雛鳥は汐風にまどろむ

hinadori wa shiokaze ni madoromu

雛鳥は汐風にまどろむ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神200
  • 萌×293
  • 萌33
  • 中立9
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
24
得点
1480
評価数
340
平均
4.4 / 5
神率
58.8%
著者
南月ゆう 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
徳間書店
レーベル
Charaコミックス
発売日
価格
¥660(税抜)  
ISBN
9784199607431

あらすじ

事故で亡くなった姉の子供・歩を引き取り、海の見える町に引っ越してきた勇一。
新天地での初めての子育てに悩んでいた勇一が出会ったのは、町で惣菜屋を営む元ホストの陵だ。ガッツリ胃袋をつかまれすっかり常連となった勇一に、「あなたのこと、もっとよく知りたいです」と口説くように囁やかれて…!?

表題作雛鳥は汐風にまどろむ

紅林 陵(28)惣菜店を営む、元ホスト
立花 勇一(28)会社員、小学生の甥を育てている

その他の収録作品

  • affer story(描き下ろし番外編)
  • カバー下「あとがき」
  • カバー下「雛鳥のララバイ」

レビュー投稿数24

ヒューマンドラマとしても

本当にこの作品は胸に沁みる。
この作品も何度読み返したか分からないけど、毎回ウルっときちゃいます。

最初はチャラい惣菜屋さんと、引っ越ししたてのお客さんという出会いの3人。勇一は亡き姉の子・歩を引き取り新生活を始めたとき、惣菜屋を営む稜と知り合いになり徐々に親しくなっていきます。

惣菜屋さんと懇意にしていくという設定がめちゃ良くて。やっぱり胃袋を掴むのって大事なのかなと(笑)稜の美味しそうな料理を目当てに店に足を運びながら、距離が近くなっていくのが良いなぁと思いました^ ^


だけど、そんなあっさりとBLが成立して終わりじゃない。家族の死を抱えた3人のそれぞれの思いが絡まって、ヒューマンドラマ的な側面が強く何度胸を打たれたことか。
叔父である勇一に素直に気持ちを出せない歩の思いだったり、環境の変化に戸惑う勇一の焦りや、愛に飢えた稜の激しい感情……胸が抉られました。

特に稜の過去はしんどい。。。
出会ったときのチャラさからは想像できません。誰かに愛されたかっただけなのに、どれだけの人に罵られ蔑まれて生きてきたんだろう。
身体に付いた(付けられた)傷の多さは衝撃でした。


クライマックスはボロ泣き。
2人でとことん幸せになって欲しい〜〜!

最後はすんごくほのぼの。
3人の家族感がすごく素敵でした^ ^
一本の邦画を見終わったような感覚が非常に心地よかったです。

2

雛鳥は汐風にまどろむ

私の中では間違いなく神作品です。不思議と自分も彼らと同じ土地に住む友達のような気分にいつの間にかなっています。それほどのめり込むことができる素敵な作品です。お総菜屋さんがあることや誰かにとっては思い出深い海があること、雨が降っている様子などから今まで感じたことのない繊細な雰囲気に包み込まれました。
また個々が内に秘めている思いが忠実に描かれており共感でき、とても感動しました。
誰かと一緒にいたい、1人になりたくない気持ちは人の温かさを知ってしまった上で孤独を味わうことで生まれるもので孤独になるのは楽だけど寒くて寂しくて泣いてしまいそうになると思いました。(1人で生きているのは寂しいから皆誰かと生きるべきという意味ではありません。)
もしこの世にその誰かが居なくなってしまってもその人の存在が無自覚にも過去も今も未来も生きる意味を与えてくれているのではないかと思いました。彼らの日常の中に失礼ながら私も入らせていただいたような超最高な気分になれました。
個人的見解ですが、読後は作品名「雛鳥は汐風にまどろむ」の意味が読後少し分かったような気がしました。私は陵、勇一、歩の3人が海辺でゆったりと汐風に吹かれている様子が想像できました。とても可愛いタイトルだなと思います。
表紙から目を引かれる作品でした。萌もありますが神です。(神すぎて評価させていただくのが難しいですね。)他のCharaコミックや南月ゆう先生の他作品が気になります。_:(´ཀ`」 ∠):
先生の作品を拝読できとても光栄でした。

1

「嫌がんないで」

浄化される!SUKI!!

