感情を押し殺してきた この人が逃げないように

囀る鳥は羽ばたかない 9

saezurutori wa habatakanai

囀る鳥は羽ばたかない 9
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神354
  • 萌×231
  • 萌12
  • 中立1
  • しゅみじゃない3

18

レビュー数
43
得点
1931
評価数
401
平均
4.8 / 5
神率
88.3%
著者
ヨネダコウ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
H&C Comics ihr HertZシリーズ
シリーズ
囀る鳥は羽ばたかない
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784813033981

あらすじ

ある目的のため矢代は、桜一家の構成員になった
百目鬼と行動を共にしていた。
部下ではなくなった百目鬼に内心戸惑う矢代だが、
百目鬼は変わらず男に抱かれている矢代に怒りを隠さず、
強引に身体の関係を迫る。
――本当にセックスが好きですね
離れていた四年の間に、百目鬼が変わったことを
矢代は身を以て知ることになり……

表題作囀る鳥は羽ばたかない 9

三和会系桜一家組員
裏カジノオーナー兼金主,40歳

レビュー投稿数43

表紙が神展開を示している

私の生涯No.1作品で毎話Xで感想をくどくど述べており、9巻の感想としてまとめるのがとても難しいです
言いたいポイントごとに書きますが長くなりすみません

・表紙
新章の起承転結の「転」を表しているようなインパクト、心の揺れが見える矢代と百目鬼との手の触れ合い。進展あるよ!と直感に訴えるデザイン
7巻百目鬼、8巻矢代ピンの後の9巻…こうきてこうきてこうー!
矢代が儚げ切なげに潤んだ瞳で百目鬼を見ている。もう目を逸らさない
先生によると矢代の手は百目鬼の手に「添えているのか拒否するのか想像にお任せします」と。先生によくあるどちらにもとれるイラスト。9巻の内容から添えていると見ます(57話、最中にキスしながら矢代が百目鬼に触れにいくシーンに似ている)
冬は全裸の若矢代が三角に拾われ、百目鬼が綱川に拾われた季節。表紙は救いの時季であるとの示唆か。春の前だと
冬は死の季節でもあり、黒コート黒ネクタイが喪服にも見える。矢代の再生の始まりか

・冒頭
─わからなかった これが俺の望んだことなのか
矢代のモノローグよね
デジャヴの続きだし、50話の─ そうか これはかつて俺が望んだ─に関連しているので

・百目鬼の刺青を見て矢代が暴力をふるう。カタギに戻ってほしかったのに本当にヤクザになったことへの怒り。百目鬼は矢代が今も自分への気持ちがあると感じキス
座ったままのキスが5巻と同じ
矢代のかわいい頭や顔を抱きながらキスする百目鬼好き

・キスは優しいけど言葉や抱き方が酷めな百目鬼。再会後ずっときつめの質問口調や酷くしようとしたのは、4年前優しいセックスをしたから捨てられたのか確かめたかったからだと思う

・52話と5巻のセックスの前半、百目鬼がズボンを穿いたままなのは本心からしたくない気持ちの表れかと
57話で全裸なのは矢代が自分にしか反応しない体になり「…好きだよ」(真意を百目鬼なりに察し)を聞き本気になったと思われる

・かき出しても…は百目鬼は自分で処理していない、ママともしていない証拠かと
「何度も何度も」でママに会う暇や形跡もない
「節操がない」と7巻で綱川に言ったのは矢代に対してで、56話で矢代に同じことを言っている。つまりママは百目鬼の女ではないと思う
ママの存在は矢代のフラッシュバック防止のためかもしれない(百目鬼が矢代一筋だとわかったら拒否反応が出る恐れがあるため)

・4年前のように優しく抱かれたい矢代と、優しく抱いたらまた逃げられそうでできない百目鬼
昔の百目鬼を探す矢代と、昔のままでは逃げられてしまうと冷たい態度をとる百目鬼
双方素直になれれば無事両思いだが、まだいろいろあれだから…

