さよなら、ヘロン

sayonara heron

さよなら、ヘロン
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神58
  • 萌×238
  • 萌25
  • 中立20
  • しゅみじゃない16

--

レビュー数
25
得点
537
評価数
157
平均
3.6 / 5
神率
36.9%
著者
ymz 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
発売日
価格
¥680(税抜)  
ISBN
9784829685495

あらすじ

16才。高校の屋上で二人は出会った。
一人を好む草次と、明るく社交的な海風。
一見対照的に見えるが、家庭環境に恵まれず
心の奥底に色々なものを抱えた二人は、
出会ってすぐに自分達が同属であることを意識する。
唯一、一緒にいて楽だと感じる相手に出会い、
足りないものを補うように強く惹かれ合うが……。

学生時代から大人へ。
少しずつ変化していく二人の関係と、想いとは――

表題作さよなら、ヘロン

その他の収録作品

  • さよなら、ミカちゃん(描き下ろし)
  • ひばりのふたり(描き下ろし)
  • あとがき
  • カバー下:その後~ミカの受難~・ミカの受難inランチタイム(漫画)

レビュー投稿数25

素敵な本でした

並んだ後ろ姿が印象的な表紙。
そして、
帯にはそのふたりを前から見たような、ハヤカワノジコさんの絵。
なので、
ハヤカワノジコさんに似た絵の作者なのかな?
なんとなくそんな気にさせられて本を開いたら、ああ~全然違う…
ちょっと昔っぽくって、この絵はあんまり好きじゃないなぁ…
そう思ったのですが、
読み終わってみると、この絵だからこそ、この作品が素敵なのだと感じました。
漂う空気が、雰囲気が、色気が、切なさが、秘めた激しさが、伝わってくる…
うん、素敵。
その言葉がとても似合う作品だと思いました。


家庭環境により、
愛や幸せを信じられずに育ったふたりが、
互いを拠り所としつつ長い時間をかけて、その関係を少しずつ変えていく…
そんな様子を丁寧に描いたお話です。

分かり合えると思っても、
側にいて居心地がいいと思っても、
それだけですべてが満たさせるわけではないのが、リアル。

高校生の時、キスをしたふたり。
愛や恋や好意…そういう意味を持たないキス。
卒業後、一緒にも暮らし始めた。
片方は奔放でずっとは居ないけど、でも、ここは彼が帰ってくる場所。
帰って来てくれればそれでいい…それだけで充分…だけど……

消化されるだけに見える日々の中で、
諦めながら、もがきながら、前に進んで、相手に踏み込み、想って、考えて、
期待しちゃダメだと思いながら、期待して、想いをぶつけ、
そして見えてくるものがある…
自分は、相手は、何を求めているのか…

愛してる、とか、好き、とかじゃない、
想いを伝える言葉が美しいです。

日常のほのぼのとしたやり取りが散りばめられて、
シリアスになりすぎないのもよかったな。

セックスシーンはありませんが、
(しているかどうかも曖昧)
ふたりが一緒に過ごす長い時間の経過の中で、
肉体関係はそんなに重要じゃないような気にさせられました。


ゆっくりと本と向き合う時間がとれる時に、
ぜひ手にして読んでほしい1冊です。

9

不思議な空間

表紙に惹かれて買いました。
デビュー作とは思えないくらい素敵な漫画でした。
雰囲気がとても静かで時間が淡々と流れていくような漫画です。
なんとも言葉に表すのは難しく、とりあえず読んでいただきたい!というのが本音です(笑)甘々や激しいものが好きな方には向かないと思います…。
何事にもとらわれず、自由な空間を共にする二人の話です。この二人は恋でも友情でも家族でもない、そういうものとは少し違う変わった関係の二人です。
スーッと読めるのでどんな方にも読みやすい作品だと思います!ぜひお試しあれ(^^)

5

ymz先生作家買い!

最近になってymz先生作品を遡りながら読んでいます。

読んで良かったなぁ、と思う。
登場する海風も、草次も静かに、静かに心の奥底に辛い記憶を沈め込んでいる。
なのに、互いに無かった様に傍にいる。

辛い、とか声にだして話し込む2人じゃないんですよね。だけど、互いが必要だし他には行きたくない。安心するけど、同時にそんな関係に諦めの気持ちもあったり。

まあ、不器用なんだろうな。
高校生で、知り合って。卒業したら同棲して。身体の関係も有るんでしょうが、余り性的な感じもしない。
とにかく、海風と草次が漂うように近くなって生きている感じでした。

何年たっても、はっきりしなかった関係も疎遠だった海風の母からの電話で、ぐらり。とはいえ、草次が起こしたアクションの効果。
見えていても見逃すし、見えなくても理解しているつもりだったり。草次が諦めているようで、違っていたのが良かったなぁ~

海風と草次の距離が、物理的だけじゃなくて気持ちも近く、寄り添ったのが嬉しい。
じっくり、ゆっくりと共に生きていくんだろうな。光を感じる明るい話でした。
受け攻めは、不明瞭です。
個人的には草次が受けかと思ったり。
と、言いつつエロ無しで充分な萌えを感じました。

