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henkutsu na kuchurie no nekokatsu
主人公があまりに不遇すぎない?て思った冒頭。
家族にも仕事にも拠り所がない元・ボーイズグループのリオンが、ふらりと行き着いた街で洋裁店を営む店主・大我の家に身を寄せ始めることから、物語が始まります。
まず。"クチュリエ"って何ぞやって思って調べると、フランス語で男性の裁縫師またはデザイナーのことを指すようで、エモさのある表紙の向かって左の黒髪イケメンの彼がそうです。
ちょっとぶっきらぼうで、口が悪いとこもあるけど、何気にリオンを気にかけ可愛がっているところのツンッ気は素敵なパンチ力でした。とりあえずの居候を許可してるだけだぞと思わせといて、長期戦で住むことを許容している大我のさりげない優しさに心地よさを感じます。
居場所のないリオンを慮ってか、自分の自宅をリオンの居場所にしてあげようと考えてるところを見ても、ただの親切心からきてるものだとは思えなくて、割とリオンを気に入ってるんじゃないかと期待しちゃいます^ ^
リオンとしても、そんな大我のさりげない優しさに触れ、好意を抱いていくのはある意味自然な流れといえるでしょう。
食事面から大我をサポートし、この家やこの街での居場所と交友関係を作り上げていくリオンのひたむきさがとても健気。そんなリオンにハッキリと好意を伝えるわけでもないのに、大我の行動や言葉からはリオンに好意を持っている雰囲気がほんのり漂っているのがすごく良いんです。
控えめな大我の想い方が、大人なんだか不器用なんだか…って感じもしますが、この繊細な"好き"を文章で綴る作者さんの描きに、終始引き込まれました^ ^
実は天才デザイナーであった大我の過去のルーツを知ると、切なくなってしまうエピソードもありますが、全体の物語の景色を見渡すとリオンへの好意でずっと溢れていることに気付くと思います。
普段こんなことしない人が、リオンにだけはする。このことが何を表しているか一目瞭然ですよね。
リオンの視点の物語だから、大我の気持ちが1%くらいに抑えられて語られてるけど、大我視点だったとしたら、きっと溺愛の想いで埋め尽くされたストーリーだったと思います(笑)
彼らの脇を固めるキャラたちもみな素敵な人たちばかりで、この街がリオンにとってホームとなったことはとても嬉しい限りです。リオンのこれまでの境遇はあまりいいものではなかったけど、これからは自分らしく生きて欲しい。そして大我とともに、この家と街を愛していって欲しいなと思います。
あたたかな温もりを感じる文章と、彼らの愛に酔いしれた一冊。ねこ活は大成功したといえそうです(*´︶`*)
生い立ちが複雑なリオンは、最近までアイドルグループの一員だった。
しかし、それもドラマの共演者で婚約者のいる俳優へのストー○ー騒ぎで解雇されてしまい、ほとぼりが冷めるまでと北関東のホテルへ避難する。
が、資金が底を尽きそうだったある日、街でリオンは2人組の男性に正体を暴かれ、執拗に追い回されそうになってしまう。
そのとき、リオンたちが立っていた店のシャッターが開き、長身の男が出てきて、、、
タイトルの「偏屈なクチュリエ」は、攻めのこと。
「ねこ活」のねこは、おそらく野良ねこ状態だった受けのこと。
