条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
oyasuminasai mata ashita
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
途中から涙が止まらなくてずっと泣いてしまった。つぐみの寄り添いたい気持ちと朔太郎の気持ちが切なすぎてたまらんかった。つぐみの紡ぐ言葉が優しくて心に響いている。タイトルもそういう事なんだなって見てるだけで泣けてきちゃう。最後のSS私は好きだった。2人で人生をつないで、最後まで寄り添い続けたつぐみと何度かその事を思い出しては忘れてしまう朔太郎の物語。
シリーズ3冊目。
裏表紙の解説で「記憶障害」ってあったから覚悟はしてたんだけど。
記憶喪失と勘違いしていて、自分が思っていた展開と全く違っていて。
1作目、2作目と繋がってはいるんだけど、どれも全然違う方向性で精神持ってかれました。
ようやく、ようやくまとまって、はぁ良かった…本編からの、SS。
あとがきで凪良先生も書いてらしたけど、意見はわかれるでしょうね。
単にハッピーでは済まないけど、確実に心に残る一冊となりました。
読んで良かった。
読みながら、静かに涙がポタポタ落ちてきてしまう…そんな作品でした。
作者様が、最後のSSには賛否両論あった…というようなことを書かれていましたが、個人的にはこのストーリーあってこそ作品が完成するのではないか、と感じました。。
恋は一時のものかもしれないけれど、愛は二人で時間をかけて育てていくもの。
つぐみと朔太郎が、互いを深く想い合いながら愛と年齢を重ねていったのだなという感動、そして抗えない別れの悲しみ……心に深く深く沁み入って、余韻の残る作品です。
読み返したいんだけど、絶対また泣いてしまうと分かっているのでなかなか再読できないのが辛い。。
ずっとずっと本棚に置いて大切にしておきたい一冊です・:*+.
「美しい彼」シリーズで名前は知っていたけど未読の作家先生、凪良ゆう先生
重めの泣ける小説読みたいけど、シリーズみたいに長いのは手を出しにくいし、メリバとかは好きじゃないしなあ……と思いつつちるちるをあさっていたら不朽の名作○○選みたいなところに本作品が載っておりまして。
わりと気軽な気持ちで読んでみたところ、予想外のビッグテーマで頭の芯にドーンと来ました。
駄文ですが感想を書きたいと思います。
ストーリー紹介にもある通り、記憶障害の青年×ゲイの作家先生の純愛ストーリーなんですが……なんですが!!!孤独という、現代人の最終問題の一つを扱っているような気すらしました。
攻め様である記憶障害の青年・朔太郎さんは、責任感が強いから、避けられない孤独の道(=記憶という自己の喪失)に耐えられない恐怖を感じながらも、自分が忘れてしまう苦痛を近しい人に味わわせまいと恋人や伴侶は作らないと決めてしまっています。症状が出てきて絶望のどん底にいるときに出会ったのが受け様・つぐみさんの小説で、ひょんなことから作者のつぐみさんと出会い、一緒に過ごすうちに互いに好きになるわけなんですね。
凪良先生の文章が、情景が脳裏に浮かびやすく、登場人物の心情もするすると流れてくるようでとても読み入ってしまったのですが、ひきつけられたポイントはそこだけではないように思います。
朔太郎さんとつぐみさんが各々恐怖している”孤独”が大きなポイントだったのかなと思います。
朔太郎さんの方は記憶障害という後遺症ですが、じわじわと記憶がなくなって自分が自分じゃなくなる、他人と関係が持てなくなる恐怖というのは、高齢者の認知症とかボケが身近にある現代では想像に難くない”孤独”かと思います。
つぐみさんの方も、自分の身近な人がいなくなったり、関係が切れたりしたら一人で生きていかなければならないという、想像しやすい”孤独”です。
主につぐみさんの視点からにはなりますが、これらの孤独に恐怖する情景が自分の肌感覚につながるような文章で至る所に書かれているものですから、それでも生きていこうとする(生きていかねばならない)二人を見届けたくて引き込まれました。
好みが分かれる、とレビューなどにも書かれいたとは思いますが、ふたりともがそれぞれ”孤独”への恐怖がある中、一度は一緒に生きる覚悟ができず2年の離れた期間を経ましたが、もがいてもがいて最後は互いの孤独に寄り添いながら生涯を過ごすことができた、幸せエンドの温かいお話だったのかなと思います。私はすごく好きです。
私はまだ学生で実家暮らしですが、結婚願望もなく一人で生きる可能性が十分にある身としては、孤独なつぐみさんの”生への無気力さ”は自分でもわかるなぁという感じで、特に一度朔太郎さんと離れる部分、めちゃくちゃつらかったです。こういう描写に関しては、もう少し人生経験を積んでから読んだ方が刺さって泣けるかもしれないですね。
泣けたのは、やはり最後のSSの部分です。涙ダラッダラでした。途中までは朔太郎さんの記憶障害を穏やかに受け入れている二人の、温かい日常でこちらも心温まる雰囲気なのです。その雰囲気のまま、さらにその先が朔太郎さん視点で描かれています。それはそれは平穏に(些細な険悪はあったかもしれませんが)日々が過ぎたのだろうなと想像できる流れでした。朔太郎さんの脳内では、温かい穏やかな日常が続いているとはわかっているのですが、そこはすごくハッピーなエンドなのですが、私は涙を流しながら読みました。
穏やかに、最後まで幸せに二人が生きることができてよかったね、それしか出てこないです。。。冥土で笑顔で再会できるといいね。
この辺りは作者様があとがきで好みが分かれる、と書いてらっしゃったのですが、私はこの部分が読めて良かったと思います。「ここが書きたくて~~」とおっしゃってたの、納得です。私、再読するならここが読みたくて読むと思います。
なんかもうちょっと書きたいことがあったのですが……書けば書くほどわからなくなってくる笑
BLなのですが、BLというジャンルを超えた純愛ストーリーを読んだ気分です。
これからも数年に一度読み返したい作品でした。
すごくあったかいお話しだった。どこまでもお互いを想い合っての行動と、だからこその我慢。
途中もしかしてこのまま…?とページをめくる速度が早くなってしまった、、最後まで2人にとっての幸せが確約されなくて、とてもいい意味でハラハラして読めました。
けどとても幸せな形の結末で安心しました。ss含めて。つぐみじゃない、と気づいた時ははっとしたけど。賛否分かれると作者さんも後書きで書かれてたけど、たしかに考えてしまう話ではあるなぁ、と。私はとってもよかった!あたたかかった!
おやすみなさい、また明日。
他の方もおっしゃっていたように思いますが、最後のSSがなければ普通のBL小説ですね。
作者様自身もSSについて「意見が分かれそう」とおっしゃってます。
正直に言うと、私は読みたくなかったな、と思いました。
ハピエンの普通のBLで終わってくれてよかったんですが…
○ネタだとわかって、読む手が止まりました。
他の方のレビューで、どうやらSSこそが最も読むべき部分であると感じていたので、残り数ページと思い、なんとか読み切りました。
人の一生を描ききるという意図はわかります。
愛に満ちた人生なのですからハピエンですよね。
でも、伴侶と○別した80代の日常は私の読みたいものではありませんでした。
読みたくないと思うのは私の好みの問題で、作者様およびそれを支持する読者の皆さんを批判するものではありません。
これが地雷か…
地雷踏むのがこわいビビりなので、ほのぼの以外はレビューのネタバレを確認してから挑んでます笑
と言っても知りすぎてしまうとどうしても面白味無くなってしまうので、なんとなく流れを知っておくくらいですが…
購入してから数日おき、やっと読んだのですが、思ってた以上に素晴らしい作品でした!
わかっていても、100ページ超えたあたりから涙流し続けるくらい切ないけど心の底からしあわせなお話です。
しんどい時に読んだつぐみの本やつぐみと過ごすことで、そのままで良いんだよって許された気持ちになったって言うのが本当に本当に…胸が締め付けられます。
それだけ想いが深いから、寂しい思いはさせたくない。徐々に明かされてく真実と強さに苦しさ増す。記憶喪失ものかな?と、ぼんやり認識していたら似てるようで全く違う健忘症の朔太郎。どんどん記憶が抜け落ちて、抜け落ちたことにも気づかないってしんどい…
それでも物語には優しさ溢れていて愛情たっぷり感じるラスト。 添い遂げる想いがとても良かった。
何度忘れたって思い出して、また同じ気持ちになる 。辛い寂しいもどかしい気持ちもつぐみの綴る物語で繋がり続けてる。ちょっとした優しさと強い気持ちの積み重ね。ほっこりした気持ちを作り出し合える2人がとても良かった。2人の空気はほんわかなのに、エッチはがっつりなとこも良かったです!
重いです。
好きだから付き合って、Hして一緒にいられて幸せ。そんな作品大好きです。
でも、時々この作品のような、深く考えさせられる作品を読みたくなる時があります。
今がその時だったようで、大量の涙を流しながら読み終わりました。
本当に素晴らしい作品です。
つぐみが最初に別れを伝えられて、その悲しみが読んでいて徐々に感じられるのです。独りの寂しさやこれからの不安。今まで一度も感じなかった事が一気にやってくる。凪良先生だからできる書き方なのでしょうね。
そして、また朔太郎の闇も地に足のつかない不安感をうまく表現し、まるで自分がそうなったかのようにすら思えてくる怖さ。
ただただ幸せ。不安や怖さの中にいるから、より幸せと感じる。そんな場面を読みながら、SSの朔太郎の話で涙がでました。
発売から年月が経っている作品ですが、出来るならたくさんの方に読んで貰いたい作品です。
大変に、美しい情感たっぷりのお話でございました。
神評価が高い理由、わかります。
さすが、凪良作品。
作者自身も書かれていましたが、同時収録作品は好みが分かれるらしいです。
私はすごく好きでした。本編より、こちらのほうが涙腺崩壊でしたね。
とにかく、鬼美しいんですけど、私は冒頭から内容が受け付けなくて、どうしてもページを捲る手が止まりがちに。
受け付けないというのも、生理的に無理!とか文体が合わない!とか、そういうのではなく、これはいろんな経験をしてきた大人には刺さるのではないでしょうか。
つまり、経験則から必要以上に心に来るというか…。
ツラいの一言でした…。
なにもかも投げ出してしまいたいほどツラい目にあったのに、そんな投げ出す程バカになりきれない30代半ばがうまく描写されていて、心臓が痛い。
人間性の描写がずば抜けている凪良作品ならではの、クオリティでした。
最後は本当に涙が止まらなかったです。
どうしたら、こんな美しい作品を書けるんでしょうか…?
一貫して、つぐみの想いが宙ぶらりんで、ずっと痛い痛いツラいツラいを抱えて読んでいたのですが、最後のスイート・リトル・ライフで救われました。いや、救われたというか、とにかく涙が止まらなかった。
涙なしに見られない本です。
凪良先生の作品で一番好きな作品です。
お互いに心に暗いものを抱えながらも補い合って埋め合って、でも決して依存ではなく、人を愛するってこういうことを言うんだな、と1冊を通して凪良先生に教えてもらったような気がします。
もちろん最後は涙なしに読めませんが、悲しい涙ではなく心が温かくなるような気持ちでした。もちろん始まりがあれば終わりは来るので必然的にお別れの時って訪れるんだけど、そこに目をそらさずに最後まで書いてくださってありがとうございましたと凪良先生には感謝です。
最後の10ページ余りは顔面グズグズで読みました。
始まりの方から割と辛い展開が続きます。
9年も一緒に暮らしてきた相手から突然別れを切り出され、仕事も上手くいかず、新しい出会いも…胸がキリキリ痛む展開でした。
お互いに好意を持っているのに結ばれない、拒絶に近いそれはもどかしくて、狂おしくて、切ない。
片想いの痛みを「砂糖細工の針」という繊細で美しい言葉で表現する凪良先生の感性がとても好きです。
濡れ場の表現も、抽象的な部分もありながらしっかり淫靡な熱が伝わってきて良い。
本編で終わりだと、苦しみの末に結ばれるという正しく王道なラブストーリーで終結する作品です。
もちろんそこで終わってくれていたら…という気持ちが無いわけではありませんが、SS「スイート・リトル・ライフ」がある事で、2人の深い愛情と強烈な切なさの余韻がいつまでも心に残るのだろうと思います。
すごく良かったです。伸二との別れからのつぐみの孤独は辛かった。そんな時に朔太郎に出会って少し希望が持てたのに、朔太郎も病気を負って絶望に襲われていて…同じ気持ちだけど、一緒に居ない選択をした2人が悲しかった。2人を繋いだのは祖父さんかな〜2人で現実を受け入れて共に生きる選択をしてくれて良かった。その後のSSは涙。しんどい日があっても、2人で積み重ねてきた日々が支えになってるのかな。一緒に生きる事の大切さを感じました。
小山田先生のイラストも柔らかくて素敵で2人の雰囲気が伝わった。心に残る1冊
BL小説を読んでこんなに激しく泣いたのは初めてです。今までもなくことはありましたが、この作品を読んで叫びながら泣いてしまいました…。
幸せだけど、胸が締め付けられる…そんな感覚があって泣いてました。
全人類に読んで欲しいです!
