日常クライマックス

nichijo climax

日常クライマックス
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神142
  • 萌×246
  • 萌25
  • 中立5
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
19
得点
974
評価数
221
平均
4.4 / 5
神率
64.3%
著者
倫敦巴里子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
徳間書店
レーベル
Charaコミックス
発売日
価格
¥620(税抜)  
ISBN
9784199607332

あらすじ

「お前が約束を破ったから、もう別れる」高校時代に大恋愛のすえ駆け落ちしてから15年――
パートナーの日下から、突然別れを切り出された御厨。こんなに激しく愛し合って浮気もしてないのに、なぜなんだ!?
身に覚えのない「約束」に動揺する御厨だが、ある日、日下に秘密にしていたある事を思い出して!?

表題作日常クライマックス

御厨翼,32歳,会社員
日下優,32歳,翻訳家

その他の収録作品

  • ビッグマザー(描き下ろし)
  • カバー下:あとがき(描き下ろし)

レビュー投稿数19

日常クライマックス

​大恋愛のその先にあるのは、ただの日常。その日常が実はとんでもなくドラマチックなことを再確認させていただきました。倫敦巴里子先生のお話が大好きで、これは何回読んでも最高です。本当に好き。受けちゃんの可愛さや攻めくんの愛情深さ、よし美さんの優しさとかどれをとってもいい。すごく心に沁みます。どんなに好きでも一緒にいる時間が長くなると見たくないところが出てくるもので、けれどそれを丸ごと愛してくれる攻めくんの懐の深さにうっとりです。ほんとにいい男。受けちゃんの境遇とか、いきなり別れ話から始まる展開とか、穏やかじゃないのにこんなにも心温まるお話に仕上げられるのがホントにスゴイ。

0

物語のその後から始まるストーリー


冒頭が15年後から始まる珍しさ!
出会った頃の学生の頃の話が度々出てきますが、基本的には現在の32歳をメインに進みます。

学生時代に親にカミングアウトして駆け落ちした二人。
それから15年後経った今でもずっと隣にいる。

だけど変わったこともある。
あの頃のように若くはないし、美少年と呼ばれていたのに今やオッサン。
その変化を受け入れられず、変わってしまった自分を攻めがこのまま好きでいてくれるのかと悩む受けの心境がとても切なかったです。

二人とも落ち着いているし、悩みも恋愛も大人です。
なので、青春系の学生BLとは違い、やはりグッと来るものがありました。

老後を見据え、互いを尊重できるからこそ同性の問題に思い悩む受け。
対する攻めがとても明るいのが救われました。
いつだって受け一筋で、受けの事をちゃんと考えている本当にいい子。

全ての事情を知っている大家さんが、また良かったです。

15年も連れ添った熟年夫婦なこともあり、私が普段読んでいる激しい愛といったものはなかったのですが、これもこれでありだなぁ~と思えました。

0

ややこしく拗れた恋人を包容する御厨君が素敵

あとがきを読んで(*_*; この作品は編集さんと「耽美な作品」でプロットを組んだのだそう。

始まりは、悲しみの余韻を醸すやや耽美風。
でも日下くんの義父と御厨くんが約束した「笑わせて優を幸せにしてやってほしい」の場面の後、すっかりギャグになっている。
駆け落ちした二人と親、色々な人との15年分の交流録。駆け落ち後は、大家さんが親代わり。良い人間関係に恵まれた二人の32才までの回顧録。

32才。突然「約束を破ったから別れる」と言われた御厨さん。
御厨くんが日下の義父と会っていたことに、義父の死後に相続手続きで日下が気づく。その隠し事のお仕置きが別れ宣言。

必要以上に日下君は約束事にこだわる人・・御厨君への劣等感と嫉妬がこじらせている。
日下君は「美少年」だった。「美少年」を捨てる為にタバコを吸い、言葉使いを悪くしたり、御厨君の気持ちを試す、ややこしい人。
養父を捨てた日下君には、御厨君しかいない。御厨君の心が離れる事を恐れている。
・・・御厨君が容姿だけで惚れた訳じゃないのに、不安な日下君。「年を経ても捨てないで」と直球を投げたらいいのに、その勇気がない。

