蟷螂の檻 5

tourou no ori

螳螂的牢笼

蟷螂の檻 5
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神95
  • 萌×212
  • 萌12
  • 中立3
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
24
得点
562
評価数
124
平均
4.6 / 5
神率
76.6%
著者
彩景でりこ 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE comics
シリーズ
蟷螂の檻
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784396785413

あらすじ

炎の中で共に逝こうとした典彦と育郎。しかし、育郎が義兄・蘭蔵に助け出され、二人の心中は失敗した。
育郎は、大学の同級生・飯田に保護され東京へ。典彦とは炎の中で別れ、それきり離れ離れとなった。
かつて育郎に好意を寄せていた飯田は、傷ついた友をやさしく気遣い、兄弟ごと東京の自宅へ住まわせた。二人は、穏やかで真っ当な生活を送る日々に。
だが、典彦と別れ別れになったその日から育郎の心は空っぽなまま。
心も体も食い荒らすような愛され方に傷ついたはずだったが、典彦の不在に、育郎の心はーーー?

表題作蟷螂の檻 5

深山典彦,當間家に仕える使用人で秘書
當間育郎,當間家当主

その他の収録作品

  • エピローグ 檻の中

レビュー投稿数24

ハマりました。

究極の愛!ここまで愛し愛されるのは幸せだな。
エロ表現も刺さります。切なくて愛おしさの表現…
素晴らしいです!
終わってしまいましたが、是非スピンオフを!

0

意味深い

もう、よいです。闇をどうやって解消するのかとおもっていたのですが、とても、よかったです

0

とんでもない一族

とうとう最終巻を読みました。
正直一回読んだだけではよくわからないような。色々ありましたね。
ようやく典彦から逃れて蘭蔵と新しい生活を始めるチャンスだったのに。

育郎にとって幸せとは?自由とは?好きなこととは?
もう選べないくらいずっと長いこと檻の中にいて、典彦しか残ってないんですかね。人並みの幸せを求めてないというか。
蘭蔵は檻から出たらたくましく?ちゃんとお世話を受けて。お兄ちゃんだった頃の記憶がとっても彼の中で大きかったんですね。

なんかもう當間一族が狂ってるというか、嫁を巻き込み子供を虐げて不義の子を溺愛して。
典彦も犠牲者だったのかな。育郎を再び手に入れても渇きが癒えないのはどうしてか?

結局檻の中が幸せなのかな。

飯田が気の毒。あんなに一人で頑張って探して。

0

結局のところ

発売されてから、すぐに読むことはできませんでした。
4巻を読み終わって、読み終わったあとはすぐに続きを読みたくて、時間が経つほどに忘れて、そして最終巻発売の告知で思い出し、でもすぐには読めず…。

やっと踏ん切りがついて、読み終わった今。
漠然とみんなが幸せになると思っていた、数十分前の自分を殴りたいです。

結局のところ、育郎が手にしたのは愛ではない。私はそう思います。幼少期に渇望してしたものは、純粋な家族愛だった。それを典彦が性愛にすり替えた。
4巻の火事の後、屋敷から蘭蔵が連れ出してくれた時、私はやっとすり替えられた愛が元に戻ると思っていました。しかし甘かった。

育郎はすり替えられたことなど、とうに気づいており、自分が元に戻れないことを分かっていました。分かっていたことに、私は分かっていませんでした。
典彦と育郎が再会した時の、あの育郎の表情。さち子には絶対に見せられません。
さち子の「他人を〜」セリフも良かったですね。私はメリバ好きですが、腕を組んでしまいました。

3

最終巻

ここへ来て何なのですが、最後しりすぼみになったような。。

坊ちゃんへの執着愛、がメインテーマであったこのシリーズ。ときには犯罪にまで手を染める典彦のぞっとするような人間性を、むしろ鑑賞する作品だったと思います。
しかし、です。

このドロドロしたお話の中で、唯一の清涼剤となった、育郎の妻。彼女が何かを替えてくれるかと期待して読み進めるも、最後は存外あっけなく、メインカプの道行きは何も変わらなかったという気がします。

一番このシリーズで疑問だったのは育郎の気持ち。
からめとるように自分を追い詰める典彦に対して、ただ抱かれるだけなのか、それ以上の何かがあるのか。。

育郎の兄や妻など良い脇役がそろっていただけに、運命の中で自らの立ち位置を見つけていく育郎の姿が見たかったですね。

いつもながら、巻末に収録されているおまけが素晴らしいです。

1

タイトル通り

すばらしくよく出来ていておもしろい。傑作です。
なんだけど、悲しいかな私には萌えがなかったので神と萌の間の萌2とさせて頂きます。すみません。
(感じたことをポツポツ書いたら長くなってしまいました)

4巻読後は、どう結末を迎えるのだろう?と読めない楽しさがありました。
が、5巻の表紙、目次でエピローグ「檻の中」を見て予想できてしまいました。
予想通りでございました。

