いたぶること 唯一ゆるされた 愛しかた

夜はともだち

yoru wa tomodachi

夜晚是最好的朋友

夜はともだち
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神277
  • 萌×283
  • 萌41
  • 中立25
  • しゅみじゃない29

--

レビュー数
61
得点
1865
評価数
455
平均
4.2 / 5
神率
60.9%
著者
井戸ぎほう 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
ふゅーじょんぷろだくと
レーベル
POEBACKS Baby comic
発売日
価格
¥675(税抜)  
ISBN
9784893939715

あらすじ

ノーマル似非S×真性ドM
「SとM」役以上の繋がりを求めてはいけない――?

顔は可愛いのに無口で無表情でミステリアスな飛田(とびた)くん。
実は飛田くんがゲイでドMだと知った真澄(ますみ)は、
好奇心からサド役を演じることに。
『飛田くんが真澄の名前を呼んだらプレイ終了』という唯一の約束。
それは2人のつながりの終わりも意味していたのだが、
真澄はプレイメイトという限定された関係以上を期待するようになり――。

類い稀なセンスで絶妙なバランスの2人を描く注目の一作。

表題作夜はともだち

レビュー投稿数61

普通って何?

ドラマCD化をきっかけに原作も読ませて頂いたのですが…これはすごい作品に出会ってしまったな、という感じです。読む度に新しい気付きがあり、その度にこの世界に引き込まれていきます。ちなみにこれをきっかけに井戸ぎほう先生の作品は全部読ませて頂きました。心情描写が繊細でとても心惹かれます。
最初飛田君は変わってると思ったのですが、彼の言う「普通って何?」に頭を殴られたような衝撃を受けました。普通ってなんだ?私が今まで生きてきた中で常識と思っていたものは果たして本当にそうなのか?自問自答をしながら何度も読み返しました。器用に世の中を渡っていたはずの真澄君は、飛田君を好きになることで自分の中の矛盾が噴出してきます。血は見たくないと言っていたのに終盤では飛田君を殴って血を流させてしまう…。飛田君を好きだからこそ触れるのが怖いという気持ち、好きだからこそ別れを切り出してしまう気持ち、切なくなりました。それにしても真澄…飛田君は君を好きだという気持ちをことあるごとに示しているのになんでわからないんだ〜!ともどかしく思いました。誕生日プレゼントに星の本を投げてよこした飛田君のまなざし…無茶苦茶好きが溢れているではありませんか…!(真澄の位置からは見えなかったのかな?)
「真澄の目は金星みたいだ」も愛の告白でしょうが!
最後、飛田君が勇気を出して真澄に会いに来るシーンはとても美しくて、抱き合って涙を流すシーンは私も泣きました。2人がこの後も一緒にいられたらいいな。多少噛み合わないこともありつつも、2人が幸せでいて欲しいと願わずにはいられません。

0

普通を問う

先日私に思わぬ嬉しい再会を紹介してくれたBLソムリエをまたまた使ってみたんですよね。
傾向「コミック」で今日の気分は「普通」で。

そしたら今作、先生の「夜はともだち」を勧められました。
……正直2度見しました( ゚Д゚)

コミック→普通
で読んでいい作品じゃないのでは?と思う私はソムリエにはなれないな…
なんて思いながらも「久々だし!」と思い折角なので読み返す事に。

そして思ったんです。
この作品で「普通」を問われているという本質を。

改めて思います。
普通を求める異常。
異質を拒否する不寛容。
私は自らの視野を狭窄していたのだ、と。

ほんと、この作品は私が持っているBLの中でも凄く
複雑な気持ちになる作品のトップランカー。
正直に萌えるか?と問われれば素直にYESとは決して言えない。
でも、手放すか?と聞かれたら絶対NO!
間違いなく今日も含めて何度か読み返している作品ではあります。

そしてまた自分の視野の狭さと世界の広さを、人と繋がる奇跡について心静かに考えたくなります。

価値観の共有は大事でもあり実は不要でもある。
それらを超越出来る人と出会える事。
誰もがひっそり、切に求める「自分が普通で居れる場所」。
それを手繰り寄せる行動を起こした真澄と飛田の2人は「ともだち」という奇跡の星の元幸せでいて欲しいと願うばかり。
この先、心と体が求める相違の溝が狭くなっていくのか、深くなってしまうのかは分かりません。
でも、少なくとも自分にとっての普通が何か?を誰かが知っていてくれる、という事実は消えずお互いの支えとなるハズ。
そう信じて2人を見守ろうと思います。

…正直評価にずっと悩んでます。
もう萌える、萌えないではなく作品として持つ力に敬意を込めて『神』を送りたい。でも、自分の気持ちをブチアゲてくれる類の作品ではやはり無い…かと言って『しゅみじゃない』でも勿論ない…

この作品をどんな人に勧めるか?を考えた時に悩んでしまった…というのが1番評価に悩んだポイントかも知れません。
この辺のモヤモヤをまとめて今回は『中立』にしようと思います。

0

読むたびに新しい

内容等は他の方のレビューに詳しく載っているのでそちらをご参考にしてください。
こちらの本、ずっと気になっていてアニメ◯トやまんだ◯け等を駆け回って探していたのですが、数年前の作品のためなく、Amaz◯nで買うこととなりました。購入を検討している方は時間を浪費しないためにもネットショッピングを活用しましょうという謎のアドバイス。

読み返すたびにここはこういう意味かな、とかおっこれは!とか発見がある本だと思います。
ただのSMという訳ではなく、真澄の苦悩や二人の関係性などがメインとなっているので、読んでいて苦しくなる時もありました。
だからこそラストが素晴らしい!!

気になっている方はYouTubeにCDの試聴動画もあるので是非見てください。

0

傑作

タイトルの一言につきます。何度も読み返している作品のひとつですがCD化されるときいてここにすっ飛んできました。
静かで切ない作品の空気感が好きです。音声化でもそれが上手く表現されているといいなあと思います。未読の方でキャスト買いされるという方も是非原作を読まれてみてほしいです。

2

何回読んでも難しい、神作品

ストーリーの内容は、何回も読んでるから理解してるつもりなんだけど・・・
読んだ後に、解釈がいつも違ってしまう・・・なんとも、不思議な作品です。

最初に読んだ時、マンガで1巻で完結なのに、難しいなぁ〜!って、言うのが1回目に思った事。

1回では、理解出来ずに2回3回読むんだけど、その都度ストーリーは頭に入ってくるのに、読後の感想が違ってくるなと!

噛めば噛むほど、美味しい作品ですね。
他には無い魅力で、また読んでしまうの繰り返し。

この作品に、続編は必要ないと思うが・・・宇宙人の飛田くんが、その後どうしても気になって!

また、飛田くんに会いたい。








3

1年間ずっとこの漫画のこと考えてる

表紙の絵で最初ぐっと引き込まれて購入しました
冬の雰囲気が凄く好きなのと、痛々しい表現が相まってグッときます

2

”痛い”が優しい愛情


全体的にダークちっくなお話でした。
タイトルに「夜」が入っているのもあってか、夜の時間帯が多かったです。

痛いことでしか快楽を得られない受けと、痛いことは痛くない攻め。
二人は同じ学校に通う大学生。
受けが社会人の男性と揉めているところに攻めが声を掛けて助けたことがキッカケです。

受けが縛ったりいじめたりしてほしいと明かし、攻めがそれを担う。
夜だけの、体関係です。

攻めは本当に優しいし、優しくしたい気持ちがすごく伝わってくるのですが受けは一線を引いたような態度で…。
どちらかというと攻め視点のような気がします。

攻めが恋人同士のようなエッチをしたら、心は幸せそうだけれどイけなかったのを見た瞬間、もうなんか言い表せないくらい切なくなってしまいました。

受けがどうしてそうなってしまったのかというエピソードは特になく…。
一言ポロっと言っただけでしたけど、私はそれが逆に良かったなと思いました。
辛くて痛い過去を知ってしまったら泣いてしまいそう…。

でも最後はどうにか二人の幸せな形に落ち着いて良かったです…。
ただ、この後にアホみたいにハッピーなBLを読みたくなりました。

3

金星の象徴するもの

金星は「愛」の象徴であり、キリスト教では「光」、仏教では「悟り」を意味するそうですね。そう考えると、飛田による真澄の眼の例え、益々深さが増しますね。最後のセリフはやはり彼なりの愛の告白、いや、それ以上の何かなのでしょう。

もう作品自体については大勢の方が素晴らしいレビュー書いているので手短に。BL読んで心臓バクバクしたの初めてです。とにかく真澄の似非S行為が段々ガチな苛立ちからくる暴力に変わっていく過程はハラハラさせられました。飛田は彼なりに何回か好意を示してたんですね。真澄に対する「無理して笑わなくていいよ」、とか。というか真澄より早い段階で好意を抱いていますね。

