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kegare no nai hito
久しぶりに読後しばらく何も出来ない作品に出会った。
6歳の男児を犯して殺した罪を着せられ服役した秋鷹は、出所後も犯罪者のレッテルを貼られ行き場がなく自殺しようとしたところを神父の木場に助けられる。絶望しかなかった自分に優しく手を差し伸べてくれる木場に癒される秋鷹。ところが木場には隠された恐ろしい過去があって…。
震えるようなまさかの展開。木場もまた被害者でありその罪を赦し支えようとする秋鷹。冤罪であれ程苦しんだのにそれでも相手を赦せる秋鷹こそ、まさに神のような存在だ。罪とは何なのだろう。究極の状態で育まれた2人の愛の尊さよ…。
そしてこのお話には後日譚があると教えて貰い読んだ #穢れのない人後日譚Jam これに私は更に打ちのめされた。完全に穢れのない人っているのだろうか。犯した罪は一生消えないのか?
殺された子供の親の立場になれば、その怒りも悲しみも無くなる事がないのはわかる。それでも2人には新しい人生を一緒に幸せに過ごして欲しかった…。
2巻のまま終わっていれば先の幸福を胸に描く事が出来た。でも敢えて続きを描いたのには作者の拘りを感じる。罪は罪なのだ。木場はやっと本当に赦されたのか。ラストの彼を照らす光に、一縷の望みを託したい。
上下巻まとめての感想ですが、終わり方がよかったです。
絆されて2人で一緒にいるために木場の罪をなぁなぁにするのではなく、きちんと罪を償う…15年経ってから服役したところで自己満で綺麗事かもしれないけど、2人がこれから一緒にいるために必要なことなのかなぁと思う
木場の『セックスだけが愛だよ』からも子どもは親にとって世界の全てで、思考に影響を与えているなぁと思いました。
木場の父親が木場にしたことはもちろん、見て見ぬ振りをしていた母親も同罪ですよね…
15年の時が違えどお互いだけが唯一助けを求めていた時に、相手に手を差し伸べていたのだなぁと感じました。
穢れのない人なんていないよなぁ…
短編『仮面のなかみ』の続きが読みたくなる!!
本編の後に読んだからかより2人がかわいく感じた。
幼児に対してや、性行為の強要を許せない方は注意してください。
この作品は、そういう行為を許さない立場で描かれています。
だからこそ、辛い。
キュンキュンと胸がときめくこともないです。
いわゆるBL、恋愛ではないです。博愛から生まれた唯一の結びつき。
萌2評価なのは、胸がときめく話ではなかったから。この作品に必要のないものですが、私が神評価にするポイントだからです。
誰でも読めるわけではないですが、BLの枠を超えて多くの人に読んでほしい素晴らしい作品です!
【下巻の感想】
一見穏やかな木場と秋鷹。
恋人同士のような雰囲気も流れるけれども、あのような始まりと因縁の二人なので、いつ秋鷹が手のひらを返すのだろうという不安も感じる…。
昔の写真をきっかけに語られる木場の過去は、本当に胸糞悪くて辛くて悲しかった。酷すぎて読む手が止まりそうになる。
話を聞いた秋鷹の、愛についての言葉がよかった。
その後の展開は、転がるように、流れるように。
いつの間にか、秋鷹にとって木場が庇護の対象になって「この子」と言い表すようになっていたのが印象深かった。
全編通して、秋鷹の心の清さ、圧倒的な光に胸打たれる物語だった。タイトルの『穢れのない人』はそのまま秋鷹のことだった。
どうしてこんなにも穢れなくいられるのか。
どんな理由があっても、どんなに悔いても、失われた子供の生命が戻ってくることはないので、そこだけはずっしりと重く心に引っ掛かった。
収録作の『仮面の内側』はガラリと雰囲気が変わって明るく楽しいお話なので、読後感をだいぶ軽くしてくれる。
上下巻、とても完成度の高い良作だった。
上巻では物語の起承までのところで終わってたので、え?!どういうこと?ってすんごくモヤモヤさせられた。しかも、同時収録のお話にもモヤモヤは加速させられた。
下巻は、転結まで描かれています。
ここまで読んでいくと話の全貌がわかるので共感や同情、敬服してしまった。
主人公は、元神父であっただけに[赦す]事が出来る人で、彼がどうして罪を犯してしまったのかを注意深く探っていくの。愛をもって。
心で接していく事で、現実を見つめ直して罪を償う気持ちにさせていくところが、素晴らしい聖職者だなと思いました。職業神父ではなく、本当に神父になるべき人物。
人の罪を被って15年服役した事も恨むのではなく過去の事として[赦す]
とにかく、あの両親は地獄に堕ちてしまえばいい。息子に手を出すペドフィリアの父親ときっと気付いていたのに知らないふりをしていた母親。
あの2人に関しては[許せない]です。
同時収録のお話は愉快で大好きな感じでした。
30歳のイケメン俳優10代からモテモテだったけど実は10代の性体験のトラウマでEDになって以来童貞。王子なんてあだ名つけられているけど、経験ないのがコンプレックスで…ってお話ならこの先どうなるかもうお分かりですよね。
恥ずかしながら流されて感じてしまう王子最高でした。
ちるちるのインタビューで漫画描くの初めてとおっしゃられてましたが、心理描写が巧みで今後も要チェックだなと思いました。
ストーリー重視の方は絶対読んで欲しい。
シーモアで購入
白抜き修正
木場の父親がサイテー最悪ヤロウで、、なぜ木場だけが罪を償うのかと、そこだけがどうしても納得できませんでした。
勧善懲悪主義者のハピエン厨なので、悪人はすべからく捕まってほしい!!
