紙の舟で眠る 上

kami no fune de nemuru

紙の舟で眠る 上
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神70
  • 萌×220
  • 萌10
  • 中立4
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
18
得点
464
評価数
104
平均
4.5 / 5
神率
67.3%
著者
八田てき 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784829686881

あらすじ

俺の灯火

戦後、横浜。
元・天才脚本家の憬は、もう筆をとらないと決めていた。
脚本のモデルにした人物が、必ず不幸になるからだ。
ただ死を待っていたが、ある日、生きる理由が現れてしまった。
それは泥酔していた憬を、居候先の娼館で介抱してくれた燿一。
彼の無邪気さと妖艶さに、惹きつけられずにはいられず、どうしても燿一を書きたくなる……。
他の誰を犠牲にしても、何を犠牲にしても、
燿一だけは不幸にはしないと誓うが――。

表題作紙の舟で眠る 上

アマチュアカメラマン
天才脚本家

レビュー投稿数18

美しい作画に謎が散りばめられた上巻!!

八田先生の作品は『遥か遠き家』で知りましたが、あちらは美しすぎる程のメリバでしばらく何も手につかないぐらい心に響いたので、今回も読む事を躊躇っていました。(メリバが嫌いなのではなく、本の事ばかりをグルグル考えてしまうので)

結論からいうと、『紙の船で眠る』はハピエンです!!王道と言っていい程の夜明けには刺さる作品だと思いました。

昭和初期の頃の日本。バスの衝突事故を境に文字を書かずには居られない【死神】に取り憑かれた憬はその文才を認められ天才脚本家として活躍しましたが、彼が脚本のモデルにした人物は必ず不幸になるため、これ以上書くことを拒みながら自堕落に生きていました。そんな時に同じバス事故の生き残りである燿一と出会い、彼に魅了されます。不幸にしたくない、と願いながらも燿一の事を書きたくなる…。

憬の葛藤やトラウマがメインの話にはなっていますが、燿一も過去に囚われ、無邪気で明るい顔の下には言いようもない不安が隠されていてその表情がこの世界の美と醜をごちゃ混ぜにしたかのような素晴らしい画力で表現されていて何度もはっと息をつくシーンに出会います。
出会っては離れ、を繰り返す憬と燿一は運命と言わざるをえません。


上巻は二人の蜜時…と言えるような甘くて幸せな時間の切り取りが見ていて本当に幸せになれるぐらい甘いです。お互いに相手に憧れを持ちながら身体を重ねる美しい男性二人…!最高ですね!!二人の微妙〜な身長差がいいですね。憬が年上なのに可愛く見えます!

しかし、幸せだと思っていた所に押し寄せる黒い【死神】。その正体が分からないまま上巻は進んでいくので黒いモヤがかかったように感じます。
ぜひ下巻も合わせて読んでほしい作品です。

0

受け様が妖艶すぎる

推し作家様の作品です!待ってましたって感じ
前作の遥か遠き家がほんとに素晴らしくて、あとヤクザさんのお話も大好きで、笑わせてくれます。
実はこの作品去年の年末に上下巻とも買ってすっと眠ってました!読むのがもったいなくて…(笑)
今回のお話は前作よりもずっと暗くて混沌としたお話です萌
幼い頃の悲惨なバス事故で生き残った2人の少年のひとり憬、彼はバス事故以後才能を開花させるのですが、いつも死の影がまとわりついています結果的には筆を折るのですが、そんなときに出会ったのがもう一人の生き残り耀一、彼は太陽みたいに明るくちゃめっ気があって、子犬みたいに可愛いんです!大型犬ではなくて子犬!っぽいですね。まるで耀一は憬にとっての精神安定剤ですがみたいに落ち着ける存在、しかし太陽みたいな耀一にもまた仄暗い過去があって…
とにかく八田先生の画力は素晴らしい!美しい!耽美的です
背景も細かくて滅多にないHシーンはキュンときますね。
特に憬の妖艶さや目つきがたまりません
すぐに下巻も読みたい!どうか少しでいいからハッピーな終わり方になりますように

