悩ましい彼 美しい彼 3

nayamashii kare

悩ましい彼 美しい彼 3
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神419
  • 萌×227
  • 萌10
  • 中立0
  • しゅみじゃない8

54

レビュー数
30
得点
2233
評価数
464
平均
4.8 / 5
神率
90.3%
著者
凪良ゆう 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
美しい彼
発売日
価格
¥640(税抜)  
ISBN
9784199009600

あらすじ

憧れの演出家・上田の舞台への出演が決まった、新進若手俳優の清居。意気込むけれど、なんと演じることになったのは、清居のイメージからはかけ離れた「売れないお笑い芸人」……!? 役作りに悩んだ清居は、いまや人気カメラマンの助手として将来を嘱望され──ながらも、口下手で自己表現が苦手で、何より自分を崇拝する恋人の平良を観察するけれど……!?

役者としてステップアップするため、清居が決行したのはなんと、××になるコト!?
「美しい彼」シリーズ、待望の新作が登場! !

表題作悩ましい彼 美しい彼 3

平良一成,大学生,同棲中のカメラマン助手
清居奏,大学生,平良の恋人で若手俳優

その他の収録作品

  • スターゲイザー
  • きみに捧ぐ
  • あとがき

レビュー投稿数30

文句なしの神です。

シリアスとコミカルが両立してて、最高。
コミカルな部分は、ホント〜に可笑しかった。
電車の中とかで読むのは無理なレベル。

というのも、新たな平良語録が増し増しなんです。
「石ころです」というアカウント名で清居ファンツィッターを始めて「清居の登場時は天照大神クラスなので、眩しくて目を開けていられない」などとツイートしてみたり「清居と1日も長く一緒にいられるように家電のスタンスで頑張る」「清居は俺の生命維持装置」などなど、凪良先生の表現の引き出しの多さと言葉の絶妙なチョイスに何度笑った事か!

特に役作りの為に太ることを決意した清居から別居を申しだされて、白眼を剥く様子が描かれた「スターゲイザー」は平良視点なんで、存分に平良語録が楽しめます。
私は平良語録辞書が欲しいなぁ。
「清居」という項目だけで分厚い一冊になりそうだし、さぞやキモい本になりそう(笑)

もちろんコミカルなだけではありません。
カメラマン志望とイケメン若手俳優という代替えがいくらでもいるような枠にいる彼らが、自分というものを探し「平良一成」「清居奏」という唯一無二の存在になるべく努力し始める姿、特に清居が鼻っ柱を完全にへし折られながらも清く現状を認め、リスクを犯してでも現状から脱却しようとする姿には、思わず私も一ファンとなって心の底から応援しながら読みました。

石にかじりついてでもやってやろう!と役作りに取り組む清居。
その鬼気迫る姿を見て、至高のキングである清居ですら努力してるのに、路傍の石である自分が何もしなかったら終わりだ…と、ついについに己を奮い立たせる平良。
平良も変わろうとします。

そして惚れた男(平良の事ですよ!)の前では格好良くあり続けたいと覚悟を決める清居。
空高く輝き続ける星であるために、己を限界まで追い詰めていく姿は本当に凄かった。
お互いに模索し不安に揺れながらも、やるっきゃない!感に満ちた姿はほんと良かったです。

もちろん仕事面だけではなく、陰と陽という共通項がない二人でありながらガッチリ組み合わり、一連托生のバカップルになっていくところも良かったです。

ほんと、最早ただのバカップル!

