さあ、僕を癒しておくれ

禅に入っては。

zen ni ittewa

禅に入っては。
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神6
  • 萌×26
  • 萌8
  • 中立8
  • しゅみじゃない4

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レビュー数
8
得点
86
評価数
32
平均
3.1 / 5
神率
18.8%
著者
安堂ろめだ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
海王社
レーベル
GUSH COMICS
発売日
価格
¥729(税抜)  
ISBN
9784796413237

あらすじ

バイト先をクビになったすばるが、
内容確認もせず飛びついた掲示板の高給アルバイト募集。
即採用されるも、仕事内容は雇い主・大東のペット!?
仕事初日の朝、改めて考えてみると妙に色気のあるだらしない男、
不自然な金払いの良さ…これってもしかして危ない仕事なんじゃ…?
と思った矢先、大東と見知らぬ男のキスを目撃。
えっ、ペットって、そういうことなの!?
神様、もう目先の金で仕事選んだりしません、
どうかご慈悲を…男に抱かれるのは嫌です!!!!

表題作禅に入っては。

大東禅吉・すばるの雇用主
白浜すばる(シロ)・20歳・大東のペット

その他の収録作品

  • すばる(描き下ろし)
  • 大東(描き下ろし)
  • すばる&大東(描き下ろし)

レビュー投稿数8

この遠い道程の為に。生きるとは何か。刺さる人には刺さる見たくない自分。

これはですねー。多分に読み手側の心理状態によって、評価の別れる作品では無いかと思われます。
もし、私が何憂うこと無く元気な時だったらば、違う評価になっていたかも知れません。
私は、読んでいる最中からもぅ。涙が溢れて止まりませんでした。ちょっとメロウな気分だったのかもしれません。

主人公の すばるくんは、高卒で20歳のニート。日々何となく生きていて、「楽な方へ楽な方へ生きてきたツケがたまってきてる感じがする。」と、自覚して生きている。
余談ですが、私は「馬鹿馬鹿しさの真っ只中で犬死しないための方法序説」という考え方が割と好きで。それは「逃げて逃げて逃げまくれ。」という、身もふたもない方法なんだけど。遂に逃げ切れない状況になったとき、それこそが真摯に考え得る価値のあること。…だったかな。
とにかく。そうで無い時は、「逃げて逃げて逃げまくって」OKだと思ってもみる。そのぐらい気を楽にしていないと、生きて行くのは 辛い事のが多過ぎる気もするのだ。

すばるくんは、そのやる気の無さで バイトも長くは続かない。しかし、母親に「いい加減にしなさい!」と言われるのも嫌だと思っている。そして、後にすばるくんの母親への想いが描かれて行くことによって、彼の焦燥感の意味も成してくる。
偶然出逢った高時給のバイトは、謎めいた作家の癒しのペットとなる事。ただし、エッチな意味は含まれない。エッチはエッチで、担当者がいる。恋仲めいた関係を結んで、身の回りの世話も焼くあすか。
勿論あすかは ただ可愛がられるだけの「ペット」である、すばるくんに嫉妬する。
けれど、あすかには辛くて苦しい失恋の痛手もあって…。
という、絶妙に微妙な三角関係で展開していく。
禅吉が詩人という、珍妙な生き物である事で。そういうのもアリなのかな。という煙に巻かれてしまう。
禅吉が引用する、高村光太郎も好きだ。人が生きていく上で。
「この遠い道程のため」
思春期にこの詩人の詩を読まなかった人がいるだろうか。メランコリ。
すばるくんは初めて自己を肯定された事で、たぶん生きて行く糧を得る。
誰かの為に生きていたいと思えるようになるのだ。涙。
私は禅吉とあすかが恋をする結末になるのかな、すばるくんが存在した事で何らかの化学反応が起こる事も期待したんだけど。禅吉とあすかは恋人以上の関係に昇華されてしまっているので、ここは禅吉とすばるくん、という事に落ち着いてしまう。
描き下ろしのその後では、苦しんだであろう、あすかの元カレがあすかの元へ戻ってくるというオマケが付いていて。きちんとあすかを救済してくれている。