0

死神を生み出すものとは

 デビュー作に引けを取らない凄まじい画力と隙のない練りに練られた世界観。また八田先生の才能に触れることができて嬉しいです。時代は終戦直後の日本ということで、本格的に復興していく兆しはありながらも、まだ皆が疲弊している空気が濃厚で。そんな中、運命的な再会を果たしたカメラマン助手と脚本家の2人。お互い芸術に携わり、幼少期に悲惨な事故を経験し人生が狂った者同士。2人の共有する世界は刹那的、浪漫的で凡人にはなかなかついていくのが難しいです。そこまで悲劇的になる必要が本当にあるのか、と思う場面もありましたし、憬が一度燿一の手を離してから再び戻ってしまう身勝手さには共感できませんでした。ただ、日々の生活すら大変な時代にはきっと、今の私には測り知れない人間の思考がある。下巻でそこも含め、2人の行き着く先を見届けたいなと思います。

0

気になった方は是非最後まで読んで欲しい

八田先生の前作、「遥か遠き家」のラストに衝撃を受けたので、今作も楽しみにしていました。「紙の船で眠る」というタイトルの時点でもう、不穏な空気が漂っていて、そして冒頭の電車事故の時点でかなりホラーな絵が展開されていて最後の最後までこれはどんなエンドになるのか?不安な気持ちのまま、ずっと読み進めていました。
絵は、戦後の復興し始めのまだまだ落ち着かない日本を表していて、古い映画の様なとても雰囲気あるそして、写実的な感じの作画で、隅々まで素晴らしく表現されていました。
モブで出てくる人一人一人が自分が生きるだけでも精一杯で、余裕の無い人、悪い事をしていると分かっていても、生きていく為には仕方ないという開き直った生き方をしている人。そういう時代背景からくる苦しさや粗雑な喧騒など隅々まで描かれています。
1話1話のタイトルも、難しい言葉が使われているのですが、言葉の意味を調べながら読んでみると、その話が何を意味しているのか、理解する上で役立つと思います。
脚本家の憬と、写真家を目指す燿一。二人は同じ電車事故に遭って唯一生き残った子供達という運命的な繋がりがあったからこそ、お互いに出会って心と体を通わせる事で今までに無い心の安らぎを得るのですが…

憬の深層心理なのか妄想?幻想?死神として出てくる子供はどのような存在なのか?自分が脚本を書くことで人を殺してしまうという恐怖。そういった心の不安定さから来る恐怖心が1度は安らぎを得ていたのにも関わらず、また死神の姿が出てきます。燿一は何度も捨てられた事で心が空っぽになるっていた経験から、そして創作に没頭する憬との心の乖離に恐怖を抱いて…二人同時に悪夢を見ます。互いに自分を救って貰ったという存在でありながら、二人には死神の影が現れます。生きていたいのか死にたいのか?そういう感情すらも、浮いたり沈んだりが、まさに紙の船の漂う様に感じました。

憬が自分を(死ぬ運命の)モデルに描いていた脚本はどうなるのか?本当に死が迫っているのは憬なのか燿一なのか?そして、燿一にハッキリと「愛している」と伝えた憬。これからの二人はどうなってしまうのか?
下巻は怒涛のストーリー展開なので、是非最後まで読んで欲しいです。

0

圧倒的な作画コスト

とにかく上下どちらにも言えることですが作画コストがすごかったです。
八田先生の作品は前作も含めて建物、花や木々などの自然が丁寧に細部まで描写されていてすごいなと思います。
なので、セリフのないコマでも細部までしっかり見るので読むのに時間がかかりました。

上下巻を通じて2人の人生が壮大に描かれていました。
事故で生き残った2人の少年が12年後に再び再開し、、離れても運命の糸で引き寄せられるようにまた再開する2人
どこか欠けた部分を補い合うように存在する2人を見ているのは辛くて、一緒にいる幸せを見つけることはできるのかなとハラハラしながら読んでいました。

1

言葉、景色、命の全てに圧倒される

小説を読んでいるようでした。2人の魂が示し合わせたように寄り添い合い昇華するような、ただただ美しい漫画でした。安っぽい言葉で語っては伝わりそうもないのでこの辺にしておきます。文句無しの神評価です。

2

神すぎてむずいけどすごい

難しくて理解できているかわからないけど、おいてきぼりにはされずに引き込まれました。もはや画力がすごいを超えたところにいる感じがするというか。娯楽というより文学作品でBLなのかどうかももはやどうでもいいか、な?こんな作品描いたら魂燃え尽きちゃうんじゃないかなって思いました。

2

買って損はさせません!