清居が実は隠れ乙女で、どんだけ平良の事好きなの?とツッコミたくなるような行動をあれこれ見せてくれます。
平良なんてどんな絶世の美女に囲まれようと視界にすら入っちゃないのに、モデル美女とのやり取りをサトウキビ畑の陰から見つめてモヤモヤしてるとか、ただのおバカさん……としか。
20kg太ろうが、平良からすればそれが何か?なのに、見せたくない…とかどんだけ乙女。

それとあくまで名前だけだけど、「愛しのいばら姫」の美山靫彦もゲスト出演してて嬉しかったです。

次回も楽しみだなぁ。
成功へのスタートラインに立ち始めたとはいえ、まだまだ発展途上の彼ら。

これからも長く続いていくことを期待しています。





45

悩める彼等

続編が発売されると聞き楽しみにしていました。
購入後にじっくりと読もうと思っていたはずが、気がつけばあっという間に読んでしまっていました…もっと読んでいたかった…。
文句なしの神評価です…!!

お話は清居視点・平良視点・清居視点・平良視点と交互に進みます。
若手イケメン俳優として売れ始めた清居に、かねてから憧れの存在であった演出家が手掛ける舞台への出演オファーが!
しかし、嬉しさと熱意はあるものの、普段の自分とかけ離れたキャラクターの役作りに難航し、試行錯誤を繰り返すもなかなか上手くいきません。
顔だけの俳優・客寄せ等とも言われ、自分の美しいと評されている容姿が邪魔だと感じた清居は「皆が抱く美しい清居奏のイメージをぶっ壊してやる!まずはそこがスタートラインだ!」と、役作りの為に+20Kg増量する事、そして舞台が終了し減量するまで平良と別居する事を決意します。
別居したい理由が「恋人に太って醜くなった自分を見られて嫌われたくないから」というのが本当に…かわいすぎます……平良はむしろ見たいと思うよ清居…
突然の別居を告げられた平良はというと、同棲解消と誤解し意気消沈するものの、そうではないと理解した途端、太った清居・清居が太っていく過程も目に焼き付けたいと切望します(笑)
(この辺りのやり取りがすごく平良…笑)
やがて2人は別居をし、清居は舞台・平良は写真界の権威のある賞を目指し個展を開く為に切磋琢磨していき…というお話です。

今作もすごく面白かったです!
タイトルの通り、平良と清居どちらも悩ましい彼なんですよね。
清居は役者として、平良は自分について。
両視点で綴られる物語を交互に読む事で、2人の成長や葛藤する姿がより深く理解出来ます。
清居は平良に、平良は清居に。
お互いに影響を受けて殻を破る姿が印象的でした。
はじめは別居…?!と思ったのですが、お互いを理解したり成長する上で必要な別居だったのかもしれません。
凪良先生の書かれるお話は、緩急の付け方や人の心の葛藤の描き方がとても丁寧でお上手だと思うんです。
不思議な事に、読み手側にグサッと刺さるような、思わずハッとするような発言が多いのはメイン2人よりも周りを固める登場人物達な気がします。
コミカルな部分はコミカルに、読ませる部分はしっかりと読ませる描き方が大好きです。
清居視点での、惑星ヒラ〜の辺りの表現が面白過ぎました(笑)
清居が出演する舞台のあらすじや設定も凄く魅力的で観劇したくなりました!
稽古中のピリピリとした描写も素晴らしかったです。観てみたい…!
そして今作もところどころで清居が本当に可愛すぎるので、前作で悶えた方々はぜひ読んで下さい…どんどん乙女に…可愛いです……
今回一時別居をしている2人ですが、もちろんラブな部分もありますよ!

清居視点は心の内の可愛さが大爆発し、平良視点は相変わらず少々ネガテイブではあるものの、これまでの2作よりも心の成長が見られましたし、今作でまた人間としても恋人同士としても一回り成長した2人の今後をずっと見守っていきたくなりました。
あとがきで凪良さんも仰っていますが、長く続くシリーズになれば良いな…と切望しております!
今回要所要所で大活躍した野口さんのスピンオフも読んでみたいなと思いました…!

