蛍火艶夜 上

hotarubi enya

蛍火艶夜 上
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神98
  • 萌×28
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
20
得点
525
評価数
108
平均
4.9 / 5
神率
90.7%
著者
amase 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
新潮社
レーベル
BUNCH COMICS
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784107726261

あらすじ

反芻者続出の話題作。待望の単行本化! 
大ボリューム本編212Pに加え特別描き下ろし16Pを収録。

時は第二次世界大戦末期。苛烈な争いのなか、國の為、自らの命を武器に闘うべく募られた特別部隊。“神風特別攻撃隊”――……。焦燥、憧憬、苦慮、希望、そして慕情。
生命の灯が揺らぐ日常で、魂をぶつけあう漢たちの秘められた夜6編に加え、特別描き下ろしを1編収録。
濃厚な筆致と人物描写で描きあげるオムニバスストーリー、劣情の上巻。

表題作蛍火艶夜 上

淀野,新聞社報道記者
田中志津摩,特攻隊員,一飛曹

同時収録作品橋内和中尉前編/後半

塚本太郎,海軍航空隊整備兵
橋内和,海軍航空隊中尉,25歳

同時収録作品八木正蔵中尉前編/中編/後編

八木正蔵,航空隊中尉
田中志津摩,航空隊二飛曹

その他の収録作品

  • 田中志津摩一飛曹編
  • 淀野と八木(特別描き下ろし)

レビュー投稿数20

作家の熱量を感じる傑作

第二次世界大戦末期の最中にいる特攻隊員…と、題材的にも内容的にもとてもセンシティブなものなので読む人を選ぶ作品だと思います。
フィクションとはいえ好悪は分かれるでしょうし、良いものだからぜひ読んでと気軽におすすめは出来ません。
ですが、どうしようもなく惹き付けられるものがあります。
自分はどうしてもこの題材で描きたかったのだと、描き手のこだわりと熱量を強く感じる作品でした。

いつ命を落とすかも分からない、死と隣り合わせの世界で日々を生きる、時代に翻弄された特攻隊員達のオムニバスストーリー。
一編毎に主役を変え語られる彼らの人生は、あまりにも切なく、儚く、愛おしく、胸が締め付けられるものばかりです。
閉塞的で極限とも言える状況に置かれた中での繊細な人物描写と心理描写が素晴らしく、生々しくもある人間ドラマの数々。そして、まるで登場人物達の感情が乗り移ったかのような勢いのある見事な筆力で描かれる物語に否応なしに一気に飲み込まれます。
なんという作品を読んだのかと、読中読後共にただただ圧倒されるばかりでした。

一部濃厚な性描写も含まれますが、こちらの作品に関しては必要不可欠なものだと思うのです。確かな生を感じました。
恋や愛など、簡単な言葉では表現が出来ない濃密な関係が描かれています。BLというジャンルの枠には収まらない作品かもしれません。
上手く言葉になりませんが、彼らの人生を読めたことが嬉しいです。記憶に残る素晴らしい作品でした。
引き続き下巻が発売されることを切に願います。
全てを読み終えた方はぜひカバーを捲ってみてください。




(以下、紙本と電子版2種の違いについて)
紙本:全228P(特別描き下ろし:淀野と八木,if収録)
電子:2種類有り
◎通常版(紙本と同内容収録)
◎うす消し特装版(全428P/電子配信のみ/成人向※倍額)
・成人向け加工(黒短冊)が施された本編(紙本は白抜き)
・描き下ろし:淀野と八木
・学生運動を描いた読切「どうして波瀬は笑ったか」
・本編第4話~第6話ネーム/下書き/ifの話/カラー他収録(ネーム下書きの割合が多いです)

9

生命の輝き

一般向けの漫画では有名な作家さんなのでご存知の方も多いと思います。
大ファンの作家さんのガッツリBL、しかも特攻のお話ということで間違いなく神作品だろうと信じて疑いませんでした。

