結論、BLとして読まなきゃ楽しめる。
「息できないのは君のせい」のスピンオフで、あっちの眼鏡受けの元バンド仲間が受け。作者は男前受けが好きらしい。ぶっちゃけ表紙とか三好のビジュアル・性格はかなり刺さるのだが、他の人も言ってる通り物足りない。
何故?エロがない。
だってゆるきゅんボーイズライフはボーイズラブじゃないから。
ちなみにボーイズライフとはKADOKAWAとpixivで組んで送り出した造語で、一生懸命宣伝打って流行らせようとしてる。
ジャズや音楽活動、攻めの女装の意味を主軸にしたストーリーは人と人の関わりや関係性の変化を描いたヒューマンドラマ(あるいは日常コメディ)として見れば面白いのだが、BLじゃねえなこれ……。
表紙のキャラに惚れて、このキャラがあんなことこんなことされてるとこが見たい!と下心で手に取るとがっかりする。まあ某コインランドリーといい某君には届かないといい、ゆるきゅんボーイズライフと銘打ったpixiv漫画は攻めと受けに唇同士のキスすらさせないのがお約束なので、期待するだけ無駄である。
電子書籍サイトじゃBLにあらず少女漫画カテゴリにぶっこんでる位だし。
ゆるきゅんBL(ボーイズライフ)への不満点は故意に誤解を招く紛らわしい略称、および「するかもしれない詐欺」で延々引っ張るスタンス。キスするかもしれない、Hするかもしれない、付き合うかもしれないetc……。
作者や出版社は絶対に「この二人はHします」とか明言せず、「うふふどうなっちゃうんですかね~付き合うかもしれませんね~?」ととぼける。濁す。
いやプラトニックならプラトニックでいいんだよ、最初にそういってもらえりゃその心構えで読むし納得できるから!
だけど「セフレ」とかセンシティブな関係扱っといて本番だけ頑なに描かないとか、BLで宣伝してるのに受けと攻めにHはおろか踏み込んだ接触一切させないとか、それはBL求めて手に取った読者に対してずるくて不誠実でなめてないか?
この話もBLじゃなく、アフタヌーンにでも載ってそうな音楽や服装基軸のユルい青春ものとして読めば割と面白いのに、こっちがBL脳になってるせいで「えっ、これだけ?受けと攻め何もしとらん……」って読後戸惑うし肩透かし感と物足りなさがすごい。
絵は今風でスッキリ整ってるし若い子にうけるのはわかるのだが、どうにも売り出す側の欺瞞を感じてしまい楽しめなかった。
みなと商事コインランドリーの原作者のオリジナルノベル。デビュー作と同じナーロッパΩバース物。イラストレーターは有名なBL漫画家らしいけど知らなかった。ソファーから上半身生えてて怖い。受けが異常に短足に見えるのは無理に全身入れたからか。
そしてやっぱり年下攻め×年上受け。この作者の作品全般に言えるのだが、年上受けのトラウマや葛藤を表現するために、やたら攻めに対しツンツンさせる。それが行き過ぎてただの嫌味な奴、もっと言えばただの嫌な奴に成り下がってる。結果言動の全てが実年齢に比して子供っぽすぎ、全然共感できないし好感持てない。てかコミカライズ含めずーーっと同じパターンが続いてていい加減マンネリ。
受けが過去に可哀想な体験して、それを引きずって攻めに臆病だったり当たり散らすエピソードがずーっと続くのだが、10歳近く下の相手に何でこんな大人げない態度とるの?自分にぞっこんな攻めなら何でも無条件に受け入れてくれると思ってる?それはもう甘えとか依存じゃん……。
見た目もティーンで中身もティーンなら実年齢アラサーは蛇足。そこに乗れない。
ギャップ萌え改めギャップ萎え。自分みたいな強火年の差CPスキー(年上受け最高)からすると、一番大事な要素の「年上」受け部分が、死に設定で都合よく使い捨てられるのにイライラする。
で、Ωバースで発情時の受けが強姦・輪姦される展開はありきたり。なので「自分が嫌なことされたからって、事件と無関係な人たちにこんな当たり散らすの?」と引いてしまった。
実際ヤられてたら同情するけど未遂だし、父親を独善的に批判する自己本位な性格といい甘えたが過ぎる。
大前提として受けを年上にする意味あったのかな?
