金持ち君と貧乏君

kanemochi kun to binbou kun

有钱君与贫穷君

金持ち君と貧乏君
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神127
  • 萌×279
  • 萌41
  • 中立19
  • しゅみじゃない15

--

レビュー数
41
得点
1093
評価数
281
平均
4 / 5
神率
45.2%
著者
秀良子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
一迅社
レーベル
gateauコミックス
発売日
価格
¥657(税抜)  
ISBN
9784758071796

あらすじ

とっても金持ちな明治君はことあるごとに、とっても貧乏な三崎君につっかかる。
そのたびにフワリとかわされて・・・そんな毎日。
でもある日、三崎君のお母さんが倒れてしまう。三崎君は学校をやめて働こうとするのだが、そこに明治君のお祖父様がまさかの愛人契約を持ち出して・・・!?
時を、記憶を、重ねて透けるそれぞれの願いを丁寧に描いた微笑みに満ちた物語――。
(カバーより)

表題作金持ち君と貧乏君

三崎(高校生・貧乏・子だくさんの長男)
明治 春人(高校生・理事の孫)

その他の収録作品

  • おまけ

レビュー投稿数41

おじいちゃんがメイン

紙版ちるちるで見かけて以前から気になっていたので結構前に購入しました。秀良子さんの作品では初購入の作品です。

金持ち君こと明治は、制服も買わず、校内で売買を行ったりする貧乏くんこと三崎くんのことがなにかと気になっています。三崎は母とたくさんの兄弟のために学校をやめ、働くと言い出します。なんとしてでもそれを止めたい明治の前に現れたのは、明治のおじいちゃん。明治のおじいちゃんは三崎にとある条件をもとに学校に居続けることを持ち出します。その条件とは、明治のおじいちゃんの愛人になることで……。

孫を恋敵にするおじいちゃんの強さ!!(笑)
この話のメインは明治くんと三崎くんですが、おじいちゃんをメインキャラとしてみるとまた違った可愛らしさが見えてきます…(悟り)

ほんとに、学生らしい真っ直ぐで純粋な恋が見られました。
是非たくさんの方に読んでいただきたい作品です!

0

伝えられなかった想いが時代を超えて

題名通り、金持ちの明治と貧乏の三崎のお話です。
なんともストレートでありますな。
その2人のお話ではありますが、明治の祖父と三崎の祖父のお話でもあり。
実は祖父達のお話がメインなような気もする、不思議な感覚のするお話でした。

時代柄のせいかどうかはわからないけれど、伝えられなかった気持ちが切ない。
お互いに想いあっていたのだと分かって、さらに切なさが増しました。
月が綺麗という言葉に乗せて気持ちを伝える奥ゆかしさが三崎の祖父らしくないけど、文学少年の三崎祖父にはそれで伝わると思っての事だったのかなぁ、とか想像は膨らみます。

明治春人の好意の表し方がいつでも的外れというか、不器用過ぎて面白可愛かったです。
ラスト、じいちゃん生きてて良かったー。

0

60年の歴史に萌え

得てして、「伝えなかった想い」は綺麗なまま、心に残りやすいですね。
想いを伝えて、一緒の時間を過ごして、ケンカしたり、分かり合ったつもりになったりして、結局分からなくて別れた恋人よりも、初恋の君は永遠に美しく、美少年のまま…。
決してSNSで検索なんてしちゃいけません。びっくりするから。

こちらは祖父世代と孫世代の想いが交差する、素敵な作品です。
私立高校に通う貧乏な三崎君と、理事長の孫の明治君。
貧乏ゆえに学費は出世払い、制服は祖父のお下がり、校内で商売をする三崎君に、いつも食ってかかる明治君。
だけど本当は…、という話。

飄々として我関せず×素直になれないツンデレの孫世代も萌える。
だけど祖父世代はもっと萌える。
戦時中に苦学生だった三崎祖父と、文学少年だった明治祖父の回想がときめきの宝庫。
現実的で屈強な三崎祖父は男らしくて、憧れ以上の気持ちを抱くのも頷けます。
しかもこの回の会話に何度も出てくる「月が綺麗」という台詞の真意が、のちのち三崎孫によって明治祖父に伝えられるシーンと、描き下ろしにもつながっていく手法にやられます。ニクい。
自分の気持ちを秘めて、それよりも敗戦国になった日本のためにという現実的な考えをする人だったからこそ、孫世代に続くわけで、切なさよりも「時代」を感じるエピソード。

