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願いの種子が芽吹く、からだのおくそこで――
ugetsudou antique
タイトルに惹かれて読んだのですが、初っ端からファンタジー感満載で予想を裏切られました。
私はこの手の話の雰囲気は嫌いじゃないので何とかいけましたが、これは好き嫌い分かれると思うな。
月路は何で種をお尻INしちゃったのか?とか、
颯は色々すんなり受け入れ過ぎじゃないか?とか、
「次来た客が子どもを産む」ってあんなに手紙があるのに今までの客は?とか、
前の店主って月路の親なの?とか、
そもそも月路ってヒトなの?とか
ファンタジー部分の設定やキャラの心情等、色々設定が甘いなーと感じる部分も多いのですが、雰囲気で読めちゃったとこありますね。笑
ひとつ気になったのは、月路のデフォルメ絵が酷い!作品の雰囲気と合わない!普通に描いて欲しかったです。
不思議できれいなファンタジーでした。
雨の日にしか現れないアンティーク店、品物は思い出と交換という不思議なお店です。店主がイケメン。思い出は渡せないと言うと、なら子どもを産んでくれと突拍子もない交換条件です。
なぜこのお店が存在するのか、前の店主からどうして引き継いだのか、お店は無くしても良かったのか…。このお店にまつわるミステリーは解き明かされることなく、ただなんとなく不思議な感じで終わってしまったのは残念です。この雰囲気が好きだったら楽しく読めるとは思います。
BLとしては、やはり不思議が絡むと恋愛としてのテイは薄くなってしまいますね。その理由付けのためにも謎に対する解説がほしかったです。
二次でご活躍されている時からファンでした
この話は久しぶりに読み返してレヴューしておきたいなと思いここに書くことにしました
以下ネタバレ含みます
雨の日にだけ現れる骨董屋雨月堂は後悔がある人だけが見つけられ店に入ることができ
物を買う対価が大事な記憶と引き換えという不思議な店
ある時骨董を扱うサラリーマンの颯がその店を訪れる
そこで無くしていた祖父の形見の懐中時計を見つける
売って欲しいと願うと記憶をもらうと言われる
それを断ると店主の月路がじゃあ俺の子を産んでくれと言われて躰に子宮ができるという不思議な種を埋め込まれる
この初めの展開がとても急で余りな内容なのにすんなりと受け入れられる颯が不思議で
展開的にはどうなんだろうと思うんですがここはさらっと乗り越えて欲しいです
本題はそこではなくてその後の2人の気持ちの動きです
店の成り立ちのために作られたという月路とドードーは雨が降っていない時に外に出れない
彼の望みは月を見たいという事(雨が降ってる夜は月は雲の向こうですもんね)
その希望を叶えるには彼の子供がその間店にいる事、だから彼は子が欲しいのだったが…
颯は月路の静かな不思議な存在に惹かれ月路は颯の存在に癒され惹かれていく
自分が植えた種のために颯の体に変化が起き彼を脅かすかもしれないと知った時何もかも失っていいと思うくらい…
個人的には表情がない月路の変化がとても好きでした
でも颯も同じように変化しているのもよかったです
読後感がとてもいいお話です
人によってはなぜ子供を求めるのかの答えが気に入らない人もいるだろうなと思うけど個人的には気にならなかった
あと先生のキャラの造形がとても好みなのです
目に優しく心にも優しい一冊です
面白いし絵もきれいでエロも充実している
でも
やっぱり不思議部分にもうちょっと説得力が欲しかった気がしてしまう
犬の首輪の女の子は雨が降り出すやいなや店から出てきたけど、前夜から店にいたのか?とか、前の店主から次の客がって言われてたって、そんなに滅多に客は来ないのか?(じゃ首輪の女の子は…)とか
そもそもお金はもらわないのならなんのお金でドーナツとか買ってんの?!
もし前の店主(親か?)が店から開放されたあと生活を支えて話もしてるってことなのか?親がいるのならご飯、誰とも一緒に食べたことないってどういうこと?