南月先生の本はだいたいどっか泣く。大人の弱くて柔らかいところを描くのがめちゃくちゃに上手い。今作はアユムくんの友だちのおかあさん・島村さんもすごく活躍していたな〜。女性キャラが嫌味なく活躍できるのもさすがです

両親と姉を事故で亡くし、姉の子どもを引き取ることになったユウイチ。自分のやり方に自信が持てない、どころか、辛くて逃げてしまいたい気持ちを必死に押し殺している。そりゃあ、20代で突然父親になって一人で小学生育てるなんて、怖いよなあ

一方のリョウは、幼い頃から家族に蔑ろにされて育ち、「人のものが欲しい」という困った性癖を抱えていて、どこにいっても人間関係を壊してしまう

そんな二人が出逢って、恋をして

アユムとリョウがユウイチについて海で話すシーンが、切ない。しあわせになってね

2

キング・オブ・3人

何度レビューを書こうとしたことか。
でも毎回言葉にならなくて、他にたくさん良いレビューもあるし、わたしのお目汚しを並べるなんておこがましいと思っていましたが、今日は書く!

海辺の街で、叔父と母を亡くした甥の2人暮らしが始まる。
新しい生活、新しい街、そんな中に見つけた惣菜屋を営む陵との出会いが、ぎこちなかった勇一と歩の関係を変え、陵と勇一の関係もまた…。

私事ですが、独身のときに資格試験の勉強をする姉の代わりに姪っ子の面倒を見ていたことがあります。
子育て経験なしで子供の面倒を見るのは本当に大変で、どこまで踏み込んでいいのかも分からず、育児ノイローゼになったほどでした。
この作品の勇一は、突然の姉の死によって、いきなり小学生の子持ちになります。
仕事も今までのようにバリバリやるわけにいかず、部署替えして時短で上がれば陰口を叩かれる日々。
姉の死後、笑わなくなった甥の歩を気遣い、職場でも腫れ物状態の居心地の悪さを感じて、つらさを吐き出せる相手もいなくて。
どんなに息苦しくても、自分が逃げるわけにはいかない状況に、こちらまで息が詰まりそうになります。

そんな中出会った陵の惣菜は温かくて、およそ「家庭」と呼ぶには程遠い自分たちを、少しだけ「家族」にしてくれるような存在だったのだろうなと思うのです。
皮肉なのは、そういう味を提供する陵自身がどうしようもない孤独を抱えているということで。
体の弱い母、名前も顔も知らない父親、預けられた叔父の家での酷い扱い。
読めば読むほど、こちらもつらい。
頑張っても認められるどころか嫌味が増して、居場所がないから奪えば罵られる。
自分のものになった途端に興味をなくすのに、欲しいものはいつだって他人のもの。

そんな3人が出会って、お互いを知って、それぞれに秘密を分け合っていくさまが、温かいのに悲しい。
特に歩に幼い自分を重ねて、ないものねだりをする陵が切ない…。
歩も捨てない、陵も諦めない、という勇一に深い母性を感じずにはいられません。
このひとの器の大きさは本当にすごい。
最初は自分のつらさが優っていたけれど、受け入れると決めてからの潔さに惚れます。

それに対して、陵は自己完結して、逃げて…。
陵の過去を思えば、逃げた方が楽なのも分かるし、一度「本当に欲しいもの」を知ってしまったら、逃げる場所はもう母の元しかないと思うのも分かるけど、自分勝手。
勇一が捕まえるシーンは、何度読んでも涙と鼻水でぐしゃぐしゃ不可避です。

いつ読み返しても、温かくて優しい気持ちになれるこの作品。
拙いながらやっとレビューが書けたけど、全然語り尽くせない。
ほとんどいないとは思いますが、未読という方は何を置いても読んでみてください。
心が洗われます。

6

いい話ではあった

いい話だった。
いい話だったと思う。

歩を引き取ったものの、心を通わせられず悩む勇一がまじめでネガティブだなと思いつつ。

歩はそれがわかっていて心を開かず、でもあることがきっかけで、初めて涙ながらに勇一に
「嫌いにならないで。勇一に捨てられたら独りになっちゃう」
と言うのはうるうるしちゃうわね。

陵の過去とか、自分を歩むに重ねたり、勇一をほしがるのはわかる。
今まで陵は、人の物を欲しがり奪ったら興味なくなっていたのに、勇一は一度寝ても足りないほんとに欲しいと思った違いは…どこだろう。

勇一がお人好しで、今までの人間にはなかったあたたかいものがあったから?(読み込み浅い)

