三島と夢野と桐野と、そして柳田先生、みんながそれぞれの幸せを感じて過ごしていることを信じています。


そして、このような物語を書いてくださった永井三郎先生とこの漫画を出版してくださったふゅーじょんぷろだくと様に感謝の気持ちを伝えます。
ありがとうございました。

27

roseーlily

きょうと様

はじめまして、こんにちは!
初めてのレビューとは思えない、すご~く深く掘り下げた内容のレビューに感激しています!
私もそれぞれ家族をしっかり描いた事、中学生で描いた事で「永井三郎先生はすごいなぁ」と思いました。
100%BLファンタジーも好きだけど、こういうリアリティーのあるお話は心に共鳴する何かがありますね。
きょうと様のレビューがあまりにも素晴らしくて、これからのレビューが楽しみです♪
思わずコメントしてしまいました。

ローズリリィでした。

snowblack

きょうと様、はじめましてsnowblackと申します。
初レビューとのこと、おめでとうございます。

この作品は私も非常に衝撃と感銘を受け、
狭くBLの枠で語らずに、老若男女多くの人に読んで欲しいと思った作品です。

お書きになっていらっしゃるように、この3人3様の母親の存在というのが
この物語にリアリティと深みを与えていると、私も感じました。
まだ親の影響が大きく、自分というものが確立しない未完の中学生という年齢が
非常に意味を持っているとも思えました。

お互いに、こんな本に出会えたことは幸せ……ですね!

開けられた、3つの箱。

 作品としては間違いなく神です。映画化して小学校での視聴を義務付けたらいじめとか犯罪とか激減するんじゃないかと思いますがどうでしょうか。

 パンドラの箱を開けた、3人の少年。
箱を開けて、苦しみを見て、その底に希望を見て、その後。
 悩み苦しみ悲しみ嫉妬と向き合って生きていくのか。閉じて2度と開かないように、けれどまた大事に抱えたまま生きていくのか。時々覗いてみながら生きていくのか。
 どこへ進むにせよ、1度箱を開けなければ、不幸な人生です。3人とも幸せな人生だったのだと、思います。

 それが「俺」 「三島 太志」だ

 青春映画のような素晴らしい話、で終わるかと思ったらラストはBL的においしい結末で、嬉しかったです。SIDE Aでも書きましたが、名作と気構えずにたくさんの人に気軽に読んでもらいたい作品です。

2

BLに非ず。

神評価にするか相当悩みました。
萌える、萌えない、という問題の内容でも無かったので…
BLを読みたい!と思った時に、コレはどうだろう?ということで評価低めです。

性に悩みを抱える子ども達と、悩みを拗らせた大人のお話です。
三島の存在により、パンドラの箱をこじ開けられた桐野、夢野、柳田先生…
ファンタジー要素は一切なく、痛い現実ばかりが突き付けられます。
自分、親、周囲それぞれの目線がきちんと描かれていて、葛藤がよりリアルに感じられました。
たまに織り込まれる永井先生特有の顔面崩れや夢野の父ちゃんに笑いの要素があるので、ずっとヘビーでもなく読みやすい。

一応、メインの3人はそれぞれ見つけた答えに向かってハッピーエンドとなりますが…
桐野の選んだ生き方が辛過ぎて泣けました。
何度読んでも、三島と桐野が別々の道を歩き出す瞬間から涙が溢る。

BLと言うか、生き方を深く考えさせられる作品です。

番外編にて、柳田先生の初恋~トラウマ爆発までのエピソードも収録。
桐野母と大差ない反応でも、受け取り方や向き合い方が違うだけでこんなにも差があるんだなぁと思った。
個人的に一番好きなキャラだったので、もうちょっと柳田の行く末を見たかったです。
ハッピーには至らずも、少し光が見えるくらいには救いがあっても良かったかな。

3

泣けます。

これで完結ですが、泣けます。
本当、胸が苦しい。
この話はBLだというのに、フトシと夢野のカプよりも、フトシと桐野の関係の方が好きです。
桃源郷を目指して、辿り着けなかった二人。
桐野のパンドラの箱は閉じられ二度と開く事はなかったけれど、たった一瞬でもあの時期を二人で過ごせただけでも幸せだったのかもしれません。

先生もオカルトっぽくて気持ち悪かったけれど、過去を考えると切ないですなあ。

フトシのお母さんが本当に素敵で、こういう親ばかりだったら楽しく生きられるのになあと思います。(桐野だけでなく、我が家も振り返りつつ)

7

go do

みなさまのレヴュー通り!

うまいことえぐられて、温かい熱を注がれて 号泣です!
三島のかーちゃんカッコいい!
桐野のことを思うと少し胸が痛むのも事実ですが、その辺りも本当に生々しくも上手に描いて下さったなぁと。

ヨ◯シーが脳内再生されてます。感動!


