雨傘で凌げないほどの恋

amagasa de shinogenai hodo no koi

雨傘で凌げないほどの恋
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神70
  • 萌×211
  • 萌9
  • 中立2
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
16
得点
423
評価数
94
平均
4.5 / 5
神率
74.5%
著者
ARUKU  

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
バーズコミックス ルチルコレクション
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784344853720

あらすじ

高校時代、皆の人気者・天花寺(てんかじ)に密かに憧れていた五映(ごえい)。落ち込んでいる時も優しく接してくれる彼に淡い恋心を抱き始めた矢先、天花寺は級友たちの前で五映を「ゲイだ」とアウティングする。結果、校内で孤立し心に傷を負った五映は誰に心を開かないまま日々を送り、この先も一人で死んでゆくつもりだった。卒業から20年。ジャーナリストとなった天花寺が五映の前に現れる。「謝罪する」「彼氏にしてくれ」と五映に迫り甘やかしてくれる天花寺の本当の目的は?

表題作雨傘で凌げないほどの恋

天花寺、(高校生)→ジャーナリスト、36歳
五映架、(高校生)→翻訳家、36歳

その他の収録作品

  • 描き下ろし:「夏の王国」

レビュー投稿数16

受けが不憫で切ない

先生の「百年でただ一度だけ恋した」「嫌い、大嫌い、愛してる」「発熱バスルーム」がとても好きな作品。こちら試し読みして面白そうだったので読んでみました。(以下ネタバレあるのでご注意ください)

初めは受け視点。
高校時代に天花寺(攻)にゲイだとアウティングされてから、孤独に生きている五映(受)。20年後天花寺が現れ、謝罪したいとつきまとう。そして離婚してきたから恋人にしてくれと言う…。なんだかトンデモ展開ですね!
五映は天花寺を憎む反面恋していて、不信感を抱きながらも不思議な恋人関係が始まる…。

途中で攻め視点もあり、20年前や現在の天花寺の心情も明かされていくのですが…。どうも、この天花寺の気持ちがよくわからない。
五映に惹かれる気持ちはあるけど、はっきり好きというわけでもないみたい?「自分で自分がよくわからない」というセリフもあるから、そんな感じなのかな。天花寺の気持ちがはっきりしないので、読んでいてちょっとモヤモヤします。

ただ終盤になってくると、天花寺も当て馬の鍵原にイライラしたり、五映に好きという言葉を求めたり、さすがに気持ちがはっきりしてきますね。

五映は天花寺を好きなのに、天花寺はそのうち去っていくから本気になっちゃいけないと思っているのが切ない…。

五映は36歳だけど童貞で、キスされただけで震えてしまったり、狐のぬいのプレゼントにニコニコ喜んだりして可愛らしい。

終盤、五映が鍵原に「天花寺を解放したい」と言って涙するシーンはすごく綺麗でキュンとしました。

最終盤に、またまた五映を追い詰める出来事が。最後まで五映が可哀想で、読んでいてつらくなります。
天花寺の優しさを思い出し「保護猫みたいにいたかった」と涙するシーンは、もらい泣きしてしまいました。

当て馬の鍵原が天花寺に「最悪だな」と言うシーンで、読みながら「本当にやってることが最悪だよ」と思ってしまった(汗)

