shilly-shally

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shilly-shally
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神19
  • 萌×221
  • 萌5
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
12
得点
195
評価数
46
平均
4.3 / 5
神率
41.3%
著者
しちみ 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックスDX
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784799765319

あらすじ

大学生のニコラスは、引っ越し先の街で奇妙な男と出会う。
店の前で佇む男に「右足と左足、どちらから店に入るべきか」と尋ねられたことをきっかけに、
ニコラスは優柔不断な男に代わって身の回りのことを決める
「決定代行」のバイトを引き受けることになった。
しかしその頃街では連続殺人事件が起こり、ニコラスの中にとある疑惑が芽生え始める。
──もし自分の選択が、誰かの命を奪っているとしたら…?
思惑が交錯する考察系BL!!
描き下ろしは、その後の幸せで甘い日々を16P収録

表題作shilly-shally

ルカ・オリーブ、記者、隣人
ニコラス、大学生、隣人

同時収録作品shilly-shally

ニコラスの義父
ニコラス、義理の息子

同時収録作品shilly-shally

アルバート、ニコラスを決定代行として雇う
ニコラス、大学生

レビュー投稿数12

マイルドな仕上がり

今作のニコラスくんは、ごく普通の大学生。
軽い気持ちで始めた「決定代行」のバイト、提示された選択肢から一つを選ぶ簡単な決定が実は…

決定代行の選択肢から漂う不穏な空気が良かった。
犯罪の片棒を担がされてるというか担わされているというか…個人的にそれを疑っているときの「きっと裏があるぞ…」な期待感が一番楽しかったので、
アルの背景含め事件のあらましをもう少し詳しく知りたかったし、
ニコラス側の知らずに殺人に関わってしまった心情ももっと深掘りしてくれるとよかった。

義父は登場した時の予感そのままニコラスくんをかわいそうな目にあわせるけど、描き方はこの作者の他作品に比べて大分マイルド。

隣人のルカは、ごく真っ当な人間。
変に裏があったりねじれたりしていないので安心感がある。

最終的にちゃんとした「ラブ」で終わるので、BLとして誰かにオススメのしやすい作品だと思った。

1

【〝僕が決めていない〟ということが重要なんだから、正解か不正解かなんて関係ないんだよ(アルバート)】


エロス度★★

考察&サスペンス要素が絡んだストーリーがとても面白かった!

偶然出会ったアルバートの〝決定代行〟をすることになった大学生のニコラス。
〝そんな事まで決められないの!?〟ってくらいアルバートが優柔不断で、迷う彼の代わりに答えていくニコラス・・・と、微笑ましさを感じますが、連続殺人事件が絡む事で自分の選択が誰かを害しているのでは?と暗い影を落としていくのがよかった。

他者の迷いには簡単に答えられるけど、自分の迷いには躊躇してしまう・・・。

キャラの心理の描写が素晴らしい魅力を放っていました♡

2

ルカの温かさが心地いい

 あとがきで「いろんな世界線のニコラスを」という言葉を読んで、しちみ先生の大胆な試みに面白いなぁ、これからも楽しみだなぁとワクワクしました。それだけニコラスというキャラを気に入られたのか、元々パラレルに存在させるつもりで生み出されたのか気になりますね。こちらの作品でもやはり彼は性的搾取されてしまうのですが、前2作よりは自分の意思で能動的に動く場面も増えたように感じます。

 人生は選択の連続。日々の選択を他人に任せるか、自分で行うかによって、責任と覚悟を負ったり逃れたりする各キャラクターの対比が興味深かったです。結局は行動した人が責任を負うべきだと思うけれど、その行動に追い込まれる場合もありますから難しいですね。後悔しない選択ができれば一番いいけれど、正解だったのか何度も振り返りながら、あの選択のおかげで得た良い結果もあるはず、と少しずつ受け入れていければ十分だと思います。父親の死を選んだニコラスのことは肯定してあげたい。彼にとってあれ以上に良い機会が巡ってくることはなかったでしょう。一度はアルと共に自首する覚悟まで決めた彼。アルは最後に自分に寄り添い続けてくれたニコラスに報いてくれたのかなと思いました。ルカとのやりとりは終始安心できるもので、影のある人物たちから解放されたニコラスがありふれた恋人らしい日常を過ごせるよう願います。

1

安定の不憫

既刊作品ではどの作品でも「ニコラス」を主人公に据えて
IFルートなど独創的な手法を使って全く異なる世界観と
物語を描かれてきたしちみ先生。

そして、そのニコラスが不憫というのも毎度のこと。
さて、今回はどんな不幸が彼に降りかかるのでしょうか?

