鳴けないトヒコ

nakenai tohiko

鳴けないトヒコ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神150
  • 萌×266
  • 萌25
  • 中立10
  • しゅみじゃない9

--

レビュー数
33
得点
1099
評価数
260
平均
4.3 / 5
神率
57.7%
著者
碗島子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス Qpaコレクション
発売日
電子発売日
価格
¥680(税抜)  
ISBN
9784801971462

あらすじ

生きる気なく、行く当てなく、夜の街を彷徨ううちに人の良さそうな男・コウに拾われた青年トヒコ。
お礼にとえっちなご奉仕をするも、鳴けない(喘げない)事をコウに気付かれる。
鳴けるように様々手を尽くしてくれるコウに心が解けていくトヒコだが……?
“鳴く”ためのトレーニングは天井知をらず!?

生きるのが下手くそな元・エリートサラリーマン×消えたいと願う訳アリ青年
互いの抱える寂しさを埋めるように求めあう―――――
上手に〝鳴く〟ためのラブレッスン開始!!!!

表題作鳴けないトヒコ

コウ,リーマン
トヒコ,19歳,喘げない訳あり青年

その他の収録作品

  • 描き下ろし
  • カバー下漫画・あとがき

レビュー投稿数33

エロおもろい

ほのかに、得体のしれない恐怖のような、深淵を覗いているかのような薄暗さがあるのに、クスッと笑えたり感動したり、すごくキャラの立ったお話だったと思います。

【田舎から都会に出てきたトヒコ。街中で誰も自分を見ていない孤独に飲み込まれそうだったとき、誰かと肩がぶつかってしまう。自分のことが見える人もいるんだ、と思わず呟くトヒコだったが、後日その人と再び偶然出会いーー】

最初はトヒコが主人公なので、トヒコ視線でストーリーを追っていくこととなります。すると、助けてくれたコウは親切な人、心配してくれるコウは優しい人、という思いで話が進むわけです。
なのに何、あのコウの得体のしれなさは。こいつはヤバイ男だと、なんとなーく感じるほのかなメンヘラ臭。すごい。見事です。

そしてコウのターン。やっぱりか。こいつはこういうやつだと思ってた。優しさ、親切、そんな柔らかい感情じゃなかった。
なのに、どうしてだろう。やっぱり優しい。それはトヒコがコウの行為に対して感じる感情であり、そのトヒコの感情に嘘はないからです。トヒコにとったら、やっぱり優しい人なんですよね。

矛盾がだんだん整っていって、本物になっていく感じがすごく面白かったです。最終的にかなりのバカップル。お互いのズレたところがまた面白く、これはメタ的に楽しめましたね。2人にはいつまでもズレながら整っていってほしい。お互いが幸せなら、その行為も感情も本物だと思うから。

0

愛と優しさを与え合うお話

表題の通り、過去のトラウマが原因で感じていても「鳴けない」(喘ぎ声を出せない)トヒコが「親切で優しい」コウにたくさんの愛情を受け、ようやく「鳴け」るようになっていくお話。
椀先生ならではの、玩具を使ってのプレイや潮○きなどのえっちなシーンがたくさん描かれていますがどれも愛に溢れていて辛い描写はありません。
トヒコ目線から描かれたコウにどんどん惹かれ、優しくされる事にきゅぅっとときめいてしまう所がとても可愛らしいです。
ふふっと笑ってしまうようなコマもたくさんあり、先生の良さがたくさん出ていると思います。
そして、お話を読み進めるとコウ目線からのストーリーに切り替わり、読者は良い意味で裏切られ驚かされます。
見方が違い、お互いに微妙で絶妙なズレを持ちながらも、優しさと愛情を与え、与えられながら惹かれあった二人でした。
互いの過去のシーンは苦しい描写がありますが、それ以上に二人出会ってからは甘いシーンがたくさんあるので気にならないです。
とても良いハピエンなお話でした。

0

目が…

明らか闇持ちな受けが虚な目をしていて、助けてくれた攻めも違う意味でイッてるように見えたので、地雷×地雷かなと最初ハラハラしてましたが、受けからのご奉仕恩返しを断っていい人じゃんと安心したのに大量のオモチャお持ち帰りで、やっぱやべぇ奴じゃんと裏切られたような期待通りのようなw
碗先生の描くセックスは他で見ないようなプレイなのでいつもドキドキします。
後半に碗先生っぽいギャグが出てきて面白かったです。コレのおかげで暗過ぎず、笑えていい後読感を味わえました。
トヒコちゃん、声に出してツッコんであげてw

