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blue moment
コロナのせいで誰もが行き場のない気持ちを抱えて生きていたど真ん中の頃のお話で、
作品の登場人物たちがそれぞれに現実と向き合いながら暮らしている様子がとてもリアルだったなと思います。
響は恋人がいるけれどバーの常連・観月と仲良くなっていきやがて気持ちが傾いていくような展開になるけれど、そこには三角関係的なドロドロはなくて。
ままならなくなった日常を真っ直ぐに進んだ先に待っていた、淡々とした答えだったように思いました。
そもそも征司と響の関係は恋人同士ですがお互いに深くまで踏み込めていないのかな?という距離がはじめからあった気がして。
その正体が一体なんだったのかハッキリとはわからなかったけれども、観月と関わっていくうちに動いた響の心がすべての結果だったのかな、と。
自然にできた歪は誰も責めることができないのがなんだか悲しかったです。
恋愛の部分も印象的ではあったのですが、あの頃の鬱々とした日々を思い出す場面がたくさんあってとても苦しくなってしまったけれど。
一番大変だった日々を乗り越えられた彼らが幸せでいてくれたらいいなと願ってしまうような作品でした。
バー「ブルーモーメント」の店長の多田響(30歳・受け)、バーの常連客で明るいワンコ系の観月尚人(28歳・攻め)、バーのオーナーで合理主義な日比谷征司(40台・攻め)の3人の、近づくことをためらう世の中で、今、誰を想うかを考える、切ないトライアングルラブです。ちなみに、響と征司は5年来のイイ関係にあります。
参考までに書くと、コロナ禍(2020年辺り?)の世の中の様子や心情がしっかり描かれています。
今作は三角関係ということで、結末は言わないように感想を書こうと思います。
28歳と30歳と40代の三人なのですが、恋愛面で激しい修羅場になったりとかにはならず、それぞれがいい意味でも悪い意味でも大人で、考えて行動をしていたと思います。むしろ、距離や立ち位置を理解しているからこそ身動きが取れない、そんなはがゆさがありました。
そして、三人ともそれぞれに個別にしんどいことが起こるのですが、その時、誰といたいのか、誰を思うのか、それぞれがそれぞれに対する心の距離や体の距離、そのままならない変化を感じました。
響が一緒にいたいのは
5年来の付き合いで会えば甘えさせてくれる、中々会えない恩人でもある年上オーナーの征司か
最近どんどん気になる存在になってくる、年下のバーの常連の尚人か
三角関係にピリオドを打った彼のあのセリフが、とても印象的で切なくて大好きでした。そして巻末の小説の後日談がじんわり心に染みました。
実は作中では「新型コロナウィルス」という病名は1度も登場していないんです。でも、2022年を生きている私たちは、冒頭の数ページ、何なら1ページ目を読むだけですぐに「コロナ禍」を思い浮かべることができるんです。でも、このレビューを書いている今でさえ、作中とは状況が大きく変わっていることからもわかるように、この感覚は、段々ずれが出てくると思うんです。だからこそ、5年後、10年後とかに読んだら、また違う感想、印象を抱けそうなお話だな、と思いました。
もしかしたら、あまりに現在進行形過ぎて、共感しすぎて辛くなるかもしれない、と、不安を胸にドキドキしながら読みました。
現実逃避には向かないかもですが、私的には、今、読めて良かったと思える作品です。
分冊で読んでたにも関わらず紙本買ったのですが、値段高くて吃驚しました。
最近はこういうのをテーマにしていなくてもマスクをしている漫画多いので、今作が特別という感じも無くなりました。
収束したと思ったらまた感染者が増えるの繰り返しなので、もうパンデミック以前を思い出せなくなりつつあります。
個人的になりますが今回のコロナ流行で一番人生観が変わりました、幸い自分はそこまで生活に大きな影響は出なかったのですがそうでも無かった方も多い。
人々の表情や外出時の空気が目に見えて変わっていって、今作でそれを追体験してやや辛い。
表紙がとても目を引き気づいたら手に取っていました!
このご時世に合わせた物語を見たのははじめてだったので凄く興味をそそられましたし、今この時に見れたからこそ沁みるものがありました。
出てくる人みんないい人だし優しくて何か嫌だなともやつくこともなく、心地よさに揺れながら読了しました。
優しくてあたたかな絵柄と丁寧な心理描写に大満足です!
変わってしまった距離感と人間関係や自分ではコントロール出来ない気持ち、「コロナが無ければ」とたらればを考えてしまう切なさに共感できるからこそ苦しくなりましたが、きっかけがあれば簡単に揺らいでしまうものや何が正解かは分からないこと、
コロナ禍の不安をえがいてくださり勝手に救われた気持ちにもなりました。でも願わくば征司さん含め、3人みんなが幸せになってほしい……!
