シンデレラリバティ 下

cinderella liberty

シンデレラリバティ 下
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神68
  • 萌×231
  • 萌15
  • 中立8
  • しゅみじゃない4

--

レビュー数
18
得点
517
評価数
126
平均
4.2 / 5
神率
54%
著者
本郷地下 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
新書館
レーベル
Dear+コミックス
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784403668289

あらすじ

自らの寂しさを埋めるように、兄・遼一の高校の時の同級生の敦也と会っていた洋二だったが関係が続くうちに彼への感情が変化していき……? 兄弟と兄弟に囚われた男の、渇望の物語、完結篇。

表題作シンデレラリバティ 下

靴職人,遼一の同級生
遼一の弟

レビュー投稿数18

内容を書きづらい

内容を書いた方がこの作品が刺さる人には届くかもしれないが、内容を書いてしまわない方が面白いという如何ともし難い作品。

兄弟モノとか、救済モノとか、オカルトとか色々書けるんだろうけど、幽霊だの書いちゃうと折角工夫した構成にしてあるのに勿体ないからな〜。書いちゃったけど。

本郷先生ってこんなに病み或いは闇な作品だったっけ?って思いましたが、そうだ『メトロ』の方だった。最近読み返したのが『世田谷〜』だったから忘れてたよ。

1

重いけど、すごくよかった。

本郷地下先生の作品はこれまでも読んでいたのに「なんか不穏そう」という印象だけで読んでなかったこちら…めちゃくちゃ面白かった…BL以前に物語としての完成度が高すぎる!お兄ちゃんのサイコパス性を描くの、上手すぎ〜!上巻はお兄ちゃんの支配がとにかく苦しくて、敦也と過ごす時間が唯一の救いという感じだった。洋二よ、早く目を覚ましなさい…と思いながら読んでました。とにかくす、すげ〜…の一言。メリバだったらやだなあと思いましたがハピエンでよかった、本当に…ハピエンだよね?笑 ハピエンです!苦しいけど最後まで読むと救いが待っています。今後は2人が平穏に暮らしていけますように。

1

愛の超常現象

下巻。

実は最初読んだ時、episode8から意味がわからなくなって混乱したんです。
ナニコレ?って。
下巻の冒頭は、敦也が遼一から受けた迫害の過去、洋二がやっと遼一の洗脳から抜け出て敦也を選ぶ展開。
そして、時計が場面切り替えの合図なのかな、現在地の洋二と敦也の会話シーンに移るわけだけど。
ここ、2回読んでやっと理解しました。ついでに上巻の冒頭の意味も。

↓↓↓↓ネタバレ注意


オカルトじゃん‼︎

遼一が敦也に対して起こした事件。
その後、本格的に壊れた遼一の起こしたナニカ。(←おそらく殺人?)
洋二が対決を決意すること。
そして起きる奇跡…

は〜…
こういう状況だったのか…思いもよらなかったです。
でもサイコを止めるには超常現象、なの?
ちょっと戸惑いました。
また、時系列の違いを出すためなのかまたは意図的にか、髪色が変わるから人物が混乱してしまった。
個人的には…正直オカルト対決シーンがクライマックスだったかな…
あとのラブシーンはさら〜っと。
涙腺がおかしくなっちゃってる洋二が愛おしいです。幸せになってほしい。

1

読むのに覚悟と体力が必要

先生の作品は、メトロから入り世田谷シンクロニシティを経て今作に辿り着いています。
未読作品がある身ですのでまだまだ、、、な赤ちゃんなりのレビューですみません。。。(上下巻まとめてレビューします)


先生の作品を読み終わると何故かニーチェの「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」という言葉が浮かびます。

人間の内面に対峙し、深掘り、抉り、、、そして解放・・・
端正で軽やかなタッチの絵からは想像出来ない程重厚な、人が孕む「闇」や「渇き」そして比例するように求める「救い」と「愛」といった根幹に訴えかけるテーマが流れているように感じるからなのでしょうか。。。

はたまた、作品を読む事で自分自身の心の中を覗かれている、、、否、覗かざるを得ない、という感覚になるからなのでしょうか。。。

普段BLはやはり「物語」として捉えている事が多い分、この感覚は結構自身の気力と体力を奪われる気がしてしまいます。。。

そして今作はそんな人間の性(さが)に翻弄されていく3人を通して救済と愛の意味を知る物語。


上下巻なだけあってしっかり「人間」に焦点を充て切り、華麗なテクニックで私達を物語の中に誘い、そして読後に「人間」の温度感=温かみと畏怖と共に現実へ引き戻して来ます。。。