個人的に、執着攻めや溺愛攻めの方が好きなので、天花寺は気持ちが揺らぎすぎていて、正直本作にはあんまり萌えられませんでした。

またラストまで、ほぼずっと五映がかわいそうなのも、読んでいて少々しんどいです。途中甘いシーンやほっこりするシーンもあるけれども、う〜ん。

あと悪役的な女性が二人出てきますが、ここまで女性が悪者として描かれるのも、あんまり好きではないです。

ストーリーは、一筋縄ではいかない展開が面白くはありました。さすがARUKU先生!
まだ未読作あるので読みたいし、今後の作品も読んでいきたい先生です。

ちなみに濡れ場は最後と書き下ろしに2回で、かなり少なめでした。

紙本 白抜き修正

1

罪は罪として受け入れて生きる。赦さなくてもいい

 アウティングの罪深さを題材にした作品。した方もされた方もまさか20年もの間罪悪感や恨み、後悔に悩まされることになるなんて、当時は思わないでしょうね。何度邪険にされてもめげずに贖罪をなそうとする天花寺が段々可哀想にも思えてくるけれど、あの時天花寺の一言がなかったら20年の間五映は今とまったく異なる人生を歩んでいたかもしれないと思うと、たとえ悪気もなく犯罪でもなくても、1人の人生をここまで変えてしまう言葉って本当に恐ろしいなと思いました。具体的な贖罪の方法にはあまりリアリティはなかったけれど、そこはARUKU先生節。一度別れた後、天花寺が穏やかさを放り投げて乱暴な口調で五映に言葉をかけたシーンはとても良かったです。鍵原も嫌な当て馬でなく、2人に対して誠実でいいキャラでした。言葉の重みを考えさせられる作品でもありました。

5

愛の言葉

キラキラきゅるんきゅるんな一方で人間のエゴがごりごりで苦い。
かわいそうな境遇の受けがぐるぐる悶々として
ずかずか入ってくる攻めに心乱され…ってARUKU先生ワールドが詰まってました!
お芋ちゃん呼びにきゃっっきゃっして許されるのはARUKU先生のキャラだけってなもんです。

自分がしたことを赦されたいのか、口実なのか、本当に好きなのかは
最初は良くわからなかったんですが、
それでも傍にいるのが楽しい嬉しいってところが可愛かったです。

愛の言葉を持たない極寒の国シュエニアは童話のようで
その部分とリンクしているところも良かったです。

5

ARUKUワールドへの誘い

「猿喰山疑獄事件」を読んだ時の衝撃からARUKU先生は奇才の持ち主だと思っています。あの作品をもう一度読むことが出来ないでいるんですが、最近の作品は万人にも受け入れやすくなって来てると感じてます。

それはあくまでもARUKU先生自身の作品の中での比較であって、キラキラした描写の中に人間のエゴが醜く見え隠れしていて、時にドキリと胸を刺してくるんです。詩的な言葉の羅列のキラキラしたシーンと毒を持った人物たちの醜さが、ARUKU先生のテイストとして確立しているので、好きな方はハマると思います。

今回も薄幸美人受けとハイスペック攻め、その攻めに負けないくらいの当て馬や、我欲しか無い女性たちが登場すると共に、攻めの職業からネット民の声という世間が2人を取り巻いて行くんです。

天花寺が登場した時からこの人物の得体の知れなさと瞳に籠る熱情を感じて、彼が犯したアウティングの罪の真意を知りたくなるんです。

五映の側にいる為に簡単に離婚して来たり、五映の前に現れた元妻に対する天花寺の怒りを見た時には彼の本気度を知りました。

だからと言ってこのままハッピーエンドに向かわないのがARUKU先生らしく、天花寺が密かに葬ろうとした計画が悪意を持って五映に伝えられてしまいます。2人が絆を深めた後だっただけに、五映の絶望を思うと胸が締め付けられました。

そこからの展開がとても秀逸でした。2人が再会するまでに20年経っているので、決して若くない2人の恋のやり直しにホロッと来ました。

個人的には五映が今の仕事をしたキッカケが素敵で、その人物の為に動く姿にウルッと来ました。
まだARUKU先生の作品を読んだことのない方に、是非読んで欲しいです。

5

タオルを‥!

何冊かまとめてかったうち、ARUKU先生のは覚悟を決めて最後に手を付けました。
泣くから‥案の定泣きました。

痛い〜〜‥、そしてARUKU先生の描く女性は悪魔めいた方が多くて本当に怖いです。
学生時代の初恋。ささいな軽口がアウティングという凶器になって人を深く傷つける。片や以来心を閉ざし、不憫な生活をおくり、片や輝ける人生を送っていた二人が再会して物語が始まります。

攻めの天花寺の行動が本当に相手を想ってないとできないでしょ、と思えるので取材のためとか、贖罪のためとかもあるのでしょうがやっぱり愛なんだよなぁと思いました。

わかっちゃいたんですが涙が‥‥。

オリジナルのシュエニア人の設定はARUKU先生節って感じで面白かったです。シュエニア人のおじさんの残した手紙を配達する旅は他の作品の旅風味を感じました。

ただ最後に唐突にエチを初めるので、なくてもよかったのでは、と思ってしまいました。
五映にそういう描写がいっさいないのに急に襲われて無抵抗なのが違和感でした。
なのでページの問題なのかな?と思ってしまったので星4です。

