ウサ耳オメガは素直になれない

usamimi omega wa sunao ni narenai

ウサ耳オメガは素直になれない
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神100
  • 萌×246
  • 萌11
  • 中立4
  • しゅみじゃない7

--

レビュー数
23
得点
721
評価数
168
平均
4.4 / 5
神率
59.5%
著者
海野幸 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
Jパブリッシング(ジュリアンパブリッシング)
レーベル
カクテルキス文庫
発売日
電子発売日
価格
¥755(税抜)  
ISBN
9784866693552

あらすじ

歯止めが利かなくなりそうだ
ウサ耳オメガの理人は、幼い頃に耳の切除をして以来オメガ性を隠してきた。アパレル会社の広報として働き始め、圧倒的アルファの風格を放つ同僚のデザイナー・汐見に惹かれていたが、「一目惚れなんて信じない」と強がって素直になれない。一人になって汐見への態度を反省する日々。あるときヒート中の情緒不安定な姿を見られてしまい…? 「ギャップにやられた。可愛いがすぎる」。寂しがり屋のひねくれウサギがとろとろになるまで甘やかされる、不器用な獣耳オメガバース恋!

表題作ウサ耳オメガは素直になれない

同僚のデザイナー
アパレル会社広報,Ω

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数23

何度読んでも胸の奥にジワリと染みる…

海野作品の中でもかなり大好きな作品!
アンリミに入っていたので、久しぶりに読み返しました。読みやすくて読み応えがあってちょっぴり切なくて優しいケモ耳オメガバースです。

大好きな作品ほど言葉にできない現象ってありますよね…。
作品紹介や読みやすい感想は既に多くのレビューがありますので、自分はネタバレ含むただの感想を順不同で書き連ねようと思います。

こちらの作品は、とにかく!
普段ツンツンしている受けのかわいさがちょっとかなり超弩級に可愛すぎて!!
終盤に「可愛い…可愛すぎる…」と唸り続ける攻めの気持ちに大共感。
会社ではキリッとしすぎているくらいなのに、ヒートになったときや攻めと二人きりのときの無自覚で素直な甘えたっぷりよ!!!

中盤までの展開で、受けの理人が不安定になったり、心が乱れてネガティブ循環に陥ってしまうのも理解できるし苦しい。が、それを乗り越えた先の攻め汐見の包容力たるや。。
理人の不安定さにハラハラしつつ、汐見のブレない佇まいに受けと一緒に安心感を感じてしまう。

エロは少ないけど甘くて濃いです。最高です。

それにしても、ケモ耳とオメガバースをこういう設定で使うんだって目からうろこでした。恋愛だけでない作品の底に流れるテーマもきちんとしていて、オメガバだけど地に足のついた作品だと思います。

最後に、脇キャラの後輩来栖くんもいいキャラしてました。来栖君で一本書いて欲しいなぁ~。彼はなにか良い恋愛してそうな気配がするww

0

来栖のスピンオフ希望!

再読しての感想です。

「ウサ耳オメガは素直になれない」
タイトル通り、受けの理人(ウサ耳オメガ)は職場ではとてもツンツンしてます。
素直うんぬんというより、もともとの顔の作りもあり怒ってるように見られることも多々。
言葉遣いもきつい。
同い年とはいえ、中途入社だし、汐見に対する話し方はちょっと敬意がなさすぎる…
口調はそのままとしても、せめて敬語がよかったのでは。

でも心の内側はとても繊細で、家でひとりになると、ときどきウサギの本性が出てしまい、涙ぽろぽろ、寂しい、悲しい気持ちでいっぱいになり、自分でもどうしようもなくなってしまうこともあります。
外では、本性がバレないように虚勢をはって、毛を逆立てて(ウサギがそんなことをするかはわからないけど)威嚇してるような感じなんですね。

小さい頃の事故で、否応なくオメガの象徴であるケモ耳を切除されてしまい、心の傷になっている理人は劣等感のかたまりです。
いいないいなと、堂々とケモ耳を見せているオメガをみては羨み、心のバランスを崩してる。
自分が選んできたこと、頑張ってきたことを土台から否定されているような気持ちになるのかな。

本当はすごく根性のある頑張り屋さんなのに。
「理人」という名に恥じぬよう、感情に揺らがさず理性の人であろう、という気合いがまた自分で自分を追い詰めて…なんて不器用すぎるのか。

汐見は態度の悪い理人にもいつも怒ることも動じることもなく、優しくおおらかで、仕事の能力も高い人。
ふつうなら、雷雨に怯えて別人のようにぷるぷる怖がる理人を見たら、普段とのあまりのギャップにものすごく戸惑ってしまうと思うのだけど、そんなときでもきちんと受け止めてくれます。背中を撫でたり、優しく抱っこしたり、まるで本当に小動物を可愛がっているようになだめる汐見に萌えます。

自分に自信を無くして弱りきっている理人は、つい誘惑に負けてヒートのフェロモンで汐見を誘惑しようとしますが…なぜかアルファであるはずの汐見には効きません。
というのも、じつは汐見はベータだからなんですが。

来栖はとても良い子でした。
ケモ耳を誰にも否定されない恵まれた環境で生きてきたのかと思いきや、しっかり自分で戦ってきた来栖でした。
当て馬どころか、彼がいちばんの功労者では。
そんな来栖に感銘を受けて、周りのせいやオメガのせいにばかりするのではなく、自分が変わらなければと動く理人。
垂れ耳のつけ耳つけた理人、すっごく可愛いです。

勘違いや思い込みを乗り越えて、ようやくふたりは結ばれます。
あまあまで幸せになれてよかった!