全体的には、いい話ではあったけれど、
ストーリー展開が、あるあるが多いというか、安易で薄いというか、予定調和に感じてしまうことが結構あった。

絵も平面的な印象だし。
嫌いではないですが。

同先生は「弟じゃいられない」「主従な同級生」しかまだ読んでいないので、その流れでだいたいわかっていたし、その2作よりは読み応えありましたが。

ヒット作のサヨナラゲームシリーズを早く読まないといけませんねw

好きだったのは
陵が最初、営業スマイル全開だったのに、勇一に惹かれるにつれ、素が出て、挙句、歩とライバル的に?ケンカするとこですw

1

後ろ盾ない海鳥の雛

意を汲む 意を通じあわせること。
感情の出し方、表現する力が乏しい子供や、トラウマを持つ人の意を汲むって、忍耐と感受性が高く無いと、皮膚の動きや目の動きから気持ちを読み取るのは難しい。
だから、善かれと思った言葉で追い込んで、子供の自殺を防止できなかった親が案外多くて、死なれた後に気づくことが多いみたいです。励ますつもりの言葉が、逆に追い込んで居たりするってよくあるようで、報道を読むと悲しくなります。

この作品の二人、歩くんと陵さんは早く親から離れたので、似た「心の傷」を持っている。陵さんも、歩くんも「寂しい」を抱えている。あとがきによると「魂の双子」。

世間の波に揺れる後ろ盾ない状態は、たしかに「汐風に揺られる雛鳥」。
忙しい片親の育児だと、親も子供も気を遣うから会話が減ってしまう。
愛情が深いのだけど、恵まれた環境で育ったので勇一は鈍いみたい。
気持ちを通じ合わせる切っ掛けが、海の出来事。

「黙って海に行ってごめん・・なさい。おれのこと きらいにならないで」
「ゆ・・いちに捨てられたら 独りになっちゃう」と泣く歩くんを抱きしめる勇一。
★この場面を讀んで平気な人は居ないと思う。この本は、夜、独りで読んではいけません。夢に出ます。

陵さんと歩君は、優しい勇一さんが拡げた羽の下に潜り込むことができて、汐風にあたってもまどろむことができるようになりました。
感動したので神。

1

大切な人が増える幸せ

どんだけ積んでたのって感じなのですが、今更読みました^^;
胸が温かくなるような、とてもいいお話。
あとがきで南月先生も仰っていますが、恋をすっ飛ばして結びついた二人と一人のお話です。
でも、この結びつきが身体だけじゃなく、心だったり、家族だったりするのですよね。
ここがとても良かったなと思いました。

男手ひとつで甥っ子を育てる勇一と、甥の歩。
そこに惣菜屋の陵が加わり、家族になっていく様子が丁寧に描かれています。
勇一の愛情をいっぱいに受けている歩と、愛情不足のまま大人になった陵。
同じような境遇でも、たどる道筋は全然違うんだろうな。
それでも、大切な母親を失った寂しさを分かり合えるのは二人だけなんだと思う。

勇一がとにかく愛情深い。
注ぐ愛は半分にはならない……島村さんいいこと言うなぁ。
勇一が与える愛は何倍にも膨らむと思うし、きっと何十倍にもなって返ってくると思う。

大人でカッコよくみえた陵の嫉妬が可愛らしく、この人、子どものまま大人になっちゃったんだと思いました。
たくさん愛を受けて、早く心も大人になれるといいね。

2

愛情に飢えていた子供が満たされていく

紙本
修正…見えない描写
カバー下…あとがき、おまけ漫画
カバー折り返し部分…コメント

1

傷みと孤独を癒してくれる、愛情への渇望。喪失と再生の優しい物語。

読了した頃、これはちょっと再読し難い重さが迫って来て。
レビューを書くことが躊躇われました。
寂しい心と孤独な心の、魂の邂逅と。喪失と再生の物語。
と、書いてしまえば。何て陳腐なんだろうかと。
確かに男同士のセックスシーンはあるけれど、その性癖への葛藤などというものは無く、
BLという枠を軽く飛び越えた、愛情というものを真摯に描いた物語である。

事故で、両親と姉を一度に亡くして、姉の子供を引き取った勇一。
まだ20代の彼にとって、子育ては生易しいものでは無い。笑う事も泣くこともしなくなった、感情が欠落してしまったかの様な歩を抱えて生きて行くこと。俺はこんなに頑張っているのに。
そんな勇一の心にグイグイ迫って来る陵。元ホストだという彼は、パーソナルスペースが狭い。
その顔面偏差値の高さとフェロモンに圧倒されながら、美味しいお惣菜を作るその腕前に胃袋をも掴まれてしまう。
最初、慣れない子育てに疲弊している勇一を癒していくのが陵かと思いきや…。です‼︎
陵は陵で、母を亡くしてからおよそ愛情というものに触れずに生きてきた。
その心は荒んで、傷んでいて。貪欲に愛情に飢えている。
そして、愛情というものが何か分からなくなっている。
この、怒涛の陵のターンに入ってからは、読み手側はあっ‼︎っと驚かされる事になる。