受けに年相応の分別なり大人げがあればともかく、見た目も行動も二十代半ばとは全く思えないし、逆に十代設定の攻めが老成しすぎでは……?と疑問。この内容なら受けと攻めが同い年か受けが年下の方が自然だし、十代の多感な時期の受けがそんな体験したら人間不信になるかな、と納得できないこともない。でも25……四捨五入すりゃ三十路……。
いくら受けが好きだからって、こんな扱いされてまだ耐え忍ぶの?って引っ掛かりが強くて、物語に没入できなかったのが惜しまれる。
今回も相変わらず葛谷と粕谷が馬鹿で安定の面白さ……だったのだが、全面的に褒められないポイントがあった。
薄々気付いてたけど、リバップルで売り込むわりに性描写が均等じゃないの何で?
作者は粕谷推しか?
粕谷受けのHは結構な比重割いて描かれるのに、葛谷は本番すっとばして事後描写のみ。葛谷推しの自分は物足りない。
ならばとレオ×葛谷で補充しようとしても今巻までEDだし……全体通して粕谷の方がHシーンで優遇されてるのがちょっと残念、道具でドロッドロにされる葛谷見たかった。
後突っ込みたいのは受けと攻めの害悪オタクムーブ。普段は二人が勝手に空回って自業自得の恥かいてるだけだから後腐れなく笑えるけど、今回は明確に迷惑かけてるし、一方的に被害受けてる人がいるよね……しかもその人、葛谷と粕谷が好きな作家さんだよね??
栗田さん何も悪い事をしてないだけに、一切謝罪も反省もせず開き直るのは人としてどうなん?とちょっと引いてしまった。
仕事でも趣味でも創作してる人、隣人の騒音に悩まされてる人は、とりわけ無神経な言動にイラッとくる。
その前の「フリマアプリで全巻買った」発言も酷すぎる……隣の先生はもっとちゃんと注意してくれ……。
いや、クズとカスコンビが元からゲスなのはわかってるけどさ!粕谷に至っちゃ職場のコピー機に下半身裸で跨ったりしてるけど、アレは機材壊してないし、一番損失被ったのが本人なんで……。
そんな風に引っかかる箇所はあったものの、ギャグの水準は高く、粕谷の同僚の心情も明かされて引き込まれた。
粕谷と葛谷がお互いの相手に嫉妬する場面もチラッと描かれ、次巻以降進展しそうな匂わせ。
個人的には偽港区女子な元同級生の再登場に期待。準レギュラー化希望。
まず作者さんの画力がバカ高い。これがデビュー作ってマ??商業BLだとイケメンは上手だけど老人やおじさんは苦手な作家さんがままいるが、この人は老若男女全年齢描きこなす。しかも一人として同じ顔のモブがいない。絵作りの説得力がパねえ。
ストーリーはヒーローに憧れる高校生が、ヒーローになりたくてなれなかった同級生に一目惚れし、演劇部の活動を通しアタックするというもの。
性描写はなし、あるのは終盤のキスシーンだけでぶっちゃけどっちが攻めで受けかもわかりません。
どっちも同じ位男の子っぽい性格傾向やヒーロー適性を持ってるので右・左に固定できないのが悩ましい……けどそんなちっちゃいことどうでもいいか!って気分になります、読後は。
BL、というよりLGBT漫画なのかな。アフタヌーンで連載してても違和感ない内容だった。良い意味でBLっぽくなく、ジェンダーの悩みに切り込んだ王道青春もの。
有馬に真っ直ぐ向き合って心を開かせた大河の情熱もさることながら、演劇部員たちの等身大の反応が胸に響いた。特に黒髪女子の先輩。
「一番とりやすい席空けといてください」のショートケーキのやりとりにぐっときた……。
そうか、そういうのでいいんだ、って普段人間関係で見過ごしがちな盲点に気付かされた思い。
大河の友人二人もすっごいいい奴。何かと暴走しがちな大河をフォローし、自転車にのっけて忘れ物取りに戻るシーンが良かった。こんな友達に恵まれただけで学園生活最高だろうよ?