0

お互いが必要だった

ギャグっぽい作品がこのところ多かった印象ですが、これは共依存に近いような、ちょっとダークだけどハッピーエンドという作品で、結構ささりました。

タイトルにある通り、トラウマゆえにあのときに声が出せないトヒコ。
トヒコは都会に出てきて、でも誰ともつながりなく寂しさを感じている。
そんなとき、雑踏でぶつかった会社員、コウと偶然に再会し、縁が出来る。ここがシンデレラ設定ではあります。
とにかく自分を大事にして、受け入れてくれたコウに、どんどん惹かれてしまう。
しかしここからがお話の真骨頂。コウには実は秘密があって。。

お互いに、お互いなくしては生きていけなかったかもしれない、と思わせられます。
自分の存在を肯定してくれる誰かを絶対に必要としているときに、偶然に出会った2人。
読み応えある作品でした。
そしてトヒコがかわいいです。

0

トヒコもコウさんも最後になく、読者も泣く

碗先生一度読んでしまったらもう後には戻れない・・面白い!!!受けのトヒコの鳴けない理由も攻めのコウさんが泣けない理由も辛い。だからこそ二人が癒されていく感じがすごく良くて感動する。ただ単なる感動話に落ち着かないのが碗先生のすごいところで笑える、めちゃ笑える。そしてコウさんがこわい、ガチこわい・・コンビニで会ったら絶対目を合わせられない人・・。トヒコはだんだん目に光が灯っていくのがいい、かわいい、コウさんに色々されまくりなのもかわいい。もちろん、とってもえっち、やっぱりエッチ、めっちゃエッチ。好きな要素が盛りだくさんすぎて大好きです。碗先生のこの洗練されたシュールさには毎回下を巻いております。

0

特別な人

切なそうと思っていてなかなか読まなかったのですが、めっちゃいい話だった〜!

両視点あり、後半のコウ視点を読んだら、神でした(泣)

おなじみのシュールさもありながら、こちらが苦しくないギリギリのキャラ達の辛さ、可哀想さ加減。

死んでも構わないくらいなトヒコが出会ったのは、ちょっと不思議なとても優しいサラリーマンで。
見ず知らずの未成年を家に連れ込み淫らな行為をする、よく考えたらヤバいお話のような気もしますが。そんなの気が付かないくらい夢中になりました。

お互いちゃんと自分のことを見えて、考えてくれて。二人の過去が辛いですが、やっと鳴けた!愛しさがわかった!
トヒコのコウの好きツボが面白いですね。

毎回スーツとシーツが汚れるの大丈夫?と気になりました。
これから幸せな予感しかしない!

2

これでもかってくらいどエロい作品でした~笑

碗島子先生のシリアスさの中にも界見えるシュールなギャグが大好きです。
ぷくぷくというギャグ多目の作品が大好きだったのですが、こちらの作品もまぁエロかったです。
辛い過去を持った死んだような目をしたわけあり少年トヒコを拾ったコウ人が良さそうに見えて、最初から目が怖かったです。ひょとっとしてトヒコはとんでもない人に拾われたのではと思ったりして…
無邪気で純粋そうなのに目がサイコそして玩具使いがスゴイエロい優しいけどどS!
それを優しさだと勘違いするトヒコ可愛い
またコウの過去がキョ-レツサイコみ溢れてました
コウはトヒコに出会えてやっと人間らしい感情を取り戻せたって感じでした。
けっこう強烈でしたが、面白かったです。全然飽きなくてでもさらっとした感じはなくて中身は濃かった!

3

暗めの話かと思いましたが

高校の時に好きになった人に裏切られ、寂しさから生きる気力もなくなって東京に出てきたトヒコ。
そんなトヒコが街で出会ったコウは、ものすごく親切で、親切過ぎて。
そのお返しに身体でとトヒコから誘うが、トヒコは気持ちよくなっても鳴けない身体で。。。

コウが優しすぎて尽くしすぎて怖くなるくらいで、でもトヒコを鳴かせる(喘がせる)為には、何だかSな面が見られていたのですが、トヒコはそれらを全て優しさと受け取っており、すっかり私騙されました!!
そうきたか!!!
はっきりいってテンション下がりました。トヒコ逃げて!!とまで思ったくらい。