御厨君が日下君に、「生前の日下君への義父の気持ち」を伝えて、仲直り。
・・でも、義父存命中に日下君に伝えてあげて欲しかったな。

御厨君は、ヤヤコシイ日下君を丸ごと包容する思いやり深い人だった。
いつも笑わせてくれるパートナーがいるって、素晴らしい。

「三村と片桐のつれづれ」も付き合って15年をテーマにした作品。
作者は15年に拘りもってますねー。

0

拗らせを上回る包容力

AIソムリエさんに勧められて。
読み終わって表紙を見返すと笑ってしまうくらい非日常でさらにきゅんときます。
初読み作家様でした。
背景も描き文字も含め、松苗あけみさんとか吉野朔実さんとか吉村明美さんとか(バラバラですが私の中では同じ枠な)往年のぶ〜け的タッチで、最初のページから「ああ絶対漫画面白い絵だ…」とどきどきしました。
物語が、展開も笑いも涙もえろも隅から隅まで濃かったです。

日下がかなり拗らせてることがどんどんわかってくると同時に、振り回されてるようでいてそんな日下をまるごと包み込んでる御厨さんのカッコよさもどんどん伝わり…痺れました。

ギャグテイストに乗せつつ、15年かけてパートナーを試してしまう日下さんが…たくさんの背景を背負っているにしても哀しい…。
自分に夢中で求めてる御厨の雄な顔をオフィスで見せつけるアレ、自分の使い方を知ってる美少年の性根にぞくぞく。
マウントし返すところは、やっぱり好きです。
モテるパートナーを持って15年、当てつけられ慣れた拗れの反動はすごくてよかったです、が、
モブの側にやや違和感。彼氏だと公言されてる相手に、ただの部下が、マウント取る?家まで押しかけてわざわざ牽制…インスタとかで匂わせる不倫相手てこんな感じ?とかあの女子の上メセ行動は少し疑問でした。

でもでもあんなにキラキラになった日下を、「なんか今日雰囲気違うね?」てすごーく遅れて気づく御厨さんが良くて…!!同じ角度に首傾げてるあの小さなコマがいちばん好きです。めちゃくちゃ何気ないデフォルメコマに、御厨さんは日下の存在が好きで、衰えも何もビジュアルで日下を見てないってことが溢れてて。
なのに飽きられてるかなあといつまでも不安を拗らせてる日下が、自分の見た目で選ばれてると思いたくないために試してるのが苦しい…!もっと信じて…!御厨さん頑張れ…!

それから。つい最近、別のオジさん話で年齢について某国民的アイドルで比較したところだったので、「アイドルとリーマン並べんなよ図々しいな」てやり取りの場面は個人的にタイムリー過ぎてツボでした。
うん、でも、わかりやすいから引き合いに出すよ!てww
このお話ではそこまで爺扱いはしてなかったけれど、15年連れ添うて意味では「熟年夫婦のような」は正しいと思うけど、年齢的に熟年てわけではないと思うのですが、30超えるとBL界ではオヤジ属性つくのですね。
ひょっとしてアラフィフな「何食べ」とか、お爺ちゃんLOVEに分類されるのかな…。厳しい。

さらに、駆け落ちと学歴と現職とのギャップなどアレ、て思う点は置いといても、読んでよかった作品でした。
爆笑しながらのベッドはとても胸に沁みて、何の事件がなくても、二人のこれからも時々眺めたいなあと思いました。

AIソムリエさんの精度のためにレビュー始めてますが好みに近づいてきた気がします。

1

テーマは元耽美

◾︎御厨翼(みくりや 会社員)×日下優(翻訳家)
この作品大好きなんだけどそれと同じぐらい嫌いなことがありまして。
日下が17歳から15年付き合って、同棲している御厨に「別れよう」というところからストーリーが始まります。日下も御厨と別れようとは思っていないのに、この最強のフレーズを使うんです。「別れる」と「妊娠した」は本気じゃないと使ってはいけないフレーズだと自分は思っているので、日下のこのやり方が嫌いです。日下と御厨ではこれは本気ではないと分かりあっているからいいんですけど。

