エンドゲーム 2

エンドゲーム 2
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神41
  • 萌×222
  • 萌12
  • 中立12
  • しゅみじゃない7

--

レビュー数
22
得点
341
評価数
94
平均
3.8 / 5
神率
43.6%
著者
山中ヒコ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
新書館
レーベル
Dear+コミックス
シリーズ
エンドゲーム
発売日
価格
¥571(税抜)  
ISBN
9784403662966

あらすじ

「殺したのは、オレだ」 ――衝撃の告白を聞いた克哉(かつや)は透を詰り、家を飛び出した。 透が母を殺したという事実より克哉を苦しめるのは、二人で過ごした幸せな日々が全て、償いのための偽りだったかもしれないこと。 自暴自棄になって街をさまよう克哉だが、そこにある男の影が忍び寄り……?  番外篇二篇も収録した、感動の完結巻!!

表題作エンドゲーム 2

養子・柔道選手
挿絵画家の養父・13歳年上

同時収録作品番外篇 1

大学生
大学生

その他の収録作品

  • 第七話 好きになってはいけない人
  • 第八話 殻の割れたヤドカリ
  • 最終話 別れの日の朝のこと
  • 番外篇 2
  • 幸せな機械
  • あとがき

レビュー投稿数22

評価が分かれる2巻かな?

克哉の母親を死なせた犯人が判明する2巻。
正直評価が分かれるのが理解できる。
倫理的に受け入れられない人がいるのもわかる。
誰も罰を受けなかったことに私もモヤモヤはある。

でもですね、透が克哉への贖罪と情愛の気持ちの間で揺れ動きながらも、克哉と過ごした日々を「本当に楽しかった」と振り返る。このシーンに私は心を持ってかれちゃったんです。
そして克哉と身体は結ばれても決して最後まで「好きだ」と言わない透。
この終わり方も良い!!
1巻は小説っぽいと思ったんですが、2巻は映画のようだなーと感じました。何故だか。

BLとしての萌えは正直あまり感じない作品だと思いますが、そこを重視しなくてもいいかなーと思えました。(透の元カレ・黒田との過去話はBL的萌えありです。)

1

最高のラストでよかった。大好き

透の秘密…やっぱり克哉の母親を轢き逃げしたのは透じゃなかった。
克哉が思った通り!

でも透としては、責任を感じるのは当然だしわかる。

黒田が悪い奴で(あとがきで「くらい しんきくさい 黒田よ」×2回&一人エグザイるw と言われてたの笑ったw)

黒田がなぜ自分を見殺しにしなかった…と聞いた克哉の返事に感動。
「……もし俺が透に育てられてなかったら きっとあんたを見殺しにしてた」
「……透に育ててもらったから あんたを殺さずにすんだんだ」
てやつ。

こんなん聞いたら、透ちっこく丸まって泣いちゃうよね。
その時の透の心象風景が…黒田とすれ違って、ちび克哉によしよしされている図なのが泣ける。

克哉が名古屋に発つ場面もよくて。
ドキドキからの、じーん。
透が克哉に好きと言えないのが切ない。
気持ちが伝わりそうなものなのに、克哉はまだ若いし?透の本当の気持ちまでは分からんのがまた切ない。
これが本編ラストなんですね。

番外編もよかった。
黒田が過去編で超イケメンで!
ああなったのも生い立ちなんだなと(何でも生い立ちのせいにしたらあかんけど) 
あ、それと病気で余命いくばくか…もあるか。

克哉と透はプラトニックのまま終わるのかと思ったら…きましたね!

でも克哉は名古屋にいたままで耐えたね。
実家に戻るたびにああなっちゃうのは仕方ないよねw
なんせ若いし、長い年月我慢してきたものが溢れているわけだし、体育会系だしw

透が克哉へ言えない言葉を、いつか言ってあげられるようになるといいな。
ただ、言えるようになった頃は、克哉も大人になっていて、もう透の気持ちがわかっているんじゃないかなとも思う。

全体的に、辛い場面が本当に辛かったけど、最小限の描写だから読み切れた。
その辺のさじ加減ありがたい。
作家さんの腕の見せ所だと思う。

しかし、先生が描く人物は色っぽくて魅力的。
ゆるい顔もきゃわいい。
(目の描き方が、雲◯先生に似ている気がする。好き)