表紙も綺麗で上下巻合わせて飾りたくなります。
形態は漫画ですが、長編小説を読んでいるようなそんな気分になりました。言葉選びはわかりやすいですが、非常に文学的で文豪好きの私にはとてもハマりました。
明治~大正辺りの文学作品が好きな方はハマるかも知れません!
ぜひ紙媒体で買って欲しい作品で、読了後カバーを外すとそこにも仕掛けが施されています。
主人公の憬が葛藤する描写が鮮明で細かいので読んでいるこちらもドギマギしたような、心拍が早くなるような感覚になりました。
戦後日本の時代に翻弄される2人の人生が美しく、残酷に描かれています。
買って後悔はないのでぜひ上巻だけとは言わず下巻も一緒に買って欲しいです。上巻だけ買ったら後悔して直ぐに下巻も買いに行きたくなると思います。
同じ作者さんの他の作品も気になっているので読んでみようと思います。
素敵な作品に出会えて良かったです。


⚠️ここからネタバレ含みます⚠️
上巻の後半からラストに至るまでずっと2人が心中してしまうエンドなんじゃないかとハラハラしていました。心中エンドはそれはそれで趣がありますが、2人には幸せになって欲しかったのでハッピーエンドでホッとしました。良い意味で何回も期待を裏切られた作品でした。
2人の葛藤には時代背景が深く絡みついていて、どうしても逃れられないものだったと思います。高校で日本史を勉強しましたが、戦後の日本について少しおさらいしてから読むとまた深く感情移入出来そうなので勉強し直そうかなと思いました!

2

間違いなく神

上巻のみの感想です。
「遙か遠き家」でもそうでしたが、言葉が文学的で美しい。
そして絵が…情念というか魂というか、生と死、愛、苦しみ、喜びなどを描くための生半可ではないエネルギーが込められていて物語に引きずり込まれます。すごいです。

読んでいると、重い、濃い、怖い、深い、難しい、美しい、悲しい、苦しい…いろんな感情が渦巻きます。
嫌じゃないです。
目を見張って読んでしまいます。
すごい読書体験です。すばらしい。

死神とは何なのか。
憬の死への恐怖、または憧れ、生への執着、または嫌悪、罪悪感…そのようなものが具現化されたものなのでしょうか。
溢れて止まらない言葉は…生への欲望の表れか。
燿一が撮った憬の写真がろくに写っていなかったのは、憬が死神をまとっていたからでしょうか。
私には難しくてよくわかりませんが。

憬に対して燿一は生の象徴かと思ったら、空っぽな存在だというのがまた…きました。
燿一の「僕はそんなにも 愛しがいのない 信じる価値もない 人間なのかなあ?」
は泣きそうになりました。
誰もが一度は感じたことのある悲しい思いなのではないかと(そんなこと感じたことのない人はしあわせですね)
でも憬がすぐに「違う………っ‼︎」
─どれだけ救われたと思ってる
と抱きしめて
「愛してるよ」
と言えて2人にとって救済、再生になるよねとほっとしたんですが。これ下巻どうなるのか。
ハラハラドキドキしながら読んできます。

1

No Title

Can't express how much I love this story. I'm in awe at how breathtakingly beautiful the art style is and how amazing the storytelling is. It's a little bit dark and I have prepared myself for some angsty, heartbreaking love story. In the end, it's just another masterpiece from Yatsuda-sensei for no doubt. I really recommend it. I love Yatsuda-sensei so much.

2

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