4

泣いた

マンガよんでこんなに泣いたのは初めてだった。

思春期の高校生が抱えきれないくらい大きい秘密があって、それを受け入れてもらえるか否定されるかでこんなにも先の人生が変わってしまうんだなあと。
幸せは人それぞれなんだけど、桐野はこの道を選んで良かったのか。
本編のラストでは彼の幸せを願わずにはいられなかった。
どのキャラクターにも感情移入できるから余計苦しかったです。
柳田先生も番外編読んだ後では彼にも救いがあればよかったと思わずにはいられない。

文句なしの神評価。

6

勝手に【2013年度俺ベスト】決定

は、は、はやく読めば良かった…。
すごい、すごい…。読み終わった今、ただただ涙を流すだけの放心状態です。
もう、呆然唖然と本を持ったまま心此処に非ず、心の感情が止まったままだ。
感想をどう書いていいやら途方に暮れている。

思春期から大人になる、時の流れが残酷で有り清々しくも有り。
痛さを分かち合う一生の友達に出合う大切さ。
心が繋がる瞬間を一緒に感じた友達。
今は逢えないけれど、きっと時が来て逢うべき時に逢えるのではないかなあ。
笑って逢えるよ。いつか必ず。

9

渾身の、アキアカネを映す桐野

三者三様の家庭と人生+柳田が、そこにいた。
柳田以外の三島も桐野も夢野の、どの家庭も母は子を思い、子は母を思ういい家だった。

桐野の母親は、予想だにしないその衝撃に自身が耐えられず、我が子を傷つけることを言ってしまったがその後、失いそうになり、やっと向き合うことができた。そして必死に理解しようと努力する。
母も子供と同じで、母として成長段階なのだ。
どういう風に成長するかは、それまでの自分が過ごしてきた道のりが指し示す。
あの幼き桐野に見せた、くしゃっとした笑顔にすべてが詰まっている気がした。

三島と桐野のキラキラとした宝物のような屋上のひと時が、眩しかった。
桃源郷へ行こうと踏み出した一歩。
桐野の横に三島の笑顔があって良かった。
三島に、どんな時もぶれない我が子を全力で信じて愛する母親がいてくれて良かった。

いつか柳田のことをどんな形であれ、受け入れてくれる存在が、見つかってほしい。

終盤の「桃源郷を諦める」と決めた桐野の、大人という階段を一歩上る様に胸が詰まる。

桐野の幸せは母親にあった。
母の幸せが自分の幸せであったことに気づいた桐野。

幼い頃から母の笑顔も苦労する姿や悲しい姿を、傍にいて誰よりも見てきた。
桐野の中で、母の笑顔をずっと見ていたい、母に母の望む幸せを与えてあげたい、それは自分にしかできないこと。

桐野の桃源郷はここにあり、また、遥か先にある。
母親の笑顔という幸せを手に入れた桐野は、アキアカネをその瞳に映し、何を思うのか。

いくつものアキアカネをその瞳に映して、いつしか訪れる母親の最後を見送った後に、もう一つの桃源郷へ行ければいい。

その時に奥様と子供が、桐野のよき理解者になってくれれば、それでいい。  

24

人生は誰も肩代わりしてくれない

何べん読んだかな?ちょっと覚えてないや。
それくらい気に入ってしまいましたよ。
サイドAの時点では、こんな風に心に沁みる作品になるとは思ってもみなかった…(失礼な)

子供には無限の可能性があるっていうのは、まだ何者にもなれていない子供だからこそ、の逆説的な意味もある。
大人になってから実感するのは、何となく生きてきた自分だけどその何となくの間に実は数え切れないほど大小の選択の瞬間があったんだなってこと。
例えば受験校の選択という能動的なもの、あるいは喧嘩した友達との仲直りのための一本の電話とか、好きな人がいても何もしないという消極的なのから、嫌なことから逃げ出したりっていうしょうもないものまで。
上げればキリがないほどの様々な選択の積み重ねが、間違いなく今の自分自身を作り上げている。
たとえ後悔や不満がある人生だとしても、その「自己の選択」という自覚こそが、自分を腐らせないための根っこだと思うわけです。

同じような悩みを抱えていた三島と桐野。
屋上で口紅を塗りっこしてはきゃっきゃと戯れていた二人は、物語の最後には全く違う道を歩いていく。それでも二人は、顔を上げて前を見つめている姿が描かれている。
特に印象深いのが、トンボを映しこんだ桐野の瞳だろう。
終わってしまった夏を時々は懐かしんだりするのだろうか?そしてそこには少しの後悔もあるのだろうか?その後悔は、時折桐野を苦しめたのだろうか?
それは読者には分からないし、三島にも分からない。
でも例えそうだとしても、桐野はきっとそれすらも受け入れているんだと信じられる。
電車の中で、「強くならなきゃ、私が私のために選んだの」と言った桐野だからこそ。