正直、凄すぎて、、、
私には萌える、という感覚よりしんどかった、という感覚の方が強く残りました・・・。

ただ、確信しているのは読み返す状況でまた絶対に違う感覚を得るであろう、という期待。
しんどかったな、、、と思ったのに、絶対読み返すだろうな、って思う位気になる作品である事は間違いなかったです。

今の自分の環境と状況にはフィットしなかっただけで作品としての存在感としてはやはり商業ベースの中では一線を画す作品ではあると思います。

神評価が多いのも納得です!
「読む覚悟」が要らないくらいのメンタルの時に読んだら、私も素直に終盤の2人の蜜月に萌える事があるのかもな・・・♪という事で現時点では萌より圧倒された感でのしんどさが残っている為の評価とさせて頂きました。


1

そういうことかぁ

上巻のいろいろがきちんと回収された下巻でした。
上巻に引き続き読む手は止まらず、ぐんぐん引き込まれました。

他の方も仰ってますがネタバレ無しで読むことをオススメします。

1

怖かった

1巻の敦也は生き霊?的な存在だったとは驚きました。

にしても、遼一が怖すぎ。
自分が異常だと自覚して苦悩しているならまだ同情の余地はあるんだけど、そうじゃないもんねぇ。
ホラーを見ているようでした。

その遼一を倒したのは敦也の生き霊?によるポルターガイスト的なものだったのが、やっぱりホラーやんと思ってしまってw

1人の異常者による被害者同士が惹かれ合った。
遼一に洗脳され依存させられても負けなかった、お互い救い合ったお話…ということなんでしょうけれども。

遼一になんでこんなにも翻弄され続けないといけないのかと苦しいばかりで。私は読んでいて怖さばっかり感じていました。

遼一は罪を償っているんですよね。
あんなのを野に放っていてはいけないですよ。

ラストは敦也が回復して、洋二も笑顔になり、ほっこりしたので、まだよかったですが。
PTSDになったりしないかと心配するほどの怖さでした(苦手)

1

兄が怖すぎました…

シティライツバースディの作者様です。凄く切なく優しいお話からガラッと変わって
今回は、兄弟とその2人に関わってしまった男の物語
いや~遼一がリアルにサイコパスすぎてゾッとしました。将来犯罪者になるやつ
上巻最初で?となってまだ状況がよくつかめなかったのですが、全巻ほぼ洋二の回想シーンです途中兄弟2人の関係をお人形で表したり見せ方がお上手で伏線回収もバッチリでした。
幼い頃から兄だけを想ってた優しい弟洋二、だぶん感情がコントロールできない兄への哀れみだと思うんですが、いつの間にか洗脳されてて、本人は洗脳されてることにもきがつかないという怖さ
でも敦也に出会って始めて自分がおかしいことに気がつきます
それにしても遼一の普段は魅力的で優しく社交的で人を惹き付ける魅力をもちながらも実は人を傷つけることをなんとも思わない冷たさを持っています。弟には異常に執着していると言うのがサイコパスそのもので、その表現力は怖いながらも多分犯罪者のなかにいそうなかんじが怖かったです。
その分洋二と敦也は、お互い支えあえる存在になれてほんとよかったと思いました
あと敦也のデザインする靴がとても上品で可愛くて素敵でした。シンデレラリバティという言葉が、海軍の俗語とは知りませんでした。
シンデレラのガラスの靴と12時までには帰らないといけないという時間に縛られているシンデレラと兄に縛られている洋二が重なるわけですね!
今回のお話は凄く深くて面白かったのですが、やはり人間ドラマというかサスペンス感が強いというかなので
萌2にさせていただきました。

2

遼一の気質も受け止める2人、強い

 上巻の冒頭で示された時系列の不思議が下巻で一気に解明され、そう来たかぁと思わずにはいられませんでした。すべて知った今となっては、敦也が眠っていた間、洋二はよく1人で耐えたなぁと感心するばかりです。遼一の犯した罪と、彼のせいで目覚めなくなった愛しい人。まだ大学生で、遼一の元で歪に育ってしまった洋二にはあまりにも重い現実だったのではないでしょうか。