・─感情を押し殺してきた この人が逃げないように
矢代の体のことを知り新章初の百目鬼のモノローグ!
矢代は拗ねて今までとは反対のことを言う。淫乱呼ばわりしたとか酷いことしたとか
そこへ
「酷いの 好きでしたよね」過去形
1コマおいて
「…好きだよ」
こう聞かれたら矢代は否定できない
でも本当は優しくしてほしいからこれは嘘。酷くされるのが好きではないと認められた
お前が…好きだよ←だと本当
嘘と本当が込められた「…好きだよ」←ニュー矢代
どちらの感情も認めて言葉にできた
だからこんないい笑顔
56話扉絵の矢代は真っ白な中、裸で少し上を向いたいい顔をしていて「…好きだよ」の顔と対応しているよう
また「…好きだよ」の顔と言い方が義父に痛いのが好きだと思い込まされていた子どもの頃を思い出す。その時は嘘を言っていたと認め、目の前の人が好きだと言えた顔
だから百目鬼は矢代の嘘と本当を察してキスをした

・「ただやりたいだけです」
「…好きだよ」に対し好きだと答えると逃げられそうで百目鬼も嘘で返す
これだと矢代も拒否できないし、仕事抜きでも会う口実になる
だから「いいな それ」と矢代は応える

・全裸で4年前のように優しくセックスする百目鬼。思わず蹴る矢代
「吐きたいなら吐けばいい」
4年前と同じことを言いリトライする百目鬼
矢代はフラッシュバックすることなく逃げることもなかった。大きな一歩。2人ともがんばった(涙)

・「ヤりたくってしょうがねぇってカオしてんな」
1巻のこのセリフに戻るのが、最初から矢代は百目鬼を好きだったと再確認でうれしい
この後「自分はどうなんですか」「俺は…してね…っだろ」の親密さ、矢代がうれしそうに見えて萌え!

・相変わらず矛盾していてまるで成長しない家畜
望んでいた優しいセックスをしてみてやっぱり欲しいのは愛なんだと
高校生の時と変わらない。人間のように愛が欲しいのに許されないと決め、変わることができないとの究極の自己卑下
でも欲しい、でも無理…との矛盾の叫び

・ラストが雨!
新章に入ってやっと…の雨
矢代の夢に象徴されるようにずっと乾いていた
雨と言えば主に
1巻、矢代が百目鬼に事情を聞き出す、葵が兄を待つ
4巻、百目鬼がレクサス横に立つ時に降り、5巻、セックス終盤に止む
6巻、車中で2人で話している時に降り出し、倉庫〜2人並んで倒れるシーンで本降り
を思い出す
矢代の感情が昂ったり、ドラマチックな展開時に雨が降る印象
なのでここでようやく雨が降り10巻へ…ドラマチック!と雨に感情移入するとは思わなかった

と長々と書きましたが
少しずつだけど矢代は変化している
長年つくってきた強固な「俺」はそう簡単に変われない。そこを丁寧に根気強く先生は描かれ、百目鬼と読者はがんばっている

いろんなキャラ再登場で、10巻いよいよ抗争か
同時に矢代の変化がどう訪れるか楽しみ。その時は矢代も百目鬼も私も泣いてしまいそう


・ママはさっさと真実を吐くべし
・井波は役目を終え退場かもだけど巨大ブーメランを受けるまではいていい
・天羽の「後でコロス」を聞いてないのに「後で殺されかねんな」と嬉しそうな綱川
・三角と綱川に2人の関係がバレるの時間の問題ぽくいよいよクライマックスか
・久我ちゃん再登場嬉しい

52

いいな それ

やっと出たぁ…の9巻。
待ちわびすぎて10巻くらいの気持ちでしたが9巻でした(2度目)。
もうね、7巻くらいまではヤクザ漫画だったけ?の気分(個人の感想です)で、8巻になってキタキタキタ♪これ待ってた♪なところになって、今回めちゃくちゃBL感盛り上がって、くぅ~っと何度か喉が鳴ったので”神”にしてしまいました。個人的な神巻は5巻だったんですけど、それに並ぶエモさとエロさともどかしさと切なさと…あれこれ好きな要素が満載で、ありがとうございます。待っててよかったです。