29

「愛情・努力・勝利」

個人的に「人生を変えてしまうかもしれないBL」と位置付けているシリーズ。
「面白い」とか「キャラが良い」以前に、「このBLが好きだ!このBLと出会えた人生が幸せだ!」という感性にガンガン響いてくる作品なんです。
相性もありますから、こういう作品との出会いは本当に貴重で、続編が読めると知った時にはどれだけ狂喜乱舞したことか…。
そして今回も期待以上のものすごいクオリティでした…。

やはり凪良先生の筆力がね…素晴らしいんですよ。
読まなくて良い文字が一文字もありません。驚異的です。
文字一つ一つが清居や平良の細胞となって、呼吸をし、血液を流し、潜在意識も顕在意識もひっくるめた彼らの世界となって実現しています…いや冗談じゃなく。かといって小難しい表現は無く、とても読みやすい文章なんです。読まされている、説明されているという押しつけがましさも全く無く、ごく自然に込められた一字一文の情報量とパワーに圧倒されるばかり。その文字を必死に追いながら、美しく悩める彼らの人生を堪能させて頂きました。シンプルなのに鋭い質量感のある言葉がたくさん出てきて、「はっ!そうだよな…」と何度も立ち止まっては考えさせられるんです。だからこんなに面白いのにページが進まない進まない笑。でもこんな風にBL作品が自分の思考を引っ張ってくれることがとっても幸せな瞬間なんです。読み終えるのにかかった時間は普段の3倍以上、感動は100倍以上でした。

過去シリーズよりも強く感じたのは「愛情・努力・勝利」のテーマ性。某少年誌のように夢と未来への情熱と迫力を持ちながらも、やはりここはBLの本領発揮とばかりに愛を何度も確かめ合う姿がもうたまりませんでした。面白くならないわけがない。この愛があるからお互いがお互いを高め合っていける、お互いがお互いの光になれるというラスト…まさに理想形の具現化でした。特にエッチシーンはこれまで読んできたBL作品ひっくるめても最高と言わざるを得ない。特別なことはしていませんが、唯々ゆだね合って、許し合って、開き合って、心の底から愛し合うという姿…心の底の底からこの作品に出会えて、しかもネイティブ言語で読めて良かったと胸がいっぱいになりました。

もちろんエッチだけじゃないです。清居くんの鬼メンタル・不屈の闘志・自己分析能力には頭が上がりません。「無様は嫌だ」みたいな普通の人間が普通に感じる気持ちをありありと表出しながらも次の瞬間にはそれを乗り越えていく。追体験することでロールモデルのように読者に気づきを与え成長させてくれる、相当パワーを持ったキャラクターにシリーズを通して進化していました。ちょっと前まで普通の綺麗な高校生だったのに…。正直本当に20㎏太るとは思ってなかった…。何か月も同棲解消して彼氏と会わないなんて思わなかった…。常識破りのスケールです。しかし「着る服決めてたのに」とか勢いで「もう会わない」と拗ねるなどというけしからんギャップも顕在…萌え死ぬ。

一方の平良は「10㎏<砂1粒分」と主張する違う意味で常識を覆す相変わらずの宇宙人ですが、清居への(ファンとしての分も含めて)愛の揺るがなさは世界に誇っていいレベルですね。寄り添って同じ方向を見て包み合うことだけが愛じゃないこと、見るものも見え方も違っていいこと、でもお互いが必要でその距離感じゃないと生まれない美しさがあることを教えてもらいました。「カデン」だろうが「DEBU」だろうが二人が幸せならオッケー!
努力と才能と幸運のベストカップルだと思います。いや本当読めてよかった。生きててよかった。

27

キングもキモうざも前に進む

凪良ゆう先生×葛西リカコ先生という神タッグなのに、吃音というハンディあり&高校舞台ということで長らく手をだしてこなかった当シリーズ。charaさんの色んなフェア等で短編読んで面白くって、これなら読めるかも!と読み始めたら、やっぱり面白かった。皆さんの評価に誤りは無いよな、と改めて皆様に感謝です。そして先生にも感謝しかありません。面白く可愛くきゅうきゅう苦しいお話、深く御礼申し上げたいです。短編だけど全部つながったお話で合計300P超+あとがき。