前々から気になっていたし、多分自分は好きなお話だろうなと感じていました。満を持して読みました。
やっぱり、ものすごく大好きなお話でした……!
これぞハッピーエンドだと感じました。(個人の意見です!)
空に手をかざす仕草、山茶花、紋白蝶など、繰り返し出てくる表現が、ラストに向けて非常に効果的に情緒に作用してきます。
途中、つぐみの書いた、朔太郎の心を動かした小説のエンドが、この物語を暗示しているのでは……?と思ったりもしたのですが、いい意味で裏切られました。
文体が読みやすく、ザックザック読めます。
koboの「読後感が最高に胸アツ!心ふるえるBL!!」特集で見つけて読みました。凪良ゆう先生の小説はいくつも読んでいますが、本作はなぜかノーマークでした。・・が、正直今まで読んだ中で一番好きな話でした。何年経っても色褪せない名作だと思うので、私のようにうっかり読んだことがない方には読んでほしいなと思います。展開やボリュームに無駄がなく本当に綺麗な話です。特にラストが大好きです!
内容としてはあらすじ通りですが、思ったより切なさはなく、甘い話に感じました。というのも、朔太郎とつぐみは初期の頃から両思いです。ただ、この「両思いだけど両片思いに見える」描写が綺麗なんですよね。二人のせいだけじゃない障害も多く、乗り越えるだけが答えじゃないことを考えさせられます。恋はタイミングと言えばそれまでなのですが、朔太郎の「元気なときだったら、すぐつぐみさんに恋してた」「でも、元気だったらつぐみさんの小説を読む機会もなかったと思う」という言葉が、ある意味この物語の一番の核心なのかなと思っています。ただ、最後のHが思ったより濃厚でびっくりしました(笑)。朔太郎は「足るを知る」タイプだからつぐみとは相性が良いと思うものの、夜は結構大変そうだなと下世話なことを考えてしまいました。
・・とはいえ、本編後のスイート・リトル・ライフがなければ号泣には至らなかったと思います。本編を読んだ時にはつぐみの成長物語だと思っていたのですが、このSSで大逆転。「朔太郎がつぐみに許された結果どうなったのか」が描かれています。記憶障害の朔太郎がつぐみとの約束を守り抜いたラストがロマンチックで、でも少し切なくて・・・涙なしには読めない素敵なハッピーエンドだったと思います。
BLジャンルとか萌えとか忘れて、一般書を読んでいるような気持ちになりました。
自分の心にダイレクトに響いてくるんですよね。
そして影響を受け、考えさせられる、というより色々頭に浮かんでくる。
嬉しいことや悲しいこと、喜び、不安…。
普段、BL楽しんでる!って思う時は、自分の存在なんて消滅しているのに(笑)
告美が感じる孤独に共感することも多く、とても刺さりました。
だからこそ、そばに居続けたいと思える相手を互いに見つけることができて、本当に良かったと思います。
大変なことも多く、欠けているところがあったとしても、そんな不完全さがあったからこそ出会えた…!
理想的な綺麗事で作られた世界ではなくとも、こうして心安らぐ場所を見つけられたことに、共に喜びを感じました。
有名な作者さんだというのに今回初めて作品を読みましたが、諸々圧倒されました。評価の高さに納得です。
切なさ要素が盛りだくさんの内容で全体的には少し暗めな作品だけど、凪良ゆう先生んの文章力でぐいぐいと引き込まれていく。
ご本人は評価されなくても良いから描きたかったというショートストーリーが、本編を100倍にも素敵なものにしてくれていると思う。
作品には描かれていない2人の時間がどれだけかけがえのない時間だったかが伝わるショートストーリー。
もはやこっちを読みたくて初めから読み返すぐらいと言っても過言ではない。。。と思っているw
恋愛前夜のスピンオフかなにかだったんですかね?なにも知らずに本作だけ読みましたが、全く問題なく読めます。
凪良先生の書くお話って どんなお話でも 心に染み入る優しさがあります。
本作は特にそうで、シリアスだし悲しい寂しい部分もあるけれど、根底に流れるものは温かくて優しいです。
ほのぼのするような話ではないのに、読後感は穏やかで優しい感じです。
先生もおっしゃってるように最後のSSは確かに評価が分かれるんでしょうが、あれがあってこそこの物語は完成するんだろうと思いました。わがままを通してくださった先生に感謝です。
何度でも読みたくなる作品です。
『恋愛前夜』『求愛前夜』をそれぞれとても楽しんだ流れでシリーズをコンプリートしたくなり、本書にも手を伸ばしました。
たくさんのレヴューから、本作品は前2作品とは違って「分かりやすいハピエン」とは限らず、SSは評価も分かれていることは予習のうえで、怖々読みました。
感想は、タイトルのとおりです。
とてもリアルで切実、全身全霊の愛の結実を感じました。
といっても特に派手なイベントがあるわけではなく、表面的には平穏な日常の積み重ねが主軸のストーリーです。
また恋人の背負った運命は特殊なようでいて、歳を重ねるといずれ誰にも訪れる可能性が高いという点で決して他人事でなく、長く付き合うカプが避けられない未来の形はリアルで切ないです。
ただその未来において、かつて恋人達が特殊な運命のもとで心底願っていた夢が、叶っていることがありありと分かり胸に迫りました。
その未来は、一度きりの人生を恋人に賭けた勇気と激しく互いを求める情熱の結晶のように感じられます。
もちろんBLにここまでのリアルは求めていない、むしろ複雑な現実から離れる娯楽として求めておられる向きには不要なリアリティかもしれません。
私は、運命に挑んで愛し合った主人公カプにとても勇気付けられました。
ここまで書いてくださった作者様に感謝です。
生涯の付き合いを追いかけたい方にオススメです。
★ 後遺症の記憶障害と認知症の健忘
事故の後遺症の健忘症についてが先にあり、後編は、50年後の話。
「最後の短編のためにここまでの物語が存在している」というあとがき。
私の偏見に満ちた感想
「50年後の要介護世代を書いている後半部分の意味が分からない」というレビューが他サイトにいくつかありました。
作者買いしている読者なら理解している事でしょうが、「一見読者」には伝わりにくいのかな。著者の作品を数冊続けて読めばなんとなくわかる。
著者は、一般人が避けたがる「キモイ存在」に目を向けて、小説の題材にする人。BLジャンルから、一般ノベルに手を広げています。
読者にマイノリティな存在に興味を持たせて、「気持ち悪がらないで」と理解者を増やすことにつなげることから、生き辛さを抱えている人に「何か」を贈っています。
意識してマイノリティな存在を題材にする人だと、あとがきを必ず読めばわかります。あとがきを讀まない人、多いのかな? 「美しい人」の後がきにも、「気持ちワルい・・」について書いています。
エロスの追求だけでBL書いているわけじゃない作家・・だと私は解釈しています。
だから、もっと成功してほしい。社会派の一面を持つ物書きを、著書を買って読むことで、支援したい。
記憶障害と認知症の症状は、似ているんじゃないかと思います。ついさっきのことも、分からない。理解不能な宇宙人と暮らしているような感じ。違いは、異常な行動が無いか有るか、じゃないのかな。
事故の後遺症だけじゃなく、今は若くても若年性認知障害を起こす人もいるので、こういう症状の悩みを抱えている人が居るんだ、と理解する人が増えたら、生き辛さを抱える人に生き易くなる安らぎをほんの少し贈れるのかもしれない。
理解することから支援の切っ掛けが生まれるなら、この本を読むことから、生き辛さを抱える人への理解者が増える事につながる、良いお仕事をしている作家だと思います。
萌え萌えで腐女子して楽しく読むことが、無意識に善いことにつながっていく・・夢がある循環だと思います。
著者は、愛が深い人なんでしょうね。
さすが名作と言われるだけの作品です。
特に最後のSS!担当さんもおさえて書きたいものを書ききれるのはやはり人気作家さんだからですよね!私は断然あってよかったと思った人でした。彼らは愛し合い続けて最後を迎えたのだと確信できる。だってゲイの風上にもおけない男 伸仁は10年付き合ってつぐみを振ってるわけで、どんなに愛し合った2人でもそんな事もあり得るのを冒頭で早々に描いてしまってますから。そこまで書き切ってくれないと自分のような捻くれた人間は不安になってしまいます。よかった。
それに、最後の忘れ方は最早年齢によるものもあるでしょうし、朔太郎の怪我による後遺症設定よりもっと万人共通の「行く末」な気がして、深く自分にも浸透しました。いずれああやって他人と愛した人を混同するかもしれないし、愛した人を忘れるかもしれないし、思い出してひとときの幸せを得られるかもしれない。
美しい物語でした。「誰かに押しつけられた花束など」「指先をとかす」「一枚のキルトのような関係」この辺の表現が好きだったな。
日常の中に、リアリティと非リアリティが混じり合っていると思いました。
売れない作家のつぐみと、記憶が抜け落ちていく後遺症に苛まれる青年・朔太郎。
二人が出会い、別れ、再会し、最期まで人生を共に歩んでゆくストーリー。
これは個人的な感想ですが、記憶障害という設定……
そこに、リアリティを感じられませんでした。
それから、10年も付き合った伸仁に、「子供がほしいんだ」と言われて捨てられたつぐみが、思っていたよりあっさり朔太郎に恋をしてしまったところ……
ここに少なからず違和感を覚えてしまいました。
そんな感じで多少乗り切れなかったところはありますが、全体を通して優しくて切ない情感たっぷりの素敵なお話だったと思います。
特に、朔太郎の祖父とのやり取りは感動的だった。
とっても素敵なお爺ちゃんで、私も大好きでした。
そして、ラストのSS。
賛否両論分かれるのは分かるのですが、私はこれがあったからこそ作品として素晴らしいものになったと思います。
つぐみが亡くなった後、一人残された朔太郎。
朔太郎にとっては、つぐみの記憶は無くなってしまったほうが幸せだったかもしれません。
それでも忘れてはまた思い出し、いつかまた、ここではないどこかでつぐみと逢える時を心待ちに生きていく。
人生って思った通りになんかいかない。
それでも生きていかなくちゃならない。
辛いけど、懐かしさと愛しさを抱えて生きていく朔太郎にリアリティを感じました。
度々出てくる白い山茶花。
花言葉は、「あなたは私の愛を退ける」
これは、つぐみの気持ちであり、ハラハラと散る花びらは、朔太郎の記憶の象徴なのかと思いました。
このラストは、悲しくなんかない。
私にとっては、とても幸せな終わり方でした。
伸仁も、どこかで幸せになっていますように。
とても有名でかねてより気になっていました。ですが凪良ゆうさんの作品は、ハマるときとハマらない時があるので慎重になっていました。
ですがこちらはなるほど、確かに名作だーと感嘆。終盤涙が溢れて止まらなかったです。
私にとっては切ないというよりはとにかく温かいものがしとしと体に降り積もっていくような作品でした。切なく苦しい設定である事は間違いありません。ですが、物語のなかでは常に優しさが、愛しさが、愛がこの作品を包み込んでいたのです。悲しい場面なのに胸の奥に少しの痛みとじわぁっと温かいものが滲んでいくような。
それはつぐみと朔太郎から溢れ出る慈しみや優しさが物語を通して読者に波のように還ってくるのだと思います。
作者の後書きにあるように、あのSSを書く事にこそ意味があったなと感じています。朔太郎の誓いの言葉を書かせた以上、あの未来は避けて通れない。そこまでキチンと書き切ってくれた事に感謝しかありません。つぐみ亡き後、彼はとても静かに現実を、日々の瞬間瞬間をつぐみと共に歩んでいます。焦る事なくゆっくりと、いつかくる日に向かって朔太郎はつぐみを忘れる事なく生きている。これを幸福と言わずなんというのか。
とても忘れられない紛う事なき名作でした。
めっちゃ泣いた。最後のSSは評価が分かれるかもと後書きで書かれていたけれど、今まで読んだ全てのBLが救われるような内容で、私としてはすごくあって嬉しいSSでした。
美しさに泣くってこういうことなのか。
欲張りな私は、小説には情報量の多い非日常を描いたものを求めがちで、気付けばいわゆる日常を舞台とした恋愛小説というものはあまり読んだことがありませんでした。
雨続きのこんな日はちょっと切ない小説でも…なんて軽い気持ちでランキングから手に取ってみたこの作品ですが、私もう、凪良先生の虜です。
10年間付き合った恋人と理不尽な別れ方をした小説家のつぐみと、記憶障害を抱え「(大切な人のことを忘れ、悲しませるのが怖いから)もう恋愛はしない」と決めている歳下の青年・朔太郎の切ないラブストーリー。
ストーリーだけでなく、文章がとにかく素晴らしいのです。
2人の会話、間にある空気が、とても静かで、切ないほどに綺麗に描かれていて。
四季折々を綴る美しい比喩表現が散りばめられていて、ひとつひとつのシーンを立ち止まるように読んでしまう。
ストーリーの先が気になるのになかなか進まない。
美しい言葉たちを脳内で映像に変えていく時間はとても幸せなもので、自分の中が満たされていくのを感じました。
つぐみが朔太郎の祖父が経営するアパートに越してきてから、朔太郎と共に手入れするアパート裏の菜園が蘇ったという描写があります。
世の中には植物を増やせる人と枯らしてしまう人がいて、私は典型的な「枯らしてしまう人」。
本やネットで育て方を調べて、必要な材料も全部用意して、マニュアルどおりに育ててもダメ。
私が増やせるのは雑草くらいなもんで、家族からは「可哀想だから二度と植物は買わないで」と言われてしまっている。
そんな私からすると、植物を青々と繁らせて美しく保ち、実らせることの出来る人って、何か特別な力を宿してるように見えて、密かに憧れているのです。
コツを聞いても大抵「普通にお水あげてるだけだよ」と言われるので尚のこと。
きっと対人間と同じように、マニュアルどおりではなく、体調やご機嫌を見ながら対話することが出来るのではないかな、と。
つぐみはそういう対話が出来る人なんですよね。
言葉じゃなく、心で。
相手に元気がないと、つい必要以上に水や肥料と同じように「言葉」をかけてあげたくなっちゃうけど、つぐみはそれをしない。
自然に沈黙をよしと出来る人だし、あえて自分を殺してでも、相手を思って我慢することが出来る人でもある。
それって言葉に頼るより難しいよなぁと思う。
2人が結ばれるまで、紆余曲折を経て数年かかります。
朔太郎の苦い決断により、つぐみはアパートを出て2人は離れ離れになるのだけど、その時のつぐみの心情や行動があまりにも尊くて、こんなにも朔太郎という一人の人間に心を向けながら、なお朔太郎のために一人で生きて行こうとしている姿に胸を打たれました。
でもそんな健気なつぐみも、朔太郎の祖父が亡くなり、本当に朔太郎とすべての繋がりが失われそうになったときに、とうとう糸が切れたように寂しさや絶望に襲われて立ち竦んでしまうのです。
30代後半というのは不思議なもので、まだまだ人生の半分にも満たない年齢なのにも関わらず、仕事も恋も「スタート出来る最後のチャンスかもしれない」と思わされてしまう。なんかすべてがもう人生のゴールに繋がってしまっているかのような錯覚に陥る、特有の閉塞感があるんですよね。
だから、つぐみの絶望感はとてもリアルに感じられるし、切なさが実感を伴って伝わってきました。
「こんな運命的な2人が、こんなにも美しい人間が、何故愛する人と一緒にいられないのか?」
中盤から終盤にかけては、本当に悔しさと切なさでいっぱい。
だからこそ、やっと2人が結ばれたときは、本当に嬉しくて嬉しくて…!