誰にだって「何か」は残っていて。すばるくんはそこに「誰かの為に」料理をするという、んー、もしかしたら安易かもしれないけど。とにかく‼︎ 自分の拠り所を見つけて生きて行く。
ただ飼われるだけの「ペット」では無くて。

20歳の若者が生きるすべを見出していく、温かな物語です。
心がくすんだり、弱った時の処方箋になるかと。未だに、「逃げて逃げて逃げまくっている」私には、刺さりました。

15

道程

目標もない、やりたいこともなりたいものも見つけられないすばる。
だからただ楽な方に流されて、のらりくらり生きているけれど、このままではダメだという焦りもあり‥。
すばるはきっと、焦りと諦めがごちゃ混ぜになると無気力になるタイプなんでしょうね。
プラス強がりで負けず嫌いっていう‥
でもそれは根っこの脆さを隠すためなのかな。
これまではたしかに甘ちゃんだったところもあるかもしれない。努力も足りなかったかも。
でも善吉の
「そんなに焦らなくてもいいんだよ
人生は長いんだから」
その言葉ですばるはこれからも救われていくんでしょう。
過去のダメだった部分は今の彼にたどり着くまでの道程だった、ということなのかな。

すばるについての感想ばかり書いてしまったけど、他のふたりについてもかなり考えてしまえる(良い意味で深読みできる)作品でした。
言葉尻だけでない、その奥に在る本心を探りたくなる一冊だなと思います。

そして、こんなにも読み手によって印象が二分する作品もなかなかないのではないかな、と他の方のレビューをみて感じています。
だからこそ面白いですね。
作品と合わせて色んな捉え方があることを知れて良かったです。

2

疲れた心がじんわり癒され、読後感スッキリ。

私も学校を出たばかりで社会に放り出され、何をしたらいいのか…と悩んだ時期があったので冒頭からすばるくんの心境にとても共感しちゃいました。
そのおかげもあって感情移入しやすかったせいか、読み進めるうちにすばるくんの辛い気持ちも嬉しい気持ちもラストの幸せな気持ちも全部伝わってきて涙が止まらなかったです。

涙を流すシーンが本当に映画のようで、台詞ではなく絵で泣かされたり、かと思えば何気ない一言にホロりときたり……途中ハラハラする展開もあるのですが、ラストの幸せへのカタルシスを感じられて、読後感とても気持ちよかったです。

まえに涙を流してスッキリする涙活って流行ったと思うのですが、それにピッタリだと思います!
ドエロを期待すると肩透かしを食らうかもしれませんが、ひとりの男の子が幸せになるお話が読みたい方にはオススメです。

まだ内容覚えてるうちにもう一度読んでも泣けるのでほんとにすごいです。笑
私の涙腺がゆるいだけ?

一点だけ、あすかくんのカレシのことが気になってたのですが、電子版の描き下ろしで補完されててよかったです!

7

若きシロの悩み

いい読後感でした。
オメガバ作品の「なみだ枯れるな」
兄弟ものの「どこにもいかなくていいよ」を既読しています。

まず、絵が好みです。
汚い線がなくて、水をたたえたような瞳の描き方が少女漫画ちっくで好きです。

早くに父を亡くし、母の道しるべに従っていきてきたシロ。
なやみなきようないまどきニートのようでその実、大人になりきれない自分に
とまどっている若者だったんですね~。
金に目がくらんで飛びついたバイトで詩人の大東と出会い、
惹かれて、告白して、お互いのため的なことで叶わなくて。。。って
王道の展開でよかったです。

王道展開なので、もちろんハピエン。幸せになってよかったです。

好みがわかれている作品のようですが、わたしはよかったです。
何度でも読み返したくなる再生と成長のお話でした。

1

人生の灯台を見つける

夢も無く自分が何がしたいのかもわからず、
母子家庭の為目標も無く進学する事にも抵抗があり、
将来が何も見えないまま高校を卒業しニートとなったすばる。
バイト募集のビラを見つけ早速訪問すると、行った先で雇い主の大東に「仕事内容はペット」と告げられる。

ペットと言ってもエロい意味ではなく
ただ撫でられたり、河原でフリスビーしたり、縁側で一緒に昼寝したり…。
エロいお世話(?)は、別で一括前払い済みのデリヘルあすかが
食事などの生活の世話も含めてしていた。