性の不一致は解決されてないので今後が不安、と言われていますが、私は寧ろこの二人は今後は末永く幸せになるんだろうな、とラストを迎えて思いました。そもそも真澄があんなに傷付いて取り乱していた理由は、飛田からの愛が感じられないという不安がある中、S役を演じなければいけなかった+SMの時しか興味を示さない飛田に対する苛立ちだけが募っていたからだったわけで (最後の風呂場のシーンでもそう言ってますよね)。飛田が愛を告白し、何をすれば真澄が喜ぶのかを自ら考えて行動に移している時点で、そこは解決されたというか、すでに二人は歩み寄っているのだと思います。今後は飛田が悦ぶSMを続けつつ、真澄が望むセックスもするんだと思います。人生山あり谷ありですから、飛田が言った通り、喧嘩したり仲直りしたりして幸せを掴んでいくのでしょう。人と真剣に付き合うには、双方向の努力と妥協が必要ですから。
と、結婚式のスピーチみたいな感想文になってしまいましたが笑 二人ともお幸せに。

※修正に関して: 電子書籍はガッツリ白抜き、紙は控えめ黒線修正でした。正直電子書籍はコマによってはトーンが消されてたり白過ぎてコレ何のコマ?状態だったのでこの作品が好きならば紙購入をオススメします。

4

映画のような

人物の動きや台詞がまるで映画のようだ。

行動をいちいち説明することなく、ひとつひとつの仕草や視線を追うことで二人の気持ちが伝わってくるのが不思議。
飛田は感情が分かりにくいと最初は思っていたが、何回も読み返すうちに、彼の不器用なアピール(メッセージ)に気づき、改めて奥深い作品だと思った。
読む度に新しい発見がある。

そんな彼が感情を顕にするシーンは、胸に来るものがある。
本来なら相容れないはずの二人が互いに歩み寄ろうとするところがいじらしく、切なく、愛おしい。

3

淡々と美しく痛くもあり…ラストが最高

ツイッターのフォロワさんかツイートされていてよさそうだったので情報入れずに。こんな話だったとはw
人に興味のない飛田と、特に変わったとこがない真澄。
真澄目線で話が進むし考えていることが理解できる。
性癖の違いと言ってしまえばそれまでだけど、距離が縮まりそうで心は近づいていないようなもどかしさ。

どMの、痛いのが気持ちいいとかプレイ中の「ごめんなさい」がちょと辛くて
でも飛田が珍しく自分のことを話すセリフは納得したし、胸に響いた。

絵もコマも美しく、セリフない表情も語るものがあり。
淡々と2人のやりとりだけだけど最後まで引き込まれた。
ラストが最高でよかった!!

2

神作品

これはBLの枠に収まらない傑作。
BLハマる初期に出会った作品だけど
私ももうこれって純文学に近いんじゃないかなと思う。
久々に読んでも最後飛田くんが真澄に会いに来て
告白するくだりはぐっと来過ぎた。涙。
真性ドMとノーマルだけどプレイメイトをかって出た
友達ですらなかった2人の関わっていくうちに変化する関係のお話がもうヒリヒリ度苦しいのが
淡々と静かでハンパないです。大好きな作品。
絵も雰囲気も大好きですが
こちらの作者さまって最近全く音沙汰がなくて心配。
また新作が読みたい先生です。

5

予想外に良い!

ずいぶん前の作品なんですね。
表紙に惹かれて読んだのですが、ちょっと想像していた内容と良い意味で違ってて、すごく良かったです。
攻めの真澄、受けの飛田くん共お互いにお互いを理解できない不思議な存在と認識しつつも、いつの間にかなくてはならない存在になっていて、すれ違いからの最後真澄に会いに行く飛田くんのシーンがすごく良かったです。
泣きました。飛田くんと一緒に泣きました。
夜読んだので、雰囲気ぴったりでとめどなく泣きました。
SM系が苦手な方は注意が必要かもしれませんが、それがあっての物語の流れなので、私は不快には思いませんでした。

2

文学作品の域に達していると思う

死んだら棺に入れてほしい作品筆頭。

どこまでが厚意でどこからが愛なのか。
数年前に購入して以来今でも頻繁に読み返す一冊。

簡単に言うと、顔見知り程度だった大学生二人の関係の変化を描いた作品。好奇心と親切心から始まった関係が、深まっていくにつれて(そんなつもり全くなかったのに)傷ついてしまう…心の機微を繊細に捉えている。
一度読んだだけではよく分からない作品だ。じっくり行間を読むことで、こういうことだったのかもしれないと気づかされる。こんなにも考察しがいのあるBL作品が他にあるだろうか…。

話している言語によって思考が変わる、みたいな説が確かあった気がするのだけど、それを思い出した。
飛田は真澄にとって宇宙人みたいで、宇宙人からすれば真澄だってそうだろう。自分の常識の範囲外の言葉、思考、出来事に対する反応が面白い。
例えば飛田は、真澄が風邪を引いた自分のところに差し入れを持ってくる優しさが分からないので差し入れをぞんざいに扱う。例えば真澄は、飛田から天文学の分厚い本を誕生日プレゼントとして投げ渡されるが、外国語で書かれているため読めずにパラパラめくって放置する。例えば、真澄が飛田と水族館にいることを楽しんでいても、飛田は真澄に帰路で虐めてもらっている時の方が嬉しそうで、真澄がそれに腹を立てて飛田の顔を蹴っても、飛田には快感になってしまう。読めば読むほど、はがゆい、じれったい、ままならない。
互いに投げ合ってはいる(かなり全力直球)けど、転がしておいて拾わないキャッチボールという具合。あるいは、自分にとっての好物が相手にとっての苦手な物、ではなくて石ころ(食べ物ですらない)みたいな関係性。
結局最後まで互いを理解することはできないまま終わる。ただし、受け入れることはできるようになる。それが愛だ、ってなるとチープに見えてしまうけれど、やっぱりつまりどうしようもなく愛だろう。自分がいること、相手がいること、相手のことを考えること、相手のことを考えて行動すること、この流れの描かれ方はほんとうに素晴らしいと思う。自分にとってはただの石ころだけど、相手はこれを好きで食べるのだから拾ってあげよう。だから真澄は飛田を虐めて快感を与えてあげるし、飛田は真澄にキスをして喜ばせてあげる。どうしようもなく尊い。

うまく所感を述べられないこともまだまだたくさんある。天文学と絡めた描写や、純粋にエロすぎる濡れ場、視点を真澄ではなく飛田に移すと……などなど。また読み直そう。
BL作品の枠におさめていくのはもったいないと思う。もっと広く読まれるべきだ(難しいけど)。

※ほんとうにどうでも良い所感(妄想)↓
人当たりも要領も良さそうな真澄。人の好き嫌いがはっきりしているマイペースな飛田。大学生あるあるを踏まえた勝手なイメージだと、飛田は出席日数ギリギリだけどレポートやテストはそこそこ良い評価を得るのでなんとか単位は落とさない(まれに出席日数足りずに落とす)講義室の割と前の方の通路側にぽつんと座ってるタイプ。真澄は基本真面目に出席するけど欠席のときは友人に代筆頼んだりテストは先輩から過去問流してもらったりしてフル単、講義室の後ろの方の真ん中あたりに友人たちと座ってるタイプ。

5

ただのSMプレイBLじゃない

表紙を見て何となく、男の子が一方的に痛めつけられる暗い話かな...と思って避けていたのですが、予想を裏切られました。良かったです。

SMプレイが好きな受け・飛田と、普通に受けを愛したい攻め・真澄。お互いの“性の不一致”とどう向き合うか?というお話です。

飛田に特別な暗い過去やトラウマがある訳じゃなく、SMプレイが一番気持ちいいからしたいだけだ、という理由がすごく自然で好きです。性癖なんてそんなものですよね。

SMプレイのあるボーイズラブは受けに重たい過去を背負わせている作品もありますが、この作品はただ2人の男の子を描いていて、なんだかリアルでいいなあと思います。

飛田がすごく不器用で愛おしい。本を渡した理由を知って、すぐに読み返してしまいました...ラストも好きです。自分や相手を変えるのではなくて、お互いに歩み寄ることができるのは素敵です...。もっと早く読めばよかった!

4

むちゃくちゃ好きです

ちるちるのレビューの皆さんはいつも語彙に溢れていて、本当に尊敬いたします…

わたしはいつも、あぁ、、なんか語彙力で表せないけど、、めっちゃ好きです!!という感じの語彙しか出てこないのですが、この作品はすごく好きなので、がんばって気持ちを言葉に載せます。


わたしはこの作品の真澄がすごく好きで、LINEのアイコンにしたいくらい好きなのですが、真澄くんはいつもニコーって感じでキツネ目で笑うのですが、そのキツネ目が飛田くんによって微妙に変わっていくのが、すごく萌えポイントでした。


真澄は作者様の書かれていた通り、似非Sの世話焼きな感じの人なので、すごく理想的攻めではあるのですが、飛田くんがいたぶられること以外にあまり興味がないため…(悲しい…!!)振り回されてるのが可哀想で好きでした。

嗚呼、どうか真澄を幸せに……


でも、最後は希望のありそうなラストでとても良かったです。
もう、最後の告白シーンが…(お買い上げなさって確かめくださいませ…)、
すごく美しくて、わたしは馬鹿なので漫画を3回ほど読んでネットの感想記事も読んで理解したのですが、すごく素敵だな〜〜と思って溜息しか出ませんでした。


あ、真澄だけでなく飛田くんもとってもかわいいです。ベリーキュートです。
もう、最後の書き下ろしの飛田くんがもう…っっ(お買い上げなさって確かめくださいませ…)

もう〜〜〜〜〜〜〜!!!