結ばれた後の2人の人生を描いた『スイート・リトル・ライフ』は、涙無くしては読めませんでした。
日常のちょっとしたやり取りなどを忘れてしまう朔太郎とつぐみの生活は、多分大変なもののはずで、普段なら(つぐみは献身的だな〜)と捉えるのだけど、この2人にはその言葉は適切じゃないなぁと感じます。
つぐみにとってそれは負担でもなんでもない自然なものとして存在しているんですね。
この例え難い素晴らしい空気感を、凪良先生の言葉で読めたことに感謝しています。
切なさや美しさを求めている方に、ぜひ読んでいただきたい作品です。
ときどき泣ける小説を読みたくなるときがあります。ちょっとストレスやモヤモヤがたまっている、そんなときです。
「泣ける」とのレビューがたくさんの凪良さんの本作品。長年暮らした恋人に捨てられ、涙の後も乾かないまま一人公園にいたつぐみ(受)に、朔太郎(攻)が、「泣くのはストレス発散になるんだって」と言うセリフがあります。「泣いてもいいんだよ」と言われたような気がして、私までホッとしてしまいました。凪良さんの作品は、登場人物たちのセリフが深く心に沁みてくるときがあり、そこが魅力の一つだと思っています。
売れない小説家のつぐみは、穏やかに続くと思っていた恋人との生活が突然失われ、仕事もスランプに陥ってしまいます。そんなとき、知り合った何でも屋の青年・朔太郎は偶然にもつぐみの作品のファンで、その縁で彼の祖父が経営するアパートに移り住みます。朔太郎の優しさに癒され、生きる意欲、書く意欲を取り戻していくつぐみ。あるとき、朔太郎の抱える苦しみに触れ、彼を好きになっていたことに気付きますが、朔太郎が記憶障害を抱えており、もう誰とも恋愛はしないと決めていると告げられてしまいます。
惹かれ合いながらも、相手を思えばこそ一緒にいられない二人が切なく、それでも相手のために自分のできることを精一杯続け、やがて結ばれ、一生を共にする姿に、どうしようもなく涙があふれてしまいました。涙の理由がどうしても言葉にならない…と歯がゆく思いながら、あとがきを読むと、凪良さんが『愛する人へ一生かけて愛を証し続けた二人の物語』と書いていて、ああ、それです!と。
つぐみが『朔太郎さんのこと』を綴り続けることで、朔太郎が支えられ、つぐみ自身も支えられて。そういうかけがえのない関係が、とてもいいなと思いました。
二人が一緒に暮らした描写は「スイート・リトルライフ」の中のほんの少しですが、自然に寄り添う様子がうかがえて、心が温かくなりました。二人は、「絶対につぐみさんより長生きする」、「俺も朔太郎さんを幸せにするよ」という約束を、ただ一心に守り続けたのだなと思いました。「おやすみなさい、また明日」。二人は何回も何回もそう言い合ったのでしょう。互いのありのままを受け入れ、寄り添えたのは、深い愛があったからで、それがとても尊く、憧れてやみません。
つぐみと朔太郎が桃を向いて食べる場面の後、つぐみの言葉遣いが突然よそ行きになったように感じて、違和感を覚えたのですが、それが朔太郎の健忘ゆえと分かったときは、仕掛けの巧みさに驚き、忘れることの残酷さに胸を引き裂かれるように感じました。でも、朔太郎は、忘れることは救いのひとつでもあるととらえています。ヘルパーさんに毎日三時につぐみの遺影のある仏間に連れて行ってもらい、つぐみへの愛しさと懐かしさを思い出す、それは晩年の朔太郎にとって生きることそのものなのだろうと思いました。忘れても思い出せばいい。思い出せなくても、つぐみが書いてくれた『朔太郎さんのこと』がある、朔太郎はそう考えていたのでしょう。二人の愛をここまで見届けさせてもらって、胸がいっぱいになりました。
こんなにも心揺さぶられる作品を、きっと凪良さんは身を削るように書かれたのだろうと、勝手ながら想像してしまいます。自分では経験しえない、深い愛に生きた二人の物語を読むことができて、とても幸せです。
つぐみさんが好きです。なんかもう天使みたいな人です。
すごく温かい人です。思いやりの人です。
朔太郎さんもとてもいい人なんですが、やはりそこはつぐみさんと
出会えたからこそなんではないかと。
二人とも本当に幸せだったのだなぁ。と納得しました。
涙涙で読み終えましたが、悲しい気持ちではなくなんていうか感動の涙。
死を扱う作品は得意ではないのですが、この作品は人生の終わりであって
死という扱いではなかったので悲しい気持ちではなく読み終えられたと思います。
BLという枠でなくても充分読み応えのある作品でした。
もっと早く読めば良かった。再読間違いなしです。
またしても号泣。
本編はなんとか持ちこたえたのだけど、本編後のSSで涙腺崩壊でした。
優しく、暖かく、切なく、愛しさのつまったエピローグでした。
穏やかに彼らの結末を看取れました。
年老いた朔太郎さんを見ていると、二人でとても穏やかで幸せに過ごせたんだなというのがひしひしと伝わってきました。
朔太郎さんとつぐみさん、二人で紡いだ一生が、とても眩しく感じました。
本当にあたたかくて優しい物語でした。
このレビュー書きながらも涙零れてどうしようもなくて、何かいてるか纏まっていないのですが・・・。
読んで良かった、もっと早く読んでおけばよかったと思いました。
CDはあまり聴かないのですが、SSが気になるので購入しようと思いました。
とても素敵な作品。
書かれた文章が美しく、情景がすっと浮かぶ。
切なくて苦しくて、でも幸せで。
タイトルの意味が分かった時、涙が零れました。
そしてラストシーン。あっと思った瞬間、鳥肌が立ちました。
私は二人はとても幸せだったと思います。
これも一つのハッピーエンド。
繰り返される思い出の中で二人は永遠に生き続けます。
最近やっと読みました。
もう、今まで読んでなかったことを後悔するほどいいお話でした。この作品を読んでいない人は本当にもったいないです。
記憶障害になって苦しんでいた彼も、大切なことや楽しかったことを忘れてしまっても本当に幸せそうで良かったです。
あとがきで最後のエピソード入れない方がいいと言われたそうですが、私は最後の最後まで幸せだったであろう2人が読めて本当に良かったです。最後のエピソード、とても泣きました。何度読み返しても涙が止まりません。
この作品に出会えて本当に良かったと思います。とてもオススメのBL小説です。
買うか悩んでようやく読むことができました…
この作品に出会えて良かったと思えるくらい、素敵な作品でした。
つぐみが別れてだいぶ心に傷を負っていましたが、それを埋めていく朔太郎が結構くっつくのに時間がかかり、読んでいてもしかしてくっつかないのでは…とハラハラしました(笑)
凪良先生のスピードで、ゆっくり二人が近づいてはまた少し離れたり、美しい風景描写が散りばめられていて、綺麗な小説だと思いました。
最後では涙が止まらず、ボロ泣きしながら何度も読ませて頂きました。
この本は友人からのオススメで初めて
bl小説を読んだ記念(?)すべき
1冊です(笑)切ない系が好きな私
号泣しました。純粋に恋愛小説だと
友人に力説しました。この本が私が
bl小説にハマったキッカケの1冊❗
初レビュー…感想文?文才なくて
すみません。m(_ _)m
関連作を読んだ流れで久々に再読したのですが、やはり良い……。
後書きで「編集さんにはBL的にはこのエピソード入れない方が良いのでは?という助言ももらったけど、実はこれが一番書きたかった」とあった巻末SS。これは私もここが一番キモだな、と思う派です。
それぞれに色々なものを抱える二人が、遠回りを重ねて結ばれる涙腺決壊間違いなしの切ないストーリー……だけでも十分に素敵なのですけれど、人生の終末期までを丁寧に、一緒に体験できた気がするように描写してくれて本当にじんわりとします。
明るく楽しいだけではないけど、心を打つ愛と人生の物語を読みたい方にはお勧めできる一冊です。
凪良さんの筆致は鮮やかに情景がイメージしやすいので、他の方々のレビューにもあるように映画化してほしいという意見があるのも納得です。確かにその気持も分かるのですが、「BL映画」と言う枠の中で下手な映像化をされてしまうリスクを考えると、自由に想像の出来る小説のままの方が良いような気も。ファンの勝手な思い入れ、難しいものですね。
大好きな凪良先生の作品の中でも特に好きな一冊。
十年来の恋人に「子どもがほしくなった」という男の自分にはどうすることもできない理由で振られたつぐみは、下宿の大家の孫・朔太郎の優しさに触れ、徐々に心の傷を癒されていきます。当然の流れで朔太郎に惹かれていくつぐみですが、朔太郎には、「俺はもう誰とも恋愛はしない」と決意する事情があって…。
大好きな人を忘れてしまうのと忘れられてしまうのは、どっちが辛いのだろう。
人を思いやることが、こんなにも痛みを伴うものだとは知らなかった。
なくした記憶の分だけ、それよりもっと幸せな、新しい記憶を二人で植えて。
忘れるたびに塗り替えて。
そうやって生きてきたであろう二人に、読後も涙が止まりませんでした。
凪良ゆう先生の「ショートケーキの苺にはさわらないで」を読んで号泣し、大ファンになってしまったので、本作も購入しました。
期待通り、神でした( ;∀;)
凪良先生は、伏線の忍ばせ方が上手いというか、何度も読み返したくなる工夫が施されていて、作品が手放せなくなる所が魅力の一つだと思います。
あらすじの通り、闇を抱える青年×売れない小説家のお話ですが、わき役達もすごく魅力的で、最後まで飽きさせないストーリーでした。
相手を想うがゆえにすれ違う2人には涙が止まりません。
また、これも凪良先生の特徴なのでしょうか、作品に出てくる時間の流れと言うか、2人が出会うところから何十年も先のことまでが含まれているので、1本の映画を観たような、人間一人の生涯を追ったような、壮大な物語を読んだ気持ちになります。
人間の感情とか価値観とかを作り出すのは、そういう1年1年の時の積み重ねなんだなあと、登場人物が重ねる年月とその変化を読みながら、しみじみ感じます。
先生の他の作品も読んでいこうと思います。
ステキな作品に出会わせて頂いて感謝です。
事故で記憶障害になった朔太郎と、10年付き合った恋人に捨てられたつぐみ。大きな喪失感を抱えた二人が出会い惹かれあう。ラストから数年後のつぐみを想う朔太郎, 残された記憶を辿りながら、朔太郎がつぐみに語りかけるシーンがぐっときた。泣きながら読了。辛いことも当然沢山あっただろうけど、二人が穏やかに幸せに暮らしていけたんだろうとわかって幸せだった。表紙や口絵もすごく良かった。悲しい気持ちになったけれど、素敵な話だったな。
売れない作家の告美と事故で記憶障害のある朔太郎。
切ないけど読んだ後に心が暖かくなる優しいお話しでした。
記憶をなくすことを恐れて告美を避ける朔太郎も
朔太郎の重荷になるまいと離れた場所から思い続ける告美も切なすぎます。
紆余曲折あったけど、二人にとっての幸せが見つかって安心しました。
(離れた時間も意味があったんですね)
最後の短編も幸せだった二人が目に浮かぶお話しで良かったです。
そして、朔太郎のおじいさんがいい味を出していました。
特に告美とおじいさんのやりとりには泣けました。
また読み返したいと思える作品です。
それにしても、告美の元カレの言動にはむかついた。
軽率と言われようとも「神」評価です。命を、人生をかけた愛を描いた作品に弱いのです、主に私の涙腺が。
読み終えて色々考えました。二人の物語がもっと幸せな――笑顔と喜びだけに満ちた、悩みなどない、別のものであったなら、と一瞬だけ思わなくもなかったです。
でも、そんな人生ないですよね。
最初から分かっていた凸凹道を穏やかに、確実に、一緒に歩いた二人の最高の幸せの形がこれなんだとストンと胸に響きました。
凪良さんの作品では軒並み泣かされる私ですが、その中でもこの作品はやばかった。
後書きで作者本人も言っていた通り、最後の評価が激しく分かれる事でしょう。
朔太郎の苦しみであったり、つぐみのかける言葉の出ないもどかしさだったりが、とても心に刺さりました。