明治祖父が可愛いんですよ。
三崎孫と一緒にいると心がときめいて、それが見た目を若返らせるというやり方で読者に伝わるように描かれているんです。
ビシビシ伝わってくる!
あの当時、想いを寄せたあの人と叶わなかった青春のやり直しをいている明治祖父は、ほんとうに純粋で可憐で、全身で恋をしています。可愛い。
そんな三角関係にキリキリする明治孫も、自分の孫の気持ちを煽る祖父もまたいい。

我関せずっぽい三崎孫が何もかもお見通しなのもいいんです。
明治祖父が自分に拘る理由も、明治孫が突っかかってくる理由も分かっているけれど、何も言わない。
相手が言わないから、そのままにしておく。
だけど「我関せず」を絶妙に貫き通せたバランスが崩れたときの、三崎孫の変化も見逃せません。

またまた人物描写の技で引き込まれまくりです。
切なさも笑いもときめきも味わえて、読み終えたときに清々しい気持ちになれる。
3世代にわたる恋は読み応えも抜群です。ぜひ。

4

ラストのワンシーンが萌え

春人のおじいさんがかわいい。
てかおいしい役どころ!と思っちゃう
三崎に ぽう…♡と見惚れて今度ジ◯リ美術館に一緒に行こうとデートに誘うのかわいすぎ

春人は三崎が好きすぎて泣いちゃうのもかわいい。
不器用でうまくアプローチできなくて変な行動するのもw
それでも三崎のハートを掴み…ハピエンになるのよかった。

三崎おじいちゃんが実は愛の告白とわかっていて春人おじいさんに「月が綺麗だ」と言ったとわかったくだり感動
春人おじいさんが三崎おじいちゃんに60年間恋していたと涙するんやもん

純愛はいいね。無敵かもしらん✨
三崎と春人も好き

あと、三崎がやっと春人に告白する時、春人の使用人がそっと部屋を出るの最高。
その後のオチも笑った。

おまけまんがの、おじいさん同士の若い時の何気ない一場面も✨

0

シュールなシーンもあまり笑えない

 雰囲気で進む感じが強いな、という印象が大きかったです。秀良子先生の作風にも少しは慣れてきたように思っていたんですが、この作品はあまり私には刺さらず。物語が心の奥深くまで入ってくることがなくて、ずっと宙に漂っているような感覚でした。やはり一番の理由は、メインの三崎と明治のお互いを好きになるきっかけが唐突だったり曖昧だったりで、薄っぺらく感じられるからかなと思います。雰囲気で読んで、なんとか受け入れられるレベルでした。

 そして、明治の祖父の2人への絡み方も、私にはちょっと抵抗感がありました。戦時中の回想の中での彼の甘酸っぱい恋愛は素敵でした。でも、自分が恋していた相手を、今この歳で成人にも満たない子供に重ねるのはすんなり受け入れがたく…。彼の記憶の中では三崎の祖父は学生のままでしょうから仕方ないのかもしれませんが、それは頭の中に留めておいて欲しかった。いくら実際に手を出さないとはいえ、この歳の差で、しかも本当に好きな相手ではないのにデートとか愛人とかいう言葉が出てくるのは薄ら寒く感じました。遠くから2人を見守りつつ、三崎の祖父を思い出す程度の描写で良かったんじゃないかなぁと思います。

1

人間賛歌

秀良子先生の作品は、悲しい事件が起こるわけでなくとも、無性に胸が詰まる作品が多い気がします。

性格というか性質が違う2人が互いを尊重したり、理解しきれなかったり、ぶつかったり、埋めあったりしながら物語が進むのが、言葉であらわせない…萌えとかエモいってやつです。

シリアスになりすぎないところもいいですね!この作品もあからさまに金持ちとか貧乏って言っちゃってますし、主役の祖父母のストーリーは戦争と絡んできますが、暖かさを残すところが大好きです。