SMものは苦手だったんですが、井戸ぎほう先生の絵がかわいいためかな?
あまり気にせずに読めました!

SMものが苦手な方にもぜひよんでいただきたい、美しい作品でした!


はぁ〜〜〜ぎほう先生の新作出ないかな…。。

5

お互いを想う気持ちを伝え合うのって難しい

本当に大好きです。
表紙もそうですが1話の1ページ目から世界観にどっぷりつかって勢いのまま1冊読み切りました。
もう何度か読み返しているのですが、言動に注意したり2人の交わした言葉に注意したりと色んな見方があるので、その度新たな気づきがあって感動です。落ち着いた空気があるからか毎回時間をかけてしっかり読みたくなります。というか読んでしまいます。
漫画を描くのが本当に上手なんでしょうね。言葉、表情、動作、背景、そういうの全部が真澄と飛田くんの感情を教えてくれます。
真澄の感情の変化も切なくて良いのですが、分かりずらい分飛田くんの感情の変化がより印象に残りました。行為の最後、真澄が褒めてそれを飛田くんが嬉しそうにしてるのとか...。他の人との違いを感じながら、真澄の優しさを受け取ってるのかなと思いました。真澄がそこに気づいてないのがまたリアルで...。真澄の寂しさに泣いて、我慢できずに会いに行った飛田くんの涙にまた泣きました。
最後に飛田くんが「真澄が喜ぶと思ったから」と外で頬にキスしたシーン、大好きです。別れと復縁を経て自分のする行為が真澄を喜ばせるっていうのを飛田くんが自覚してるのがいいし、予想通り喜ぶ真澄をみる飛田くんの顔が嬉しそうで、優しさやお互いを想う気持ちを伝え合える関係になれたのだなと思いました。
物語としての良さがあるからBLを読まない友達にもオススメしたくなって困る。それくらい良いです。

9

BLを超えた人間ドラマ

BL作品を数多く読んでいくとたまに本作のようなBL云々を超越した心揺さぶられる作品に巡り合える。
前から気になっていてようやく読めた。
良すぎて惚けてまた再読し、BLファンじゃない人にも勧めたいと思った。

真澄が飛田君を思う気持ち、飛田君の望みを叶えてあげたい気持ちと自らの希望である好きな人に優しくしたい気持ちの相入れなさが切なくて泣けた。
心の底では抵抗を感じならも飛田君の為に加虐行為をしていくわけだが次第にエスカレートしそうなっている自分に怖さを感じて…
絶望的な相入れなさに別れを決意する真澄に待っているといった飛田君が自ら会いにきた場面で涙腺再崩壊です。
感情の起伏が希薄な飛田君がこんなふうに真澄に寄せてくるなんて話の初めには想像も出来なかった。
飛田君の人間味ある変化が嬉しくて決定的なハピエンというわけではないのに温かい気持ちになった。

4

No Title

どういう言葉で説明したらわからないけど素晴らしいのは確かです、濡れ場NGで投稿すればアフ●ヌーン四季賞に入選しそうです。

飛田は嬲られる事が好きで真澄にそのやり方を指南しながら倒錯したSEXに耽っていきます、ただ真澄はだんだん飛田本人が欲しくなり接し方を変えてきますが当然ストーリーはそう簡単に動きません。

進むことも下がる事も出来ない真澄は飛田を放棄しますが個人的に「真澄はかなり傲慢だな」と思いました、たまたま両想いになりましたがそうでない未来も充分ありえたしそれでも作品の評価は変わりません。

1

初めからずっと優しい

ものすごく萌えました。この名前のつけがたい感情こそ萌え。飛田の涙ながらの告白シーンは個人的BL漫画萌告白ランキングでもかなり上位だ!

溜めがめちゃくちゃ長かったですね〜でも満を持してのラストだと思います。
真澄も真澄で、言葉を尽くしたかというと別にそういうわけでもなく。読者はモノローグで真澄の気持ちが分かりますけれど。実は飛田の本質とは向き合おうとしていなかったのかもしれないし、飛田をそういうものと決めてかかってしまった。ぶら下げられた"M"がデカすぎるから、それで見えなくなってもしょうがないけれど。

もちろん飛田はそれ以前の問題で、さみしさの限界を超えるまで、真澄が喜ぶことをしようなんて考えもしなかった。あるいは真澄を喜ばせる事が出来るなんて思いもしなかったのかも知れない。
読み返しながら"この時飛田が考えていること"を考えると楽しいし愛しい。飛田の心内セリフは2回だけ。「初めからずっと いつも 真澄は優しい」と、#5で鎖に繋がれながらの1ページ。たったそれだけ。逆にそれだけ見ると真澄の事がとっても好きなのが分かる。

飛田が「セックスで喜んだら駄目なのか」「こういうことをする理由が聞きたいのか」っていうシーンも沁みる。BL漫画のお約束的トラウマだの家族だのに走らない展開を讃えたい。

飛田が真澄より背が高いとは。ホント色々刺さる作品だ。
いい漫画でした。

6

描写は丁寧だけど萌えはない

 題材は面白かったんですが、正直あまり萌えを感じるポイントがなかったので中立評価に留めました。SMを通して繋がる関係性の掘り下げは、非常に丁寧に描かれていたと思います。攻めの真澄はサディストの気質はなく、あくまで受けの飛田のためにプレイ中はサディストを演じてあげていて、できればノーマルなセックスをしたいと思っています。対する飛田は、蔑まれたり痛めつけられたりすることに興奮し快楽を覚えるので、そういうセックス以外にはあまり感じることができません。

 ちゃんと心から好き合っている者同士なのに、肝心の体の関係が思い通りにならないもどかしさ。最後は一応ハピエンっぽくはなるんですが、この2人は理性で幸せを感じることはできても、本能では一生幸せを感じられないんじゃないかと思うと、素直に喜べませんでした。ノーマルセックスなら飛田が満たされないし、SMだと真澄の精神に負担がかかる。結局どちらかが毎回気を遣わなくてはならないわけです。真澄がSに目覚めたり、飛田がノーマルな愛撫の良さに気付いたり、といった安易な展開にならないからこそリアルでもあるんですが、そういうことを考えるとどの濡れ場にも萌えられないんですよね。

 心理描写や分かりにくい飛田の愛情表現などは良かったけれど、私にはどうしても2人の性癖の不一致がネックになって作品の魅力に浸りきることができませんでした。自分がBLで萌えるには、体の相性が大事な要素だったんだなと気付かせてくれた作品でもあります。

2

抗いがたい個々の性質

読み返して、こんなだったなー、と萌2評価。しかしラストまで読み終えて神に変更。ただ痛みに快楽を求めるだけの無感情な受けが去ってしまった攻めを拙い言葉でつなぎ止める場面、主義や価値観では抗いがたい感情があらわれていてグッときてしまった。
真性マゾとそれに付き合う攻めの話。
ソフトSMの常套句「SMで尽くしてるのはSの方」というのがよく分かる漫画。

感情表現も、さる事ながら静謐な作風なのにきちんと静と動の表現がされてるのが作者のマンガのセンスを感じる。

SM行為に対して楽しいの?と聞かれた受けの「子供の頃虐待されたとかそういう理解出来る理由があればいいわけ」「そんなのないよ。大学行かせてもらってこの年まで食わせてもらってるのに」「ばからしいよ。俺は好きでやってるのに」 と言った言葉は共感するところや気付かされる所がある。
こういった価値観の相違があるからこそのカタルシスもよく演出できている。

5

行間を読む。

小説や映画にも行間や空白があるように
漫画にも「描かれていないけど読み取れる」感情や瞬間がある。
中村明日美子、ヨネダコウ、ヤマシタトモコ、basso(オノナツメ)、秀良子、のばらあいこ等…BLの中の新しい表現・価値観を作った作家たち。
同じようにこの作品も、確実に新しい表現・価値観を生んだと思います。
似非S×真性ドMの設定の時点で、この2人は関係を続けるうちに確実に葛藤することがわかる。
しかし葛藤する(してしまう?)のが攻めであることが新しいと思いました。
BLにおいて攻めが物語の語り手になることって珍しい気がします。
そして攻めの真澄は受けの飛田くんのことを終始「変な人・理解できない人」としてみているので読者も飛田くんのことをなかなか理解できません。
だけど一度ラストまで読み終えてもう一度読み返すと、飛田くんの感情がものすごく鮮明に描かれていることに気がつきます。
表情、言葉、行動…色んなところで飛田くんは真澄に愛情を持って接していることがわかります。
「好き」という言葉がないだけで、愛情表現は無数にあります。
夏目漱石が学生に「月がきれいですね」を「I love you」と訳しなさいと言った話を知っていると、飛田くんにとっての「I love you」がなんなのかがわかりやすいと思います。
余談ですが、以前知り合いが「SMのSはMに奉仕する”サービス”のS」と言っていたのを思い出し、この2人の関係に当てはめるとものすごくしっくりきました。
この先、2人はまたお互いの性的趣向の壁にぶつかるかもしれないけれど、思いが通じ合っていることがわかったので真澄はサービスSにハマっていきそうだなあと思います。笑