作者様が太い線で描かれる、この肉感的で動きのあるタッチが私は大好きなので、熱が溢れる彼らの交わりに圧倒されっぱなしでした。素晴らしかった。
国のために成し遂げなければいけない大義を持つ彼らの様々な感情、絶望、恐怖、その中でただ快感を貪り、欲望のままに過ごす短い時間。

物語は田中志津摩一飛曹のお話から始まります。
彼がどんな青年だったのかあまり考えずに読み進めていたのですが、描き下ろし含め、読み終わる頃にはこの青年をとても愛しく感じました。
彼もまた生き辛い中で、本懐を遂げた人でした。
散り急がなければならなかった事が辛いです。
彼の話の後に橋内中尉の話があります。
橋内中尉のお願いを聞いて彼を抱く塚本太郎整備兵。
中尉がプライドを捨てても得られたものは、きっとずっと欲しかったものだったんだと思います。
その後に、1話目の志津摩と過去の相手である八木との話があります。

彼らが望んだのは愛ではなく行為に過ぎないのかもしれませんが、その行為が与えた影響は計り知れなかったと思います。
極限状態にあり、死と隣り合わせの毎日の中で何が彼らの救いとなるのか…
ただ、彼らの生命はエネルギーに満ちて凄まじく輝き、大きな光を放っていた、と強く感じました。

ラスト、実はそうだったのか、と思えるような内容になっていますのでぜひ読んでいただきたいです。
下巻も控えていますので楽しみに待ちたいと思います。

8

蛍の光が消えぬ内に…

新刊情報からずっと気になっていて目に飛び込んだレビューの熱に素直に感動しました
これは…心して読まないといけないタイプの作品だな、と感じ手軽に手を出していいのかどうかを数日悩みに悩みました
悩みましたがやっぱり試し読みで見た普段読んでるBLとは一線を画す作風や作画のタッチ、そして何よりも作品から漏れる独特な空気感に完全にあてられ購入を決意

購入をしたもののやっぱり即読む気になかなかなれずでしたが、8月というこの月にこの新刊が出た事も何かの啓示なのでは?と思いいざ読んで見ました
そこから今度はレビュー…
今回のレビューはとても難しい
今もどうこのレビューが着地するんだろう?と思いながら書いています

なので忘れないうちに絶対伝えたい事を書いていこうと思います
戦争下、しかも今の現代だから分かってはいる終戦直前の真っただ中にいる齢幾何もいっていないであろう青年たちの心中とは一体どのような精神状態だったのだろう…
先も終わりも見えない戦況、帰らぬ同士を乗せた特攻機を見送る日々

その中で繰り返される生と逃れられない性
この余りにもリアルな喫緊とした緊迫感と正常であろうとする異常な日々の切り取り方が訴えかけて来て、世界観に取り込まれていきます

決してドシリアスな陰鬱としたトーンが終始続く訳ではないのです
どちらかと言うとコミカルなセリフ回しなどで「日常感」を出しています
でも、読者としては彼らの置かれた状況は察して余りある訳なので、その日常が非日常である、という事を知っています
だからこそ彼らの軽快なやり取りすら苦しくなってきます

果たして彼らの重ねた日々はBLか?と問われれば答えには困ります
でも、彼らの重ねた時間の濃密さを言葉にするならば『絆』であり『魂の触れ合い』だったと思います

不確かな日常の中だからこそ確かな感触や痛み、匂いなど自分自身が感じる事が出来る事だけが【確かなもの】だったのだと思います
それが襟巻であったり匂いであったり時には噛み跡であったとしても

今の自分にとっての【確かなもの】とは?を考えてしまわずにはいられない
そんな読後になりました

『蛍火|蛍の出す光。また、そのようなわずかに残った火』Oxford Languageより引用
└特攻隊としてではなく、1人のその時代に存在した青年としての本能の時間
その火が艶やかに輝けば輝く程、彼らが飛び立つ空の陽の光が目に染みます