あと、平井もいい。
当て馬的立ち位置だけど、克哉とのライバルな会話が笑えるし、透の理解者でもあるもんね。

透のかわいらしさはある意味、魔性ねw
本人全く無自覚の天然のやつ。

構成とかも良いので、またじっくり読み返したい。
辛い場面あるけど、ラストがわかっているので、次読む時はまだましかなw

3

賛否両論あって当然、でも結果から考えてもいいのかもしれない

 やっぱり透が運転していて轢いたわけではなかったと知り、まずはほっと一安心。でも、黒田が飲酒していたのを知っていながら、彼に運転を任せた透にも当然責はあります。飲酒運転に対する戒め、世間の認識がもっと甘く、皆が今より気軽に飲酒運転をしていた時代というのは確かにありました。それでも、人を轢き殺してから初めてその恐ろしさに気付くのはあまりに遅過ぎる。目の前で血塗れの母親が息絶えていくのを見守るしかなかった、幼い克哉の姿には涙が出ました。絶対にしてはならないこととして改めて自戒すると同時に、どうしても黒田の名前、彼の車両を通報できなかった透に対する不信感が湧いてくるわけです。

 けれど、そこから透と黒田がどんな恋愛をしていたかが徐々に明らかになっていきます。熱のない人間だった黒田を唯一熱くさせ、彼に手作りの指輪まで作らせた透。柔らか過ぎる性格のあまり人にいいように使われて終わってしまいがちで、誰かと深い関係を築いたことがなかった中、多少強引にでも自分に近づき、好意を伝えてくれた黒田にとても心を許し、好きになった。黒田も元から人でなしだったわけではなくて。だからといって犯罪はけっして許容されないけれども、透が通報できなかった心情が痛いほど分かり、やりきれない気持ちになりました。犯罪を犯してはならないのは当然で言うだけならとても簡単ですが、実際に自分が意図せず当事者になってしまった時、ただでさえパニックになっている頭で、他の様々な要因から誤った判断を下してしまうことは、誰にでもありうることだと思います。

 もちろん、罪は背負わなければならない。そして、通報しなかった代わりに克哉の人生を背負った透。それが正解かどうか、解釈は人それぞれだと思います。真実をいつでも話す覚悟をしていたということは、克哉が自分を訴えても構わなかったということ。でも、透と長年過ごした克哉はそうしませんでした。それで十分なんじゃないでしょうか。たとえ結果論であっても、真実を知った上で克哉は透を嫌いにならなかった、好きでいてくれた。別の家庭に引き取られていても、これ以上幸せになれたとは限らない。唯一残った被害者である克哉がそれを透の贖罪だと許してくれたのなら、第三者に言えることはもうないんじゃないかと思いました。

7

萌えることを拒否したくなる

伊藤克哉(高校生)×透(養父 絵描き)

義父モノがあまり好きではない上のこの設定。
透の感情に心を寄せる事ができない。犯罪ですし、好きな男が運転してたからひき逃げ幇助するってまともな感覚ではない。実行犯ではなくても透は社会的に罪を償ってないわけで。
黒田番外編でフォローが入りますが、もちろんのごとく黒田のことを想えない。

堂々と反社会勢力モノとか、明らかに下衆であることを許容しているならまだしも、この作品に萌えることを拒否したくなる。正直言って泣いてる透のもとに克哉が走って帰ってくるシーンとか、大学生克哉のストーリーとかめちゃくちゃ好きなんですが、自分の中の倫理観が萌えるべきではないと言ってくる。
これでストーリーの筋に納得いったら、萌は度外視して作品としてすきなのですが、それも納得いかないので。

2

どこまでいっても犯罪者

え? 自首しないまま?
え? 時効ってこと?
え? 受も犯罪者ですよね?
せめていい人キャラなら、受おまえだけでも自首しろよ!
ヒトヒトリ殺めておいて、罪も償わないで、
なんで最後は「めでたしめでたし」なの???
え?えーーーーーーーーーーーーーーーー!?
という驚愕かつストレスフルな感想しか残らない作品でした。

まず攻受それぞれが事件の真相に対して
葛藤があまりにも浅薄すぎやしないかと。
犯人を知っていて通報も自首もしなかった受を
実行犯でないというだけで攻がすぐ許してしまっている。

受にいたってはそもそも、自分が犯した罪に向き合わず(自首もせず)、
不幸な幼少の攻を引きとり育てるという
なんだか贖罪ぽい行為でごましかしてません?
さらに受にとって都合がいいことに
攻が養子先でDVをうけていたエピソードまであるんだもの。
美談になりますよね。いいことしてる風になりますよね。
なんか贖罪ぽくなりますよね、だから自首しなくていいんですもんね?
という感じがどうしてもしてしまいました。

しかも攻をひきとってからは殺人に関わる罪を犯してるくせに
結構のうのうと生きてんな〜、
という印象がどうしても拭えませんでした。
(いじわるな意見ですみません…)