でも、本当に描き方がお上手!!
一気に持ってかれましたよ心を!
二人が出会えて良かったです。無いものを埋め会える存在ができて。

書き下ろしでの、トヒコの準備が萌えました。

3

主役2人ともキャラ描写が深い

リーマン×トラウマ持ちの家出少年。
歩いててぶつかっただけの男同士2人が、なぜか一緒に暮らし始めるというかなり突飛な設定。

読み始めは受け視点だったのですが、攻めの溺愛が素敵すぎてキュンキュンしつつも、なんで初めて会った少年にこんなにメロメロなんだろう?と不思議でした。

後半の攻め視点で、その自分自身でも気づいていない悩みや葛藤シーンがすごく良くて気づいたら泣いてました。

碗島子先生の作品、今までは自分には合わないと思い込んでいたのですが、この作品が良すぎて考えをあらためました。

4

碗先生流セラピー

よかったです。
碗先生流の再生の物語(再生モノ好きなので)。

エロいことがセラピーのようになっていて、日常の気持ちのやりとりと共に、2人とも新しく命が吹き込まれていくかのようなお話。

前半、トヒコが家にいてくれることをコウが心から喜んでいることはわかったけど、時々見せる無表情に得体の知れぬ不気味さを感じ、コウの本性というか目的がわかるまではドキドキしました。
その見せ方、展開がいい。

再生モノが好きなんですが、その前提は人生に絶望していることで。
碗先生に限らず、だいたい陵辱されるか、家庭で虐待されるか…のパターンで、他のケースも見てみたいなと思うところではあるんですが。

本作の場合、そこのところを重く暗くなりすぎず、いいところでギャグが効いているのが読みやすいし好きです。

特に、トヒコが「好き」と思った時の(変な飲み物)×5回w

と、トヒコにダサくて可愛いと言われて、飲み込めずトヒコを抱きしめながら眠る時に(…………ダサい?)となっているコウww
しかもこれが本編ラスト?と笑ってしまいました。

碗先生がお好きな性癖オンパレードで、正直私はどぎついプレイは苦手なのですが、本作はコウがやさしかったし、トヒコも嫌がっていなかったし、私も慣れてきたのか割と大丈夫でしたw

3

音声化を強く強く希望!!

こういう作品が一番「音」として聴きたい作品なのですがいかがでしょうか…?!

鳴けないトヒコが鳴けるようになっていく過程、
コウさんの閉ざされていた過去と温かい現在、
本当に本当にじわじわと胸が熱くなる最高の作品でした!

ただどう考えても音声化との相性が良すぎる。
難しいとは思いますが、きっとトヒコとコウさんを演じられる男性声優がいらっしゃると!信じております!!

もしこのレビューを誰か偉い方が見てくださっていたら……ぜひ、ぜひ音声化してください……!

6

さすが椀作品

さすが碗さんでした。
シュールな感じ。今回は少しダークなお話でした。
トヒコの鳴けない理由。
そしてコウさんの過去。
お互いに足りないものを与え合っている。
今は2人だけで完結した幸せだけど、これからは彼らの世界も徐々に広がって、これからは意味のある人生になるんじゃないかな。

3

碗先生ワールド!!!

碗先生の頭の中はどうなってるんだろう。
作品毎に新しい扉を開かされる!!!

ズレズレなとこがおかしくて可愛い。
現実だったら、ちょっと!しっかり考えよ!と
言いたくなるとこですが、
流されて変なことにあってるけど、おかしくて
甘ま~いけど怖い、怖い。でもそこも可愛い!!のが魅力。
自分のペースでグイグイグイグイ攻めるのも
パンツ越しにもカリが分かるの最高でした!!!!
パンツ使いが巧み~~~

攻めの当初の目論見を知った時は嫌な汗かいたけど、
そんな気持ちも超えて通じあえて良かったね!です。

4

出会えて良かったね

お名前はよく聞く作家さまですが、ちょっと絵柄で敬遠していた口です。
この作品がお初でしたが、とても面白く読みました。そして感動しました。

二人のキャラといい、豆乳といい、すごく個性的な作家さま、という印象を受けました。
コウさんなんてヤバい人ですよね。
実際社会人として心配なレベル。あの人格で高給取りだなんて相当優秀なんだな・・・

いわゆる救済BLというやつでしょうか。でも、そんなカテゴライズに当てはまらない不思議に魅力のあるお話でした。
他の作品も読んでみたいです!