とはいえ、印象に残る演出が胸に響くので全体的には面白いし読後感が良い
楓を手放すと決めたときにお菓子の月を見て月路がどんなこと思ったのかとか、お話の流れと間で分るような気がしてぐっとくる
月路は表情に乏しく、顔から読むのは難しいけれど、そこを間でこちらに分からせてくれる
男が知ってまだ日も浅い恋人のために子供を産むことに前向き過ぎるなって印象もあるけれど、特殊な状況に飲まれて当事者が異常な選択をしていく状況ってあるので、このお話はそういうことだなって思っとく
種は相手が女でも必要なのかなぁ
名前間違えてた
颯だった
雨の日にだけ現れる不思議な骨董店「雨月堂」。颯は祖父の形見である懐中時計をみつけ、店主の月路に譲ってくれと頼みますが、代金として想い出を支払わなければならないことを告げられます。想い出は渡せないと言う颯に月路は「僕の子供を産んでください」と持ちかけ、颯は承諾し・・・
雨の日に現れる雨月堂が舞台のミステリアスなお話です。しゃべるフクロウ、雨の日にしか出歩けない月路。読み進めると月路の秘密がだんだん分かってきます。住む世界が違う2人が共に歩んでいくために選んだ結末とは・・・
ネタバレ見ずにぜひ読んでほしいです。
ファンタジー感満載です。
しかし、嘘つき鳥!ドゥードが悪い!
焼き鳥にしてやる。
もしもこの鳥が嘘をつかなかったら?と考えても仕方ない事を考えちゃった。
別のハッピーエンドがあったんじゃないかしら?
子ども産まれたのかしら?気になってしょうがない。産休とれるかしらね?
出産まではどんな道のりなのかしら?
で?鳥は喋れなくなったらいなくなったのかい?
なんか2人がめちゃくちゃ幸せそうだからいいんだけど、その後どうなったかが気になりすぎる。
表紙のイメージから、しっとりとした、プラトニックなお話かな?と思って読み始めました
しっとりは、している。けど、ぜんぜんプラトニックじゃない!し、喋るフクロウちゃんがいることもあり、ファンタジー要素もあって、、もっとガツンと人間関係!というのを想像していたので意外
そして、意外と言えば、、!
オシリからタネIN!からはじまり、けっこうガッツリめなエロ!表紙からはとても考えられないエロ!受ちゃんのお顔が色っぽいこともあり、ストーリーと合わせて十分に堪能できました
最後まで気になっていたのは、、攻は人ならざるものなのか?子どもができて攻が自由になったら、今度は子どもが囚われるの?それでいいの??というところです。ここって結構物語の核心では?と思うので、ちょっと辛めですが萌評価とします
不思議だったけど、夢のあるお話ですごく自分好み。
あり得ないとわかっていても、こういう世界が存在して欲しいと思う設定でした。
雨の日にだけ現れる骨董店は、晴れの日は"存在しない"お店。
そこは大きな後悔のある者しか訪れることが出来ないが、颯は祖父に対しての後悔があったため足を踏み入れることが出来た、と。
お店の設定だけですごくわくわくしていましたが、更に驚きの展開に。
種を挿れて仮腹をつくる、仮の子宮を発芽させる、など独特な世界観にすっかり魅了されました。
月路のミステリアスな雰囲気のなかにある孤独感が放っておけない!という気持ちに。
颯の男前で正義感強いところが月路を上手くカバーしていて、本当に良いカップルだなぁとしみじみ。
あと月路がめちゃくちゃ甘党なのが可愛かった(笑)
素敵な作品に出会えて良かったです。
【設定に怖気ついている方へ】
とんでも設定なのにこんなに引き込まれるファンタジーは初めてでした。
雨の日にしか出られない?なくしたものを思い出と引き換えに?種を埋め込めば男でも妊娠できる?子供ができれば店の後継者ができるから自由になれる?
これだけ聞くと「そんなバナナ」と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし大丈夫です安心してください読んでいると魅力の方が勝ってしまってみるみるうちに引き込まれていってしまうのです。
確かに、気になる所は多々あります。彼らは何者でどこから来たのかとか。でもそれって実は颯(受)も知らないことで、だけど颯はそういう所も含めて知らないままに月路(攻)に惹かれていって...つまりは、好きになるのに少しくらいの謎なんて関係ないってことなんですよ恋愛も作品も!!