あくまで主観ですが、
結局、そういった倫理観をぶちやぶってしまうほどのドラマを
提示してもらえなかったので、
攻を引きとり育てたことが贖罪になっているとは思えなかったし、
受のことをどこまでいっても罪を償なわなかった犯罪者としか
とらえることができませんでした。

その要因はひき逃げ事件が受が犯した「罪」というより、
あくまでふたりの恋愛を盛り上げるためのエッセンスの域を
でていないからではないかと…

1巻までは非常に楽しく読ませてもらっていたので残念です。

1

忘れられない一冊

山中ヒコさんの作品はどれも大好きですが、中でも一番好きなのがこの作品です。
現実的にはちょっとありえない展開だったり登場人物の考え方だったりしますが、それをすらすらと読めてしまうのは、ヒコさんの描く「間」がとても上手いからだと思います。

とにかく一度何も考えず読んでみると、思わぬところで胸がツンと来ます。犯罪とかそういうことはいろいろ抜きにして、登場人物たちの心情にだけ焦点を当ててみると、これほど悲しい物語もないです。

少し触れたら崩れてしまう、壊れ物みたいな関係の2人が最終的に行き着く先は、決してはっきりとはしない、けれどこれ以外だったらがっかりしてしまうような…ヒコさんはいつも完全なハッピーエンドで物語を終わらせないイメージがあるのですが、この作品もそう。余韻が残るからこそ、忘れられない一冊です。

5

贖罪と罰

贖罪と罰

罪を受け入れ贖罪を続ける者と
罪から逃亡した者

二度と恋なんてしちゃいけない


挿絵画家の伊藤透は、幼くして交通遺児となった克哉を引き取り
過剰なほどの愛情を注ぎ平穏に暮らしていた
青年に成長した克哉は、養父である透に道ならぬ恋心を抱いていた
そして、透もまた親以上の感情持ちながら克哉を大事に見守ってきた
家族として暮らす幸せを感じながらも、お互いへの気持ちを燻らせていく
でも、透は決めていた この思いは絶対に伝えないと・・・
そんな中、黒田が克哉の前に現れ、あれはひき逃げで
犯人はまだ捕まっていないと告げる
事件当時幼かった克哉は事件の記憶が曖昧だった
記憶をたどり事件を調べていくうちに、
透が犯人かもしれないと疑惑が生まれる

克哉は自分を引き取ったのは贖罪のためかと透をなじります
透は最初から克哉が望むかぎり一緒にいて事実を知って
離れたいと望むならそれを受け入れる覚悟をしていた
実はひき逃げの犯人は黒田で、当時恋人だった透はその車に
同乗していたのでした 黒田は海外へ逃亡し透とは音信不通に・・・
その後、克哉は孤児院に入り里親の元に引き取られるが、
虐待にを受け孤児院に戻ってきます 
克哉を遠くから見守っていた透は克哉を養子にします 

出会った時の二人の状況は最悪でした
でも、お互いの存在に希望を見出し一緒にいたいと思い
これまで暮らしてきた 一緒すごした時間の中で育んできた
愛情は簡単に手放せるものではなく
克哉はすべてを知ったうえで透を抱きしめます 
でも、透は最後まで克哉に好きだと言わなかった
好きだと伝えたいけど、それを言わないことが
自分で決めた罰なのだろうと思います
だから克哉は本当に透に愛されているのか
確信が持てないまま終わっています

罪から逃れようと海外に逃亡した黒田は、
画家として成功する矢先に心臓の病気が見つかり余命宣告されます 
逃げた果てには何も残らなかった
画家としての成功も 憎むほど愛した透も
だから、克哉と透の前に現れたのは最後の悪あがきだったのかも・・・

一応ハッピーエンドではありますが、何となく不安が残る話でした

2

すっきりとは…しません。

番外編2編(黒田視点、克哉暴走編)+書き下ろしを含めた完結編。
完全にハッピーエンドとは言い難い感じでした(´・ω・`)
いつか透が自分の気持ちを克哉に伝えられる日が来ますように…。
そうじゃないと…本当は両思いなのにグルグルしている克哉があんまりだ(ノД`)
黒田と透がしてしまったことは決して許される行為じゃないけれども…それでも幸せになってほしいと思う。
「機械」だなんて悲しすぎる。

本編では「黒田最低!!!」としか思えなかったけれど…番外編にやられました・゜・(*ノД`*)・゜・
「あの時」がなければ…「あの時」逃げなければ…そうしたら全然違う未来が訪れたんじゃないかと思うとやるせない。
自分の気持ちを憎しみに変えることしか術を持たなかった黒田が悲しい。
真っ黒に塗りつぶしたキャンパスが苦しくて仕方ない。
病気は治らないのかな?
せめて…命が尽きる前に心穏やかに過ごせる日が来て欲しいと願ってしまう…。
自業自得といえばそれまでだけど…。゜(*´□`)゜。ウェェェン!!