メリバという言葉で済ませていいのか、、最後の最後まで難しい作品です。キンシンソーカンペドなので地雷な方は確実に避けてください。
同時収録は打って変わって明るめの作品でした。劇団で悩むドーテー王子と地味なバイトくん。王子様のドーテーならぬ処女喪失。
こちらは下巻のレビューです。
上巻レビューにも書きましたが、特に下巻は前知識少なめで読まれることをおすすめします(とは言えかなり読み手を選ぶ内容なので、人によっては地雷要素があります)。
なるべくネタバレ少なめでレビューします。
上巻ラストで、木場を赦し、愛を与える努力をすると伝えた秋鷹。木場は毎日秋鷹の体を求める。
こんなにクズなのに、秋鷹に甘える木場は可愛いです。年下ワンコになっています。
秋鷹に過剰な執着と独占欲を示す木場に、疑問を持つ秋鷹。
そして明らかになる木場の過去が壮絶でした。上巻を読んだ時にはちょっと想像できなかった展開でした。木場自身も被害者でした…つらい…。
木場の親と対峙する二人。
秋鷹の父親への発言は、元神父の厳しさと木場への慈愛を感じられて、胸にグッときました。
木場の母親については、実際このような見て見ぬ振りをする親はいるのだろうな、と感じてつらいものがありました…。
最後、木場は秋鷹に二度救われたんだなと思いました。
本編のみですと、ラストに切なくてやるせない気持ちになりましたが、書き下ろしまで読んだら少し救われた気持ちになりました。
上下巻読んで、木場の性格に少し一貫性がない感じを受けました。またストーリーに荒削りな部分も感じました。しかし確実に胸を打つものがありました。読んでよかったです。
デビュー作としては、力強い作品と感じました。今後の作品にも期待しています。
短編『仮面のなかみ』も収録。
年下ヤリチンバイト×トラウマ持ちの童貞イケメン俳優。こちらはコミカルな作風。ギャップのあるイケメンが食べられてしまいます。もうちょっとその先を読んでみたくなるお話でした。
シーモア購入 白抜き修正
はじめに、「中立」と評価はしましたが普段「神」「萌2」などをつけるときの基準にはあてはまらない作品であり、「良いとも悪いとも言い難い」という意味での「中立」評価であることを書き添えさせてください。
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一体どれだけの人が 道を間違わずに生きていけるんだろうな
下巻の途中にあるこの台詞がこの作品全体を通して問われたことであり、誰でもいつでも間違えうる世界でどう生きていくのか考えさせられました。
木場の境遇を思うと、同情すべき余地はあるのですがそれは殺害された少年やその遺族には一切関係のないことで、また巻き込まれた秋鷹も同様だと思います。
ただ、被害が次の新たな被害を生む憎しみの連鎖の中で、誰か1人でも木場のことを事件が起きる前に救ってあげられていたならと思えてなりません。
被害者が加害者になってしまう虚しさと悲しさで、なんと言えばいいのか…
そうなってくると木場の父親を諸悪の根源として悪役の位置に据え置くのも違和感を覚えます。
上巻に短編の「スケープゴート」が収録されていますが、小児性愛の傾向にある登場人物はその欲が許されるものでないことを理解して子供を傷つけることはしません。
自分の欲望のままに被害を生み出した木場の父親との違いはどこにあるのか、単純に子供を神聖視する価値観の違いだけなのか…
(小児性愛の傾向を持ちながら小学校の養護教諭をするのはよろしくないですし、児童ポルノを見るのもダメなんですかね?の発言には「ダメに決まってるだろ」の一択なので、倫理観のズレた人間であることに違いはないのですが)
考えるほど、必要なのは異常者と呼んで排除することではなく向き合って治療や対処法を探すことだと改めて思わされました。
これは感情論や綺麗事ではなく、現実的により効果的な方を考えて、です。
この作品にはまともに見ていられる人間がほとんどいなかったのですが、読者の私にとっても秋鷹を見ている時だけが呼吸のしやすくなる瞬間でした。
秋鷹には味方をしてくれる友人も家族もおらず、あげく唯一味方をしてくれた相手が真犯人などという惨すぎる境遇に身を置きながら、自ら立ち上がる強さを持っていたことがこの作品の光だったと感じます。
赦しは強さであり、愛であると同時に、自己中心的な自罰を許さず、犯した罪だけでしか語れぬ自己の在り方を許さない厳しさでもあると気付かされました。
もやもやすることや、気付かされたこと、いろいろありますが自分が道を間違えた時や理不尽な苦しみに見舞われた時に、それでも進んでいくにはどうすればいいか?を考える頭の片隅にこの作品がいるだろうと思います。
感想を書くのが非常に難しい作品でしたし、受け取り方も人それぞれだと思うのでいろんな人の感想を聞いてみたいなと思いました。
先ず上下巻を通して言いたい…!