大学生のニコラスはある日、外出先でアルバートという男に出会います。
些細なことから重大なことまで、自分で何かを決めることができないという
アルバートに代わって決定を下す“決定代行”のバイトに雇われることに
なりますが…。

今作の攻めはこのアルバート?
と思いきや、女たらしな隣人のルカ、義父も登場し…
登場するニコラスを取り巻く男たちが全員怪しく見えてしまうのは
しちみ先生作品あるあるなんでしょうか?
穏やかな笑みを浮かべるアルバートも、ただのヤリチンのルカも
何かを隠しているような気がしてなりません。
(怪しさをちっとも隠さないクズ義父は別として…)

そもそもアルバートの異常なまでの優柔不断ぶりの理由は?
そして、平和な日々に影を落とす連続殺人事件。

少しずつ不穏な空気が漂い始め、ニコラスにも義父の魔の手が…
やはり安定の不憫受けでした。

虐げられることに慣れてしまっているニコラスが可哀想…。
なんですが、そもそもこれまでニコラスがメンタル正常な攻めに愛されたり、
可哀想じゃなかったことなんてないので寧ろこれが通常運転みたいな。
逆に不憫でないとびっくりしちゃうんですよね。
(最低でごめんなさい)

だけど、ラストは珍しく正統派のハッピーエンドでした。
攻めのルカは暴力も振るわないし、犯さないし、めちゃくちゃ正統派!
※個人の感想です

アルバートの正体については薄々匂わされていましたが、
彼がそうなってしまった生い立ちなどを考えると何とも切なさが残ります。
ニコラスに対する執着も歪んではいるものの彼なりの愛だったのかな、と。

2

ニコラスagain and again

しちみ先生は「D〜」と「THE WISH〜」を読んでいて、本作も主人公が「ニコラス」と知ってすごく期待して読みました。
前2作ともニコラスにとって苛酷なストーリー、そして本作も連続殺人が絡むという事で、これはヤバいかも…と思いながら読みましたが。

確かに途中のサスペンス感はゾクゾクっときました。
奇妙な依頼でニコラスと繋がるイケメン紳士の正体やら。
いつまでも追ってくる胸糞な継父と、彼によるレイプやら。
だけど、もう1人つながっている隣人のルカに不穏さが無いから物語に感じる恐ろしさは半減。
そしてルカの持つ「陽の気」がそのままハッピーエンディングにつながるので、読後感はほっとしつつも微妙に物足りない…という奇妙な感覚です。
前2作は読んでてキツくなったので、ハッピーエンドで良かったと思うと同時に、ニコラスはとことん不幸でなければいけないような…
これはどういう感情なんでしょうね?
またニコラスの新しい物語を期待しています。「萌x2」で。

1

渋いけど面白い❤︎


丸々サスペンスって感じで言っても差し支えない渋い作品なんですが、

軸になる連続殺人事件から
真逆の離れた雰囲気で始まる導入から
話の表と裏にドキドキしながら
読ませる展開は文句なしに面白いとしか
言えなかった次第です。

初読みの作家さんだったんですけど、
他の作品もそうなのかなぁ
漫画好きなので興味あります。

ただ、カプになる雰囲気の2人に
もうちょっっとだけ甘さが欲しいかな…
登場の仕方はままスルーできるとして、
ルカの心情が隠れすぎてあんまり読み取れなかったですかね。
ギリギリアリだけど、敢えて希望を出すならって感じなんですが。

それだけ、話が完成されてて
渋いというか、カッコよくて
こっちの期待も萌えも、とりあえずいっか
これはこれで面白いし。
という気にさせられてしまいました。
良かったです〜⭐︎

