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happy magical NIRVANA
絵津鼓先生、すごい。どうしてこんなストーリーを思い付けるのでしょう。最初はファンタジー的アイテムの登場に戸惑い、物語がどう展開していくか予想できず、キャラクターもいまいち掴みきれず、もしかしてこれは私には合わない作品かも?なんて思いましたが、ページを捲るごとにどんどん引き込まれていきました。
大悟への永遠の片想いを抱えようとしていた澄春。彼のその選択は十分理解できるものでした。言って関係が崩れるくらいなら、今の気を遣わずに会話できる心地いい関係のままでいたい。でも、一生大悟の言動にこっそり一喜一憂して、彼が目を向ける他人に嫉妬したり、焦燥を覚えたりし続けるだけの人生なのか? それはしんどいなあ……。彼が万年筆を使った気持ちも、多分に同情できるものでした。あっさり考えなしに使ったように描かれていたけれど、長年の苦しみから解放されたいという思いは強烈で、切実だったことでしょう。
そして、好意を失った後に本人から過去の気持ちとして、好意を伝えられた大悟。こんなに虚しいことってあるでしょうか。きちんと向き合いたかったのに、相手はもう自分を好きじゃない。長年気持ちに気付かなかった大悟も、万年筆を使った澄春も、どちらも何も悪くないですよね。誰も責められないからこそ、大悟は余計に自分に腹が立って、内心澄春への感情がぐちゃぐちゃになったんじゃないかな。そこまで描かれてはいませんでしたが、この件の後1人の時に大悟がどんな様子だったか、思わず想像してしまいました。
積年の好意を失った状態で大悟と接し、もう一度好きになってしまう澄春。だって、別人になったわけじゃないもの。ときめくポイントも変わらないし、好意なんて本能レベルだろうから、それは避けられない。もし好意がバレずに大悟が以前の態度のままだったとしても、きっと時間は多少かかってもまた好きになっていたんじゃないかな。一方の大悟も、澄春を一度意識し出すと、もう止まらない。それは今までも彼を美しいと思っていたから、性別云々の前に1人の人間として愛していた下地があったからであって、けっしてゼロから突然生まれたものじゃないのだと思いました。
恋をリセットして元気になった澄春も、恋に悩んでぎこちなくなった大悟も、新しい人格になったのではなくて、それは今まで表に出てこなかった別の部分が表出しただけで、どちらもその人自身であることに変わりはありません。大悟の台詞に、他人と向き合う上での彼のひたむきさと誠実さを感じました。いろんな面を知れた方がきっと楽しい。澄春には両想いの人とを愛し合える楽しさを、大悟には自分を知り尽くした上で全身を自分への好意に捧げる人の愛おしさを、これから存分に味わってほしいです。思わぬ事件から思わぬ展開になったストーリーでしたが、澄春の選択は間違いなく好転への機会を掴むものでした。結果論だけど、人生それでいいんだと思います。
6話の最後で私まで涙出ちゃった。長年の片思い切ないよ...。澄春、いじらしいんだもん...大悟もいいやつなんだよね…鈍いけどさシェアハウスのメンバーもいい子ばかり。ここに住んだら楽しそうだなぁ。いい余韻で終わったけどまだ続きが欲しいぐらい
ノミネートからの読み直し作品です!
大好き絵津鼓先生作品で、今作は大人の不器用でもどかしい恋愛が描かれていますが、そこに魔法道具のようなものが介入すること余計に拗れたり、クスッと笑えたり、誰かの決意にものすごく切なくなったりと本当にうまく現実とファンタジーを融合させていて、切ない大人の恋愛がテーマだけどいい感じのラブコメになっていて最高に面白くてぎゅんとしてきゅんとする1冊です!!
天国のような同性だけの家族であり親友でありみたいな関係性のシェアハウス、めちゃめちゃ羨ましい!本当に楽しそう!!
作者さんのものは無条件に読みますが、それにしても毎回期待以上を超えてくるのが流石です。
ドラえもんの秘密道具のような物が出て来て、SF方向に風呂敷を広げて行きつつも、切ない片思いのスパイスたっぷりのストーリーに仕上がっているのが、流石としか言いようがありません。澄春が自分の思いを封印するシーンでは涙が止まりません。大吾がその思いに気付いて、報われて良かった。あくまで秘密道具は物語のスパイスとして登場していますが、その謎も特には明かされていないのでその辺は気になります。恋愛ものとしてもファンタジーとしても不思議な風の余韻を残します。
古い民宿をリノベしてシェアハウスにし、五人の男たちが共同生活をはじめます。
いまはシェアハウスだけれど、いずれはここを老人ホームに……と、アラサーのやることにしてはだいぶ気の早い予定が立っているわけですが、その理由は本文を参照ください。
シェアハウス内のあちこちには大悟の祖父所有の不思議道具があり、それを使うことでミラクルが起こったりも。
そんなシェアハウス「NIRVANA」の管理人、大悟(だいご)と澄春(すばる)の物語です。
澄春は高校時代から14年もの長きにわたり大悟を想い続けているのですが、大悟はドドドドノンケでありつつ物凄く鈍感なので、澄春の想いは伝わりません。そのため澄春はちょっと鬱屈した気分を抱えています。
一見、澄春が大悟にただ一方的に執着しているだけのようなのですが、澄春が何か言ったりしたりすると、大悟は超思わせぶりなリアクションを都度返してくるという、澄春にとっては生殺しの日々なのでした。
大悟の思わせぶりのパンチ力たるや。これは勘違いしたくなるやつー! と、そのシーンがくる度に心がぷるぷるしてしまいます。すれちがいっていいな。
私的に一番ヒットしたシーンは、高校時代の回想シーンです。名簿に記入しようとした澄春に、何の悪気もなく背後から覆い被さるようにして自分も記入しようとする大悟。
これが胸キュン……泣いてるのは、私……?