「大切な人を守るために、できることが ひとつでもあればいい。」
「愛情は奪う必要なんてない…」
「愛情は半分になったりしない、きっと何倍にも増えるんだよ、人を愛するって、そういうことだから。」
心に刺さりまくるセリフのオンパレード。
笑顔を取り戻す歩。お互いに愛情を持て余していた勇一と歩の成長。
大切な人の死を乗り越えて生きて行く覚悟。
そして、2人と出逢い、勇一を愛する事と、愛情とは何たるかをついに悟った陵。
涙無しには読み進めません‼︎‼︎

歩の同級生のシングルマザー、島村さんもとてもいい。
そして!そして!電子限定の描き下ろしが凄く良いんです‼︎
歩と同級生の和也くんがあっという間に成長していて。歩は近所のおばちゃんも「きっとイケメンになる。」というくらいの美少年なので、和也くんもきっと惹かれてく筈なんだが。
今のところは、勇一を巡って陵と張り合っている。というか、陵が張り合っている。
カバー下のオマケ漫画もそうですね。陵が引く程のイケメン君に成長して、陵にはハラハラして欲しい。
本編がシリアスモードで、いっぱい泣かされてしまうので。この補完には本当にホッコリ。
癒されます。
久しぶりに再読して、やっぱり良いなあと。しみじみしました。


7

いいお話です

自分の両親と姉を事故で失い、残された姉の子供、歩を引き取り引っ越してきた28才の勇一。街でイケメンの陵が営む総菜屋を見つけ通うようになり。。。

最初は、歩を育てながら仕事をする勇一の葛藤に、陵が手をさしのべる感じですが、実は陵も昔叔父夫婦に育てられ、虐げられてきた身の上。人の彼女や奥さんに手を出し、激怒されるが、それでも人のモノを手に入れたいと思ってしまう陵。
そんなホントの姿を隠して、総菜屋をしていた。

独身の28才が、小学校三年生の子を育てるって、かなり大変。どんなに性格が良くても、本当に難しい。そんな時、優しくされたら、あれ?って思うよね!それもイケメンに!ここまではよくある話の展開ですが、今まで人から恨みをかう生き方をしてきた陵。こちらはこちらで、色々面倒な心の葛藤があるのです。
正直、もっとさっぱりしたイケメンかと思っていたので、実は面倒くさい男だ!と思ってしまいました。海に入った時とか。

この作品で、唯一さっぱりしたいいキャラ。歩の友だちのママさん!
BL作品の中で、こんな理解ある女性の登場はあまりないのでは?もう、何なら自分がこのママさんになって、二人を見守りたい気分です(笑)

二人がくっついて、この先の歩との三人での暮らしが読みたい。スピンオフではなく続編であればなぁと思いました。
そして、シーグラスを探してみたくなりました。

8

切ないい。恋愛ではなく家族もの

だいぶ前に「サヨナラゲーム」を読んだはずなのですがあまり記憶に残っていなかった作家さん。レビュー高評価を見てこちらを読んでみました。

結果、切なく、子供も絡むものはあんまり得意ではないにもかかわらず、よかった。あまつさえ、後半ぶわっときました。。

一人になった甥っ子を引き取って暮らす勇一と、ホストをやめて片田舎で惣菜やを営む陵。

勇一はおいしい惣菜に胃袋をつかまれ、ご近所のよしみもあって陵と親しくなります。陵は最初は軽い気持ちで勇一を口説きますが、勇一はノンケでなかなかそういう関係には至らず。

ほのぼのものかと思いきや、片親でなかなか残業できない勇一が会社で陰口をたたかれたり、甥っ子が無口でうちとけず人しれず悩んだりと、割とリアルな描写が説得力があります。

一方、陵はホストをやめて営業スマイルで人気惣菜やを営むが、親に捨てられた過去があるトラウマ持ち。無条件に自分を受け入れてくれる存在を渇望しています。

そんな中、母親を亡くした勇一の甥っ子とは、自分を出せる場所である海で度々合うようになり、お互いに普段口にできない思いを語り合う。

そんな中、必死で甥っ子と家族になろうとする勇一に、陵は母親としての存在を求めるように。無理矢理抱いているように見えて、実は勇一にすがっている。

しかし、大人になった陵はようやく受け入れられない自分を受け止め、唯一自分をさらけだせる海に行き、入水しようとする。。

必死で追いかけてきて、陵を受け止める勇一の姿に涙しました。

いわゆる恋愛ではないと思います。そんな深い人間関係を描いた異色のBLでなかなかよかったです。

4

重なるストーリー

勇一と歩、陵のストーリーが重なり結ばれる印象です。

前半は勇一と歩がお互い一歩引いたり、勇一が俺ばかりって大変で追い詰められて。
でも陵のおかげでしっくりとわだかまりがとけて遠慮のない関係になれます。

そして陵の過酷な子供時代とその後。人の物だと欲しくなり手に入ると違うと思う。悲しいですね。
勇一が真っ直ぐでお人好しで幸せに生きてきたんだろうとイライラしたみたいですね。