そこを度外視すれば萌えだらけの作品です。ここまで嫌いなところを書いておいて神を付けてる時点でお察しかと思いますが、大好きです。もともと恋に落ちるまで、より恋に落ちた後の話が好きなので、熟年夫婦CPいいですね〜
17歳で駆け落ち、そこからかなりいい働き方が出来ているっていうのは少々無理があると思いますが、いいストーリーとキャラクターです。
皆さまのレビューにも沢山ある日下の「敵じゃねえんだよ」…最高

※電子書籍 カバー裏あとがき有り

1

ただただ愛してるからこその

いいお話だなー、まるで熟年カップルのようだけどいつまでもお互いに愛情深くてラブラブで。

気になるのが17歳で手を取り合って逃げてきたのに片や年収1000万の営業、片やドイツ語もできる翻訳家。
駆け落ちの後どうやって生活してきたのか非常に気になります。

別れ話からスタートしますが御厨の優しい隠し事と嘘を日下は見抜いていたようですね。なのに別れ話を持ち出してまで明らかにしたかったんでしょうか。

御厨が日下の義父に頼まれたように毎日日下を笑わせて幸せに暮らしてたのに。

最後は隠し事があってもいいと日下が言い出し義父の秘密も知っていた事がわかります。

みんな人情深くて優しくて、でも苦しんで。

過去の回想もジーンと来るものばかりです。

御厨に別れ話を持ち出しエッチを拒んだ日下が途中まで共感できませんでしたが、彼にも本当の両親と義父の関係や自分の同性愛者なことなど色々あって複雑で(容姿のことや御厨狙いの女性との嫉妬なども)、でも御厨と一緒にいられるなら何でもいいと思ってたんですね。

なんかまとまりませんが日下もいい人なんですが、拗らせた所やクールな所がどうも最後まで萌えられませんでした。

0

あふれる愛情に萌えが滾る

倫敦さんは作家買いする作家さまなのですが、なんとなく手に取ってなかった作品。先日本屋さんでお見掛けして、そういえばずっとランキングに載ってたなあ、と思い出して購入してみました。

ヤバい。
すっごい良かった…。
何で今まで読まなかったんだろう。

読んでいて、ところどころ引っかかりを覚えるところは多々ありました。

17歳で駆け落ちするって、無理があるな。とか。
視点が御厨と日下で交互に描かれているために、一瞬どちら視点なのかわからなかったり。
過去と現在の描写が入り混じっているために、ストーリーが取っ散らかってる印象もあったり。

けれど、それらをはるかに凌駕する彼らの相手を想う恋心にギュンと萌えが滾りました。

日下が御厨に別れを告げた理由。
日下を心から愛しているのに勃たなくなってしまった御厨の心理。
そして、深すぎる愛情を御厨に対して抱いている日下の想い。

そういったものを軸に、二人の過去や想いを上手に描いていく展開の仕方はさすが倫敦さんといったところか。設定としてはシリアスに分類されると思うのですが、倫敦さんらしいギャグが盛り込まれていて、切なさと笑いのバランスが絶妙。

日下のお得意のセリフの「なんでもいい」。
この「なんでもいい」「どっちでもいい」にこめられた彼の想いが切なく、そして胸に迫ってくる。

何をするか、何を選択するか、ではなく、「誰と」するか、が彼にとって一番大切なことだったんじゃないかな、って。

「耽美」をテーマにしたかったとのことですが、個人的には「愛」がテーマだったように思います。

日下と御厨の間に流れる恋心。
日下の養父が、日下に向けた愛情。
よし美さんの二人に抱く母心。
どれも素晴らしく良かった。

特に日下の養父さん。
彼の過去の話をぜひとも読んでみたい。
日下のお父さんに対するひたむきな恋心と、日下に向けた親としての愛情。
絶対萌えると思うんだ。
倫敦先生、ぜひともスピンオフを!