6

感性の地軸が傾くほどのインパクト

井戸ぎほうさんの作品は線、色、シナリオ、コマの流れ、どれも素晴らしくセンスに溢れていますね。
特にこの作品との出会いは自分の感性の地軸が傾くほどのインパクトがありました。約23.43度ほどグイッといかれました。
その時は心持っていかれすぎて、読んではぼんやりしてまた読んでで丸一日この本を読み返していました。
この感動を表現するにはちょっと自分の語彙力が拙すぎて言葉にならないです。
ぬーんでざららですんっのダーンなアレがキラーンでドワーンジワー、ニッ!でわはああん、はぁ…
なんて残念な私の国語力。

BLというジャンルはその業の深さ故閉鎖的な面があると思うのですが、その中にはBLの範疇を超えて素晴らしい作品も多く存在していて、このジャンルの特性上認知されにくいのが実に残念です。
もし、BLに興味がない、もしくは毛嫌いしていたらこういった本を手に取ることはなかったのかなと思えば、多少の偏見(嗜好丸出しすぎて周囲に言えない)や犠牲(購入、保持、破棄の難易度の高さ)を払っても腐人で良かったと思うのです。

15

作者はSMへの造詣が深いのでは?と邪推してます

世の中に表面上のSM描写や自称S、自称Mが溢れる中、
真性ドMの厚かましさが巧妙に描かれている素晴らしい作品です。

特にS「なんだってMのしたいようにしてきた」、
  M「俺はいつだってSのいうこときいてきた」、
という噛み合わない会話にグッときました。

SってMがして欲しいギリギリのところまでを考えてMに尽くしてるんですよね。
ドM性癖を受け容れてあげるS役真澄くんの器の大きさと、
ドM飛田くんの歩み寄りに心が震えました。

4

静かな夜の話

真澄
社交的、人当たりも良い。なのに興味本位で飛田くんと不思議な関係を結ぶような大学生です。
飛田くんの事を何考えてるかわからない、とずっと思っているけれど、真澄も大概何がしたいのか読み取りづらいです。飛田くんにペースを乱されてうろたえたり、寂しがったりするシーンはいつもの飄々とした雰囲気が崩れて、ぐっと好きになりました。

飛田
無愛想で交友関係も狭いのに、Mです。いじめられている時の顔はなんだか可愛いのですが、普通にしていても独特の雰囲気があります(隠れ?ファンもいるんです)。貴重な笑顔はときめきます。
何をするにしても大体煩わしそうなのですが、彼が珍しく本心を語るシーンは静かなのにすごく印象的です。

Mと、SじゃないけどS役をする人、という組み合わせの二人なので異文化交流みたいでした。ラストを読んで思っていることは言わないと伝わらないよな、と思います。
最後に裏表紙で真澄の目を見てから読み返すとまた味わい深いです。

3

読み返して味が出る作品

結末が完全なハッピーエンドなのか読む人によって感じ方が違うと思いますが、
私は前向きな方でとらえました。

最初飛田くんという人が何を考えているのか分からず、攻めの真澄と夜外で待ち合わせした時の背景のように暗くて飛田くんの周りにだけ音が無いイメージでした。
人付き合いの上手な真澄のように愛想笑いは一切せずに、自分が興味を持てないことには人に合わせるフリすらもしない様子は我が儘なようにも自分をしっかりと持っているようにもみえました。

そんな飛田くんのこころが真澄に向いたのは、真澄の目が金星みたいに綺麗だと飛田くんが言った頃からでこれがラストに繋がっています。
真澄に感情が芽生えてからの飛田くんは彼なりの愛情表現をしています。
誕生日プレゼントとして自分の好きな星の本(ぱっと見価値があるとは分からない)を渡して自分が好きなことを真澄にも知ってもらいたいと思うようにもなりました。ただ無表情で口数が少ないから分かりにくいのです。

それでもやっぱり飛田くんは真澄の望むようなSMのない優しい触れ合いではダメで。
真澄を好きになったからこそ、自分のSMプレイに付き合わせたくないと決断した彼のシーンを見て、わたしはやっと飛田くんのキャラクターが分かりました。

最後のシーンでは今まで真澄ばかり行動していたのが、初めて飛田くんの方から感情をあらわにしています。
無口で無表情な彼だったからこそラストが際立ちました。

その後の話では真澄と過ごした過去のことをしっかりと覚えていて、真澄に喜んで欲しいという飛田くんの気持ちも感じられました。

ちょうど今日8月31日は飛田くんの誕生日だなと思いレビューしました。

14

最後まで絶対読んでほしい

井戸先生の本は表紙の吸引力がすごいですね。

中身もすごいです。あまり暴力表現が得意ではない私ですが、ときどき「痛い!」と思いながらも一気に読んでしまいました。

落ち着いたテンポで進む話と漫画の雰囲気が独特の良さ。癖になります。
殴る蹴るが苦手なことを差し引いても、セリフ回しのセンスに魅せられてとても楽しめました。

どんな結末が待っているかは、この作品に関しては特に、ぜひ読んでその目で確かめてほしいところです。
特殊性癖ものだと敬遠するのは勿体ない作品でした!

3

表紙はあれですが

痛めつけられることでしか快楽を得ることができない受。
その受の求めに応じるように、辱めるような言葉を浴びせ、ときに暴力的な
行動を起こす攻。
受が求めるから~が大部分なのでしょうが、
ちらほら見えた、あれ?ちゃんとドS要素もってない?なコマに
ちょっぴりドキッとさせられました。
作中の大部分で、お互いに「好き!」と大きな表現はない。
ないものの、少しずつ距離が近くなり
相手の為に~な気持ちが強くなり。
ほんとに相手は自分を求めてくれているのかの葛藤から~な2人。
最終的にバイオレンスな終わりではなく、なんだか微笑ましい顛末だったので
すごくほっこりしてしまいました。
暴力的で、ひどく痛めつけられたいという心中の中で
攻はいつでも優しい。そうつぶやいた受のコマが好きです。
バイオレンスもいいけど、今後なかよくやって欲しいなーと
思うお話でございました。
かわいいかわいいしてあげたいw

2

雰囲気を感じてほしい

最高です!
もとからSMが好きなので即買い。
絵柄やコマ割りもとっても素敵でした。
受けの顔の傷やら拘束なんかに萌えまくりです

1

SMなのか…?

SMと思って読むには全然物足りない、けど、超スパイシーな純愛と思って読んだら、とっても切なくて良い作品です。相手への想いが自分の性癖を越えたとき、解りにくい性癖の、相手の感情に手が届いたとき…が、ラストに繋がって、2人の涙にもらい泣きしました。

2

絵や雰囲気はとても素敵

途中まではとても良かったです。
セリフや間の取り方など、全体の雰囲気もとても好きです。ただただ思うことは…

「性癖の壁って、精神論(気持ちが通じあっていればいい)で解決できるレベルのものなのだろうか?」

ジェンダーとはまた根本が異なるけれど、飛田に普通のセックスをさせること、真澄にSMプレイで流血させることは、ゲイの人に女性を好きになれと言うくらい、本能的に違和感があることなのではないかと思うのです。

付き合うってセックスが中心ではないけれど、(出来る状況を前提として)それも込みでのお付き合いであるとするならば、果たして二人に未来は有るのか…。

そして大きな問題が残ったまま、真澄に喜んで貰うために「普通のカップルっぽいこと」をする飛田を痛々しく感じました。「この二人、これからどうなるんだろう…」と不安を覚えて読み終えました。

真澄が完全にSとして覚醒する、または愛が性癖を越えるのであれば分かりやすく飛田がノーマルなセックスでイく、という描写があれば、読後感はまた違ったのだろうと思います。

あとがきで真澄のことを「世話焼きの奧さん風」と表されていたので、お話としては作者様が狙う着地点に二人は落ち着いたのですよね。
ですが、この時点ではハッピーエンド(ガチ兄弟だろうがヤンデレだろうが二人が心身共に満足ならばハピエンと思っています笑)ではないと個人的には感じています。

問題が残ったままなので評価は中立ですが、何らかの決着がついていたら、この評価はガラッと異なっていました。
性の不一致を深刻に捉えすぎですかね…(苦笑)

次の作品に期待します。。

2

飛田のキャラが良い

SMに飛びついて購入。
あまり痛々しいのは苦手なのですが、これはすんなり読めました。
飛田のキャラがとても魅力的です。側から見たら変わった人と言われても確かに仕方がないんじゃないかといった感じの無口で不思議な雰囲気をまとっている飛田。そんな彼に魅せられていく真澄。というか読み手もだんだん飛田に魅せられていきます。
飛田の考えていることは読み手にも分かりづらい。だからこそいろいろ考えることができて面白いです。
またセリフがいいんですよね。飛田の短いセリフからたまに漏れる感情がたまりません。
いたぶられて気持ちよくなる飛田。彼の主張はやたらリアルで惹きつけられます。
ラストの飛田のセリフもよかった。飛田のことばっかり話していますが本当にこの作品の魅力って彼にあるんじゃないかなって思います。
美しくてセンスのある素晴らしい作品でした。