 彼がそんな重みを耐え抜くことができたのは、事件が起こる前に敦也によって既に洗脳は解けかかっており、自分の意思で大切にしたいと心から思える人は誰か、ということに気付かされていたからでしょうね。どれだけ時間がかかっても、今度こそ敦也を守るという強い気持ち。上巻では弱々しく見えるばかりだった洋二だけど、実は芯が強い子なのかもとも思いました。遼一という存在に圧し潰されて生きてきた彼は、その枷が外れれば自由に羽ばたいていける力を十分に備えていたのかもしれませんね。多少強引にでも解放するきっかけをくれた敦也との出会いは奇跡であり、宝物だなと感じました。

2

トリガーとして

上巻では、サスペンスも恋愛も導入部分が多く、物語に描かれている『今』よりも、『過去』の兄の兄たる由縁を敦也と洋二が擦り合わせてでも、洋二が抜け切れない『洗脳と依存』とのせめぎ合いと葛藤と、様々な感情が入り混じり、『兄』とは、『敦也』とは、『自分(洋二)』とはを揺れ動きながらでも表面上は穏やかにストーリーは進むが、やはりそこはキーパーソンの『兄』が一つトリガーを引くとあらぬ方向へと転がりだす。

人間として『居る』はずの『兄』はストーリーの中では、わからないからこその恐怖や暗くて見えなからこその不安そのものになぞられて描かれてみえる。

ラストに進むに連れて、3人の歪んだトライアングルはどうなるのか?!
『闇』と『希望』とのせめぎ合うストーリー。

1

2人の幸せを願う

下巻も読了。
上巻でドユコト???だった部分の謎が解けてスッキリしつつ、ハラハラドキドキ気の抜けない展開続きでまた前のめり気味に読んでしまいました。

なんと言っても遼一の人を操るやり方が用意周到でまず怖いし、なのに洋二の事になると理性を失うところや、人を傷つけることにたいする執着、執念深さが鳥肌モノでした。
本当に怖いものはオバケとかじゃなくて、人間の狂気だな…と改めて思う。

ネタバレ無しで読んでいただきたいので、詳しいことは割愛しますが、遼一の呪縛から解き放たれて、その恐怖に怯えることなく2人が生きていける事をただ願ってます。

2

洋二は幸せになりました

はあ。想像以上でした。
最初に出てきた、敦也が「誰と話しているんだ」と言ってたけど、まさかの展開でした。想像できませんでした。あの時はこんなにヤバい話だと思っていなかったので。

結局、遼一は壊れたままだった。生まれた時から兆しはあったのに、親がもっと愛情をかけたら、こんなことにはならなかったのかな。
遼一も洋二も可哀そう。でも遼一が一番可哀そう。自分だけがみんなと違うと思って生きてきて、洋二を自分のモノにできたらこの寂しさから救われると思っていたんじゃないのかな。知らず知らずに自分の人生は、みんなと違う方向に向かってしまっていたんですね。

敦也が洋二を好きになったから、この二人は遼一の呪縛から逃れられたのかも。洋二は一瞬過去に引きずられて、遼一の言いなりになりそうになっていたけど、敦也への愛でちゃんと抵抗できて良かった。
そして犯罪者にならなくて良かった。

終わっても重い感じがしましたが、ハピエンですよね?
遼一は更生できるのかわからないけど。それぞれが幸せになれたらいいなと思っています。

4

最後まで気の抜けないドキドキ展開!!

本郷先生お得意のシリアスな作品。
本郷先生の他作品が好きな方ならヒットすると思います!

現在と過去の回想が混ざり合っていますが、枠の色などでわかりやすくなっています。
高校時代に遼一と関係があり、貶められた敦也×心も体も兄の遼一に支配されている洋二。2人の中を引き裂くサイコパス遼一。

本郷先生、本領発揮!な上下巻でした。

想像した数倍予想外の展開でした。
最悪の結末を考えながらハラハラ読み進めました。
ぜひ、ネタバレなしでドキドキハラハラしてください!!