倫敦さん作品はほぼほぼ読んでると思いますが、この作品が一番好きかも。
とにもかくにも、最高な神作品でした。

2

32歳も17歳もイイ(笑)!

オジサマ大好きな私の唯一の地雷が、お目めパッチリで可愛さの残るオジサマ。元々可愛い絵柄がちょっと苦手な私としては設定はすごくひかれるけど微妙かなぁ~と躊躇していたのですが、二人の誘うような表紙に負けて購入。誘惑に負けて、欲望のままに突進して大正解、とっても面白かったです!

倫敦巴里子さんは初読みだったのですが、話運びがとても面白くてメチャクチャはまってしまいました(笑)
32歳になってもう若さだけでは乗り切れなくなった二人が、別れ話をきっかけに15年間を振り返りながら話は展開していくのですが、寝起きにちょっと変なニオイがしたり、肌の劣化やヒゲの濃さが気になる32歳の安定した「現在」と、15年前のキラキラした美少年二人が淡い恋心を交わしていくきゅんきゅんする「17歳」の両方を楽しめてお得感満載(笑)

さらに現在と過去を対比したり、回想したりしながら話は進んでいくのですが、日常のひとコマを切り取ったような場面でさえ甘酸っぱさがいっぱいに広がったかと思えば、計算ずくの腹黒~い話があったりと、小さなエピソードでさえ1つ1つがしっかり練られ、積み上げられて、シリアスな話になりそうなところもコメディタッチで軽くいなしてみたり、さらにえっと驚くような展開が待っていたり、可愛い顔してボディはなかなか男前だったりと(笑)一冊の本なのに何冊も読んだような読後感が得られる面白さがありました!

そして何より主人公の二人がメチャクチャいい〰️っ。
攻めの御厨は普段はいつもふざけたことばかり言っているお調子者のようでいて、本当は中身もすごい男前(泣)
一方の日下は美少年だったが故に容姿の衰えや、女性も愛せる御厨の心変わりを常に不安に感じながらもそれを口に出さずに、自らを貶めることで御厨の気持ちを試しているような不器用さん。こんな二人が15年間にお互いのためと思って隠してきたり、遠慮したりしてきた過去を精算して、さらに惚れ直しちゃってる姿はもうたまらんの一言につきます。

回想シーンも格別で、アパートの一室で一組の布団に身を寄せ合って、次の次の約束をして幸せそうにキスする17歳には、あまりの萌えで爆発しそうだし、男性としての身体を確認してもなお日下に想いをぶつけるシーンは悶え死にそうだし、17歳は萌えシーンが多すぎてどこをとってもばくばくでした(笑)
まっ、32歳ともなるとそんなウブなお子ちゃまでもスケスケランジェリーや裸エプロン、褌や、紐みたいな服も彼のためなら着ちゃたりする訳ですよ(笑)

ただ…1つ気になるのは17歳で駈け落ちってどうなんだろう。たぶん高校二年生か、もしくは早生まれで三年生。学校は?進学は?年収1000万も稼げる会社にはどう就職したのとか、保証人なしで収入も安定していないのに家は借りれるの?そもそもお金は?とか疑問に思っちゃ…いけないんですよね(笑)

4

あぁ、面白かった!

なんて読み応えがある一冊!
設定も素晴らしいし、笑いながらシリアスなお話です。

32才の2人が、15才の時に駆け落ちして、現在おっさん。15才の2人は美少年なんです!でも、今はおっさん。二回言いました私。
32って、おっさん?!