本当に絵が隅々まで上手くて見ごたえあって、しかもキャラクターが生き生きしてる。
後半舞台を控えた大河が放った言葉、「こんな場所じゃアイツが立ってられないわけだ」がずしんときた。
難を言えば演劇ものの割に演劇のメソッドに比重が割かれてない点。二人で稽古とかはしてるんだけど、具体的な演技や発声の指導や上達法が描かれてないので説得力が弱い。
有馬と大河の関係性の変化にフォーカスしたかったかもしれないが……。
あと大河の父親が実は、というのもご都合主義に感じた。序盤に伏線あったし、そうじゃないかなって予想は付いてたが、「あの人の息子なら好きになるのは自然で当然」というのはちょっと萎えた要素。
あくまで大河個人に惚れてほしかった。
一巻で綺麗にまとまっているものの、できれば二巻や三巻も読みたかった。有馬と大河の関係がキスやセックス、その他の体験を経てどんな風に成熟し、人として俳優として成長していくのか見届けたかった。
もし話が続けば大河と父の和解や有馬と母の確執の昇華も描かれたのかな。
作者の他界によりそれが永遠に叶わなくなったのが残念でならない。23歳は若すぎる……。
ラストでひきずる、というレビューを見て身構えて読み進めたら割とさらっと読了してしまった。胸糞を読み慣れてるから?ラブラブライトなBL中心に読んでる腐の人はこれでショック受けるのかな。
役所勤めの主人公とレンタルねこサービスをしてる青年の話。エロはなし、プラトニックな交流中心となる。話に重さを足してるなら受けと攻めの関係性よりむしろ朽ちてく町の描写。小暮さんの最期の言葉とか結構ずっしり。
わかりにくいが、日本が社会保障制度を廃止した世界って事は近未来を描いたある種のSFなのか?とはいえ全然SF要素はない。
受けの生い立ちが悲惨であるものの、起きた事件の割にさらっと描かれちゃうので鬱らない。
父親は既に一人虐待死させてるってことだよね……?
このへんがもっと掘り下げられてたら感情移入捗ったかもしれないが、良くも悪くも受けが人間味増すのが終盤のモノローグからの爆発シーンだけなので、読み心地がふわっとしてる。
どんなに重たいテーマでも登場人物に感情移入できなきゃ余韻って残らないんだな、と妙に感心。
見開きでばら撒かれた札束をそれをかき集める人たちが印象的で、作者さんこのシーンが描きたかったのかなーと思った。
ラストは猫転生オチ、と見せかけて幸せな勘違いを推したい。だって世の中そんな都合よくないし人は死んだら死んだままだし。
でも人には信じたいことを信じる自由と権利があるよね。それで前向きになれるならそれでいいよね。
一冊でよくまとまってるが、この作者さんに関しては、将来的に一般レーベルに移行する気がした。BLよりも人間ドラマにシフトした方が成功しそうな気がする。
一個すごい疑問なのは、小学校も行ってないような受けが、突然「浸透圧」なんて言葉を出してきたこと。ちゃんと意味知ってるしどこで学んだ?生い立ち考えるとどうにもちぐはぐで、一気にリアリティー薄まった。
その後のモノローグはカタコトで拙いのに……
あそこはキャラの背景捻じ曲げて作者の言いたいこと、表現したいこと優先させちゃったのが残念だった。
読者に違和感を与えないように、もっと上手く落とし込んでほしい。
ぶっちゃけ受けのとばっちりで巻き込まれて死んだ彼女の方が気の毒だった。特に悼まれてる描写もないし。
ムーンライトノベルズなどで頻繁に広告を見かけるためサブリミナル効果で気になってしまった。
エリートイケメンで外面はよいが色々とこじらせた攻めと地味でモサでコミュニケーション能力の欠如した(眼鏡をとったらすごい)受けの話。設定は王道。ぶっちゃけ絵柄は古い、昭和……は言い過ぎだが平成前半の赴き。
しかし攻めと受けの掛け合いがコミカルで面白く、「なんでこの俺があんな奴に!」とイキがりながら、お互い深みに嵌まっていく過程に引き込まれた。
難点を挙げるなら表紙の肌色成分はちょっとどうにかしてほしい。恥ずかしくてレジに持ってけない。電子で買うなら問題ないかもだが……。
攻めの性格も好き嫌い分かれるところ。初対面の人間を「0点」と採点してこき下ろしたり、相対的に優越感に酔ってドヤったり、ぶっちゃけ身近にいてほしくない。とはいえ「花より男子」の道明寺好きなら多分ハマる。
深見はモサい外見で眼鏡をしてた方が好みだった。
作者は『今日はここから倫理です』の雨瀬シオリ。そちらを既読の人なら納得、イマドキ風のライトなBLとは一線を画す骨太なストーリーや濃厚な人間関係、ヒューマンドラマが展開される。
連載時はテーマがテーマだけに賛否両論だったらしい。舞台となるのは第二次世界大戦中の神風特攻隊、カップリングは従軍記者×特攻隊員、整備兵×下士官、上官×下士官など様々。
特にツボだったのは25歳で年増と自嘲する経験豊富(ただし無理矢理で受ける方だけ)の橋内。
出撃が決まり、お国の為に散る前に一度でいいから絶頂を経験したいと思い詰め、自分を抱いてくれと巨根の整備兵に懇願するシチュが熱い……!