2

評価が別れる作品

倫理的な面と、現実的にこれはないでしょ!という点から評価の別れる作品だと思います。

実際あれだけの過去が、二人の間にありながら、最終的に恋愛関係(?)に発展するという展開には、違和感を持たざるを得ません。ドラマチックすぎるし、ご都合主義という印象も拭えません。

がしかし。それが分かっていても、きゅんとしてしまう。切なくなってしまう。韓国ドラマを見ているのと近い感覚?!と言ったら失礼かもしれませんが、障害が多いからこそ燃える…萌えてしまうのです!

この作品に感しては、作中に起こる様々な出来事について、あまり根拠を深追いしないほうが楽しめる気がします。ファンタジーとして読むと、入り込んでいけるというか…。

克哉のあふれでる亨への愛情と、他の方も書いてらっしゃいましたが、がっつきが本当素晴らしい!(笑)相手のことを好きすぎて自分をコントロールできなくなっている攻めが美味しすぎました。コントロール不良でヤンデレや鬼畜に走られると萎えるのですが、克哉は一応ちゃんと亨のことを大事に思っているし、尊重してますからね。

1

皆、悲しい。

メインの二人も黒田も切ない。
一応、ハッピーエンドではあるし、二人は関係を持ったし、これからもこのままなのでしょう。
けれど、私は少し不安な感覚が残りました。

色々考えると設定は微妙な点(素人の克哉が気付くくらいだから、警察も透を疑うだろうとか、無関係な人が子供を引き取れるのかとか)が多いのですが、親を殺したかもしれない、殺していないけれどずっと黙っていた人、もう憎む感情を超えてしまった点は、これでいいと思います。
だからこそ、二人は幸せにならなきゃいけないし、けれど真の意味での幸せにもなれない。
重い何かを背負ったままでも、このままずっと二人でいてくれたらいいなあとは思います。

2

幸福と不幸のモザイク

連続物のサスペンスドラマよろしく、犯人は?!というところで続くだった前巻。

一巻はとても良かったのだけれど、二巻まで読み終わると微妙な読後感。
よくない、とか好きじゃない、とかではなく、
すごく好きなところと、受け入れにくいところがモザイクになっている感じ。

最後の幕切れも、ちょっとあっけなく
更には母殺しの真犯人で、かつての透の恋人・黒田の話にもっていかれた感が。
淡々とモノローグで語られる彼のストーリーは、惹き付けられるが
もう一歩踏み込んだ話を読みたかった気がする。
あれ?でもそれじゃ番外編じゃなくなっちゃうか……
もう一つ更には、それでその後彼はどうなるのか?気になるし。

もう一つの番外編は、後日談。
身体を繋ぎながらも、好きだと言えない透。
この二人の間にある関係は、どう考えても一筋縄ではいかない。
彼らは途方もなく幸せで、でも一方途方もなく不幸だ。

こういう引き裂かれた感じって好みではあるんだけれど、
ファンタジーとはいえ、ひき逃げ事件をこのままにしていいのか?とか、
こんな定職もない20歳そこそこの若造が、養父になんかなれないでしょ?とか
しかもそいつが油絵描きだったら、松精油との関係から疑われるんじゃ?とか
克哉も目の前で母をひき殺され、養父母に虐待され、
こんなトラウマ無しで育つはずないよね?とか
……いろいろと納得のいかない突っ込みどころがあって、いい評価はつけがたい。

ということで、評価は中立で。

9

シリアスは好きだけどこれはイカン

BL的な観点で、透と克哉にだけ焦点を当てたら「萌」ぐらいなんですけど、
てか二人のエロの部分とかも結構萌えました♪
二人のラブラブ展開自体は悪くは感じなかったんです。

しかし、個人的に壊滅的に手に負えない事柄が一つ。
透の元カレが「自動車運転過失致死傷罪」…ひらたく言えばひき逃げをしたってことです。

しかも、被害者が死亡する認識を持ちながら救護せず放置したので、
不真正不作為犯として殺人罪(刑法199条)が適応できます。
正真正銘マジもんの犯罪者ですこいつは。

そして透も。
彼も「ほう助罪」が適応されます。透も死んでいる人を目の前にして助けずに逃げた。
しかも殺した犯人を知っていて黙っていた罪は二重に重い。

人の命をなんだと思ってるんだ!って話です。
人を一人殺した罪の重さって、ものすごいことなんですけど。
もし私が克哉みたいに身内を殺されたら、ひき殺した犯人のこと、殺してやりたいと思うぐらいに憎むと思うし。

