横顔と虹彩 イエスかノーか半分か 番外篇

yokogao to kousai

横顔と虹彩 イエスかノーか半分か 番外篇
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神191
  • 萌×286
  • 萌19
  • 中立9
  • しゅみじゃない5

140

レビュー数
33
得点
1365
評価数
310
平均
4.4 / 5
神率
61.6%
著者
一穂ミチ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
竹美家らら 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
イエスかノーか半分か
発売日
価格
¥620(税抜)  
ISBN
9784403524165

あらすじ

ADの深(しん)は敏腕で気難しいPの相馬に憧れていた。
新しく担当することになった報道番組の現場でむやみに明るいアナウンサーの竜起(たつき)と知り合い?

表題作横顔と虹彩 イエスかノーか半分か 番外篇

スポーツ担当アナウンサー、27歳
竜起と同番組担当AD、27歳

その他の収録作品

  • 翌朝と憂鬱 あとがきに代えて

レビュー投稿数33

半分で良かった男が、全て一人占めしたいと思った恋

「イエスかノーか半分か」のスピンオフ、明るく飄々とした男・竜起の物語です。そして相手は不器用(性格が)で頑固なAD・深。

「国江田さんが、いっぱい出て来るといいな~」などとリラックスモードだったのですが、読み進めるうちにどんどん引き込まれて、あっと言う間に読了です。
感想としては、もう「さすが…!」という言葉しか出て来ないのですが…。
クスッと笑えたり、しんみりしたり、感動で目頭が熱くなったりと、一気に読ませてくれます。

内容としては主役二人の成長もの。局アナの竜起(攻め)とADの深(受け)が、仕事を通じて関わり合ううちに…と言った感じです。
こう書いちゃうと簡単ですが、実際にはすごく深いです。局アナとAD、立場は違えど、仕事に対しての意地や見栄だったり、挫折や熱い情熱が、等身大でしっかり書かれています。実際に目の前に彼らが存在するようなリアル感で。

更に周りの登場人物が魅力的なんですね。それぞれ、かなり個性的でクセが強いのですが。
特に受けが心酔するプロデューサー・栄に至っては、もう影の主役と言っちゃっていいのではないでしょうか。この方に関しては泣けました…。生き様が凄まじ過ぎて。

この作品、竜起×深ではあるのですが、+栄の変則的な三角関係でもあります。深の中では、栄がかなりの割合を占めているのですね。深の栄に対しての感情は複雑過ぎて、何だか全然説明出来ないのですが…。
とりあえず言えるのは、絶対的な存在だという事。

萌え所は、受けの関西弁。「好きだ」が「好きや」になるだけで、何故か萌え度アップ。更に絡みでの「あかん…」には悶絶です(//∇//) これは個人的な好みが大きいと思いますが…。
後は、受けのツンデレぶり。普段は関西弁で、竜起とポンポン小気味よい会話をかわすのですが、終盤に見せるデレが破壊力抜群なのです。「怒らんとって…」なんて言われたら、竜起じゃなくても「反則」と言いたくなるでしょう!!
そして、竜起の嫉妬ぶり。栄に嫉妬しまくり、もうグイグイ二人の間に割り込んで来るのですね。個人的に、攻めが受けの周りの男に嫉妬するというのが大好きなんです。受けに対しての愛が深く感じて。

更に嬉しかったのが、国江田さんがちょこちょこ登場した事。相変わらずの毒舌ぶりや、竜起の代打としては格好良すぎる姿を見せてくれるのです…!
残念ながら潮の登場は1回だけですが、彼が作った晩御飯に計への愛情がしっかり感じられました!

絡みは最後に1回。やっぱり関西弁で喘ぐ受けに萌えます。あと、絡みでも自分らしさ全開の竜起に笑えます。イキそうになると萎える映像を思い浮かべて…というのがありますよね。「マジで感謝だぜ、父ちゃん…」の台詞にはプッと。

正直な所、番外編なら潮&計カップルの方を読みたかった…という気持ちが大きかったのですが、読了後はそんな気持ちは吹き飛んでいました。すごく面白かったです。
こちらのカップルも、皆さんお気に入りになるのではないでしょうか。


