クローゼットゲイ・リーマンが幸せをつかむまでの物語

そして長い夜が明けたなら 下

soshite nagai yoru ga aketanara

そして長い夜が明けたなら 下
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神14
  • 萌×28
  • 萌0
  • 中立1
  • しゅみじゃない2

267

レビュー数
7
得点
103
評価数
25
平均
4.2 / 5
神率
56%
著者
といけ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
KADOKAWA
レーベル
あすかコミックスCL-DX
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784041146781

あらすじ

根津が退職してから久しぶりの再会に、西片は緊張しながらも喜びをかみしめていた。
楽しく過ごし、次に会う約束もして今度こそ順風満帆と思えたが…。

セクシュアリティ、カミングアウト、軌道に乗り始めた会社、チームリーダーの役割――
愛する人にそばにいてほしい、好きだからこそ自分の気持ちに気づいてほしい、でもそれはひとりよがりなのか?
西片と根津は悩みつつも、相手を想うことの大切さに気づいていく――。

「ふたりで楽しいこと全部しよう」
ふたりが立てた誓いの言葉が胸を打つリーマンBL

【収録内容】
「そして長い夜が明けたなら」8話後編~14話
「I’M YOURS」…描きおろし

※本書籍は2024年発行された同人誌「塵舞う街のふたりの7~14」より#8・P20~#14を加筆修正し改題したものです

表題作そして長い夜が明けたなら 下

根津恭介、リーマン、以前西片と同じ会社で働いていた同い年の後輩、30代
西片遼馬、リーマン、クローゼットゲイ、30代

レビュー投稿数7

人はひとりで生きていく、けれど、、、

下巻は、受けが久しぶりに攻めと会うところから始まります。

個人的には、いよいよタイトルの「夜明け」が始まったのだと思いました。
けれど、実際の夜明けもすぐさま太陽がスコンと昇るわけではなく、朝日と闇夜のグラデーションが入り交じって空と地の境界線に拡がっていくわけで、、、

実際に2人の関係も再開したからと言って、すぐさま進展するわけではありません。

寄せては返す波のように、近づいたと思ったら、今度は攻めが受けの出方を見たいと距離を置きます。

そしてそこから、大幅にすれ違っていく2人の距離。

2人の同僚であった女性が挙式を上げることに。
しかしその女性と仕事上で関わり合いの合った攻めは、配偶者となる男性の拒否があり、招待できないことに。
結果、攻めはその女性と配偶者に対して、自分がゲイであることをカミングアウトしようとしますが、そこで受けと色々あり、今度は受けから距離を置かれてしまいます。


日頃読みなれているBのLって、最終的にハピエン目指して描かれているのがデフォで、こちらの作品もそうなんですが、それでも孤独だったり、例のその女性と配偶者との向き合い方によって、メインCPが自分の気持ちを優先ではなく、自分が相手に対してなにをしてあげられるか。
相手を想う大切にハッとさせられる気付きの描写が、上巻に続いて丁寧に描かれてとてもよかったです。


Loveはもちろんあるのですが、受けという人間。
そして、攻めという人間が、それぞれ人と摩擦を受けたことで生じる挫折や孤独、そして人への寄り添い方などを学んでいくサクセスストーリーが読んでいて、心にキました。


明けない夜なら、君と過ごしたい
という、帯のキャッチフレーズ。

上巻ではミッドナイトブルーだったお表紙の背景が、下巻ではすっかり夜が明けたようなスカイブルーとなったお表紙の背景の色。



遠回りした2人ではありますが、確実ななにかがそれぞれに確信として芽生えたわけで。
そして、それをラストで「好き」という言葉で伝え合った2人には、ようやく長かった夜が明けたわけで。
2人で愛を育むということをスタートさせた結末には、なんとも言えないエモさしかありませんでした。