本編も涙と愛のが満載のお話でしたが、後日談の展開が神がかってました。
朔太郎の病状の進行と、つぐみを失った頃の朔太郎の変化の部分が柔らかく混ざり合った書き方をされていて、ヘルパーの女性が出てくる頃、読者側もつぐみが既に鬼籍の人だと気付かされる。
つぐみを失う事をあれほど恐れていた朔太郎は、毎日つぐみに先立たれた寂しさや悲しみを思い出すと同時に、記憶からつぐみを失う事が無かったと言う彼の幸せに、読者は気付かされる。
とても幸せでハッピーエンドな筈なのに、同時に悲恋を読んだかのような遣る瀬無さに包まれる。
後味が悪い気もするが、最高の余韻を残す後読感がある作品でした。
これはやはり、萌え作品ではなく神作品か趣味じゃ無いかの選択を迫られる作品では無いかと思います。
まるで作品自体が、筆者いとうつぐみの様なとても不思議な作品でした。
映画化を希望します。
はじめまして。
全く同感です。
でも泣き過ぎて 映画館から出られなくなっちゃうかも。です・・・
激しく同意したため、ついコメントさせていただきました。
失礼いたしました。
凪良先生の描く、切なくも暖かい物語が大好きです。
例えるなら一本の映画を見終えた後の、寂しさと切なさ、充実感と満足感が入り混じった形容し難い感情。このお話を読み終わった時、私が感じたのはまさにこの感情です。そしてそんな感情を抱えたまま、もう一度表紙を見て、また涙が出ました。
タイトルの「おやすみなさい、また明日」
朔太郎とつぐみは幾度となくこの言葉を言い合ったのでしょうね。そう考えると、この11文字がとても尊く美しいものに思えたのです。
素晴らしい作品でした。
読後、えも言われぬ幸せと哀しさが相まった感情に埋め尽くされていました。
この気持ちを言葉で表現するのはとても難しい作品です。
最後のSSは、作者のあとがきでも言われていますが、好みは二分するでしょうね。
でも、私はとても幸せを感じました。
つぐみも朔太郎も、お互いに約束を果たし、永く共に生きていた証を見せてもらえた事がとても嬉しかったです。
みぞおちにズーンと重石を載せられるような、本当に重くしんどい設定で、幸せな人生を送れたのだなとわかってさえもこの重石は取り切れません。
ファンタジーのように奇跡が起きるわけでもなく、ただ淡々と朔太郎の病気の現実が書かれているので、想像以上に突き刺さります。
リアリティもあって苦しいけれど、だからこそ、2人の何気ないやり取りや送っていた日々に、純粋に感動し、一緒に幸せを感じる事が出来ました。
これを読むのは、どっしりと構えられる時でないと受け止めきれないなぁ……
この作者さん数冊読んで、一番心に染み渡った作品です。
そんなわけでこの作者さんの作品を好まれる方には、うーん、結末的には向かないのかもしれないなあとは思いました。
わたしは、情緒やその他の極端な比喩的な表現をあまり好かないのですが、この作者さんの表現は、一言も逃してはいけないなあと感じました。主人公の心情を一番的確に表現している言葉なのだろうし、対象者の心情に全く共感できない時にも、その表現で納得はできないけど伝わってきました。
設定は限りなく重め。展開も軽くはなくて明るくもない。こんなこと言ったらアレだけど、ホントに萌えポイントもない。全体を通して低め安定なムードといった感じがします。だけど、優しい。みんなが優しい。登場人物みんなが優しいのに癒されないメイン2人がもどかしいです。作中表現を引用しますが、半径1メートルから動かないとこで幸せ感じるとか言って、相手の気持ちも考えずに勝手に落としどころつけるとか、元彼も朔太郎もやってることは同じじゃねーかとか、密やかに思いを募らせながら読み進めてしまいました。
巻末のSSは賛否両論あったのでしょうね。
その後、彼らが長年連れ添った時間の幸せの端っこと、朔太郎の障害による切なさとが融合したモヤっとしたとこの混ぜ方。
締めくくりとししては秀逸でした。
私はそこに幸せしか感じませんでしたよ。
活字中毒で通勤時にBL乱読してます。
凪良先生は何冊か読んでましたが、
挿絵の先生があまり得意な方ではなかったので、後回しにしてました。
小山田先生ごめんなさい。
すごく速読なんですが、この本はかなり味わって読まざるを得なかったです。たたーって読めない。言葉がもったいなくて、一字一句をきちんと追いかける。
優しい言葉が山のようにあって、でもほんとの自分(私)にはもたらされない言葉ばかりでせつない、羨ましい、自分がみじめになる・・・
でもやっぱり最後に残るのは、「救い」。
いつかこんな出会いがあるかもしれない と思う私はポジティブすぎ?(笑)
ポジティブ人間ですがSSにはやられました。
電車の中で涙が止まらなくなって、超へんな人でした。
電車の中で読んではいけない本TOP3 に本日入りました(笑)
人間死に方は選べないし、最後は一人だけど、それを私はこんな風に迎えられるのだろうか と漠然とした不安を抱きます。
どうやったらこんな風に達観した終末を迎えられるのだろう?
一生懸命生きればいいのかな。
私にとっては とても考えることの多い1冊になりました。
私としては気分転換!といった気持で手を伸ばされるのは、
あまりお勧めできないです・・
読み終わって、こんなにしみじみとした気分になるのは久しぶりです。最後のSSで泣きすぎてしんどいです。
この話は、BL的萌えというよりか、愛することについて深く感動させられる類のものでした。 記憶障害に関するお話は、BLに限らず涙を誘うものが多いですね。このお話では、おじいさんになっても全く全ての記憶が無くなっているわけではなかったので救いがありました。何せ、愛するつぐみのことは一時も忘れなかったので。 最後のつぐみが亡くなってからの朔太郎のお話あるのとないのでは、この本の印象は違うと思います。本当に最後の辛い部分まで書きぬいて下さった凪良先生に感謝です。
主人公のつぐみは、天涯孤独で10年来の恋人に振られた売れない小説家。小説家独特の悩みや苦しみが所々に書かれてあり、書いていらっしゃる本人が小説家だからこそ嫌に現実的でした。孤独で押し潰されそうだったつぐみと記憶障害を抱える朔太郎。二人はすぐに惹かれ合います。
そして結ばれるまでが....とても長く切なく、悲しいです。
つぐみの元彼が現れた時、朔太郎は「つぐみは俺のものだ」というのではなく、「やり直すなら一生手を離すな」と言います。そのシーンが切なすぎて、やり切れなくて、苦しかったです。
結局、朔太郎の負担になることを恐れたつぐみは彼のもとを去ります。その間にも、朔太郎の病状は進み、つぐみの孤独感は深まります。そして二人の間を取り持っていた朔太郎の祖父が亡くなった後、二人はやっと結ばれます。
その時の朔太郎の告白に泣きました。初めて素直につぐみを求めた朔太郎に切なくなりました。
SSを読むと、それから二人が長く寄り添ったことが分かります。つぐみが先に逝ったとはいえど、二人とも長寿すぎて、普通の人より幸せそうなくらい。笑 でも過去に沢山悲しんだ分のご褒美だと思います。二人が天国で、お互いを忘れないような世界で再開することを願います。
BLとして萌えたかと聞かれると違うのですが
本編とSSまで合わせて、良作の映画を1本見たような、そんな作品です。
朔太郎や告美だけでなく
おじいさんや担当さんや漫画家先生、アパートの住人の言葉が
優しかったり厳しかったり突き刺さったりして
でも一貫して暖かい。
許されているような感じとはこういうことなのかな、と。
ぬるくてほのぼのとしたままお話も終わるのかなと思いきや
SS「スイート・リトル・ライフ」で号泣です。
本編はSSで泣かせるためのものだったのかしら・・・
新幹線での移動中の暇つぶしに予備知識なし、小説のあらすじだけでなんとなく購入しました。
序盤はそこまで入りきれないというか、よくある失恋からの新たな恋ってパターンかなって読んでいたのですが、途中から一気に入り込んでしまいました。
昨日の言動がすっぽり消えている、大切な思い出さえも消えて、そこに残るものは…
切なくてとても悲しい、けれどとても温かい作品で心にとっても響く1冊でした。
ただ、新幹線で読んだ事は激しく後悔、ちょっと泣きそうになって隣に座ったおばさんにジロジロ見られてしまいました。
最初読み始めは、「そりゃないやろう!」と怒りから、ほんわかとした温かさに、そして最後は思わずありがとう!といいたくなる作品でした。
読んでよかったと思える作品です。
涙は、出ませんでした。
でも少しほっとしました。なぜなら、泣くのがいやで、この作品を読むのをずっとずっとためらっていたからです。
自分が年齢を重ねてきたせいか、今日と同じ明日が来るとは限らないこと、ままならなかった沢山の想いや、選ばなかった方の人生の選択肢を考えても詮のないこと、そんな事をよく実感するようになりました。
だから、越えることの難しい困難を抱えているような、いわゆる「泣ける物語」は、時に自分が考えているよりも深く激しく心をえぐってくることがある…だから泣けることで有名なこの作品に怖気づいていました。
でも思い切って読んでみて、さすがの名作。優しさと切なさと、愛と少しの哀しさ。そんなものが美しく織り上げられていると感じました。
まだ若くて、こんな事って悲しすぎる、とわんわん泣けるような、そんなお嬢さん方に是非読んでみてほしい。そして、未来にやってくるであろう様々な不条理を、受け入れてそれでも続く生活と愛情の事、そこに思いを馳せてみてほしい。そんな事を感じました。
「スイート・リトル・ライフ」
忘れてしまうことをずっと恐れていたけれど、実際時がたって本当に忘れ始めたら、それは穏やかなものだった…この展開は私にとってはほっと息のつけるエンディング。もちろん毎日毎日つぐみがいない事を「思い出す」という喪失感はつらいけれど。
そして、ヤコ先生も貢藤さんも、もうみんないないんだろうなぁ。
「恋愛前夜」「求愛前夜」そしてこの「おやすみなさい、また明日」この3冊の世界観、描き方がそれぞれ全く違うところ、さすが凪良ゆうさんです。
BLから遠ざかっていた私を一瞬にして、
この世界に引き戻してしまった作品です。
色々な事に傷つき、臆病になっている二人が少しずつ歩み寄って行く姿は切なく、胸が打たれます。
メイン以外の登場人物も個性豊かなキャラが揃っており、特に祖父の優しさと温かさが素晴らしい。
そして巻末のSSで号泣。
このSSを掲載するかどうか迷ったと作者があとがきで書かれていましたが、この後日談あってこその本編。むしろ本編はこの後日談への長いプロローグだったのではないかと思いました。
人と人が寄り添って生きていくという事はこういうことなのかと、
教えてくれる美しい作品です。
子供が欲しいという理由で同性の恋人に振られたつぐみと、事故で健忘症と診断された朔太郎の穏やかなラブストーリーです。
世間の人から同情はされても、理解はされないだろう二人の境遇に、途中読むのが少し辛かったです。
身体を重ねても恋人にはなれない、お互い好きなのに離れる選択をした二年間はどれだけ心細く、切なかっただろうと思います。作者の凪良ゆうさんもあとがきで書かれていましたが、この物語の集大成はラストの『スイート・リトル・ライフ』だと思います。
年老いた朔太郎は過去と現在がごっちゃになり、つぐみが先に亡くなったことも毎日忘れてしまうけど、それでもつぐみとの約束を守り長生きしてくれたんですね。
このラストがなかったら、読み終えた後古本屋に売ろうかと思ってましたが、もう少し手元に置いておきます。
『おやすみなさい、また明日』はこのサイトのユーザー様にオススメされて知り、購入しました。
私は年の差が個人的に苦手なのですが、全く気になることなく読み終えることが出来ました。
この作品をきっかけに苦手じゃなくなった、ということではなく、この作品が特別なんだと感じています。
読み終える数ページ前から涙が止まりませんでした。BL作品で泣いたのは初めてです。