神評価にしました。
私は、学生とか若い子のお話がキュンキュンくるんです。
だから、趣味ではないのですが、そんな評価は付けたくないんです!
2人がお互いに隠していたことや、同じくらい好き合って一生を添い遂げたいと思っているところが、ッズン!ときました。男の人同士の熟年カップルの大変さってあるんだなぁとか、今までBL読んできて、初めての感覚でした。
そんなわけで、オヤジスキーな方には、たまらないんだろうなぁと思います。

3

テーマが素晴らしい、に尽きる

 新しい切り口だなぁと思いました。「おじさん」受けでも「美青年」受けでもなく、「元美少年のおじさん」受け(攻めとは同級生ですが、攻めの見た目の変化についてはあまり触れられていません)。おじさん受けなら端から見た目の良さを求めてないし、美青年受けなら年齢を重ねても綺麗なまま描かれる作品が多いと思うんです。でも「元美少年」となると、過去の綺麗で整った顔立ちから、徐々に肌の質も変わり色々と老いを感じさせる部分が増えてくるわけです。それが切ないというか、元が綺麗だった分、劣化に対しての周りの失望が余計に辛く感じてしまいますよね。もちろん全ての作品においてではないですがBL作品で暗黙の了解となっていることが多い、「受けの外見が良い」ことを崩しても恋愛は成り立つのか?というある意味究極のテーマに切り込んでいるんじゃないかと思いました。

 受けの日下は攻めの御厨が自分の見た目だけを好きになったのならいつ女に走ってもおかしくないという考えから、徐々に喫煙し出したり言葉遣いを下品にしたりして自分の価値を下げることで相手の気持ちを確かめるという実験まがいのことをしてきました。それでも御厨の熱量は全く変わらない。それが単純に描かれているわけではなく、御厨が本当に日下を心から愛していていつまでも可愛いと思っているんだなぁというのがしっかり伝わってくる描き方でした。日下の義父と御厨の関係も、とにかく彼の誠実さが分かる話になっていました。きっと日下の大事な人であり、また日下を大事に想ってくれている人だったからこそ、御厨はそこにちゃんと向き合って返したいと思ったんだろうな、と。

 日下が御厨の会社に来るシーンは大好きです。いくらおじさんになったとは言え、そこはやはり元美少年。しっかりセットすればいくらでも周囲の目を引くほどの爽やかイケメンになれるんですね。でも、周りがざわつくほどなのに、御厨が日下のいつもとの違いに気付くのは少し遅いんです。それってつまり、普段のザおじさんの格好の時でも、御厨の目には日下が高校時代と遜色なく映っているってことなんだろうなぁ、なんて思いました。当時と見た目が変わろうが変わらまいが、そんなことは御厨には大した問題ではないんですよね。愛って本当に素晴らしいな、と改めて感じた作品でした。

5

一番大切なものって見えない。

熟練カップルの物語を、こんなにドラマティックに息つく暇もないほど一気に読ませるのは本当にすごい。

自分の境遇を どこか意味深で特殊なものだと気付いていた日下と、彼が自分と駆け落ちしたせいで家族と引き離してしまったことに罪悪感を感じていた御厨。
10年先の未来は想像出来ても、15年後の自分たちがどうなっているかは わからなかった…二人が同棲を始めたのは17歳。
あれから彼らが積み重ねてきた、15年という むせかえるような密度の濃い日常。

何の約束もせずに眠る夜は、明日を迎えるのが少しだけ怖い。マウントを取りに来る女性部下なんかより ずっと厄介で、なのに目に見えない不確かなものに二人の日々が脅かされぬよう・・・
見える敵 見えない敵、常に何かと戦い続けているような鋼のメンタルに隠された、ガラスのハートが吐き出すモノローグに 私の心は揺さぶられっぱなしでした。
一見強固に感じられるものの裏にある どうしようもない脆さ、そこの描かれ方が人間くさくて、あたたかくて優しくて。

『好き』と言えば『俺も』と言ってくれる人と同じ時を刻んでいけるのは 奇跡の連続なんだと、教えてくれるお話だったなぁ。
御厨と日下、お互いの想いが縦に横に交差して 二人だけの揺るぎない形が出来あがっていく過程を見せつけられることに、いつしか快感をおぼえていることも(笑)
日常とクライマックス。結びつけるのに違和感のある言葉だけど、読み終わった今もこのタイトルの意味する本当のところは理解できていない気もするけれど、二人の日々を表すのに この上なくピッタリな言葉だと思うのです。

落ち着いて考えたら、一冊まるまるかけて壮大なノロケを聞かされたような気がしないでもない・・・
でも、今とても幸せな気分だから これでいいです!