20

愛おしくて胸がぎゅーっと

国江田さんの後輩の皆川くんのお話です。
スピンオフってやつですね。

自分、「イエスかノーか〜」が好きすぎるので読む前はちょっとだけ心配でした。期待が高まり過ぎちゃって、外れたらどうしようかと。
国江田さんメインの時はそんなに皆川くん好きじゃなかったし。
一穂先生の作品はものすごーくハマるものと、イマイチしっくりこないものがあったので。

読み終わった結果、すごく胸がぎゅーっとなって。
皆川くんのことも、そのお相手のなっちゃんの事も大好きになりました。
(個人の感想なので、違った人はごめんなさいなのですが…)
国江田さんも潮もちょこっと登場しますし、相変わらずお仕事頑張ってるし、仲良しで良かったな〜と思いましたが、あくまでサブキャラで。
このお話はちゃんと皆川くんのお話でした。
イエスかノーか半分か番外編っていうサブタイトルなくせばいいのにってくらい。
皆川くんとなっちゃんが、それぞれのお仕事を通して自分の人生に真剣に向き合ってて。迷って。闘って。
すごく愛おしかったです。

お話はなっちゃん視点と、皆川くん視点の両方で進みます。お互いの気持ちがちょっとずつちょっとずつ近づいてくっつく感じ。
軽い印象だった皆川くんも、皆川くんなりの信念や思想があって、悩みもあって。
もがきながら人を好きになる。
あー、本当に愛おしい。

ニュースだけでなく、バラエティやスポーツ中継の現場も出てくる今作。
登場人物がみんなひたむきに命懸けで番組と向き合っていて、当て馬的ポジションの相馬さん(なっちゃんの上司)ですら愛おしく感じました。

Hはちょっと少なめかと思います。
なっちゃんが関西弁なのが可愛いです。
皆川くんは太陽属性のイケメンですが、なっちゃんは多分無自覚なかわい子ちゃんかと。

始まったばかりのカップルなので、続きが読みたいです。

10

皆川竜起の人としての成長を見守りました

「イエスかノーか半分か」で若手アナウンサーとして出てきた皆川竜起が主役のスピンオフ作品です。

イエスかノーか半分かでは計くんと潮の恋が結ばれるその大事な役目、もといキーパーソンで、その後続編でも計くんと潮の間に入ったり、場を盛り上げたり、時には頑張ってくれるとても素敵な人でした。
そんな彼がまさか主役を!ととてもドキドキしてましたし、一穂ミチ先生ならきっと素敵な作品を書いてくださるのだろうと期待していましたがいやまあ期待以上でした。

今まで人生イージーモードで言い方を悪くすると「何でもできちゃう」「何でも持ってる」「甘やかされてる」そんな彼がADの深に出会い、恋に落ちる物語です(と言ったら違いますが(笑))
イエスかノーか半分かの2人も3作品の中で大きく成長するの感じましたが、今回はこのメイン2人の成長物語でした。
お互いに「現状に満足している」からこその苦悩や苦労などが描かれており、自分が有耶無耶してきたことをズバリと突かれるシーンでは見ているこっちもドキッとしてしまいます。
一穂ミチ先生の「成長」の為の困難や人間はとてもクセがあり、読んでいるこっちもとてもハラハラします。頑張って欲しい、負けないでほしいと思う一方、私なら心が折れる、という所を頑張って乗り越える姿には涙が出ます。
出てくるキャラ全員が悪い人じゃないのに、腹が立ったり、嫌になったりするけどそのキャラクターにさえ愛しさを抱かせてしまうのは一穂ミチマジックです。(笑)


計くんと潮が好きでスピンオフどうなのかな…?と思ってる方にこそ読んでもらいたいです。皆川竜起、とっても大きくなりましたよ!(笑)

10

面白かった…

『イエスかノーか半分か』のスピンオフ。計に恋していた(振られちゃったけど)竜起くんのお話。都築×計がナイスコンビ過ぎたので、スピンオフの話に入り込めるか心配でしたが、うん、さすがというかすんごい面白かった。

竜起が主人公のお話なんですが、視点は番組AD・深くん(愛称・なっちゃん)なんですね。それがまた斬新でいい。読み始め、「んん?誰のお話?」と一瞬思うのですが、それがまた面白い。

自分に自信があり、緊張とは無縁で生きてきた男、竜起。
ゲイであるという引け目から他人の目を見て話をすることのできないなっちゃん。
全く真逆の性格のように見えて、仕事に対しては真摯であるとか、他人に気を配るのが上手とか、シンクロする部分も多い二人。