なぜ同時収録作品入れたのぉーー…⁈(´д`)⁈
上巻のレビューでも上巻の同時収録作品について結構書いたんですけど、、、それでもまだ表題作との作風の親和性もあるかな…?と2万歩位譲って納得出来ます
でも…!下巻の同時収録作品は「ナイ」なって思います。。。
誤解無きように言いたいのは上巻の「スケープゴート」も下巻の「仮面のなかみ」も単純に作品としての完成度は高いんです‼
2つの作風が違い過ぎるのでこの言葉が適切か?は迷いますが表現の便宜上使いますが【楽しめました】なんです!!
ただ単純にこの「穢れのない人」という作品になぜこの同時収録を選んでしまったのか。。。⁇という構成への不満が大きい。。。
デビュー作、という事が恐らく大きく影響しているのかな?とは推察はしますょ?
表題作だけでは作家さまのイメージが固まり過ぎてしまう位のインパクトがあるからの下巻の「仮面のなかみ」だったんだろうなって事は分かります
でも、、、余りにもこの「穢れのない人」の世界観を壊し過ぎちゃうでしょ・・・⁈「コレじゃなかった」んではなかろうか???
せめて表題作と同時収録の間にあとがきを入れるとかして欲しかった。。。
作家さまのお顔が余りにも見え難いこの上下巻を通した構成には理解が追い付かなかったなぁ…(。゚ω゚)
そこまで酷くはないとは思うけれど、私には”違った”なぁ…って印象が強かったデス。。。
そして表題作自体ですね!
こちらは何とも…まぁ…・・・「不幸」なお話しなんでしょうか。。。
誰も結局は「救われていない」気がします
だからこそ彼ら2人だけでも互いが互いを「赦す」しかなかったんだろうと思います
この作品は正直秋鷹が神父でなければ成り立たなかったんじゃないか?と思えてならない
恭介も養父も養母も『自己愛』が強過ぎる…
恭介は勿論そうならざるを得ない背景はあの鬼畜の存在と影響から分かるが、自己肯定感が低いのではなく自己愛が強かったからこその残忍な凶行に走った訳だと思うんですよね
だからこそ『自己愛』とは相容れない『博愛』精神を貫く事に理が通る秋鷹の「神父という存在」が必要だったんだと思うのです
そう考えると秋鷹が神父の道を歩んだ過去や背景の描写が少なかったのが勿体ない……知りたかった…
そして恭介も恐らく施設育ちですよね?
(ちるちるの作品詳細に「実父」と記載されてますがあの鬼畜は養父ですよね?多分間違ってる…と思う…)
だからこそ余計恭介は「愛に執着」したんだと思うんです
この辺の掘り下げもあって良かったのに…と思えてならない
他にも正直めっちゃある‼
そもそも冤罪になった経緯、省き過ぎじゃない?
あんな小さな少女にあの2人の話しは理解出来たの?とか、さ…
色々あるんすょ。。。言いたい事!
でも、あくまでもBLだからさ、、、その根幹に関わらない所は脳内で処理出来る!だからこそ根幹に関わる2人のバックボーンはもっと丁寧に描き切って欲しかった!!!
それ位「知りたい」2人のお話しだったんです…‼
そしてこれだけは感想として言いたい…私はあの母親が1番許せない…!
小さな子供を殺めた息子、そこに至る迄追い込んだ伴侶の愚行を、なかった事、見ぬ振り、気付かぬ振りをした事…
ここにも恭介が実子ではない、という背景が見え隠れしているように思う
と、いうより子供を持つ母親としての感情が感じられない
『無関心』という罪名なき罪があったと思えてならない
マジで同時収録不要論ですょ。。。
いや?作品として読めたのは良かったんです、ほんとに!