本編は想像していたより甘々ではなく(個人的には設定あまあま分類ではない気がします) BLとして萌えるとかキュンキュンするというよりお話として好きでした!
一穂先生の書き下ろしは甘め(ムーミンのくだりが好き)
何年後か読み返したらまた違う感情になりそうで楽しみです。
コロナ禍を題材にした作品。
バーの店長の響、バーの常連客の観月、バーのオーナーで響の愛人の征司の三角関係です。
コロナ禍での状況がリアルに描かれているので、出来事や感情に共感できる部分が多かったです。
作中のニュースの内容や街中での出来事は全部実際にあったと誰もが共感してしまうと思います。
響の心の移り変わりも丁寧に描かれています。征司がいながらも観月に惹かれていく様子はちょっと切ない気持ちになりました。
何か事件があったわけでも相手を嫌いになったわけでもなく、ただこの非日常が日常になるまでの間にダメになるものもあれば、良くなるものもある。
こんなことになってなかったら
こんなことになったおかげで
この選択は正しいのか、そんなことを考えても答えはわからない。それよりも自分の気持ちがどこにあるのかを考えて一歩を踏み出した響。今ごろ答え合わせをしているのかな。
一穂ミチ先生が元々好きなのですが、モノローグの言葉選びに先生っぽさが感じられてそこも好きです。
巻末の書き下ろし小説もすごく良かったので是非読んでいただきたいです。
征司×響は大人な恋愛、尚人×響は年相応な恋愛の印象を受けました。
コロナがなければ前者の関係性は続いていたのでは...と思わないでもないですが、後者の関係性のほうが響の遠慮がなくなっていたので良いです。
響の気持ちの変化が本当に丁寧で、征司から尚人へ心が傾いていく様子をじっくりと見ることができました。
小説原作だからでしょうか、文学的なモノローグも印象に残ります。
心情描写が本当に丁寧で読み応えはあったのですが、三角関係要素は弱く感じてしまいました。
途中から征司がほぼ空気だったからかもしれません。
彼の本性の見えない感じは個人的に好みでした。ただ気持ちを見せなさすぎてわかりにくいところもあります。
作中のマスク描写が、コロナ禍では当たり前のことでしたが新鮮でした。
個人的にですがあんまり合いませんでした。
一穂ミチ先生の原作の良さはあったけど、ymz先生の良さを消していたように感じて残念でした。
このご時世を上手く切り取った作品で、閉塞感とか虚無感だとか孤独感を上手く表したお話だと思いました。
ただ、ここで3人も必要だったかな?とちょっと疑問に思いました。
読み始めた時から尚人贔屓だったので、響が彼を選んだのにはとても満足しました。
ただ、征司の人となりが良く見えて来なくて…佇まいから勝手に既婚者で響とは不倫だと思い込んでしまってました。
多分ですが、あらすじに「愛人」と書いてあるせいだと思います。
表紙とかも3人描いてあるので、響が2人と関係を持って行くお話なのかと勘違いし易いと思います。
淡々と進むので体温の低い感じがして、あまり萌えられませんでした。
単話で二話まで読んだ時点では神でしたが、
ラスト付近がバタバタで描写不足に感じられて残念でした。
コロナ禍の三角関係もの。
主人公の響が征司から尚人に乗り換えます。
「恋は理屈じゃない」の逆をいっているようなお話で、
すごく冷静に理性的に乗り換えられた征司の立つ瀬がない…。
征司は最後まで見えないキャラでした。
実は途中まで既婚者かと疑ってたんですよね。
征司の落ち着き方は帰る場所が他にある男のそれっぽい。
まあ違ったけれど、響じゃなくても良さそうでした。
乗り換えるからには言い訳になる
嵐のような何かが一つ欲しくなるんですが、最後まで凪。
もしかしたらそれがコロナなのかもしれないけれど、
つなぎとめない征司と流されやすい面を持つ響では
コロナがなくてもこうなっていた気がしました。
読後は空虚感に囚われてしんどかったです。
現代とリンクするコロナ禍のマスク社会が舞台のお話。三角関係もので、簡単に言うと主人公が別の男に乗り換えるまでが描かれています。心理描写重視の小説向きのつくりだと思いました。
主人公の響はとても共感しやすいキャラだと思います。言いたいことは半分くらい言ってる感じとか、尖りのない性格とまともな社会性とか。今彼の征司は一人で生きていけるタイプの大人で、内面の見え辛さが振られフラグになってる気がしました。観月はグイグイ迫る年下ワンコっぽい。自信の根拠が見えるともっと良かったです。
響は弱ってるときに目の前の支えに縋り付くタイプでしょうか。征司に惚れたのは助けてもらったのがきっかけで、観月が気になり始めたのも、弱っているときに精神的な強さを見せられたのが大きそう。