透自体は人をひき殺してないよ?だから、彼はそこまで重い罪じゃないかもしれない。
でも、犯人を知っていて黙っていていいのかな?
犯人を知っていて、罪滅ぼしにその子供を引き取っていいのかな?
透は克哉に愛される資格はあるのかな?って。

「ひき逃げほう助罪の透」と「お母さんを殺された子供の克哉」がお互いに相思相愛になるなんて、ここは壮大なBLファンタジーだな、と。こういう作品の場合、好きになった人が実は自分の母親を見殺しにした人で、でも自分の想いは変わらない!例え人殺しだったとしても好きだ!!
みたいなのが究極の愛的に描かれているんだろうな~と思います。多分狙いはそこだと思います。その点だけ見れば確かに究極の愛。

でも私は松本清張の小説みたいに、悪いことをした犯人が、じわじわと真綿で首を絞められるみたいに追い詰められる話を読むのが好きなので(超個人的な趣味)、
あの手の推理系みたいに犯人を暴いて欲しかったなー、てか事件について嗅ぎ回る第三者が出てきて、透の元カレが捕まるという展開があったら確実に神にしていたな…と思いました。

やっぱひき逃げ犯放置はイカンでしょう!

11

息苦しくて残酷で、でも惹かれる物語。

お話自体は多分とても惹かれています。
でも、犯罪の重さに、迷った末に「中立」評価。

黒田はあれからどうなったのか。
法的な手段を取らなかったのか。
透も共犯になることを恐れて
克哉が敢えて何もしなかったのか。
でも透も罪悪感にさいなまれているのならば、
しっかりと正当な方法で償うべきだったのではないか…
悶々とさせられる読後感だったのです。

そして、セックスをしたことは
はたしてよかったのか。
良い悪いの問題ではないのだろうけれど、
体を繋げるのならば、せめて、
透にも克哉本人にきちんと恋愛としての「好き」を
伝えてほしかった。
このままでは苦しさが爆発しそうで、
克哉がこの先ずっとこれを思い続けるのかと思うともう…

本編のラスト、
そして番外編2のラスト。
ヒコさんならもっと余韻を持って
終わらせることも出来たと思うのだけれど、
敢えてのあの終わり方がとても気になります。
閉塞感でいっぱいの作品だからこそ、
ちゃんとした『幸せの形』を見たかった。

黒田の番外編も、好みが分かれると思いましたが、
私は物語としてはとても印象深くて
忘れられないものでした。
透への歪んだ想いは、元はとても純粋なものだったのに。
最後に行き着いた感情が読者に拒否反応を
起こさせることもあるかとは思いましたが、
描いてくれて良かったと私自身は感じます。

一巻に引き続き、万人にはおススメしない。
切ないというよりとても痛い。
忘れられない作品になる可能性も高いですが、
読後感はすっきりしないと思います。

ヒコさんの、クセのある独特の絵柄が
物語を少し救ってくれていると思う。

7

美談に仕上がっているが、二人のしたことは犯罪。

すごい私の好きな部類のお話だったのだが、「最後までこれは犯罪でしょう」という思いが強く残ってしまった。
一冊、一冊にレビューをする気持ちになれず、二冊まとめての感想。

飲酒運転で母親と幼児・2人を撥ねて逃げた黒田。
彼と一緒にお酒を飲んでいながら黒田に運転をさせ、親子を撥ねておきながら結局は逃げた透。

その後の二人がどんなに苦しい辛い人生を歩もうと、克哉の母親は二人のせいで亡くなってしまったのだ。
幼き透は施設に入りその人生が大きく狂ってしまった。
施設で生活する中で、土手でボロボロの透と出会い二人は心を通わせて一緒に暮らすことになる。
懸命に克哉を育て、罪悪感に苦しみながらも生きていく透。
克哉のためならば自分の生命線である利き手をも亡くしてもかまわないと、黒田に拉致された克哉を助けるためにカッターをその腕に押し当てる。
全ては克哉のための人生であり、一生かけても償いきれない罪を背負っていることも自認している。
克哉の思いも受け止めて受け入れて共に歩む二人は、何とも切ないが幸せになってほしいと願わずにはいられない。

黒田も心に闇を持った可哀相な人だ。
いい親に恵まれず、自分の唯一ともいう絵では透の才能にコンプレックスを抱き、事件後には大病に身体を蝕まれている。

しかし、どんな背景があろうともどれだけ苦しもうが、犯罪は犯罪で罪は償わなければいけない。
何で、事件の後に警察へ行き罪を償い出所してからの展開にしなかったのか。
透ならばたとえ刑期が終わっても一生その罪の重さに苦しんで生きていくはずだ。