なので「上中下巻」が最適解だったんだと思うんだけどなぁ。。。
悔しいなぁーーー…
すっごい読み込みたい作品の感触は確かにあるんだけどなぁ~…
だからこそ…言いたい事が溢れて来ちゃいました
これだけチンタラ言いましたが、これだけ言ってもそれでも『読み応え』のある作品ではありました!
そして絶対に先生の次の作品が出たら買います!!!!!
この想いを評価に上乗せさせていただきました(´ 。•ω•。)
ちるちるさんの記事で知り、気になっていた作品です。
読んでいる途中で声が漏れてしまうほどいろんな感情が湧いてきます。
それが怒りなのか悲しみなのか悔しさなのかわかりません。
BLという括りなのでしょうが、読む人を選ぶ作品ですね。
私は読んで良かったと思います。
先がまったく読めないという感じではないのですが、それが当たってほしくない。
ああそうか・・・そうだよな・・・みたいな
本を閉じた後は放心状態です
色々と考えさせられる作品でした。
はあぁ~ やっぱそう来たかぁ…
ダメ。ムリ。許さない。
アイツも被害者だった。それは認める。
でもね、だからって小さな子供を強姦して殺す理由にはならない。
じゃあさ、虐待を受けてきた人々は全員アイツと同じなのか?
そうじゃないでしょ。
神とやらから授かった「自由意志」ってもんがあるだろ、神父様よ?
アイツは結局、あのクズ親父と同類って事さ。
他人を平気で傷づけ、自分の事しか考えない虫けら。
あんな過去がなかったら全く異なる道を歩めたかもしれないのに!って―
知らんわ。
じゃあショウタくんの人生を返せよ。
あのセリフを読んだ瞬間、本気でカチンときた。
最後もさ、終身刑とかだったらまだ「中立」にできたかもしれない。
でも後に釈放されて、愛する人とこれから幸せに暮らせるアイツを見たら、
どうしても許せませんでした。
以上。
上下2巻まとめてのレビューです。
まずは上下巻それぞれに同時収録されている作品がありますが、タイトル作品を1冊にまとめて一気に読ませて欲しかったです。
同時収録作品を否定する気はないのですがこのテーマなら2巻巻末に載せてもらったほうがたっぷりメインストーリーを楽しめると思いました。
内容と絵の雰囲気がピッタリで、暗いお話ですが抵抗なく読めました。
受の秋鷹さんの受刑中のエピソードなどを詳しく描いてもらえたら、感情移入がもっと出来たのかなぁ?
うーん。そうなる?人間そう気持ちが整理出来るものなのか?とモヤりますがなぜか読後感はスッキリなんです。
一度読んで勢いですぐレビューしているので勘違いな点があったら申し訳ありません。
独創性の高いストーリーを生み出す作家さんが好きなので虫飼先生のこれからの活動がすごく楽しみです。
すごい新人作家様が出て来ました。
上巻のレビューを書き終え、早く答え合わせがしたいと下巻を手に取り読み、読み終えた今はまさに放心状態というか…
想像していた以上に考えさせられるお話でした。
上巻とは全く異なる印象を抱きましたし、なんともいえない余韻が残っています。
夢中になって読んだ作品があれば、ついつい面白かった、良かったと言いたくなってしまいますが、こちらの作品には使えない言葉かもしれないなと私は思うのです。
萌えか否かと言われると、萌えたのかどうかわかりません。萌えという言葉は合わない作品だと感じます。
ちるちる上の評価も最上が神なのでこちらの評価になりましたが、正直に言えば、他レビュアー様も仰るように違和感があります。
好きか嫌いかの2段階であれば、間違いなく好きを押しているでしょう。
私はこの作品が好きです。ただ、理由がわからないのです。
上巻であれだけ知りたかった「なぜ?」の部分が、下巻では次々と明かされていくというのに、普段BL作品を読む時とは少々異なる感情と考えが次々とわいてきて、頭の中でぐるぐると渦を巻いたまま読了していました。
決して嫌な類のものではなくて、どうすれば良かったのか?どうしたら良いのか?なぜなのか?と、哲学的な考え方をしながら読んでいたのかもしれません。
作中のどのエピソードにも、最高だった。素敵だった。良い話だったとはとても言えませんでした。
それを言うには、私は事情を深く知りすぎてしまった。
けれど後味は悪くなく、好きか嫌いかで言うと好き。
なぜ好きなのかはわからないけれど好きというのは、作品に描かれていたものを見て、一体どの感情と考えを持つべきか?と、考えようとする自分がいたからかなと。
ただ見ているだけの傍観者ではいたくないと思ったからであってほしいですし、そう思わせてしまう力がありました。
読み手の分だけ読後に抱く感想や考えが異なるでしょう。
ここまで余韻が冷めず、深いところを突いた作品を読めたことをうれしく思います。次回作も読みたいです。