私が今まで読んだことがあるBL作品はコミックにしろ小説にしろ全てハッピーエンドで終わる作品ばかりで、この作品はそんな私には良い意味できつかったです。
最後の朔太郎視点のSSは、決してバッドエンドではないと思っています。ですがおとぎ話のように「めでたしめでたし」で終われるものでもない。
「結ばれて幸せになった後も2人は生きていく」そんな当たり前のことを強く意識させられるものでした。
人間関係や日常に疲れたり、孤独感に苛まれたときは癒しを求めて
BL作品を読み漁ります。
今回は綺麗な表紙に誘われて凪良ゆうさんの「こんにちは、また明日」を
手に取りました。凪良さんは一切の雑念なしに入り込める
シリアスな作風の方だと他作品を読んで知っていたので
萌え要素は意識し過ぎず慎重に読み進めていきました。
九年間付き合っていた彼氏と別れ、途方に暮れていた小説家のつぐみを
祖父の管理しているアパートへ快く迎え入れてくれた朔太郎。
惹かれあっているのにお互い距離を詰められずにいた。そんなある日
勢いで体の関係を持ってしまう。
「もう恋愛はしない」そう告げる朔太郎につぐみは疑問を抱く。
事故で煩った健忘症により、記憶が抜け落ちて行く不安と戦いながら
生きる朔太郎のことを知り…
気がついたらひとつふたつ忘れている。
忘れたものを振り返りかき集める。どんなに必死に記憶を探し当てても
次の瞬間には、集めたはずの記憶が形を無くしている。
3年前の事故で健忘症を煩った朔太郎を見て
まず救いはないのかなぁと思っていたんです。
お互いがどうやって支えあって行くのか
気持ちに区切りを付けて生きて行くのか
見えるようで見えてこない二人の未来にずっと不安だけがありました。
結局、最後まで読んでも答えらしい答えは浮かんできませんでした。
物語を思い返すのも表紙を見るのも辛くて
どう自分を慰めていいのかわからず涙が止まりませんでした。
けれど、つぐみと朔太郎の思い出は文章になり本になり、生きる朔太郎の手で
何度も開かれ反芻され、消えてもまた朔太郎の身体に降り注がれる
たった一度しかない、その瞬間を切り取った思い出の形。
そんな大切な繊細な一瞬が忘れ去られてしまうことは、とても悲しい。
でも、作家として言葉を紡ぐ手段を持つつぐみだからこそ
朔太郎の傍で言葉という形で寄り添っていられる。
物語の中盤で、つぐみが物語を書き続けることが自分に出来ることだ、と
心に強く思ったあの瞬間から、朔太郎の最後の一瞬まで。
柔らかくて暖かい胸をしめつけるようなつぐみの愛がしっかりと
朔太郎の心に届いていたんだと思いました。
個人的にすごくダメージの大きい作品でしたが、それでも面白いと感想を
述べるしかないんです。本を閉じたとき、読後の充実感がやってきて
二人はお互いを自分の出来る限りの力で支えあうことが出来たんだなと
心地よく腑に落ちる感覚がありました。
既にこの作品を読まれた方は分かると思うのですが
最後のss。二人の日常が続くのだと思って肩の力を抜いて読んでいました。
「荒野さん、三時です」その一言を読んだとき、はっとしました。
同時に朔太郎の心境を疑似体験したような感覚に陥りました。
そこからは涙を拭う事も忘れて、外が明らむのを感じつつ
ひとり布団にくるまって、唸っていました…笑
好みのわかれる作風だとは思いますが
元々、強気攻めと健気受けという王道が好きな私でも真逆のカップリングで
泣かされたり、新しい扉を開いたことが数知れずありました。
本作を読み終えて落ち着いた今だからこそ、色んな人に勧めたくて
うずうずしています。
個人的な事ですが、只今長~い萌えスランプ中でして。
そんな状態を抜け出したくて、1年以上前に買ったこの作品を、今頃やっと読みました。
凪良先生、積み本にしていてごめんなさい☆
もっとはやく読めば良かったと反省しております。
ショートストーリーまで読み終えた直後の感想。
良い!めっちゃ良いやん!!
やっぱり凪良先生は最高~♪
でした。
正直な事を書くと、途中までは萌or中立くらい。
はじめは典型的良い子ちゃんキャラな朔太郎が、あまり好みでは無かったんです。
伸仁の思いも伝わってこないし、告美の魅力も掴みきれなくて。
ヤバイなぁ、大好きな凪良先生の人気作でダメじゃぁ、私もうBL読めないのかも?
と諦めかけていました。
三分の二くらいまでは、物足りない感じで。
ところが、ラスト間際(二年後の話)あたりから、沸々と感情が動きはじめ。
あれよあれよと引き込まれていき。
本編読後は萌×2に。
そして、ショートストーリーを読み進めていくうちに。
すっかり神作品になっていました!
先生があとがきで、このショートストーリーの後半部分が書きたくて、このお話を書いたとおっしゃっていて。
うぉ~っ!と唸りたい気持ちになりました。
このショートストーリー、賛否両論になるだろうともおっしゃっていて。
先生、私は大絶賛であります!!
※ここからはかなりネタバレになるので、未読の方は読まないでね。
ちょっと重い例え話もあるので、そういう話が苦手な人も廻れ右でお願いします。
告美の天涯孤独というシチュエーションは、BLにありがちなパターンで。
またかぁ、という感想でした。
朔太郎の事故の後遺症も、似た様な感想。
後半の祖父と告美のエピソードは凄く好きだったんですが、展開が急ぎ足で物足りなくて。
朔太郎の後半の頑なさも、個人的にはかなり好きだったんですが。
やはりページ的に物足らず。
しかし凪良先生の凄いところは、そんな細かな感想が吹っ飛ぶラストのスッキリ感!
特に朔太郎の本編最後の決意は、あまり好みではないキャラだったはずなのに、グッときちゃいました。
本編中どうにも掴めなかった朔太郎が、ようやくちょっと掴めて。
ショートストーリーでは、ガッツリ掴めた気がしました。
なんて話の持って行き方が上手いんだろう…。
大ネタバレになりますが…、朔太郎の記憶障害の進行は、若年性の認知症に似ています。
私は家族や親族の中に、認知症だった人が数名いまして。
色々思い出して、ぐるぐるしてしまいました。
私の周囲の場合は、精神的ショックからとか、薬の効きすぎとか、そういうキッカケから。
友人の夫は事故が原因で、幼児のようになりました。
朔太郎が作中、人は簡単に壊れてしまう、というような事を呟きます。
これは本当だよなぁ、としみじみ思いました。
事故でも、薬でも、誰かからの言葉でも。
告美が言うように、長く踏ん張って頑張っていた人ほど、壊れる時はとても呆気ない気がします。
先生も身近でそんな経験をしたのかな?
などと、失礼ながら考えてしまいました。
でも、言葉には人を壊すチカラもあれば、告美のように救うチカラもありますね。
告美の書いた小説『よる、ひかる』も。
誰かにとっては理解不能でも、朔太郎にとっては掛け替えのない言葉たちで。
告美が書き綴っていた『朔太郎さんのこと』も。
朔太郎を一生支え続ける大切な言葉たちで。
そしてこのお話が、私にとって大切な物語の一つになりました。
それから、久しぶりにヤコ先生が脇で登場したのには驚きました!
嬉しかったなぁ♪
そんなこんなで、このお話は神作品に。
まあ、萌えとは少し違う次元ではありますが。
色んな思いが駆けめぐった、印象深い作品です。
凪良ゆう先生、ありがとうございました!
ふたりともに、穏やかで奥ゆかしい。相思相愛なのにそれを抑えあう様子も、住居も、攻めの祖父も、食べ物も和風ファンタジックかつモダンで素敵な雰囲気でした。
なんと言っても、朔太郎(攻)の祖父が売れない小説家・つぐみ(受)に贈呈したオリジナルの原稿用紙がすばらしい。
つぐみが朔太郎の祖父から贈呈された名入りの原稿用紙に書く、愛する人を淡々と綴ったお話を読んでみたいです。
最後のSSは収録されるべき秀逸な締め。これを収録しなかったら、最初に否と決断した編集担当さんが後悔すると思いました。人生の最後まで見届ける作品を、BLという枠から仲間はずれにされるのは寂しい。
この作品を読み終わったあとには、『家守綺譚』(梨木香歩・新潮社)を読まれることをお勧めします。「私」と亡き親友(どちらも男性)と家周りの自然が交錯する、似て非なるだけど通ずるものを感じる作品です。200ページであっという間です。
思っていたよりもずっと穏やかなお話だったかなと思います。
巻末まで読んでしまったからそういう感想になってしまっているのは
わかるのですが、
良かったのか悪かったのか。
そこの解釈は置いといて、最後まで一緒にいられた
どんな形であれ未だに相手のことをただただ思い続けている
それだけで満足なのかなとほんのりセンチメンタルな気持ちです。
お話の方はと言いますと、
10年連れ添った相手に「子供がほしい」突然の死刑宣告。
どーしようもない別れを急に切り出され
さっぱりさよならされてしまう。
路頭に迷っていた時に出会った攻。
不思議な縁が続いていきそして二人は~という流れですね。
あらすじに「誰とも恋愛しない」とあったので
もっとかたくなな拒絶なのかなとも思っていたのですが
抗えていないところが人間らしいなとも思いました。
惹かれていくことをやめられない。
けれど断ち切ることもできない。
葛藤からの後半戦というところ。
凪良作品を立て続けに読んだせいだと思うのですが
「また離れ離れかいな」と思ってしまったのは私だけかな。
離れるからこそ気持ちをさらに積み上げてという部分もあるのでしょうが
読んでてちょっと寂しくなってしまいました。
解釈は人それぞれ
不思議な雰囲気の作品でしたが面白かったです。
ついでにいうならば
ヤコ先生やクドウ君が登場しているので
何気にそっちの方がときめいてしまったw
時の流れがリンクしているので、なるほどなーな
裏場面が見えたみたいでそちらも合わせて楽しめたかなと思いました。
出会いから永遠の別れまでのストーリー。
自分はパートナーより先に逝くのだろうか、それとも残されるのだろうか。
自分の老後のことを少しずつ考え始める年齢になっているので、読後はそんなことばかり考えてしまい、しばらく鬱々としてしまった。
つぐみは最期に朔太郎へ感謝の言葉を伝えて亡くなった。
自分の思いを言葉にして逝くのは、実際、なかなか難しいかもしれないけれど、できれば私もパートナーに感謝の言葉を伝えて逝きたい。
なんだかレビューがスイート・リトル・ライフの方ばかりになってしまった…
そういえば、伸仁の方はあれからどうなったのかが気になる。
スピンオフで読んでみたい。
この作品はバッドエンドともハッピーエンドともとれそうな終わり方をします。
BLというのは本来ハッピーエンドが良いと制作側にはされているらしいですが、最近はもうそんなこと気にする必要がないと思うけどなあとも思ってしまいます。
最近のBLは変革期に入っていてすでに昔から描いている方もいますがこれからもっと萌えよりストーリー重視のエッチするばかりじゃない作品が増えていく予感がします。そっちの方がTVアニメや映画で一般人でも見やすいですし。
仮にそういう流れになった時の一つとしてこの作品が書かれたことに意味があると思います。
神評価から一つ落とした理由は切なさがあまり感じられない読後感だったからです。もう少し最後に朔太郎の主人公へのモノローグが欲しかったです。
ぼろ泣きですね。
人付き合いが苦手な小説家、遠藤告美と記憶障害を持った荒野朔太郎の恋。二人とも強引な性質ではなく、それぞれ性格や性質に負い目があるため、好きなのに友達でいようとする。切ない。
一人で生きていく、もう誰とも恋愛はしないと決めて生きてきた朔太郎がその決意を覆して「そばにいてほしい」とつぐみに告げるシーンは泣ける。そして続編で、朔太郎がつぐみよりも長生き去るという約束を果たしたことを知ってまた泣き。これ。まじ泣けますからね。
いつもいつも思うことだけれど、好きな人に好きといえて、その思いに応えてくれるって、本当に本当に奇蹟だと思う。
お友達の大プッシュで読んでみたのですが、有難う!!友よ!!
凪良さんは「未完成」「美しい彼」「お菓子の家」に続いて4冊目ですが、これは大当たりですよ!