気持ちはよく分かるのに、話の進行が感情より頭な印象を受けるというか、すごく納得はするのに心にはきゅんとこない感じでした。全てがあまりに整い過ぎてて、どうなるの?とわくわくする隙も無いような…。妙な読後感。
勝負?から征司は最初から降りていて、あっさり終わってしまったのも物悲しいです。
作品のトーンは大人というより真面目すぎる印象で、もう少しエンタメ性が高くても良かったのにな、と思いました。
モノローグにところどころ刺さる言葉があったのは好きでした。
ほんとに何が読みたいのかまったくわからず迷走しながら本屋を覗けばなんとも目を引く色合いに佇む人数
とっさに 三角関係→痴情の縺れ→泥沼奪い合い
って構図が出来上がったなんとも哀しい脳みそ
よくよく表紙みたら笑いあってるし 三角関係じゃないのか?と
別に昼メロなみのぐちゃぐちゃを読みたい訳じゃないけれど いまのこのモヤモヤした感じを打破できるならなんだっていいッ!って起爆剤買いです
猛威をふるい蔓延し続ける疫病 人生の縮図のような街から人が消えた
恋愛云々より 今この瞬間も街のどこかでおこっている誰の中にもある小さな焦燥や後悔に葛藤
追い詰められる生活に抱える個々の心労 ひょんなことでわかる価値観の違い 近すぎるからこそ見えなくなっていたものに気づき 不謹慎にもえた大切なもの
そんなものがいっぱい詰め込まれてはいるんだけど 誰も恨んでなきゃ 誰も傷つけるわけでもない ただただ優しいお話だったな
すべてに合理的な彼に募る寂しさ
三角関係というより心の隙間にするりと入ってきたいつも賑やかだった彼の愁いにふれ 1度気になったが最後あれよあれよと心奪われていく
繋がるものと繋がれないものの間で揺れ動くキモチ
出会った時にはすでに誰かのものだったはずの自分に芽生えたものに覚える躊躇い
心の浮気って感じからはじまって 先のわからない不安に悔いや思い残すことがないよう自分をみつめ そこから辿り着いた安らぎの場所
うーーーん ドライすぎる彼の心情が読みきれなかったってのが引っかかりはするんだけど 嫌味なところがなにもない ほんとに優しいお話で悪くはないんだけど 繰り返すぶり返しに何を思い 何を頼りに繋がり どう過ごすしていくかって事ばっかりが気になって 彼らの恋ってところは置き去りだったかな…なんて
まだまだ続く不安しかない日々を後悔しないよう 大切なものを見つけ丁寧に生きなきゃいけないな と 変な悟りというか 気持ちみたいなものが湧いてくるというか
お名前は存じ上げていてもなかなか手を出せない作者さまでもあたので 一身上の都合でも読めてよかったな
世の中がコロナ禍になり始め、世界の感覚や当たり前が少しずつ変わり始めた頃が舞台のお話でした。
バー・ブルーモーメントを1人で切り盛りしている響は、オーナーの征司という年上の彼氏と長年交際しています。頻繁に会える訳ではなく待つ身ではあるけれど、大きな不満はなく過ごしていました。
コロナが流行り始めてお店の客足が減り始めた頃、客の観月と親しくなります。
次第に観月を意識し始める響と彼氏の征司との関係性や気持ちの変化を丁寧に描かれているお話でした。
征司は合理的で無駄がない考え方の人。だけど決して冷たい訳ではなく、優しくて響の事を大切にしてくれる人でした。
観月は真っ直ぐで素直だけど、子どもという訳ではなく、芯のある大人。
響は多分、我慢強くて不満を自然に押し込めてしまう性格なのかな?と思いました。
コロナ禍による考え方や人との関わりの変化に伴い、響の気持ちの変化や動きがわかりやすく描かれていました。
きっと、コロナ禍にならなければ観月と親しくなるきっかけはなかったかもしれないし、征司との関係も今まで通りだったのかもしれない。
だけど、そんな環境の中で始まる恋を応援したいな、と思ってしまいました。
実際コロナ禍を経験しているのでリアリティがあるのですが、現実を突きつけてくるのではなく、希望のあるお話でした。
2020年のパンデミックを客観的に見られるようになった今だから、前向きな気持ちで読むことができました。
エロはほぼないのですが、気持ちの機微や変化を丁寧に描かれていて引き込まれるストーリーは、さすが一穂ミチ先生とymz先生だな、と思いました。
とても良いお話でした。
読み終えてすぐまた読み返し、読み返ししています。
コロナ禍の世を背景にしたBLで、BLなんだけど凄く身近に感じられるストーリーにすっかり没入しました。
「こんなことになってなかったら」
「こんなことになったおかげで」
登場人物の生活や恋愛が変わっていく様を、すぐ隣で起こっている出来事のように感じられました。
恋愛模様としては、誰も悪くないのに少しの罪悪感、気まずさみたいなものが残りますね〜。
だけどきっと征司にもピタッとくる相手が見つかるはず!