でも、やっぱりなんだか一番印象に残っているのは来栖なんですよね。
(汐見はあんまり揺らがないから最後のほうまであまり気持ちが見えないし、逆に理人はずっと不安定すぎてハラハラした)
来栖が乗り越えてきたものや、きっと心にまだ抱えているはずの弱さや葛藤なんかも、いつかスピンオフなどで読めたらな。

0

No Title

うっわー!
久しぶりに文章飛ばし読みしてしまいました!!
ソワソワしすぎておもしろすぎて先が気になりすぎて!!!

お互い好きですよね?って感じなのにまぁ縮まらない距離…!
やっと理人が汐見に対する恋心を受け入れられたと思ったら、同じオメガだけどありのままで自信たっぷりに生きている来栖君の登場…!
今作ではオメガはケモ耳を持っていて、それがキーポイントになってお話が展開していくわけですが。
8割くらいでようやく結ばれ、ギャップ萌えに汐見でなくともやられましたw

0

盛り込まれたテーマが深い

ケモ耳設定が私には違和感しかなくてこの評価になりました。
ただ、BLやオメガバースという以上に、自己決定権とかアイデンティティとか、盛り込まれたテーマが深いなと思いました。

ありのままの自分があたかも劣った存在であるように思わされてしまう周囲の目(両親を含めて)。
自分の体のことを自分で決められなかった悔しさ。
劣等感。

先天的な障害を持つ人や、後天的に体の一部を失った人の心情にそのまま置き換えられるような気がして考えさせられました。
このお話の場合、主人公が失ったのが象徴的な部位だったので、作者様の身近で婦人科の手術を受けた方がいたのかな、などと思ってしまいました。
それくらい、主人公が抱えているものをBLのスパイス的な要素としてではなく、真剣に取り扱っているという印象がありました。

あと、親が良かれと思って子どもに手術を受けさせるなんて、めちゃくちゃありそうなことじゃないですか。
我が子であっても体と人生は本人のもの。
説明と同意は大事だなーとか思ったり。

色々考えさせられるいいお話なのですが、ファンタジー世界ならともかく、現代日本にケモ耳は合ってないなーと思いました…

0

ただのケモミミものと侮るなかれ

いや、皆様のレビューにある通り、これ、本当に本当に深いし考えさせられるお話…!
紛うことなき神作です。神ボタンがあるなら連打したいぐらい。

面白すぎて貪るように読みましたよ。途中ちょっと泣いたりもしながら…

強がり意地っ張り受けと、それを思う存分甘やかしてくれる頼もしい攻め。もう大好物であります、はい。

オメガバースでリーマンもの、×ケモミミ。
作者様自身もあとがきで語られているように「てんこ盛り」にも思えるかもしれないこの設定が、なんて言うんだろう、料理で言うところの素晴らしいマリアージュを見せてくれているんです。

Ωは生まれた時から動物の耳を持って生まれてくる世界。ちょっと特殊で驚いたのは、女性アルファにも精巣があり、妊娠”させる”ことができるという独自設定。オメガバースはそんなに詳しくないですが、これ、珍しいな?と思いました。

Ωの耳は成人前に切り落とすことが普通(安心して社会生活が送れるように)で、主人公の理人は成人前、幼い頃に事故による火傷で両親の判断により耳の切除手術をしています。
自分の意思に反して強制的に耳を切り落とされてしまい、それを「良いことだった」と言う両親の姿を見て、Ωである自分は周囲に受け入れられない存在なのだ、と自信を失ってしまうのですね。

人から認められる自分であろうと、人一倍気を張って頑張り続ける理人が健気でいじらしくて胸が痛くて…

で。そんな理人を文字通り「ありのままでいい」と、明るく優しくおおらかに、どーんと受け止めてくれる汐見のかっこ良さたるや!
こんなん好きになるしかないやろー

そしてそして、これ本当にびっくりしたんですが、えええええ!?ってビックリする事実が後半明らかになるのです。
で、これが理人の大きな恋の悩みの謎を解く大きな大きな鍵になっているのです。
他の方もおっしゃっていますが、オメガバース設定を巧みに生かした素晴らしいオチ。
読みながらリアルにええええ!?って声が出ました。

書き下ろしの攻め視点「駆け付けたいから呼ばれたい」も最高。タイトルそのまんま、なんです。それがめちゃめちゃめちゃ萌えるお話なんです…

小説って、読むのに漫画より時間もかかるし体力も消耗するのでなかなか読み返せないのですが、これはオチを知った上で何度も何度も読み返したくなる、自分にとってちょっと特別な作品になりました✨

1

心臓が鷲掴まれまくる1冊です

オメガには元々動物の耳が生えて生まれてくるという特殊設定ありのオメガバで、一般的なオメガバ要素は控えめな作品でした。

不憫受けからの溺愛エンドが大好物なのですが、不憫受けには外的要因によるかわいそうな受けと自己否定的で自分で追い込んでかわいそうになる受けの2パターンあると思ってるのですが、今作は圧倒的後者!!

むしろ周りからはかなり評価されてるし、攻めとは仲良くもしているのに、耳を切除してしまったオメガとしての負目というか悔しさから悪い方へと物事を考え必要以上にグズグズに凹んでダメになっていく受けがあまりにも可愛い…
可愛いけど切なくて心臓は基本ずっと鷲掴まれてました!

最後には誤解も解けて攻めに超溺愛されているのも覗けるので本当に大満足です!!

相思相愛になった2人がなんやかんなすれ違いながらイチャコラする続編を是非とも読みたいです!