秋鷹が木場を受け入れたことでその関係は変わり、まるで恋人同士のような日々を過ごしているふたり。
でも木場の言動には愛や執着とはまた違う"何か"が隠れているような違和感があり、噛み合わない気持ちにハラハラしていると…
木場の過去がわかってきて、15年前の事件の真相にも繋がっていくわけです。
上巻でも途中から空気感が変わっていきましたが、下巻でも仄暗い雰囲気のままゾクゾクするような場面が何度もあって。
家族の在り方や信じる気持ち、愛とは何なのか?という部分を一緒に見つめ直しながら、ふたりともが救われていくような展開にすごく惹き込まれました。
木場が犯した罪は、本当に木場"だけ"の罪だったのでしょうかね…
彼の人格を歪めた父親と見ないふりをし続けた母親。
直接手にかけた木場自身と同じくらいの重さの罪が彼らにもあったのに、裁かれるのは木場だけ。
描き下ろしの先のふたりの日々が、どうか幸せなものでありますように…。
「なんだかなぁ…」というモヤモヤした気持ちは残ったけれど、そんな後味の悪い余韻ごとこの作品の魅力だったなと感じるようなとても深いお話でした。
今作は上巻併せて購入させて頂きました。
個人的、各項目5段階で
特殊性癖 3
仄暗い 3
エロ 2
胸糞 2
な感じだと思います。
上巻に引き続き、神父×冤罪で服役していた元神父のカプです。ですが2人とは別で、子供へのフェラ、イラマチオ、そして被害者の翔太くんへの犯行描写が数コマあります。
子供が辛い目に遭うというか、かなり特殊性癖の描写があるので、そういうのが苦手な方はご用心してください。
上巻で判明したことで、秋鷹さんと木場さんの関係性はほんのり甘くも歪な物になっていた。元神父ということもあり、秋鷹さんは木場さんのことをもっと知り、救おうとするのだけど…。
勿論、罪を犯した木場さんも悪いですが、やっぱり木場さんの父親が胸糞でした。幼い頃の木場さんに対しても再会してからの言動も嫌悪感しかなかったですね。秋鷹さんが言い返してくれたからほんの少しだけ溜飲が下がりましたが、父親は救われなくていい。
上巻に同時収録されてる短編では、小児性愛者のキャラが「子供に手は出さない」と言っているのに、木場さんの父親は…何とも皮肉な対比ですね。あと父親に目をつけられたばっかりに、流石に翔太くんが可哀想だね。
作品の内容、雰囲気から萌える描写は少ないですが、個人的に描き下ろしの秋鷹さんの「おかえり」の表情や何年も待ってたんだなと分かる少し老けた容姿に胸がジーンとしました。
上巻以上に読み手を選ぶ内容で、何が愛で何を赦すのか、色々と考えさせられますが、2人の行く末を是非とも読んでほしいです。
読めない人間は一定数存在する話。BLに少女漫画的な萌えを求めて読んでいるのなら、向かないかもしれません。更に、小さい子のレ○プものが無理な人は厳しいと思います。
BLというよりも"犯罪"、特に小児性愛や幼少期の虐待についての問題提起的な作品だと思います。理由があれば犯罪が肯定されるわけではありません。しかし理由について知ることは必要な事だと感じました。私は犯罪心理的なものも好きなので、とても楽しく読めました。
ただ殺されてしまった男の子のことを思うと、こういうのって身内に被害者がいないから言えることで被害者遺族からしたらこの作品を読める私も悪魔のように見えるのかもしれないなとか色々考える作品でした。しかしそれでも犯罪の減少の為には確実に考えなければいけないことではあります。
起承転結で言うと、上巻は起までしか描かれていませんので是非上下巻で一気に読んで欲しいお話です。下巻を読むと、上官の最後の木場の激昂は自分の罪悪感から逃げたいがために来る虚勢なのだろうなと思いました。
結局父親は逃げ切っているし、罪のない男の子が殺されながらもその子は物語の背景でしかない、などモヤモヤしたものが残る話ではあると思います。ただ、読んだ後に何か考えさせられるような作品が好きな方にはおすすめの作品です。
漫画としては面白かった。
その上で「中立」にしたのは「萌」や「神」などの感想が読後感にそぐわないから。
エロは控えめな方、むしろヒューマンドラマ主体となる。というかこのテーマなら一般でも成立したかな。
同系統の漫画を挙げるなら「にいちゃん」に代表されるヘヴィなはらだ作品、そして朝田ねむい作品か。自分は作者のインタビュー記事とあらすじ読んで天童荒太の小説を思い出した。
小学一年生の男児をレイプし殺した濡れ衣を着せられ十五年間服役していた元神父と、彼を保護したその真犯人である神父の話。
この時点で読者を選ぶ。
ざっとレビューを拝見し、「攻めが受けに執着する動機が理解できない」という意見に驚いた。
いや、教会のやりとりだけで十分では……?