憧れていた上田の舞台に立てることになった清居。俺の役だと思っていた「高慢」役には別の役者が決まり、清居は「嫉妬」役に。試行錯誤を重ねてみたものの、今一つ掴み切れないまま鬼稽古が始まり、メッタメタに叩かれる日々で・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
山形社長、菅マネージャー(清居の事務所関係者)、野口(平良の師匠である売れっ子商業写真家)、上田(圧倒的人気の舞台演出家)、塚原(舞台評論家)、清居の父母妹弟等。桐谷と安奈もちょっと出てきました。

**好きだったところ

清居のあの踏まれても蹴られても殴り飛ばされても負けずに立ち上がる底力に感服。それをコミカルというものでくるんで下さっているので、笑いながら読めるという幸せ。コミカルなので、どんな逆境でも読んでるこちらがずんどこに落ち込まないのです。いつか清居がふっと笑ってくれると思えるので。

平良は最初は変化なし安定のアヒル隊長ぶり。今回は家電やら石ころやらという描写もありましたが、私としては巨大岩石と思います。表面に見えてるのはわずかですが、いったい土中にはどれぐらいの大きさの岩が隠れているのやら!
いよいよ見せ始めた平良の写真の才能。それを見い出し、尻を蹴り飛ばしてくださった野口さんに本当に感謝です。いつか平良の写真を見てみたい・・・葛西先生、想像力maxで何卒!!!

そして最後の「もう手放せない」というセリフには感無量。笑ってきゅうきゅう胸を痛めて、前向きな気持ちになれるとっても素敵な本でした・・まだ続きますよね!楽しみにお待ちしています!

16

「役者・清居奏」の成長物語

※神評価ですが良い事だけ書いてるわけではありませんので自衛お願いします!

待望の美しい彼シリーズの続編。
悩ましい彼は「俳優・清居奏」の成長物語でした。

2で血と涙でグチャグチャの顔を救急隊員さんや事務所の方に見られて
「あの姿を人に見られたんだからあれ以上恥ずかしい事なんてない」と言っていた清居。
あの出来事が清居が掴めなかった「リミッターを外す感覚」を掴むきっかけになりました。
だったら、体重が増加していく姿も平良に見てもらってそこで感じた気持ちさえも
役者として自分の糧にしていく…というのを粗筋から想像していたんですね。
グチャグチャの醜い顔と太っていく醜い姿は同じ醜いでも清居の中では違うもので
好きな人に太っていく姿を見られたくないという気持ちは分かります。
でも、ここで離れる選択をしちゃうんだ…。
この二人の選択を残念だなって思ってしまった自分がいました。

ここで「乙女な清居可愛いな!!もう♡」ってなれなかったことが
初読では「悩ましい彼」の世界に入り込めなかった、
のめり込めなかった一番の要因だった気がします。
(二回目からは清居にどっぷりのめり込んでいますが)
だからと言って美しい彼シリーズへの愛は変わらないし清居と平良の事は大好きです。
あとがきで先生も仰っていましたが長いシリーズになって欲しいと思っています。
これから20代30代40代と年齢を重ねる二人を見て行きたいです。
ただその中で、あの時の清居を、執念で食べ物を口に入れ続けた清居を、
平良には傍で見ていて欲しかったのです。

だってあの平良ですよ!?
あれだけ気持ち悪くて重い愛を注ぎ続けている平良ですよ!?
もちろん清居自身も「平良が自分の外見だけを愛しているわけじゃない」というのは
分かっていると思うのですが、
自分の外見が変わったことがきっかけで平良から別れを告げられる妄想をしているので
「んんん??ちょっと清居??」って思っちゃうんですよ!!