一周回ってセフレの回とも言えます。
冒頭めちゃくちゃ怒って怒られての百目鬼vs矢代の熱量のボリューム乱高下がたまらんかったです。攻め受けの駆け引き、雄みがたっぷり感じられるスケベっていいですよね!寡黙攻めのくせに言葉攻めの抉るような鋭さ!
念願の”ヤリたくって しょうがねぇってカオ”!矢代の気持ちを察しながら意地悪するプレイ…多くを語らない攻めと本心を語らない受けのスケベはあまりにも雄弁でした。後半のタバコの場面のメロドラマ感も好きすぎます。

大人の4年って結構短い期間だと思うんですけどね、お互いの身上の変化、俺の知らないお前的なことに対する言われなき怒りをぶつけあうふたり……でも付き合ってないんです!っていう萌え。こんなにも干渉したいのにどうしようもなく他人っていう距離感萌え!

矢代に”どうしたいんだよ!”ってキレない百目鬼偉いな~って感心するくらい矢代のメンドクササがMAXでしたね。彼の抱える矛盾がピークに…これ以上矛盾が極まったら死んじゃうんじゃないかと思うくらい、再燃して消せなくなった百目鬼に対する感情(恋心)で本当の自分と社会的な自分との乖離が広がってTHE葛藤!に陥り、わかる人にはわかる態でそれが表出している矢代に、つい「大丈夫か?」と声かけしてしまう影山の気持ちがわかりみ…と思って次巻になってしまいました。どんな表情してんのよ、っていう余韻が残る最終頁の演出、さすがですね。

33

浮上してくる気持ちの描かれ方がもう!!

出会って、特別な存在になった。
だからこそ別れを、そして再会した2人。
リリースされる前に、この長い軌跡を
読み返してから、読みました。
ほんと、あの2人がここまで来た…感慨深いです。

再会してからの話は、
百目鬼の本心は語られず
矢代さんのターンといった趣きでしたが
モノローグでも殆ど気持ちを語られない
回想する矢代さんの胸の内で
その気持ちを推し量らせる演出。
ヤキモキさせられながらも
揺れる男心が垣間見える度に声にならない
気持ちに襲われ、堪らなかったです。

そしてここにきて、とうとう
百目鬼が押し殺していた本音を吐露❤︎
だよねっ!すげぇよ、やっぱり…うぅ泣く
893に向いてないと言われ続けた
くそ真面目で融通が効かない百目鬼が
いや、ひたすらに耐えて寡黙に待ち続ける
いつか繋がるかもしれないという
一縷の望みに賭けた無鉄砲この上ない
このやり方が百目鬼なのかもしれない。
にしても…とこちらも言葉が出てこない切なさ。

それにしても、
矢代さんの苦しみにも似た葛藤が
また切なすぎる。(胸熱ときめき案件)
どんだけ闇深いトラウマ。
でも本能はそこから進ませようと
身体が記憶が想いが求めてやまない。
あともう少し!!と誰もが願ってるはず。

しかし現実は、893の柵に囚われて
身動きできない状況は相変わらず…
百目鬼も、最初は矢代さんと同じ世界に留まる
という選択だったはずが、
しっかり893としての自分が育っていき
矢代さん同様、
この世界に絡み取られていっている。
変わっていくこと、変わらないこと、
変わりたくても変われないこと。
人の想いの強さや、行く先の果てが
重厚なストーリーの上で語られていく本作。

柵が幾重にも重なっていく
どうにもならないという状況に
身を投げ出し捧げるようにして生きている
2人がどう救われていくのか
最悪のことを考えながらも
願わずにいられない。
はー最高かな❤︎

一番のみどころは、百目鬼が本音を吐露した場面。
実は、矢代さんの身体は自分にしか反応しないということを知る百目鬼。
それは、かつて自分が本心から願って口にしたことが現実になっている、その意味は…と分かったところでたまらず、本音を吐露するんですよね~❤︎そこから、少しずつ矢代さんへの想いを出していく百目鬼❤︎何度も読み返してしまいました。

