愛というなまえ 新装版

ai toiu namae

愛というなまえ 新装版
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神8
  • 萌×26
  • 萌2
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
5
得点
71
評価数
17
平均
4.2 / 5
神率
47.1%
著者
田中森よこた 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
ジーウォーク
レーベル
Caneléコミックス
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784867177334

あらすじ

『この弱くてかわいそうなおとなを、俺が守ってやらなきゃと思った。』

父を亡くし、東京を離れ、何もない田舎に引っ越してきた郁郎。
祖母と従兄弟の恋文と暮らすことになるが、年上の恋文は意地悪でいけすかない奴だ。
恋文を苦手に思う郁郎だったが、ある日彼が自分を嫌う本当の理由を知ってしまう。

それは、郁郎が「殺したいくらい憎いけど、世界で1番愛していた男の息子」だからだった――。

切なくてもどかしい、愛しい“愛の物語”。

在庫切れ続出につき入手困難だったあの名作が「新装版」として登場!
新規描き下ろし漫画+本編では語られなかった、
郁郎の父・草太と幼少期の恋文の日常を描いた
同人誌版エピソードも収録。

本作の世界観を余すことなく網羅した、永久保存版の一冊。

表題作愛というなまえ 新装版

小4~小学校教諭
高校3年生~30歳

その他の収録作品

  • こいちゃんと叔父/描き下ろし1・2/あとがき

レビュー投稿数5

絶望と憎しみからの…救済

いやーー…もうなんというか、辛くて悲しくて胸がいっぱいになり、
でも最後の二人の笑顔にようやく救われる…
そんな、絶望と救済のお話でした。途中から泣きながら読みました。

受けの第一印象が、こんなにも変わる作品はそうそうない気も。
なんてったって恋文(受け)、めっちゃくちゃ意地悪!

幼いうち(8歳の頃)に父・草太が交通事故で亡くなり、お葬式会場で
父の遺影を見ながら涙を流す郁郎(攻め)。
そんな郁郎に「お前のお父さんは ゴミみたいな人間なんだよ」と従兄弟の恋文が話しかけてきてー

と物語が始まります。

親を亡くしたばかりの子供に、なんともキツい言葉をかける恋文。
その後、祖母の元へと引き取られ、三人での同居生活が始まった後もかける言葉は
冷たく意地悪で…

でも!でもね!!!!!!

恋文自身の口から語られる真実を知ってからは、あまりにも可哀想で可哀想で、
愛おしくてたまらなくなり、泣いてしまった……

彼の叔父であり攻めの父親である草太が、本当に本当に胸◯ソものの人物なんです。
読後すぐの今も許せない気持ちでいっぱい。。思い出すだけで辛い( ; ; )

巻末の方に草太とまだ幼い恋文の日常の一コマが何編か入っているんですが、
その時は本当にほのぼのとして幸せそうに見えるのに(実際幸せだったはず)、
一体どうして可愛がっている甥っ子にあんな仕打ちができるのか、、

この草太の思考・行動が全く理解できず、物語を読み終えた今も悶々としてしまう。

愛してやまなかった存在に裏切られ(しかも本人には”悪いことをした”という
自覚なし)憎むようになる、愛し求める気持ちと同時に、激しい憎悪を抱くー

いっそ憎みきってしまえればいいのに、できない恋文の辛さが痛いほど伝わってきて、
読んでいるこちらも絶望感でいっぱいになります。

そんな憎むべき男の遺した子供である8歳年下の郁郎に、優しくできるはずもなく。
でも、一緒に生活を送るうちに、少しずつ情が湧いてきてしまう。
郁郎自身には罪はないことは痛いほど分かっており、真実を知って父の罪を
謝罪してもくれ、その心は十分に伝わっているからだよね…
この恋文の心情変化の描写が秀逸でした。

で、そんな苦しむ恋文の姿を見て、「放っておけない」「俺が守らなければ」と
思う郁郎の姿にまた、心打たれる。

最後の最後、「おかえり」と「ただいま」の声がけのシーンになんとも言えない
気持ちが込み上げてきて、また少し泣いてしまいました。

二人が初めて体を重ねる際の、恋文のセリフがまた。。

「郁郎がほしいよ」「ちゃんと…全部ほしいよ」という言葉の奥に、
恋文の抱える寂しさと愛を欲する心、暗く濁った記憶を上書きしたいという気持ち
が感じられ、なんだかもうたまらない気持ちに。

シリアスで辛い展開からの救済の物語でしたが、
新装版描き下ろしのエピソードがクスっと笑えたり、ほのぼのできるもので
救われた…!✨
いい雰囲気のところに突然乱されて、小学校の先生は大変(笑)

この先もこのまま、二人笑顔いっぱいに過ごしていって欲しいなと
願わずにはいられない、夜明けの物語でした。

3

こいちゃんと叔父の、こいちゃんとおじの息子とのお話!