3

感情が、揺さぶられる

遼一が不穏な顔を見せ始めた敦也の回想で幕が引かれた上巻からの続き。
遼一との愛だと思っていたものが愛とは違うことに気づいた洋二は弱々しく敦也について行き、一線を超える。
洋二を抱いた敦也は「洋二、今、誰が見えてる?」と問いかける。初めて抱かれた洋二は「あつ、や」と答える。
初めて互いが互いの名前を呼び合う。
洋二は遼一の呪縛から解かれ始め、敦也に小さく好意を示す。敦也ははっきりと洋二への好意を口にしないものの、洋二に男物の靴を作ってやる約束をする。
抱き合えて、ほのかな安らぎが得られた直後に敦也に降り掛かる出来事から、ラストスパートまでの凄まじいエネルギーは読者の感情や情緒をぐちゃぐちゃに振り乱す。ここまでの重たく暗い空気を一瞬で爆発させたかのような展開はどうしてもネタバレせずに読んでほしい。冒頭の状況が分かった時の、すべてに合点がいくような感覚は他の商業BL作品ではまず味わえないものだった。
全てが終わったあとの、やっと触れ合えた2人の渇望と多幸感と、どうしようもない切なさがとても愛おしい。洋二が敦也を待っている間1人でしていたといういじらしさに萌えてしまう。
先生が洋二は尽くすタイプだとTwitterで仰られていたが、そういう目線で見ると遼一の苦悩を助けたくてその気持ちに付け込まれてしまったという不憫さや、敦也とまた触れ合えるまでにどれだけ敦也のことばかり考えて彼の身体のことばかり心配していたか、そして敦也がその想いにどれだけまっすぐに応えてくれたかと考えるとあまりの健気さに涙が出てくる。
敦也は年長者として洋二の世話を焼き、また、職人気質としてか洋二からの見返りを何一つ求めず、遼一との因縁を捨てきれないところがありつつも決して洋二を遼一の代わりにしなかったところに本当に好感が持てる。また、最後の最後に洋二が遼一と同じところに落ちないように守ったのもまた敦也であり、洋二への強い愛を感じる。敦也と洋二の強い想いがあのラストをもたらしたのだと感じさせられる。
良質なサスペンスストーリーであり、長編映画を観終わって映画館に座っているような、そんな読了感。最終回時点では手放しのハッピーエンドではないのかもしれないけれど2人の目に強い光があり、最高に幸せな未来を感じさせる。
過去作「メトロ」も映画的であり、あちらは余韻をたくさん残して2人の未来を無限に想像させるようなつくりであったが、今作はすべて見たいものを見せてもらったような、満足感と充実感に満たされたような作品だった。
描き下ろしは情事のあとの2人。幸せな時間に涙がこぼれてしまう洋二と、笑わせようとする敦也のイチャイチャ愛。

5

そして、魔法は解けた

【シンデレラ・リバティとは
深夜0時までの外出許可を意味する海軍の俗語。】

下巻を読み終えて。

鳥肌が立つくらいよかったです…。
一度読み終えた後にもう一度上巻に戻って読み直し、
読めば読むほど、色々なや感情が溢れ出してきました。
上巻を読み終えたときにはシリアスだけどミステリアスで面白いなぁ~
くらいの感想でしたが、この下巻を読み終えてそれが感動に変わっていました。
単なるミステリーなどではなく、それぞれの“愛の形”と“救済”の物語でした。

想像もつかないような真相に、本格的サスペンス要素、と
予想を遥かに超えた衝撃的な展開に心臓のどきどきが止まらず、
メリバも辞さない流れでは…と不安だらけでした。

結論から言うとしっかりハピエンでしたが、
とはいっても、本郷先生の作品ということで
全ての人が幸せいっぱいの大団円ハッピーエンドというのではなく、
切ない余韻をひいてのしっとりと美しいエンディングでした。
だけど、苦しみを乗り越えて迎えた結末は素晴らしいの一言に尽きます。

この下巻では兄からの暴力と洗脳による支配を“愛”と盲信していた洋二が
敦也に惹かれてゆくことでその呪縛から解かれてゆきますが、その過程は
タイトル通り、シンデレラの魔法が解ける童話を連想させました。

ずっと信じてきた遼一の愛が偽物だと知り、打ちひしがれる洋二に
「戻ってこい」と救いの手を差し伸べる敦也がとても頼もしく見えました。
彼自身も過去に遼一に嵌められ人生を奪われた被害者の一人でしたが、
憎むべき遼一の弟であっても放っておけず、救おうとする敦也が男前でした。

一方、それまでは敦也に守られるだけだった洋二ですが、
遼一の策略によって敦也を失いかけたことでようやく目を覚まし、
今度は自分が敦也を守るために遼一と対峙する覚悟を決めます。