5

初めて見るプレイが多くて震える

紛う方なき作者様買いなのだけどいつも通り期待以上に素敵な本でした♥
本当に色々癖がすごい♥
めちゃくちゃ面白くてエロくてトヒコきゃわ!
コウさんが謎すぎて最初からずっとそわそわ読んでたけど思ってた以上に深くて切なくなりながら2人が出会えて良かったとより思えた
そして相変わらず碗島子先生の作品って初めて見るプレイが多くて震える✨✨✨(感動で)
電子のおまけのエロさもたまらんし大体思いが微妙に通じ合っていないところもすきー笑

7

過去現在これから

愛することがわからない攻と
愛することを抑制してきた受
二人の出会いは偶然で、かつ必然だったのかもしれない。

冒頭の描き方で、攻はパラレルな存在なのかと思いながら
読み進めていましたが、全然違った((´∀`*))ヶラヶラ

行くところがなくてさまよっていた受を
攻が拾って帰宅。
お礼にと尺八wwな冒頭からエロスな展開でございます。
ところが、エロスの経験もあるという受は感じていても声を出さない。
「鳴かない」
どうしても受を「鳴かせたい」攻は~な攻防戦を描いたお話。
テーマは面白いし二人の過去からの、出会いの必然性というか
かみ合い方は好きなんだけど
表題にもある「鳴く」という単語にこだわりすぎて、多用しすぎじゃないか・・と
後半に感じてしまったのが残念。
そんなに「鳴く」「鳴いて」「鳴かない」なんて使うかね・・・
私個人としてはナシでした。
ここぞってときに使うのはありなんだけどな・・・

3

シリアス×エロ×笑いの島子マジック

作家買いです。
文句なしの名作です。

生きる気力がなく、虚無のどん底に居たトヒコにまず共感が振り切れ、同時に、チラチラと散りばめられる島子ワールドにもう一気に引き込まれました。
自分の居場所が作られ、存在を認められることに一つ一つ喜ぶトヒコが尊く、泊められた翌日のちょこまかした行動がたまらなく可愛かったです。

そして、『鳴けないトヒコ』が鳴けることがゴールではなく、トヒコの感情が募っていく過程、告白、からの、ずっと不可解だったコウさんのバックボーンが明かされて逆視点からそれまでの物語をおさらいするという展開が非常に気持ちよかったです。
トヒコの告白シーンは今作で最も島子節がバチクソに全開な部分だと思います。
『変な飲み物』にぎゅううううと心が締め付けられていき、想いが溢れてしまう描写は本当に秀逸です。
めちゃくちゃ共感できるし、あのパッケージのふざけ方も流石ですよね。
そして、コウさんの真相が明かされていくと、極めて鬱な内容で泣けてしかたないのに、島子先生の魔法がかかると笑える流れに自然と乗せられてしまうのが最高でした。
『死んでない 俺はまだ人間だ』というモノローグは本当に感動します。
ドアの前でいつもトヒコが居なくなっていることを覚悟していたという一面も、彼が極めて弱いただの一人の人間であることを表していて好きです。

まるっと一冊表題作で、深みと捻りのある物語に大満足です。
手書き文字での非常に細かい笑いと萌えの要素も、これまでで一番ではないかと思う程でした。

10

独りと独りが出会った

エロチックで仄暗く切なくてでも碗さん節があるので暗くなり過ぎず最後まで楽しく読めました。

攻めのコウが良くも悪くもいいキャラでした。
裏が読めず、なぜトヒコに親切にして固執し味付け下手職人なのか終盤まで分からず不思議さんな人状態。
トヒコのダメ出し(トヒコはダメ出しだと思っていない)を上手く呑み込めないところは人間味が出てきて好きです。
自分に足りないのは感情だけだと思ってる人間の抜けてる所って可愛い。