ある日、就職や人生の目標の事を愚痴った際に大東に優しく話を聞いて貰ってから大東に惹かれ始めるが、「もっと素敵な人と幸せにおなり」と優しくフラれる。。。

フラれて結局大東のバイトを辞めてしまうがそこへあすかが現れ
自分が昔大好きな彼の親に交際を反対され彼を諦めてしまった事を今でも後悔しているから、
一回フラれたくらいで諦めるなと怒鳴る。


すばるが恋心に苦しんだり大東へ告白するシーンや、
あすかがすばるに喝を入れるシーンはとても好きでした。
が、序盤のすばるの本屋でのバイト態度や他のバイトも続かないのを
「人生の目標を見つけられていないから」的な纏め方するのはちょっとテンション下がりました。
前半の大東に出逢う前の生活態度はあれはあれで「怠けてた」と認めてもらった方が清々しかったです。。。

3

良い作品です。レビューは…不快になる方が多いかと思います。

わたしは主人公のすばるくんと似たようなところがあり、読んだ今現在もそのような状況下にあります。

あすかに対し『どうしてそこまで出来るんだ』と思うシーンがあるのですが…まさにわたしが日頃、"何かの、誰かの、自分の未来、そのようなことの為"一生懸命になり、頑張っている方々に抱いている感情でした。すばるくんの灯台は"お母さん"でしたね。元々、灯台があったからこそ、すばるくんは頑張ることができたのか、気付くことが出来たのか、と思いました。要はわたしは途中から少しすばるくんに対して"僻み"妬み"の感情があったようです…。

BL漫画でキャラを自分と重ねることはあまり無いのですが…今回は少し…苦しい気持ちになってしまいました。安堂ろめださんの作品はこちらが初めてで、イラストがとても綺麗であらすじを読み、即決で買わせていただきました。本当に素敵なお話だと思います。
私情が絡んでしまい…気持ちを切り替えられず、自分と重ね合わせ、楽しめなかった事が誠に申し訳ないです…。
わたしの見解なので誤解して欲しく無いのですが…この作品は『他人に肯定され許されて、自分を許せている人』は読んでも何も感じないかもしれないです…。
わたしはすばるくんの"お母さん"の存在や、大東先生の存在がとてもとても羨ましいかったですね…。
読む時を間違えてしまったかもしれないです…わたしはずっと…"高校を卒業後の2年前のすばるくん"のままだからかもしれません…。

『あてもなく生きるのが嫌』まさにその通りです。
何もないまま生きるの等、死んでいるのと何ら変わらないと思うのです…わたしの場合はすばるくんが持っていた"お母さん"からの焦燥感も無いので読んでいて…少し困ってしまいました。すみません。

良い作品です。本当に。
わたしもすばるくんのように、何かを見つけられたら良いなと思います。おめでとうすばるくん。
そしてごめんね、すばるくん…君は…凄い子ですね。

ありがとうございました。失礼致します。

3

すごく楽しみにしてたんですが…

丸々一冊表題作と描き下ろしのコミカル作品です。

雰囲気のあるキレイな画に惹かれ、面白そうな設定と、試し読みのテンポの良さで電子購入。
1話での掴みと引き込みの上手さに喜んだのも束の間、どんどん尻すぼみに…。

やりたいことが見つからないまま高校卒業、バイトをしても長続きしないすばるが、
うっかりペットとして雇われた大東との出会いで、周囲に支えられつつ自分の道を見つけるという内容。

BLにありがちなガチペットではなく、側で癒してくれる存在という意味のペット。
この設定は面白かったんですが、大東の元にはデリヘルのあすかが既に入り込んでいるので、
すばる雇用の意味がイマイチしっくりこない。
実は有名な詩人の大東ですが、個人的には最後までキャラを掴み切れなかった。

一応、人生を模索するすばるの成長物語なんですが、
本人が足掻くというよりも、結果的に周囲の大人がすばるの面倒をみている気がする。
周囲に手助けされながら大人になっていくものですが、
描き下ろしの「すばる」にはイラっとした。
誰かオレを導いて…なんて、甘えるな!って誰かガツンと言ってやれ。
諦めたくなかったのは恋愛だけというのも、成長物語にしてはお粗末。