同人誌販売でお見かけしていて、ずっと気になってた「こいちゃんと叔父」。
巻末でふと、あー! あの読みたかった同人誌の!
2人と、なったわけですが、、、


本編はわりとヘビーでした。(旧版未読)
亡き叔父とこいちゃん(=本編では、恋文。受け。)と、その叔父の息子(=今作の主役で攻め、郁郎)との関係性が苦しすぎて。
でも、不思議と嫌いじゃない痛苦しさでした。



内容はざっくり言うと、
父を亡くし、ひとりきりとなった小四の郁郎。
そこへ8歳年上の亡き父の甥っ子が現れ、田舎でおばあちゃんと3人で暮らし始めるお話。


とにかく幼き頃から恋文の郁郎父への想いが複雑すぎて、郁郎の存在を疎ましく思ってるスタートから始まるのですが、、
親と子で、受けの人生にそれぞれ良くも悪くも影響を与えていく複雑さが、個人的にはとても好きでした。

そして好きだったけれど、裏切られ、あまつさえほのかに敵対視していた人の息子を好きになってしまい、まだ今なら引き返せる感情だと、自分へいい聞かせる不器用な拗らせ具合がたまらなく良!!

あと、そういう父の息子だと分かっていても、目の前の受けを守りたいと小さきながら決意する郁郎もとてもよかった!
こういう愛、好きなんです。
で、ずっと受けのためにDT死守してるところとか。
本当に好きです。


それから、よこた先生の可愛らしいけれど、どこか憂いのある画が、より物語の空気感を背徳的にさせていて本当に好きでした。

新装版として出版してくださってありがとうございました。
読めて嬉しかったです!

0

憎しみの末に愛を知る

陰鬱で、切なくて、優しい二人の世界。


子供の頃に事故で父親を亡くした郁郎。

「お前のお父さんはね 
いろんな人をだまして裏切って生きてきたゴミみたいな人間なんだよ 
だからね悲しまなくたっていいんだよ」

ひとりぼっちになったばかりの郁郎に
そう告げたのは8歳年上のいとこの恋文だった。

それ以来、恋文のことが嫌いになった郁郎でしたが、
引っ越した先の田舎で祖母と恋文と3人で暮らし始めることに。

憎んだ男の息子の郁郎に優しくできない恋文と、
そんな意地悪ばかりする恋文に反発していた郁郎ですが
同じ家で過ごすうち少しずつ“家族”になってゆきます。

恋文が郁郎の父・草太を毛嫌いしているのには理由がありました。
子供の頃に母親から虐待されていた恋文を救ってくれた草太。
そんな草太に対して叔父と甥以上の感情を抱いていた恋文ですが、
その信頼はある日、突然草太によって一方的に裏切られます。

草太がしたことは人として、人の親として最低最悪で、
決して許されることではありません。ただの犯罪です。
たとえ借金があろうと、郁郎を養ってゆくためであろうと
それで恋文の人生を犠牲にしていい筈がありません。
大好きだった人に裏切られた恋文の傷は計り知れません。

優しかった知らない父の顔。
自分が父と過ごした穏やかな日々の陰で、
父に傷つけられていた恋文の過去を知り、涙の理由を知り、
まだ幼い郁郎の中で恋文への新たな感情が芽生えます。

“この弱くてかわいそうなおとなを 俺が守ってやらなきゃ”

成長するにつれて子供の頃は大きく見えていた恋文が小さくなって、
いつも口うるさい恋文が時折寂しそうな顔をすることに気付いてしまった。

そうして郁郎の中に芽生えた庇護欲は恋文への愛に変わってゆきます。

一緒に暮らしてはいるけれど、家族ではない。
ただでさえ曖昧だった二人の関係は
祖母の死と郁郎の進学をきっかけに変化してゆきます。

幼心に誓ったままにこれからも恋文の傍にいたい郁郎と
郁郎を手離したくないと思いながらも束縛したくないと葛藤うする恋文。

一緒にいたいという想いは同じなのに、意地が邪魔をして
すれ違ったまま離ればなれになってしまう二人が切なかったです。

東京に進学の決まった郁郎を送り出すシーンでは
それまで淡々としていた恋文が郁郎が郁郎が発った後になって
飛行機を見上げて子供みたいに泣きじゃくる姿が痛ましくて堪りません!

普段は憎まれ口ばかりで強がっている恋文ですが、
本当の彼は愛されたがりで寂しがりでした。

そして、誰よりも郁郎を大切に想っていた。
郁郎がケガをすれば仕事中だろうと東京だろうと、
真っ先に駆けつけて、元気そうな郁郎を見て、
ほっとして泣いてしまうようないじらしい人なのです。
そんな恋文だからこそ、愛おしくて、守りたくて
郁郎も恋文と添い遂げることを決めたんだろうな。

あのあどけなかった郁郎が気付けば包容力攻めに成長を遂げていました。
泣きじゃくる恋文の両頬を愛おしそうに包み込む郁郎のスパダリ感よ…。
唯一エッチのときだけは恋文に促されたり夢中な様に、
年相応の初々しさが滲んでいて年下攻めの醍醐味を噛みしめました♪