桐野の選択を犠牲としてもっとウェットに描くことだってできただろう。
でも作者はそうしなかった。
実際、「母親を安心させるために」という理由で同じような人生を歩んでいるように見える柳田と桐野は合わせ鏡でもある。けれど決定的に異なるのは、柳田の「母親のために」という思いはいつしか裏返って、「母親のせい」になってしまったこと。

どうにもならない境遇をあげつらって、そこにままならなさや不平不満の理由を見出すのは簡単だしある意味正しいのだと思う。でもそれは一時凌ぎにしかならない。
柳田のように、巡り巡って結局は自分自身にかえってくるんじゃないだろうか。
当たり前のことだけど、人生は誰も肩代わりしてくれないのだから。

この作品は、青春BLという皮を被った、ちょっとした人生指南書だと思う。
うん、いい作品だ!
老若男女におすすめしたいな!

28

人生の選択って

大変面白かったです。
若かりし頃の性の悩みって尽きないが、人生の決断を強いられるのってつらいわ。この時期、のほほ~んと毎日生きている人がいっぱいなのに。。。
 
しかし、それぞれの選択に自分らしい答えを出した3人はこの先、悔いはないのでしょうね。みんな幸せであれ!
でも…最後の蜻蛉を見つめる桐野の目が気になる。何を思うのか、私には読み取れない。
何度でも読み返してみよう

7

選択、生き様

“ボーイズラブ”というよりも、少年たちの選択、それまでの苦悩、そして生き様を垣間見たような、そんな作品でした。

同性愛者である主人公三島と(おそらく)性同一性障害である桐野。
ラブよりもこの二人のひとときの友情に胸が熱くなりました。

中学という若さで、自分の性癖に苦悩し、生き方を決意し、そしてそれを貫き通した潔さに、切なくなってしまうんだと思います。

多くは語れません。
読んで、感じたことが全てなのだと思います。

気になる方は、是非1度読んでみるべき作品であると思います。

7

ただ一度の夏

SIDE:Aを惹きつけられるように読み、そしてB面。
続けて読んだにも関わらず、感想を言葉にするのにえらく時間がかかってしまった。
一言で言えば「読んで良かった!」につきるのだが、
もう少しその思いを語ろうとすると、言葉が見つからない。

               :

三島と桐野が、初めて手に入れた心を解放できる相手と場所。
しかし、幸せな日々は長くは続かない。
それぞれが、それぞれに、現実を突きつけられ、
道を選ばなければならなくなる時。

正しい道はどれなのか?己の幸せはどこにあるのか?
これはマイノリティとして生きる彼らだけの課題ではなく
総ての思春期が通る試練なのではないだろうか。

桃源郷を目指して旅立つ三島と桐野。
短い旅の中で、彼らは自分の道を見つけていく。
どこか遠くに夢見た理想の幸せではなく、
ありのままの自分とありのままの現実の中から
幸せを作っていく彼ら。

そして彼らの決断と人生に大きな影響を与える、それぞれの母達。
三島の母、夢野の母、桐野の母、そうだ柳田先生にもまた母がいた。
桐野の母の苦悩と、息子の選択の重さ。
そして描かれる、彼らの成長した姿。

その後二度と交わらない道を歩む彼らが、
別れ際、夕日を背にお互いにエールを送る姿に、
胸を締め付けられながら、私もエールを送らずにはいられない。

みんな、みんな、生きて行こう!幸せになろう!



17

子供から大人へのステップ

柳田に強姦される寸前で、三島は桐野と夢野に助けられます。
次の日から夢野は毎日、口実を作っては三島を家の近くまで送る様になります。
そしてとうとう、夢野は三島に告白!
キスをして身体に触れてくる夢野を、戸惑いながらも受け入れる三島。
でも、それが下肢に及んだ所で、急に夢野は逃げ出してしまいます。
そしてその後、三島を避けるようになって・・・

傷つき落ち込む三島を見て、夢野を問い詰める桐野。
「チンコ見たら、スッと熱が冷めて『あ、違う』って思って」
夢野から話を聞いて、桐野は思わず泣き出してしまいます。
同性愛者である事を誰にも言えず悩み続けてきた二人が、
突きつけられた現実に傷つく姿が、本当に可哀想でした。
でも私は、急に同性愛の現実を知って戸惑う夢野を、責める気持ちにはなれません。
夢野が三島を好きだったのは本当ですし・・・
そして、それぞれ心が揺れている時に、三人がホモだと噂が立ってしまいます。

