蟷螂の檻 1

tourou no ori

螳螂的牢笼

蟷螂の檻 1
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神197
  • 萌×257
  • 萌34
  • 中立26
  • しゅみじゃない15

--

レビュー数
33
得点
1341
評価数
329
平均
4.2 / 5
神率
59.9%
著者
彩景でりこ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE COMICS
シリーズ
蟷螂の檻
発売日
価格
¥650(税抜)  
ISBN
9784396783990

あらすじ

孤独な御曹司に植え付けられた快楽。地方名家・當間家の跡取りとして厳しく育てられてきた育郎(いくろう)は、座敷牢に匿われる妾腹の兄・蘭蔵(らんぞう)に父の関心のすべてを奪われていた。辛くとも気丈に振舞う育郎だったが、そのそばには、常に一人の男がいた。典彦(のりひこ)。育郎が幼い頃から仕える年上の使用人である。典彦は、孤独な育郎を蛇のように愛でた。深い口づけを教え、性処理とうそぶきながら股を開かせ、その長い指で尻を抉った。そうして育郎に快楽の種を植え付け体をいやらしく変えていった。そして数年後、事態は一変する。當間家当主が死に、育郎が次代を継ぐ時が来て――!?

表題作蟷螂の檻 1

當間家に代々仕える使用人
若き當間家当主

同時収録作品蟷螂の檻

蘭蔵の付き人のハーフの青年
妾腹の育郎の兄

その他の収録作品

  • 第1話 當間蘭蔵
  • 第2話 當間育郎
  • 第3話 深山典彦
  • 第4話 西浦健一
  • 第5話 育郎と典彦
  • 描き下ろし 触れる

レビュー投稿数33

ドロドロの、シリアスもの

作家買いです。特典が欲しくてとらのあなさんで1・2巻まとめてポチったのだけれど、アニメイトさんのクリアファイルも欲しくて久々の複数買いをしてしまった…。
とらさんで購入した分はまだ届いていないので、とりあえずアニメイトさんで購入してきた1巻を読んでみました。

ネタバレしてます。苦手な方はご注意を。




やばい。すんごく面白い。
でりこさんはギャグテイストな作品も描かれますが、この作品はでりこさんらしいドシリアスもの。でりこさんの独特な絵柄と相まって、ドロッドロなお話です。


時代は昭和初期(だと思われる)。
地方の名家に生まれた育郎が主人公。

育郎の父親は育郎に構うことなく屋敷のとある部屋に入りびたり。その部屋に近づいてはいけないと言われ続けてきた育郎ですが、まだ子どもだった頃、偶然中を覗いてしまったことが。
そこで、父親がきれいな男の足元にかしずき、彼の足をなめているところを見てしまいます。
父親が、まるでカマキリに食べられてしまうようだ。
そういう感想を持った育郎ですが、彼が誰なのかも知らず育ちます。

育郎を産んだ母親は正妻さんですが、実は外に愛人がいて、その愛人が生んだ子が部屋に閉じ込められていた男・蘭蔵。育郎とは腹違いの兄。
夫を深く愛しすぎていた育郎の母親は、愛人と愛人の産んだ子の存在に耐え切れず精神を病んでしまい、それを理由に離縁され、そして孤独な死を迎えています。

時は過ぎ、当主が亡くなり、跡継ぎとして家を任されたのは育郎。
なのだけれど、父親は財産を蘭蔵に相続させると遺言に残しており育郎はお飾りの当主でしかない。
母親が死んだこと、そして父親の愛情を取られたことを恨み蘭蔵に辛辣な態度をとる育郎ですが、その育郎の孤独を埋めてきたのが古くから使用人として育郎に仕えてきた典彦で。

典彦は育郎に忠誠をちかっているようで、実は…。

というちょっと昔の昼ドラのようなストーリー。

従順な使用人の顔を持ちながらも、育郎を手のひらで転がし続ける典彦。
両親から愛されることなく育ち、心のバランスが危うい育郎。
育郎の腹違いの兄で、知的障害を持ち子どものような蘭蔵。
そして、家族から疎まれる蘭蔵を、自身も混血という境遇を持つために共鳴してしまう郵便局員の西浦くん。

出てくる登場人物たちがみんな個性的で、それでいて話に統一感がありストーリーに無理がない。

育郎の母親と典彦が関係を持ったのだとわかる表現が少しですがあったり(地雷の方はご注意を)、知的障害を持つ蘭蔵や混血の西浦くんを差別するような言葉や体罰があったり。
もしかしたら読み手を選ぶ作品かなと思いますが、個人的にはとてもツボでした。