アレで理解できないって人は、よっぽど選択肢が多い人生を送ってきたんだろうなと思った。
羨ましいな、縋る人を選り好みできるなんて。
ぶっちゃけ木場はクズ。
彼もまた小児性愛者の父親に虐待されており、それが犯行の引き金になるんだが、終始被害児童への罪悪感より父親に対する罪悪感、ないし嫌われたくない感情の方が大きく感じた。
寝言の「ごめんなさい」はさえきしょうた君あてだと信じたいが、その後の「父さんにも嫌な思いをさせた」独白を鑑みるに、やっぱり父親への謝罪なんだろうか。
たとえばシリアルキラーのヘンリー・リー・ルーカス。
娼婦の母親に幼少時から凄惨な虐待を受けて失明し、成長後に多くの人間を嬲り殺した。
彼の生い立ちに同情を禁じ得ないのは確かだが、かといって被害者には何の落ち度もない。
彼女たちは彼の不幸と何の関係もない、言ってしまえばとばっちりの犠牲者なのだから。
本作にも無垢なる犠牲者が出てくる。木場に殺されたさえきしょうた(6)だ。
生憎この子に関しては全く掘り下げられず、名前と年齢以外のプロフィールはわからない。
好きな食べ物は?
嫌いな教科は?
大人になったらなりたいものは?
お父さんとお母さんどっちが好きだった?
嘗てあったはずの夢も希望も全部なかったことにされてしまった。
私がこの漫画に無責任に感動できたとしたら、それは私がさえきしょうたと何の所縁もないただの読者で、即ち秋鷹の軽蔑に足る「傍観者」だから。
そして世の中にはさえきしょうたの家族がたくさんいるのだ。それはもういやになるほど。
実際に子供を産んで育ててる人、「さえきしょうた」の親になり得たかもしれない人間は、はたして秋鷹のように木場を許せるか?
結論はわかりきってる。
無理だ。
秋鷹は聖人だ。
自分をハメて15年間刑務所送りにした幼児強姦殺人犯を許し、出所を待ってると約束するほどの。
恐らくは意図的に幼稚に描かれてる攻めの造形以上に、現実離れした受けの聖人ぶりが受け付けない読者は一定数いる。
過去に神父だった設定を踏まえても秋鷹の寛容さは常軌を逸している。善性も過ぎると狂気だ。
個人的には秋鷹は子供を守るために為に戻ってきたのかな、と思った。私はそれでいい、というかむしろそっちの方が好み。
素直に「よかったね」と祝福するには犯した過ちが大きすぎ&取り返しが付かないし、子供が報われなさすぎ。
秋鷹も秋鷹で、被害児童と顔見知りだったらもっとなじってよかったのでは?
木場が花を追いかけたときは「口封じだ!」と気色ばんだものの、バス内の会話を見るに殺す気はなかったのか?
あの子は感謝の手紙を渡そうとしただけだと思いたい。
インタビュー記事で印象的なのは「家庭内で近親相姦問題が起きる時は必ず傍観者が存在する」の一文。
本作では木場の母親がそれに該当する。大量に野菜を送り付ける行為は後ろめたさ、そして親としての義務感の表れ?
誰かが手を差し伸べていたらこうならなかったというのは全くその通りだが、現実はえてして都合よく行かない。
あるいは木場の父親やヘンリーの母親も、幼少時に大人に同じ事をされ、故に自分の子供に同じ事をしてしまったのかもしれない。
しかし本作における木場の父は醜悪で卑劣な幼児性犯罪者に過ぎず、彼が「悪」として断罪されるのと同じ理由で、木場も自分の罪を償わねばならない。
しかし父(母)と子供の片親家庭もあるので、「必ず」とまで言い切っていいかは疑問。隣人を傍観者に含めるならわからなくもないが……。
これからの親は被害者にも加害者にもしないのはもちろんの事、ある意味じゃ一番悪質な傍観者にならないように子供を育てる覚悟と方法を問われていくはず。
悪趣味は重々承知で言えば、秋鷹の行動が全部復讐と義憤で、木場が出所した時には誰も待ってないバッドエンドでもいい気がする。
秋鷹の性格からすれば獄中で命を絶っていてもおかしくないのだが、カトリックの教義における自殺はNGだから、それもできなかったのだろうか。
私は神様を信じてない。
動画で。テレビで。新聞で。そして身近で。彼を信じるには理不尽で胸糞悪いことをあまりに多く見すぎた。
全ての子供たちは幸せになるために生まれてくるなんてきれいごとも言えない。
世の中穢れのない人など存在しない。それはそうだ。
だがしかし、さえきしょうたに責められるべき「穢れ」はあったのか?彼は木場や木場の父に穢されたのではなかったか。
哀しいしやりきれないが、被害者を作る被害者はやっぱり加害者なのだ。
上下巻読んでの感想です。
それぞれの気持ちを丁寧に描かれた作品だと思います。
結局のところショタコンは神父の木場ではなくその父親のみであったことに何となく安堵。
私はショタものが超苦手で理解出来ない範疇でしたが問題なく読めました。
まあ、最近低学年児童に接する仕事をし始め、興味どころか自他共に認める子供嫌いでしたが柔らかいすべすべの肌やいとけなさ、無垢無知に惹かれる大人の気持ちも分かり始めたからかもしれません。
犯人の精液が残っているだろうになんで秋鷹に罪を被せられたのか?