「恋をしていた 16歳だった」のくだりは涙無くして読めない。読むタイミングがハマってしまったのか、そこから涙腺が緩み続けました。

2

「見ろよ 月がとても綺麗だ」

表紙がほのぼの系なので油断して読んだら、何故か涙が止まらなくなりました。
こんなにほっこりした物語なのに思い出してはまた切なくなり泣いてしまう。これは困った。
表紙とタイトルからは想像出来なかったこの深さ。じんわりと胸に染みます。

貧乏な三崎と金持ちの明治。
2人の祖父はいっしょに戦争を生き抜いた仲。
三崎祖父はすでに他界。明治祖父は2人の通う学園の理事長。
「同い年だよ、仲良くね」と祖父から頼まれつつも校内で水や野菜を売り、少しでも生計を立てようとする三崎にやたらつっかかる明治。
一方、明治のおじいさま(理事長)は三崎祖父にそっくりの三崎・孫に顔をぽうと染めて「かっこいい♥」「今度一緒に遊びに行こうと三崎を誘います。

これは始め、三崎と明治と明治の祖父の三角関係のお話かと思いきや、実際は違いました。
[三崎と明治]、[三崎を通して今は亡き三崎の祖父を思い続ける明治の祖父]、二組の恋の物語。

この作品にはモノローグや心の声が非常に少なく、余計な事柄がほぼ描かれてない為、内容の解釈はほとんど読者に委ねられます。主人公も誰かはっきりしないのですが、明治のおじいいちゃんが隠れ主人公なのではと私は感じました。
今ではちっちゃくなりニコニコしたとても可愛らしいおじいちゃん。
三崎と過ごすおじいちゃんは時折16歳の姿で描かれます。60年経った今、三崎の孫に出会ったことによって心が16歳の恋する少年に戻り、叶わなかった三崎・祖父との恋愛を今ようやく満喫しているかのよう。

「好きよ 大好きよ」
作中幾度も繰り返されるこの言葉。
苦しくて切なくて何度も泣きました。
これは恐らく、明治のおじいちゃんからの、三崎・祖父への愛の言葉。
60年経った今尚「思い出さない日はないよ」と昔を懐かしみながら涙を浮かべるおじいちゃん。当時伝えられなかった想い。それでも消し去れなかった恋心。伝えたかった相手はもうこの世にはいない。だからこんなに切なく、でも暖かく心に響いてくるのでしょうか。

途中、明治のおじいちゃん視点の学生時代のモノローグが入ります。
動物的な損得で物事を考える三崎。食費を本に変えてしまうような本好きの明治。三崎の強い生命力に魅かれ、恋に落ちる明治。そしてやってきた大空襲。
焼野原になった平野を2人で歩きながらふとつぶやいた三崎。
「見ろよ 月が綺麗だ」
その言葉の意味を知っていながら口をつぐんだ明治。
一瞬の間の後、「何もなくなっちまった。子どもを作るぞ俺は」と笑う三崎。
2人が別々の道を決意した瞬間です。
「あなたは私の輝ける太陽。ならば私は月になろう…」この明治の心の声は何度読んでも泣けてくる…。
後に、三崎の孫から「『月が綺麗ですね』っていう台詞愛の告白の言葉らしいっす」「じーさんが死ぬ前に言ってたんで」と聞かされた明治おじいちゃん。ぷるぷる震えながら涙を流します。
生きる事をただ考えていた三崎。「月が綺麗」の意味なんてきっと知らない。これは自分の勘違いだ。明治祖父はあの時そう思っていたに違いない。60年経った後彼の孫からの言葉で本当の意味を知る。片思いだと思っていたのに実はお互い思い合っていた。もしあの時「死んでもいいわ」(「わたしも好きです」の意味です)と答えていたら、何か違っていたのだろうか。でも今は、ただただ、三崎に自分も想われていた。その事実にぽろぽろと泣くおじいちゃんが非常に切なかったです。