三島のお母さんが、すごく男前でした!
息子がゲイである事にとっくに気づいてたんですね。
「母ちゃんゴメン。ありがとう」と泣きじゃくる三島に、もらい泣きしました。

夢野のお母さんもまた、素敵でした!
三島に対する気持ちに、戸惑い揺れる夢野の背中を、
男同士であるにも関わらずやさしく押してくれます。
「今、タローちゃんの『三島くんを好き』な思いは宙ぶらりんなのね。
その想いはどこへ行っちゃうんだろうね」と言ったお母さんのセリフが印象的でした。

お母さんに「生むんじゃなかった」と言われた桐野は、家出します。
「桃源郷へ行く」と言う桐野に三島は付き合い、二人は普通電車を乗り継ぎ、
東京へ向かいますが・・・結局、辿り着けずに旅は終わります。
桐野のお母さんが倒れて「マコトごめんね」とうわごとで言っているのを知ったから。

桐野の出した結論と選択は、本当に切なかったです。
自分の内面が望む生き方より、母親の笑顔を選んだ桐野。
でも、「強くならなきゃ」と晴々と微笑む桐野に後悔は見られません。
どんどん男らしくなっていく自分の体が、苦しかったと打ち明ける桐野に泣きました。
たったひと夏の、宝物のような時間を惜しむ二人の姿と、
自分の道をそれぞれが進むと決断した二人の最期の別れに、胸が痛かったです・・・


三人の少年たちが、迷い悩みながら自分を見つけていく姿が、本当に良かったです。
それぞれが、自分の選んだ人生で、幸せを掴むことを祈るばかりです。

11

お前はお前の道を行け

私の知り合いにも、桐野みたいに、かつて女の子になりたかった男の人がいます。
その人が自分の体がどんどん男らしくなっていくことへの違和感や、
どうあがいても女の子になれる容姿ではないことで女装をあきらめたこと、
将来のことを考えて普通の男になることを決心したことなどを話していた時のことを思い出しました。
あまりにもダブっていたので、読んでいて涙が止まらなくなりました。
自分を受け入れてくれる桃源郷を探す選択肢もあったのに、親のことを考えてそれをあきらめたんですね。

桐野が最終的に選んだ道は極端に描かれてはいますが、現実にこういう人はいて、そしてその選択は間違ってもいないし、誰からも非難されるものではないと思います。
母親のためを思って母親の望み通りの道を選んだのかもしれませんが、でもその道を選んだのは桐野自身です。
だから、彼は大人になって結婚し子供もできましたが、ちゃんと幸せを感じているだろうと思います。

どんなふうに生きるか、三島、夢野、桐野はそれぞれゲイとして生きるということがどういうことかを真剣に考えた結果、それぞれの道を歩んだ。
その中には柳田先生のようにねじ曲がって、精神に異常をきたしてしまった人もいる。(ひと夏の大事件、未遂に終わって本当に良かった。そして可哀想な人だったと思います。)
世間ってなんだろう。
自分らしく生きるってなんだろう。
それぞれが選んだ道が、それぞれの答えでした。

この作品はBLらしい萌えとは全然違う次元の重みを与えてきますが、
かと言って、どうしようもない不幸な出来事のように描かれていないところが良かったです。
だって、同性愛者であることそれ自体は不幸なことではないからです。

そしてBLではあまり描かれない、それぞれの家庭の様子や親の考え方もしっかり描かれています。三者三様にお母さん達の子を思う気持が伝わってきました。それぞれに良いお母さんたちだと思います。
一人の人間が、たくさんのしがらみの中で複雑に生きていることをリアルに描いていると思いました。
私は三島の母親のようなタイプの考え方なので、彼女に共感する部分は多かったです。
もちろん親の立場としての意見は意見として言いますが、その上で本人が選んだ道ならどんな辛い目に遭おうとも納得できると思うから、自分の道を選んで欲しいと思うのです。
人から言われて仕方なく選んだ道なら後で後悔するだろうから。

同じ後悔するなら自分の選んだ道で後悔したい。そして願わくば後悔ではなくそれを糧に前に進んでいきたいと思う。

永井先生の作品は、一貫して「私は私で お前はお前だ 人生それぞれだ つらくても お前はお前の道を行け」
三島母の言葉ですが、これをずっと言い続けておられるように思います。
今までの作品は濃厚なギャグが多く、永井先生のメッセージは見落としがちにされてきたように思いますが、確実に画面の中に埋まっています。
この度、こういった作品に仕上げたことによって、そのメッセージの部分が昇華されて伝わってきたように思いました。