2

オチ付近のネタバレ見た方がいい

 進行度6%まで読んでいたら、四つ耳設定なことを知り読むのを挫折する所だった。人間耳あるんかい。
 あらすじをちゃんと読み返したら、受けは偽耳を切除してたみたいだから、不安を抱きつつ読書再開。

 両片想いだなって察してグッときたり、オメガ耳関連でうるっと来たり、めちゃくちゃ感情揺さぶられます。
 クライマックスシーンで涙目になりながらボルテージ上がったところで、アルファじゃなかったんかーい……って一気に冷めた。
 あらすじにベータ×オメガって書いてて欲しかった。
 オメガバースはアルファ×オメガしか受け入れられないから、地雷ほどではないが、萎え具合が半端ない。
 でも終盤は、これはオメガバースじゃないって思いながら読めば可愛いからいいか! って言い聞かせながら読んでました。

1

最高に素敵な話!!

タイトル通りです。

本当に素直じゃないんです、このウサギちゃん。もう、汐見への口の悪さったらさ〜…もうハラハラしました。あんなにつっけんどんにしなくても良いのにってくらい口悪い。愛情の裏返しで可愛いっちゃあ可愛いんですけど、態度はまぁ可愛くないです(^^;

でもでも!読んでいけば分かるんですがそれも仕方のないことで、幼い頃からウサ耳の存在で自分を卑下するクセがついてるというか、自己肯定感が低いまま大人になってきた理人。耳があると親を悲しませるかも知れないとか、仕事も認められないだとか……それはもう世間が、この世界が理人をそうさせたようなところもあるんですよね。
でも、それでも耳ありで健気に頑張っているオメガもいるわけで、そうやって耳があっても自分らしく生きているオメガを見ると嫉妬したりとね…あー分かるよ、分かる…って、私は耳もないくせに理人の苦しい気持ちに共感しながら読んでいきました。


そんな理人が一目惚れした"アルファ"の汐見。彼の存在がまた、耳の存在の在り方だったり自分らしさを考えるきっかけを作った人物でした。デザイナーとして、ひとりの人間としての考え方もそうですけど、好きな相手としてもバース性や耳を隠すことの意味を色々と考えるのです。


理人の嫉妬、胸が痛くなりました。
素直じゃないって辛いですね。ヒートのときはあんなに甘えるのに、不器用な理人を心から応援せずにはいられませんでした。
まさかの汐見の性が……でしたが、そこがまたまさかの展開でとっても面白かったです。そうですよね、アルファとオメガが必ずしもくっつくのが当然じゃないから、惹かれ合うこともありますよね〜


終盤まで胸ギュッな展開でしたが、そのあとはもう楽しくてしゃーない大好物エンド!!こんなにスカッとした読後感の良いストーリーはなかなかないです。理人の性格悪いな…って前半思ったのが全部チャラになりました。そんなの吹き飛ばすくらいのハッピーエンド。すっごく面白かったです^ ^
設定がすごい!今までのオメガバと一味違ってのめり込んで読み終えました♪

1

こんなオメガバース作品を待ってました

あらすじを読んだらオメガバース作品ってことは分かるんですが、読んでみたらそれだけじゃなくて、とっても奥深いお話でした。

ポイントは2つあると思うんです。1つ目はアイデンティティとは何か、そしてもう1つはオメガバースの世界において人を好きになるのにフェロモンは関係あるのか。

まず、Ωには生まれながらにケモ耳がついてる世界観。ちなみにβとαにはケモ耳は存在しない。Ωだと隠して生きていくにはそのケモ耳を切除しなくちゃならない。切除すれば、βやαと同じような外見になれる。

ケモ耳を切除するには本人の意志がやはり必要で、ちゃんと自分で判断できるように基本切除は成人してからと決まっている。ケモ耳を残したままではΩだと言いふらしているようなもので、社会的にも受け入れられないから、成人したらケモ耳を切除する人がほとんどという日本。

本人の同意なく親が勝手にケモ耳を切除してしまったΩの理人くんも、事情については理解しているつもりだった…のだけど、同僚汐見のΩであるお母さんは自身がケモ耳を切除したことを後悔している。

いくら就職に不利に働くとか、周りもみんなやってるからとか、そんな理由で生まれ持ったケモ耳を切除してしまうのが当たり前の世界でいいのか、アイデンティティとは?特に日本ってそうだけど、自分は正しいと思ってなくても周りがそうしてるからこうしよう、とかあると思うんですね。でもそれって本当に自分が望んだ姿なのかな?多数決で少数派は考慮してもらえない。でもそれが正しいことなのか?ということを突きつけられます。

それからオメガバースの世界観において、人を好きになること。オメガだからヒートは必ず訪れる訳で。フェロモンに中てられて番っちゃいました〜!と簡単には転んでくれない。そこがいいなと思いました。理人が汐見に惹かれた訳、逆に汐見が理人に惹かれたわけが最後まで読むとちゃんと分かります。ヒートだ、ラットだ、と簡単にくっつくのもオメガバースの良さではあるんでしょうけど、フェロモンが効かなかったら惚れないのかってことも掘り下げられていて、運命論に終わらないところがとても良きでした。

最後に、Ωの理人くん。うさぎのケモ耳をお持ちだからという理由で、とっても泣き虫さんです。仕事の時はキレッキレで怖いくらいなのに。そのギャップに当然汐見くんもアッサリ陥落しちゃうのですが、さもありなんといったところです。

5

可愛いうさ耳オメガちゃん

初めての作家様でしたがお話に一気に引き込まれて
最後までノンストップで読むことが出来ました。

強気Ωの理人と汐見の職場恋愛のお話なのですが
途中気持ちのすれ違いもありふぐぐぐ…となりました。

アルファの汐見が理人のフェロモンに動じないところも
なんでなんだろう…と思っていたのですが
最後まで読むとなるほど!となりました。

理人の普段の強気な時とヒートが来た時のぐすぐす泣いちゃうギャップが凄すぎて
とてつもない可愛さだな…と思いました。
普段と雷が鳴った時とのギャップや、とにかく可愛いところが多かったです。