商業でこちらのお話が読めて、とてもよかったです。

0

理性的な恋

勢いと気持ちの熱で突き進んでいく恋愛ではなく、傷つき傷つけながら言葉を尽くして気持ちを寄せ合っていく、そんな理性的な恋模様を描いた作品でした。

上巻で長い間根津のことを待たせた西片。2人の久しぶりの再会から始まる下巻。最初恋に浮かされてドキドキしている西片に比べ、根津の表情からは熱を感じられず、ものすごく不安になりました。案の定根津はどうしてそういう態度を取るのか説明せず、西片も長い間待たせた負目から思いを素直に伝えることが出来ず、このまま終わってしまってもおかしくないくらいのスタート。

結局この2人がうまくいったのは一度ものすごく傷つきあったあと、それでもやっぱりあなたといたいという静かながらも思いの強さがあったからなんじゃないのかなぁと思います。

下巻の1番グッときたのは、なんやかんやあまり表情に感情を表さなかった根津が泣いてるシーンでした。彼の孤独と悲しさ、寂しさがものすごく伝わってきてしんどかった。

ちゃんと言葉で伝えたり、2人で一緒にいるだけの時間を大事にすることができるようになった2人の関係は長続きしそうだなぁと。どうか末永くお幸せに!!

0

すばらしい!

上巻の感想でシリアスかと思ったらそうでもなくよかったと書きましたが、下巻できました。
起承転結の転…ゲイだからというだけでなく、物語/人生において壁はつきものですもんね。

上巻で共感の嵐でしたが、下巻は更にすごかったです。読んでいると普段考えていることがそうそう!と怒涛のように浮かび 物語に集中できないほどでした。
根津と西片、どちらの気持ちもわかる。
性格、価値観、考え方の違い。
どちらが悪いわけではない。
どちらも傷つき、傷つけたと反省し、自分を見つめ直し、相手を尊重したい…と変化していく流れがいい。

空橋さんの件も、空橋さんが彼氏を理解したい、根気よく向き合いたいとなったのも誠実で聡明だわ〜。
「彼の気持ちを勝手に推測する それ自体が暴力的かもしれません」にハッとさせられました。そういうことは往々にしてありますもんね。

孤独の描き方も好きでした。
大切な人や家族がいても孤独を感じることがある。
孤独は悪いように言われがちだけどそうじゃない。そういうものだと思うのでとても共感できました(孤独と孤立は別ですもんね)

カミングアウトについても
「言いたいと思う気持ち、そうじゃない気持ちも 全て尊重されるべきです」
がその通りだと思います。
LGBTQ運動などでカミングアウトを推奨することがありますが、ゲイの方の「そういうのはいいからそっとしといてくれ」との言葉を聞いたことがあります。
性的マイノリティは個人的かつ社会的なことでもあり、それぞれ事情が異なるので一括りにするのは難しいですね。
なので根津のこのセリフがぐっときました。
勉強不足な私にも刺さる描き方がすばらしい。
根津がカミングアウトすると話す姿が喜びと誇りに満ちていて感動しました。

仕事についても2人の内面とリンクした描き方がよかったです。お仕事BL大好きなのでそういう面でも読み応えありました。

正直なところ、クローゼットゲイについての話…今までBLで散々見た隠れゲイが悩むやつか、と最初は興味を持てなかったのですが、好きなBL漫画家先生がXでRPされていたので読む気になりました。
や〜読んでよかったです。
これまでと時代は違うのだし、その辺を盛り込んだ新しいBLで発見がたくさんあったし、BL好きとして勉強になりました。BLとしてもめちゃくちゃおもしろかったです。

1

商業誌に出てきて下さってありがとうございます

この作品が同人誌で日の目を見なかったら私はとても残念な事をしていたと思います
そのくらいとても良い作品でした
私は商業誌で知る事が出来てとてもラッキーでした

世間ではだいぶセクシャルマイノリティの事についての考えは広くなって理解もされて来たけどまだまだこれから。
その中のどこにでも居そうなリーマン恋物語
お互いのことを想い合い、行き違いもあり離れ、男泣きがとても綺麗で私は胸をキュッとする思いをしました