2

モノクロの中にあるきらめき

痛々しい物語はすごく苦手で、危機を感じたら目を半開きにして読んだり、遠くに離しながらちら見したりして読むくらいビビリなのに、こういうネタが好きなんです…でもどうせビビるしやっぱ無理だし(ここでループに陥る)
しかし、グロじゃなかったらいける! みなさんの評価を拝見しながら、思い切って購入を決意。

これはそんなわたしでもちゃんと読めました。もちろん痛々しい描写もありましたが、素晴らしかったです。
話に色を付けるとしたら、白と黒。
色は必要ない、そう断言したくなるほどの静かなコマの中の熱情。
それなのに、最後まで読んだら痛みがすーっと消えてしまうような美しさまで感じてしまい、まさかこんなにあたたかい気持ちになるとは思いませんでした。
きゅんだとかかわいいだとかそんな物語ではありません。しかし、歪な関係が彼らにとっても第三者から見ても歪に見えないことが凄いと感じました。

2

夜「は」友達

二人が同じ場面に登場するのは、夜。
二人の関係の転換期のみ、昼間の描写がある。
心理描写がメインのSM。
痛くないとイケない、飛田君。
ノンケノーマル、真澄君。
二人の夜の関係。

読むたびに、解釈が変わるので、あんまり書けることがない…

最後の夜、「あの人と同じキモチだったんじゃないかな。」とそれだけの告白。
ーなんて言ったと思う?「愛してる」って言ったんだよ。ー
飛田君の耳には入らない。独白。

「真澄は目がきらきらしててきれいだね、金星みたいだ」
「また 来て」
「真澄にだからしてほしくないこともあるよ」
「行っても いいかな」
「それだけ 待ってる」
「約束 守れなくてごめん」
「あんなに きれいな金星は 見たことがなかった」
飛田君なりの告白だな、と感じた台詞。
最後まで、直接的な台詞は出てこない。気持ちを伝えるのが下手だし、最初の方は「伝わらなくていい。」ぐらいに思ってそう。「伝わればいいのに…」というのを挟んで、「伝えよう」に変化していったような気がする。
彼は、モノローグもなければ、発話以外の思考がない。ほとんどとかじゃなく、ない。

真澄君は、思考もモノローグもあるから、読者側にはキモチ伝えてるけど、なかなか飛田君に対しては、言葉にしない。
だから、すれ違うんだよ。
怖くて、大切にしたくて、だから、言えない。
言葉って怖いな。

何度読んでもずっと切ない。
切なくて、若くて、苦しい話。
個人的にはすごく好き。

16

SMモノとして読むと主題が見えづらくなっちゃう

SMモノが好きだからそっちへの期待ばっかりで読んだら、何だか全体的にスッキリしないし、SM欲も全然満たされないしで、うーん…?だったんですけど、そこにこだわるのをやめたら一気にスッキリしました。
かえってSMに興味のない人の方が、私みたいに変な読み違いをすることもなく、すんなり読めそうです。

描かれているのは、マゾという性癖を隠れ蓑(言い訳)に、いつも受身で“してしてちゃん”だった飛田くんが、真澄と出逢ったことで人を好きになるってことがどういうことなのかを知る、ラブストーリーというよりかは人間ドラマのようなお話でした。

S役の真澄とMの飛田の仲がただのプレイメイトからほんの少しだけ縮まった時、飛田くんが真澄の目を《金星》に例えるシーンが出てきます。
金星(ヴィーナス)と言えば「愛と美の女神」なんて俗称を持つ星ですよね。
でもってその金星の中でも作中一番のキーワードとして使われているのは、夜明け前の空に輝く《明けの明星》。
私、星にはまったく詳しくないので少しばかりgoogle先生のお世話になりましたが、釈迦は明けの明星を見て真理を見つけ、空海は悟りを開いたなどと言われているようで、ラテン語では「光をもたらす者」だそうです。

それを踏まえた上で読み直してみると、初読時のモヤモヤが晴れるように解りやすくなりました。
飛田くんにとっての真澄は、夜に最も明るく綺麗に輝いて朝(光)を連れてきてくれる金星(明けの明星)みたいな存在。
相手を思いやることを知らず自分本意に生きてきた飛田くんが、真澄を通して少し成長して見つけた真理。
ラストシーンの飛田くんのセリフは愛を知ったばかりの彼らしく、あまりにも純粋で、クサイぐらいのキラキラに溢れていて、泣かせてくれました。
描き下ろしのボーナストラックでは、そんな飛田くんの変化をストレートに表現したエピソードが読めて、これもまた良かったです。

因みに最初に読み違えたのは、真澄の方に視点を置いていたからなのですよね。
自分を過信した似非SがSMの真似事を通して、加虐とも暴力とも区別のつかない快感に目覚める危うさを描いたお話なのかと思ってしまいました。
病んだ話ばっかり読んでるとダメですね(笑)

綺麗でとても良いお話でしたけど、自分の好みかどうかで言うと綺麗過ぎてちょっと物足りないので「萌」で。

4

苦手ジャンルだけど、この作品は良かった!

SとかMの、BLは苦手で、読んでると痛そうに見えるのは、全然楽しめないのですが、このお話は絵柄も独特で淡々としているせいか、さらっと読めました。二人の関係性が変わっていくのが静かに丁寧に描かれていて良かったです。お話の方なのですが、ある事をきっかけに、サド役をかって出た真澄と、実はゲイでドMの飛田がプレイメイトになるのですが、真澄の方の気持ちが段々、変化してしまって~なお話。元から、真澄はオラオラ系のSでは無いし、どちらかと言えばサービスのSだと思いました。飛田は本当に自分の欲望に正直で子供みたいな子で、ある意味なかなかのワガママに見えました。そんな、お二人のお話です。最後のシーンは、本当に萌えました。このジャンル苦手だなと思う人も、痛いだけのお話ではないので、一度お試し下さい(^^)/

1

夜が明けて

SMの関係で主導権を握っているのは実はMだという事。
Mはご主人様を選び、Mのして欲しい事に従うのがS。
その見返りはMの悦ぶ顔、ってどこかで知りました。

真澄の悲劇は飛田君に普通の友達として、恋人としての
「お付き合い」を求めた事にあります。


上記の条件で言えば、飛田君は悦ぶ顔を真澄だけに
見せる事で十分なんです。

それ以上の事は望んでないし、そういう事をされると真澄は
自分との「関係」に不満がある、自分を哀れに思うから嫌々
付き合っているんだ、と飛田君は脳内変換してしまいます。

あと、飛田君の背景が物凄く気になります(佐久間さんとの事も!!)

ボーナストラックは本当に良かったです。
「真澄が喜ぶみたいだから」って!!!もうもうこのこの!!!

そう言った飛田君は相変わらず暗かったけどおだやかで、
人は愛し愛されて生きるのさ、って事を覚えたみたいです。

3

非常に良い

最近は知らない作家さんのものは開拓してなかったのですが、試し読みを経て即買いしました!よかったです。
理解できないものに惹かれてしまう感じの恋愛大好きなんですよね!
真澄はいたって普通の人なんですがとてもかっこよくてエロいですねー。しかも優しい。飛田くんの求めてるものと真澄の求めるもののズレに真澄が苦しみだしてからは、飛田くんを満足させるためのSとは違った歪んだ拘束や暴力が始まってしまって辛かったです。でも飛田くんにも変化を見ることができ、最終的にはお互いの欲しいものを補い合うように付き合っていくようで嬉しかったです。切実に2人の幸せを願いました。悲恋じゃなくてよかった…

3

きみは美しい明けの明星

表紙は金星を背景に鎖で縛られた飛田くん、
裏表紙には花を手に持ち、口角だけが上がった真澄くん。

SM作品ということで、読む前は気が張っていたのですが
読み進めるうちにどんどん物語に引き込まれていきました。

低体温、ローテンションが通常運転の飛田くんは真正のM嗜好で、
そんな彼に興味津々の同級生・真澄くんがS役を買って出ることで
ふたりの不思議な関係がはじまります。

何かと自分を気にかけてくれる真澄くんに対し
飛田くんは、はじめは戸惑い訝しげな態度を取るけれど
少しずつ、気持ちの変化を表します。
ほくろを褒められて照れたり、真澄くんの瞳を金星に喩えたり、
誕生日に自分の大切な星の本を贈って、笑顔を見せたり...
特にベランダで髪を切るシーンはとても印象的です。
(あと、よく作り笑いをする真澄くんに、そんな必要ないよって
飛田くんは伝えたかったのにうまくいかないシーンも良かったな...)