何回も読み返すと、これってこういうことなのかな、とか自分で考えて咀嚼できるので延々と楽しめます。
【ロマンティックポイント】
雨の日しか会えないって設定が惜しみなく使われていてとても素敵でした。
雨の日しか外に出れないから、月を見たことがない月路。
雨の日しか会えないから、天気予報を見ながら雨の日を待ち遠しく思う颯。
雨が止んだら死んでしまうのに、颯に待っててと言われて嬉しくて待ってしまう月路。
訳あって月路から記憶を消されたのに、雨の日になると胸が痛む颯。
そして月も随所で活躍するんですよね。
月を見たことがないから見たいと言っていたのを思い出して、月が中に入っている和菓子を買っていく颯。とそれを愛おしく思う月路と私。(月路が極度の甘党なので、颯は甘いの苦手なのにいつもドーナツとか甘いものを買ってくんです可愛い)
そして記憶を消された後に最近は雨も少なくなったなと空を見上げると月があるんですよなんてドラマティックなんだ、、、早く月路を思い出して、、、泣
そんな感じで雨、月、そして甘いものがふんだんに詰め込まれた雨月堂アンティーク。おしゃれだなあ。
【神評価の理由】
二人は骨董が好きという共通点から徐々に距離を縮めて行くんですが、それだけじゃなくて互いに人柄に惹かれているんだ、というのが明確に描かれている所がとてもポイントが高いです。展開が早いと思う方もいらっしゃるかもしれないのですが、二人の気持ちは自然に育まれていますし、丁寧に描かれているので、全然唐突感はないですよ!向き不向きはあると思いますが(想いが通じ合ったからって「子供が欲しいなんて思えるか?オメガバでもあるまいに」とか疑問に思ってしまう方はちょっとあれかもです)、少なくとも月路の孤独で優しくて子供みたいに素直な所に惹かれた颯が、「俺がお前に家族を作りたいんだ」と思うのは私にとってはごく自然の流れに思えました。何より、二人が互いに向ける愛が等しくデカいんですよ。月路が颯の記憶を消したのだって、颯が自分の為に子供を産むことで死ぬかもしれないと聞いて、自分は一生もうそこから出られなくなったとしても颯を手放すことを決めるんです。なんで記憶を消したんだ、と詰られた時の「…失えば生きていけません」の月路の顔が本当っっっに好き。その上で、「俺は死んだりしないしお前をひとりにしない」と迷い子のような月路を大きな愛で包み込む颯。このシーン大の男が二人とも泣いているんですが、それがとても美しくて、なんだか雨みたいだなあと思いながら眺めていました。
【個人的好きポイント】
颯も言っていたんですが、月路の「死んだ魚のような目」がめちゃくちゃ好きです。特に少しデフォルメ?に書かれた時のちょっとホラーな目がめちゃくちゃ好きです。先生のpixivの方にその後の同人誌があげられていたのですが、二人の娘ちゃんは月路に似たようで、死んだ魚のような目がしっかり遺伝していました(笑)
娘ちゃんとのほのぼのストーリーもめちゃめちゃかわいい&面白かったので、ぜひお買い上げになる際は(まだ公開されていたらですけど)そちらの方もご覧になってみてくださいね!
初めて読んだ露久ふみ先生の作品です。
雨月堂骨董店の店主 月路とインテリア会社の営業 速水 楓のお話。
外出先で雨に降られた楓は、たまたま通りかかった店の前で雨宿りをしました。
ふと見ると、看板には「雨月堂骨董店」と書かれています。
骨董好きの楓は、次の営業先まで時間もあるので店に足を踏み入れてみました。
店内の珍しい骨董品の数々に目を奪われていると店主の月路に声を掛けられて…。
雨の日しか営業しない不思議な骨董店。
それは、大きい後悔をしている者だけが訪れることができる異世界の空間。
訪れた人の後悔を思い出と交換する。
それは、とても残酷でとても優しい取引なのかも知れません。
露久ふみ先生のストーリー展開が上手なので冒頭から物語に惹き込まれました。
ファンタジーとミステリーを絶妙なバランスで融合させており、そこにBL要素を絡めていて読み応えがあります。
また、怪しげな雨月堂店主の月路や言葉が話せるフクロウ?のドゥードなど魅力的な異世界キャラが登場し、ドキドキしながら読み進められました。
幼い頃、祖父から譲られた懐中時計を壊したことにより、交通事故で祖父を失ったと思っている楓。
そんな楓が雨月堂骨董店を見つけたのは、偶然なのか?運命なのか?