とにかくなっちゃんという青年が魅力的でした。
彼の秘めた切ない過去の恋。
そんな時、自分を救ってくれたバラエティ番組。
そして、その番組と、番組をつくるプロデューサーの栄への献身的な行為。
とにかく一生懸命な男の子で、でも健気なだけでなく自分の仕事にプライドを持って働くなっちゃんが素敵でした。
で、彼が関西弁を話すっていうのも良かったです。関西弁を話すという事で、前向きで、逞しくパワフルな竜起のパワーに負けないキャラに仕上がっていたような気が。

『イエスか~』のスピンオフなので、もちろん竜起が主人公。
なんですが、なっちゃんが敬愛する栄という男が魅力的で、正直、なっちゃんには竜起ではなく栄とくっついてほしいと思ったくらい。
自分の仕事にプライドを持ち、ずっと孤高の戦士であり続けた彼がとってもカッコよかった。
個人的には竜起は栄に完全に喰われちゃってましたねえ。

タイトルも秀逸だったと思います。
『横顔と虹彩』。
正面から顔を見ることができず、こっそり栄の横顔だけを見つめてきたなっちゃん。
まっすぐ自分の目を見て話せ、といった竜起に応えて、久しぶりに人の目を見ることができるようになったなっちゃん。

っていう意味かな、って思いました。

次は栄さんに幸せになってほしいな。
スピンオフを!所望しております☆

一穂さんて、働く男を描くことが多い気がしますが、その仕事の描写が凄く丁寧なんですね。すごくしっかり下調べしてるんじゃないかと思うのですが、そのおかげで話に入り込みやすい。テレビの裏側に興味がわいて仕方なかった。

個人的に一穂作品には竹美家さんの絵柄が一番しっくりくるんですが、今回も良かった。
ほんわかしているけれど、でも一本筋の通った話、を端的にイメージされた挿絵だったと思います。

都築×計、のCPももちろん大好きなのですが、個人的にはこちらの話のほうが好きかも。
文句なく、神作品です。

10

一抹の寂しさをふっとばす面白さでした

シリーズ初のスピンオフ、イエスノーシリーズも竜起のキャラクターも好きなのでもちろん楽しみ、でも計と潮の物語は前作で一段落なのかなと思うと寂しさもあって。やや複雑な心境でしたが、読み始めたら面白くて一気に読み終えてしまいました。
竜起と深が仕事を通して成長していく様子が良いです。竜起と深目線で物語を読んでいるので、二人がキツイこと言われてると「何なのこの人!?」と思ってしまいますが、キツイことを言う人がただ嫌な奴で終わらないのが面白いところ。キツイ発言にはちゃんと理由があって、それが分かった時にそういう意味だったのかと納得させられてしまう。竜起と深が凹んでから前に進んでいこうとするところが読んでいて清々しかったです。陽気な竜起が国江田さんに凹まされたのは、巻を重ねた今だからこそのエピソードだなと思います。1巻目の国江田さんも竜起の代打を上手くやるだろうけど、竜起を悔しがらせて成長を促すような仕事ぶりには何となくならなそう。
竜起と深が少しずつ距離を縮めていく様子ももちろん良かったし、相馬さんだったり、1巻目からちょこちょこ出てる設楽さんだったり、サブキャラも魅力的。計と潮でも、竜起と深でも、全く新しいカップリングでも良いので何かしらの形でまたシリーズの新しいお話がまた読めたら嬉しいな。

6

改めてホント好き

なっちゃんがひたすらいじらしい…。
こういう、一生懸命なひとがうらやましいという気持ちもあります。
自分が仕事に対してやりがいを感じられなくなり、
必死になれたのは若い頃だけで誠実とは言えないからだと思いますが。
若さだけでどうにかなる情熱ではなくて、
盲信するほど尊敬できる人物、つまり栄ですが
もしお払い箱にされたらどうするんだろうという未来の不安も込みで
決して安心できる環境にはいないのに充足感がハンパない強さ。
栄を崇拝していた事が…という展開が非常に苦しくもあり
誰にでも訪れる感情では無いだろうから
それも経験のうちだねなんて大人ぶりたくなりつつ
まっすぐさに打ちのめされそうでした。

そんななっちゃんを好きになった竜起、
『イエスかノーか半分か』本編で憎めないヤツとは思っていましたが
こんなに魅力的だなんてずるいな!!!!!
ただ闇雲に明るいだけじゃない面なんて知ってしまったら
当初は苦手だったなっちゃんも
そりゃ好きにならずにいられないでしょうよ…。

設楽さんと計の凄味も相変わらずで
仕事でのそれぞれの思惑や感情がずっしりきますが
人間らしさがとても好ましいです。
特に栄は関わりたくないタイプだなぁと思わせておいて
そう来ますか!!という徹底っぷり!