苦しんだからいいのか、可哀相だから許されるのか、被害者の一人である克哉が許せばそれでいいのか、そんなことがまかり通ってしまうのならば世の中の犯罪被害者が浮かばれない。
もし将来、克哉に子供が出来たら(多分ないだろうけど、養子とかでもいいのだが)気づいてしまうのではないか、透を愛しているだけでは通らないその【こと】に。

切なくて苦しくていいお話なだけに評価に悩みに悩んだのだが、どうしても最後までこれでいいの!?という思いが拭いきれずこの評価にした。

11

言えない言葉も愛おしい

二巻完結です
連載中ちら見しては、毛嫌いし
続けてよむことをさけていたため
コミック2巻まで発売されてから
まとめて買いました

確かに重い、暗い、黒田怖い
ってな感じですが
ヒコサンの絵柄とほんわかぶりがなかったら
怖くてうんざりしていたでしょう

二巻はひき逃げ犯人であると思い
ぶつかり、家を飛び出します
そこで黒田に拾われ、拉致されます
スタンガン怖い
黒田を悪者として終わらせたくなかったのかもしれない
黒田作品には、全く心ひかれませんでしたが

母親の近くて泣きすがる幼少のまゆげこい
ふっくら顔の克哉の姿辛過ぎましたが
克哉のセリフにもありますが
全てをしりつくして、近くで見守り続けていた
透はどれだけ心が痛かったことでしょう

沢山の写真をとったこと
離れていく克哉を思っていること
自分は家にいること
いってらっしゃいが言えなかったこと
笑顔でいること

どーーんなに辛かったのか
轢き逃げと同罪でしょうから透もいけないのですが
なんとも、辛い重い暗い話でした

3

2冊同時に一気読みしました

友達にすすめられて2冊一気に読ませていただきました。
なので2冊読み終わった感想をレビューしています。
1巻の方じゃないかな?っていう内容の書き込みがあったら申し訳ありません。

克哉は透のことが幼い時から好きだったので心情の変化はあまりなく、
ずっと透を守れるようになりたいという強い意志があり、
ぶれない克哉の一途さがとてもいい印象でした。

透は透で、最初は罪滅ぼしのためもあったのだろうけど、
だんだん克哉のことを好きになって、
それでもそれを透は認めてはだめだと自分にブレーキをかけていて、
透は切ないし、とてもつらいんだろうなという気持ちでした。

黒田は本編に出てきた段階では、
ただの邪魔なやつでしかなかったのですが、
番外編を読んで、黒田のことをすごく可愛そうだと思ってしまいました。

黒田が透のことをだんだん好きになっていく感じは、
本当に切なくて、見ていて苦しかったです。

テーマが重いので、そういうのが苦手な方もいると思うのですが、
最後の終わり方もすっきりしていて、
読み終わった後に考えさせられるものでした。

感想ばかりをずらずらとのせてしまいましたが、
読んでみて損はないと思います!

4

染み込む沁み込む

黒田が好きです。

恋というのはしたい時にできなくてしたくない時にしてしまうものなのかと考えてしまうほど、切ない作品でした。
1巻からいっきに読んで、透の抱える命と愛の重み、克哉の持つ若さと情熱、どちらも胸に響く素敵なラブストーリーだったと思います。
ですが黒田という存在が真っ白なTシャツについた染みのように、心に残ります。洗ったら落ちてしまうくらい危うくて、または洗っても洗っても落とせないくらいしつこい染みです。
お気に入りの染みです。
その上に成り立つ透と克哉の愛だからこそ、幸せを願わずにはいられません。

3

ありきたりだけど

絵柄に惹かれて購入したのですが、ストーリーも分かりやすくとても良かったと思います。
透のキャラクターが私のツボだったということもあり、楽しく読ませていただきました。
1巻から何となく予想していた展開ではありましたが、だからといって期待を裏切られることもないと思います。
ただ贅沢を言うのなら、黒田の心情をもっと描いてほしかったような気もします。番外編でも描かれてはいたんだけど…まだもう少し物足りないというか、ちょっと強引な印象を受けました。
自分で読み取るものなのかなあ…;

でも購入するには十分価値ありです。

0

スッキリしたようなしないような…。

こうなるだろう、というところに落ち着いたんで、言うことなし!なんですが。
これは克哉は、ず~っと不安なまんまなんじゃないかな?