祖父の懐中時計の対価に月路が要求したのは…
「僕の子供を産んでください」
この奇想天外な要求には理由があります。
それは、雨の日しか店から出られない月路が自由になるたった一つの方法。
このお話には当て馬は登場しませんが、フクロウ?のドゥードがある意味 当て馬的なポジションなのかも知れません。
月路を心配するドゥードの気持ちが大惨事に繋がります。
Hシーンは、楓の気持ちに比例してエロさが増していきます。
最初は「子供を作るためのセックス」だったのですが、後半は「愛ある扇情的なセックス」へと変わりましたね。
楓の体内には仮腹を作るために挿れた種が成長し仮子宮も存在しています。
そのため、楓は今までに感じたことのないトコロで感じているんですよ。
普段はクールな楓からは想像もつかないほど乱れていました(笑)
描き下ろし『後日譚』
本編のその後のお話です。
月路がだんだん人間らしくなっている!
シリアスな中にも、たまに登場する月路の「眉なしの顔」でコミカルさが演出されていました(笑)
「眉なしの顔」の月路が登場する度に凝視しちゃいましたよ~。
露久ふみ先生のお茶目な一面が垣間見られて嬉しかったです。
そして、甘いカレーやドーナツ、和菓子など月路の甘党がわかるエピソードに癒やされました。
個人的には、カバー下のドゥードが語った真実にビックリ!
そして、固まる楓を見て微笑む月路の「眉なし顔」にやられました(笑)
この後どうなったんだ?!
お互いに惹かれ合い、やがて対価が愛に変わった時にドゥードから聞かされた種に纏わる噂。
何かを得るためには、何か手放さなくてはいけない。
それは代償と引き換えに…。
2人が共に生きるために己を掛けて得たものとは?
最後はハッピーエンドなのに、代償を支払うことの重さも感じました。
月路と楓には新しい家族を増やして今以上に幸せになって欲しいです。
愛しているからこそ諦める未来と愛しているからこそ飛び込む未来。
きっと雨の日は雨月堂骨董店を探してしまう…そんな素敵な作品です。
Hの描写が多めだとおもいます。
ストーリーも重すぎず急に話が飛ぶという事もなく、絵も素敵でした。
月路と颯がお互いに惹かれていきお互いを愛すようになっていくところが素敵で、颯が月路とともに生きることを伝えるところなんて最高裁判所でした。
種を入れたり、子作りに励んだり、Hが少しだけ特殊で、好きな人はすごく好きだと思います。薄くさらっとしたキレイな画風と思えば、Hのときは「濡れ!」といった感じでキュンとしました。毎度ベッドとかではなく、シチュエーションも変わったりしていて、キュンとしました。颯の体が、わりとがっしりしていて、テーブルの上に仰向けになった颯の腹筋とかもすごくHでした。(後日譚)
2人が月の下を歩けるようになるために、失ったものがあります。何も失わない、ファンタジーなハッピーエンドではありません。でも、引き摺るような後味のすごく悪いものではありません。
なんだかんだ一番踏んだり蹴ったりの方が、余計な事を言わなければ………()とは思いますが、それもまたお互いに自分を犠牲にしてでも愛を貫きたい(愛する相手を守りたい)という展開に必要なものなのだろうな、と納得しました。
裏表紙のあらすじを読んで、ファンタジーかな?っと軽く手にとり読んだのですが、まさかまさかの読み終わったあと、胸がじ~んとなりました!こんな形の裏切りは大歓迎です!そのくらいとっっても素敵なお話です。
不思議な世界と、現実の繋ぎも設定がロマンチックで素敵なため、どんどん世界に引き込まれていきました。映像化が叶うなら、ティムバートンの描くダークファンタジーな映像が合いそう~!