会話のテンポで笑わせてもらいながら
重くなりすぎずほろりとしてあたたかい気持ちで読み終えさせてくれるのは
もう流石だとしか言いようがありません。

6

いや、これ本当にすごいですね

毎度思うことなんですけども…
作者さんの、業界見聞というか取材力の賜物というか、緻密な情報量に驚かされるばかりで…ちょっと言葉になりません。

アナウンサー・AD、プロデューサー、芸人…今回ざっとこれだけの肩書きを持つ登場人物がいたのにも関わらず、一つ一つの仕事の内容や組織的なありよう、話す原稿の内容から、お笑いのネタまでも、全部に見入って聞き入ってしまいました。一穂先生の頭の中はどうなっているのでしょう、すごいのひと言です。


皆川は登場し始めたときから、好きなキャラクターだったので、このターンは嬉しかったです。想い人である名和田はADで、皆川と性格は違うけど、キャラも仕事も違うからこそお互いの仕事に対するスタンスに影響を受け合って、それがやがて恋愛的な意識へと向かう過程が、ゆっくりとこじつけも無理矢理もなく、読んでいてとても自然だと感じました。

テレビ局の仕事も専門職の1つ。彼らの仕事描写は BL小説だということを忘れて、「情熱大陸」さながらのドキュメンタリー番組の気持ちで見てしまいました。 BLの要素はほんのりと…エッセンス的な濃度なんですよね、最初は。それが仕事を通して、関わっていく人たちを通して、トラブルや問題を通し、今までやってきた努力や研鑽が実を結ぶ結末を通して、グングン右肩上がりに調味料のレベルまで BL濃度が濃くなっていきます。

もーーーほんとに圧巻ですよね、ストーリー構成が。
独特のセリフ回しもそう。
おしゃべり陽キャの皆川と、関西弁の名和田だったから会話の掛け合いが非常にリズミカル。テンポの良い、クスッと笑えるネタを入れるところもさすがでした。

陽キャの塊の皆川の陰の部分も見えたことで、彼という人物像に深みが出ていました。私は皆川がお気に入りなので、彼の凹んだところも、それを挽回すべく努力しているところ、涙し感動してしまいました。
名和田とのガッツリ「恋愛」は、本当に最後の方になるんですけど、わたし個人的にはそれくらいの量で良かったと思います。ページ的にあまりなくとも、2人は幸せに満ちていました♪


次は番外編2を読むのが楽しみです^ ^

5

余韻がすごい

読んだ後の余韻が半端じゃないです…
イエスかノーか半分か1巻で、竜起の真っ直ぐさというかズカズカ心の中に入ってくる感じが非常にツボだったのですが、今回は計の時より微妙に奥手な竜起が新鮮でこれまたツボでした!
お相手のなっちゃんもキャラがいいですね。
憧れの人にはどこまでも忠実で一途な感じがかわいかったです…。

個人的な意見ですがちょーーーーっとだけうっすらと栄さんとなっちゃんの可能性も期待してました!結局ふわっと香った程度でそんなことはなかったのですが……。
でも最後は非常にすっきりした収まり方だったのでその分余韻が酷いです………。
お互いの欠けたところを埋め合える関係ってほんとに素敵だと改めて感じる1冊でした!!