4

泣きながら笑顔になれる、そんな作品

久々に漫画で号泣しました!それも憐憫の涙ではなく、温かくて幸せな涙で、文句なしの神作品に認定しました。2017年の一押し作品の中の一つです。

初恋の勢いのまま駆け落ちして、ピッタリ合わさるように形を変えながら生きてきた二人。
二人で決めた、隠し事をしないという約束と、ずっと笑顔でいてほしいから隠したこと。
現実には、男同士だけじゃなく男女のカップルでも、こんなに綺麗事だけじゃないと思いますが、こんなに綺麗な恋愛をし続けているカップルがいてくれたらいいな、と思いました。

泣きながら笑顔になれる、そんな作品です。

6

性癖どストライク

私はこんなの求めてたっていう作品に巡り会えました………こちらのサイトで知り合った方に教えて頂いたんですが、もうほんま感謝…………倫敦先生の作品は初めてです、過去作絶対読むわ…
付き合ったばかりのカップルも良いんですけど、熟年夫婦ばりにお互いの考えてる事が分かるぐらい長いこと付き合ってて、セックスなんてめっぽうしなくなったけど笑い合いながら喧嘩しながらも愛し合ってるコメディチックな仲睦まじい二人を眺めるのが自分の夢だったんです。。。
こちらは、その願望をそのままど直球に叶えてくれた様な作品でした。

冬の雪が積もる夜に駆け落ちの様に、反対する親から無一文で逃げるこてこてにドラマチックな冒頭の十代の回想からスッと物語に入り込めて、そしたらいきなり32歳の現実的なおっさんになった二人の日常生活が、危機に陥る別れ話が出てきて、攻めちゃん(受けちゃん大好き天然イケメンリーマンってだけでもご飯三杯いけます)がてんやわんやする展開が、もう既に最高。
そして、全部書いちゃうと長くなるし読まなくてもいっかてなるんで中略するんですが、色々あって別れ話は無くなってラブラブに戻るんですが、二人がお互いの事を心から愛してるんだなって読み終えた時には涙無しには見られないぐらい良い物語でした。
もうなんかね、読んだ人と一時間ぐらい語れるぐらいにドはまりしたわって作品です。読んで下さい。

6

倫敦巴里子先生の作品の中でも特に好きです!

最初のシーンでは二人の美少年がどうなることやらと思いましたがさすが倫敦巴里子先生!笑笑
熟年夫婦感ある三村と片桐が好きな私にはぴったりの作品でした!
少しシリアスな場面もありましたが、基本はラブラブでお互いスキなんだなあと感じる所が多々あり、安心して読み進められました!

2人を陰ながら見守っている大家のよし美さん、私はとても好きです!相談にも乗ってくれるし、最後の最後、本当にええ人や…と思いました。

個人的に倫敦先生の作品の中でトップ3に入るほど好きな物語です。読後、あったかい飲み物を飲んだかのような気持ちになりました^ ^

8

愛☆

「元耽美」に笑ったwww
見目麗しい美少年。
だったのは過去の話。
今や少々くたびれた中年間近なお年頃。
大恋愛の末の駆け落ちから15年。
熟年カップルの日常と愛の物語。

どんなにくたびれてても、オッサンになっても、
愛の言葉を返してくれなくても
愛が止まらない攻が個人的にはツボでした(n*´ω`*n)
おじいちゃんになってもイチャイチャが止まらんカップルでいていただきたい。

幼い二人だったからこそのエピソードと
大人になった今だからのエピソード
ちょっとアホでエロでまじめ目な緩急も面白い一冊でした。

元耽美なんていいますが
全然いまでも行けますよwお二人さん

6

約束と秘密

長年付き合っているCPのお話なので『三村と片桐』に近いものがあります。
今作の方がシリアスなところがありますがギャグもあり、何より一冊丸ごと表題作だったので読み応えがありました。
先に詳しくレビューされてる方がいらっしゃいますので、思いつくままの感想で失礼します。