濡れ場もまた濃厚で、これまで興味がなかった褌のよさにうっかり開眼しかけた。ヒューマンドラマに比重が傾きすぎてるわけでもなく、ちゃんとエロいからBLとしてバランスとれてる。
登場人物の大半が特攻隊員なので、死別を運命付けられているのも切ない。一方で生き延びてしまった者の罪悪感と悲哀、傍観者として彼等を記録する事しか許されなかった記者の苦悩や葛藤も描かれ、恋人たちを引き裂く戦争の悲惨さや生々しさが伝わってきた。
本作は特攻隊員を冒涜・侮辱する漫画にあらず、むしろその逆。
戦争で散華した兵士を英霊として盲目的に祀り上げるのではなく、死に恐怖し性欲に滾る一人の人間として、ある意味卑近な人間として描き切ることで感情移入を促し、当たり前に恋する彼等に死に征く義務を強いた時代の残酷さをひしひし痛感させられる。
家族や大事な人を守る為出撃する決意の崇高さを尊ぶのと、恐らくは当時もあり得た隊内部の同性愛関係を否定するのは違うと思った。臭い物に蓋してたんじゃまた同じ過ちを繰り返すだけ。
癖強めの絵柄なのでぶっちゃけ好みは分かれるものの、筋肉描写にただならぬこだわりがあり、ストイックに引き締まった裸はセクシー。
キャラクターとしては死に怯えて周囲に当たり散らし、下士官を性欲の捌け口にせざる得なかった八木も好き。
実際いそうだな……いただろうな……と思わせる人物造形がリアル。
特攻隊の志願兵を募る時、自分だけ踏み出せず俯くシーンは痛々しすぎて直視できなかった。
漫画としては面白かった。
その上で「中立」にしたのは「萌」や「神」などの感想が読後感にそぐわないから。
エロは控えめな方、むしろヒューマンドラマ主体となる。というかこのテーマなら一般でも成立したかな。
同系統の漫画を挙げるなら「にいちゃん」に代表されるヘヴィなはらだ作品、そして朝田ねむい作品か。自分は作者のインタビュー記事とあらすじ読んで天童荒太の小説を思い出した。
小学一年生の男児をレイプし殺した濡れ衣を着せられ十五年間服役していた元神父と、彼を保護したその真犯人である神父の話。
この時点で読者を選ぶ。
ざっとレビューを拝見し、「攻めが受けに執着する動機が理解できない」という意見に驚いた。
いや、教会のやりとりだけで十分では……?
アレで理解できないって人は、よっぽど選択肢が多い人生を送ってきたんだろうなと思った。
羨ましいな、縋る人を選り好みできるなんて。
ぶっちゃけ木場はクズ。
彼もまた小児性愛者の父親に虐待されており、それが犯行の引き金になるんだが、終始被害児童への罪悪感より父親に対する罪悪感、ないし嫌われたくない感情の方が大きく感じた。
寝言の「ごめんなさい」はさえきしょうた君あてだと信じたいが、その後の「父さんにも嫌な思いをさせた」独白を鑑みるに、やっぱり父親への謝罪なんだろうか。
たとえばシリアルキラーのヘンリー・リー・ルーカス。
娼婦の母親に幼少時から凄惨な虐待を受けて失明し、成長後に多くの人間を嬲り殺した。
彼の生い立ちに同情を禁じ得ないのは確かだが、かといって被害者には何の落ち度もない。
彼女たちは彼の不幸と何の関係もない、言ってしまえばとばっちりの犠牲者なのだから。
本作にも無垢なる犠牲者が出てくる。木場に殺されたさえきしょうた(6)だ。
生憎この子に関しては全く掘り下げられず、名前と年齢以外のプロフィールはわからない。
好きな食べ物は?
嫌いな教科は?
大人になったらなりたいものは?
お父さんとお母さんどっちが好きだった?
嘗てあったはずの夢も希望も全部なかったことにされてしまった。
私がこの漫画に無責任に感動できたとしたら、それは私がさえきしょうたと何の所縁もないただの読者で、即ち秋鷹の軽蔑に足る「傍観者」だから。
そして世の中にはさえきしょうたの家族がたくさんいるのだ。それはもういやになるほど。
実際に子供を産んで育ててる人、「さえきしょうた」の親になり得たかもしれない人間は、はたして秋鷹のように木場を許せるか?