あと平良!!!
あなたって人は…やっぱり清居に言われたら離れちゃうのね…。
グラム単位で太っていく清居の全てを自分の網膜に焼き付けなくていいのか!?
その全てをカメラに収めなくていいのか!?平良よ!!!!!
どんなに清居が嫌だと泣き喚いても、
別居を拒んだ平良が家に入れないように清居が鍵を付け替えたとしても、
(※そんな事はしてません。未読の方に誤解を与えないよう念のため)
その鍵を壊してでも清居のそばにいるくらいの平良であって欲しかった。

ごめんね平良。勝手な読者で。
平良も本当はそばにいたかったんだよね…。
言いつけ破ってファン活動はしてたけどね…。

1と2のように何度も何度も数えきれないくらい読み返せば、
この時離れる決断をした二人の事も受け入れられるようになるのかな。
100%は無理でも少しだけでも理解できるようになるのかな…。
今はそうなればいいなって思います。
現に初読では涙は出なかったのですが二回目で泣きました。
1と2は強烈なインパクトのある作品でしたが
悩ましい彼はじわじわと心に染みてくる作品なんだと思います。

話の展開については一旦置いておくとして。
清居奏の成長物語としては大満足です。最高です。
泣きました。感動しました。心が震えて痛いくらいでした。
清居が望役を掴んで自分のものにするまでは演出家の上田を何度か見えないマシンガンで撃ち殺しましたけど。
ここは完全に平良の気持ちです。
途中、孤立無援な清居の姿が辛すぎて凪良作品で初めて挫折しそうになりましたから。

清居奏という人間は、ほんとうに恰好いい。
生き方が、強さが、どんなに打ちのめされて惨めな思いをしても這い上がる舞台への情熱。
自分が安奈さんや平良の様な天才ではない事を受け入れたうえで
「天才ではないけどすごい凡人になってやる」という一言に撃ち抜かれました。

自分が極限まで追い込まれた状態になって
世界から人を消した平良の気持ちを、
世界から自分を切り離した平良の気持ちを理解した清居。
「一生理解できない。でも好きだからどうしようもない」と諦めの境地にいた清居が
一番深い所で平良と繋がった瞬間は訳が分からないほどの感動が襲ってきて
ますます清居奏と言う人間が大好きになりました。
平良に置いていかれたくないと必死になる姿に平良への愛の深さを感じました。

だから平良。
次は平良の番だよね。


清居が「平良の隣を歩くのに相応しい清居奏でありたい」と
地べたを這い蹲ってもがいたんだから。

平良に求められている事は「自分と世界を隔てる膜を消さないまま我を出す」こと。
初めての個展がどう評価されるか、今は誰にもわかりません。
今回清居が壁を破って光を見出すまでの過程を読者が苦しくなるくらい丁寧に描いたのですから
平良の個展までの道のりがメインになる「美しい彼4」でも
読者が苦しくて目を逸らしたくなるくらい平良の全てを余すことなく見せて欲しいと思います。

互いに無いものを持っているだけではなく、
互いの孤独や苦しみも理解し共有した二人は「完全無欠」な恋人同士ですね。
二人の未来がとても楽しみです。
そして心の中に嵐が吹き荒れている野口さんのお話も楽しみです。
過去の恋愛も気になりますし、いっそスピンオフで1冊読みたいです!

悩ましい彼は二人の成長に重点が置かれた作品だったので
前作に比べて甘いシーンやコミカルなシーンは控えめに感じますが
平良の清居への崇拝はとどまる事を知らずますますキモウザに磨きがかかって良いです!
20ページ目の丸々1ページを使って持論を展開する様は圧巻です…!
キモい!ウザイ!!でも好き!!
殿下。私も『石ころです』のフォロワーになりたいです♡

15

お互いの存在があって、成長していく二人の姿に萌えが滾ります

『美しい彼』の3巻目。

順番としては『美しい彼』→『憎らしい彼 美しい彼 2』の続きになります。シリーズものなので未読だと理解できません。前作未読の方はそちらから読まれることをお勧めします。

シリーズものは、続きが出るとパワーダウンしていってしまう作品と、続編が出れば出るほど作品に魅力が出るものとに分かれてしまうと思いますが、この作品は文句なく、圧倒的に後者です。