とても可愛いお話で読めて良かったです。

1

うさ耳の悩みを現実に落とし込んでくる

kindle unlimitedにて。
表紙の次のページイラスト、ええ〜うさ耳取れちゃってますが⁉︎と驚愕しましたが付け耳でした。
海野幸さん初読でした。ほんわか甘々なお話と予想して読めば、差別への意識や、義足など身体の一部への愛着と喪失として現実感が湧く描き方をされていてジーンとくるものがありました。

オメガバースでΩ性には動物の耳が生えている世界。Ωは差別的な目を向けられる上、見た目ハッキリと判別されるため動物の耳を切除手術する人が多い。主人公の理人もその一人。

耳を切除した事へのどうしようもない喪失感(とそれを感じずにいようと無意識にしていたこと)、恋心や他のΩへの嫉妬。普段の男らしい活発さが消え、ウサギでヒートの情緒不安定さが顔を出す理人は切なくて可愛かった。後輩への嫉妬最高でした。
この情緒不安定で片想いの切なさは、出来ればBLを読み慣れていない時期に読みたかったなと思いました。ハッピーエンドだろうと思って読むよりドキドキしたかったな。

理人は容姿がいまいち想像しづらかったのですが、相手の汐見は分かりやすくモテ男。ちょっとした言葉尻で相手を特別視しているようにみせかけるのが上手い、という表現に「分かるわかるそう言う人いるよね…」と深く頷きながら読みました。彼の優しい動作と言葉、心が大きくてかっこいい。

汐見の母の語りや、小さい頃耳を切り落とした理人が、後輩からの助言で付け耳を当てがい、想いを巡らせる描写は素敵でした。差別される側なのに差別意識を持っていて、仲間を肯定出来ない。その感情の裏に気づいたこと。そしてもう取り戻せない自分の身体の一部への愛着。オメガバースのウサ耳からこんな現実的なお話に落とし込まれるとは思わず読んでいたので泣けてきました。
欲を言えばどうしてΩに動物耳があるのかを、ありえなくても説明欲しかったですが。

ヒートの理人がちょっとでも汐見と離れるのを嫌がってぐずるの可愛すぎました。この世界線で色んなシリーズを読みたいです…

2

切なさ求めてる人はおすすめ

ネタバレかも………








私は胸がぎゅんとして涙するような切ない物語や、苦手なものがあってそれを誰にも言えないとかが大好物なのですが、これはもう最高。
ツンデレな主人公が可愛すぎる。
素直になりたいのになれないと葛藤するところも本当に素敵でした。
オメガの話だけど、それを前面に出しすぎてないところがまたいい。獣耳も本当に可愛すぎました。獣耳やツンデレ、うるっとするものが好きな方にはおすすめ

2

萌えがたくさん。可愛いもたくさん。

可愛いは無敵!
癒しは最高!
疲れてるときも読める!

それが海野先生だなーと改めて思いました。

そして話の展開がめちゃくちゃよかったです。
海野さんはどこにでもいる世間の人間の性格を明確化してしまう、だから好きです。

受けがめちくちゃ可愛かったなー。

1

優しい攻め

もうね、途中泣かされたし、最後の方まで2人はどうなるのって引き込まれました。

理人の自己評価の低さと不器用さがとても焦ったくて、もっと肩の力を抜いて生きて良いんだよって言いたくなります。

汐見の方は最初から好意がだだ漏れなんですが、理人が素直になれないのと後輩のオメガの来栖が入社して来る事によって理人が更にグルグルしてしまうんです。

この辺りが海野先生が凄くお上手で、汐見を信じながらも理人と一緒になって辛くなったりしました。

でも理人は自分の気持ちを認める事が出来た途端に、憑き物が落ちた様に変わり始めるんです。
私は来栖の本来の姿にはとても好感が持てました。

初めから汐見は理人に対して甘々なので、優しい攻めが大好きな方には堪らない一冊だと思いました。

あらすじに耳を切除と書いてあるのに、カバーイラストの理人に耳がある理由にもなるほどと感心させられました。

4

良い!

嫌な登場人物がいないのがすごく良かった。

こんな職場羨ましいぜ!って感じ。

登場人物達の仕事に対する姿勢は描かれているけど、仕事内容は深く掘り下げていないので入り込みやすかったです。
仕事に対する姿勢をオメガバースに練り込んでるというか、こう他人に対する姿勢みたいな?
現実にも当てはまるところもあったりするのかもしれない?

汐見がステキな攻めでした。包容力攻めでした。それ以上に攻めも言う通り、素直な理人の殺傷力の強さが凄まじかった。

私的にはもう少し甘さが欲しいところだった。


5

真っ直ぐで、静かに揺れるタチアオイのような

ここ数年間で一気に増えた、オメガバース作品。
オメガバースに限らず「〜バース」とつくものの最大の魅力といえば、3つの性別+2つの性別があるところなのかなと思いつつ…
個人的には、ある程度の大枠や決まりごとはあれど、書き(描き)手によって自由に解釈をして独自の設定が作れることだと思うのです。
書き手の味付け次第でどうにでも調理が出来るところが私はとても良いなと感じていて。
ただ、オメガバースの作品数自体がものすごい勢いで増えているので、味付けは違えど、やはりどうしても定番化してしまった設定があったり「似たようなお話をどこかで読んだな」と思ってしまうこともあるのが正直なところ。