といけ先生、これからも応援しています✨‼️

2

底なしの孤独に寄り添う

といけ先生。
初コミックスで上下巻の重厚なストーリー、素晴らしかったです。

上下巻を通して、主にモノローグで孤独に向き合います。
急にポエミーになって戸惑うところもありましたが、丁寧に丁寧に描かれた素敵な作品でした。

モノローグで人称が"わたし"と"あなた"をメインに用いられているのも他の作品と異なるところで、独特の余韻を残します。

長い長い夜を経て、ささやかな希望の光が差し込むような終わりもとても良かったです。

とても丁寧に描かれており、静かに沁み渡ります。

また他の物語も拝読したいです。

2

パートナーとの向き合い方を考えるお話だった

過去の別離から受けたショックとか、カムアウトの考え方の違いとか、仕事が多忙な中でのお互いの存在とか…。働き盛りの2人が直面する問題は色々

相手が同性というだけでなくパートナーとの向き合い方、コミュニケーションの重要性、価値観の擦り合わせ…みたいなものを考えるお話だったなぁ。自分にとって相手はどんな存在なんだろう、相手にとってもどうだろうか、1つタイミングがズレてそのままだったら…?

だからこそラスト近くのあるシーンはとてもグッときた。あの時の西片の顔とてもいい顔だったなぁ。

3

再会後に訪れる試練。ちょっと腑に落ちない攻めの言動も

同い年、だけど立場的には後輩×先輩、のゲイリーマン同士の物語、下巻です。

上巻は「神」評価だったんですが、下巻は序盤の攻めの根津の行動で「解せぬ……」となってしまったところがあり、こちらの評価に。
最終的には根津も反省し、謝ってくれるんですけれども。。

こちらの下巻、根津が退職してから、二人が久しぶりに再会するシーンから始まります。
緊張しながらも喜びを噛み締める西片。西片の家で楽しく過ごし、来週また会おうねと約束もして、やっとまた前に進み出した二人の恋ーー

と思いきや!またまたすれ違う二人。。

西片の中高時代の同級生に根津も混じってテニスをした帰り道、西片がストレートに「触れたい」と告げるんですね。

で、それに対する西片の返事が……あまりにも微妙な”はぐらかし”に「ええっ?」と困惑。拒否ともなんとも言い難い感じで、、

「西片さんには悪いけど もうちょっと出方を見たいんだよな」と西片を試すようなモノローグ、正直、良い気分にはなりませんでした;
根津に決して悪意があるわけではないことは分かってるんですが…

西片の性格的に、「触れたい」って告げることはかなりの勇気を伴うことだったと思うんですよね。。

後々、根津はこの時のことをきちんと謝ってくれるんですが、最後までちょっと自分の中にモヤモヤが残った部分でした。

そして少し詩的というか、文学的な言葉を用いての攻めの心情モノローグにも共感しづらかったかな、、

こちら、受けである西片のモノローグもあるんですが、一人称がおそらくあえて「わたし」に、二人称が「あなた」になっているんですね。
「だがわたしはあなたを知ろうとしたか」のように。

これは本当に受け取る側の好みや感覚だと思うんですが、自分は少し違和感を感じてしまって。”俺””お前”になっていた方が内容がスッと入ってきただろうな、と。

なんて、気になった点をつらつら書いてしまったのですが、、
自分の至らない点を素直に認め、謝り告白する西片の潔い姿、本当に格好良かった!

なんといってもジーンとしたのが、終盤二人が一緒にオルガンコンサートに出かけ、ペアシートで音楽を聴くシーン。

根津がそっと手を重ね(この時の根津の緊張した表情がたまらない…!!)、それに応えるように、そっと根津の肩にもたれる西片。

上巻に、飲みの席で西片が酔って寝てしまい同じようにする場面が出てくるんですね。そのシーンとの対比で、二人の関係性が大きく変わったこと、確かな愛を育んでいこうとしていること、満たされた心情なんかがぐわっ!!と伝わってきて。

二人の前とは明るいなあ、とちょっとうるうるしてしまいました。

二人のその後、数年後の姿なんかも、ぜひぜひ見たいなあ。
そんなふうに思える作品でした✨

3

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