この作品はテーマが重いので、誰もが「ジェンダー」や「マイノリティに対する差別」といったものを意識せざるを得ません。
どんな立場にせよ、根本を考えるということは、時に必要なのではないかと思います。
しかしながら、この作品が本当に伝えたいことはそこではないように思います。
もっと言えば、おそらくそういったジェンダー論とかそんな次元を飛び越えて、永井先生には言いたいことがあるんだと思います。

なにものであろうとも、『お前はお前の道を行け』。

39

感動しました

sideAに引き続き、こちらも読ませていただきました。

感想は一言では表しきれませんが、とにかく涙が止まりませんでした。
三島、夢野、桐野の三人が、それぞれ悩み、考えて選んだ道。
そこには家族の存在が大きく関わっています。皆母を大切に思う気持ちは同じで、母が子どもを大切に思う気持ちも同じなのだけど、考え方は違うわけで…そのことが、三人の道を左右することになります。

ラストは切ない部分もありますが、救いがないわけではなくて良かった。
それぞれが、自分の描いた理想とは違えど、幸せであることを願って止みません。

今まで読んだBLの中ではトップクラスの作品でした。
何度でも読み返したい、宝物のような作品だと思います。

7

ふゅーじょん!で開花

永井先生のお話は今まで自分は合わないと思ってました。
ギャグの路線過多だと、合わなければそこまでというか……。
でもコレは凄い面白かったです。
ふゅーじょんぷろだくとさんの雰囲気と永井先生は
合ってるんだろうなと思いました。
シリアスなお話の方が永井先生らしさが生えますね!

このお話を見てて思い出したのは、同性愛セクハラの
2chのスレッド。
自己否定をし続け、勘違いし、欲望を解き放って相手に願望を押し付ける……

それで傷ついたり、成長したり。

実際起こりうること。

それがリアルでとっても良いし、永井先生のギャグセンスで
しんみりした感じにもならない。
意図したエロでなく、ふとナチュラルにエロスを感じたりする
そんなコマ割りでGOOD!

イチバン良いのは皆のママ。理解があって凄いなと思いました。
あんな母ちゃんになりたい。
物事を色んな角度から見て、子供の不安を軽くするような母ちゃん。
いいな……家族って!
今年3本の指に入る秀作だと思います。
是非読んで下さい!

5

素晴らしい!です。

side:Aの冒頭の部分を立ち読みして、痛そうな話だと思い手に取ることがなかったのですが、あまりの高評価で、思わず購入してみました。

買ってよかった!素晴らしいです。内容はほかの方が書いてくださっているので感想を。

話としてはかなりシリアスです。いじめ、レイプ未遂、噂話。などなど。なのにカラッと読めてしまう。三島の屈託のない性格のおかげかなと思うのですが、永井先生の所々で出てくるギャグのセンスによるところも大きいのでしょう。個人的に柳田先生が三島に対して黒い妄想をしている表現が非常にツボでした。

お互いに、口の出すことのできなかった秘密を共有する事で急速に近づく三島と桐野。たったひと夏の出来事だけれども、素の自分をさらけ出し、その思いを認めてもらえ、共有できた彼らは幸せだったろうなと思うのです。

それに引き替えぺドの性癖を持つ柳田先生。彼のしたことは明らかに間違えている。人としても大人としても。けれど、番外編で書かれている彼の過去の話の時に、彼を受け入れてくれた人がいたなら、と思わずにいられません。

三島と桐野のお母さんたちは息子の性癖を知った時に全く異なる対応でした。「自分の気持ちのままに生きてほしい」と願う三島のお母さんに対し、拒否反応を示す桐野のお母さん。けれど桐野のお母さんも「息子を理解したい」という気持ちはきちんと持っていて、息子と正面からぶつかる。

それが柳田先生のお母さんにはなかった。納得できなくても、受け入れてあげてほしかった。三島を襲ったときに「俺を受け入れてくれよ」と言った先生があまりに哀れでした。

多分、先生にとって、三島が「パンドラの箱」だったんじゃないかと思うのです。自分の想いを唯一受け入れてくれた初恋の彼を彷彿とさせる三島。ダメだと思う自分もいるはずなのに日増しに募る三島へのよこしまな想い。
先生を素のまま受け入れてくれる人に出会ってほしいと願ってやみません。永井先生、柳田先生の話をスピンオフで描いていただけませんか。熱烈切望中です!