そんな中、こちらの作品ですよ。
「ケモ耳もののオメガバース…?」と一瞬でも思った方にこそ読んで欲しい作品かもしれません。
小椋ムク先生の可愛らしい雰囲気のカバーイラストもあって、一見するとあたたかくて可愛らしくふわふわ。
そんなお話しなのかなと読み進めると、想像していたものよりもずっと深いテーマが描かれていてですね。
オメガバースという設定を生かしながら、新しい切り口で巧みに描かれた作品だと思います。
なんでしょうね、良い意味でオメガバースを読んだぞ!という感じがあまりしないというか。
バース性ではないのですけれど、現代で生きる私達の世界でもどこか重なるものがあるんじゃないのかな?なんて思える部分があるように感じたからなのかもしれません。
このあらすじからこう来るとは…と、非常に読み応えがありました。
メッセージ性がありながら、決して重くなりすぎない読み口かつ心理描写は繊細で丁寧。
そして、読後は爽やかな気持ちになれるのだからすごい。
海野先生の作品、やっぱりすごく好きです。
なんだかじわじわと好きが広がる読後感でした。

話運びだけではなく、登場人物も魅力的なのです。
受けの理人は不器用さが愛おしく、攻めの汐見は安心感があってとても良い男。
小椋先生の描かれる汐見がイメージとぴったりで本当に好き。ラフでかっこいいんですよね。
もう、これは包容力がある顔ですよ。
それから、同僚社員であり、理人の後輩である来栖くんがまた素敵な子。彼のように生きたいです。
うーん、メインとなる登場人物3人全員の好感度が高くて良かったなあ。

低い位置から、てっぺんの蕾が花開くまで。
夏の訪れを知らせる、芯が強く真っ直ぐに伸びた、色とりどりのタチアオイの花が印象的な作品でした。
年始から素敵な作品と出会えて嬉しい。

10

目やら鼻の奥がつーんとしちゃう。

海野幸先生のオメガバースにケモ耳がプラス(≧▽≦)
読まない訳にはいきませんね。

小椋さんのかわいい表紙を見て、素直になれない受け様の切なかわいいお話なのかな、と思ったんですけど、違いました。
さすがは海野先生だなぁ。
途中から目やら鼻の奥らへんがずっとツーンとしっぱなしでやられましたよ(つд;*)


オメガには、ヒートやフェロモンの他に、生まれながらに多種多様な獣の耳がついている、というオメガバースの世界。
見た目でオメガだと分かってしまう特徴なだけに、成人すると切除する手術を受けるオメガも多い。


受け様の理人は、ミルクティ色の垂れ耳ウサギの耳を持っていたのだけど、子供の頃に交通事故にあいケモ耳を切除されたオメガ。
今はオメガということは伏せて、オメガ向けの服メーカーで広報として邁進する日々。

そんな理人の同僚でデザイナーである汐見がこの度の攻め様です。

中途採用の為の面接に向かう途中で、気分が悪くなっていた理人を気遣ってくれたのがアルファ然とした汐見。
一目で惹かれてしまってしまい、これもオメガとアルファのフェロモンもせいか、と認めたくない。

同僚となってから、汐見と親しくなるにつれますます汐見に惹かれていく理人なのですが、素直な態度をとれない。

オメガのケモ耳、しかもウサギの耳をつけたままの後輩の存在によって、理人が自分を追い詰めていく心境が痛々しくてたまりませんでした(ノ_<。)

ヒートでうるうるしちゃってる理人を置いて帰る汐見。
どんだけ鋼の自制心!
どんだけ紳士!!
お〜〜と拍手ものだったんですけど。

2人のスレ違いが、根本的な勘違いというか、思い込みというか。
そういえば、確定的な表現はなかったですね。
汐見の言葉に、私も理人と一緒になって、驚いちゃいましたよ。
そういうことかよ!Σ( ̄□ ̄;)


どんな個性を持っていようと、『あなたはあなたのままでいい』
とてもとても胸にしみました。
相手を認めるのもだけど、自分自身を認めるのも、簡単ではない。
大事にしなければ。


イラストは、小椋ムク先生。
表紙がホント、とってもかわいい。
ずっと眺めてられます。
はぁ、癒される。




12

正統派

「あ、王道だ」
と思ったんですよ。読み始めて割とすぐに。
BLの王道っていう意味ではなくて、うーん、言葉が見つからない……一番近い言い方を捻りだすと『高度経済成長以降の少女文化の王道』かなぁ。あ、または『24年組以降に発達した少女文化の王道』という言い方の方が近いかもしれません。

性と対峙するお話だとおもうのですよ。
このお話のオメガバ世界では、オメガだけにケモ耳が付いて生まれて来るんです。
つまりオメガは見た目で解っちゃうんです。

オメガは差別される性ですから、長じると手術で耳を切除する人が多い。
でも、切るか切らないか決めるのは自分なんですよ。
少数派ですが耳をつけたままの人も勿論いるわけで。
これ、自分がその立場ならかなり悩みますよね。
それと同時に現実社会でのLGBTQのカムアウトなどを連想いたしまして。
自分が『女性的な女性であること』を回避して来たことなども思い出しました。

で、前述の『~少女文化』っていうのは「今までの規格通りの女になりたくない(別の言い方をすれば「母親みたいな生き方をしたくない」)」って思う主人公が、そんな自分を家族や、何よりも愛する人に認めてもらいたいと切望することがテーマのひとつなんじゃないかと私は思うんです。

「あれ?海野さんって私よりもかなり若いよね?それでもこんな風に感じちゃうのかぁ」と、ちょっとばかり吃驚しまして。

でも考えてみれば、フィジカルな部分を伴う恋愛で『気を付けなければならない』のは圧倒的に女性側なんですよねぇ。
いまだ女性を『誘う性』だと言い張る人たちもそれなりにいる様ですし。
タテマエではない現実に向き合えば、理人が感じている様に『原罪を背負って生まれて来る性』がある、今でも確かにある、と言わざるを得ないですわな。

だから今、現実で、性に関わって嫌な気持ちになったことがある姐さまや、自分がマイノリティだと感じている姐さま、ありのままの自分を好きになってもらえるのか不安に感じてしまう姐さま方に、このお話は力になるはず。
癒しを求めてBLを読む人が多いと思うんですけれども、それ以上のものを与えてくれる一冊だと思います。