そんなある日、三崎の母が過労で倒れ、兄弟の面倒を見るため、三崎は学校を辞め働くと言い出します。そこで理事長明治おじいちゃんが「私の愛人になりませんか」と提案。お金の面倒は全部見てくれるとのこと。
祖父に太刀打ちできない孫・明治は少しずつ素直に三崎に接していくようになります。
そんな三崎と孫のやり取りを見て、「君たちと接していると、あの人も、60年抱き続きたこの想いすら遠くへ行ってしまうんだ」「私は少し歳を取り過ぎたのかもしれないね」と笑う理事長。
「これからだね、何もかも。君たちが心のままに学んで、悩んで、恋をする」「きっとそのために私は」と学園を見上げる理事長。
戦時中叶わなかった想い。せめてこれからの人たちには学園で自由に学んで欲しい。そう思いこの学園の理事長になったのだなという気持ちが伝わってきてまたしても泣きそうになりました。
さて一方、孫達ですが、10年後、理事長に就任した明治のもとに作業服を着た三崎がお金を返しに来ます。そして10年越しの告白の返事(いや~待たせるね~)。

とても優しく、暖かく、ひたすら泣けたこの作品、本当は神にしたかったのですが、ともかくおじいちゃんのお話に感情移入し過ぎてしまい、孫2人の気持ちがイマイチ解り辛かったので(お互いいつ好きになったの~?)萌×2評価とさせて頂きます。
この作品に出会えて本当に良かった。心に残る素晴らしい作品でした。

1

私の邪念が浄化される物語。

心の底から全力でお勧めしたい素晴らしい作品。
読んでいる途中、ほぼ7割は涙腺が弛んで涙がとまらず、読了後は愛しい気持ちが溢れ出て私の邪念が浄化された気持ちになりました。

以下、かなり内容に踏み込んでいます。


2つの恋物語が主軸。
一つは学園理事長の孫であるお金持ちの明治と、既に父は亡く母一人で暮らしを支えている貧乏な5人兄弟の長男・三崎の物語。
もう一つが、戦時中の若かりし日の理事長と三崎のお祖父さんの物語。
どちらの恋もとても不器用で純度が高く、恋をしているとき特有の胸を締め付けられる痛みや切なさ、想う相手に笑いかけられただけで幸せな気持ちでいっぱいになるあの感じが画面を通して真っ直ぐに伝わってきて、読んでいて共鳴しては涙が流れてしまいます。

祖父世代の物語は特に不器用な恋心。
成就しなかったプラトニックな恋は心に強く在り続け、理事長は今もなお鬼籍に入った三崎の祖父を想い続けています。
戦争が終わった後、二人で月を眺めていた際に「月が綺麗だ」と三崎の祖父は言います。
理事長はその台詞の意味を知っていましたが、まさか三崎の祖父がその意味を分かって言っているとは思えずにただ「・・・うん」と答えます。
三崎の祖父は続けて「何にもなくなっちまった 子供を作るぞ 俺は」と。
理事長のことを愛しているけれど、自分の家族を一から作り上げようという気持ちは強く、別の道を行く選択をした瞬間でもあったのだと思います。
時は流れ、お祖父さんが死ぬ前に「月が綺麗ですね」の意味が愛の告白であることを自分に教えてくれた、と三崎の口から理事長に伝えられます。
片想いだと信じていた理事長が“自分も想われていた”ことを60年後に知る切なさや如何に。
杖を強く握りしめて涙をハラハラと流す理事長のいたいけな姿を私も涙なしでは見られません。
時を越え、想いが重なっても愛する相手は既にこの世にいない悲しさを思うといたたまれず。


そして、現代の明治と三崎の物語。
明治は三崎のことが好き。

三崎は恋よりも日々どうやって食べていくかを考えて、妹弟の面倒をみる日々。とにかく“生活すること”が大切で、そのために必要なもの、必要じゃないものをはっきりと取捨選択している。
商魂たくましく校内で水を売ったり、野草を売ったり。
そんな三崎に口うるさく小言を言っては絡んでいく明治。
けれど、自分の言動を反省したり、三崎の態度に傷ついて素直に涙する姿が私には非常に愛らしく感じました。