エチはなくても良いし、描き下ろしでも十分なくらい二人の心のえぐられ度合の描写がすごくて読んでよかったと思いました。

4

同情か愛情か

天花寺が赦しを乞い反省していると言うけれどずっとドヤ顔なのはちょっと変わった人てことなんですよね。
五映はずっと口では天花寺を拒むけど心では好きだと言う。これをぐるぐるぐるぐる最後までやってる。正直読んでいて疲れました。
シュエニア語に愛の言葉がないように、五映もトラウマと自尊心の低さから愛の言葉を発することができない。
消えてしまう言語のシュエニア語と五映の自分に対する存在価値が重ねられている。

今回ARUKU先生作品6冊まとめて読みまして、ARUKU先生ワールドと呼ばれている世界観がわかりました。
・受けが不憫、不幸、貧乏、痩せすぎ(あばらが浮いている)、健気
・攻めは受けがかわいそう→かわいい→愛
・受けを追いつめる脇キャラの描かれ方がひどい。容姿や表情含め
・文字量多い
・だいたい230ページ超
・テーマ、ボリュームともに重い、濃い
ドラマチックで独特の世界観、ハマる人はハマると納得しました。

2

冬に読み返したくなる作品です!

ARUKU作品新作出てた~って本屋さんで見つけて即レジへ持っていったので、どんなお話かわからないままでした。POPなパステルカラーの美しい色彩が素晴らしいのです。
お話はちょっとキツメかな?アウティングのお話なんですよね~五映は、中学生の頃からその中性的な容姿で女の子みたいだ、ゲイだといじめられます本人は自分のことをゲイだと思ったことは、1度もないというのに理不尽
それを真に受けた天花寺が、高校でなんの考えもなく五映がゲイだといってしまいます。
この攻の天花寺という男が、顔はイケメン王子様なのに、頭のネジがぶっ飛んでるというか、不思議ちゃん?
天然?悪気かないところが性質悪いね。
でも憎めないところもあるんだよなぁ~大人になって少しはましになったものの、無邪気さが残ってる笑そして自分のしたことの重大さに気づけてよかっです。
ただ高校で、初めて五映を見たときの天花寺が気になりました。華奢で儚げ可憐で瞳がうるうるキラッキラな五映に最初から無意識のうちにひかれていたのではないか?あのゲイ発言は、ゲイ=俺のこと好きになってくれるかもいや好きになってほしいていう打算があったのでは?
五映はその見かけに劣らず性格も可愛らしんですよね。女の子にも十分モテそうだが
でも人気者でキラキラした天花寺に淡い想いを抱いてるそれは憧れかもしれないし本当の恋かもだけど
その時点では自分の性自認とかわかるはずもなく、家が大変なときにそんなの気にしてる暇ないよなぁ

もう地球上のどこにもない国、愛という言葉がない国というのがなんか素敵でした2人で愛してるの言い回しを考えてるシーンが好きですね。ロマンチック~
全体を通してとても考えさせられる作品でした。あと鍵原がイケメンどちらかというとビジュアル的にはこちらの方がタイプです!
なんか魂胆があって五映に近づいてるやろと思ってたけど、純粋に五映のこと好きだったのね
鍵原にも可愛い恋人ができたらいいな

4

電子限定オマケもオススメ

キラキラした表紙も、天花寺のイケメンキラキラオーラも、五映の目もキラキラウルウルでとてもキレイです…とても丁寧に魂を込めて描かれていると思います(うっとり)

ストーリーはARUKU先生の作品らしく、決して平坦ではありません。嬉しいことや悲しくツライこともありますが、読み応えはめちゃくちゃあります。時間があるときに、じっくり読みたい1冊です。