矢代さん、素直になってー!と思うけど、
凄惨な現実のなかで、かろうじて保ってきて
結果、今ある自分が
少しでも変わってしまうのは
最初から生き直さなくてはいけないくらい
壊れてしまう気がしてならない不安
自分で自身を守るしかなくて、この生き方しかできなかったのに、剥き出しになった自分をどう保っていけばいいのか。
なんかそんな感じなのかな…百目鬼は必死になって、矢代さんを支え守れる存在になろうとしてるのかな。そうであれば、その想いが届くといいな。

続きは、2人の想いがまたぶつかり合うのでしょうか。もうほんと祈るような気持ちです。
とにかく最高でした。




26

心臓がぎゅってなる

矛盾して嘘を吐きまくってどうしようもなくなっていよいよお互い行きついた先のこの9巻か……
ホントなんか心臓がぎゅーーーってなりました。
お互いに思いあって、勘違いして、自分をごまかして、ずーーっとぐるぐるぐるぐる堂々巡り。
激重両片思いは今後一波乱ありそうな予感がします。
それでも進展があった9巻は明日また読見直して味わおうと思いますーーーー

つーか井波グッジョブ!!

影山と久我も出てきて、元気そうで何よりでした。

22

百目鬼の気持ちにギュンギュンする!!

大好きな作品。連載中から読んでいましたが、9巻にまとまるのを心待ちにしていました!再会する7巻から再読して読んでみました。(以下ネタバレありますのでご注意ください)

8巻ラスト、城戸に抱かれようとした矢代に、百目鬼がキレた続きから。
自分の部屋に矢代を連れ込み、怒りながら抱こうとする百目鬼。
その背中に刺青を見つけた矢代。一瞬固まり、怒って百目鬼を殴りつける。
4年前、百目鬼を諦めてカタギに戻そうとした、矢代の憤りや悲しみが感じられる切ないシーン。でも矢代と同じ世界を生きるという、百目鬼の覚悟が感じられてグッときました。

そして長いキスから始まる濡れ場。
お互いを強く求め合う気持ちが伝わってきて、胸がギュッと締め付けられました。そう、こんな二人が見たかった!待ってたー!!
とはいえ矢代は百目鬼に女がいると思ってるし、まだまだ気持ちの距離は遠い…。

前髪下ろして可愛くなっちゃってる矢代に、俺以外の前ではやめた方がいいと百目鬼。独占欲?確かに可愛すぎるw

他の男と寝ると怒ると言う百目鬼に「男好きな自分に腹が立つんだ」と思う矢代。
違うから!ただの嫉妬だから!もう鈍感さん!
気持ちのすれ違いにモダモダする〜!でもそんなモダモダに萌えます♡

矢代の代わりにクズ刑事井波に会う百目鬼。そこで矢代が自分とのセッ以外では勃たなくなっていることを知り驚く。
その後の車内での百目鬼の表情が!もうギュンときます。百目鬼の心音が伝わってきそう。

綱川の命令で、ヤクザのゴタゴタから手を引くよう矢代に伝えにきた百目鬼。
百目鬼のモノローグ。帯にもあった
「感情を押し殺してきた この人が 逃げないように」
ようやく百目鬼の本音が!4年前、自分の感情を矢代にぶつけて捨てられたことを踏まえて、今度は逃げられないように、気持ちを押し殺していたのね!このモノローグには感無量でした。

その後の二人の会話には、囲い込むような百目鬼にドキドキして、読みながら緊張してしまった。百目鬼の「もう逃がさない」という強い執着がビシビシ伝わってきます。
一方で矢代は憎まれ口。もう相変わらず素直じゃないんだから!

そしてまた強く求め合う二人の長い濡れ場!
百目鬼の攻めフェ、しつこいくらいの長いキス、もうゾクゾクします!
百目鬼の想いが爆発しているようなしつこいセッが本当に素敵で、胸がギュンギュンしました。一度矢代が拒否反応を示したんだけど、それにも動じない百目鬼がもう、本当にかっこいい!