逆に真澄くんはうまくこなせるSの役割とは裏腹に
気持ちが中々ついていかず、不安になったり悩んだりしています。
真正のMという性癖を理解できない真澄くんは苛立ってしまうけど、
低体温の飛田くんにとって、唯一夢中になれるのが
夜、Mでいるときの自分だから、どうしようも仕方なくて...
でも、真澄くんがS役でいることに疲れたのなら
もうやめようと終わりを提案する飛田くん。
その後『約束』を乞う飛田くんの姿が、とても哀しかった。

そして圧巻のクライマックス。
約束を守れなくてごめんと涙を流す飛田くんが、
さみしくて、会いたくて、と真澄くんに気持ちをぶつけるシーンに
胸が抉られたように熱くなりました。
抱き合いながら金星の話をするラストシーン、
ふたりの涙に、読み手のわたしも一緒に泣いていました。

巻末の『bonus track』も最高でした。
相手の喜ぶことをしてあげたい、という気持ちが
いつもはしてもらう側の飛田くんに芽生え、
それを受け取る真澄くんは照れるというやりとり...とても微笑ましかった。

絵もコマ割りもストーリーの筋も心情も、丁寧に整えられていて
本当に素晴らしい作品だと思います。
わたしにとって、出合えてよかったと心から思える物語でした。


11

宇宙人とのまじめな恋愛

攻めのあげたいものは痛みじゃなくて愛情なのに、受けの欲しい愛情は痛みで、っていう矛盾を淡々とした筆致で描いていて、淡々とした読み心地なのに惹き込まれました。
その矛盾によって肉体的に傷つけられ快楽を享受する受けと、精神的に苛まれ追い込まれていく攻めの対比が読んでいてもどかしい気持ちになりドキドキします。
(ただ、読み終わってみるとあらすじの結びにはほんの少しだけ語弊があった気がしました。そんな単純な感情ではないというか…もう少し沼的な)

とにかく性癖が難儀な飛田くんですが、ラストの鍵にもなってくる中盤のエピソードで、相手に意味の分からないものをわたして、それがとても物的価値のあるもので、それ以上に自分の宝物で…っていう重さはとても愛しいなぁと思いました。痛々しいセックスも、天体や宇宙の話も少しも興味はないしわからないけれど、自分なりに真剣に向き合おうとした真澄くんの真摯さもまた愛しいです。

bonus trackの傷一つない顔で美しく笑う飛田くんを見て、飛田くんがセックスに求めていた痛々しさの代替が今は、何か愛しさとかあたたかさとかもう少しだけ穏やかな前提のものでつとまっているのかな…と思いほっとしました。
真澄くんのドSっぷりも歴が浅い割にかなり堂に入っていたので、もう少し局所的に穏やかに発揮されていると個人的に嬉しいですが…

また全体的に、画面の処理はとてもシンプルなのに印象的なコマがとても多く、随所に井戸先生のセンスを感じるシーン運びがとてもよかったです。フェティシズム全開のエッチシーンもですが、ベランダでの散髪や水族館のシーンなど、大胆なベタが宇宙や夜の闇というテーマととてもマッチしているなと感じました。
装丁に関しても、カバーを外すとクラフトにスミ一色の深くて暗い夜空が広がってるのも作品にあっていてとてもよいなと…飛田くんの瞳の中のような、吸い込まれそうな気配があって素敵でした。

3

入り込めず。。

元々好きそうな設定ではありませんでしたが、高評価だし、食わず嫌いは良くないと思って、いざチャレンジ!しましたが、全く感情移入できず。。
痛くて感じるって、あそこまで血とか出てるのに気持ちいいものなのか??
真性のドMではない私にはなんだかよく理解できず、普通に痛い痛い!と思ってしまいました。
それゆえ2人の心の機微がよく分からないまま、淡々と終わってしまいました。
お互いいつ相手のこと好きになったんだろ??
色々示唆してるところはあると思うのですが、汲み取れない自分が未熟なのかもしれません。。
こーゆー性癖あるのかぁーとなんだか考えさせられました。

0

一切萌えませんでした

たなとさんのスニーキーレッドにめちゃくちゃ萌えたので、似たような雰囲気かなと購入しました。
やさしくおしえて も、あまりしゅみじゃなかったのですが、まあまあだったので、smが好きなのでこれは萌えられるかなーと期待して買ったのですが・・・・・
絵はとても好みなのですが、登場人物両方の心情を汲み取ることができなくて、理解できなくて、全く萌えることができませんでした。
久しぶりに買ったことを後悔した漫画です。

3

いたぶること 唯一ゆるされた 愛しかた

この煽り文句が、この作品のすべてを物語ってると思います…! 新しい形のSMを見た気がしました。

一冊丸々が表題作で、思う存分この作品の世界観を堪能することができます。お話は飛田白という名前の見た目は寡黙だけど真性ドMの受と、そんな飛田にひょんなことから興味を持った真澄龍一という名前のノーマル非似Sの攻を中心に進んでいきます。
飛田は元よりドMなので、痛め付けられることによってのみ快感を得られますが、真澄はそんな彼をいたぶることでしか感じさせられず、人を痛めつけるセックスに徐々に自分が快感を覚え始めていることに疑問を感じます。
ここから始まる二人の心のすれ違いが、読んでいて非常に苦しかったです。Sを演じようとすればするほど表情が冷酷になっていく真澄は、恐ろしく怖かったです。
一度離れることを決意した二人ですが、真澄のいない寂しさから涙をこぼし会いに来た飛田の姿を見て、真澄も決意した心が崩れ、二人の関係性はある形に落ち着きます。書き下ろしの、飛田がいたずら心で真澄に不意にキスをし、それに真澄が慌て照れる姿は、なんとも言えない複雑な心境になりました。この二人は笑い合ってはいるけれど、完全に分かり合えることはないのだろうと。

作者さまはまだ新人さんだというのに、SMプレイのシーンがすごく萌えさせられました。真澄が飛田の首の血のほうを止めて、飛田がその快感からプレイ終了の合図を出せないシーンなんか特に、グッときました。
今まであまりSM作品は買わなかったのですが、この作品を読んで私の中の新しい扉が開きました。
萌×2評価なのは、飛田が見ている夢の中で一瞬グロいイラスト(人体というか脚の断面図?のようなもの)が挟まれていたからです。

2

クセになりそう

終始淡々としてるというか、静かな感じです。
読み終えた後にこれは本棚においておきたいと思える作品でした。たまに読んでこの世界観とか作風に浸りたくなる感じ。
ゆるいSM表現があるので苦手な方にはお勧めしませんが、気持ちが落ち込んだときとかにこういう作品を読みたくなりますね。

7

攻めの精神力に驚き

いたぶられることが快感の受けと、それに付き合う攻め。
攻めが終始、普通の思考を保っていることに驚きました。
あれだけの行為(SMというより暴力的な行為に近い)をしたら
それにハマる展開があってもいいと思うのですが、一切ないです。
なんだか受けも攻めも淡々としている。

文学作品を読んだあとのような気持ちになりました。
以前人気作のチョコストロベリーバニラを読んだ後もこんな気持ちになったような気がします。
おもしろい、というよりも考えさせられる作品だと思います。

4

今後「ぎぼうさん風」などと言われそうな大物の予感

「夜は」の下のカッコ内が漢数字の三に見えて、1,2巻読んでないけど!と焦った(笑)SMは苦手だがデビュー作が好きだったので期待して読んだらこれもまた良かった。一般的にはかなり変わってるタイプの飛田に興味を持った真澄も、けっこうな変り者だと思う。自分が相手になってやろうかという時点でもうすでに。真澄がプレイ意外の関係を求め始めたために、繋がりを解消しようかという話の中、普段寡黙な飛田くんが投げつけるように言うセリフと、ラストの金星のくだりは泣けてしまった。あーあのときね!と思わせる持って行き方が巧い!

5

Mは常に良質なSを渇望している

「Mを満足させられる良質なSがいない。」

ひょんなことから知り合ったM嬢の愚痴です。
真面目な内容の集まりで知り合ったかたですが、
ネットでは、自分の日常生活の中で出会うこともなかっただろう人たちと出会えてしまうので、面白いものです。

この作品を読んでいたら、そのM嬢のことを思い出しました。

良質なSとは何だろうと思うのですが、
そのM嬢に限った話ですが、「Mの気持ちがわかるS」だそうです。
良質なSが枯渇しているため、
彼女は今まで満足なプレイをしたことが一度もないそうです。

私はSMというものは、SがMの気持ちを無視して、
虐げ、痛めつけるものだと思っていたので、
最初「Mの気持ちが分かるS」という意味がよく分かりませんでした。

しかし彼女の説明によると、そのことは案外分かりやすい話でした。

趣味や思想が十人十色であるように、性癖も十人十色。
つまり一口にMと言っても、Mも十人十色でそれぞれ違ったツボがあるらしく、
「Mのニーズに合わせられるSが求められている」ということなんだそうです。

その話を聞いて、
Mが好きそうな虐め方を模索したり、
Mが喜ぶ縛り方をしてあげたり、Mが喜ぶ首の絞めかたをしてあげたり、
良質なSになるのって、実にメンドーくさいな~と思ったものです。

でも、きっと飛田はそんな自分のニーズに応えてくれるSを探していて、
そして真澄は飛田が相手だからSを引き受けて…。

真澄はもともとSMが好きな人というわけではなく、
気になっていた相手、飛田が真性ドMだったから、
飛田のニーズに合わせてS役をやってあげようということになったのです。

真澄がS役を買って出たのにはもちろん飛田に対して下心があったからですが。
それにしても真澄はS役にノっている時もあったようなので、実はSの素質があったのかもしれません。
惹きあうべくして惹きあったのかも…?