もうちょっと別れの時に食い下がってくれても良かったんだけど、征司さん。物分かりが良すぎるよ…。
一穂先生の書き下ろしがまた良かったです。
最初の一口の瞬間も読みたかったー!
コロナ禍をしっかり描いたBLを初めて読みました。
すごくよく出来ていました(偉そうにすみません)。すばらしかったです。
コロナが蔓延し何もかもが揺れ動く中、響視点で、征司から観月へと心変わりしていく。
誰が悪い訳でもない。
征司と観月が対照的な性格なのも、人の心や状況は移り変わるものだと物語っているようです。
経済力があり合理的な征司。
偏見なくフラットで素直な観月。
この2人の対比が興味深い。
時代や価値観の変化を表しているようで。
不自由や規制を強いられて、不安になるけれども、必ずしも悪いことばかりでもない。
そういうこともあるよね〜と思うことがたくさん描かれていました。
「不要不急の別れ話をしよう」←上手いなぁと思いました。
タイトルが秀逸ですね。
夕暮から夜になるまでの薄暮の時間。私も好きです。
子どもの頃にはわからない良さがある。
すぐ終わる青い時間。
コロナ禍や恋やいろんな意味が込められているように感じます。
いつの間にか月が出ている=観月
響の心に表れた存在感…のような名前で粋ですね。
響という名前も、繊細で周りのものによく響く性質を表しているようで好きです。
ラスト、抱き合う前、2人がマスクを外すのもそういうことよねぇと思いました。
─本当の答えなんか何年も経たないとわかんないのかもしれない
でも、今、自分の気持ちはこうなんだ、と見せてくれたラストが清々しかったです。
状況の変化に応じて変わるもの、変わらざるをえないもの、変わらないもの。どれもが上手く描かれている。
いろんな視点、角度から考えさせられる深いお話でした。
さらっとしながらも深いストーリーを、ymz先生のやわらかいタッチの絵で表現されているのもすばらしかったです。
特に、目の表情が豊かで。色っぽくて。
マスクをしている場面が多いので、目が多くを物語っていてすごいなと思いました。
空気感さえ伝わってきましたし。
原作者さんと漫画家さんのすばらしいコラボですね。
ストーリー自体はハッピーエンド。
ですが、なぜだろう、手放しで喜べないモヤモヤが残ってしまう。
主人公はバーを切り盛りする響(受)
コロナ禍で来客が減る中、常連となってくれた尚人と仲良くなります。
尚人は明るく社交的、素直な性格で、コミュ症ぎみの響は好感を持ちます。
しかし響には征司という彼氏(愛人?)がいて、感情の揺れや変化が丁寧に描かれています。
こういう話って、彼氏がいることの葛藤とか、心変わりとか、重くなりがちなところを、ymzさんの作画で、絶妙に良い塩梅の、重くなりすぎない切なさが描かれていて非常に良かったです。わたし的には響と征司の関係がめちゃくちゃ切なかった。征司は良くも悪くも、多忙で経済力のある大人の男で、響は負担にならないよう遠慮がち。尚人に惹かれる過程も、寂しいんだろうな〜というのが分かりました。征司には寂しい時に寂しいと言えない。仕事の愚痴も言ってもらえない。店に空き巣が入っても、頼るよりもまず申し訳ない気持ちが先に出る。征司も征司で、体調が悪くても響には言わないし。この2人、似た者同士なんだなと思いました。
一方の尚人は、そこを一歩踏み出してくれるんですよね。征司の存在を知りながらも、略奪を考えたり、そう思ってる事を正直に伝えてくる。尚人は仕事の愚痴も言うし、何かあったら、征司より先に連絡をとろうとしてしまったり。
最終的に、響は尚人を選びます。
でも誰も悪くないんです。
響と征司の馴れ初めも、それは惚れても仕方ないよなぁと思える馴れ初めで、響のほうが征司に惚れてしまったわけですが、だからこそ、本音や弱さを見せてもらえなかった事が寂しかったのかもしれません。そんな寂しはあったにせよ、おそらくコロナがなければ、別れることはなかったと思う。
でも尚人に出会ってしまった。
そんな運命の皮肉さのようなものを考えさせられるお話でした。