8

オメガにケモ耳がある世界

今回はアパレルメーカーのデザイナーと広報担当者のお話です。 

受様が転職先で攻様と関わる事で恋を知り、過去を乗り越えるまで。

この世界には男女という性別の他に、
アルファ、ベータ、オメガという3つのバース性があります。

世界の大部分はベータで構成され、
外見の性別通り、男性が孕ませる側で女性が孕む側ですが
アルファとオメガは別なのです。

アルファは男性のみならず女性にも精巣と男性器があり、
女性を孕ませることができます。
逆にオメガは女性だけでなく男性にも子宮が存在するために
子を孕む事ができるのです。

更にオメガにはヒートと呼ばれる発情期が存在し、
その間はアルファを誘うフェロモンが放出されてしまいます。
そしてフェロモンやヒートに次ぐオメガの特徴が獣の耳です。

オメガの頭には生まれた時から獣の耳があり
ネコやイヌやウサギ、ヒョウやライオンなど多種多様、
色や大きさも千差万別で紙に隠れて見えない場合もあります。

しかしながらオメガの特徴として目立つケモミミは
手術で切除される場合も多いのです。
実は受様はうさぎの耳を持って生まれたオメガでしたが
幼い頃に切除手術を受け、最低限の告知義務以外では
オメガである事を秘して生活していました。

受様は大手広告代理店に勤務していましたが
一身上の都合で退職し、オメガ向けの服を作る会社への
転職を希望します。

その会社には受のスキルを活かせる広報部も無ければ
従業員の募集すらかかったのですが
受様の熱意に負けて面接までこぎつけます。

しかしながら面接当日、
受様は最近ろくにに眠れていなかったせいか、
はたまた緊張からか電車に酔ってしまいます。

何とか最寄り駅には辿り着き
駅前のベンチに腰を下ろしますが
面接時間までにこの吐き気と眩暈が収まるかは
神のみぞ知ると言ったところです。

面接時間を確かめるために腕時計に目を落とすと
ふっと背筋の産毛が立ち上がる気配がします。
なんとアルファの気配を漂わせる大柄な男性が
まっすぐにこちらに向かって歩いてきました。
この男性こそが今回の攻様です♪

攻様は会社員にしてはラフな雰囲気で
少し日本人離れした華やかな容姿でしたが
ゆったりとした口調で気遣う声を掛けてくれるのです。

攻様は買ったばかりだとペットボトルの水と
大袋に入った黒飴を鷲掴みにして受様に渡してきて
受様が「美味い」と呟くと攻様は嬉しそうに笑い
そうすると威圧感が急速に薄れます。

そして受様の今後の予定を聞き
中途採用の面接を受けに来たと知ると
約束の時間が過ぎてからでも頭を下げろと
半ば諦めていた受様の背中を押してくれました。

そして向かった会社で人事部長に頭を下げて
営業部長も加わっての面接にこぎつけるのですが
本人の希望で同席したいと現れたデザイナーこそが
攻様だったのです!!

攻様の後押しもあり受様の採用が決まり、
採用の決まった受様はスキルを活かして仕事に励み
攻様とも仕事仲間として忌憚のない関係を
築いていく事になります。

しかし、1年後、受様の部下として
アパレルメーカーのプレス担当していたという
社会人3年目の青年が中途採用されるのですが
彼は頭上に黒いウサギ耳をもつオメガでした。

彼の入社以来、
受様は様々な感情に振り回される事になり・・・

幼い頃の事故が元でバース性を隠して生きてきた受様と
オメガの為の服を作り続ける攻様とオメガバースとなります♪

最近のオメガバースは基礎設定すらも
先生によって取捨選択の幅が大きくなってきたように思いますが
本作の最大の特徴はオメガのケモミミ設定となります。

うさぎの耳を持ちながらも失はざるをえなかった受様は
それがとても大きな心の傷となっています。

うさ耳を付けたまま堂々と生きる後輩が入社した事で
受様は今まで諦めてきた様々な事に目が向く事となり

自分がオメガである事を隠しているというか
隠さなくてはならなくなった哀しみと痛みと苦しみが
受様の言動の端々に見えていてとても切なかったです。

そしてアルファとオメガの間に生まれた攻様にも
複雑な事情があります。
それが受様とのすれ違いや誤解を生み、
なかなかお互いの想いが通じずません。

ハピエンなのはもう大前提だと読んでいましたが
すれ違っていく2人の恋が実るまでハラハラしながら
たいへん楽しく読ませて頂きました。

まさかの終着点に驚きましたが
ちゃんと伏線は張られているのが海野マジック♪
文句なく「神」評価とさせて頂きます ヾ(≧▽≦)ノ

これからの受様に沢山の幸せが訪れますように♡

5

掘り下げと迫りがさすが!また海野さんにヤラレタ

途中から涙と鼻水が止まらず箱ティシュを手元に置き鼻血が出るまで鼻をかみました。

またしても海野さんの巧みさに完敗です。
毎回主人公視点でこちらも泣いたり切なくて我慢できなくなったり、いい意味で振り回されます。 

オメガバースものですが、ここまで掘り下げ主人公の過去と現在とアイデンティティ?に迫るのはさすがです!