でも陵を受け止めてくれた勇一。歩に勇一をくれないか?なんて聞いて断られます。
でも奪わなくても一緒にいられるんだってわかったようですね。
3人で仲良く、そして歩が巣出ったら二人で一緒に生きていけるといいですね。

3

なんだろう泣きたくなった

死んでしまった姉の子供を引き取って育てることになった勇一とお惣菜屋さんの陵の温かい恋の話

陵は誰かのものを取りたいのではなく愛されたいのだと思いました。家族から充分に愛されていなかったからなんだろうと思いますが…

最初はスパダリぽいと思った陵が回を重ねる事によって不器用なところが出てきてなんだか抱きしめたくなりました。

また勇一の歩に対する愛情も胸がギュッとなりました。

表紙買いしたものですが温かい話が好きな人にはオススメです。
あの3人が仲良く暮らしてほしいです。

10

続編求む

じんわりと来る漫画です。
最初は陵のビジネスの時の顔にまんまと騙されて、“ゲイばれして帰るところがなくなった”とかそういう過去かと思っていたのですが、結構な狼具合でしたね。歩はかなり最初から陵の素を感じ取ってた。それは二人が同じように親をなくして親戚に引き取られている境遇のせいなのかもしれませんがもしかしたら会った瞬間から勇一を巡るライバルとして直感が働いていたのかもしれませんね。

陵が勇一を欲しいと思ったきっかけには共感できないけど、勇一が陵をほっとけないと感じたのはなんかわかる気がします。同情なんかしちゃいけないんだろうけど、やはり守ってあげたいという気持ちにさせる人っているんですよね。

歩が勇一に内緒でシーグラスをプレゼントしようとしていたエピソード、「嫌いにならないで」の台詞には号泣せずにはいられなかったです。

三人でいることが当たり前になって、寂しさを感じている暇がないほど充実した毎日を送れることを祈ります。

5

癒しと再生の話

家族を失った痛みを抱える3人の優しくて温かいお話でした!

3人の中でも一番過酷な環境で生きてきたのは陵だけど、陵の抱える痛みは読んでて私までヒリヒリしたよ(☍﹏⁰)

陵の、歩に対する一方的な共感だとか、アレが欲しい。っていう渇望とか、コレじゃなかった。っていう落胆や、強烈な羨望には私自身が共感する部分が大きくて、心理描写の生々しさに脱帽。

ライバルでもあり、一番の互いの理解者でもある陵と歩の関係性も良かったぁ(;ω;)

巻末に魂の双子。って描写があったけど、この3人の中で、共鳴って意味で言えばこの2人が一番強いんだろうなぁ。って思います。

陵が歩と自分を重ねて癒されていくように、
勇一も陵が少しずつ苦しみが減っていく事で、
勇一自身が抱える苦しさや辛さを乗り越えて行けてたのかなぁ〜とか、想像したり…。

ただ、ただ…
必要なシーンだったのはよく分かるんですが
「それでも親は親だとろ--ちゃんと話せば-」って台詞にかなりモヤっときました( -᷄◞ω◟-᷅ )

っても、そんな事言えちゃう勇一だからあんなに心がキレイなんだよな〜 ( ˃ ⌑ ˂ഃ )

12

愛情が溢れる

亡くなった姉の子供・歩を育てる勇一。2人を気にかける惣菜屋の陵。ぎこちない歩と勇一の関係と、訳ありな陵を含めた関係を、あたたかく描いています。
勇一と陵の関係はもちろん、勇一と歩のぎこちないけれどお互い想い合った関係が素敵でした。親バカ全開な勇一が微笑ましい。
終わった後はほっと息をつく、素敵なお話でした。


以下、ネタバレです。


陵の、幼い頃の自分が勇一に引き取られていたらという想像が切なかった。
拒まないでと縋る陵は、身体は大きいけれど幼い子どものようで、勇一の大きな器に抱きとめられて、あやされ続けて、幼い陵が満足できたらいいなと思いました。