2人にとってはああなるしかなかった、ということなんでしょうね。

しかし、典彦は育郎を手に入れてもまだ「足りない」とはどういうこと?となりました。
いっそ、育郎を殺すか心中すれば気がすむのか。

さち子の「他人を貶めた上に成り立つ幸福に何の意味があるのでしょう」「少なくとも私にとって深山はそういうものでした」が一つの答えかなと。

典彦は「この子のぜんぶがほしい」ので命までほしいのかもしれない。

育郎を手に入れても
「どうして充たされない」
「何故こんなにも渇いたままだ」
と独白する典彦が全身火傷だらけで
業火に焼かれてもなお生きている苦しみを表している餓鬼のようで、この描き方がすばらしいなと(「業火」の意味が典彦の状況に合っている)

だから、育郎を手に入れても生きている限り決して満たされない苦しみ。自業自得。
本人も自分の異常性を自覚しているのがいいんですよね。
これ無自覚だと見ていられない苦手な話になったと思います。

典彦があんな悪魔みたいな男になったのも、バックグラウンドがあったんですね。
元々持っていた資質もあるでしょうし。

諸悪の根元である育郎の父もとことんでした。
実の妹との子どもが蘭蔵なんて。
その蘭蔵を手にかけるという。
狂っている。

でりこ先生は人間の狂気に苦しめられる人々がどう生きるかを描きたかったのでしょうか。

ずっと健一は巻き込まれないで、と思ってきたけど、思いっきりそうなっちゃった。
孤独と弱さにつけ込まれてしまった。

でも、蘭蔵が迎えにきてくれてよかった。
蘭蔵はお兄ちゃんをしたかったんですね。
お互いに救われる方向でよかった。

蘭蔵がひどい目に合わなくてすんだのは、さち子のおかげですね。

最後、さち子が全部持っていってくれました。
さち子がこの世界の良心であったんですね。
性にも狂気にも翻弄されなかった人。
唯一と言っていい強い人物。
1巻冒頭に父親から、聡明でできた娘だと自慢されていた通り、ブレずに芯のあるの人物でよかった(別の一面が出てくるかとうがった見方をしてしまった。そのケースの方が多い気がして)

繰り返しになりますが、さち子の
「他人を貶めた上に成り立つ幸福に何の意味があるのでしょう」←コレが肝だと思います。

さんざん狂気や地獄を見せられたけど、私はこれで救われました。
ただおかしな世界ではない。
これが芯にあって作品世界が締まった。と思います。

地獄や狂気に生きる人は、それなりの道で生きていく。
自分が犯した罪は自分で背負う。
因果応報だよと。

さち子が育郎や蘭蔵に対して、恋愛や憎しみなどのベタな感情ではなく、肉体関係もなく自立した存在で「人として」行動し、典彦を赦さないと言ってのけたのがすばらしい。

つまりは、さち子かいなかったらただの地獄絵図ですもんねw

読者が共感できる人物、行動をさち子に演じさせたでりこ先生すばらしい。
BLによく出てくるステレオタイプの女性キャラではないところが好きです。

飯田はただの当て馬ではないのがおもしろい。
彼も育郎に魅せられた一人だけど、踏み込めず未練たっぷりなのが独特の後味の悪さでw(さち子との対比)
読者にわかりやすい社会に適合している側としての視点がよかった。

育郎と蘭蔵を俗世に引っ張ってくれる恩人でもあり。そういう意味でGJ。


蟷螂(カマキリ)=當間育郎(漢字のつくり)であり、育郎の父でもあった(1巻)

典彦はカマキリに寄生する(1巻)

蟷螂(育郎)の檻=典彦(カマキリに寄生)

育郎は檻の中で生きると共に典彦を捕食し捕食される構図でもあると。
典彦にとっては育郎が逃れられない檻でもある。
こんな単純なお話ではないかもだけど、ほんとよく出来ていると思います。

本作に似た時代背景、世界観、主従なBLを過去何作か読み、申し訳ないけど上辺ドロドロなんちゃってお耽美な印象だったんですよね。

でも本作はさすがでりこ先生!本格的で物語としておもしろかったです。
作家さんの手腕がよくわかります。ど素人が生意気にすみません。

完全に好みですが(5☆満点)
すごい ☆☆☆☆☆
面白い ☆☆☆☆☆
内容が好き ☆☆☆
絵が好き ☆☆☆☆
キャラが好き ☆☆
萌える ☆

6

読んで良かったです。

絵の体のラインがとてもきれいです。ドキドキしながら読んでました。番外編などでまた続きも読んでみたい。

2

宵闇に墜つるは、春の虚(うろ)。

これは…。私は少なからずガッカリしました。ドラマは最終話の一つ前が秀作だったりする事もある。私にとっては、前作がクライマックスで。神作だったと言わざるを得ない。前作のラストから、一足飛びで、本作のラストに繋いでも。それはそれで成り立ってしまうのではないかと思ってしまうのだ。
それは私が、育郎にある意味「普通」であって欲しい、典彦には坊ちゃんへの歪んだ愛執を諦めて欲しい、と願っていたからなのかもしれない。作者はそんな一読者の勝手な想いなんて、軽々と飛び越えて、彼等の愛の成就を見せる。それがどんなに歪なものであっても。恋人達にとっては、何者も冒し難い、一つの愛の証なのだと思わせる。
読後、ちるちるのインタビューを読んだら、編集さんが典彦の顔と局部は残して欲しいと切望したらしく。醜いケロイド痕があっても、典彦は原型を留めており。もちろん五体満足な身体で生き延びた。