透もなぁ。
「好き」だと言ってあげる覚悟がないんなら、抱かれちゃいかんと思うよ。
それでも踏ん張れないくらい好きなんだったら、もう腹括ってあげないと、克哉一人がずっと怖がってなきゃいけなくなってしまう。

それにしても…。
克哉のガッツキっぷりは見事でした(笑)
ぎゅ~っと抑え付けてきた思いが、一気にどば~っと溢れ出して、ヤリたくて触れたくて仕方ないんでしょうね~。
けども寄りかかるだけじゃなく、ちゃんと自分の進路と向き合って、寂しくても最善の道だと名古屋に行って…と、ある意味透よりも大人かもしれません。
っていうか、早く一人前の大人になりたいんだよねぇ。

一方黒田ですが、基本的に私はこういうキャラ大好きでぎゅ~っと切なくなっちゃうんですが、何故だかこの作品ではどうにも好きになれなかったかな。
何が足りないんだろ?ホントに本来好きなはずのキャラなんだけどなぁ。
自信がある割には折れやすく、孤独に弱く、執着心は人一倍のくせプライドが高くて縋れない。

見せ方が好みと合わなかったのかもしれません。
番外編としてダイジェスト的に見せられるんじゃなくて、ストーリーにそのあたり絡めてくれたら、もっと好きになれて切なくもなれて、その分主役の2人の絆を感じられたかもしれないです。

なんだか胸の中がぐわ~っとなる終わり方でしたが、この「ぐわ~」っと感が、まさしくこのお話にふさわしい結論だったのかもしれません。
問題山積みで、どう考えてもラブラブハッピーなだけの未来だけではないもんね。

1

二人が出した答え

ようやく完結しましたね~ぇ
引っ張ったワリに、けっこうアッサリネタ晴らしな感じがなきにしもあらず。
結局~な結論がちょっと残念でした。
1巻の感想も書いてないし、2がでたら1から読み返すぞ!
と思ってたのに1巻はいずこ・・・というわけで
まずまず。
さよなら~引き返すシーン好きです。
なんだろうな~空気に弱いんだよな。
思わず一緒に泣いてしまいました。
最後のエチシーンもジュウニブンに楽しませていただきました。
若いってすばらしい。
おいといて
個人的には、なんだろ、今回悪者だったんだけど
克哉さんの話、心情のほうが萌えました。
学生時代~の話。「全部好きだよ」無邪気な・・っ・
なんだこの魔性
普通に愛すること、愛されることをしらないが故に最後はホントウに大事なものさえ失ってしまう。
憎むことでしか存在を肯定できないその姿がなんか
切なかった。
指輪を作るシーンだけが妙に人間臭い。
これでまあ、トータルハッピーエンドなわけですが
どちらかといえば、克哉くんちょっと救いの手が欲しかったかなというのがひとつです。

0

言わない、言えない透が切ない

たたみかけるような切なさの1巻から、2巻で何か劇的に変わるものがあるかと思えば、それは「変わらない気持ち」がより強固になったことかもしれません。
克哉は、透の隠した克哉に関する真実を聞かれるまで答えないと決め、決して「好き」とは言わないと決め、
真実が克哉に解ってしまった時も、かたくなに態度を変えませんでした。
むしろ克哉が、真実を知り、絶望し、透を憎みたくても憎めず、結局は想いをあきらめきれずに、その「好き」という気持ちを表わにするだけでした。
透からは、この下巻1冊を通しても、一度も克哉に対する「好き」という言葉は語られません。
ヘタレで、泣き虫で、天然ちゃんの頼りない透だけど、そこだけは芯の強い人だという頑固さな面を見ることができました。
ただ、克哉が許しても。克哉を受け入れても、ひょっとしてまだ透には、一生ついてまわる枷なのかも?と思うのです。
そんな不安も抱かせる結末だったのですが、透にとって克哉の幸せだけが自分の願いで幸せだと思うので、そんな諦めに似た幸せの姿が、ハッピーエンドのはずなのに切ないのですね。

番外にて語られる透の元恋人、そして本当の犯人・黒田の事が綴られて、彼の歪んだ人生を垣間見ることが出来ました。
歪んだ愛情を持って育った黒田は、透の無邪気な透明さに好きになりかけていた時に起きた事故。
引き離されて帰ってきた時の透の姿を見た時に黒田にできるのは、憎む事だったという、彼の悲しい人生がまた悲しい。

『幸せの機械』でさえも、ラブラブあまあまが見られるのかと思いきや!?
そういう言葉でしか表現できないもどかしさが~!!