寡黙でとっつきにくい攻めが受けを拾い、分かりずらいけれど、どことなく受けを大切に、愛おしく想っている片鱗が、少しづつ垣間見えていく過程がとても好きでした。
あと個人的な好みの問題なのですが、攻めは元妻の亡き兄のことが好きだったのですが、暗に、攻めはゲイですと作中には言及してなくて。
ゲイなのかを敢えてはっきりはさせていないけれど、元妻有菜から語られる攻めの若かりし頃の恋エピソードが、切ないけれど好きでした。
そしてこういう攻めほど、受けへの愛が激重だったりするんですよねえ♡
お墓参りの場面を、のちに受けが主だった説明を、攻めがわざわざ伝えるシーンもよかったです。
もう、過去の好きだった人じゃなく、受けが好きだよ…と。
受けもまた、生い立ちが複雑すぎて拗らせていて。
でも、その拗らせていたなかでも、ストー○ーの件を含め、攻めを初めとした自分を大切にしてくれた人を想って、迷惑をかけたくないと奮闘する姿がいじらしくて…。
最終的に、攻めを始めとした2人を取り巻く脇キャラの麗子さんや、元妻の有菜など、温かい人たちとの出会いによって居場所を獲得し、愛を得て、やりたいことを見つける姿には、応援の気持ちしかありませんでした。
これから頑張るんだよ、リオン。(商店街のひとの気持ち)
野白ぐり先生のイラストもお話にぴったりで、キャスティングした方、天才じゃない?? と思った1冊でした。
とってもキュンとして、そしてちょっとむず痒くなるような歳の差愛のお話。
なんだか、すっごく萌えたー…❤︎
キャラ文庫さんの同時発売の新刊、こちらも含めて3冊購入したのですが、どれもめちゃめちゃ面白くてお話に引き込まれ、夢中になって読んでしまいました。
中でも特に胸キュン度高めだったのが、こちらの月村先生の新刊◎
スキャンダルが元で芸能界を干され、行き場をなくした元アイドルのリオン(受)。酔っ払いに絡まれていたところ、その現場の洋裁店の店主である大我(攻)に「騒ぐな」と注意され、流れでそのまま保護され怪我を治療され、成り行きで同居生活が始まってー
と続くお話です。
受けのリオン君の境遇が、なかなかに不憫で( ; ; )
両親もおらず、引き取られた叔父の家では顔の美しさゆえに周囲からちやほやされることで叔母とその子供達との関係がうまくゆかなくなり、そのうち叔父との関係も拗れてしまう。
スカウトされて芸能界に入ったものの、今度は尊敬していた先輩に流される形で体を重ね、それが元で恨みを買い、いわれのないスキャンダルに巻き込まれて一方的に芸能界を追われー
「愛されたい」ことを何よりも強く強く望みながらも、虚勢を張って意地っ張り発言をしてしまうリオンがいじらしくて愛らしくて、”幸せになってくれー!愛をつかんでくれー!”と、推しを応援する気持ちで読み進めました。
で、そんなシャーっと噛み付くリオンくんを自分の家に住まわせてくれた攻め様・大我。
この攻め様、もう、最っっ高だよー…!!!!! 読みながら激しく萌えました。今でも思い出すと身悶えしそう。
寡黙で言葉少なな男だからこそ、紡がれる言葉一つ一つに真実味があって実感がこもってて、温かさがストレートに伝わってくるんですよね…もー、大我、大好き。
一番好きなのは、リオンが思わず泣きじゃくってしまったシーン。これは、言葉じゃなく行動なんですけれど…
泣きじゃくるリオンを放って黙って仕事に戻ったのかと思いきや……思いきや…!!
うさぎのぬいぐるみ、作ってくれてたーーーーー!!