見た目が良いためモテるが鈍感でデリカシーが無いところがあるけど、思いやりがあり愛情深い御厨が良い男すぎです…!
日下義父の、日下への不器用な愛情と御厨の『隠し事』に涙ぐみそうになりました(;ω;)
そんな話があるかと思いきやバカバカしいやりとりがあったりと、その落差がまた良かったです。

すっごく好きだったシーンが、日下が御厨の会社で御厨を狙う女に「敵じゃねぇんだよ」というシーン。
自分らのHを見せつけてのその台詞…ゾクゾクしました!!
あとア●ル師匠にも吹いた…(笑)

今後も度々読み返すであろう、素敵な作品でした。

11

“駆け落ちの15年後” こんなBL読みたかった!

表紙が目に止まってあらすじを読んだら、まぁなんて惹かれる設定なんでしょう!
「元耽美」をテーマに、“全寮制のハイスクールで出逢い、ゲーテの素晴らしさについて語り合ううちに愛が芽生え、親の反対を押し切って雪降る夜に身一つで駆け落ちした美少年たち”の【15年後の日常】を描く。出来上がったものはオッサン2人のドタバタラブコメディ。
この、倫敦巴里子さんのセンスがもう最高!
あとがきでは結局耽美要素はどっかに行ってただのオッサンBLになったんじゃ…と仰っていますが、いえいえそんなことないです!
私、この作家様には「腹ペコ蜘蛛と長い階段」で出会っていますが、仰々しくなく耽美を描くのが上手いなぁと思います。

ドタバタラブコメディなんて先に書きましたが、もちろんただのラブコメでは終わりません。
がっつり読ませてくれます!
駆け落ちしたカップルだからこその精神的負債のようなもの、わだかまりが心の奥にずっと残ったままになっていて、それらに32歳になった2人が改めてじっくりと向き合っていく、というストーリー。
「別れよう」なんてセリフから始まりますが、別れるつもりなんてさらさらない2人の物語ですから安心して読み進めて大丈夫ですよ。
熟年カップルらしい、相手の過去も未来も人生丸ごと思いやるような深い愛情の物語にホロリとさせられます。

なんか上手く良さを文章で伝えきれないんですが、「こんなBL読みたかった!」って読み終わった後に抱きしめたくなるようなお話でした。
とても良かったです。

ところでCharaコミックスって電子版も白抜き修正はされないはずなんですけど、これは何故か白いです。紙もこうなのかしら?
エロエロBLの白抜きはもうしょうがないか〜って近頃は諦め気味で読んでるんですけど、こういうストーリー重視のががっつり白いとちょっと悲しい…

【電子】ひかりTVブック版:修正白抜き、カバー下○、裏表紙×、電子限定特典(4p)付き

14

最高!としか言えない。

倫敦巴里子さんの「三村と片桐」大好きなんですが、それを超えました。私の中でこの作品を勝手に代表作に認定しちゃったくらい、それくらい最高でした。(もちろん「三村と片桐」も相変わらず大好きです)
もう言うことない。とにかく「三村と片桐」好きな方は読んで!絶対に絶対にぜっっったいに満足します。もちろん読んでない方もみんな読んでほしい。この興奮どうしてくれよう。

御厨と日下は17歳の時に二人の仲を家に反対され、何もかも捨てて駆け落ちしたという熱い過去を持つカップル。
32歳となった今は、なんともゆる〜く同棲中、気づいたら1週間まともに会話もしていない二人。
そんなある日、日下から突然別れを切り出されます。たじろぐ御厨に「お前が約束をやぶったから、理由を突き止めて反省して土下座したら別れ話は撤回してやる」と突きつける日下。
二人の「約束」というのは、一切の隠し事をせずに全てを打ち明けるというものなんだけど、御厨はどうしても日下に打ち明けることができない秘密を抱えています。その秘密を抱えているせいで心因性EDになってしまい…。

家の問題というシリアスになりがちなテーマを重くなりすぎず、ED回復のためのプレイなどのエロギャグも入れながら絶妙なバランスで進むおかげで、笑いと涙がいい塩梅で混じってます。

攻めの御厨が昔も今もちっとも変わらずに日下を愛し続けていて、愛がダダ漏れの様子が私はとにかく好きです。最高です。そして日下の義父との約束を一心に守り続けていることがわかるラストの爆笑しながらのセックスシーンがじんわり来ます。
日下も別れを突きつけておきながらも、実は誰にも御厨を渡すつもりなんかなくて御厨の会社の女を蹴散らすところなんて、元美少年の凄みが壮絶に発揮されてて何ともゾクゾクします。ブラボー!