記憶障害を持つ青年と長年連れ添った相手に振られた作家のお話。
本当にもどかしいけれど、優しい物語でした。
未だ量を読んだ訳ではないけれど、凪良さんは恋愛ものというよりも自分の居場所を見付ける話を描かれる方なのかなと思いました。
連れ添って歩ける相手と巡り会って、「自分は此処にいてもいいんだ」と自分が自分を許す過程を描かれているのかなあと。
なので恋愛が主軸のBL作品のように、想いが通じ合いまとまってハッピーエンドにはならないのだと思います。
衝撃のラスト(笑)は、私は正直SFにしてまであってもなくてもいいかなあと思うのですが、添い遂げたという意味ではあってよかったですね。
皆さんはラストで泣かれたと思いますが、私は朔太郎のおじいちゃんが亡くなったところで、号泣してしまいました。
こういうの駄目なんです(泪)
『おやすみなさい、また明日』読み、
目は溶けたし、鼻はかみすぎて痛いです
木原さんの『檻の中』シリーズや榎田さんの『夏の子供』シリーズとは全く違うテイストですけど、並び立つ名作でした
どんな人間も否定せずそこに居ていい、許される世界感を書いたつぐみの本に救われた朔太郎
正しい事、良い事だからって全部飲み込んだらあふれちゃうよって朔太郎教わり救われたつぐみ
善悪だけで、人間は世界は構成されてないという建前の無い許容力に号泣でした
記憶を無くしていく怖さ、何も持っていない怖さ つぐみと朔太郎の平行線の様で交わる想い、現状の書き方が凄く胸に沁み、考えさせられました
病気やセクシャルマイノリティの葛藤などただのBL小説では無い書き方に胸を打たれました
朔太郎が自分の持つ重すぎる病を何とか受け止めて、つぐみを不幸にしてしまう怖さよりも、つぐみの側にいる幸せを選び、つぐみの手を取った時に滂沱しました
結ばれてからの二人の話、そしたSSの話と完全にノックアウトでした
二人で乗り越えて歩んだ道が幸せであったことを書ききってもらえて本当に良かったです
添い遂げ、互いを思い、交わした約束を果たした二人に優しい涙が止まりませんでした
本当に素晴らしい作品でした
凪良先生の作品はどれもすきで、今回の本も凪良さんの本ということで手に取ってみました。
途中まで読んでいて、登場人物たちの気持ちがちょっとこじれすぎかな〜と。主人公もちゃんと小説家として頑張ってるのに、自分を卑下するシーンが多いのが萎えました。
年齢で自分の可能性を諦めるシーンが多いのも、BLなのにファンタジーなのに現実的な問題を彷彿とさせるので、読んでて落ち込みます。自分はもう何歳だから、おじさんだから、朔太郎とは付き合えないとか、もう年だからとか…くどいです。もっと、やりたいことやればいいじゃん、小説家なんだから冒険したらいいじゃんって突っ込みながら読んでたので、内容があまり入ってきませんでした。
朔太郎も、病気なのはわかるけど、支えたいと心から思ってくれる人がいるのに、突き放しすぎなのも、話を重くしすぎてる気がしました…
こんな感じでもっと素直になれよとツッコむ所が多かったので、読了後はイマイチすっきりしませんでした。
けれど、最後のSSののんびりとした時間の流れとか2人の間柄とか読んでて微笑ましかったです。記憶喪失ってありがちなネタだけど、心にじんわりくるエンドがうるっときました。
昨日、寝る前に読了しました。
後半あたりから込み上げてくる気持ちを抑えられず、SSで完全に涙腺が崩壊しました。
読了後も余韻を引きずってなかなか眠れず、今日は仕事をしながらも気が付けばこの美しいお話を頭の中で反芻していました。
そして、レビューを書くためにSSを読み直していて、またひとしきり泣いてたところです。
小説を読んでここまで余韻を引きずったのは初めてです。
それだけ美しくて優しくて素晴らしい物語でした。
つぐみと朔太郎、とにかくお互いを思いやる優しさがたまらなかったです。
いつか愛する人のことを忘れてしまうかもしれない
そのことで愛する人を悲しませてしまうかもしれない
だから朔太郎は恋愛をしないと言います。
でもそんな朔太郎の気持ちを尊重し、溢れ出す気持ちを抑えながら近くで朔太郎を支えたいと思うつぐみ。
誰よりも惹かれ合い愛し合っている2人なのに「友達です」と答える2人には、切なくて何度も胸が締め付けられました。
もう自分の拙い文章ではこの感動をどう伝えたらいいかわかりません。
とにかく、美しくて優しい素敵な物語でした。
でも、私はSSがあって良かったと思っています。
困難を乗り越え、2人で老いるまで紡ぎ続けた人生は本当に素晴らしい。
失い続ける朔太郎の記憶を綴り続けたつぐみ。
そんな2人の愛に涙を流さずにはいられませんでした。
久しぶりに、BLでしくしく泣いてしまいました。
特に最後のSS「スイート・リトル・ライフ」の中途から、後から後から涙が…。ははは…
<ここから先はネタバレになります> 文庫の後ろ書きが盛大なネタバレになっているので、遠慮なくいこう。
小説家・つぐみは、ある日十年来の恋人から理不尽な別れを告げられる。
崩れ落ちそうになっても、恋人の気持ちは戻らないと事実を甘受せざる得ない現実が突きつけられる。
新居を探すうち、ふとしたことで気持ちのよい青年・朔太郎と知り合い、彼が管理人をするアパートに入居することに…
つぐみとこの朔太郎が恋に落ちてしまう。
でも、朔太郎は健忘症という病を抱えていた。
「俺は、もう、誰とも恋愛はしません」「― 忘れられてしまう恋人がかわいそうだ」……
お互いのやさしさが降り積もって降り積もって、哀しさになって溢れ出ていく過程の描き方が、とても好きです。
二人が一緒にいる決意をするところ、抱きしめあいたいけれど「手を繋ぐのが精一杯だった」との記述に、非常に萌えました。
この物語が、私の涙を呼ぶのは、私が中途障がい者だからなのかもしれません。
自分は発病した10数年前から、「相手に迷惑をかけてしまうから、恋愛も結婚も、病気が治ってから」と自分に言い聞かせて避けて、とにかく治療に邁進してきました。
でも、病気は進行して、数年前に諦めて障がい者の申請をして認定されました。でも、いまだに自分の障がいを受け入れられてはいません。
それはさて置き、「あんなに頑なに恋愛を拒絶しなくてもよかったかなあ」とは、まあ発病後10数年経った今だから、思います。同じような病気でも素敵な出会いをしている人を知りましたので。難しいですね。
中途障がい者のつらさは、「健常だった自分」を知っていることではないかと思います。あそこに戻ろう戻ろうと必死の努力をします。あそこまで戻れないと自分はダメなんだと、自分を責め続けました。
自分語りはこれくらいで。
だから、私は、朔太郎の「誰とも恋愛しません」という頑な心に、すごく共感してしまうのだと思います。彼の未来になる「スイート・リトル・ライフ」に涙が止まりません。
こんな自分が感動・共感するというのは、これはBLの感想になっていないかもしれません。
まず、とってもいい話だったんです。
テーマがはっきりしていてまとまりも良く、泣かせるところもあり、感動しました。
しかし…題名の通り、Blである必要を感じなかった。これに尽きます。
つぐみをそのまま女の子にしても話が通っちゃうんですよね…。
むしろ、その方がテーマが際立つ。
健忘症の男とそれを支えて連れ添う女の話。
献身的に支える妻。困難と戦いながらも追い詰められていくその先に深い安らぎを得る夫。二人の間にある確かな愛、みたいな。
二人の間に子供でもできて、最後の短編が子供目線だった日には、泣ける映画そのものって、感じで…。
すごーく重たいテーマで、軸がしっかりとしているだけに、Blがそこに上手く絡んでいないというか…むしろ邪魔に感じてしまいました。
お話自体は面白いので、インパクトに残ることは間違いなしです。
評価下げてごめんなさい。
凪良先生の紡ぐ言葉は本当に美しいですね。。
読みながら怒りと悲しみと愛しさと感情があふれてしまい
最後は声を出して泣いてしまうほど物語に引き込まれてしまいました。
そして余韻をかなり引きづります!!
しばらくは話を思い出すだけで目が潤んでしまうほど。
そしてまた何度よんでも泣いてしまう。
わかっているのに泣いてしまう・・
こんなにも揺さぶられる作品は初めてでした・・。
特にSSはすごくよかった。。かなり好みが分かれると思いますが
あれがあるのとないのではやっぱり違いますね!
良い意味で裏切ってくれた。というか
BLの枠をポーンと軽く超えてくれたお話だと思います。
BLに無縁な友人にも勧めたいくらいです(笑)
絶対目覚めると思うw
なんといっていいかわからないけど、悲しいけどあったかいそんなお話
気軽には読めない作品ですが、悩んでる方がいるなら絶対に読んでほしい!
うまく感想が言えなくてもどかしいですが、読んでほしい珠玉の一冊です!
つぐみと朔太郎はそれぞれ計り知れない孤独を抱えていて、それゆえに添い合う過程と、それゆえに離れ離れになるやるせなさが切なかった。
記憶が失われる恐怖に怯える朔太郎に「朔太郎さんのこと」という形で毎日のように綴られた二人の軌跡。ただの記録ではなく、最後は二人の記憶、そしてつぐみ自身の結晶となって残ったのは感慨深い。
何度も何度も何気ない思い出を重ねながら歩んできた二人の一生。おじいちゃんになって死を迎えた後まで続く、幸福な二人の愛の形を思うと涙が止まらなくなった。
凪良先生の作品はもともと大好きでしたが、その中でもトップレベルではまってしまった小説です。
凪良先生は比喩が毎回とても綺麗で、そこが好きな理由のひとつなのですが、そういう凪良節?が満載の作品のようにも感じます。いったいどういう脳みそしてたらこんな綺麗な文章が浮かぶのかな?って感じです。
朔太郎が恋に臆病になる理由、それに答えようと「友達だ」というつぐみ。もともと両思いなのに、簡単にくっつかず、お互いの心を細やかに描写してくださったのが本当に嬉しかったです。過ごした時間を忘れてしまう朔太郎に対し、責めることも無くただそばにいて語りかけてくれるつぐみは本当にベストカップルですね。萌えもドキドキももちろんあるのですが、「もう何でもいいから幸せになってくれ!」ってこんなにも感じたのはこの小説が初めてです。
短編、スイート・リトル・ライフには賛否両論あるようですが、私は好きです。忘れる、ことを許せるようになった生活で、朔太郎はようやく、自分にとっての安心できる場所、半径1メートルをみつけられたのかなと。「症状が進んだら俺を捨ててくれ」という朔太郎と「ずっとそばにいる」というつぐみのペアですから、二人が結ばれた後に「末永く幸せに暮らしました」という終わりじゃ少なくとも私は納得できなかったと思います。この短編があって、ようやく本当に幸せな気分になれるって感じです。もちろん、二人の重ねた年月を考えると随分未来の話になってしまって違和感は残るのですが、読めてよかった、そういう短編でした。
BL小説には、惚れた!エッチ!おしまい!的に心情が薄い気がするものも多いので、そうしたなかで、コレだけ丁寧な恋愛をしてくれる作品は、BLの中でも珠玉の一作として過言ではないと私は思います。
こんなにもキレイな愛の形があるのかと、感動でとても熱くなりました。
いろんな話を読んでいるのでそうそう涙は出ないのですがそんな私が号泣、嗚咽でたいへんでした。
二人のその後であるスイート・リトル・ライフでは50年ぐらい経っているのかな?年をとっても二人の愛の形は変わらないとか、つぐみの書いた小説でつながっているとかもうここまで描いてくれてありがとうと言いたい!