修正(紙)
白線塗りつぶし
ローション浣腸あり
プレイ濃いめ
受けの過去レイプされ経験あり

3

足りないもの同士

『鳴けない』理由はボーイズラブではよくある過去の経験がトラウマになっているものでしたが、よくあるからこそそこまで重く感じずよかったです。

個人的には攻めの味覚が異常なことも過去に起因しているのに、そこを受けが知らないまま話が終わるのがとてもよかったです。
料理の手際もよくなにかが間違っているわけではないのに味付けだけがおかしい理由はきちんと攻めの過去にあるんですが、それを受けが知る必要は必ずしもありませんし、最後に受けが攻めに「料理が不味い」と言ったことでこれから先そこから攻めの過去について受けが知る日が来るかもしれないと思うことができる流れが好きでした。
受けと出会う前の攻めがどういう人間で、なにを理由に受けとかかわりを持つようになって、どうして優しくしていたのかを読者だけが知っていて、受けはまだ知らないけど、そういうのを知らなくても自分と出会ってからの攻めを少しずつ好きになっていったその日々の方が大切なのかなと思えば、作中で描写する必要はないよなと思えました。

優しくされるだけで好きになってしまう受け、もろもろをすべて優しさでまとめるのはあまりにも危険だよ......と心配になりましたが、攻めに裏切られることもなくすくすくと幸せになってくれたのでよかったです。

碗島子先生の独特なギャグセンスが大好きなので、今回の話でも少ないながら散りばめられた碗島子節に笑わせてもらいました。

5

読めば読むほどなスルメ作品

作家買いです〜正直あらすじとかよく読まないで買いました。
島子先生の作品にしては珍しく受け攻め両方に闇を抱えさせているなと思いました。
が、島子先生お得意のシュールギャグは健在、というか大大大活躍です。

【「なく」について】
鳴けない?ん?どゆことや、と思っていたのですが、鳴けない理由がまたいじらしくて健気でかわいそうで!この「なく」にまつわる描写があちこちに散りばめられていてそれがぐっとくるんですよね。
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「啼け」ないけど、「泣け」るトヒコ。
「泣く」ことを知らないコウ。
「啼か」せてあげたいコウと、コウを好きになって初めて「啼く」トヒコ。
「泣き」ながら想いを溢れださせたトヒコと、初めて好きという感情を自覚し「泣く」コウ。
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明示はされていませんが、恐らくコウはサイレントベビーとして育ってしまった人なんですよね。周囲からはサイコパスと呼ばれ避けられるコウは、俺はどこもおかしくない、ちゃんと人間だ、というのを証明するためにトヒコを飼おうとする。だけどペットとしてではなく「人間」としてトヒコに次第に惹かれていって、そしてコウは初めての「人間」らしい感情を芽生えさせる。
タイトルを初めて見た時に、「トヒコってペット?鳥?の名前みたいやん」と思っていたのですが、この何気ないように見えるタイトルがまたこの作品をより深いものにしているような気がしてなりません。
島子先生があとがきで、担当さんからの「コウはからっぽなんじゃなくて枯れてる状態なんですね」「(感情の)土壌はあるんですよ。ただ干ばつ状態でそれをトヒコが潤して証明するっていう」という素敵な言葉を書いてらっしゃいました。
きっと、トヒコの鳴き声や流した涙がコウの土壌を潤して、そこから芽吹いた新緑こそがコウのあの病室での涙だったんだな、と思います。いやあ、いい話ダナア。

【島子先生と言えば】
島子先生と言えば、攻めから受けへのでろっでろでぐっちょぐちょな溺愛が醍醐味ですが、今回もそれが存分に楽しめました。溺愛を心地よく受け入れながらも攻めが実際どんなにやばいことを考えているか分からない無垢で健気で素直(でもえろい)な受けも醍醐味。最高。電子おまけ漫画の、「トヒコの可愛い鳴き声ランキング」を発表するコウのやばさ、そしてそのランキング内容のやばさといったら、、、ぜひ電子でも買っていただきたい、、、!

12

いい人(?)サラリーマン × 訳あり青年

一読した感想→「なんじゃこりゃ」(笑)
ほんわかエロと、薄暗い雰囲気の両方を持っている不思議な一冊でした。
んん〜!なんとも言えず面白かったです。

攻めのコウは本当にただの良い人なのか、それともまじでヤバい奴なのか…?
詳細ネタバレは回避した方が、なんとも言えない不気味さを楽しめるかなと思います。
「鳴けないトヒコ」というタイトルですが、コウについてもしっかりストーリーがあるので、両視点がお好きな方はぜひ。
ふたりが出会った日のエピソードに注目してもらいたいです。



最後に、
「……………………………………うん?」
のページでめちゃくちゃ笑いました。
トヒコは可愛い顔して軽くジャブをかます(無自覚)罪な男の子。
プレイ中はちょいSな紳士×従順健気って感じなので、日常ではコウさんがトヒコに振り回されればよいと思います。
お幸せに!♡