1巻では典彦と育郎のセックスシーンはありません。
男同士で関係を持つ意味がない、と典彦が育郎に教え込んでいるため。そして、育郎自身が立派な当主にならねばならないという母親の呪縛に縛られているため。
けれど、典彦が育郎の身体を性的に追い詰めるシーンはある。身体は繋げないのに、指でいたぶる。
そのシーンがそれはそれは官能的。
育郎の、典彦への想いが透けて見えるためか。
典彦の、育郎へのいびつな感情がどこから来ているものかわからないためか。

西浦くん×蘭蔵の関係もすんごく気になります。

ああ、しまった。やっぱり2巻もまとめて買ってくるんだった。
と後悔しきり。

早く2巻を読みたいです。

24

神評価超えて殿堂入りさせたい

久しぶりにがっつり背徳感のある作品が読めた気がします。
彩景さんのシリアスは本当に好き。エロじゃなくて淫靡をうまく描いてくれる稀有な作家さんだなぁと思いました。
実力のある作家さんなので何を読んでもそれなりに面白いのですが、こういう題材はまず好みなうえに、こんなにがっぷり書いてくれる作家さん&出版社が少なくて(ニーズが少ないのでしょうか?)不満だったところに、キタコレです。昭和レトロダーク系とでもいいますか、匂い立つような空気が感じられます。
「秘め事」という言葉をこれほど如実に表現している作品も珍しいのではないでしょうか。こういう題材を書こうとして構築しきれていない作品が多い中、これは読んで間違いないと思います。
こういうレトロでドロドロなお話が好きな方には必見じゃないかな。
久々神評価できる作品です。

19

自己愛

気になって調べたら『チョコストロベリーバニラ』の作者さんでした。納得です。それぐらい面白かった。引き込まれた。そしてめちゃくちゃエロかった…。2巻までのネタバレ含みます。

結局人って一人では生きていけないんだな〜と思いました。両親の愛を得られなかった育郎は典彦にそれを求め、異国の血が混ざっているために周囲から疎まれてきた健一は同じく嫌われ者の蘭蔵を拠り所にする。育郎も健一も、愛情を欠いた人達でした。育郎は幼い頃に母親が死に、父親は兄にばかり関心を向け、結局後継として認められることもなく。健一はその見た目から結局どこに行っても受け入れられるとこはない(混血キャラはいつでもここが萌える。自分のルーツがわからない、どこに行っても余所者扱い、っていう)。周囲と違うことで弾かれた健一は特にわかり易い。自己愛のような。愛されなかった自分と同じ存在を愛することで自分を愛する。蘭蔵に自分との同一性を求めてる。育郎も同じ。育郎の場合は典彦が度々口にする「同じですよ」に影響するところがあるが…方向性は違えど、どちらかと言うと典彦の方がその傾向があるかも。典彦は育郎を周囲と違う自分の所まで堕として同じになる、って感じ。蟷螂の共生の話もあるし…。典彦は共に生きて、共に死ぬ、っていうずるずると依存しあった関係になりたいのかなあ。この人も大概暗いですね。
蘭蔵は魔性です。本人の自覚がないままに。体は大人だけど、中身が子供で、どこまでも無垢な所が人を惹きつけるのかもしれない。父しかり健一しかり、育郎もまた。

演出が細部にあるので繰り返して読んでほしいです。育郎の握った左の人差し指だとか、他にもたくさんあるので。
伏線というか、まだ触れられていないものもあるので、そこも楽しみです。お父さんの義足とか、「あの男」とか。2巻最終話の男は誰なのか。
3巻まで一年待たなければならないのがつらい……

13

ひたすら痛々しくうつくしい。

昭和の耽美、アングラ、浪漫等お好きなかたにはおすすめです。
ただ、知的障碍者が昭和初期頃にどのような扱いであったか、むかしの田舎の名家の跡継ぎがどんな立場であったか、などの知識の有無。
父から愛を受けられずに歪んでしまった主人公を悪ととるか哀れととるかで、
この作品の印象も随分変わって来ると思います。

育郎の”畏れ”は漠然とした記憶の靄の中に、檻の中に居た蘭造が己の父を誑かし愛までも奪った。
非力な兄のどこにそのような力があるかわからない。
知らず知らずのうちに自分も取り込まれ、餌食になるのではないかという不安。
だから振り払うように暴力をふるったり、詰ったりしてしまうのではないでしょうか。