新刊が出るたびに「これ以上萌える作品にはならないだろう」という読者のハードルを楽々超えて、常に萌えがストップ高です。

なぜか。

登場人物たちが、少しずつ成長していっているから。

かな、と思いました。

1作目は高校時代、カースト最下層にいた平良が、「清居」という輝く星を見つけ、そして恋人同士になるまで。
2作目は、さまざまなトラブルに巻き込まれつつもしっかり想いが通じ合うまで。

そして今作品は、二人が、それぞれ自分のテリトリーで、自分の力でもって這い上がっていくお話でした。今いるところで満足しない。常に高みを目指す。

そのために、お互いの存在が、欠かせない―。



人気上昇中の若手俳優として頭角を現し始めた清居くん。そんな彼に、憧れの演出家・上田からオファーが舞い込む。今日も今日とて自信をもって舞台に挑む清居くんだけれど、上田の舞台で彼は自分の演技に迷いが出て―?

というお話。

いつも凪良作品を読むと感じるのですが、この方は言葉のチョイスが絶妙だと思うのです。

端的でありながら、その時の情景をまざまざと読者に魅せつけることができる。

それゆえにくどくどしくないのに、圧倒的な質量を持って読者に迫ってくる気がします。

今作品も「清居くんの葛藤」を軸に、清居くん、そして平良くんの想いが手に取るようにわかる。

清居くんは役者として。
そして平良くんはカメラマンとして。

悩み、もがき、葛藤し、けれどそこから彼らが自身の手でつかみ取ったものとは。

清居くんの事務所の方々に、「割れ鍋に綴じ蓋なカップル」とからかわれるシーンが随所で登場しますが、本当にそうなんですよね。

清居くんは平良くんがいなければ、そして平良くんには清居くんがいなければ、彼らは彼自身として存在しえないのではないか。そんな気がしました。

今作品は「清居くんが俳優としてステップアップできるのか」を軸に展開していますが、それだけじゃないんです。平良くんのカメラマンとしての才能も見え隠れします。

輝かしい才能にあふれていると思っていた清居くんは凡人(でも努力の人)。
平良くんは天才肌。

その本性(といっていいのか)は、実は今までにも描かれていました。その伏線を上手に回収し、こういった展開に持ち込めるとは、凪良さん、恐るべし。

平良くん×清居くんはもちろんですが、個人的に今作品では平良くんの師匠である野口さんにKOされました。

カメラマンとしてずば抜けた感性を持ちながらもおごることなく、けれど仕事には真摯で、でも性格はお茶目。そんな野口さんが平良くんの才能を目の当たりにして言葉を失った。

彼の中でどんな葛藤があったのか。

既婚者ではないようなので、これからいかようにもスピンオフ作れるよね、と思うのですが凪良先生、いかがでしょうか。

平良くんの、どんな姿になろうとも清居くんは絶対的な王であるという傅く姿もよかったですし、「常にきれいな自分を平良に見てほしい」と思う清居くんの恋心もよかったですが、個人的に一番の萌えポイントは平良くんの「石ころです」のツイッター主をすぐに平良くんと見破った清居くんの平良くんへの愛情です。

平良くんの指の小さい黒子に気づくってアンタ…!

と一人悶えてしまいました。

で。

葛西さんの挿絵も素敵でした。

特に表紙!

1巻から順に追って見ていくと、清居くんの愛情のベクトルが手に取るようにわかる。1巻ではそっぽ向いてた清居くんが、今作品では平良くんに乗っかってる。しかもこの清居くんの表情が、