凪良ゆうさん、素晴らしい作家さんだと思います。おススメです。
10年付き合って9年共に暮らした同性のペートナーから別れを切り出された小説家のつぐみが、記憶障害の病を抱えていながら懸命に生きる青年朔太郎との出会いでお互いが癒され共に生きていく糧となっていくお話です。
つぐみは、もう恋はしたくないと臆病になる気持ちでいたのに、いつしか朔太郎に対して友情以上の感情が芽生えていきます。
でも、朔太郎の方もつぐみに特別な感情を持っていそうなのに一歩引いた態度で居るものだから、年若く見栄えもいい好青年とどうこうなるなどないのだと自分に言い聞かせるように感情に蓋をしようとする様子に胸が痛みました。
そして朔太郎の方は、好きだからこそいつか忘れてしまうのがかわいそうだから好きになってはいけないのだと自戒する気持ちが切ないです。
この先も愛するパートナーと共にずっと続くと信じて平和に暮らしていたつぐみと、思いもよらない事故から将来への夢も希望もなくしてしまった朔太郎。
明日も今日の続がある訳ではなく何があるのかわからないという思いがある二人の心の疵は少し似ていると思いました。
仕事仲間で友人になった漫画家の小峰の行きつけのバーで元カレの伊藤に会います。
伊藤が事情が変わって身勝手にも、別れた恋人と元のさやに戻りたいと言っていたことを
知った小峰が「ゲイに子供が欲しいということは、女になって出直せということ、つまり死ねと言われたのと同じだ」と憤慨する台詞に溜飲が下がりました。
こんな自己中で人の気持ちを考えない男はいい気味だとしか思えないので、小峰によく言ったと言ってやりたいです。
そんな男だとしても、朔太郎はつぐみが愛して今でも恋しく思う相手であればこそ「二度と離れないと約束しないのならつぐみは渡せない」と友人として伊藤に伝えます。
決して渡せない、のではなくつぐみが幸せになるのなら身を引く思いの朔太郎の悲痛な思いが伝わるだけに胸がいっぱいになりました。
仕事ではなく書いた文章『朔太郎さんのこと』を朔太郎の祖父に送り続けていました。
朔太郎との思い出や日常のささやかな出来事を綴るだけの物でしたが、そこにつぐみの朔太郎への想いがあふれ大切に想っている証のようで読んでみたくなりました。
「スイート・リトル・ライフ」
本編から4-5年後の二人の幸せな日常。忘れることもあるけれどそれが不幸ではないんだというつぐみと朔太郎の気持ちがよくわかりました。
そしてまた時が流れ、年老いた朔太郎の姿がありました。
出逢いからおよそ50年の歳月がたった計算になります。
亡き人の遺影をみて毎日亡くなった寂しさを思い出し、『朔太郎さんのこと』を読んでは宝物のような思い出を抱きしめて日々を送ってます。
忘れたままでいたほうが喪失感もないと思いますが、それでも忘れたままでいたくないという朔太郎の気持ちが強く伝わってきてます。夕方の散歩や好きだったそうめんの味付けのシーンに泣けました。
ENDマークの後、パートナーと生涯添い遂げる未来を願いページを閉じることは多いのですが、その将来までも書かれている作品はそうはないと思います。賛否両論ではありますが私はこのラストシーンがとても好きです。
また、最後まで読んでから最初の方のつぐみがアパートに転居したときの歓迎会をしている住人たちの挿絵を見ると、ずっと友人関係だったらしい漫画家の編集者や後に再婚してここを出て行ったシングルファザー父子、男の娘の青年、登山が趣味で派遣社員をして働いていた青年たちにも朔太郎やつぐみと同じように幸せな生涯であったらいいと思わずにはいられませんでした。
主人公たちの人生のある一時期を切り取ったものを読んでいたはずなのに、最後のSSにはやられた。涙が止まらない。
凪良さんの作品は独特なリズムがあって、すごく好きなんだけど、だいたいがせつなくて読み返せない。
それにしても・・・私は本を読む前にすぐカバーかけて絶対に表紙や帯は見ないようにしてるんだけど、それは今回みたい帯にネタバレしてる場合が多いから。
なんでいちばん肝なとこを書くんだろう(#・∀・)
小山田さんのイラスト、どんどん体がとういうか、あらゆるパーツが長く長~くなっていってる気がするけど、やっぱり美しいですねえ。
最後の最後に、もう涙ぽろぽろ・・・
みぐみが10年間付き合っていたという伸仁に、まずめちゃくちゃ腹立ちました。
「子供が欲しい」??何言ってんの?
そんな始まりでしたが、途中からもう話に吸い込まれて行って・・・
事故から記憶をなくすという病と闘いながら
好きだからこそ、つぐみの幸せを願い離れようとする朔太郎。
つぐみに対する気持ちが半端なものではないことが、とてもよくわかりました。
自分の置かれた立場を考えるとつぐみを幸せにはできない。
愛しているからこそ、つぐみのことさえも忘れてしまう日がくるのが怖い・・・
自分はもう誰も愛さない・・・本当はつぐみを愛していたのに
自分の気持ちに嘘までついて、つぐみの幸せだけを考えていた朔太郎に
つぐみもその気持ちをくんで、離れて行ったのでしょうか。
お互いに愛し合っているのに、離れなければならない・・・
こんな辛い選択をした2年の後に、二人の幸せな何十年かがあり
静かにゆっくりと流れる二人の時間・・・
自分がそこにいるわけでもないのに、不思議とすごく満たされた感覚になります。
夕方の買い物、つぐみが作る夕食、夏野菜、素麺・・・
すべてがこの物語の中で、つぐみと朔太郎と共に流れていく。
今まで辛い思いをたくさんしてきた二人が、静かにそして愛に満ちた時間を過ごし
一人でいた時間があったからこそ心から安心できる二人の時間が
ありふれた幸せであふれていて、読んでいるこっちも幸せな気持ちになれました。
「おやすみなさい、また明日」という日常的なありふれた言葉が
この二人にとって離れていた一人の時間があったからこそ
大切で幸せな言葉だったんだろうな・・・と感じました。
最後に、二人が年を取りすでにつぐみは亡くなっているというエピソードには
きっと最後まで添い遂げ幸せな最期を迎えたのであろうという想像ができ
相変わらず、つぐみが亡くなったということさえも忘れるという記憶障害と闘いながら
いつかあちらの世界で、また一緒になることを誓う朔太郎に
自然とぽろぽろ涙が出て、最後に幸せだったんだ・・・という安ど感と
きっとつぐみは、朔太郎の愛に満ちていたんだろうという思いでいっぱいになりました。
このしめくくりは、BL小説としては賛否両論なのかもしれませんが私は素直に泣けました。
最後に、つぐみを捨てた伸仁に言いたいことを言ってくれた漫画家の小峯先生
もう読んでいてスッキリしました。ありがとう!!
ずっとランキングに載っていて気になっていた今作品。一気に読み、そしてすごい読後感に、しばし帰ってこれませんでした。
内容は皆さま書いてくださっているので感想を。
初っ端から恋人に「結婚したいから家を出ていって」と別れを切り出されるつぐみ。売れない作家で生活の一部を恋人に負担してもらっているつぐみにとって、恋人から別れを切り出されることは恋人を失うだけでなく「生活」も失うこと。順風満帆な人生を送ってきた恋人には、家族もおらず収入も不安定なつぐみの「これから」を想像することができない。良くも悪くも現実的なその二人の温度差に一気に引き込まれました。
対して事故の後遺症により記憶障害を持つ朔太郎。彼は事故に遭うまで、記憶障害という障害を持つまでは何の問題もなく生きてきたけれど、今はそういう自分を受け入れなくてならない、と言うところまで来ている。「一人で生きていく」と覚悟を決めている。
実際、記憶がなくなる、というのはかなりの恐怖を伴うことですよね。自分が何をしたのか、何をすべきなのか分からない。そんな暗闇の中で唯一見つけた希望がつぐみの書いた小説で。
自分にないところを埋めあうように惹かれあう二人だけれど、でも朔太郎は自分の障害をつぐみの負担にしたくないと別れを決意して…。
ストーリーを考えると、けして珍しい話ではないと思うんです。むしろ、王道だし、先もよめる。けれどそれを上回る二人のお互いを思う気持ちに引き込まれました。あと朔太郎のおじいちゃん。ナイスでした。
最後のSSは、これは人によって好き嫌いがある話だな、とは思いました。けれど、私はこのSSが一番泣けた。きっと若い人は「老後」なんて想像だにできないんじゃないかな。でももうオバサンである私にとっては身につまされるお話なんです。想像できる未来なんです。夫に先立たれて、一人で生きている自分。それでも家族と過ごしてきた思い出や時間が自分にとっての宝物なんじゃないかなって。
幸せな二人のままで終わってほしかった、と言う思いももちろんあるけれど、それでも二人が過ごしてきた長い時間が二人にとってかけがえのないものだったのだろう、と分かる終わり方で、すごくよかった。
そして小山田先生の描かれた表紙が良い!二人の間に流れる空気感がすごくよく読み取れて、しかも朔太郎のおへそがちら見えしてるのがまた良い…!いや、変態チックな感想でスミマセン…。
とにかく文句なく神評価です。
日々、生きていく中で積み重ねていく記憶。
自分が自分であることを形作っているのが記憶なのかもしれないと思います。
その記憶がこぼれおちていくことの怖さ。そして、そうした人と一緒に生きていくなかで感じる寂しさ。
私の身近な人が患った記憶力障害という病気と一緒に過ごした時間のことを思い出したりしました。
つぐみと朔太郎は恋を芽生えさせることと同時に愛情が育ちすぎて行った二人なのかななんて感じます。
恋はすこし自分勝手でも相手を求める気持ちだけれど、愛は相手を許し受け入れ与えるだけの感情だと思います。
自分が相手を求める気持ち以上に相手が幸せであることを強く望むからこそすれ違ったり傷つくこともあったけれど、二人の間に同じように愛が育っていたからこそ一緒に築く未来にたどり着けたことが本当に良かったと思いました。
自分がどんな人間であっても、無条件で自分を受け入れてくれる存在や居場所。
朔太郎は自分の病気を受け入れた時に、その優しさから1人で生きていく覚悟を決めるけれど自分の無価値観に悩み、自分を受け入れてくれる他者を心の奥では求め続けていました。
それでも、その想いを受け止めてくれるつぐみを受け入れることには大きな勇気が必要だったんだと思います。
自分が大切に思う人を自分は幸せに出来ないかもしれない。自分はいつか自分じゃなくなってしまうのかもしれない。積み重ねた思い出を自分は一緒に積み重ねることが出来ないかもしれない。そうした不安を乗り越えて一緒に生きていくことを決めた朔太郎とつぐみの深い愛情に感動しました。
最後のSSにも、二人がずっと幸せな時間を過ごしたことやその深い絆、変わらない愛がみれてとても幸せでした。
切ない…切なすぎるだろ〜
初めて、BLで泣いたかも…
普通にBL読む感じで手を出すと後々苦しいです。
この二人の恋愛って美し過ぎて、見ていてスゴく辛かったです。
お互いを想う気持ちが、結構はじめの方から物語の終わりまでじわじわと伝わり続けます。そう、ず〜っと伝わってくるんです。強く愛し合っていますが、HAPPYな感じでは決してないので、そういうのを求めて読んでしまうと爆死します。
賛否のあるラストですが、私はあれ以上のハッピーエンドはないと思いました。
ストーリーの流れやイラストなどは、2大先生だけあって全く裏切られません。素晴らしいの一言です。
オトナ向けです。
まず別れ話から始まるところからして重かったです。
主人公二人の境遇も重く
まるで作中に出てくるつぐみが書いた潔癖症の救われない小説のようだとおもいました。
元カレのムカつき具合にはちゃんと落としどころがあって
恋愛模様も紆余曲折を経た上でまとまってるのですが
はじめから終わりまで、しまいにはssに至るまで濃く重いお話でした。
まさかここまで書いてくださるとは思わなかった年齢の主人公たちまで見れて涙を禁じ得なかったわけですが…
ただ自身には合わない小説でした。
重くて背負いきれなかった自身の狭量が少し残念でした。
ただひたすらにずっと読みながら心がギリギリ痛かった…
「ゲイに向かって子供がほしいなんて、女に生まれ変わって出直せって
言ってるのと同じなんだよ。死ねって言ったと同じことなんだよ」
鳴かず飛ばずの小説家・つぐみの友人となる人気漫画家・小嶺の台詞。
つぐみの元彼である伸仁にぶつけた言葉ですが、とても強烈に印象に残りました。
愛ある日々を過ごしてきた筈なのに、いとも簡単に崩れ落ちる。
これから先の話をしたって、絶対なんて有り得ない。
恋愛だけに限った話ではない。何にでもあてはまること。
記憶障害の朔太郎。
コミュニケーション能力が著しく乏しいつぐみ。
そんな二人がいっしょの時間を過ごすことで、背負っているものが少しだけ溶けて柔らかくなり、あたたかい気持ちが増え、もっとそれが欲しいと思う。
手を伸ばせば自分のものにできると、多分、思えていたはず。
なのに、
「絶対してはいけない」
「諦めなくてはならない」
「望んではいけない」
そんな朔太郎の思いが交錯して、ひどく辛かった。
友人にも恋人にも家族にもなりたい。それを全部一人でなりたい。
そうすれば、色々な角度から、相手を支えてやれるのに。
傍にいれば悲しい思いをさせる。
離れればもっと苦しい思いになる。
決断したあとの2年間は、二人はどれだけ辛かったでしょう。
だからこそ、若い二人の「おやすみなさい」がものすごく重たいものに感じました。
あとがきを読んで、凪良さんが書きたかったことの我儘を押し通した、というような文章を読んで、私もラストのSSは『なくてはならないものだったのだ』と思いました。
辛いことがありました。
それを乗り越えました。
相手を思う気持ちに気づき、結ばれました。
今は幸せに暮らしています。
ただソレだけじゃなく、一人の人間の人生、という視点で見た時。
老いた彼も必要だったのだ、と。
彼をなくした彼は、今を忘れ、昔を思い出し、そしてまた新たな情報と記憶が刻まれる。
きっと死ぬまでそれは続いて行くことで、苦しく儚く、嬉しく切ないことの連続なのでしょう。
老いた彼が願う「また」。
静かな愛に包まれて、彼が先に待つ場所へと願いながら明日を迎えるのだなと思うと、涙が自然と流れました。
久しぶりに一気読みした小説でした。
取り留めもなくつらつらと書きましたが、
私にとって、切なくもあたたかい涙がこぼれる1冊です。
普段は感動しても、実際にはなかなか、泣くところまで行けない私が、この本のSSには、もう少しで落涙するところでした。(惜しい!泣いてすっきりしたかった)
私はこのSSがあって良かったなあと思います。
そして、密かに舌を巻いたのが、エロ場面。
エロを押し出した作品ではなく、しっとり路線のこのお話だからこそ、「こんなところで興奮してよいんだろうか」との背徳感も良いスパイスになってくれて、萌えに萌えることができました。
凪良先生は泣きも笑いも本当にお上手ですが、BL作家ならではのエロ描写にも、確たる腕をお持ちとお見受けしました。
読み終わった現在、猛烈な切なさに涙が止まらないままですが、
是非レビューをかかなければ!と思いつつ書かせていただきます。
一言で感想を表すことのできない作品に初めて出会いました。
凪良先生の作品に遅ればせながらハマり、なんとなくの気持ちで手にとった新刊ですが、こんなにも素敵な作品に巡り会えて本当に自分はついているなと思わずに居られません。
大げさなようかもしれませんが、それほどの気持ちが読了感を占めています。
「おやすみなさい、また明日」自体も物凄く良い作品なのですが、私の中で強く印象に残ったのが「スイート・リトル・ライフ」です。
凪良先生もあとがきでおっしゃるように、確かに賛否両論ありそうなお話かもしれませんが、これがあったからこそ健忘症である朔太郎さんのキャラが救われたような気がします。
記憶を失うことは、怖いことだけれどそればかりではない。
それを強く表したSSだったのではないかと思います。
どことなくストーリーが展開していく中で、あれ?と感じさせつつも気を引くストーリーで読者に考える隙を与えてこない。
この感じがドキドキや切なさを倍増させてきて、最後には涙が溢れている…
沢山の感情がこみ上げてくるちょっと大人なお話でした。
本文はもちろんなのですが、
それ以上にSSが素晴らしいです。
読みながら涙がとまりませんでした。
穏やかで温かくて、優しい。
本当に心に響くお話でした。
朔太郎さんが長い長い人生をかけて
つぐみとの一番大切な約束を守れたこと。
長い長い時間の中で様々なことは忘れていっても
つぐみを愛している気持だけはずっと忘れないでいること。
もうこれだけで充分です。
「真夜中クロニクル」を超える作品はないかも?!