誰もしあわせになれる要素がなく、とことん闇堕ちしてゆくばかりですが、
和装やら主従やら背徳やらが好きなかた、どっぷり嵌まって滾れるのではないでしょうか。
因みに私は昭●元●落●心●中が好きで、その登場人物の菊●古さんに主人公の育郎がソックリだったので
そこに萌えてジャケ買いしてしまいましたが個人的に大当たりでした。

古典文学やら団鬼六の美少年がお好きなかたにもおすすめします。

13

少しずつ毒に侵されていくような読み心地

色っぽい表紙と昭和アングラ感が漂う怪しい雰囲気に釣られて軽い気持ちで読み始めましたが、予想以上に引き込まれるストーリーだったので一気に2巻まで読み終えてしまいました。読み終えた後も作品の毒に当てられたようなクラクラとした余韻が残っています。本当におもしろい作品に出会えたと感動しました!

あらすじは今更なので省きますが、これはただの主従・下克上モノではないです。育郎の抱えるトラウマや孤独に寄り添うようにして、その実それを利用する形で育郎の体を調教し自分のものになるよう仕向けてきた典彦。2巻になって2人は一線を越えますが1巻では幼い育郎が徐々に典彦の毒牙にかかっていく様子が描写されています。無垢な少年だった育郎が秘密の快楽を知って淫靡さを帯びていく過程にゾクゾクしました。

堕ちていく育郎とは対照的に蘭蔵はいつまでも純真なままです。ですが、その頽廃的な魔性によって健一も育郎の父と同様絡みとられて行ってしまう。典彦×育郎に並行して語られていますがこの2人の行く末も非常に気になるところです!

長々とまとまりの無い文章になってしまいましたが、如何せんまだ謎が多い段階なのでこの時点では「エロい!」「すごい!」としか言いようがないです。2巻も読了したので後日レビューを書きたいと思います。
この先の展開にも大いに期待しています!勿論「神」評価で。

8

しなやかに開かれるその脚は、蟷螂の姿態に擬えて。

最新巻、現在4巻目を読了したので。おさらい読みです。
そうか。この1巻は幕開けで、実に巧みに登場人物を浮き上がらせていく。
昭和は戦後。旧家にあったかもしれない、江戸川乱歩や横溝正史のような陰鬱なトーンで描かれていく舞台。
先代当主が愛した白痴の子、蘭蔵。妻を顧みる事なく、その美しい子供に執着する当主。
苦しさのあまり狂って行く妻。両親に愛される事なく育つ息子、育郎。その愛情に飢えた無垢の心に忍び寄り、蟷螂に寄生する虫の様にへつらい意のままに貪り始める使用人、典彦。
當間家の家業を乗っ取らんが為、後継者の嫁にと差し出される娘、さち子。
当主亡き後、誰もが嫌がる白痴の子の世話係を任じられる事になる、混血の子、健一。
蒸し暑いこの夏の様に、鬱屈したこの世界の役者たちが揃う。それぞれの身内に暗い炎を燃やしながら。

白痴であるのに関わらず、先代当主が全ての財産を長兄、蘭蔵に遺すと遺言したことで、裏切られたと怒り、その鬱憤を蘭蔵にぶつける育郎。しかし彼は、精通をした頃から使用人の典彦に自身の躰を弄ばれて行く。縋れるのは典彦だけ。両親に愛されなかったこの子供は、典彦の愛撫に縋って、やっとの思いで生きている。育郎は恐ろしいのだ。いつか見た、父が蘭蔵の足元に平伏して、その脚の間に頭を下げていた事を。蟷螂が獲物を挟み込む様な、その淫靡な姿態を。
長らく座敷牢に閉ざされた其処が「蟷螂の檻」
今読み返しても、ゾクゾクする様な隠微な世界。ゾッとする様なシーンもあるので、決して美しいとは言い難くもあるんだけど。仄暗い耽美でもある。

典彦が寄せるそれは愛情とは言い難く。育郎が壊れていくところを見たいなどという歪な執着。
けれど、憤りに癇癪を起しこそすれ、育郎は素直で強い無垢な心を持っている。
堕ちていくのは典彦だけでいい。4巻まで読んで、私はそう願っている。