これってすごいことだと思うのです。
洋二にとって遼一を拒むということは遼一によって創られたこれまでの
自分の人生を否定することでもあるわけで、それを拒絶するというのは
洋二の中で敦也の存在が遼一を上回るほどに大きくなっていたのかと
その変わり様に驚かされました。

今まで不安や怯えなどの感情以外はあまり表に出すことのない洋二でしたが、
事件後の敦也との再会で微笑み、嬉し涙を浮かべる姿に本当はこんなにも
素直で健気な子だったんだな、と初めて本当の洋二の表情が見られた喜びで
涙腺が緩みかけてしまいました。
敦也の回復を目の当たりにする度、涙を流したり、献身的だったり、
本当の洋二がいじらしくて、いとおしくてたまりませんでした。

そして、4年半ぶりに身体を重ねた二人の濡れ場の濃厚なこと!
触れ合えなかった間の想いをぶつけあうように激しく絡み合う
甘く、濃密なワンシーンでした。

作中でははっきり名言はされていないけれど、
おそらく遼一はサイコパスだったのだろうと感じました。
愛情を理解できず、他社に共感することもできず、孤独な人。
洋二に対する執着はもはや狂愛で、肉体と心だけでは足らず、
その命までも思うが儘にしようと追い詰めてゆく様は恐怖でした。
けれど、自身の狂気を抑えられず、唯一の“最愛”である洋二にすら
まっとうに愛情を注いであげることができず、結果失ってしまった。
そう考えると遼一も可哀想な人なのかもしれません。

深夜0時で魔法が解けてしまったのは一体誰だったのか。
兄のかけた悪いから呪いから解き放たれた洋二、
長い時を経て深い眠りから目を覚ました敦也、
自分だけが幸せな甘い夢から覚めてしまった遼一、と
三者三様に魔法は解けたと言えるのかもしれません。

10

ドシリアス完結編

ネタバレなしで、上巻から読んでほしいです。

こちらでしっかり完結しています。
主人公達はハッピーエンドです。
今回上下巻で8割が回想シーン。紙本だと分かりやすくページが黒いので並べると異様な感じになります…。

ストーリーは、遼一に(精神的に)囚われてから解放されるまでのお話。
遼一が怖いです。
兄弟で「愛してる」などの台詞はありますが、描写はそれ以上ないので兄弟NGでも大丈夫だと思います。…それ以上にお兄さん怖すぎなので…。

今回は、甘々なシーンもあり特に最終話はラブラブです。

シリアスなサスペンスBL読みたい方にオススメです。

















紙本購入
修正は白短冊です。

2

ネタバレ無しで読んで!

はぁ、そういう事かと全ての謎が解けた下巻でした。

学生時代に敦也が遼一に弄ばれたと言ってた意味、想像とは全然違ったけどハッキリ言って胸糞悪かったです。

そして上巻冒頭からの敦也の記憶がハッキリしなかった理由、また心配だった敦也の状態ですが、その理由が下巻で全て明らかになっていてスッキリしました。

全てを操って自分の思い通りにしていた遼一が、唯一思い通りに出来なかった相手が敦也と洋二なんですよね。
2人は遼一の1番の被害者なので、最後にこの2人で遼一を止めることが出来たことが唯一の救いだと思いました。
この遼一との最後の対峙まで緊張感を持って読む事が出来ました。

そして最終話と描き下ろしが敦也と洋二の明るい未来を感じさせるお話になってた点も良かったです。

遼一がどうなったかもチラッと描いてありましたが、めでたしめでたしって感じのお話では無いんですよね。
この作家さまの特徴なのでしょうか?ストーリーの面白さで萌2にしましたが、好きな作風かと聞かれたら迷ってしまうと思います。ファンの方ごめんなさい。

5

深い

上巻での謎を回収していくように、様々な出来事が起こっていく下巻でした。

敦也と洋二の関係や彼ら自身の感情が変わってきていること。それを巧みに嗅ぎ付けて壊していく遼一の狂気は本当に恐ろしかったけれど、それと同時にとっても寂しい人なんだなと切なくも感じて。
彼にとって洋二はどんな存在か?壊れた部分しか描かれていない遼一の本心を考えてみると、彼のこともまた違った見方が出来るような気がしました。

そしてふたりが過去を回想している意味が明かされていくわけですが、その理由が想像もしていなかったものだったのでものすごくゾクゾクしました。
大切な人を失うかもしれない恐怖の中で愛を積み重ねていくことは簡単ではなかったと思うけれど。それでも最後にはふたりともが笑顔になれる結末となったのが素晴らしかったです。

重たいお話ではありましたが、明るく晴れるような終わり方でとてもスッキリ。
彼らの未来が幸せであってほしいと願いたくなるような作品でした。

2

深夜12時の鐘で魔法がとけたのは……

是非とも、ネタバレ無しで読む事をお勧めします!