最初はスラスラ読めましたが理人が汐見に片想いし、オメガとして自分を過小評価して追い詰め、ありのままで職場や汐見に馴染む後輩オメガの来栖の登場に調子を崩し、嫉妬や苦しむのにこちらもキツくて読むのを止めてしまいました。

理人が過去の両親とのことや耳のことをやっと汐見のおかげで整理できたところでは泣けて泣けて。

そしてどんなに汐見が好きで発情期も来てるのにどうしても汐見をその気にできない惨めさと、発情期にかこつけて汐見を一度だけでも振り向かせたいとの自分への嫌悪にまた泣かされ。

後輩来栖の本音はいったい?とハラハラしました。
心配したのと違ったキャラで良かったです。好感のもてる良い人物でした。

お互い誤解でかみ合わずまた泣けて。
汐見が親切なのは人がいいから誰にでも、きっと来栖を…、しかも理人が好きな人を落とすのに漢方薬や付け耳を利用しようとしてると思われ。

長いお話ですが最後の数十ページで明かされるあれやこれやに、そうだったのー!?とまた今回も海野さんにすっかりヤラレタと嬉しい展開が。

とにかく素直な理人はとっても可愛いし、今まで一人で泣いた分だけ汐見に甘えて涙を拭ってもらってね! 

渾身の一冊ですね!

9

大好きだと思える一冊!

海野流リーマンオメガバースです。
ケモ耳をΩの象徴として描いてるところが凄く個性的。

Ωである主人公・理人の、表面的には分かりにくい微細な心の動きを丁寧に描いていて、そこがとても良かった。
悩んで悔やんで泣いて泣いて……と、終始霧の中を彷徨っているような理人ですが、最後にはモヤが晴れてスッキリした気持ちになりれる一冊です!


事故で火傷を負い、成人前に親の独断でうさ耳を切除した理人。
それ以来、自分のバース性を隠しながら生きてきた理人は、α感満載の汐見に惹かれていき……と、いうお話。

Ω性を隠して懸命に生きてきた理人は、耳付きの後輩が入社してきた事で体調を崩していきます。
というのも、理人は耳を失った喪失感を抱えているから。
耳付きのまま社会に受け入れられていく後輩に嫉妬し、羨んで、ボロボロと心が崩れていく……ここが切なくて堪りませんでした。

ならば、どうして自分は耳を失わなければならなかったのか──

そんな理人の心を揺さぶるもう一人の存在……それが、汐見です。
Ωを否定せず、Ωのための洋服を作り続ける汐見。
汐見の優しさ・穏やかさ・心地よさにどんどん惹かれていく理人の気持ちを、切なくも可愛らしいと感じました。

汐見が好きで好きで、フェロモンで何とかしてやろうとする理人は浅はかだと思いますが、本気度もひしひしと伝わってくるから苦しい。

仕事中のツンツンとヒート時の甘えたな理人のギャップに萌えるのですが、こんなに甘えられてよく理性を保ってられるなぁーと思っていた汐見は、実は……!?

バース性とかフェロモンとか、そんなのこの2人には全く関係なかった。
とっても素敵なラストに胸がいっぱいです。 
耳つき・来栖との交流や、両親との和解エピソードにもグッと来ました!

作中に度々登場する「タチアオイ」。
見た目がうさ耳にも見え、〝気高い美〟などの花言葉を持つ花ですが、もしかして、「そのままのあなたでいい」というメッセージが込められていたのかなぁ……なんて思ったり。

Ωとしての性を隠すより、受け入れて向き合っていこうとする姿勢が大切なのですよね。
とにかく素敵な作品で、大好きな一冊になりました。
エロ描写もしっかりありましたが、それ自体というよりは、むしろそこに至るまでの過程に萌えまくったという感じです♡

ムク先生のイラストも可愛くてキュンキュンしました!

9

爽快感!

先生買い。表紙で最初っから好感触だったのですが、お話もめっちゃ良かった。アパレル会社舞台のお仕事部分+オメガバースなお話、本編280Pほど+あとがき。いやほんとに良かったんですよ、読み終わった時の爽快感ったら!

大手広告代理店を辞めて就職活動中の理人(りひと)。面接先の会社の最寄り駅までで気分が悪くなり、間に合わなくなりそうだったので電話でお断りを入れたのですが、途中声をかけてくれた人に「頭を下げたら」と言われて、赴いてみたところ、その本人が「デザイナーです」と面接に出てきて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
来栖(中途採用、広報担当、Ω、うさ耳持ち)、市村、柿崎(勤務先の上層部)、攻め受けの両親(伝聞形式)ぐらい。来栖がいいんすよ!!!!!めっちゃ好き!!!
設定がちょっと変わっていて、オメガはケモ耳を持っていることになってます。
受けは表紙の通り、ロップイヤーみたいな垂れウサ耳!可愛い!

++良かったところ

受けが最高!めっちゃ可愛い!
仕事ばりばり人間(オメガだから負けまいと必死に頑張ってる)なんだけど、もともとうさ耳、とってもビビり!昔のトラウマと生来の性格で、雨・雷の音がとても苦手。自室で自分の布団にくるまって、半泣きになっているんです。それなのに、会社では、べらべらインタビュー等でしゃべってしまう攻めに対して、「勝手に取材を受けるな!」とがみがみ叱り飛ばす、鬼軍曹状態。ぴゃーぴゃー泣かれても可愛いしかない。たまんないです。攻めも「可愛いが過ぎるだろ」って言ってました!

そして耳が無いことに対して思うところがあったらしく、うさ耳を持っている来栖に対してぐるぐる。ちゃんと自分で分析して、気持ちに正面から向かい合っているところが、すごく好感もてました。男前なんですよっカミングアウトするところが!

片や攻め。人たらし能力抜群のデザイナーさん。するっと人の懐に入り込む力があるみたいです、いいよな、こういう力。欲しいわ、どっかに売ってないかな。見た目もいいみたいですが、きらっきらを全面に押し出されている感じではないからか、そんなに惹かれなかったです。受けの印象が強すぎたのかな。

そして大事なサブキャラ、来栖。この子が良かった・・・最高。通常、成人したら手術で耳をとってしまう人が多いというのに、ウサ耳を立派に持っていて、オメガだからヒートあることもちゃんと周りに説明して。後半、「わ!」と思うところあるんですけど書いたら面白くなくなっちゃうのでやめときます。私この子好きです。

攻めより受けとサブキャラがめっちゃ好きだった&読後感がすっごく爽やかだったお話でした!海野先生のお話大好き!