1

読むか読まないかなら、読んで

しちみ先生の既刊作品は殆ど拝読させて頂き、今作も作家買いさせて頂きました。

個人的、各項目5段階で
サスペンス 3
胸糞 3
エロ 1
な感じだと思います。

ニコラスくんが引っ越し先の街で出会った男、アルバートさんは身の回りのことが決められない優柔不断な人だった。そんな彼の「決定代行」というバイトをすることになったニコラスくん。しかしそんな時、街では連続殺人事件が起こっていて…。

今作の帯やあらすじで、「考察系BL」や「ミステリーBL」と書かれているので、本編の内容には触れ辛いので、それ以外で、苦手な方は用心すべき絡み描写のことを…。

本編後の描き下ろしでは、相手と結ばれるほんのり甘めな描写がありますが、本編での絡み描写は主にニコラスくんと義理の父親との強姦描写くらいしかありません。そうなってしまった経緯もニコラスくんの不憫さも相俟って胸糞な父親です。でも一応最後はスカッと、しているのかな?

優柔不断なアルバートさんの「決定代行」をしたり、金などを要求してくるクズな父親の存在や街中で起こっている連続殺人事件、自分とは違う決断力がある隣人のルカさんなど、主人公のニコラスくんの周りで繰り広げられる出来事がどうなっていくのか、どんな結末になるのか、サスペンス要素があって引き込まれるので、是非とも読んでほしいです。

1

世界に浸らせてくれるお話

大学生のニコラスが引っ越してきた街で優柔不断な男・アルバートと偶然出会い、不思議な関係になっていくところから始まるお話でした。

深く考えずに始めた決定代行のバイトは最初こそニコラスの心も軽くしていくような感覚があったけれど、そこに隣人のルカが関わってくると様々な疑惑が生まれていくという目の離せない展開に。
自分の考え以外を知ったニコラスが謎だったアルバートの質問を頭の中で繋げていってひとつの仮説を立てた時の表情が、その先の恐ろしい結末を予想しているようでものすごくゾクゾクしました。

めちゃくちゃクズな義父も登場してきてさらに先が読めないモノになっていきましたが、思ったほど苦しい結末ではなく。
考察系BLとあったので入り組んだ展開になるのも覚悟で読んでいたのですが
たくさんの出来事が絡まり合っていても複雑というわけではなく、でも上辺だけを見ていては結末に辿り着いたときに感情の行き場を無くすような。
引き込まれる要素たっぷりなお話だったけれど、想像以上に読みやすかった印象でした。

3

サスペンス映画みたいなお話

BLって感じではなくミステリー色の強いお話です。初っ端のちびっ子が血まみれでナイフ握ってて誰かが倒れているシーン、これが伏線なんだけど私は完全にミスリード。

しちみ先生ってイヤァなお話描かれるって思い込んじゃってたからニコ君まわりに現れる人物は、一見好青年やいい人そうでも疑いの目で読み進めてしまうクセが付いてる。

さて、今作はどうだったでしょうか?
読んでみてください。
私的にはそこまで胸糞ではないし、いい終わり方して良かったなと思いました。

物事が自分で決められないから[決定代行人]に決めてもらってるアル。大きな穴がぶち開いた部屋に住んでるのにいい身なりのアルの事が気になってしまった。基金のお金がたんまりあるんだろうか?

描き下ろしが粋な終わり方したけど、でもでもやっぱりBLならばその先の濃厚なやつが見たかったです。同人誌で出ませんかね?