他の方も書いていらっしゃいましたが、桐野の選択はそうきたか!と思いました。
でも自分を受け入れようと努力してくれた母親。今まで家庭を顧みることがなかった父親が、母が倒れたのをきっかけに帰ってきた。そうした家族を守るための選択だったのだろうと、彼の強さを感じました。そしてなにより、三島と過ごしたあの夏の日々が彼を支えてくれているのだろうと。

BLというジャンルを超えて、悩み多い年頃の子どもたちに、そして多くの親に読んでほしい作品です。

永井先生の作品は初読みでしたが、非常におもしろかった。違う作品も読んでみたいと思います。

17

それぞれの、選択。それぞれの、幸せ。

桐野の選択。
そしてラストシーン。
一見、静かで幸せな日常風景なのに、
どうしてこんなにも涙が止まらないのか。


読了後、すぐにはレビューを書けず。
とにかく、生涯忘れられない物語に出逢ってしまった、と思った。
何度も読み返しては、ラストに向けて気持ちが揺さぶられて泣いた。

親子愛、同性愛、友情、性癖…そんな様々な感情と、
感情を殺さねばならない「普通」の日常が絡み合う。
少年たち葛藤を描いた映画のような作品だった。
BLっていうジャンルに留めておくのは勿体無い。
それが読み終えての一番の感想。

こういう風に概要を書いちゃうと、
なんか堅いイメージがするけど、
実際は堅過ぎることはなくて。
作者のギャグセンスがうまく効いてて
シリアスな内容をぐいぐい読ませてくれる。

三島が暗くないのもすごくよかった。
自分の顔に自信持ってるし(笑)、
いじめられても、しょーがないじゃんそうなんだから、
って開き直ってるところがある。
将来も漠然と考えてるけど、
悲観的じゃなくて模索している感じがして、
物語を暗くし過ぎていない。

対して、桐野の葛藤は
三島よりももっと深かったんだろね。
女になりたい気持ち。
裏切れない大切な母。
三島とは、少し違う方向軸で、男に愛されたいっていう欲求。
三島がゲイなのに対して、
桐野は性同一性障害みたいな感じだったのかな。
だからこそ、あのラストシーンの切なさは容赦がない。


この二人に流れてた友情は、
かけがえのないものだったね。
桐野の決断の日は決別の日でもあり、
その日から三島とも意図的に同じ時間を過ごさなかった…。
でも大人になった桐野は、
幸せも感じていると思うんだ。
選ばなかった選択に想いは馳せるけれど、
今の自分も幸せには違いない、そう思ってくれてるといいな。


世の中でいう「健全」。
親の望む「普通の幸せ」。
たとえ異性愛者でも、
このことについて考える人って多いと思う。
妙齢で覚える結婚出来るかどうかの不安とか、
少しだけ似ている。
「普通の幸せ」が何なのかってこと。
他人と同じようにするのがいいの?
でもじゃあ私の意志はどこにあるの?って。

人それぞれ、理想の幸せって違うけれど、
過去に自分が選ばなかった選択肢は、
もうその時に戻って同じ条件で選び直すことは
決してできないからこそ、忘れられなくて切ないのだろう。
今までの全てが正しかった、と言い切る人なんていないと思うし、
そんな経験を多かれ少なかれ経て大人になって来たからこそ、
この本はこんなにも読者の心を揺さぶるんじゃないかな。


普段BL読まない人も含めて、
心から、お勧めします。

14

胸が苦しい…

柳田の魔の手にかかる三島は!?てな前巻からの続き。
柳田の行為は許されないしムカつくけど、受け入れてもらえなかった過去を慟哭するセリフは、やっぱり悲しい。
その後の夢野と三島の危なげな進展や、口煩いオバサンたちやら、マイナス展開が続くけど、現実ってそんなもんだと思うから、三島や桐野の苦しさが胸に迫ってくるし、共感もできました。

だから、二人の桃源郷行きの結末は、本当にこれでいいのかなぁ…というモヤモヤが残ってしまったんですけどね。
桐野は、自分のために選んだと言ってるけど、これはやっぱり母親のためでしょ?
いつか大切に思える人(♀)と幸せな結婚だってできちゃうかも…って、この時点ではバイかどうかもわかんないのに…やっぱり女を受け付けなかったら、どーすんの?
願わくば、桐野が偽装とかでない真性のバイでありますように。
「少年時代の終わり」だとか「美しい思い出」とか言って、あの時の気持ちに蓋をするような生き方じゃないことを祈りたいです。

まぁその分、三島のその後がホッとできたから、良しとしますが。
子どもの幸せは親の考え方一つ、親の懐の深さでもあるなーと、しみじみ感じ入った作品でした。

3

すべてがまとまった

評価に迷いはありません。ただ、永井先生のギャグが肌に合わない方は、面白く感じられないかもしれません。
でも、sideAを読んで「なんだこりゃ~」と思って、sideBを買わないでいるのはもったいないです!!!Aを読んでいるのならば、必ずBも!!!