1、2巻を通してずしんと重いものが漂うのでしたが、それでも受け身でありながらそれなりに幸せそうな透と、透を引っ張って幸せになろうと努力する克哉の姿は、救いではあるのです。
ただ、黒田だけは救われなくて、悲しいなー。
克哉みたいに素直だったら、人生変わっていたはずなのに。
彼に明るい未来が少しでも訪れる事を祈らずにはいられませんでした。

3

透の切ない二つの恋

大学時代、自分と当時の恋人が運転する車ではねて殺してしまった女性の子供・克哉を引き取って育てている透と
そんなことは知らず、義父である透に7年間ずっと恋をし続けた克哉。
1巻のラストでついに自らの罪を告白した透でしたが…。
今回はもう読んでてめちゃくちゃ辛いし痛いです。
めちゃくちゃ切なくて痛いけど、「萌え」はない気がします。

今回は透の二つの恋が語られます。
一つは現在進行形の、克哉との恋。
克哉の想いはダダ漏れで、周囲の人もその想いに気づくほど。
今回透にちゃんと告白しますが、透は自らの罪悪感もあって克哉に「好き」とは言ってくれません。
透は、どうやら克哉のことを“恋愛対象として”好きなようなのですが、
罪悪感先行し、克哉のことを縛ってはいけないという思いが強いようです。
透の元恋人であり、共犯者でもある黒田の事件を乗り越え、
それでもやっぱり透が好きだと再確認した克哉と透は肉体関係を持ってしまうのですが
結局は透の気持ちは曖昧なまま。
透は本当に“恋愛対象として”克哉が好きなのか、それとも子供として愛しているのか、罪悪感から抱かれているのか。
そのあたりが上手く伝わってきません。
それが克哉をより不安にさせ、私もものすごく不安になりました。
ハッピーエンドとは言い切れない、なんとも後味の悪い終わり方でした。
でもこの作品には終始背徳的な雰囲気がつきまとうので、こういうラストもありなのかな、と思いました。
人によってはこの終わり方もハッピーエンドととれるのかもしれませんが、
私にとってはどうも痛いラストでした。
セックスをするようになった透と克哉の関係も、やっぱりどう見ても一方的にしか見えなくて。
透は「好きだよ」と心の中で呟いて見せるけど、本当に男として克哉を好きなのか、可愛い子供として好きなのか、やっぱりわからない。
克哉もこんな思いを抱きながら透のことを抱いてるのだとしたらそれはもうどれだけしんどいことでしょう。
克哉を縛らないために、伝えないことが透の愛なのかもしれませんが、時々は素直に愛情を伝えてあげてほしいな、と思いました。
そんな二人のエッチはめちゃくちゃエロいです。
背徳的な雰囲気も相まってエロさ倍増。
「男同士」「義親子」「加害者と被害者」というなんだかもうドロドロ加減が禁断の行為に拍車をかけているようです。
若くて片想い期間が長かった克哉はそれはもう性欲が爆発していますよ(笑)
透も必死に声を押し殺して耐えている様がエロい。
あぁエロいエロい。

番外編は、前述した克哉と透のその後(エッチをする関係になってからのこと)と、
もう1本は黒田と透の過去。
こっちがまた重くて痛くて辛くて。
それでも二人の間ではすごく純粋な愛が紡がれていたわけで。
透と黒田が犯した罪は本当に許されるものではないですが、
そんな中に見える二人の切ない恋が、胸をしめつけます。
黒田は複雑な家庭環境で育ったため、小さい頃から性格が歪んでいたようです。
お互い芸術に関しては才能があった二人ですが、透は黒田に想いを寄せていたようで
それに気づいた黒田は、面白半分で透に手を出します。
他に女もいるけど透と肉体関係を結んだ黒田ですが、心の中で透のことをバカにしながらも、
透の純粋な愛に癒され、惹かれていくのでした。
黒田の孤独と闇はものすごく大きいようで、それを透の純粋さが溶かしていく様はすごくキュンとしました。
皮肉屋の黒田が透の言動に戸惑い、照れている様子がすごく印象的。
透に出会うよりも早く、もっと前にこんな相手に出会えていれば、二人がこのような運命をたどることもなかったのかもしれませんね。
だんだんと二人の距離が近づいて、本当の恋人同士になっていくところで突然起こったあの事故。
あの時逃げ出さずにちゃんと二人で罪を償っていたら二人はどうなっていたことだろう。
私はこの二人の関係がすごく好きだったので、本当に残念でなりません。
ラストの、透の絵を塗りつぶす黒田がめちゃくちゃ切ない。
透は彼の世界の、たった一つの世界だったのに。
それを手ばなしてしまったのは黒田のほうだけど。

本誌で黒田と透の番外編を読んでから、素直に克哉と透の恋を応援できなくなってしまった私です。
黒田と透のしたことは決して許されない。
それでも、黒田には透のような人が必要だったんじゃないかと思うと切なくてたまらないです。
だからこそ、私にとってはこのラストはすごく後味が悪かったんだろうなぁと思います。
すごく好きな作品だけど萌えはないので、「中立」評価にさせていただきます。
それでも本当にこの作品は私にとってはかけがえのない作品です。

4

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