内容がハードになればなるほど、
Mとて安心して自分をまかせられるSじゃなければ、
プレイをしようとは思わないのではないでしょうか。

そういう意味では、淡々としていて何を考えているか分からないように見える飛田ですが、
裏を返せば真澄を信頼しているからこそ、プレイしたいと思っているように見えました。

夜になると役割が明確化する二人は、
気持ちより、性癖を満足させることに終始してしまい、
その先になかなかつながりません。

真澄は元々プレイがしたくて近づいたわけではないので、
いつかその「役割」を飛び越えたいとじれったく思っている。
Sという役割に徹しようとするけれど…。

じれったさに、苛立ちに耐えきれなくなった真澄が取った行動は、
いつもと同じ、だけど心が伴わない拘束、暴力…

結局、唯一の愛し方が「いたぶること」というのが、
切なく、苦しかったです。

本当の意味で愛し合うということは?
それぞれの「役割」以上のものはどうしたら手に入るのか。
そのあたりはぜひ読んで感じて頂きたいと思います。

たとえプレイであったとしても、
好きなもの同士ならなおさら。
お互いの心を深く理解し合うということは、
とても大切な事なんだと思いました。

14

直感的に読み取ることができなくて

SMということで避けてはいたのですが、あちこちで話題だったので意を決して読んでみました。
SMの観念がはっきりとよくわからないので、正直言ってしまうと深部まで理解できない状態で読み終わってしまいました。
ただ俄かに感じたのは、好きな人を痛めつけるのはそういった性的嗜好を持たない人にとっては辛いのではないのかということです。
飛田と関係のあった佐久間さんを見ている余計にそう思えますね。
真澄に関しては、SだとかMだとかの前に人が本来持っている残虐性だとか征服欲が見え隠れしていて怖いです。
飛田はいつしか恋が芽生えたとき、自分の性癖にノーマルである真澄を巻き込むことを心苦しく思たのか、また自身の性癖を乗り越えて一般的であって恋人的なセックスをしたかったのか…。
その辺りが直感的に読み取ることができず、よくわからないというのが正直な感想です。
身体的にも心理的にも痛々しい感覚なので私個人としてはやはりSMを題材とした作品は苦手です。
苦手ではありますが、だからと言ってしゅみじゃないをつける程に何も感じなかったわけではないので中立評価にしました。

4

設定は面白い

たなとさんの「スニーキーレッド」以降こういうSMチックな作品が増えて嬉しいですが、SMを表現するのは難しいと思います。

この作品もテーマはSMですが、SMの表現の仕方が結構残酷というか、痛そう。疑似という割に結構楽しんでいるように見える真澄のSさ加減がちょっと怖い。何にもわかんない人の方が加減がわからないからそういう表現なのかどうかはわかりませんが、結構流血とかあるので、苦手な方は注意ですね。私もSM的な作品は結構好きですが、流血があったのでちょっと失敗したなと思いました。BL的に言うと流れがゆっくりで、ハヤカワノジコさんやymzさんとかに展開や雰囲気が似てるかなあと思いました。

2

なんだか切ない

SMはあまり好きな方ではなくて、痛いのとか縛ったりだとか
好んでは読みませんでした。
今回の作品はみなさんの評価が高いのと、友達に勧められたこともあり
読んでみました。
最初は自分を傷つけ痛みを与えることでエクスタシーを感じるという飛田や
好奇心からサド役をしている真澄にも
少々嫌悪感を感じていましたが、読み進めるうちに飛田の隠された姿や
二人の間に生まれた愛情や、それに戸惑う姿に少しづつ人間らしさを感じ
真澄の飛田に対する気持ちの変化と、飛田の想いが
話が進むにつれて、悲しいほどに伝わって来ました。
本来Mである飛田とSを演じていた真澄の間に、
切な過ぎる恋愛が生まれたことにより、二人の複雑な気持ちが
とてもうまく表現されていると思います。
好奇心だけで飛田を傷つけていた真澄ですが、
そこに愛情が芽生えてしまったことによりその行為に疑問を持ってしまう。
傷つけられることが、飛田にとって性的興奮につながると知っていても
本来Sでない真澄には、だんだんキツイ行為になっていったんでしょうね。

それでも、お互いに忘れることができなかった二人。
最後には気持ちが通じ合ったようで、ちょっと切ないけど
これもHAPPYEndでいいのでしょうか。
飛田の星好きというのには、痛い中に癒しを感じました。
何か過去にいろいろあって、すごく複雑な思いを抱えているような
そんな人物像を思い描いていたので、星が好きで
いろんな本を読んでいるところなんか、ちょっとホッとしました。

4

何だか悲しい。

プレイではなく、SMという性癖の本質はよくとらえられていると思います。
しかも悪い面の。
正直な所、両思いになってもこの二人は上手くいくのかなあという、何とも物悲しいハッピーエンドな気がしました。
まず真澄はノンケでノーマル、飛田くんはゲイで真性のマゾ。
前者は乗り越えられると思うんですが、後者はどうだろう。
性癖は変えられないと思うのです。頭で理解したと思っても、それは真の理解なのか。
こればかりは分かり合えないんじゃないでしょうか。
しかも、それが一人で完結する事ならば可能ですが、自分が相手を痛めつけなければいけない。

いつか小さなズレが亀裂になって空中分解するのではないかなあという、不安ばかりが募ります。
飛田くんが歩み寄ればいいかもしれないですが、そうやってお互いに気を使いながら関係を続けられるのか、私には分かりません。
真澄がSっ気があるならば上手くいくとは思いますが、ないですものね。

色々希薄な飛田くんが、星は好きで星の本をプレゼントした件はとても好きです。

この飛田くんを見ていて感じる不安は何かに似ているなあと思ったら、Free!のはるちゃんでした。ああ、そうか。

5

SMだろうか?

痛めつけられて喜ぶ描写は多かったけれど、SMより性的快感しか求めていなかった飛田が初めて相手のことを思う方に重点が置かれていたのが残念でした。

キスをして真澄の唇に自分の血が付いたのを見て「痛々しい」と思うまでの変化は素敵ですが…
真澄を好きになっても結局の所、飛田の性癖は変わらない。
真澄が主張する普通も、飛田が好む趣向も、お互いずっと分かり合えない。
ただ真澄の気持ちに少し寄り添う場面が増えるだけで、逆に気を遣わせている気がして一緒に居るのが切ない。

綺麗に結ぶなら、元彼の佐久間さんでも良かったのでは?
持っている感覚に大差がなかったので、遅かれ早かれ真澄も佐久間さんの二の舞で終わってしまいそうです。
それならば、真澄がもっと深く飛田君に寄り添ってSを極めて欲しかった。

意外な甘いオチに、あれ?これSM作品を見た気がしない!となりました。
『SM』と聞いて嫌煙されてる方には、仄暗さは無いので読み易いかと思います。

7

SとM

いつからかな、こういうの流行ったの。
地味に目立たないように暮らしている人間の中に、特に意味を与えられずに、ただ存在している被虐と嗜虐。

多分、私はSMが好きじゃないんだと思う。
暴力も好きじゃない。
なので評価が難しい。
この作品はしゅみじゃないとは言い切れない。
だからといって萌を感じるとも言い切れず、
とはいえ、作品として、好き嫌いを超越凌駕するほどの衝撃というには穏やかで、、、

SMプレイのいたぶりは、Mの人にとってはいじめじゃない。
性的興奮と快感をもたらす行為だ。
だけど、この作品の主人公の真澄は、たまたま真性Mの飛田を好きになっちゃっただけなのに、飛田をいたぶることでしか愛させてもらえない。
飛田をいたぶることにある種の興奮を感じはするけれど、自分の愛したいようには愛させてもらえず、それは真澄にとって、飛田に酷くいじめられているような感じだ。
これって、お互いに、互いの欲望や要求を押しつけ合うだけの幼い関係って事なのかな。
二人は一度離れたけど、最終的にはそこから一歩踏み出して、お互いの関係を構築し直そうとしている。
でも、この先にあるのは普通の甘いセックスなのか、よりステップアップしたSMプレイなのか、
できれば、甘いセックスであってほしいな。

6

貴重な1冊

帯のS×Mの文字に惹かれ、購入。
予備知識がいっさい無い状態で購入したので少し不安でしたが、買って良かったです。


内容は、

ゲイでドMな飛田くん(受け)に興味を持ったノンケな真澄くん(攻め)がS役を引き受けて、プレイメイトとして付き合うことから始まるので、プレイ中(SM)の描写が結構ありますが、そこまで痛くないです。しかしエロい。
S役な筈の真澄くんが本当に役?と疑うぐらいSになってて、色気があります。
ちなみに私は、飛田くんのあそこを真澄くんが足で踏む場面が一番好きです。

プレイメイトとして、付き合ってた2人が、プレイメイトではおさまらなくなっていくのですが、ここは飛田くんの変化が大きいです。
静かにわかりにくく、でも確かに変わっていく飛田くん。実にセクシー。
飛田くんの心理描写が少ないので、よけいに終盤の飛田くんのセリフや表情にやられました。
特に、最後のページの飛田くんの微笑みったらもう。