メインの3人、そして柳田先生、それぞれのパンドラの箱はとても苦しかったです。
柳田先生の1ページまるまる使ったあのシーンはものすごくゾワゾワしたのですが、そのあと三島が言った「…ひっこんだ」でオイ!と笑ったり。
桐野の言うように柳田先生がしようとしたことは許しちゃいけないことだけれども、三島には柳田先生の辛さが少し…分かったんだろうな。
あと、夢野が思いを寄せていたのは、すこしきれいな女の子…のような男の子。彼は生粋のゲイではなく、ノンケ。だから抵抗があって当たり前ですよね。あのまますんなりと「お前のならいける」とかじゃなくて、普通なんだと思いました。
三島は確かにそれで傷ついていたけれど、仕方ないとも割り切れていて、彼はとても大人びているなぁ。桐野のこと、柳田のこと、夢野のこと、すべてを受け入れている。彼のお母さんが三島のことを『強くて優しい人間』に育てたのは間違いないです。そして、たくましい。
たくましいからこそ、桐野も三島にならパンドラの箱を開けて見せることができたのでしょうね。三島にはその気はないにしても、桐野は確かに三島を大切にしていたし、三島にしか開いていない心の奥底があって、そうしてひとときでも誰かに見せることができた桐野はしあわせなのだと思いました。彼にとってのなによりは、自分じゃなくて母親の笑顔なんです。そこが読者側としては辛かった、心が抉られました。
自分を殺してでも母親の笑顔を大切にしたかった。桐野もまた【強くて優しい人間】です。

桐野が、「もう夏も終わりだなぁ」と言った時、彼は在りし日に三島と目指した桃源郷のことを考えているんじゃないかと感じました。終わりゆく夏に、今ある自分の場所、父親としての立場、寂しさじゃなくて、これでよかったと、そう思っていてほしいです。
なんだか、つい望んでしまいます。
誰よりも桃源郷へ行きたかったのは桐野ですもの。しあわせであってほしいんです。
三島と夢野にも安心したのですが、桐野のことが気になって、仕方なくて。今も絶対にしあわせであるんだと思いたいです。

描き下ろしでほっこりしたのは言うまでもなく。
夢野パパ、本編でもそうでしたが可愛らしい(見た目はオラオラガチムチアメリカーンだけれども)人で。きっとそのうちに三島と仲良くなって、夢野が妬いたりするんでしょうね。

誰も彼もが、自分の望みをそのまま叶えられるわけじゃなくて、必ずどこかで無理は生まれて巧くはいかなくて。巧くはいかないけど、でも何かしらを我慢して望みに近しいところまでは持って行ける。
巧くやるには誰かを傷つけたり、傷ついたり、あちこちにぶつかりながらもそれでも前に進むしかない。本心を隠したり、建前を作れなかったり。誰かを悲しませたり、喜んだり。すごく繊細で、上手く言い表せないやるせなさがこみ上げる、良い話でした。

いつか桐野と夢野と三島の三人で、仲良くあの田舎の町を歩く、できれば彼らが密に過ごした夏、夕暮れの中。別に昔話なんてしなくてもいいから、はにかんで笑って肩でも抱きながら、懐かしみながら、三人が笑顔で話をしている…そんなシーンが見れたらいいなと思います。

12

人として重なる部分

これはBLの枠など遥かに越えた作品だなぁと思います。
映画化(アニメでも実写でもいい)して欲しいくらい良い作品だと思いました。
そして、ゲイ映画祭に出して欲しい。
欧米の映画ゲイ映画を彷彿させるものがあるなぁ、と。
でも日本独特の閉塞感もあるので、素晴らしいなぁ。

三島や桐野、夢野、柳田先生の葛藤を読んでいると、男性だけではなくて、女性にもあてはまる色んなものをたくさん感じました。
あまりに深い話で「少年よ大志とか色々抱け」と同じ作家の作品とは思えなかった。
あ、少年よ…も大好きですよ、別の視点で!