6

洗剤とか、街中のポップとかよく見ると楽しい

碗島子さんの作品は2冊だけ読んだ事があります。
シュールな笑いと、道具を使ったエロ!!
お尻になんか色々入れるタイプのエロ!!!
…の印象が強く(それがワシには強すぎた)かなりおひさしぶりです。

今回はどうしてもトヒコを見守りたくなり、ポチりました。

トヒコの「寂しい、消えたい、皆が出来る事が僕は出来ない」というモノローグが悲しすぎて私の心配スイッチを押しまくり、一見優しいんだけど怪しすぎるコウさんに拾われてからはますます心配に。

拾ってもらったお礼にとご奉仕するトヒコ、トヒコがトラウマで鳴け(喘げ)ない事を知ったコウさんによるめくるめく快楽植え付けの日々、
そんなコウさんを優しい人だと信じて疑わないトヒコ、、

トヒコはコウさんに優しくされた事で、生きる事に未練も好奇心も執着もあるって気付いたのがまずは良かった。
優しくされる度きゅん、きゅう、ぎゅっ(全部♡付き)とときめくトヒコ。恋しちゃってます。
コウさんも優しいしずっとこんなんで良いんだけどなぁ、と思いながら読んでいました。
あっでもやはりエロはワシには…以下略

でもコウさんの隠し切れないサイコみ…
どんな形で転がっていくのかと思ってたら、コウさーーん泣、だった。

コウさん幼い頃ネグレクトを受けていたんですね。それで心が枯れてしまっていて。
小中高、社会人になっても平然とサイコパスな事言ってのけるし、最近では街中でわざと人にぶつかって自分の存在を確かめていて(怖)

トヒコを拾ったのも最初はペットの代わりくらいに考えていて。ペット飼ったら自分にも知らない感情芽生えるんじゃないか、と(この辺はあとがき読んでなるほどでした)
でも純粋に自分の事を良い人と慕ってくるトヒコに徐々に心が満たされていき、お互い気持ちを確認し合う病室のシーンは私も泣きました。
コウさんトヒコを拾った時はもう末期でしたよね、、あのまま行ってたらテレビに出てくる人(犯罪者)になってたんじゃないかなぁ。
コウさんの方がトヒコに救われたのかも。

あと、良かったのはコウさんの正体がトヒコにバレていない事!トヒコには傷付いて欲しくなかったので。
終盤は相思相愛溺愛バカップルに落ち着いて、「何でトヒコはそんなに俺の股間を勃たせるんだ」とか言うようになるし
たのし〜笑

トヒコはブラックコウさんについてはなんの疑いも持っていないけど、何も気付いていないわけではなくて。
仕事や物に執着が無く趣味も無い。家族関係も希薄そうなコウさんを「ずっと寂しかったのかな、、」って思いやれる子なのがすっっごく良いです。
この2人末永く幸せに暮らせそうだ!

6

碗シーン

一人出て来た東京で自分には価値がない、消えてしまいたい、と当てもなく彷徨う十彦(トヒコ)。
そんな中出会ったコウはトヒコに夕飯を奢り自分の家に招き風呂を沸かし、寝床の準備…と甲斐甲斐しく世話をしてくれる。
コウの優しさに触れたトヒコは身体で返そうと奉仕しようとするのですが、逆にコウに触られて、鳴けない(喘げない)ことを気付かれてしまい…。

そこからバーストする碗先生作品の見所、碗シーンの数々。
碗先生といえば腸内への異物・液体注入、お道具の活用、おもらしは個人的に鉄板。
鳴けないトヒコのためにコウがお道具をいろいろと駆使して鳴かそうと試みて、まあまあなことをしているのですが、それに反応して虚無だったトヒコが快感のその先を欲するようになっていき…。

トヒコが鳴けない理由がしんどくて、心臓がぎゅっとなって、コウに出会えてよかったね…と気を緩めつつ読み進めると、後半ではじめのコウのちょっとズレてるけどいい人、というイメージが変わります。
トヒコの目に光がないようにコウは心に光がなくて。
碗先生のぶっ飛んだキャラは大体何が来ても驚かないぞ、と思ってたんですけど、コウはそれこそ普通にいそうな暗みを持った感情が抜け落ちてしまったような人間で、回想のコウの目が、行動がヤバくて違う方向にぶっ飛んでました。