電子ではマンガ2Pがオマケでついていました。誕生日のホンワカやり取りが読めるので、こちらもオススメです。

電子

6

唯一無二の圧倒感

キツいです…
寝る前に読んでしまいました。
ARUKU先生〜、なぜまたしてもこんなツラい設定を…?
今回は表紙がパステルっぽくて幸せそうに見えたのに。
ここんとこ、受けが徹底的に悲惨な境遇というか。
「不憫受け」は以前からの作風ではあるけれど、加速している感あり。
今回の受け・五映もしかり。
元々いじめられっ子。
アウティングに遭って笑いものにされ孤立。(ゲイでもないのに?)
暮らしは苦しく。(でもエリート校出身者でしょ?)
家族から邪険にされ。(兄がいる?なぜ兄嫁はこんな態度?何もわからん)
そこに、加害者のくせに眩しすぎる天花寺が登場してストーリーが始まるわけだけど。
この天花寺が曲者というか。
華やかで明るくて五映の存在と乖離しすぎているし、でも一応誠実だし、王子様のようだし、彼をどう解釈して良いのか悩みつつ読む。
一方五映だって天花寺にどんどん絆されていくし。
物語としては不憫すぎた受けが遂に暖かい場所を得る…みたいな流れではあるけれど、どうも釈然としない。
だけど。
これが「煌びやかな天花寺とぼろきれのような五映」のBLではなく、この世界の全て見捨てられたもの、かえりみられないもの、浮き上がれないもの、虐げられたものの可視化と思えば、これは私たちの日常の世界だと腑に落ちる部分がある。
世界では戦争があり、一応戦場では無い日本でも生活の困窮はいつどこにでも口を開けている。
シケモク拾いの老女や店舗裏のボロ猫。そんな存在を、ARUKU先生は見せてくれる。
本作に関して、萌えはあまり感じなかった。だけどこの圧倒感と唯一感、それはやはりARUKU先生だけのもの。その意味で「神」を。

6

今まで読んだ著作の中で一番読みやすかった

同級生DK~社会人36歳までが描かれた
「コミュ強・博愛主義者でちょっと無神経な攻めxだんだんほだされるコミュ障・不憫受け」
今回も底抜けにイヤ~な女が2人も出てきますので、無理な方は回れ右です。

1話終わりの攻めのお願いで「なんでそーなる?」ってなったし、花を降らせるのも失礼すぎて意味わからんし、そもそもこじれた原因であるアウティング事件も「なんでそんなこと言った?」って思ったんですが、カラクリを知ってそれら言動がすべて腑に落ちました。
あとで改心しても、このタイプの攻め(デリカシー欠如。皆無ではない)は無理な方がいるかもしれない。
(私はギリでした)

架空の言語設定が良い。
シュエニア語には愛を意味する単語がない。
私も博士さんの「ライオン如きの国から」で知ったんですが、マサイ族にも恋愛という概念がないだけでなく、キスやらハグやらのスキンシップすらもないらしいですね。
最初知った時はびっくりしました。
おそらくARUKUさんもその事実をご存じで、本作に取り入れたのかな?
(違ってたらスミマセン)
しかも膠着(こうちゃく)語までご存じとは!
相当いろいろ調べられたんだなぁARUKUさん・・・ますます好きになりました。
火山噴火が国を失った一因と思わせるような描写があったので、同じく火山噴火が絶滅の一因となったオオウミガラスを思い出しました。

今回は珍しく2人目の王子が出てきたのが個人的に良かった。
「ちっちゃくて可愛くて可哀想」だから「守りたい」それって結局「下に見てるんじゃないか」と彼が言ってくれたのは意外。
ARUKUさんの著作には確かにそういうのが多くて、私もその辺はモヤってたので、ARUKUさんがそこまで考えてくださってたと知って驚きました。

絵が本当に綺麗になられましたね。
お話的にも絵的にも、今まで読んだ著作の中では一番読みやすかったです。

ただ一点、「刑事上の犯罪」と「民事上の不法行為」をごっちゃにされている印象を受けました。
アウティング自体は前者ではなく後者で、名誉毀損罪や脅迫罪に該当すれば前者になります。
あと受けが「タヒね」って言いすぎ(あっこれじゃ二点だ)。
あと人慣れしてない猫を無理やり抱っこするのは大いにNGなので、よいこの皆さんは正しい方法でお願いしますね(あっ三点)。

心に残った言葉:「どうしてみんな正しいか否か自信があるように言うんだろう」

3

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