木場の父親はいったいどういう社会的地位の人間なのか?
つっこむところは有りますが概ね違和感なく物語は進みます。
ずっと幼い子供のまま、幼稚な木場と無罪なのに15年刑務所にいた秋鷹。
真犯人の木場を憎むこともできず赦す秋鷹は木場の中に神を見たからです。
木場が秋鷹にがむしゃらに愛を乞うのも秋鷹に無性の愛=神を感じたからだと思います。
木場の父親や母親についても一応ペイされている状態、つまり心身が平穏で豊かな老後を送っているなどという許し難い状態ではなかったので私の中の胸くそ悪さは薄まっていました。
とはいえ父親に関しては立派な小児性愛者、もっと支払うべき人間であることは確かです。
最後の描き下ろしで、殺された子供のお墓やお墓参りで終わっていたのは今後に続く希望の光なのだと思いたいです。
上下巻のそれぞれの別作品を除いて全1巻で出してもよい程の厚さでしたが、出版社の事情なんでしょうね。
上巻の同時収録のヤバさに ふいにオリエント工業が頭をよぎって養護教諭ってそんなに給料いいのか?とか 無駄にドール殺人事件思い出してわっくわくで読んでしまって
どっちかって言うとこっちのお話のほうが好みだったのが痛いところ
んんんん
欲とか執着とか追い込みかたは嫌いじゃないし 小児性愛者や幼児愛好者に歪められたものも そこに堕ちるしかなかった幼稚なものもわかるんだけど
ふたりの繋がりの意味がわからなさすぎてなんで ? ってなっちゃったんだよな
人生狂わされたのはほんとよくわかるんだが
押しつけられた罪に打ちのめされ病む心も 押しつけた罪に感じる恐怖も怒りも
これだけ見事に描ききってるのに肝心な「彼」に対する執着の本意が見えない
すがる事を許されたから? 許してもらえると思ったから?
秋鷹と同じ聖職者の道を選んだところでもあればその意味がわかったのかな?
いや 内容は面白かったです
ここまで罪深い人たちを存分に拝めたのも どこまでも慈悲を持とうとするものに救われていくのも
ほんとよかったんだけど んんんごめんなさい 理解力なくて
超個人的に 侵せない一線を必死に保って自分の嗜好に息をひそめて暮らす 上巻の彼がツボすぎて
ちょっとコミカルでほのぼの系の下巻の同時収録も読ませたい 心情 がわかりやすくて良かったけど
んでもほんと表題作の 穢れ ってのは極上だったのでこれからも追っかけさせていただきたい作家さまをまたみっけちゃったって事で 次がんばるね
先ず、言いたいです
地雷のある方や、ある程度作品嗜好に自分型がある方などは出来たらあらすじや作品傾向を把握してから読む事をお薦めしたいです
逆に属性も幅広く雑食な方はとにかく読んだ方がいい!!と言い切ります
この作品の凄さは読んだら分かります
でも一方「しゅみじゃない」人もいるだろうし、その赦しが許しがたく気分が良くなく思う人も居そう
想う感情は人それぞれだからそう思うのも仕方ない
だけど出来たら読了後にこの作品に対して負の感情以外の何かを得られたらいいな~って思う位私には衝撃的で凄い作品でした
所々やっぱり胸クソだなって思う人や理解に苦しむ流れがなかったとは言いません
でも、それがこのお話が唯一無二であり強烈なインパクトを残した事もまた事実
重みが増すというか感情をガシガシ半強制的に揺さ振られるような感覚です
それらを超えた読了後、、、
まだ私の感情はぐゎんぐゎんしています…
うまくレビューもまとめられない
でも言わなきゃ!凄い作家さんの作品が誕生した事
そして出来たらいたずらに読むのではなく(そんな人居ないと思うんですけど…枕詞みたいな意味のいたずらだと解釈頂きたい)読後にこの作品の余韻に浸かって欲しい。。。と。
絶対に上下巻一緒に読んで欲しいです
そして合間読書ではなく「よし、読むぞ!」で向かい合って読んだ方がきっといいと思います
読む人も読む時も選ぶかも知れない
でも私はこの本に選ばれた(呼ばれた)気がしてならない…
ここまで抉ったデビュー作を描いて下さった先生と導いた編集さん、ありがとうございました
『穢れのない人』の下巻。
上下巻の2冊ものなので上巻未読だと理解できません。