画が丁寧でキレイなだけに、画を眺めて終わった感じでした。
個人的にどのキャラにも魅力を感じられず、ハマれなかったのが大きいのかなぁ。

画がキレイでコマ割りがお上手なので、今後もハマれる作品に出会えることを期待してます。

※シーモア:修正はなし。描き下ろしに数カットのエッチだけで、見えない絡みの描写でした。

2

心に響くものがない…

『なみだ枯れるな』がめっちゃ良かったので作家買い。

んー、ごめんなさい。
なんだろうな、全然心に響いてこないっていうか…。
辛口のレビューになります。おいやな方はスルーでお願いします。





主人公は20歳のすばる。
高校卒業後、大学に進学するわけでもなく、きちんと就職するわけでもなく、フリーターとして働いてきた。したいこともなく何となく生きてきたすばるだが、ある日バイトを首になりどうしようかと思っていたところに目に飛び込んできたのはアルバイト募集の張り紙。

日給15000円、賄い付き、交通費全額支給。
そんな破格の待遇につられ訪れた際にいた雇い主は、何をしてるかわからない謎多き男性。

その男性いわく、すばるの仕事の内容は「ペット」。可愛がられるのが仕事だという。

不安に思いつつ働き始めるすばるだが、仕事は思いのほか楽しくて…。

というお話。

登場人物はすごく少ないです。

主人公・すばる。
すばるの雇い主の大東さん。
大東さんのもとを訪れ、彼のお世話(食事から始まり掃除、下のお世話まで含む)をしているデルヘリボーイのあすか。
そして、ちょびっとだけですが、すばるのお母さん。

ほぼ、この4人しか出てきません。

何をしているかわからない大東さんは、実は人気詩人。
仕事をしているときは缶詰になり、仕事が終わると途端にだらけ切った日々を送る。

そんな大東さんに心身ともにほれ込んでるのがデルヘリボーイのあすか。

ペットとして大東さんに可愛がられるすばるを目の敵にしつつ、でもいろいろ教えてもくれるいい人です。

大東さんやあすかと触れ合ううちに、なんとなく生きてきた自分を反省しこれからの生き方を模索し始めるすばる、というお話。

なんですが。

なんていうのかな。
上っ面をなぞったような、といえばいいだろうか。

だらしなく、ただのおっさんに見えた大東さんが、実は人気詩人だ、とか。
希望も何もなくただ日々過ぎすだけのすばるが少しずつ自分の夢を模索していく、とか。
大東さんに惚れこんでるあすかが、自分は身を引きすばるの応援をしてくれる、とか。

ストーリー自体目新しさはなく使いまわれた設定。
まあ、それはいい。

良いのだけれど、突っ込みどころが多すぎる。

描き下ろしで大東さんの過去のお話が収録されています。
人気が出たことで、それまで接点がなかった人たちに良いように扱われ始めたこと。そのため、人を信じられなくなり不眠症も患うことになった。

そんな過去持ちの大東さんが、何の調査もせず、全くの見ず知らずの成人男性を「ペット」として雇いますかね。

あすかも今までの立場をすばるに奪われたわけで、なのに何の手も打たないとか…。

突っ込みどころも多いですが、おそらく一番萎えた要因は、「彼らの間に育っていく愛情」が全く見えてこなかった、という点だと思うのです。

大東さんが、今まで尽くしてくれたあすかではなくすばるを選んだ理由。
すばるが大東さんに惚れてしまった過程。

そういったところが全然描き込まれていない。

もっと言うと、すばるの可愛さも、大東さんのカッコよさも、いまいち伝わってこない。

なので感情移入できず終わってしまった感が半端なかった。

前作が凄く良かっただけにハードルが上がってしまっていたこともあるかと思いますが、うーん、もう少し心に引っ掛かる何かが欲しかったな、と。まあまあ厚さのある作品ですが、この厚さに見合う内容は無かったように思います。

非常に辛口の感想で申し訳ない。

次作に期待。

6

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