上巻という事なので下巻ですね
下巻、心して待ちながら自分の日々と時間を出来る限り慈しみ大事にしないと……と触発される1冊でした

7

--

散華された英霊たちについて、著者が妄想した「IF物語」。
戦後70数年たった今だから、許される腐妄想だと思う。

タブーかもしれない若い兵たちの性的なコトの妄想は、
逝く事を覚悟していても、実は、生きたいという生きる事への執着があった
ということにつながるんじゃないかと、読みながら思った。

8月に発刊されたことも、意味があると思う。
本当は、戦後復興を担うべきだった大切な若者を
肉弾攻撃とか玉砕とか、麻薬を飲ませてまで出撃させた
命を粗末にする大人のエゴ丸出しで暴走した戦争を二度と繰り返さないようにしなければいけない、
と読みながら思った。

★「振武寮」の存在にも触れてほしかった。

5

胸がぐっと苦しくなる

1945年3月、第二次世界大戦末期「神風特別攻撃隊」の物語です。
ほかの方がレビューしてくださっている通り、かなり好みが分かれる設定ですが、私は出会えて良かったと思える作品でした。

個人的には後半になるにつれ、胸がぎゅっとなる場面が多かったです。
フィクションですが、こんな青年たちのぶつかり合い、命の確かめ合い方、きっとあったんじゃないかな。

やはり良い意味で、BLというジャンルには括りきれないです。

軽々しい言葉は使いたくないし、安易にオススメするポップなお話ではない。
けれども日本人として、少しでも通読後のこの感情を共有できる人が増えて欲しい。

下巻も必ず購入して読もうと思います。


4

エロいけどエロくない気もする

別名義でいろいろ活躍なさっている作家さんとは知らなかった。
戦争BL、軍隊BLが好きだが、もともと子供の頃から第二次世界大戦の日本や他の国の読み物が大好き。
名を馳せたゼロ戦乗りの手記も読んで印象に残っている。
言っておきたいので言っておくと、映画化して大ヒットしたベストセラー作家のあの小説は小説に過ぎない、ノンフィクションに近いとも思わないでほしいと思う。

「蛍火艶夜」はそれ程暗くならない、時々クスクス笑いながら読める良質なマンガだった。
2度と読みたくないと思わせるものは私はもう苦手。
専門的な知識がある人にとってはどうかは分からないけれど、きっちり勉強されているな、スゴい絵だった。
便所の木枠の便器までちゃんと描かれていた!
上巻という事は淀野や八木の話は続くのだろうか。
八木の息子が登場したのは戦死した田中の姉の孫に出会う為? 知らんけど。
そんな陳腐なお話にはしないでね、それじゃあの小説みたいだから。

淀野が「取られた」「田中志津摩を取られた」と感じたのはよく分かる。
八木の情報を大事に懸命に追ってきたのは志津摩の為、それと志津摩との思い出を独り占めしたいからであって、八木の想いを補完させる為じゃない。
悔しいだろうな。
でもあの夜、淀野のカラダを使って八木の名を呼び、果てた志津摩を思うと「取られた」のも致し方ないのだろう。

電子の特別なお高いコミックスがあるんだ。
買います。

4

無事に下巻が出ますように!!

ほんとうにその思いに尽きます!
ちるちる様記事内のamase先生のコメントを読んで、購入を決意しました。
しんどい事の多い生活を送る彼らに1分でも1秒でもいい「気持ちいい」と思って貰いたかった、という先生の気持ちにとても共感します。
読後にものすごいカタルシスを感じました。
戦争を描いた作品を読んでこんな気持ちになるのは不謹慎かもしれませんが、、、
特に塚本太郎整備兵に拍手を送りたいです。
彼は年下攻めの鑑です涙
そして25歳にして自称年増受けの橋内中尉!
「こんなに頼んでるのに!」って言うのが可愛過ぎました。
和さん呼びの破壊力すごかった。。。
塚本整備兵は読者の分身でもあると思います。

とにかく彼らに1分1秒でも安らぎの瞬間を、と、私も願わずにいられませんでした。
下巻も絶対買うので、先生と出版社には頑張っていただきたいです!