上巻のレビューでも書きましたが、今作品は読み手を選びます。
小児性愛に拒否感のある方、人を殺めるというシーンが耐えられない方、あるいは自分の意にそわない性行為に対してトラウマのある方はくれぐれもご注意ください。
さて。
上巻で一郎が服役することになった凄惨な事件の真犯人が分かりますが、これ、誰が犯人なのか下巻のあらすじに書いてあるんですよね。できれば知らずに上巻も読み始めた方がいいと思うので、ここでもなるべくぼかして書こうと思います。ただ、レビューの表現の都合上どうしてもわかってしまう表記はあります。
少し下げますので、ネタバレ厳禁な方は注意されてください。
自分を陥れた真犯人が誰だったのかを知った一郎。
そこで、彼はどうするのか、という部分は今作品のキモかと思われます。
私なら許せない。
糾弾する?
警察に言う?
詰って、責めて、怒りをぶつける?
けれど、一郎はそのすべてを赦すことにした。赦し、って難しいよね。そこで、彼の神父だった、という過去が生きてくるのは上手なストーリー展開だなと思いました。
そして、じゃあ赦された真犯人は?という部分につながっていく。
「彼」が、なぜそんなことをしたのか。
その事情を解き明かすために、「彼」の過去編へと突入しますが。
これがまたなんというか胸糞というのか。
諸悪の根源はあんたかー!という人物の登場です。どこまで読んでも希望は見えずしんどい展開が続きます。
自分の欲望のはけ口のために、子どもを飼い殺した男。
夫の罪を知っていてなお、子どもの苦しみを知っていてなお、それを己の平穏だけのために無視した母親。
そこから行きついたゴールはー。
なぜ、木場は一郎を愛したのか。
なぜ、求めたのか。
一郎の神父として、一人の人間としての懐の広さと温かさ。
それを必死で、木場は求めていたのではないだろうか。
そして、木場もまた、神父になった、その理由も。
描き下ろしは、真犯人が出所してきた後のお話。
何年経っても、信じて愛していた二人の想いは揺らぐことはなく。短いページ数しかないのですが、そこにギュッと詰まった彼らの感情が怒涛の様に流れ込んできて思わず落涙しました。
少しの描写で、過去で、仕草で表情で。
いろいろなものを読ませる手腕がとにかく素晴らしく、人によって感想は様々だろうなあと思いつつ読破しました。被害者の男の子に向ける贖罪の気持ちが生まれていて本当に良かった。彼はやっと自分を赦せるようになったんじゃないのかな。
終盤に単話が収録されています。
「仮面のなかみ」。
イケメンで人気上昇中の舞台俳優・夏希。
さぞかしモテるだろうという大方の予想を裏切り、実は彼はDT。
そんな彼に声をかけたのは、バイトとして雇っているモサモサ男子の今井くん。
なぜ未だにDTかを相談しているうちに、なぜか今井くんとイタすことになりー?
コミカル、なんですが、人の悪意とか、生まれたてのほのかな恋心、とか上手に描かれているなという感じ。今田くんがオスの顔になるシーンがヤバ!ってなりました。
なんていうんですかね。
人の悪意、裏の顔。そういう、人には見せない部分に焦点を当てている、というのか。そこをぼかさずに描いていることで、いわゆる一般的な「BL作品」とは一線を画す作品に仕上がっていると思いました。
人は一人では生きていけないのだと。
誰かが、心に寄り添ってくれる誰かが、人には必要なのだと。
間違えた時には叱咤し、けれど理解しようとしてくれる人がいることの幸せを、しみじみと感じました。
「赦し」とか「愛」は、人によって形を変える。
その難しさも、きちんと描いている作品だったように思います。
このご時世に、このバックボーンで描き切った虫飼先生に心からの拍手を送りたい。上巻でのレビューでも書きましたが、今作品はいわゆる万人受けする作品ではありません。けれどデビュー作でこのクオリティは素晴らしい。
ストーリー、キャラ、そして伏線の回収、などなど、非常に読み応えのある1冊でした。ちょっとすごい作家さまが出てきたなという感じ。次回作も楽しみに待っていようと思います。