可愛すぎ優しすぎ…ってことで、胸キュンが止まりませんでした。
このシーン、野白ぐり先生のイラストもあって本当最高だった。
姫(リオンが付けた名前)のボタンでできたお目目が可愛いよーー…
受けのリオンも不憫なんですが、攻めの大我にも”想いを返してもらえない人を好きになってしまった”という重い過去があり。
大我の亡くなった想い人には勝てない、と恋を諦めようとするリオンの姿が切なかったです。亡くなってしまった人って、もう絶対に勝てない相手だなって思うもんね…
それだけに、終盤のリオンの怒涛の告白とそれに応える大我のシーンは心の中で狂喜乱舞でした。良かったあああ…
年上ツンデレ×意地っ張りネコ男子の一つ屋根の下でのラブストーリー、たっぷり堪能しました✨
出てくる女性キャラが本当に良い人たちで、気持ちよく読めたのも嬉しいポイントでした◎
読みやすい文章で丁寧に紡がれた、じわじわと心が癒されるやさしいお話でした。
ぶっきらぼうながら時折破壊力大の行動をしてくれる攻めや、向上心のある応援したくなる受け、暮らしの中で少しずつ育つ気持ちあたりにピンときた方はお求めのものが見られるかもしれません。
ひょんなことから洋裁店の居候となったリオンと、家主である大我の日常を追いかけていくと、ああこの雰囲気はすごく好きだなあ…と、ミシン音が鳴る日々に自然と心地良さを感じている自分がいました。
月村先生作品らしい切なさだったり、主人公であるリオンの生い立ちから現在に至るまでの不遇さに心が苦しくなってしまうところもあるのですけれど、それをはるかに上回る人のやさしさが素敵だったなあ。
ただ誰かから愛されたかっただけだったリオン。
辛い境遇にいた彼が大我と生活を共にしていくうちに、下を向いて隠すばかりだった顔をあげられるようになっていく。
リオンの心が前を向く様子にも、大我に恋愛感情を持つまでの流れにも無理がないですし、口数が決して多いとは言えない大我からリオンへの特別感や、愛情をしっかりと感じ取ることが出来る描写の数々も自然なもので好ましかったです。
読めば読むほどリオンが元々持っていた人間性の良さが引き出されていくようで、彼が大我を介して周囲の人々と交流を持ち、できることがひとつずつ増えていくたびにこちらまでうれしくなってしまうんだなあ。
こんなにもいじらしくて魅力的な子だったのに、気が付けなかった関係各者は非常にもったいないことをしましたね。
そして、一見素っ気なくも見える大我の思いやりと好意が滲んだ言動にどうしようもなく萌えてしまう。
特に好きだったのは、サイズの合わない指ぬきをネックレスにしてしまうエピソード。
いやあ…これは萌えるなというほうが無理でしょう。
読み終えた方は、巻頭に戻って野白先生のカラー口絵をぜひもう一度。
さり気なく見守る面倒見の良い誠実攻め、すごく良かったです。
彼が仕立てた服を着たリオンも見てみたかったですね。
人は何回だってやりなおせるよと、歩けずにいたところから一歩前に踏み出すために、ポンと背中をほんの少し叩いてあと押ししてくれるようなやさしいお話でした。
願わくば、彼らのひとつ屋根の下での生活がこれからもっと幸せなものになりますように。
サブキャラクターも素敵で、ころころと笑う麗子さんの愛らしさに私もすっかりと癒されてしまいました。
なんてかわいらしい年上のお友達なの。
月村さんらしさが詰まった作品だと思います。
月村さんの描く手仕事男子が好きなんですが、今回は攻めが仕立て屋さんで良かったですね。
バンドカラーにサスペンダーパンツが似合う攻めというところにニマニマ(挿絵もとても良き。)
受けのリオンは、生まれてから今に至るまでさんざん裏切られたり嫌われたりした結果、
期待してはいけない、
甘えてはいけない、
信じてはいけない、
と心の中でお念仏のように唱えつつも、
本当は誰かに必要とされること、愛されることを渇望している……という不憫な子。
そんなリオンが洋裁店を営む攻めの大我に拾われて一緒に暮らすことになります。
大我は表情もほぼ変えないし言葉も少ないぶっきらぼうな人なので、どことなくとっきにくい。
でも時折、垣間見える面倒見の良さとか、優しさにキュンとなります。
私は、有限の幸せを噛み締めている受けが好きなんですね。
この幸せは今だけのもので、また独りになったとしてもこの幸せなひとときを思い出せば生きていける、生きていこうみたいな。
(というか、嫌いな人いないはず)
このリオンもそんな子なんです。
P138(電子で)にある「柑橘をぎゅっと搾るみたいに、ほのかな甘さも、酸っぱさも、少しの苦みも〜」という文章は、切なさすらも「今しか味わえない期間限定の貴重なときめきだ」と言い聞かせているリオンの健気な気持ちを、美しく見事に書き表していてさすがだなぁと思いました。
攻めの元奥さんや顧客のおばあちゃまなど、周囲を取り囲む人々も温かい人ばかりで、読んでいて安らぎました。
手作りのウサギ姫とかもいい。
そのうち、リオンにも仕立ててあげるよね?