4

悩みに悩んで…私のいつかは「今」でした

ずっと気になっていましたが購入には珍しくも慎重になっておりました
気になり過ぎてとうとう購入前なのに先週はレビューもじっくり先に読んでしまいました|д゚)

背中を押された気にもなりましたし、やっぱりまだ早いかな…と思ったり結局先週は月曜からの事も過ってしまった為また更に延長で悩む事に……。

そして、今週の週末のお楽しみ気分で読んだ他作品で結構考えさせられるモードに期せずして突入
このモードを切り替えるのかどうしようかと思った時にふとこの作品が頭をよぎりました
勿論同列のお話しではないですが「生の尊さ」に関しての違いなんてないはず、と思いこれはきっとこの作品へと導かれたと解釈して長きに渡り悩んだ今作を拝読させていただきました

……早い、遅いはきっとそれぞれのタイミングがあると思います
でもいつでもいい、いつかでもいい、気になった人には読んで欲しい……
と、おすすめはしにくい作品である事は承知の上でもおすすめしたい、と思える作品でした

私自身が読んで良かった、と思えたのはやはり普段の生活では全くと言っていい程考える事の少ない(出来たら私は戦争関連は映画なども含めて避けてしまう方です)その時代の先人達に少しかも知れませんが想いを馳せる事が出来た事
そしてその事により今の日常が個々、日々色々あるにせよとんでもなく恵まれている事を改めて実感させてもらえました

あ~…明日仕事行きたくないなぁ…なんてレベルじゃない
「特別攻撃隊への志願」が志願ではなく強制されるような日々を送っている…
怯んでその足を一歩前に踏み出せない時には上官からの叱責が飛ぶ
勿論時代が違うので仕事に行きたくない、と思う気持ちに軽い重いもないとは思う所もあるのですが、そもそも比べるレベルでは無くて……。
その「明日」が来ないかも知れない中で生きていた彼らの本能の時間を見て、何も触発されないなんて事はやはりなかった

激しい絡みも性行為であり生行為でもあり精行為でもあったと思います
命を絡ませ合う事でお互いの存在を感じ、自身の生と精の存在も感じるかのような激しさがありました

明らかに今まで私が読んで来た作品とは違います
でも、これは遅かれ早かれ読んでいたに違いない作品で、私は「今」読めた事に感謝しています

「明日がある」事は当たり前じゃない
今週はとてもDeepだけれど充実の時間を作品を通して感じています
そして充実の時間にしていきたい!と思えました

下巻も待ち、最後まで読みたいです

3

素晴らし過ぎる みんな買おうマジで

素晴らし過ぎる
エロエロエロでエロだけどちゃんと内容あるんですよ
最高
なんだこれ
半端ないって
戦争モノって切なくなりがちだけど切ないだけじゃなくてハイパーエロモリモリMAXありがとう

そして、どの受けも可愛すぎる
個人的には2話目の橋内和中尉がドささりました。「はしうち かなう」って名前が可愛過ぎる。やってることも全部可愛い。何事ですか?

特攻ホント辛いです。でも儚さがある、、、とはなれなくて辛いですねやっぱり。
軍側の人の生存ifがあったら最高に嬉しいですよ

カメラマンさんの執着のキモさがやばかったですね。おもしろかったっちゃあそうですけど志津摩には八木さんがいるからなって思っちゃったりして笑

みんな生きて幸せになって欲しかった。

2

ゆきゆきて、神軍

読み終わると、胸が痛む。確実に。100%。
でもそれこそが醍醐味。

正直、読む前にかなり警戒していた。戦争や神風を美化するのか、と気になっていたが、そのことは無く、むしろその酷い概念から生まれた苦しみや淋しみにスポットライトを当てる作品だと思う。

こんな無意味に死なせられた若者はまるで呪われたようで、限られた時間で一生懸命生きようとしていてーいや、「生きるふりをしようとしている」の方が相応しいかもしれない。

奪われた人生。実らない恋愛。
突然終わるまで、終わらなさそうな戦争。

amase先生の画力が凄まじく、特にペン遣いや表情が非常に上手い。ぜひ今後も先生の作品を楽しみにしたいと思う。特に続編を…

2

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