俺の男だぞ。見てんじゃねえよ。

みたいな独占欲丸出しのお顔に見えるのは私だけでしょうか。

おデブちゃんになってしまった清居くんも、ワンコのような平良くんも、そして美しすぎる濡れ場のシーンも、どれももれなく素敵でした。

読後、萌えが上がり切って下がってきません。
「お互いの存在」という、最高で、最強の恋人を手に入れた彼らに、心からのエールを送りたいです。

まだまだ彼らのお話を読みたい。ずっと続いていってほしい、そんな神作品でした。

15

三巻目だからこそ

(凪良先生信者が書いているレビューです)
ものすごく楽しみにしていた3巻。もちろん発売日に本屋に走りました。すぐ読みました。そして即「神」評価。
なぜなら、わたしはこの2人のことを愛していて、どんな話の展開になろうとも絶対に愛したままだからです。多分、2人が別れることになっても「神」を押すと思います…号泣しながら。

で、ですね。しばらく経って今レビューを書いているんですが、脳裏に浮かぶ印象的な場面が2人のイチャラブではなく、やはり青年たちの成長を感じるようなエピソードばかりなんですよね…
これってもしかしたら、BがLするという本筋からは少しズレているのかもしれません。Lはしてるんですが、一巻二巻に比べるとすごく少ない。
普通だったら「ちぇっ」ってなりますよね?だけど、ならない。何故なら、わたしはもう既にこの2人を心底愛していて、2人が自分の殻を破ろうともがく過程を見守ることが出来てとにかく幸せだったから。
これは、三巻目だったからこそ、凪良先生の素晴らしい筆力があったからこその展開だったようにも思います。
本当に良いものを読ませていただきました。
四巻もあるのかなぁ。あってほしいなぁ。


まだ一巻目の「美しい彼」を読んだことがない方。正直めちゃくちゃ羨ましいです。これからあの感動と切なさと衝撃を味わえるんですね…

13

あの、平良が

あんなに気持ち悪かった平良が、ここまで成長しなんて!
清居の方も、演劇界の巨匠の舞台に出演が決まったはいいけど、稽古では一人だけついて行けず、で、壁をぶち破るために無茶を承知で、、、。
この作品、清居が本当に、強くて、弱くて、かわいくて、
自分の望む、平良の好きな、平良が好きな自分であるために、必要ならば何でも捨てることができる潔さとか、自分の中にある嫉妬心に負けそうになる弱さとか、あれも、これも、みんなかわいい。
ただの気持ち悪いストーカーな攻めと、ただのオレ様王子様な受けのラブコメディじゃなくて、ちゃんと成長していく物語。
この先、平良がどんな風に成長するのか楽しみ。

13

予想の斜め上を行っていた

ありきたりな表現ですが驚かされました。BLというより俳優とカメラマンという個性が勝負の世界でそれぞれ戦っている若者2人の青春ストーリーの面が大きい話でした。でもその2人が同棲中のカップルなんだから…BLって素敵だ。

受けの清居が俳優として成長するためにとった捨て身の作戦はBL的に大丈夫なの?って内容のものでした。今回は模索して掴んだ役どころだけど体のためを思えばあんなこと何度もしない方がいい、とオカン目線で心配してしまいました。

攻めの平良の性格は安定のキモさで、清居の行動にはインパクトで負けるとはいえ、かなり思い切った方法で仕事の道を見つけて大きく成長できたようです。まるでお互いに切磋琢磨しながら強くなっていく少年漫画のライバルのような素敵な関係です。カップルだけどな!

私はシリーズでこの3作目が一番好きでした。凪良さん、一般作品でも頑張っていらっしゃるようですが、まだまだ良作のBL小説も書いて頂きたいなと思います。

12

次のステージに進んだ2人

平良は本当ならばスペック高いのにキモさで全部台無しにしてます。
清居の強烈な性格ばかりに目が行きがちですが、清居の役者としての悩みや平良の鈍感さに苦労していて、今作は随分と清居は可愛らしかったと思いました。
平良の事が好きすぎて逆転してません?

平良が個展を開く前で終わったので気になってしょうがありません。全裸で廃墟でのセルフヌードが、どう完成されるのか読んでみたかったです。
次作が本当に楽しみです。

平良の非凡な才能は個展で成功するのか?役者として一皮向けた清居がどう化けるのか楽しみです。

11

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