月村先生の愛されたい受け、大好き。スキャンダルで芸能界を干されたリオン。たまたま大我の店の前で絡まれていた所、負傷して怪我が治るまで野良猫のように居候することになり。
そこでリオンが色んな人の優しさに触れて前向きになっていく様子がとても良かったです。愛されたくてたまらなかったリオンが愛する喜びを知っていき幸せだと思えるラストでした。表紙のリオンが持っているぬいぐるみも泣いてるリオンの為に大我が作ってくれて。
大我は言葉にはあまり出ないけどリオンのことをとっても好きなのが読者には伝わってくるタイプでした。
今回は洋裁店店主と元アイドルのお話です。
スキャンダルで悪者扱いされた受様が
攻様との出会いによって偽らない自分の居場所を得るまで。
受様には父の記憶が無く5才で母が亡くなると
施設に行くでしたが、妹の死を知った伯父に引取られます。
伯母は心から賛成していた訳ではなく
従弟妹達とも仲良くなれず冷遇されるようになります。
顔の良さだけが悪目立ちして学校でも孤立していた受様は
小さな芸能事務所社長に熱烈な口説かれた事で
高2で中退して事務所入りします。
翌年アイドルグループの脱退メンバーの穴埋めに抜擢されて
デビューし、SNS等で認知度を上げてファンも得ますが
ドラマ撮影で知合った若手俳優の好意を拒めずに交際した事で
スキャンダルとなり、若手俳優を守る事務所の圧力で
所属事務所を解雇されてしまうのです。
1か月所持金が底を尽きるも人目が怖く仕事探しもできず
北関東の街に流れ着いた受様は商店街で
酔っ払いに絡まれとしまいます。
騒動に気付いた店主の攻様が持つハサミが
視界に入った受様は衝動的に手を伸ばしてもみ合いとなり
縫うほどの怪我をしてしまうのです。
攻様は「怪我が治るまでおいてやる」と言いますが・・・
スキャンダルで芸能界を追い出された受様が
洋裁店店主である攻様との出会いで生き方を変えていく
恋物語になります♪
好き作家さんなのであらすじも独で読み始めましたが
読み進めるほどにカバーイラストに集約された
愛情と居場所を求めてもがく受様の寂しさと
暴君風味を纏いながらの攻様の不器用な優しさが
滲むとても素敵な物語でした。
攻様は祖母から継承した洋裁店を営む青年ですが
かつては友人とタッグを組んで活躍したデザイナーであり
病に倒れた友人ためにとその妹との婚姻までしていて
なかなか複雑な過去を持つ人物です。
そのため傷ついて行き場のないだろう受様を
見捨てられずに手を差し伸べるのですが
見返りを求めないために真意を伝える事もしないので
受様にとっては謎な人物なのです。
受様と口説きながらバレると切り捨てた若手俳優
攻様の元妻で料理教室を開く雑貨屋店主
攻様の洋裁店の顧客である老婆
受様がゆっくりとした日々の中で
徐々に攻様への恋を自覚していく過程にドキドキし
若手俳優の影が伸びてきてハラハラし
受様の恋が実を結ぶまで楽しく読ませて頂きました。
特に攻様が経過しまくる受様を猫扱いしたり
慰めるためにぬいぐるみを作り、服を作るエピソードに
めちゃくちゃ萌えました ヾ(≧▽≦)ノ