紙本で購入。
白抜き修正

4

タイトルの意味は「優柔不断」だそうです。

しちみ先生の作品といえば、バッドエンドのイメージ。
そして今作のあとがきにも、プロット段階では超バッドエンドだったと書かれていて、そちらのバージョンもちょっと読んでみたかったまりあげは、、、


そんな今作ですが、ニコくんは3人の男性と接触します。
まずは、引越し先で「決定代行」というバイトを持ちかけてきた黒髪スーツのお金持ちイケメン。

AかBか決められないイケメンの代わりに、答えを決めてほしいとニコくんは頼まれるのです。

ちなみにそれ専用の携帯電話があって、そのバイト内容は他言してはいけないというルールもあり、少し様子はおかしそう、、、


と、その出会いのすぐ直後に女性トラブルを抱えた隣人ルカとも出会います。
彼は近隣で起きたシリアルキラーを調べる記者。

そして、さらには出所したばかりの父親。


この3人がニコくんを翻弄し、しちみ先生だしラストまで気が抜けない!! なんて思っていたら!!

帯に書かれていたまさに「新感覚の考察系BL」でしたので、しちみ先生にしては新鮮なラストをぜひ見届けてほしいです!!


3

「選択」と「選択肢」決断に於いて重要なのは……?

今回はあらすじを読んでみて、しちみ先生の作品では初めて紙本を購入してみました
決め手はあらすじにて言及して下さってる描き下ろしの内容がある事

しちみ先生作品を既読の読者さまにはお馴染みのニコラスくんですが、基本は「不憫」がお約束です(´Д⊂シクシク
その上今回の作品の本筋には不穏な言葉が…‼
またしても読後にずーーん。。。と重くなっちゃうヤツなのかなぁ、、、と思いきや「描き下ろし」に救いがありそう??!!という文言を発見です
と、いう事で電子配信情報が分からなかったので居ても立っても居られず本屋へGO‼


以下本筋に触れないよう努力はしますがネタバレ回避希望の方はお気を付けてお読み下されば幸いです

さてさて、、、この作品に登場するキャラは主に4人
ご存知しちみワールドの専門受け担当の「ニコラスくん」
今回彼が心機一転新しい街に引っ越して来る所から物語がスタート
ページを捲った1ページめの不穏で強烈なプロローグは一旦スルーで話が展開していきます

ニコラスくんが作中出会う順に他の3人をご紹介
1人目は新居の隣人
初出は女性に頬を引っ叩かれている所に出くわす気まずい感じの出会い
2人目は街なかで挙動不審な動きをするスーツの男性
困りごとかな?と訝しげに思いながらも声を掛けるニコくん
この出会いからお話しが転がっていきます
3人目はニコくんの義父
どうやら出所後にニコくんを探し出し無理矢理の再会の様子…不穏です…

さて4人の主要キャラですが名前があるのはニコくん含めて3人です
義父は関係性は明かされていますが名前は出ません
ニコくんには「アイツ」呼ばわりされており望まぬ再会は明白。。。

今作の表紙にニコくんと共に描かれているスーツの男性が2番目に出会った「アルバート」
この作品の裏主人公とでも言いましょうか…?
彼は作中ではニコくんを自身の「決定代行」としてアルバイトを頼む雇い主です
決定代行とはアルバートが選択を迷った時にアルバートの代わりに選択の決断を下す、というのがお仕事内容
その選択肢の詳細は深追い禁止
それは例えば「朝食の卵はボイルかフライか」「ネクタイの色は赤のラインかシルバーか」「男か女か」「頭か心臓か」。。。
様々に投げ掛けられる選択肢から選択を委ねられます
それにニコラスは決断をしてアルバートに伝える
そんなちょっと変わったアルバイトを通して近付いていくアルバートとニコラス

そして1番最初に出くわした隣人のルカとも徐々に関りが増えていくニコラス
最初は厄介な隣人
でも次第に交流を重ねる事で近付く2人

そして3人目は招かれざる客の義父、、、
ニコくんのお母さんと昔3人で暮らしていた様ですがどうやら義父が服役中に母親が亡くなり、それを機にニコくんは引っ越したようですね
ところが知らぬ間に出所していた義父は新たに小さな姉弟を携えてニコくんの目の前に表れ金の無心をします
自身の要求に応えなければ幼い子供が辛い目に遭うぞ、と…完全に脅しです
更にこの再会はこの1度きりでは終わりません。。。
義父はニコくんのお家さえも突き止め、金のみには留まらず美しく育ったニコくんの色さえも欲します。。。
。。。出ました……先生得意?のイタイ展開です(ノД`)ツレェ…

少しずつ交流が芽生え、訳あって気にかけている隣の部屋の異変に駆けつける1番目の男、ルカ
さて、、、このルカはニコくんにとってのどんな存在に?
はたまた2番目の男、アルバートとの関わりはあるのか?