上下巻でじっくりと味わえる濃密なストーリーと、圧巻の伏線回収にページを捲る手が止まらなかったです……‼︎
また、物語に散りばめられた「シンデレラ」のギミックに、読み返す度に新たな発見がある作品でした。

上巻では遼一が世界の全てだった洋二。
しかし、遼一から与えられる支配欲とは違う、洋二自身を愛する「本当の愛」を敦也から与えられ、遼一しか映らなかった洋二の瞳に敦也の姿が映るように…。
そして「遼一の望む姿」ではない、本来の自分を取り戻していきます。

敦也が洋二を救いたいと思うのと同じく、今度は洋二が敦也を「守りたい」と強く思い抱くように。虚ろだった瞳に強い意思が宿り、遼一へと立ち向かう洋二。
深夜12時の鐘で魔法が解けるシンデレラのように、洋二へ掛けられていた遼一の呪いは解けるのか…。

タイトルの「シンデレラ・リバティ」とはアメリカ海軍の俗語で「深夜12時までの外出許可」を意味する言葉。
それは、1日の中で過去を振り返っていく敦也の魂に与えられた束の間のひとときだったのか。
もしくは、遼一の狂気が許された長い期間だったのか…。
深夜12時の鐘で魔法が解けてしまったのは、もしかすると遼一の方だったのかもしれません…

終始シリアスでダークな雰囲気に何度も「メリバだったらどうしよう…」と不安に駆られながら読みました。
が、ハピエン好きの皆様どうぞご安心を…!
洋二と敦也のお互いを想い合う強い気持ちが起こした奇跡に、驚きと感動で鳥肌が立ちました。
敦也と洋二の「真実の愛」が遼一の「偽りの愛」に打ち勝つ展開は宛ら御伽噺のようで、シンデレラをモチーフにした本作にピッタリのエンディングだったように思います。

敦也の一挙手一投足に泣いて喜ぶ洋二のいじらしさが堪りません…。
健気で不憫だった洋二ですが、最終話での幸せそうな笑顔が見られて本当に良かった…‼︎
もう、その笑顔が見られただけで読者は幸せです…。
後半の甘々で蜜月な2人の様子に、お互いを大切に思う「大好き」の気持ちが溢れていて胸が一杯になりました…

遼一の支配下にあった洋二にとって、愛の言葉は「服従」を意味するもので…。
だからこそ、服従ではなく自分の意志で「側にいたい」と敦也へ伝える洋二の姿にグッと熱くなります。

敦也と出会った事で「やっと息ができる」ようになった洋二。彼の人生はきっとここからがスタート。
心から笑ったり、泣いたり、怒ったりして本来の自分を生きていって欲しい。そして、そんな洋二の隣で敦也に見守っていて欲しいな…と願わずにはいられない。

仄暗い靄の中で一筋の光が差すような、2人の「救済」が描かれた本作。上下巻の表紙を繋げると、優しく触れ合う2人の姿が尊くて仕方ない。
決して、幸せばかりが残るハッピーエンドではありませんが、ほどよい余韻が後を引く終わり方で、その後の彼らについて思い馳せてしまいます。

▶︎紙書籍/刻み海苔

台詞で多くを語らず、余韻や余白を使った心理描写がお上手な本郷先生。今作も沢山の余韻を感じる作品でした!

だからこそ、深読みしてしまう部分も多くあって……。
個人的に遼一の部屋に飾られている沢山の「サボテン」が目に留まりました。
サボテンの花言葉は「偉大」そして、「枯れない愛」。
自分を偽る事で愛されてきた遼一ですが、本来の自分を受け入れてくれる「本物の愛」を求めていたのでしょうか。
その結果が洋二の兄弟愛を利用する事になったのか…。
より一層、遼一の孤独さを感じるような気がしました。

16

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