あとがきで今回のテーマは「元耽美」とありましたが、17歳の二人は全寮制学校の制服も麗しい美少年でそれが時折回想シーンで登場するんだけどこれが何ともいいのです。爪の先までお互い恋をしているというのが伝わって来る初々しい二人の様子が。
32歳のおっさんになりかけの日常BLと17歳の頃のお耽美BL、これが入り混じった構成となってるのでどちらの世界も楽しめて実においしい一冊でした。

電子限定の書き下ろしは日下家のお手伝いさん、アキさんの回顧録。
御厨がこっそり日下の義父と電話連絡を取り合っているシーン。日下の様子を聞いて喜ぶ義父だったのに、おばかな御厨は勢いに乗って二人の性生活の悩みまで暴露しちゃって聞いた旦那様がショックを受けた…という回想を久しぶりに会ったアキさんから聞かされて怒りに震える日下と青ざめる御厨というお話でした。

そしていつも思うんですけど、倫敦巴里子さんって本当に達筆ですよね。あとがきとかそういうところの字がお習字の先生か?!ってくらい美しい。

17

相変わらずの、素晴らしいセンス(*´ω`*)

コメディとシリアスのバランス感覚が絶妙と申しましょうか。シリアスで重くはなり過ぎず、コメディで笑いに走りすぎずと言った、絶妙なバランスが相変わらず素晴らしいと思います!

内容ですが、17才で大恋愛をして駆け落ちした御厨と日下。
15年が経ち、すっかり安定した感がある日々の中、日下から急に別れを切り出されー・・・というものです。

こちらの作品、「三村と片桐」がお好きな方なら気に入るんじゃないかと思います。かく言う私も大好きなのですが。
カップルが出来上がるまでじゃなく、既に出来上がっていて熟年夫婦みたいになっている二人が、長く付き合った故の危機を乗り越えて行くお話なんですね。年をとり、不安な気持ちから目を反らせていた問題にも向き合わなくてはならなくなりと言った感じで。

また、クールな日下の生い立ちによる臆病な部分や、そんな日下が好きすぎて頭がお花畑状態だと思っていた御厨の、ずっと秘密にしていた深い想い。切なかったり、思わずホロリとさせられます。

しかーし、ここに絶妙なタイミングでギャグも盛り込まれていて、シリアスにはなり過ぎない。個人的に、あまりに切ないお話は読んだ後に引きずってしまうので、こうゆう作風がホントにありがたいです。

萌え所なのですが、こなれた感のある二人の同居生活。とにかく御厨が日下の事が大好きで、惜しみなく「好き」と言う気持ちを伝えます。と言うか、伝えなくてもダダ漏れです。彼の単純かと思えば複雑、かと思うとやっぱりごくごくシンプルな思考には、日下もだいぶ救われてるんじゃないでしょうか。まぁ、根っこの部分が「日下、大好き」と、ごくごくシンプルなんでしょうが。

あと、エッチが結構濃厚。御厨が「秘密」を持ち続ける心理的負担からEDになったりはしますが、それでも1話1エッチです。長年付き合ってるカップル故の、いい意味での恥じらいの無さだったり積極性だったりにも萌えました。
まぁ、一番萌えたエッチは、実は日下の「おしおき」編ですが。いくらなんでも、その状態で寸止めは御厨がかわいそうだよ~。と、思いつつもついニマニマしてしまいました。

ラストがとても素敵で、日下がゲラゲラ笑っているんですが、それに思わずホロリと来ます。そのシーンに入っているモノローグが優しくて。
すごくいいお話でした。

12

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