ちなみに「ヤリたくってしょうがねぇってカオ」というセリフは1巻の、「吐きたいなら吐けばいい」は5巻のセリフを踏まえてるんですよね。懐かしくなって1巻と5巻を少し読み返しました。
5巻の百目鬼はかなり矢代に感情をぶつけていて、それで捨てられたので、今はかなり気持ちを抑えてるんだなぁ。それを寂しく感じている矢代は、やはり矛盾してしまってるな。二人の気持ちが通い合うのは、まだ先になりそう。

終盤には久々に影山、久我、あと三角さんも登場。(ドラマCDも楽しみ!)

8巻では百目鬼の気持ちが見えづらかったけど、9巻では変わらない気持ちや執着が感じ取れて最高でした!強く求め合う濡れ場もすごく良かった〜〜!!

再び体は結ばれた二人だけど、まだ気持ちはすれ違っているので、今後そこがどう進展していくのか楽しみです。
あとヤクザの揉め事もまだまだ未解決。
続きも楽しみにしています!
(9巻は何度も再読してしまいそうです♡)

紙本 刻み海苔修正

21

言葉にならない

囀るのレビューを書くのは難しい。
感じたこと言いたいことはたくさんあるのに、それをうまく言葉に乗せることができない。
連載を追っているので、毎話読む度にこの作品に出会えて後半に差し掛かった人生に生き甲斐を得たことに感謝している。

さて9巻。
大きく動いた。
背中に墨を入れ矢代と同じ世界で生きると決めた百目鬼、それを知って激しく憤る矢代…そしてそこからのキス。切なくて美しい。
さらには矢代が百目鬼にしか感じなくなってしまったことも百目鬼の知るところとなり、ふたりの想いが激しく揺れ動く。
久しぶりの百目鬼のモノローグ…心を押し殺してきた、そう矢代が逃げないように。愛おしくてたまらない気持ちを押し殺して、愛のないふりをしながらお互いに求め合う。でもキスに愛情が溢れてしまってるよね。
5巻以来の濃厚セックスシーン満載の9巻でしたが、5巻の時と同様ひたすら切ない。
個人的には7巻から始まる第2部のクライマックスだと感じている。終わりに近づいているのを実感した巻でもあった。
凄い作品なので読むのにも体力がいるけれど、ここからどう展開していくのか楽しみでならない。

20

「…」に込められた想いが詰まり過ぎている…

待った…!!今回も紙先行からの配信をめちゃ待った…!!
でも、、、待った甲斐があった…!!ぃゃ、、、ありまくりだった、この9巻!!!!!

0時配信を待って速攻読み、もぉ怒涛の展開に口の中の水分がカラカラになる位に夢中になって貪りました

4年でズレた歯車
その歯車が「ズレていた」事をようやく百目鬼が気付く9巻は見逃せない

矢代の元から突き放された時から百目鬼と矢代はもう噛み合わないそれぞれの歯車の中でその1つの歯として違う歯車を回し続けて来たハズ

百目鬼は矢代に捨てられながらもわずかな繋がりを断たない為に綱川の元で「ヤクザ」になる
そしてヤクザ然として桜一家の立派な歯車となっていた日々

矢代は百目鬼可愛さ故に自分の手元(ヤクザの世界)から飛び立たせ、自らもカタチとしてはヤクザの看板を下ろし新な歯車を回し続けていた矢先

矢代の想いを知らずに交わらない歯車を回し続けた百目鬼
交わらないと思っていたそれぞれの歯車が裏稼業故の縁で繋がり、図らずも城戸と山川を介して百目鬼と矢代それぞれの歯車が回り始めた現在


再会後初めて体を交わす52話
この扇情的で挑発的でそして苦しい2人の情交
この中で多用されるセリフ中の「…」
ここには自分の中で言いたいけれど言えない…言い淀む思いから来るジレンマではなく「反発」や「混乱」から去来する感情が詰まった「…」を感じる
2人の合わないハズの歯車が無理矢理掛け合わされ力業で動かし始められたかのような軋みを感じる
52話の「…」にはそんな「ズレ」に気付かずに軋む、歯車の溝に沈んだ「澱」のような想いが詰まって見える
だからこそ苦しさが滲む52話