友人への見栄で自分を裏切った発言をする夢野は、素直で正直すぎる分、何をしても憎めない。
でも、まわりはそれに小さな引っ掻き傷をずっと抱えていたりする。
夢野は三島や桐野につけてしまった傷に、素直に何とかしようと足掻くから、相手は傷を隠して受け入れられるけれど。
ノンケな夢野が三島の裸に衝撃を受けるシーンなんて、三島達とは違う形で苦悩を抱えていて、かなり切なかった。

三島は自分が何もしなくても、相手が変な気を起こしてしまうから、いつも騒動の中心になってしまう。
綺麗だったり守りたくなったりする事が、周囲からは誘っていると見られてしまい、噂の中心になってしまう。
柳田には、お前が悪い、と言われてしまう。
こういう事は、女でもあったり言われたりする事なので、三島にはものすごく親近感を持ちました。
結局、一番素直で一番自分に正直に生きられて、葛藤はあるだろうけど幸せだろうな、と思います。
これからもずっと、別の選択をした桐野の事を心の片隅で思い続けるんだろうなと。
二人の友情が、とても愛しくて切ないです。

そして、親の期待に押し潰されそうになり、結果押し潰される桐野と柳田は、もっとも切ない。
桐野が母親から言われた言葉も、死にたくなるくらい切ないし。
言ってしまった母親の苦悩も、すごくわかるし。
読み手にも、桐野や柳田の家族とのやり取りは、重なる部分がある人もいると思う。
私もこの二人の家族との葛藤が、一番共感しました。
夢野や三島の親みたいに理解ある方が、少ないと思う。
かなり緩くなった今でも。
桐野や柳田の親みたいな反応が、やはり一般的な気がします。
だからリアルだし、切ないし、最後の桐野の笑顔が涙を誘うんだと思いました。

BLの夢物語とは違う、リアルな感じが新鮮でした。
永井三郎先生独特のご近所さんとかギャグで救われる部分もあって、陰だけではないので読みやすくて楽しかったです。

13

それぞれの桃源郷

BLというよりもセクシャルマイノリティな人達の生き方を描いた作品、という印象が強いです。
思春期に自分の歩く道を選択するその姿は本当に切ない。
舞台が田舎というのもきっと大きいのですが、今でこそ理解あるような風潮になってきているものの、それでも本当に生きにくいよなぁと考えさせられました。
普通のBLでは上手くいくところがそう上手くいかなかったり、一応ハッピーエンドではあるものの、読後とても切ない気持になりました。

中でも一番辛かったのが、桐野の選択。
女性への大きな憧れと母親の笑顔を天秤にかけ桐野が選択した道が、彼にとって幸せだったのか。三島と別れる時の「がんばれ!」はどんな表情で言ったのか。答えはきっと読者に委ねられているんだと思います。

三島は最後に「これが自分だ」という答えをしっかり出していて、夢野とも上手くいっていて、もちろん苦労は沢山あると思いますが、分かりやすい幸せの形を手に出来たんだと思います。

それぞれの選択は、母親や周りの人々との関係性に左右されるところも大きく、思春期の少年たちにとっては辛いなぁと思いました。
柳田も、きっとその頃に理解ある人と出会えていたら何かが変わっていたのかもしれません。

余談ですが、SIDE:Aを知らず先にこちらを買い、一番最初の柳田の場面でホラーかと思い、急いでSIDE:Aを買いに走りました。
主要人物はもちろん、おばちゃん達や先生の描き方も個性的で、色んな方向から魅せてくれる凄い作家さん・凄い作品に出会えて良かったです。

10

初めて泣いたBL


SIDE:Aを買い、ずっと続きが気になり悶々としていたので即・購入しました。
この作品はとても現実的です。
BL世界にありがちな、すんなりとゲイカップルが受け入れられている世界ではありません。
ゲイが否定され、嫌悪され、隠し通さなければいけない世界。
三島が好きだと思っていた夢野も三島の性別を再認識し、一度は引いてしまう場面など、人々の現実的な心の動きを細やかに描いています。
(他作品を否定しているわけではないのであしからず)

噂が蔓延る閉鎖的な田舎、セクシャリティに疑問を抱き、葛藤する少年。性癖を否定され歪んでしまった大人。
自分の本当の姿を隠し続け「桃源郷」を夢見る姿がとても切ないです。
主要な登場人物同士の掛け合いだけでなく、それぞれの少年が性癖を告白した際の母親たちの反応もとても考えさせられます。

上京し、女装をしながらメイクアップアーティストとして生活する三島。一度は三島を拒否したものの少しづつ歩み寄り、受け入れることができた夢野。それに対して、女性になりたい願望を隠し『普通』として生きることを選んだ桐野。三人の選択や未来は違っても、自分で生き方を決めたことで、3人は歪まずに生きて行くことができたのではないでしょうか。
結果的にはハッピーエンドなのですが、読後にちょっと切なくなる不思議な話でした。

この作者様はギャグを書くのがとてもお上手ですが、シリアスな場面との切り替えがスムーズです。真剣なシーンにいきなりギャグコマが入ってきてどうしていいかわからなくなる時がありますが(笑)

まさかBL漫画で本気で泣くとは思ってもいませんでした。
繊細な心理描写がとても胸に響き、本当に永井三郎先生の作品が大好きです。
これからもこのような作品を描かれることを期待しています。

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