そして彼らが住まう街で頻繁に起こるシリアルキラー、通称「ブラックコート」のニュースが騒がしい。。。

さてさて、、、この4人はこの事件と関係があるのか無いのか
今回のニコくんには本当に救いがあるのかどうか、、、

不穏な空気に包まれながらも読み進める手は止まりません (>ㅅ<)

読後の感想は安易には言葉には出来ませんが私的には「救い」があった、、、と受け取っています
「選択」を下す重み以前に「選択肢」を増やせる広い視野と知見を得る事が大事
そして可能性を広げ、選択肢を増やす方法は1人で生み出すのではなく誰かと考える事で自ずと広がるハズ
そんなメッセージを私は受け取りました

しちみ先生テイストは損なわれず、でもいつもよりも読後の感情は穏やか
それでも間違いなく「先生の作品」と分かる作風は健在
こういう作風で個性を出しながらも考えさせる作品を描ける作家さまの作品は最大限評価したいな、と思います
しかもちゃんと商業と同人での描き分けもしながらも一貫したテイストは崩れない…流石です
これぞ才能でありプロフェッショナル‼

修正|描写自体が少ないのですが性器がハッキリ分かる描写は1回で縁取りありの白抜き(紙本)

6

ちりっとほろ苦いミステリー

年若い美青年「ニコラス」を俳優のように著作で主役にする、スターシステムと呼ばれる手法で描くしちみ先生。
疑問が疑惑に変わる謎めいたストーリーと、日常の中に僅かに漂う、しちみ先生作品らしい不穏さにぞくぞくします。
甘いお話がお好きな方にはどうぞ!とおすすめは出来ないかなと思いますが、ミステリーや考察、ちょっぴりビターなお話がお好みの方はもしかするかもしれません。

新たな生活を送るために引っ越してきたばかりの大学生のニコラスの前に現れたのは、左足と右足のどちらから店に入るかどうかで悩み果てる、身なりの良い男性・アルことアルバート。
優柔不断が過ぎて、毎日の生活における大小様々な物事を決めることが出来ないと言う彼の相談に乗る「決定代行」のアルバイトをすることになり…

どこで何をしている人なのかも分からないけれど、卵をボイルにしたのかフライにしたのか。ネクタイの色を何色にしたのかについては知っている。
新天地で新生活を始めながら、携帯電話を片手に優柔不断なアルからの2択に答えるニコラスが送る日々がなんだか不思議と悪くない気分になるんです。
…が、ここで終わらないのがしちみ作品。
良い印象がない出所したばかりの暴力的な義父。そして、記者でありニコラスの隣人でもあるルカ。
彼らがニコラスのごく普通だった新生活の中にそれぞれ異なる色の絵の具を落とし、ぐるぐると複雑に混ざり合ってマーブリングされていく。

なんだろうなあ…誰とくっつくのかが分からないのが面白かったですね。
突然現れた義父に脅かされる恐怖から日常に引き戻してくれるアルからのいつもの電話に、ルカと雑談をしながら食べる夕食。
どちらもニコラスにとって心安らぐものなのですが…とある事件を知ってからというもの、自分の選択について次第に疑問がわいてくる。
疑問が疑惑に変わる不穏をじりじりと追いかける面白さが楽しめる作品でした。

CPに萌えたのかというと、うーん…個人的には微妙なところではあります。
お話は面白いのだけれど、後半の駆け足さは否めないですし、描き下ろしでももうひと息ほしかったかなあ。
あとがきに超バッドエンドの可能性があったと書いてあって、個人的にはそちらも読んでみたかったですね。
カバー下のアルバートを見れば見るほど、彼中心のお話をもっと読んでみたい気持ちになります。
掘り下げれば掘り下げるほど魅力的になるキャラクターだと思うんですよ。もうちょっと彼のことが知りたかったです。

3

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