最悪の出会いから始まり、
憎しみも悲しみも乗り越えて、結ばれた郁郎と恋文。
遠回りはしたけれど、田舎町で幸せそうに暮らす二人に心が救われました。

本編後はその後の二人の日常を切り取った後日談や
同人誌で発表されていた子供の頃の恋文と草太の
微笑ましい日常を描いたエピソードも収録されています。
あたたかい気持ちになる反面、本編を読んだ後だと、
ああ…この頃はまだ…となんだか切なくなってしまいました。

0

可哀想で可愛い

田中森よこた先生の既刊作品は拝読させて頂き、今作も作家買いさせて頂きました。

個人的、各項目5段階で
不憫 3
しんみり 2
クズ 2
エロ 1
な感じだと思います。

郁郎くん×恋文さんのカプです。

まず、こちらは新装版ということですが、元々の旧版の方は未読です。あらすじから、しんみりと切ない雰囲気なんだろうとは思っていましたが、なかなか複雑な心理描写と人間関係だなと思いました。

小学生の郁郎くんに対して言葉の端々で棘のあることを言う恋文さん。流石にちょっとイラッとしましたが、その理由を知ると仕方無いのかな…と思ってしまいました。恋文さんの健気さと不憫さが凄まじくて、棘のある言葉で脆い心を守ろうとしてるのが分かり、郁郎くん、恋文さんのこと幸せにしてあげて、って思いました。

おばあちゃん以外の親達が悉くろくでもないクズだなと思いました。恋人さんの母親もですが、草太さんが恋文さんにやらせたことに対しては普通にクソ野郎だと思いましたが「こいちゃんと叔父」のようなやり取りでは、やっぱりクズだけど何だか憎み切れなくて、だからこそ恋文さんも惹かれてしまったのかもしれないと思うと、やっぱり恋文さんにやらせたことが…と情緒が掻き乱されますね。

あと、物語りとは少し関係無いけど、旧版の方は未読なので、元々なのか分からないのですが、新装版の方で他のページと比べると印刷が薄いのか、イラストがボヤッとしたページが数ページあったので、本編の内容よりも印刷の薄さの方が気になってしまいました。

好きだからこそ憎くなる。憎いけど好きである。複雑な人間関係と愛憎渦巻く心理描写。でも最後は想いを吐露する描写に切なくも心打たれるので、是非とも読んでほしいです。

0

父の呪いを解く息子? え ちがう⁈

なんとなくタイトルで買ったんですが 可愛らしい絵面ってそこにある哀しみや哀れさが増すのね

まったく中和されないの


小学4年で父を亡くし祖母の家に引き取られた日
葬儀の時に悲しまなくたっていいと声をかけた従兄との同居を迫られることに

郁郎の父を口汚く罵る従兄・恋文に隠されていたものはアッサリわかるので胸が傷む間もなかったんだけど ネグレクトに少年買春 胸くそ悪いものだけはしっかり残るし 淡々とすすむお話の中で蓄積され そこに被せるように哀しみが降ってはくるのだけれど

んんん 恋文をとことん可愛そうなものにしたい感じなんだよな

確かに捨てられる痛みや 失う苦しみにひとり耐えているのはわかるんだけど 時おり優しくされることにいたたまれないのか 傍にいようとする郁郎に食って掛かって情緒不安定にもほどかあるというか
ほんとならここに 庇護欲や守ってやりたいキモチを強く感じなきゃいけないんだろうけど あえて恋文を可愛そうなものにしたいのが透けてみえてしまって なんでかこう 読んでいてどんどん冷めていくあたしがおりました ハイ

郁郎にもそう 父を恨みながらも忘れることができず 死んでなお思い続ける恋文を守ってやりたい ひとりぼっちにはさせないってのはぼんやりあるのに意地を張り続ける関係に二の足をふんで
ここに 彼はまだ子どもで何が出来るわけではなくて ってのを見ながら互いの自律や仰け反りあったままなのに意識だけが暴走していく空しさ
とっくに移ってしまった情や それに気づいた瞬間の寂しさを読まなきゃいけないんだろうけど

なんかがはしょられすぎたのかな?
ぶつ切りなお話しに 恋文の意地だけは読めたんだけど
あれかな 出だしの歪さと一緒にいる時間にほだされていく部分が少なかったからなのか


新装版らしくつけられた恋ちゃんと叔父の話はよかった
恋文の愛らしい天然ぷりが微笑ましかったし 草太の優しいとこもダメンズぷりも ばあちゃんの勇ましさも

これだけなつかれていたのに 自分に守るものができた途端に恋文を売った草太
恋文のどんなに恨んでも憎んでも嫌いになれなかった悔しさ
描き下ろしのおかげでここだけど鮮明になったんだけどね 

主役ふたりの話になるとどうにも中途半端さが なんでだろうね
まぁ 恋文が手にした幸せを草太への仕返しと思えるほどには許しているのが救いだったけどね

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