そんな「澱」を押し出したのは互いが男だらこそ分かる吐き出した精というのがこの2人、そしてBLという世界の中でしか表現できない感情である事に身震いが止まらない…!
矢代は事後、自身の足の間から流れ出る百目鬼の漏精で
百目鬼は今は矢代の精は百目鬼以外に吐精される事はないという事実を井波から聞き知る事で、、、
互いの「精」が歯車の溝に詰まった「澱」を押し出し流し始める

そして百目鬼の中の澱が流され始め再会した55話の終わり
煙草を取られた矢代の「…返せよ」から動き出す2人の歯車
この返せよの前の「…」にはきっと戻って来た百目鬼への動揺が口をついてしまったパフォーマンスだけの抵抗が感じられ、百目鬼目線でこの矢代の発言を見るといじらしささえ感じてしまう
56~57話の「…」は52話で感じた苦しさではなく本音を隠す矢代の「…」、矢代の気持ちを慮りながらも推し量る百目鬼の探るような「…」が詰まっている
そして同時に百目鬼は言いたい本心ではない言葉を吐く前には言い淀む事がなくなっているので「…」の多用が減っているのがコントラストとして効いている
もはや今の2人の間に流れる「…」の時間は「澱」ではなくズレた歯車を正しく噛み合わせていく為の「潤滑剤」となっていくかのような希望を見出す程、、、!


、、、もう1人
この「…」に意図を感じるのが目下気になる百目鬼の女(仮)泉さん!
彼女の登場シーンでも百目鬼との事に関して話す時だけ泉さんは「…」から始めてる、、、ここにも彼女と百目鬼の事情と思いを感じるからこそ(仮)扱いにしたい…!!!

登場人物たちの「…」に込めた想い、隠した本音、言えない真実
うごめき渦巻く絶え間なく寄せては返す夜の海の波の様な捉え切れない感情に飲み込まれていく9巻

その上ヤクザ方面のお話しもかなり濃厚です
桜一家の綱川さんはただの喰えない後継ぎ組長ではなかった、、、っ!
この人周りが大変騒がしい
今回の百目鬼と矢代の再会の火種になった甲斐も、結果奥山含めて綱川との因縁が深い様子
こちらも男たちのヤクザという矜持を懸けた綱渡りな意地の張り合いの落とし前がどう着けられるのか⁈目が離せません、、、‼

影山先生に久我くんも登場の終盤
三角会長も天羽も含めて縁深いキャラの登場が多かった印象も強い、、、
これはクライマックスへ向かっているのだろうか、、、
影山先生の「大丈夫か?」が杞憂に終わる事を願って止みません


修正|無修正、棒線などが多く終始煩わしさがなく、しっかり矢代が百目鬼を感じている事、百目鬼が矢代を求めている事が分かります

20

既に変化は始まっている

『囀る鳥は羽ばたかない』待ちに待った9巻の発売です。

7巻から読み返して9巻まで読み、9巻だけもう一度読み、1巻から9巻までをとおしてあらためて読み返し、そしてまた頭から9巻を読んで。
その上で、この矢代と百目鬼という二人の以前と現在のあり方について考えていたら、感想を書くまでにかなりの時間が経ってしまいました。


1巻で矢代に「ウソが下手な奴だなぁ」と言われていたのがそれこそ嘘のように、現在の百目鬼は自分自身の思いや感情を覆い隠すことに注力しているように伺えます。
もう二度と悟られるわけにはいかないから。
二度と四年前のようなことは起きてはならないから。感情を制御し決して本音を口にはしない。そんな、この四年間を経てきた百目鬼の覚悟が見えるように感じます。

でも、それだけの覚悟を決めていてもなお、矢代に「仕方なく俺の性欲処理してただけだろ」と言われて微かに顔を歪める百目鬼がまだ、こうして生きているわけです。
このシーンからは、矢代からそのように言われたことに対する、百目鬼の複雑な感情が垣間見えるように思います。
これは不快感からのこの表情ではないはずです。