結論はわかりきってる。
無理だ。
秋鷹は聖人だ。
自分をハメて15年間刑務所送りにした幼児強姦殺人犯を許し、出所を待ってると約束するほどの。
恐らくは意図的に幼稚に描かれてる攻めの造形以上に、現実離れした受けの聖人ぶりが受け付けない読者は一定数いる。
過去に神父だった設定を踏まえても秋鷹の寛容さは常軌を逸している。善性も過ぎると狂気だ。
個人的には秋鷹は子供を守るために為に戻ってきたのかな、と思った。私はそれでいい、というかむしろそっちの方が好み。
素直に「よかったね」と祝福するには犯した過ちが大きすぎ&取り返しが付かないし、子供が報われなさすぎ。
秋鷹も秋鷹で、被害児童と顔見知りだったらもっとなじってよかったのでは?
木場が花を追いかけたときは「口封じだ!」と気色ばんだものの、バス内の会話を見るに殺す気はなかったのか?
あの子は感謝の手紙を渡そうとしただけだと思いたい。
インタビュー記事で印象的なのは「家庭内で近親相姦問題が起きる時は必ず傍観者が存在する」の一文。
本作では木場の母親がそれに該当する。大量に野菜を送り付ける行為は後ろめたさ、そして親としての義務感の表れ?
誰かが手を差し伸べていたらこうならなかったというのは全くその通りだが、現実はえてして都合よく行かない。
あるいは木場の父親やヘンリーの母親も、幼少時に大人に同じ事をされ、故に自分の子供に同じ事をしてしまったのかもしれない。
しかし本作における木場の父は醜悪で卑劣な幼児性犯罪者に過ぎず、彼が「悪」として断罪されるのと同じ理由で、木場も自分の罪を償わねばならない。
しかし父(母)と子供の片親家庭もあるので、「必ず」とまで言い切っていいかは疑問。隣人を傍観者に含めるならわからなくもないが……。
これからの親は被害者にも加害者にもしないのはもちろんの事、ある意味じゃ一番悪質な傍観者にならないように子供を育てる覚悟と方法を問われていくはず。
悪趣味は重々承知で言えば、秋鷹の行動が全部復讐と義憤で、木場が出所した時には誰も待ってないバッドエンドでもいい気がする。
秋鷹の性格からすれば獄中で命を絶っていてもおかしくないのだが、カトリックの教義における自殺はNGだから、それもできなかったのだろうか。
私は神様を信じてない。
動画で。テレビで。新聞で。そして身近で。彼を信じるには理不尽で胸糞悪いことをあまりに多く見すぎた。
全ての子供たちは幸せになるために生まれてくるなんてきれいごとも言えない。
世の中穢れのない人など存在しない。それはそうだ。
だがしかし、さえきしょうたに責められるべき「穢れ」はあったのか?彼は木場や木場の父に穢されたのではなかったか。
哀しいしやりきれないが、被害者を作る被害者はやっぱり加害者なのだ。
あらすじに騙されたが女顔の不良の方が攻めらしい。とはいえHはないのでそこは関係ない。
不良設定の攻め(上)が全く不良じゃない。不良攻めを求めて読んだら肩透かし。
ぐれてる所といったら家出してる所位?
あとは不良らしいことまっったくしてない。むしろ健気受け。攻めだけど受け受けしい。
事故加害者家族×事故被害者家族の話ではあるんだが、この題材をBLで扱うのは難しい上、上手く料理できているとはお世辞にも言えず。
そもそも被害者遺族の受けが嫌なヤツ。
もとはといえば父親の過失運転が事故の原因なのに、必死に謝罪してる加害者(元親友)をクズクズ罵って人格全否定するわ、事故に直接関係ないその弟もクズクズ言うわで好感を抱くのは難しい。言動がサイコパス。
この事故もややこしくて、どっちが加害者で被害者なのか読みながらごっちゃになる。
一応身内が死亡してる方を被害者とはしたが、ぶっちゃけどっちも同じ位に非があるんで、一方的に被害者面できる受けの心理がよくわからん。
とはいえ攻めも攻めで、なんで加害者家族の立場で被害者遺族の部屋に上がりこんで、「俺(初対面の)受けさんの味方だからね!」と言えるのか理解できない……無神経すぎるぞ。
ほかにも道徳通念的に「そうはならんやろ」と突っ込みたくなる場面多し。「えっ、本人の前でそれ言っちゃうの?」ってシチュが多くて付いていけない。
ちなみにサスペンス要素はない。
ヒューマンドラマならまあわかるが……ミスリードによる意外な犯人やどんでん返し、驚愕の真相を求める読者には誤解を招く紹介文だと思った。
上記の問題点にモラル的にひっかからない人は読めるかもしれない。