相変わらずの切ないと愛しいの混在に萌えまくりの1冊でした。
個人的に本当にこのタイトルが秀逸だなぁとしみじみ。
1冊全部通してずっとリオン視点のお話だったのに、それをデザイナーがねこを可愛がっている日々のお話とまとめ上げるタイトル。じゃあ我々が読んでいたのはねこの語りの恋物語だったのか!と思うとクスッともニヤッともしてしまってなんだかすごく読後ほっこりしました。
あと時々出てきていた柑橘を使った描写。
酸いも甘いもではないですが、酸味甘味苦味香り、どれもすごく脳内に蘇ってくるからこそその瞬間リオンがどんな気持ちを噛み締めていたのかがすごく伝わってきてたまらなくなりました。
本物のねこは出てきませんが、野良猫みたいにツンとしたり甘えてみたりする受けを、攻めが距離をうまくとりつつ手懐けていく、そんな素敵なお話です。
月村先生らしい、優しい作品です。
先生の作品にはよく登場する天涯孤独な受けですが、自分に自信がないながらも、これからは自分のために、自分の力で生きていこうと前向きに変わっていくところがとても魅力的でした。
攻めも「偏屈」に見えるけど根っこはとても優しくてかっこいい(野白ぐり先生の絵で更に魅力マシマシ)です。
リオンはとにかく愛に飢えていて、誰かに必要とされたい一心でアイドルになり、優しい先輩俳優に嫌われたくない一心で身体の関係を持ちます。
その木島との関係がスキャンダルとなり、リオンが一方的にストーカーしたのだと事実を捻じ曲げられたため、事務所を解雇されてしまいました。
居場所をなくし自暴自棄になり、自分の顔を傷つけてしまうリオンは本当に苦しそうで見ていられません。
大我は初対面こそ氷のように冷たかったものの、その後はずっとちゃんと優しいのです。
ただ同じ優しさでも、どうしたどうした?と常に気遣う優しさではなくて、リオンを放っておく、好きにさせておく、距離をとる優しさなんですね。でも、リオンが何をしてるのか、したいのかには、ちゃんと目を向けてるんです。
そのへんが「ねこ活」たる所以かと。
大我はクチュリエ(服を仕立てたりお直ししたりする仕事)として自宅で仕事しているのですが、手仕事をするひとならではなのか、生活感のある古い家のなかにもそこかしこに愛着とか、愛情が息づいてる感じがします。
リオンは掃除や庭の草むしりなど、居候のお礼として細々と手入れをするのですが、まんまとその居心地の良さに居着いてしまう、まさに野良猫のような可愛さ。リオンの居場所を作る大我のねこ活、大成功です。
大我の妻の登場には最初びっくりしましたが、正確には元妻で。料理の楽しさをリオンに教え、褒めて励まして、なんだかお母さんのようにリオンに愛情をむけてくれるのが自分のことのように嬉しく感じました。
そして麗子さんも本当におばあちゃんのようで、2人ですごす優しいひとときには本当に癒されました。
そしてかんじんの大我。
はじめのほうにも書いたけど、リオンとの距離の取り方が本当にうまい。見てないように見えて、リオンの気持ちまで見ています。
リオンの苦しみを知って、ウサギのぬいぐるみを手作りしてくれたところ、やっぱりいちばんキュンとしました!