5

受けのまっすぐな性格に救われる

 総菜屋を営んでおり料理が上手く人あたりも良い陵と、亡くなった姉の子供である歩を引き取り越してきたお人好しの勇一、2人のビジュアルも設定もすごく好みで素敵な導入だなぁと思いました。実は陵の人あたりの良さは外面で、本来はもっと棘のある人物だというのも物語に深みを持たせることになっていたと思います。ただ、陵がそのような性格になってしまった背景も重く納得はできたのですが、勇一にあたってしまうところが少し自分勝手のように感じてしまいました。確かに勇一は今まで幸せな人生を送ってきたかもしれないけれど、彼も姉と両親を一気に亡くし、距離を測りかねている歩と2人きりの新しい生活を仕事と両立させながら懸命にやっているわけなので、もう少し考えた発言をしても良かったかと。個人的に相手の言葉の意図を考えず、同情はいらないとすぐ壁を作るキャラが苦手なので…。でも、この陵の不安定さ、満たされない心を抱えた子供がそのまま大人になったような性格が、この作品になくてはならない大きな一つの柱だと思うので、これはもう完全に読み手の好みの問題ですね。その子供っぽさが良いように働く部分もあり、特に優しさで包み込んでくれそうな勇一を切実に求める時の陵の言葉や表情にはすごく引きつけられました。歩も一見愛想がない子供に思えますが、彼の不器用さには早い段階で気付くことができましたし、実際にはとても健気な子供です。本音を晒す時と大事なことを言おうとしない時の感じも、リアルな子供っぽくてとても好感が持てました。

4

全てが詰まった素敵ストーリー

とにかく泣けます

5

カバー下や電子特典SSに至る隅々まで「神」でした。

先のレビュアー様の「家族愛」というキーワードが目に入って、今読みたいものが読めるのではという期待から手に取ってみたら、これがもうめちゃくちゃ良くって!
感想はタイトルの通り。期待以上でした!
コミック1冊にしてはやや厚め(250ページ)の作品ですが、ストーリーはさらに読み応えあるもの。表紙から想像した感じよりもはるかに重さがありました。
特に攻めが救われるお話が好きな方は読んで損なしの1冊だと思います!

この物語の本当の主人公は攻めの〔陵〕。
そして、物語の重要な立ち位置を受けの〔勇一〕が引き取った子供〔歩〕が担っています。
歩と勇一の関係を陵の存在が変えて、勇一と陵の関係を歩が繋げて・・・陵と歩は「魂の双子のように通じ合っていて」とあとがきに書かれていますが、これに少し補足するなら、魂の双子っていうのは足りないところを補い合える、似ているけど正反対の2人。それが陵と歩で、2人の関係性もまたこの物語をより一層面白くしています。
子育てモノのBLは今や珍しいものではなくなってきましたが、本作のような位置付けで子供が登場するのはなかったパターンかもしれません。

私が思うBLジャンルの心地良さのひとつに「恋愛だけでなく広義の愛を描いているお話が多いこと」が挙げられるのですが、こちらはまさにそんなお話で、3人がそれぞれに1対1で心を通い合わせていくのがとても良かったです。
全体を見渡せば「家族愛」の物語であり、3人の三角形の一辺一辺には恋愛や魂の共感などまたそれぞれの物語が詰まっている作品でした。

読後の印象を一言で言い表すなら、“ほどける”かな。
“解放”よりももっとおだやかで柔らかなイメージだな〜って考えて、この言葉がフッと頭に。
勇一は「歩の親代わりを頑張らなきゃ」って気負い過ぎていた気持ちがほどけて、歩は「勇一に捨てられないようにしなきゃ」って我慢し過ぎて子供らしさをなくしていた心がほどけて、陵は・・・

陵のモノローグを最後に一文だけネタバレさせてください。


──いつしか俺は歩と自分を重ね
「もしも勇一に引き取られていたのなら……」
そんな妄想に癒されていくような錯覚を覚えた

最後の一行に陵の色んな思いが読み取れてしまい、一気に決壊しました。(T_T)(T_T)(T_T)


紙派さんにとっては酷な仕様なんですが、本作については電子特典のSSまで込みでぜひ。
彼らの3年後のお話です。
最後の答えが陵はずっと欲しかったのだろうな。
これまでの陵にはきっとこの質問を投げられる相手さえいなかっただろうから。