2

煙のような儚さ

切なくてさっぱりしてて、優しいお話でした。二人の間にある感情は愛や恋とは違う、煙のような不思議な儚さを秘めたものです。色とりどりでカラフルな色ではなく、灰色や白などの落ち着いていて静かな色。

登場人物である草次も海風も心の底に暗くて重いものがあるからこそ、二人の間に優しい感情が芽生えていったんだと思います。BLというよりは、なにかもっと深くて儚いもののような気がしました

帯にハヤカワノジコさんの絵が描いてあったので、少し気になって購入させていただきました。最初の部分だけ見るつもりでしたがymzさんの世界観に引き込まれ時間も忘れてしまうようで、いつのまにか全て読み終えてしまいました。ページをめくるごとにある不思議な感覚はこの作品ならではだと思います。

2

優しいお話でした

二人の関係が少し変わっていて複雑で、けれど二人で世界が完結しているようなそんな依存した所がとても素敵でした。
物静かな雰囲気は切ないのにどこかじんわりと温かくて、とても優しいお話だったと思います。

1

「ヘロン」にさよならした2人が向かう先は

表紙とタイトルが放つ吸引力にホイホイされて手に取った初ymz作品ですが、良かったです!
心の奥底の澱みをほんの少し薄めてくれるようなお話でした。
好き嫌いは別れそうですが、広義での愛について描かれたお話が好きな人にはヒットするんじゃないかなと思います。
読み終わった後しばらく、表紙をまじまじと眺めながら、タイトルの意味について考えていました。

「ヘロン」をググるとヘロンの公式が真っ先に出てくるけど、このお話とヘロンの公式はたぶん何の関係もなくて、「青鷺(grey heron)」のことだと思います。
巻末に収録されている描き下ろしのタイトル(=「ひばりのふたり」)が、「さよなら、ヘロン」の対として付けられたタイトルだと思うから。
ひばりは春を表す鳥だし、小さな群れを作って生きる鳥だから、このお話の2人が彼等なりにもがいて手に入れた彼等なりの着地点を言い表すワードが「ひばり」なのだとすれば、じゃあ「青鷺」は?と調べてみると、見つかりますね、ひばりと対になるようなキーワードが。

ここから先、少しネタバレし過ぎているかもしれません。



海風と草次は自分達の関係を「共犯」と言うのだけれど、彼等が犯している罪は彼等と同属の人間にはままあることだと思います。
悲しいのは、相手が自分を見ていないことをお互いに分かりながら側にいるということ。
何にもならないし、何も生み出さない。
それならまだ歪んでいても共依存のような関係になってしまった方が幸せなんじゃないかとすら思ってしまいます。
けれど彼等は、依存し合うことすらも出来ずに、一緒にいてもずっと「独り」なんです。
まさに表紙の2人のような距離感。
それでも一緒にいるのは、相手も自分と同じなんだという、ただその一点の“安心感”で救われていたいがためなのですよね。
せっかく一緒にいるのに悲しくてどうしようもなく虚しい関係性です。

そんな関係の2人が、後半少しずつ少しずつ変わっていきます。
先に一歩を踏み出すのは草次なんだけど、彼のモノローグがね、そして海風に伝える言葉がね………泣けました。

「ヘロン」が象徴しているのは「独り(≠1人)」だと解釈しています。
愛や幸せが分からず、それらを信じられないでいる人達のためにひとつの答えをくれるようなお話ではないでしょうか。
時間をかけて、1ページ1ページ手を止めながらゆっくり読みたい1冊です。

9

愛とか分からないし幸せも信じてないけど一緒にいたい関係

 友達以上恋人未満。好きとか愛してるとかいうベタ甘な関係ではなく、心の奥に秘めている熱が一致しているような2人。ドライなようでいて誰よりも強いこだわりを持って一緒にいる、男と男ならではの関係に憧れます。

 感情的にならず淡々と進むストーリー。エロエロなシーンはありません。それでもじわじわとした熱は常にあって、ふっと涙が出たりドキドキさせられたりしました。読むたびに2人の事が愛おしくなっていって、表紙の2人の背中を抱きしめたくなります。

 家庭不和の中で育ち、愛や幸せを信じられず人並みの感情を持てない草次(そうじ)と海風(ミカ)。高校で出会った2人は波長が合う居心地の良さからずっと一緒にいるようになり、大学進学をきっかけに同居を始めます。
 毎晩遊び歩くミカ。たまに帰ってくればそれで充分だと思っている草次。付き合ってもいないしベッタリな仲良しでもないけどお互いに信頼しあっているような2人のやりとりに萌え×2です。