4

太陽のような恋をして

TV局を舞台にしたイエスノーシリーズのスピンオフである虹彩シリーズの第1作。

本作は、本編では当て馬ポジションだった後輩アナウンサー皆川と、新たな登場人物AD深が主役です。

要領良く明るく楽しく順風満帆で生きてきた皆川は、本作で(おそらく)初めて挫折し、その悔しさをバネにアナウンサーとして一歩進みます。
またAD深は、心底惚れ込んで担当し、コマネズミのように一生懸命働いて尽くしてきたバラエティ番組が打ち切りになってしまい、憧れなのか恋なのか分からないほどに心酔して雛のようにくっついていた、その番組のプロデューサー相馬との別離も経験することになります。
それぞれにそういうビターな経験を積む中で、互いが互いにしか見せない素顔に恋して結ばれるまでがこのスピンオフ一作目の粗筋です。


この作品、何はともあれ皆川というキャラが素晴らしい!

元々本編シリーズでも、明るくて頭が回って面白くて要領が良くて、と絶妙な狂言回しとして大活躍していた、絵に描いたような「コミュ充のリア充」なキャラなのですが、こういうキャラって、一歩間違えるといかにも書き割りの嘘くさくて鼻持ちならない感じになりがち。
でも、本作品ではテンポの良い会話や行動の描写に支えられ、属性が空々しくならず、とても生き生きしていて魅力的なのです。
眩しいくらいキラキラしていて陽性なのだけど、だからといって、優等生な王子様でもなく、普通に働いて普通に文句も言って、ラーメン屋さんにいって、面倒くさい取引先に絡まれて…と言った地に足がついた二十代男性でもあって、この辺の書き方の塩梅が絶妙。
話の内容は、仕事の失敗だったり、番組の打ち切りだったりと、結構シビアな展開を含むのですが、彼が主役の一翼を担う事で、読後感がとてもポジティブになっている気がします。
過去の苦い経験から、人と目を合わせられず、いつもビクビクと怯えるように、追い立てられるようにして働き、相馬の子分的存在から踏み出さずにいた深が、彼の前向きさに感化され、一人前の自立したスタッフとしての働き方に目覚める過程も納得です。
こういうキャラをこんなに魅力的に描けるのってすごいなあとときめきながら読んでました。


主な舞台は本編と同じく皆川がスポーツキャスターをしているニュース番組。
本作ではそれにプラスして深が惚れ込んで仕事しているバラエティ番組も重要な舞台となっています。
本編シリーズはカップルの片割れがTV局外部の人だったのに対して、この虹彩シリーズのカップルは、両方がTV番組制作の現場の人ということもあって、綺麗事だけでは成り立たない番組制作のあれやこれやがリアリティを持って描かれており、TV局の内幕もの、TV局で働く若手の成長を追う、お仕事小説としても興味深く読みました。

ちなみに皆川の挫折というか、悔しい経験には、本編の主人公・計が大きく関わってくるのですが、出番が少ない割に、とても鮮やかで格好良い仕事ぶりを決めていて、計ファンとしても読んでて楽しかったです。


この作品、主役のカップルも良いのですが、主役と同じくらい印象的なキャラが登場します。
才能が突出するが故に、そして番組制作において周りの人間に対して一切の妥協を許さないが故に孤立して倒れてしまった、深の憧れの人、相馬です。
彼とニュース番組の統括プロデューサーとして前からちょこちょこ顔を出していた読めない男設楽とは、何やら因縁がありそうで、この二人の行方が気になる…と思っていたところ、これまたスピンオフで「ふさいで」「つないで」が出ていて、これがまた良いのです。
そういう意味で、本作ではこのふさいでシリーズのプロローグ的にも面白いです。

4

ずっと続いて欲しい

ほんと最高です。
ほとんどがテレビ局の内部で進んでいくのですが、とにかくみんな仕事に命かけてる。
それが一人一人クセは違えど登場人物みんなの、人間としての魅力を感じさせてくれる。
仲良しこよしなんて出てこないけど、それぞれが尊敬し合って尊重し合ってるのがわかる。

今回大好きなシーン。
竜起が喉を潰してしまって国江田にフォローされたあと物に当たるんですよね。自分の場所に自分より上手く面白く即座に座れる人がいる。悔しい。って。
この部分読んだ時に竜起のことがもっと大好きになりました。
まぁ悔しかったのはなっちゃんの反応もあったみたいですが。

今までよりいい意味ですごく人間くさくなったというか、がむしゃらさが出てきた竜起がまた読みたいなー。

あと、初回封入特典ぺーパー。
今まで散々人を振り回してきた(であろう)竜起をなっちゃんが振り回してくれてうれしい。
なっちゃんどんどん振り回していこう!笑

3

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