【電子】シーモア版:修正○(修正が必要なコマはほぼ無いですが)、カバー下○、裏表紙×、電子限定SS(5p)・電子限定イラスト(1p)付き

14

ギャップ萌えな攻め

こちらの評価がとても高く、設定も気になるものだったので購入しました。
他の方もおっしゃられている通りBLというよりは家族愛をテーマにされているような作品です。

受けの勇一さんはとても真っ直ぐで純粋で他人を放って置けないタイプ。そしてほだされ受け。とっても好みです。
そして攻めの陵さんはイケメンで過去にトラウマがあり闇を抱えるギャップ萌え男性です。最初と中盤と終盤でまったくイメージが変わります。オラオラ系かと思いきやヤキモチやきで可愛い男性。ギャップ萌えな私にはどストライクでした。
ストーリーも素敵でしたが何よりキャラが光っていました。甥っ子ちゃんもカワイイ。


それから、良い意味で表紙と中の絵の印象が違いました。表紙はふんわりした印象ですが漫画は線がはっきり描かれておりとても綺麗でした。陵さんの切れ長のクールな目に惹かれること間違いなしです。
少しでも購入を迷っていらっしゃる方全員に手に取って頂きたいなと感じる本当に素敵な作品でした(*^^*)

17

愛のお話。

優しい雰囲気の表紙どおり、素敵なお話でした。

事故で両親と姉を亡くした勇一が、引き取った姉の子・歩と共に越してきて出会ったのが総菜屋の陵。
この二人が好きあっていくだけのお話ではなく、歩という存在が物語の肝です。

歩への愛も愛情を持ちながら、責任感、無力感とやるせなさ感…複雑な想いを抱えながら一生懸命な勇一。
そんな勇一の姿を歩はちゃんと見てるんですよ…。
勇一のためを思ってやっていた事に泣けました(;ω;)
陵の勇一への愛情は、子が親に求める愛に似たところがあるかもしれません。
勇一が歩に向ける愛が自分も欲しい、でも歩から勇一は奪えない…という陵の葛藤が苦しかったです。

陵の心の機微などとても丁寧に描かれているのですが、バイの陵はともかく勇一の元々のセクシャリティは?とか、陵が暴行された所は東京だと思うがそのまま勇一のところまで来たのか?とか、細かいどうでも良いような事が気になってしまいました。
重箱の隅をつつくような感じで申し訳ない(;´д`)

今作は電子で購入したのですが、電子特典(5P漫画)に萌えました…(〃ω〃)
三年後のお話で、歩が陵の料理手伝いをしてます。
陵に勇一から「歩の作る卵焼きは1、2位を争う美味さ」と言われたと話す歩。
勇一が起きてきて歩が出かけたあと、陵は勇一を後ろから抱きしめ、歩と自分どちらが1番かを聞く…という内容。
ふわぁー!陵が可愛い!!!
カバー下の、勇一を挟んで川の字になって寝てライバル視しあう陵と歩の様子にも萌えましたが、三年後も変わってない様子にまたキュンキュン(*´Д`*)
勇一の包容力も変わらずで、皆幸せなんだろうな〜。
5Pですが満足度の高いお話でした。

7

恋愛というよりは家族愛に近いのかな

文句なしの神作品!泣けました!( ω-、)
南月先生の作品は本当に温かいお話ばかりで、大好きです。

過去に母親を病気で亡くし、薄情な叔父に引き取られ愛に飢えて育ったせいで、他人が大事にしている誰かを奪うような生き方をしてきた陵。事故で亡くなった姉に代わり、慣れない子育てに戸惑いながら甥の歩を育てる勇一。
自分の叔父と違い、愛情を持って歩を育てる勇一に牽かれながらも、これまでに自分がしてきたように歩から勇一を奪うことはできないと葛藤する陵が切なかったです。勇一を欲しいと思う陵の気持ちも、これまで傷つき続けてきた陵に寄り添いたいと思う勇一の気持ちも、恋愛というよりは家族愛に近いのかもしれませんが、歩を含めた三人の関係をすごくいいなと思えました。

カバー裏のショート漫画が三人の関係を端的に表してて笑えました。陵は、愛情を求めてるという点では、歩よりもちょっと大きい小学生くらいですね(笑)。

19

愛と再生の物語。

家族愛絡みにはめっぽう弱いので泣きました。
1度ならず読み返すたびに泣けて都度ティッシュが必要になる。

帯に書かれている【愛と再生の物語】が沁みます。
7話かけて丁寧に描かれており本が分厚く読み応えあり!
ああ…すごく良かった…っ!!