火事の後。當間母子を貶めた本多は社会的な報いを受けた。
愛ゆえだとはいえ、殺人という罪を犯した健一も法による報いを受けた。
そして。その真っ直ぐな心でもって、育郎を救って欲しいと、私が勝手にも願ったさち子は、離縁された後、屋敷に戻ろうとする。焼け朽ちた家を唖然と見つめた彼女は、守られる嫁では無く、自身で當間家の事業を再建し、力強く生きて行く。

當間家に巣食う謎は等しく回収されたカタチにはなっているが、既に故人となった當間家当主・政蔵の、本当の気持ちは分からない。彼を狂わせたものは何か。実の妹との禁忌か。
この狂おしいまでの、面々と続く、血脈の物語の発端は、育郎の父であったのか。典彦の父であったのか。物語はいくつもの「匂わせ」で終わり、真実は藪の中。
ただ学生時代から育郎を密かに想っていたという飯田がラストへ向かって行く彼等を傍観者として見つめている。彼の心中を想うとやるせない。
物語は収まるところに落ち着いたんだろう。私達の心に虚(うろ)を遺して。
育郎は壊れている。壊れて尚、典彦を選ぶしか無かった。自ら足首の腱を切り、もう逃げないと誓う彼を誰が救えたというのだろう。否、彼は救われたくなんぞ無かったのである。

最終巻は「中立」という位置にして置きたいが、全編を通してはやはり神作だという他は無い。そして。私はいつか本作を超える「耽美派」の登場を願っている。

0

己がブレないさち子も好き

 最後の最後まで腐敗した空気を緩めることなく、1巻から続く重苦しさを保ったまま描き切ってくださった先生には大感謝です。序盤で病んでいても、あっさりした結末を迎えたり狂人キャラの皮が剥がれたりして拍子抜けしてしまうような作品が多い中、各々の抱える負の感情が簡単に昇華されるのではなく、その人の中にわだかまり続けて激しい未練を残している描き方に非常に魅せられました。

 典彦という檻を求め、その檻の中で暮らせないなら生きていても仕方ないと思うまでこの世に生きる価値を見出せなかった育郎。空虚な心を抱え始めていた時分に与えられ、己を慕うようになった育郎に妄執を注ぐことでようやく悦びを感じられた典彦。常識人としての仮面を捨てられなかった飯田。弟を人並みに可愛がる間もなく壊され、それでも兄という自分の役割を果たしたいという想いを持ち続けていた蘭蔵。當間という1つの腐った家の中で、歪な形で大人になった者達が歪なまま足掻き、掴み取った結末。最終的には蘭蔵も、育郎も典彦も、得たいと思った人を得たのですから、私にとってはハッピーエンドでした。その人がいるから生きていたいという理由は、愛でも、単なる執着でも、生き甲斐でも何でも構わないと思っています。

4

手に入ってもなお求め続ける先は

前巻の不穏な空気満載からの完結巻です。
それぞれの終着点を見届ける事ができたので良かったなと思います。

救済を期待していた訳ではないですが、育郎と典彦に関しては想像以上に暗い最後だったな、というのが正直な感想です。
手に入れてもなお欲し、乾き続けているとなるともうどうしようもないじゃないか、としか言いようがなく。
当事者の二人が幸せだね、と言えるならハッピーエンドなのでしょうが…


蘭蔵と健一に関しても一見ハッピーエンドに見えましたが、蘭蔵にとってはお兄ちゃんでいる事が全てで、弟だった育郎がいなくなりお兄ちゃんができなくなった今、再びお兄ちゃんになる為には弟が必要で、その弟役が今度は健一なんだよなぁと思うとここにも闇を感じずにはいられませんでした。
決して蘭蔵が悪いわけではないのですが。

さち子の強い道徳観や責任感があったからこそ蘭蔵含め救われたものがあり、典彦に怒りを抱く彼女の存在がこの物語のバランスを取っていたように思います。

執着は嫌いじゃないのです。
でも溺愛とは違い、自分の欲を全て吐き出したものを相手に塗り付けて頭から喰らうような典彦のやり方には、最後まで不気味さ、恐ろしさが付き纏いました。

深さや暗さの違う、様々な闇を感じた作品でした。

6

この作品が収納されている本棚

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