11

そのままの貴方でいい

作者さん2作目のオメガバース+リーマンものになります。
つい強がってしまう受けとそんな受けをどろどろに甘やかす攻めが大好物との事ですが、そんなの私も大好きだからー!
甘え下手な受け、最高だからーーー!!

まぁそんな感じで不器用な受けと包容力攻めによる甘くて焦れったくて切ない恋愛がめちゃくちゃ萌えるんですけど、実はそれだけじゃなくて、テーマがすごく深いししっかり掘り下げられた心情描写がとても読み応えがありまして。
もう、深いメッセージ性が心に響く、すごく素敵なお話なんですよ。
ついでに、オチが秀逸なんですよ。
まさかこう来るとはなぁと、完全に騙されましたよ。
オメガバース設定を逆手に取って、最後にひっくり返してくれましたよ!

これね、やられたしか出て来ないけど痛快だし、何よりめちゃくちゃ萌えるのです。
このオチを踏まえてもう一度最初から読み返してみると、受けの葛藤に「うひゃひゃ」ってなっちゃうんですけど。
一読目は焦れったくて仕方なかったのに。
いや、海野作品の面白さってオチの巧みさにもあると思うんですけど、今回は特に素晴らしいと思います。


で、まずこちら、今作でのオメガバース設定ですが。
オメガにだけ生まれつきケモ耳が付いていると言うものになります。
その為、多くのオメガが世間からの色眼鏡を避けようと、成人を迎えるとケモ耳の切除手術を行う・・・。

主人公である理人ですが、実はそんなオメガの一人。
更に彼の場合はとある事情により、自分で判断する事無く成人前にケモ耳を切除していたりします。
その事により、(ケモ耳を持つ)ありのままの自分は親に受け入れて貰えなかったと言う心の傷を抱えている・・・。

で、そんな彼を深い包容力と大きな器で受け止めてくれるのが、攻めである汐見。
同僚のデザイナーです。

これね、汐見がとにかくいい男なんですよ。
彼はいかにもアルファ!って感じの風格を持つのですが、仕事でキツい物言いになってしまう理人に対しても、気さくで親しみのある対応。
いや、汐見のすごさって、理人をありのまま受け止め、キツい言動の裏に隠れた一生懸命で不器用な素の彼を見てくれる所にあると思うんですよ。
そんな同僚である二人のお仕事上でのやりとりや普段の会話に、リーマンもの好きとしては萌えちゃって萌えちゃって仕方なくて。

と、そんな汐見に出会い時から惹かれる理人。
しかし、本能に翻弄されるオメガ性を厭い、誰より理性的でありたいと願う彼は、汐見に惹かれるのはアルファのフェロモンのせいだと素直に想いを受け入れられない。
そんな中、汐見の前でヒートを起こしてしまうものの、自身のフェロモンに影響されない汐見に何故かショックを受けて・・・という流れ。

実はこちら、このスレ違い部分がオチで激萌えに転換されます。
しつこいけど、オチ秀逸すぎーーー!
もうこれ、根本から間違ってるじゃないの・・・。
最高じゃないの!

またこれ、理人ですが、ウサギの垂れ耳を持つオメガなんですよね。
で、ウサギ耳を持つオメガは、大きな音に敏感で、ちょい臆病。
ヒート前は情緒不安定になりやすいと言う設定。
そう、普段の強気な言動は強がり。
本当はとても繊細な受けなんですよー!

えーと、何だろう・・・。
これね、ヒート時の情緒不安定な理人ですが、結構涙脆いし甘えたで、それが普段のギャップもあってめちゃくちゃ可愛いんですよ。
また、そんなヒート時の理人の面倒を見る羽目になった汐見が、その姿に煽られまくりながら理性を総動員させるみたいなシーンが楽しくて楽しくて。
いや、鈍い理人は紳士な汐見にショックを受けてるけど、明らかに襲いかかりそうなのを必死で我慢してるだけだから!みたいな。
これ、(汐見にとって)拷問か状態だからー!みたいな。

ちなみにこちら、繰り返しになりますが、深いテーマで読ませてくれる作品でもあります。
こう、差別や偏見がテーマになると思うんですよね。

当たり前に自分の一部である耳を、何故オメガ達は切除しなければいけないのか。
そこにあるのはベータやアルファからの偏見だけでは無く、実はオメガである彼等自身の中にも凝り固まった偏見がある。

この部分に深く切り込んであるのがとても読み応えがあるし、理人がそこから自分自身で抜け出すと言う展開がとにかく素敵で。
また、そんな理人をありのまま受け止める汐見、本当に格好よすぎー!と。

オメガだけケモ耳持ちと言う設定はたまにあるんですけど、そこにこんな風に切り込んである作品は初めて読みましたよ。
理人のウサギ垂れ耳可愛い~と読んでた私ですが、深く考えさせられましたよ。
すごくすごく素敵なお話だと思う。

最後になっちゃいましたが、エロは一回だけ。
先に理性を総動員させてる汐見に笑えると書きましたが、こっちでは本能のままに暴走する汐見に笑いました。
まぁ、これだけ煽られればね。

と、とにかく萌えるし感動するし深く読ませてくれるしで、素晴らしい作品でした。
サブキャラであるオメガの後輩・来栖もめちゃくちゃいいキャラでしたよ。
彼の存在で、理人が心のうちに抱えたものを炙り出して行くのが上手いなぁ。

23

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