何気ない瞬間に恋の沼にズボッと落ちるのが、リアリティーすごくてよきでした。
不思議道具で起こるミラクルも面白いです。シェアハウスの住民みんな大人なので、不思議道具が見つかった時に冷静に、どうする、使ってみる? と話し合うのがいいですね。
先生の作品は『メロンの味』など数作拝読しており、好きな作家様です。気になっていた本作、やっと読みました。結構厚みのある本で読み応えあります。
前作『メロンの味』とは雰囲気が真逆なコミカルな感じで始まります。
あらすじでもわかるように、ちょっと不思議な雰囲気です。
主人公の澄春、長年の片想い相手の大悟、プラス3名、5人で、シェアハウス生活が始まります。
この5人の生活が、ほんわかしてて本当に楽しそうで、読んでいてほっこりします。5人がそれぞれが個性的で魅力があって面白いです。
旅に出ている大悟の祖父が、色々な不思議グッズを保管していて、それにより5人の身に不思議な出来事が起こります。2話で澄春が突然女性に変身したのには爆笑しました!
大悟は全くのにぶちんで、澄春の気持ちに全然気づいてないのですが、後半ある出来事により、ちょっと変化球だけど澄春が告白して、関係性に変化が生じます。この辺の澄春はちょっと切なくてほろっとしました。
そして終盤は、キュンとするシーンの多い展開で良かったです♪
まだまだ続くのかなと思ったのですが、後書きによるとおしまいみたいですね。
ほっこりしたり、爆笑したり、キュンとしたり、とても楽しめる作品でした。
エロ無しだと、ちょっと物足りなく感じがちなんですが、本作ではそれはなくて満足でした。
ぜひまた読み返したいと思える作品でした♪
突然のホームセンターコー◯ンにドキッとしてしまう。先生は関西方面の人だったっけかな。既刊に関西弁の人物もいたことだし。
絵津鼓先生の漫画は繊細さと明るさと暗さの同居具合が面白い。今回表紙は既刊の中で一番明るいし、登場人物も明るいし、ハッピーエンドと言っていいと思うのに、なんだか恐ろしさも感じてしまうのは何で何だろう。穿った見方が得意な自分には、おじいさんが存在しないのではないかとすら思えてくる恐ろしさ。このうっすらファンタジーはどう受け入れられるのかな?と思ったら、割と評判が良いのですね。読む人によって注目のしどころがそれぞれな気がする。面白い作品でした。
全てが丁寧です
作家様が楽しそうに(意志を貫いたのか?)真摯に描いている事が伝わります。
商業BLの大体が5か6話完結し1巻で終わり、反応が良ければその後に続編作成
よって取って付けたような続編が始まり1巻を越えられない
最近そんな作品が多い中、初めからなのか?完結と思う所まで思い切り描いたのか?
全10話をゲイ、ノンケ、アンセク、ハーフと様々な人間が交差し、
ちょっとファンタジーも交えながら、若者だけでは無く先達の経験へのリスペクトも感じられ自分もこの作品から何か感じ取りたいと一語一句大切に読みました。
そうさせる力がある作品だと思います!
恋する辛さ切なさと、楽しいだけじゃないゲイの澄春と真面目に人間と状況に向き合う大悟
そんな2人をニュートラルに見守る弟ナリ等々愛おしい脇キャラにも丁寧さが伝わります。
長い長い片思いと恋するハッピーさを
コマで、目線でセリフで漫画として伝えてくれる良い作品でした。
私に過去トラウマを埋め込んだ「IN THE APARTMENT」の槙雄が恋人と別れた原因がずっと絵津鼓先生の作品を読むのを私に怖いと思わせて来ました。
特にその原因になった人物たちの漫画が生まれて、映像になったと知りまた先生がそんな感じの作品に力を入れたらどうしようと思ってしまってました。
なので何の知識や情報も無いままにこちらの作品を予約したのは掛けでもありました。
恐々と読み始めて最初に澄春の身体に変化が現れた時には、嫌な予感しかしませんでした。
ところが段々と読み進めるうちに澄春の一方的な片思いじゃないのではないかと思い、大吾が澄春を大切に思う気持ちにギュンと感じてる自分がいました。
大吾の鈍感で無神経そうなところも、最初から諦めて気持ちを伝える事をしない澄春にも焦ったく思い、いつしかシェアハウスの皆と同じ気持ちで2人を見守っていました。
こちらの作品ではようやく2人が恋人同士になりましたが、まだまだ大吾の祖父の不思議グッズは見つかりそうだし、この2人のその後が読みたいので是非とも続編をお願いいたします。