内容は、ま、種をお腹に仕込んだりするので可愛いだけなお話ではないのですが、セッもたっぷりあるし、なんといっても受け様がお美しい。
攻め様は、一見スパダリ様かな?って思ったのですが、一途で可愛いんです!
健気攻め×美人受けかな?
ちび絵になると、まりもっ◯りのキャラクターのような目になるのも怪しげで良かったです!一応目が死んでるかららしいのですが、だんだん可愛く見えてくる不思議です。
不思議な世界観にぐっと引き込まれ、2人の愛情に胸打たれ、読み終わったあとの気分の良さは最高です。
こんなお店があるのなら、雨も嫌いではなくなっちゃいます。
「えっちでハッピーなお話だよ」とおすすめされたので読みました。
雨の日にしか現れない骨董品店で亡き祖父の懐中時計をみつけてしまう。そのお店では、骨董品を手に入れるには一番大切な思い出と引き換えにしなければならないけど、思い出は失くしたくない颯は月路の子どもを産むことになってという感じのお話です。
子ども産める体にするために種を植えて仮腹を作るという設定がまずとても好きでした。月路はどうして子供が欲しいのかという理由を知ると、子ども産んであげてもいいという心境になる颯の気持ちもわかります。
この鳥クソ性格悪いな!!!と、憤ったりもしましたが、二人がお互いのことを愛しているのがとても伝わってきますし、せつなくて胸がきゅっとします。
欲を言えば、せっかくの設定なので二人の子が出来るところが見たいなと思いましたが、お話自体はとてもよかったです。
表紙と特典に惹かれて購入したのですが当たりでした。
帯にも書かれていましたが、一言で言うならエモい。
他の方も書かれていますが、この攻めの月路という骨董店店主が
初登場した時は本当に得体が知れない雰囲気で不気味なんですが、
月路と颯の関係が進んでいくにつれ月路の表情が人間のようになっていくのが良い。
代償はあるものの、結末も二人の幸せな未来が見える気がして満足です。
カバー下の言うならエモい。
他の方も書かれていますが、この攻めの月路という骨董店店主が
初登場した時は本当に得体が知れない雰囲気で不気味なんですが、
月路と颯の関係が進んでいくにつれ月路の表情が人間のようになっていくのが良い。
代償はあるものの、結末も二人の幸せな未来が見える気がして満足です。
カバー下のドゥードには笑いました。可愛い。
雨の日に体から「つゆだく」な出逢いをしたふたりが「晴れの日」を迎えるお話。
骨董店が異空間であるファンタジー設定で、体を重ねるまでは早いんですが「好き」という想いをゆっくり静かに重ね合わせていく過程が素敵です。
優しい雨がふたりの気持ちをパッケージした作品でした。
**********
颯の日常を変えたのは雨。
インテリア会社に勤める颯が偶然見つけた不思議な【雨月堂】というお店…そこは雨の日だけ営業しているという骨董店。
店番をしている鳥ドゥードはたたずまいからして怪しさが漂っています。
そして謎の店主:月路に店に展示されていた、大好きだった祖父の形見の懐中時計と引き換えに「子どもを産んで欲しい」と提案される颯。
全編を通じてややダークな雰囲気や湿度の高い表現、「子どもを産む」ための濡場もふんだんに盛り込まれています。
種を下から挿れて借腹を作るってすごい設定!
骨董の話で意気投合する月路と体を重ねるうちに、少しずつ月路への興味に目覚め共に過ごす楽しさを知り始める颯。
この颯さん、非現実と現実を混ぜたような人で面白かった!