受けと親を亡くした甥っ子が父子関係を築いていく過程で
攻めのトラウマも救われていく…、と展開する再生物語です。
恋愛というより無償の愛の深みを感じるお話に思いました。

登場人物は大人2人と子ども1人。
ですが、ストーリー内容は大人1人と子ども2人に感じる部分もありました。

幼少期のトラウマを抱え愛情不足のまま育ち、不安定さのある攻め。
母親を亡くして表情が消え、小さな体に寂しさを抱え込んだ甥っ子・歩。
受けはそんな2人に必死で愛を伝える。
寂しさが少しづつ解けていくのが伝わります。

歩の立ち位置が非常に良い。
空気を和ませる可愛い存在だけでなく大切なキーパーソンです。

攻めと歩の間にある空気は、作者さん曰く"魂の双子のような通じ合い"とされてます。
「受けの家族だから」という理由で仲良くしているのではなく、個々の人間として繋がりがキチンと描かれており、胸に刺さる場面もありました。

攻めには「愛とは奪うもの」という歪みがあります。
だから幸せそうな人を見ると自分も欲しくなる…。
受けに愛されてる歩が羨ましく、同じように受けに愛されたい、欲しい。と思ってしまいー。

でも歩は自分の幼い頃の境遇と既視感があり、奪っちゃダメだと苦しみます。
歩には幸せになってほしい、奪いたい、受けの愛が欲しい、でも奪えない。
愛を分け与える事が出来るという発想がないのが何とも切ないです…。

どこか常に影を落としているストーリー展開ですが、その度に暖かな言葉が沁みました。
受けのストレートな優しさは"キレイゴト"に思えるかもしれない。
けれど"キレイゴト"では人を愛せないし、相手には伝わらない。

幼少期のトラウマで愛が歪な攻めは、受けのストレートな優しさから逃げます。
けれど受けは諦めず、伝わるまで何度も強く言葉を口にし…。
もぉぉぉ…クライマックスでは涙ダパダパでした(´;ω;`)


萌え的な一押しは、
攻めが受けを押し倒した時の「嫌がらないで」がズキュンと。
縋るような表情で、ちいさな子どものようにも見えます。
元ホストで人を誑かす能力は抜群なのに、素の表情は子どもそのものでギャップにやられました。
不器用さが愛おしいわ…。

そして、最後の最後、カバー下を見てジーーンと(;ω;)
体格は攻めの方が大きいけれど、精神的にはこんな感じなんだろうな。
物語を象徴するようなイラストがとても良かったです。

26

「玉子焼き」が食べたくなる

作家買い。手に取るとわかるのですが、この作品、ちょっと厚いんですよ。ページ数が多いんですね。読み応えたっぷりな作品でした。

という事でレビューを。ネタバレ含んでします。ご注意を。






主人公はリーマン・勇一。
姉と両親を事故で一度に亡くした彼は、姉の子である歩を引き取り二人で生きていくことに。二人で海が見える街に越してきた、という所から物語はスタート。

越してきたその街で出会ったのは、総菜屋を営む陵。イケメンで、人たらしで、そして料理もおいしいという陵と仲良くなる勇一だが…。

という、既視感のある出だし。

母親を亡くし心を閉ざした歩と、歩のために家族を失った悲しみをこらえて懸命に子育てに奮闘する勇一。そんな二人を食事の面で、そして精神面でサポートするのが陵。

良くある話だなあ、と思いつつ読み進めましたが、この作品が他の作品と一線を画しているのは、心に傷を負っているのは陵も同じ、というところ。

視点は勇一、そして歩との暮らしが前面に出ているのでそちらがメインの話かと思いきや、実はこの作品の真の主人公は陵ではなかろうか。勇一と歩という二人の存在のおかげで、彼が孤独の闇から救出されるという話だったように思います。

陵の孤独と過酷な過去。
そして、それらのトラウマから生じたトラブル。
そういった過去の話が丁寧な描写で綴られている。そして、勇一と歩の存在のおかげで、その暗闇から抜け出せたことも。

二人が、少しずつ心を通わせ、唯一無二の存在になっていく。
その過程に激萌えしました。

そして、この作品にちょいちょいと出てくる「玉子焼き」。
歩が求める「玉子焼き」の意味するところに、思わず落涙しました。
玉子焼きを作ってくれる人がいて、食べてくれる人がいて。そこに存在する愛情のカタチに。

本編を通してずっとシリアスな空気が流れていますが、その分描き下ろしの甘々な二人にキュンキュンします。可愛いです。ほっこりです。

で。
読後はカバー下を読んでほしいです。
裏表紙の、勇一を取り合う歩と陵のバトルには爆笑してしまいました。

綺麗な絵柄で、丁寧な描写で描かれた、孤独な男たちが得た愛のお話。
めちゃめちゃ萌えました。

11

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