この直前に百目鬼は「俺としたいんですよね」「俺じゃなきゃ気持ち良くないんですよね」と言っていて、その言葉を矢代は否定していないわけで。

そしてそこからの「仕方なく俺の〜」、「なんのメリットがある」の台詞。
これらの矢代の言葉は、裏を返せば “お前がやりたくないならやりたくない” ですよねと。
こんなふうに駄々をこねられたら、うっかり本音を口にしたくなってしまいそうです。そうじゃない、そんなはずがない、と。
むしろ矢代がこんな言い方をするのは、“そうじゃない” のひと言を欲しているからのようにさえ思えてしまいます。
でも、幾らそう思えても矢代は矢代で、もしここで百目鬼が否定などしようものならばまた取り返しのつかないことになりかねません。
百目鬼にとって、このシーンは試されているかのような心持ちだったのではないでしょうか。

そんな百目鬼の一瞬の逡巡が、あの表情に現れているように感じました。

この後に続く「酷いの好きでしたよね」「…好きだよ」のシーン。この矢代ですが、なんだか安堵が伺えるなと。
このやり取りを見てすぐさま思い出すのは、少年時代の矢代の「痛いの好きだよな」「うん」のシーンです。
百目鬼は「酷いの好きでしたよね」の台詞によって、結果として矢代の中にある変わらない安全地帯を導き出したのかなと思いました。
この言葉によって、矢代の心が矢代自身に良くも悪くも戻ってきたように感じます。
変わらなくて良い、心を揺さぶられることのない、痛いのが好きで酷いのが好きなこれまで通りの矢代の居場所。

矢代には幼いころに、これは自分が好きでそうしているのだと、痛めつけられるのも酷くされるのも自分がそうされるのが気持ち良いからだと、そうやって自分にも周りにも言い聞かせ過ごしてきた過去があると思います。
これは辛いんじゃない、痛いんじゃない、これが好きなんだ、と。
その過去が今の矢代をつくりあげて来たわけです。
それを、痛い、酷いことをされるのは辛い、と認めてしまった瞬間、必死で生きてきた少年時代の矢代から現在の矢代までの、生き様すべてが瓦解することになってしまいます。

そしてその、矢代がつくりあげてきた居場所をおびやかす存在、それこそが百目鬼だったのだと思うのです。
彼を受け入れることは、矢代にとっては自分のすべてを一度手放すということです。
それだけではなく、幼い自分自身が受けて来た虐待を、あれは辛かったのだと、痛かったのだと、虐待だったのだと認めなければいけないことでもあります。

四年前の矢代はそれを認めず、百目鬼を受け入れることはありませんでした。変わらないことを選んだわけです。

でも、今なら。今の矢代なら。

9巻では、矢代は変わらない自分自身を家畜のようだと自嘲しています。
四年前に、こんな矢代がいたでしょうか。
1巻で「俺は俺のことが結構好きだ 俺という人間をそれなりに受け入れている」とモノローグで言っていた矢代です。
自分自身を受け入れているため、変わる必要も無ければ、積み上げてきた自分をわざわざ辛い思いをしてバラバラに解体しなければならないような必要もなかったわけです。

でも、現在の矢代は違います。
前述の9巻の独白からは、変わらない自分自身への微かな苛立ちが伺えるように感じます。
矢代がこのように考えること自体が、もう既に変化の兆しなのではないでしょうか。

既に変化は始まっているのでしょう。
矢代の心の内から、徐々に。


熱量が増してきた物語と比例して自分の熱もいや増し、原稿用紙5枚分ほぼマックスという過去最高の長さのレビューとなりました。
あらためて、このような素晴らしい物語を読むことができる幸せを感じています。
次巻の刊行を心から楽しみにしています。

19

ヨネダ先生、「あなたにはいつも敵わない」

9巻発売、本当に嬉しい&ようやくここまできましたね!
囀ると同じ時代を生きれたことに感謝しています…。この表紙からして萌えたぎります!
個人的には、「触れようとする百目鬼の手を拒みたい、でも拒みきれない、でも、でも…」っていう矢代さんの葛藤のようなものをこの表紙から感じましたがどうなんでしょう。
9巻をそのまま表しているような表紙だなあと感じました。
以下、収録回ごとに感想です。