5

淫靡で禁忌に満ちた作品。

妖艶で淫靡な雰囲気が表紙からも漂ってきて、吸い寄せられるように買った1,2巻。新巻が出るにあたって読み返しましたが、やっぱりいいです。

時代設定が昭和初期ということもあって、異質なモノを排除しようとしたり、隠匿しようとする風潮が強く、現代物以上に禁忌に触れる感じがたまらなくそそられます。

日も差さない薄暗い座敷牢に幽閉された障碍のある異母兄・蘭蔵と彼を溺愛する父親の愛欲の日々、それを目撃した弟・育郎の蘭蔵に対するトラウマ、蘭蔵に対する怨念じみた母親の狂気と育郎に対する過剰なまでの跡継ぎとしての期待、性処理をすることで育郎の孤独につけ込む典彦の思惑。いろいろな負の要素が絡み合って、どんどん暗く重い世界へ引き込まれていきます。

読後感のよい作品とは言い難いですが、この淫靡さは格別。次がたまらなく読みたくなる作品です。

4

淫靡で耽美

ずっと気になってはいたものの、なぜかまだ読んでいなかった作品。
カバー装丁の美しさにどうしても惹かれてしまいます。
思わず手に取りたくなるようなレトロな耽美さを感じさせる美麗さでした。
on BLUE作品は内容も見事ながら、作品の雰囲気とぴったりの丁寧な装丁も見事だなと。


戦後の昭和を舞台に、歪んだ感情と歪さが入り乱れるドロドロとした愛憎劇が繰り広げられていく。
陰鬱としていて、耽美で、一見すると救いがなさそうなこの雰囲気はとても好みかもしれない。
作中の「ハリガネムシ」のように、まだ幼い純粋な育郎の内側にさり気なく入り込み、じわじわと寄生・浸食し、内側から壊そうとする典彦の歪んだ感情が見え隠れするのが恐ろしい。
宿主にされた虫は生殖機能を失うと言われているハリガネムシ。
育郎が恐れ、まるで蟷螂のようだと嫌悪している蘭蔵よりも、本当に恐ろしいのは蟷螂すらも殺してしまえるハリガネムシなのでは。
一貫して無表情・無感情に見える典彦の、育郎を見つめるじっとりと湿っぽい視線が何とも不穏。

ただ愛され、必要とされたいだけの育郎と、何もせずとも存在しているだけで良くも悪くも人の関心を全て奪っていく無邪気な白痴の異母兄。
幼いころは黒髪だった蘭蔵はなぜ白髪なのか?
本当に哀れなのは座敷牢に幽閉されていた蘭蔵なのか?果たして。
謎だらけの過去についてや、2人の対比が今後どうなるのか、西浦の登場によって4人の関係がどう変化するのかを楽しみにしつつ、次巻へ進みたいと思います。

4

小さい頃にトラウマだった作品

実はこの作品は私がBLに興味を持ち始めた頃に半分くらいまで読んでいました。記憶が曖昧な理由は、当時の私は、この作品の設定やどろどろな関係が理解出来ていなかったらしく母親が男の子(育郎)の頭をやばい表情で噛み付いているシーンがトラウマで怖い作品というだけの印象であったからです。(当時タイトルも表紙も覚えていなかった、、)しかし、最近、BL漫画を読みまくっていると彩景でりこ先生の「蟷螂の檻」の表紙に惹かれ、読んでみると、例のシーンにがあるじゃないですか!私が当時読んでいたのだ!と。なんでこんなに素敵な作品を最後まで読んでいなかったのか。そして、背徳感や時代や耽美という単語が似合うとても美しい作品だと感動しました。そして自分の感性が歳をとって変わっているのと違う意味で感動。この作品に出会わせてくれた神様、作家さまへの感謝を忘れず続きもじっくり読んでいきます!

4

暗くてじっとりねっとりエロい

エロいの読みたくなると定期的に読み返してしまいます。何度読んでもぞわぞわして大好きです。市川崑の金田一シリーズのような感じ、癖になってます。彩景先生の作品の中で一番好きです(他の作品も全部好き!)。坊ちゃんの色気が凄まじい、服着ててもエロい、服脱がされてももちろんエロい、じわじわ開発されていく様がたまりません。細くて美形なのにちゃんと男性感があってそれがまたエロい。そして攻めの典彦がまた最高にエロい。目の死んだネチネチした人大好き。二人の行為は男同士でいけないことをしています感がすごくてエロい。先生、おしゃれな絵柄なのにしっかり昭和感を描ききっていて嘘っぽくない、それがまたエロい。エロい。エロい。でもエロいだけじゃない、ストーリーがまた辛くて暗くて美しくていい。じめじめした季節に敢えてジメジメした作品読むのもいいなって読み返して思いました。

4

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