 数年が過ぎ、心境の変化を打ち明ける草次。愛も幸せも信じていなかったから心地良かった2人の関係。求めてはいけないものを口にした―。崩れるかと思われたミカの態度は変わらず、2人の間の空気は少し甘さを増した印象。草次の心境が変わっていったように、ミカの心境も変わっていて。「愛してる」という言葉はまだピンとこないけど、傍にいたい。現在の2人が出した素直な感情のままの答えがじんわり胸にひびきました。

◆カバー下
 後日談に笑いました。心を入れ替え、できるだけ家にいて一緒にいる時間を増やそうと決意したミカ。しかし街頭インタビューで6年間同棲生活が続いた秘訣を聞かれた草次の答えは「家にいる時間が少なくてたまに顔合わせるのがいいと思う」「それくらいが丁度いい。ずっといるとつかれるよ」←ダメ押し! それを聞いてしまって落ち込むミカが可愛いです(笑)

7

深く、緩やかに交わる心の有り様を

このストーリーがどこか淡々と感じるのは二人の心の有り様そのものが描かれているからではないでしょうか。

言葉や体で分かり合うことを通り越し、互いの心の一部にそっと寄り添う草次(そうじ)と海風(ミカ)。ぬるま湯のような現在から、今の彼らを形作った過去、そして変化の兆しを見せた未来を織り込み、草次と海風それぞれが求めた心の在処を丁寧に描いた一冊です。

子供時代、家族や家庭に求めていた愛情や幸せというありふれたものを得ることのできなかった彼らは恋人でも友人でも家族でもない関係を築き上げて一つ屋根の下で共に暮らしています。互いの生活にこれといって干渉し合うこともなく、二人の距離感は近いようで近くない。そんな様子。

明るく自由奔放な海風はふらふら遊び歩いて何日も帰らず、無口で物静かな草次は黙々と仕事をこなしながら、海風がふらりと帰ってくるこの生活に満足しています。
しかし海風に届いたある知らせから、二人の生活がほんの少しずつ変わり始めます。

草次には"海風がいればそれでいい"というどこか達観した部分がありました。家族との間で揺れる海風をずっと傍らで見守っていましたが、ふと海風に対する自分の気持ちに気付きはじめます。
それでも草次は海風に想いを告げることはせず、心の中にしまいこみ海風の求めている自分でいようとします。
海風に手を引かれながらそっと海風の幸福を祈る草次。海風への気持ちの深さが覗くこのシーンはとても心に残りました。

海風の方も草次の違和感に気付きながらも日々を過ごしていましたが、ある時自分の家族のことに草次が関わってきて海風は怒りをぶつけます。
『求めているものが違ったんだ』家を出て行ってしまった草次を見つけ出し、海風は彼が残した言葉の意味を知ろうとします。草次が本当に求めているものが何なのか。
それは草次にとっても海風にとっても、長い時間をかけて変わっていった思いがけない変化でした。

物語の最初は彼らの心境そのもののように淡々としていますが、彼らの心情やひたむきな想い。吐露される飾らない言葉とともに物語も少しずつ、日向の光が差すかのように色づいていきます。
ymzさんの初の単行本ということで楽しみにしていましたが、読み終りには何かと考えさせられる作品となっていました。海風も草次もこれからまた長い時間をかけてお互いを知るのでしょうか。

カバー裏は本編後に読むことをお薦めします(笑)

5

スズキ27

★ナポ様

始めまして、スズキと申します(__)
「さよなら、ヘロン」の雰囲気そのものなナポさんのレビュー、そうなの、そうなの!と頷きながら(電車内(¨;))読ませていただきました。二人を振り返ることができて嬉しかったです*
これからもナポさんのレビュー、楽しみにしております!

美しい…

二次創作作品を拝見して大好きになった作家さんの初商業コミックということで、楽しみにしていました。

一コマ一コマとっても丁寧に書かれているなぁ…とうっとりしながら読ませていただきました。人物や背景の書き込みが細かいです。全体的に陰影の濃い画面。どストライクで好みの絵柄です。

ストーリーはがっつりBLという感じではないのですが、登場人物(特に草次)の心理的変化が上手に表現されていると思いました。離れないけど深入りしすぎてもいけない関係から、お互いに愛情を求めあっても許される関係に発展していく 過程にある二人 が切なくもあり愛しくもあり…。

やっぱり人間って、どんな環境に育ったとしても、他者から愛されたい、必要とされたいという欲求を完全に消し去ってクールに生きていくなんてことはできないよなぁ…。

そういう人間味のある部分をお互いが認めあいつつ、これからも一緒に居続けてほしいなぁ、と思ってしまいました!

3

互いが快い距離。

表紙に一目惚れ!
2人の背中、限りなく手を繋げる距離、タイトルのちりばめ方。
いろいろな面で今までになかったものが見られるような…気がして。

すると案の定、こんな距離の取り方というか過ごし方がありました。
表面的には付かず離れずの感じを保っていながら、
心の中は信じられないほど深く繋がっているような…
勝手にしろ、と言ってはいるけど本人すら気づかないまま彼を必要としている
…といった感じでした。
なんとも感慨深い1作でした。

1

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