いきなり子ども産む選択するは、子どもの将来には口を出す宣言とか産休とれるか心配したり(笑)
端正な顔の下の理性と情緒がチグハグな感じに月路も惹かれたのかも知れません。
颯が何度も訪れるうちに無表情だった月路に表情が宿るようになる過程がすごく好きです。
颯も言っていますが、月路は素直で子どもっぽいところがあります。
得体の知れなさと無邪気な様子のギャップがとても可愛い。
ずっと独りの一日を繰り返しながら生き続けていたであろう彼が颯と出逢いで人間っぽくなります。
月路が仕事中の颯を待つエピソードがあるんですが、すごく好き。
静かに降る雨が颯への気持ちを表現するかのようで、月路本人も嬉しくて幸せだったと語っていますが、読んでるこちらも幸せになるような笑顔で胸がつまりそうになりました。
ある日、種を体内に挿れたことで体調を崩し気味の颯が「死ぬかも?」とドゥードに忠告された月路は颯を想う一途さから別れを選びます。
颯の記憶を消した後に残るのは、思い出と記憶だけ、それでも颯が生きていてほしい。
それが同時に月路が店の外に出られなくことを意味しても。
自由に焦がれていた月路の「颯のための」選択と柔らかい表情に涙がでます。
でも、颯は自分の消された記憶からも無意識に月路の断片を探します。
店のあった場所で懐かしい胸の痛みから、ついに再会へ(爆泣)
颯のプロポーズも、ふたりが揃って店から外へ出ようとする場面もかっこよかった! 好き!!
雨上がりが訪れた、ふたりの恋に心から安心しました。
颯こそ、月路にとっての「月」だったのではないでしょうか。
月をモチーフにしたお菓子、カラーで見てみたいなぁ。見つめる月路の胸もいっぱいだったんじゃないかなぁ…
あ、月路の作ったカレーも美味しそうだった!
後日譚は颯の同僚たちとの様子にヤキモチを妬く月路。コミカルで楽しい!
カバー下のドゥードの衝撃のネタばらしに笑いました。ふたりの娘ちゃん(想像図)の目元にも(笑)
とっても不思議なストーリーですが、好きでした。
露久先生の絵が作品の雰囲気にとても合っていて、一冊の物語を読んだ気持ちになります。
雨の日だけ現れる不思議な骨董店に紛れ込んだ颯。
そこで祖父の形見を見つけた颯は、店主の月路に譲って欲しいと頼むも、商品と引き換えに要求されたのは意外なものでーー…!?
これだけでも不思議なのに、商品の代わりに要求されたのは〝大切な思い出〟
大好きだった祖父との思い出を失いたくない颯は、それ以外の方法を要求します。
すると、今度は月路の子どもを産むことを求められるーーという、本当に不思議な謎だらけの展開。
仮腹を作る「種」を下から挿入され、会うたび月路に種付けされる颯。
月路と時間を共有するうち、いつしか雨の日が楽しみになっていきます。
しかし、種が体に合わず、颯が命の危機と聞かされた月路は颯の命を最優先します。
全てを諦め、颯の記憶を消して解放しようとする月路は、このままでは一生店から出られなくなってしまうのです。
颯がいない世界なら死んでいるのと同じーーそう言って、なんの躊躇いもなく行動できる月路はとても健気な男だと思いました。
記憶を消された颯もまた月路を大切に思っており、自力で記憶を取り戻していきます。
そして、店に閉じ込められた二人が取った行動は……?
思い出はなくならず、巡り巡るもの。
代償を伴いながらも手にした二人の幸せなラストには、ホッと胸を撫で下ろしました。
最初から最後までファンタジー要素満載です!
無表情の月路が嫉妬する後日譚も萌えたし、ずいぶん人間らしくなったなと感じました^^
カバー下をみると、二人の子ども予想がみられます。
目が完全に月路で吹き出してしまいました(^^;;
月路が雨の日しか外に出られなかったり、喋る鳥がいたり、手紙化された人々の思い出があったり……と、謎がたくさんあります。
全てが明らかにされるわけではないのですが、健気な二人のお互いを思う気持ちに胸打たれ、感動できる作品だったと思います。
一番好きなエピソードは、月を見たことがない月路に颯が月を模した和菓子を買ってくるところ。
颯の優しさに胸が熱くなった、とても素敵なシーンでした。