個人的に大好きなエピソードが二つ。
小さな弟を学校に連れてきて女子生徒からお菓子もらっていた二人を咎め、車に乗せてお引き取り願う明治。
三崎の家に着き、あまりのぼろさに写メを撮っていると「100円!」と言って写メ代をねだる下の子たちに明治は1000円を渡します。
学校で商売するのも、お菓子を貰うのも恥ずかしくもなければなんとも思っていない三崎が、弟から1000円をバッとつかんで「くれんの?」と言うと、明治は「写メ代」と。
その答えに納得したのか受け取ったけれど、三崎のなかで施しは受けないが代金は貰う、というギリギリの心理的な攻防があったであろう表情に胸をつかれました。
また、ある誤解から三崎にひどいことを言ってしまったけれど、ちゃんと謝り行く明治。
「お前って なんか てーねーに育ってんなぁ」とまったく気にしない三崎。
愛しいエピソードがたくさんちりばめられているのだけど、特に上記二つが胸を打ちました。

その後、理事長・三崎・明治の微妙な三角関係になっていきますが、それは三崎のお母さんが倒れて学校辞めると決めた際、理事長が「私の愛人になりませんか?そしたら毎月おこづかいをあげましょう」 「わかりました」で契約締結したため。
もちろん愛人契約なんて方便で、愛した人の面影を持つ三崎を助けたいだけ。
ただ側にいたい。あのときできなかったことをしたい。なんとも切なくもいじらしい積年の恋心。例え、身代わりであっても。
ときめく理事長の心象風景は16歳の姿で描かれていて、心躍りドキドキしている様がよくわかります。
外見は老人でも中身は初恋の時のまま、三崎に想い人の面影を重ねてときめく姿が愛らしいほどに、身代わりでしかない人を想う哀しみも伝わってきます。

時は流れ、10年後。
三崎は約束の出世払いのお金を返済しに訪れ、10年前の告白の返事もします。
10年前の告白の返事を突然もらい、うずくまって嬉し泣きする明治。
もう、もう、本当に良かったー!
そしていい雰囲気のところ、まだまだご健在で(邪魔しに)現れる理事長も相変わらず「三崎くんラブ」でかわいらしい(笑)


60年後に叶った恋は一人は鬼籍に入った後の成就だったけど、孫世代の10年後に叶った恋はこれから隣で歩んで一緒に生きていける。
好きな人に勇気を出して気持ちを伝え、ずっと待っていた明治くんが泣き虫ながらも男前。
二人に末永く幸あれ!と願ってやまない作品です。

11

恋をしていた話

好きよ 大好きよ
何回読み返してもこの言葉に涙が出る。伝えることができなかった気持ちは、悲しくて切なくてそれでもきれいなまま。もうめちゃくちゃに悲しいとかそんな訳ではないのに、どうしてこんなに切ないんだろう……いやもう年を取って死に別れているし、そもそも十代のうちにもう「寄り添わず離れず」と思って、それから六十年もずっとなのだから悲しいんだけど、悲しさというよりは美しい思い出のような。
とそんな切なさもありつつ、現代の孫二人とおじいちゃんは可愛くて癒やされたり。こういうところが秀良子先生のすごいところだなって思いました。三崎くんにコスプレさせてみたりデートしたりしてるおじいちゃん、そんな二人がかわいいけどなんとも切なく感じるんですよね。
貧乏な三崎くんとお金持ちな春人くん、春人くんのおじいちゃんと三崎くんのおじいちゃん。叶わなかった恋と叶った恋なんだけど、どちらも本当にキラキラしていて素敵でした。孫の二人はずっと二人で幸せであってほしいです。

5

「あなた」に巡り会えた。

本当に、大事件が起こるわけではないし、それによって引き起こされる劇的な心の変化が描かれているわけではない。
伝わってくるのは、ひたむきで曇りがなく 静かだけど熱い、ただ一人の人を想う気持ち。
そして、そういう気持ちに現を抜かしても誰に咎められることもなく、安心してお腹いっぱいご飯を食べることができ、何も心配なく暮らせている この日々の営みへの愛おしさだ。

想いを告げることさえ叶わない苦しさや、喪失の痛みもあるかもしれない。
けれど、自分にとっての「ただ一人」に巡り会うということは、こんなにも人生を豊かにしてくれる。

それを教えてくれた私にとっての「ただ一つ」の素敵な物語です。

1

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