SMを表題にした本は、あまり多くないので、この本は間違いなく貴重な1冊になると思います。

9

ピッタリはまらなくたって。

ノンケの男子に恋をするゲイのお話はとても切ないですが、性的嗜好の違いというのもそれに匹敵するのかなと思いました。
飛田君の場合それだけじゃないけど…
なんで飛田君なんかを好きになったんだよと時々思いましたが、気は合わないけどなんだか楽しくて、次第に心が欲しくなってしまうことってごく自然なことだと思います。体の関係があるんだったら余計に。
飛田君の得体の知れなさは、私にもやけに魅力的に映りました。

でも決定的な所が全くかみ合わないのは本当に辛いですね。
真澄君の頑張っている感がとても辛かった。
彼が飛田君を諦めた時も、これは仕方がないんじゃ…と同情の気持ちがわきました。
だからこそ、飛田君がむき出しの感情をぶつけた思いがけなさにもの凄く感動しました。(めちゃくちゃ可愛かったし)
彼だって一人の人間なんだなと思いました。
そこの所の変化がこれから気になるけど、相手とピッタリとハマらなくたって恋愛はできますよね。
積極的に相手を理解していこうという気持ちがあれば。
むしろ気が合う者同士の方が「分かりあえている」という名の怠慢に繋がるのではないでしょうか。
でもセックスはどうしていくんだろう…

神に近い萌え萌えでした。
作者さんは表情などの表現力が多彩で、表情の変化や感情を読みとることが楽しかったです。
ヒョロ攻めもとても新鮮でした(笑)

6

心と性を天秤にかける

表紙の絵の、月と星座と薄明るい夜空をじっと見る。
その時に感じたイメージが、この作品の空気感。
てっきりキワモノだと思ってたのに、核となる部分は正統派でした。

 この作品の主役二人には、二つの性的嗜好の相違がみられます。
主人公の真澄龍一は、ヘテロでノーマル。
同じ大学に通う飛田 白は、ゲイで真性のマゾ。真澄が飛田の性癖を知り、興味本位でS役を引き受けてから、彼とセフレの関係が続いてます。

 前提として、飛田の性的嗜好は、ストーリーの展開次第で変わるということはありません。個性の「違い」であって異常なことでは無いからです。
作中でも、そのように扱われています。

 しかしこの「個性の違い」が、彼らに「性の不一致」と「恋愛感情」との間で、大きな「葛藤」を生じさせます。
では主役の二人は、いつ相手に「恋愛感情」を持ったのでしょうか?

 これに関しては、飛田のほうが先だと思います。時系列にすると明瞭で、2話のラストに兆候があらわれます。3話以降では自覚も芽生え、真澄に対する彼なりの愛情表現を示します。
(しかし、この飛田の変化に、真澄の認識が追いついていません。)

 反対にノーマルな真澄は、それが遅かった。3話目の後半、散髪のシーンあたりから無自覚ながら兆しが見られ、4話目では自覚への葛藤が発生し、5話目でやっと愛情に起因する怒りが見えました。(作品は6話構成です)
真澄はやがてS役が負担となり、心が不安定になります。

 プレイについては、過激なものが含まれてたと思います。
加えて前半は、時系列が前後しており、真澄のS役としての成長過程が分かりませんでした。その状況でM役の飛田が、S役の真澄に酸素のコントロールも委ねた時は、信頼のペースが早いように思えました。
 もう少し真澄が感じていた恐怖や、危険性についての描写があっても良い気がしました。表現は言葉に留まり、体感としてはありませんでした。

 前半はSMパートの割合が多く、後半に行くに従って、SMと入れ替わるように恋愛パートの分量が増えていきます。
 序盤はSMのインパクトで読者の目を惹き、中盤は性の不一致で葛藤させ、終盤ではキャラクターの心情が最高潮に達し、そのままラストまで畳み掛けるという構成になってました。

 作品の両輪をなす「性癖」と「愛情」について。「愛情」の面では、誤解やすれ違いと真摯に向き合うことで、一定の進歩がみえました。
しかし、それによって「性癖」の問題までクリアしたことにはなりません。
 真澄は、ゲイとノンケの違いについては軽々と乗り越えました。一方で、彼らの間には、マゾとノーマルという性の不一致が残っています。

 一旦気持ちが通じてしまえば、ノーマルである真澄も、作中のように怒りにまかせて暴力を振るう状態には戻れません。S役は苦痛なことでしょう。
 愛さえあればノーマルの主人公が、好きな相手を痛めつけるサドに徹することができるのか? その葛藤をより強めるためにSMもソフトにせず、ハードルを上げたんじゃないかと思いました。

 この作品がハッピーエンドになるかどうかは、もう、話をどこで切るかの問題だけのように思えます。SMという性の不一致を解決しなければ、不安要素は排除したことにはなりません。二人の葛藤は今後も続きそうです。

 再読中は時系列や細かい確認のために、頭が冷めた状態だったはずですが、それでもラストの展開はかなりドラマティックな印象を受けました。
ボーナストラックを含め、飛田の表情が別人のように魅力的でした。

10

思っていたよりも

そんなに痛々しいSMでは無かった。
どちらかと言うとSを演じている真澄くん(攻め)の心の葛藤の方がメインだと思います。
Sのプレイはどんどん上手くなっていきますがそれ以上の関係を望んでしまう。

最初、飛田くん(受け)はプレイメイトとしてしか真澄くんの事を感じていなっかたんだけど真澄くんが言う普通(恋人同士として)の関係が理解できなくて・・・。

お互い、いろいろ悩んだ結果が最後に繋がっていく。

描き下ろしのSSでこれからの二人の在り方が見える。
幸せになって欲しい。

SM苦手な方でも読みやすい作品になっていると思うので毛嫌いしないで読んでみてください。

7

やさしいSM

黒髪のおとなしそうな男が夜空を背に鎖で縛られている表紙と、帯の「いたぶること 唯一ゆるされた愛しかた」というフレーズにやられた!初めて読む作家さんだったのでレビューと評価を見てから買おうと思っていたのですが、本屋で見かけて我慢できず発売日に購入。読了後の感想は「買ってよかった!」

「やさしいSM」と言っても、プレイ内容は暴力、緊縛、玩具、野外、軟禁など、少しハードに感じる方もいらっしゃるかもしれません(プレイによる流血も描写されています)。
けれど真澄(攻め)の、飛田(受け)への暴力(プレイ)は飛田の希望により二人の合意の下で行われているもので、あくまで飛田が快感を得るための手段なので、読んでいても痛さは感じません。むしろ、飛田のためにS役をこなす真澄の姿は、恋人に献身的に尽くしている可愛いやつに見えるくらい。帯にある通り、真澄にとって「いたぶること」は、飛田から唯一ゆるされている「愛しかた」なんだなーと。

全体を通してプレイ場面は多いですが、肉体的なところではなく精神に重点をおいているので、エロばかりの薄っぺらいBLという感じはしませんでした。
内容について深くは書きませんが、ぐいぐいと深いところまで没頭させられる独特の雰囲気のある一冊でした。SMが苦手な方にもぜひ手に取ってみてほしいです。

9

今年読んだBLコミックの5本指には入る作品

日常の中に潜む、日常的なSM。
SMと恋愛を通して、登場人物二人の心の移り変わりやすれ違いを楽しむ感じ。
心と体、両方を満たすのは難しく、だけど人は寄り添える、というステキなお話でした。
深いようで、単純なようで、だけど難しい。
だから切なくて哀しいです。
最後はハッピーエンドなので、ほっとします。

玩具を使ったSMプレイ、流血、暴力などの描写がありますが、そんなに痛々しくはないです。
どちらかというと二人の内面のほうが痛々しいです。

読み返せば返すほど、色々な発見がある、そんな漫画です。

6

興味深い作品

SMにさほど知識がない読者の立場での感想です。

作品の内容としては、SMという一つの性的趣向をテーマにした
二人の心理ドラマが中心で、SM好きじゃなくても十分楽しめる作品でした。

むしろ、SMによって新たな愛の価値観について考えさせられ、
とても興味深かったです。

性欲と愛情は切り離せない故の葛藤が見事に描かれていました。

飛田君がなぜドMになったかがあえて語られず、
最後までミステリアスな雰囲気を保っていることで、
逆に真澄の方に、より感情移入する効果があり、
物語に引き込まれました。

読者としては、
なぜ飛田君がドMになったかは気になる所ですが。。

ノーマルS役の真澄に好きな気持ちが芽生え、
SMプレイから離れたとき、
愛情の表現の仕方が分からず、
相手がドMという特殊な性的趣向のために、
愛情が受け入れられない切なさに、
胸を締め付けられました。

「セックス以上になにがあるのだろう」と
悩む真澄の言葉が印象的でした。

SMプレイの場面は、
飛田君が真性ドMで、Sを演じる真澄がノーマルのため、Mとはどんな人か、
Sとはどんな人かを、真澄の思考と行為を通して読者に分からせてくれるので、
SMを知らなくても、なるほど、と思いながら読めました。

感情のないSMプレイで性欲を満たすことだけを求めていた飛田君が、
最後に真澄に会いに来るシーンには、
真澄にずっと感情移入していた分、
なんか胸につかえていたものがすーっと軽くなるような、
うれしい感覚を覚えました。

5

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