リオンに似た可愛いウサギ。リクエストに応えてワンピース(表紙で着てる)ささっと作ってくれたり、手仕事する攻めに萌えます。
サイズの合わない指抜きを、首からひもに吊り下げて身につけてくれたり、かなりリオンのことが好きでしょう!という感じなんですけども。
でもリオンは、育っていく大我への恋心を一生懸命抑えようとします。
大我の過去を知ってしまったから、自分の思いは届かないと思い込んでいるからでもありますが。
まずは大我に迷惑をかけないように。
そして愛を得ようとして、自分を無くさないために。
他人から愛情をもらって自分を埋めるのではなく、自分で自分を愛そう、大切にしようと、自分のために生きようと頑張るリオンの成長には、とても感動しました。
前向きな気持ちになり、今後の生き方にも希望が見えてきたとき、リオンの前に木島が現れ、大我との関係をバラすと脅しをかけて関係を迫ってきます。
リオンはうまく隠して離れて行こうとしましたが、さすが大我、ちゃんと手懐けたねこの行方を知っています!
颯爽とホテルから助け出し、これからはちゃんと俺に言えと叱る大我。
勢い余って、大我が好きだと本音をぼろぼろこぼしてしまったリオンに、「愛おしいと思ってる」という大我の答えがどれだけ染み渡ったことでしょうか。
文字通り、リオンを愛おしむように抱く大我。
ものすごくリオンを大切に、大事に思っていたことが伝わってきて、最高に素敵でした。
有菜さんのことや、木島のことにもうまく収まりがついて、麗子さんに紹介してもらった料理のお仕事もぶじうまくいっていて、最後にしっかり安心させてもらいました。
人を、自分を愛することで、前向きに生きていくことができるようになったリオン。
大我もまた、初めて思い思われることで、同じように生きる幸せを感じることができたんだと思います。
愛する人の頼みとはいえ、有菜と結婚したところだけは頂けないと思っていたのですが、さいごに謝る場面も見られて、溜飲が下がりました。
(有菜目線で考えたら、気持ちの返ってこない苦しい結婚生活だったはず。でもその気持ちを昇華させて、離婚後は近しいものを亡くした同志として、大我のことを気にかける優しさをもつ、本当に強いひと)
彼らの日常に幸せがあふれますように。
できることならずっと浸っていたいような優しさのあふれる世界観に、読み終わるのがもったいない!!まだここにいたい!wと思いながら最後の頁を閉じました。月村先生らしさにあふれる内容に、野白先生のイラストが新鮮で、発売前からワクワクしていましたが、予想以上に雰囲気にマッチしてて物語のイメージが広がりました。
華やかな世界から逃げるように迷い込んだどこか地方都市で、洋裁を生業としている仏頂面のイケメンに拾われた元アイドル…もうこの設定だけでもご馳走なんですけど、それぞれのキャラ設定が大好物すぎました(特に攻め!)。何考えてるかわかんない寡黙攻め、表情筋を無駄遣いしない仏頂面から稀に繰りだされる”殺傷能力の高いデレ”に、何度か悶えながら転げまわったことをお伝えしておきます。私は同作家様の”ロマンス不全~”が大好きなんですが、ちょっとそれに似たカップリングのバランス(無口×おしゃべり)なのが、またさらに好きに加点してます。なにせ、職人気質の男は背中で語る(っていう個人的な偏見)、愛情表現下手だけど要所要所できちんと行動で示す深めの愛、昭和のお父さん的な(←これも偏見ですけど)古風な攻めに、性癖をメッタ刺しにやられました…。さら~っとぬいぐるみ作っちゃうって死ぬかと思いました!w
そんな攻めの過去ネタもだいぶ萌えるんですよね。古のBL感あります。さらに、周辺の女子部がかわいらしくて好感度高めです。途中、麗子さんと一体化しちゃってました。全員善人みたいなこの地方都市の描写には夢があると思います。物語は受けさんが人生に絶望してるところから始まるんですが、人との縁を通して、不幸なのは自分だけじゃないって徐々に気づいていく、その場所で必要とされる役割を果たしながら、渇望していた愛情を自分から周囲に与えることで初めてその本質を知って、改めてちゃんと自分の人生を生きようとする、よくできた成長と再生の物語でもあるんだな~と思いました。
後日譚はなんぼあってもいいと思います。