51話
百目鬼の背中の天女に気づく矢代。これ、「せっかく盃交わさず、自分からも開放してやったのになんでだよ!ふざけんなふざけんな」っていう矢代の感情が切なかったです。
でも百目鬼はこの道しか残されてなかったわけで…矢代は百目鬼の執着を本当の意味では理解できてないんですよね〜うまいなあ

52話
二人のすれ違いセックスがこれまた辛い!
わざと酷くする百目鬼、矢代の「さすがに女には優しいか」が辛い( ;∀;)
最後のコンタクトケースはヨネダ先生曰く「矢代は気づいてません」とのことですが、目が悪くなってるからよく見えてないってことかな?

53話
車の中の会話では、お互いの思ってることを話しているのにボタン掛け違っちゃってる…!もっとお互いシンプルに!腹割って話して!!笑
「呪いにかかったままの俺は昔のお前ばっか探してる」に、泣きそうになりました。。。
今の矢代には呪いって表現しちゃってるけど。。あれは呪いでもあり…でも少し先の未来では救いって思ってくれてると読者は信じてますよ…!!

54話
井波から矢代が勃たないことを知ってしまう百目鬼…井波、珍しくグジョブ!!!!Σd(・ω・*)
百目鬼が真実に辿り着くまでもうちょっと…!

55話
若かりし頃の綱川が素敵…(*゚∀゚)(綱川大好き)
そしてそして最後の…いなくなったと見せかけてからのー「嫌です」でうわああああ
これ、本誌派の方達はここでお預けはさぞ辛かったことと思います笑

56、57話
まっっっってましたァァ というか待ち望んでました( ;∀;)
帯にもなってる、「感情を押し殺してきた この人が逃げないように」、この作品を読んでそこらの執着攻めが生ぬるいように思えました。
百目鬼、虎視眈々と狙ってたんですよね、何年も。だから矢代が逃げないようにわざと酷くしてたのに、「酷いの好きでしたよね」「…好きだよ」の2コマがも〜!!!!百目鬼の呪いにかかったから酷くされるプレイにはもう気持ちよくなれないんです!でもそういうことにしておかなきゃ…っていう「…好きだよ」。せつないいいい
いつもは上手に人を惑わす矢代が、本音顔に出ちゃってる!!隠しきれない不器用さが萌える!!!矢代を愛さずにいられないです。
そして、百目鬼が初めて矢代も4年間のうちに変わったことに気づく!!!!嘘だって気づいた百目鬼…たまらんよね。。わかるよ。矢代さんってそういう人だもんね。そりゃキスしたくなっちゃうよね。

ただやりたいからセックスしてるだけと言う百目鬼に答える「いいなそれ」は、快楽のためだけっていう冤罪符が今の矢代にはまだ都合がいいからの「いいなそれ」かと思ってましたが、読み返すうちに「これなんのセックス?」に対して返ってきた答えとして「気持ちいいから」に「だよね(諦め)」のニュアンスかなと思い始めました。先生の作品はあまり多くを語りすぎないので、この辺の答え合わせもストーリーが進むとわかるのかもしれません。
そして優しくしたら逃げようとする矢代に対する百目鬼のじっと見る目が怖い怖いwまあ百目鬼にしたらどっちやねん!て思うよねw

4年前、百目鬼が捨てられてしまってからここまで、二人の間には進展もないまま読者的にも焦ったい状態が続いていたので、そこからの怒涛の恋愛のターン…!凄まじいものがありました。
とにかく9巻は百目鬼の執着っぷりを堪能できました!

二人の恋愛についてしか感想書けていないですが、シノギの方面もハラハラしつつ奥山組の影が濃くなってきて、あと1,2巻で囀るも終わってしまうのかなあ。。寂しくもあり、でも最後までヨネダ先生に翻弄されっぱなしの読者でいられたら嬉しいです!

17

大好き

囀るを読むために生きている。
百目鬼と矢代さんに幸あれ(T^T)

15

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