と思ってきたのですが、この作品で超えました。
大好きな作家さんです。
「積木の恋」に心を鷲掴みされて、「恋愛前夜」でキュン死して・・・。
自分の中でどんどん凪良さんに対する期待値が上がりまくり、酷かな?と思うほどハイレベルな内容を要求してしまいます。
で、今回の「おやすみなさい、また明日。」おすすめです。
人を恋する気持ち、切なさ、もどかしさ、相手を大切に思うが故に諦めなくてはならない苦しさが、思いも寄らない表現で丁寧に鮮明に書き綴られています。
ツキン・ツキンと胸に突き刺さってきます。
印象深いシーンもたくさんあり、読後も心地よく余韻を楽しめました。
まるで良質な映画を観た後のように、何度もそのシーンを回想してしまいました。
空想の世界の人たちにこれほど感情移入してしまえるのも、凪良さんの卓越した感情表現に加えて、心に染み込むようなシーン設定が散りばめられているからではないでしょうか?
そして「スイート・リトル・ライフ」ですが、賛否両論のようですね。
私がかなり年齢を重ねているからかしら?
凪良さんが「最後のSSを書きたくてこの話を書きました。」と言う言葉をとても嬉しく、素直に受取ることができました。
「愛する人へ一生かけて愛を証し続けたふたりの物語にふさわしい、幸せな締めくくりだったと思っています。」
まさにその通りだと共感しました。
素敵な締めくくりをありがとうございました。
忘れるのは、生きて行く上の救いだと思います。嫌な事も辛い事も遠くへ行くのですから…。けど、これがあるからこそ生きて行ける、忘れたくない覚えていたい人、楽しい時、…それを全て折りとられる朔太郎。それに連れ添うつぐみ…。日々の暮らしを綴り、朔太郎の思い出を…そして、つぐみの日々の語り。それが作品になりつぐみ亡き後、優しく朔太郎を包んでくれているようで、あぁ…ずっと、涙と鼻水、ほろほろ垂れ流し状態です。
もぉ、ビューとか、ここがこうだったとかでは無くこの連れ合いにただ、涙、ただ涙です…。
とてもやさしい風景がイメージできる文で、さらに心情がせまってくるようでした。
いろいろな事と向き合い、受け入れ、また悩み。生きていく中で常にその繰り返しをしているのだと、ずっしりと考えさせられました。
互いを思いやるが故に離れるところでは、せつなすぎて号泣。
その後の話のSSは、いろいろ意見がわかれるところだと思いますが、誰しもが老いという流れの中で少なからず体験していくことなのだろうと思います。
これは読み手の年代によって、感じ方が大きく変わるところかもしれません。
この作品の読後感は、読者の立場によって大分違うのではないかと思いました。
家族・恋人と将来を展望できる人、危うい人、できない人、
先に遺したい人、遺したくない人、遺せない人、
足掻いてる人、諦めている人、
経済力も対人スキルも低いゲイの告美(つぐみ・35才)はーできない人・遺せない人・諦めている人ーです。
だから、若くて好青年の朔太郎は、本当なら近付いてはいけない存在だと思っている。
友情止まりが朔太郎のためだと。
だけど、告美の羨む朔太郎も、どうにもできない不安と闘っていて、朔太郎はー危うい人・遺せない人・足掻いている人ーで、諦めている人でした。
2人でいることで、お互いが不安だけど助けあっていける将来が見えた。
朔太郎の祖父の後押しもあって、人生のパートナーとして固めていったのがタイトル作でした。
『お休みなさい、また明日』に、有名作品を思い浮かべますが(内容もね^^;)、橘にはこの作品にこのタイトルがとても合っていると思います。
「また、明日ねw」…考えるともう駄目です(涙)
SSの『スィート・リトル・ライフ』
朔太郎の晩年の日常を書いています。
橘には、甘くも可愛くも小さくもない朔太郎爺さんの日常なのに、何故、スィートでリトルなのか、凪良先生に伺いたいところ。
朔太郎は“自分がつぐみを見送る”約束を果たせて、そのまま良かったと葛藤もなく受け入れる事ができたのでしょうか?
自分が忘れる日々の告美への焼香や、繋がらないのを承知の記憶に、頭を掻き毟りたくはなかったのでしょうか?
その後の朔太郎の告美のいない長い時間を思うとあまりにも孤独が痛いのですが。
自分も事故に遭って、脳がぽっかり休止する症状が出て、今何してたっけ?って慌てる事が何度もありました。
通っていないはずの交差点で信号無視をしたとキップ切られた時には、死にたくなりました;
これから先を思うと、老化や退化はとても怖い事です。
もしそれが、好きな人達や自分が消える時の侘しさや後悔の為の準備なのだとしたら!?
次代を継げそうにない男からしたら何の為の今とこれからの生活なのか!?
ぐるぐると考えてしまうのですが、答えが出るはずもなく、またぐるぐるです。
凪良先生の、暗闇にぼうっと光る白、ステンドグラスからの採光、真鍮の蛇口、ハート型のキュウリ、山茶花、ソーダのミント、他たくさん^^
主人公達の周りがポッと鮮やかになる描写は、とても印象的で美しく、切なくなるものばかりでした。
朔太郎の祖父と告美や朔太郎と祖母のやりとりの静かさや穏やかさが、ズンと胸を突いてきます。
後半SSは、凪良先生が敢て書きたかったそうですが、こちらはBLエンタメではないと思って読まれた方が良いと思います。
いい話なんだが、と気が重いまま書きます。
まず、あらすじで記憶障害とネタバレしてるのが残念でした。
作者のせいではないが。
あと、記憶障害も手垢のついたネタだし、主人公が作家という設定も、
出てくる少女漫画家が男というのも。どこかで何回も読んだな…という感がした。
こと作家が作家を書くことは。
どこまでご自身を反映させてんのかな、と気になる。
作家であることの愚痴なんか読みたくない…。愚痴のつもりないんでしょうけど。
35歳だったら仕事あるだろ、とか。狭量でスミマセン。
そして
本編に感情移入して読んでた分、その後を描いた「スイート・リトル・ライフ」に
違和感を覚えた。
つぐみが仮に2010年くらいに35歳だったとする。(男の娘って言葉や、タブレットが一般的らしいことから、あまり年代は動かせない)。
そうすると84歳で亡くなった時には、2060年くらい。
2060年くらいの未来が書かれてしまって、決定している。…エ、SF?!
そりゃまあ、作者=創造主 が創造した世界や人物なんだしどう書いてもいのだ…と思いつつ、違和感が大きかった。
人生はなにが起きるかわからないと主人公のつぐみも思っている。
それに共感しながら読んでたのに。「どうなるの、ハラハラ」と思って読んでたのに。
つきはなされた?というか…
急にファンタジーになったようで。
実在感、現実感がなくなった気がした。
あとがきにあるようなBL的にどうこうでなく …2060年(くらい)って、気持ちがついてけなかった。どういう目線で読んだらいいのかわからなかった。いいトシしてますが、おむかえを望む老人の気持ちをわかるといったらバチが当たると思うし、…個人的に、桃をむいてるとこくらいで(かつリアリティを保つため3年後くらいに押えて)終わって欲しかったです。
本編にかんしては手垢感をのぞけば、日常の繊細な描写やエピソードが相変わらず達者で、良かったと思います。
批判的な内容になりましたが、本編だけなら萌×2くらいに良かったです。
また、わたしが批判的に書いた短編こそがいいのだ、という読者もいるみたい。
エロはともかく、ストーリー萌えの方には薦めていいかもと思います。
こんにちは^^
私も、あらすじにて『記憶障害』というのが既にネタバレしていることに、読み進めて行ってガッカリ?した一人です。
(結局惹きこまれたので、結果良ければナントヤラですが…)
そして、本編→SS→あらすじ、と読んでいて、あまり時間軸を考えずにすんなりといけたのですが、ハイ爺さまの書かれた「2060年」という推測年数に思わずブッと吹いてしまいました(笑)
そうですよね!言われてみるとすごいSF感!(笑)
気付かされて思わずコメントしたくなり、お邪魔させてもらいました♪
突然失礼いたしました^^
親類縁者もなく、あまり売れない作家の仕事のつぐみは
同棲していた10年越しの彼に別れ告げられた。
転居もしなくてはならず、沈んでいたある日、
公園でなんでも屋の朔太郎と出会う。
その縁で朔太郎の祖父が営むレトロなアパートに引っ越したつぐみは、
明るく思いやりのある朔太郎の人柄に少しずつ惹かれていくが……
ステンドグラスやタイルに彩られたアパートの、個性的な住人達。
彼らの気配に慰められながら、少しずつ元気になっていくつぐみ。
お互い気になりながら、友達以上恋人未満な優しくほのかに甘い関係が続くが
それがある閾値を超えた時に、朔太郎はつぐみを思うが故に離れようとする。
アパートから出たつぐみ。
後半は離れ離れになった後が描かれる。
繊細で丁寧な心情の描写は、凪良さんの得意とするところ。
何気ない日常の描写が、とてもいい。
朔太郎の記憶障害に関しては、あらすじでもネタバレしてしまっている上
彼が大学ノートに何もかも書き留めているエピソードからも想像がつく。
そのことによる彼の恐怖、誰かと愛し合うことへの葛藤、
それに対して人生に積極的でなかったつぐみが、
見返りを求めずに静かに強く彼を支えようとする様は胸をうつ。
そして、離ればなれの2年を経て再会する二人……
巻末には「スイート・リトル・ライフ」という短編が掲載されている。
作者もあとがきで「BL的に途中までにしておいたほうがよいのでは」と
編集者からアドバイスされたと書かれているが、
確かにBL的にはあまりない50年も先が描かれている。
その事が物語に深みを与えるだろうとは私も思うのだが、
もし50年後を書くのだとしたら、
本編の設定自体をせめて昭和くらいにすれば良かったのではないか?
本編がほぼ現在で、そこから50年後と思った時に、
そこまでの日常感覚から遊離しない味わいが良かっただけに
50年後のリアリティのなさに乗り切れない想いがした。
おじいさんになった頃を描くことによって、
彼らの穏やかで幸せな軌跡が浮き彫りになることは素敵なのだが、
そこが残念だと思わずにはいられなかった。
そこのファンタジックさに惹かれる……という感想もあろうかと思うが。
個人的な感想としては、目新しさはないながらも優しく美しい物語だったと思うが、
本編も途中までの方が良かったし、
短編の件を含めて失速気味の読後感だった。
雨降りvegaはじめ最近の高評価の作品はあまり心にも記憶にも刺さりませんでした。今回もあまり期待してはなかったんです。記憶障害の題材にしても安芸まくら著「明日も愛してる」鮮烈で、映画の題材にもよく使われるもので新鮮さもないですし・・・・判り易いチープさはなく、変なドラマチックな盛り方もなくただただ静謐で優しくてけども辛くてけれどこの本を手にした事がとても嬉しくなる様な一冊でした。blでは無いけど瀬尾まいこ作品の様な何だか優しい気分になれる様な雰囲気を感じました。ここに色々と長文にしてもきっとこの読んだ思いは書ききれないので止めます、それくらいギュッと心掴まれました。凄く沢山の人の手に渡って欲しいなと思います。木原作品が一般で再販されてるけれどもこの作品もblだけの枠ではなく多くの人の心に残って欲しい作品です。行間に含まれる空気もだけど日常にある風景の一コマがとても愛おしい「もう少し夜が多くなって、青色が濃くなると、少しの間だけ空気の色と指先が混ざる」そういう感覚がとても好きで、ただの切ない物語ではない、この作品に出合って良かったと言える一冊です。小山田あみさんのイラストも素敵で真夜中クロニクルもだけど、凪良ゆう×小山田あみは外さないですね。