鳴けないトヒコがコウと繋がり、存在を認められることで鳴けるようになっていくお話しなのですが、コウこそトヒコに出会えたことで人間味が滲み出てくるようになっていくという側面もあり、トヒコ視点とコウ視点で違う読み心地を体感できる二重構造です。

歪んでいるコウをそう捉えずに優しくてダサくて可愛いと言い切れちゃうトヒコだからこそコウとズレながらもうまく噛み合ってやっていけるんでしょうね。

そして、所々でミラクルでコミカルなシーンがぶっ込まれてくるのがさすがで、あのツッコミどころ満載の変な飲み物がかなりツボにハマりました(笑)
細かなところまで隅々楽しませてもらえる作品でした。

7

濡れ場だけストーリーから浮いているような

 うーん、読後感はそんなに悪くなかったのだけど、どうも最初から最後までコウとトヒコの関係性がよく分からなかったなぁ、というのが正直な感想です。男の喘ぎなんて萎えるから鳴くなと言われたのがトラウマで引きずっているトヒコと、共感能力が低く人並みに相手の気持ちを推し量れないコウ。2人とも生き辛さを抱えていて、偶然の出会いから一緒に過ごすことでトラウマを克服し、相手を心から好きだという感情も持てるようになる。その流れはまあ理解できるんです。

 ただ、大まかな流れとして理解はできても、細かい点がどうにも気になってしまいました。親切にしてくれるとはいえ、濡れ場では最初から結構強引にマニアックなプレイを仕掛けてくるコウに、どうしてトヒコはそんな簡単に惹かれたんだろうと思ったり、コウがトヒコに抱く感情が、一方的な庇護欲みたいなものから愛に変わっていった過程が上手く読み取れなかったり。確かに濃い濡れ場は碗先生の魅力の1つ。でも、今回のストーリーではもっと控え目にしても良かったんじゃないかな、と個人的には思いました。体の関係の濃さに邪魔されて、2人の心が親密になっていく様子が霞んでしまったような気がします。ギャグ作品では碗先生の濡れ場が大好きですが、今回は私には合いませんでした。

11

ごめん解かんなかった

碗先生の強引展開、シュールな脇役、世間からズレ過ぎて浮世離れした受け、マトモそうに見えて頭のおかしい攻め、好きですよ。めっちゃ心の隙間を刺してくる漫画ばかり。
でも‥今回は私にはムリだった。とにかく二人ともまず病院へ行ってメンタルケアしてから恋愛しろとしか思えなかった。。
傷付いて感情が鈍磨仕切ってる人が、新たな人をターゲットにする‥と思いきや受けが好意的に勘違いしそんな受けの好意に攻めが本当に変化して大団円に収まる、というストーリー展開、好きですよ。大好きなやつです。

でもなぁ‥‥ちょっとラスト大団円までの展開が強引すぎないかなと思いました。
何が趣味じゃないかと思うと、やはりトヒコがあまりにもされるがまま、強引な変態プレイを愛情と受取る様子が虐待被害者みたいでツラい、ってことですかね‥。
BLって虐待被害者多いですよね。
エロに持ち込みやすいし、嗜虐心を刺激されるからファンタジーで楽しむ分にはありだと思いますが、個人的な好みとして受けがひたすら受容するだけのやつはシンドイです。
まぁ今回のだけ解らなかったというだけで、他の作品は大好きです。

16

純愛と変態の欲張りセット

碗作品と言えば、腸内洗浄、異物挿入、おしっこが標準装備というイメージだが、今作は表紙やあらすじがシリアスなトーンなので、この3点セットはちゃんとあるのか?と変な心配をしていました、私。
が、まったくの心配無用! シリアス&純愛&変態がうまいこと融合していて、エロ盛りだくさんなのに泣けるという心が忙しい作品。面白かった〜!

過去のトラウマから快感があっても声を出せなくなってしまった受けと、そんな受けをあの手この手で鳴かせてあげようとする攻め。
その過程で数々の趣向を凝らしたプレイが登場するのだが、さすがと言うかなんと言うか、コンドームすら普通の使い方しないよね(笑)
他の作品でのおしっこ水風船も度肝抜かれたけど、今回はローション水風船。しかもローター責めのオプション付き。
そんなことまでされてるのに、受けが「コウさん優しい」「丁寧にしてくれる」って思うの、最初は「いやそれ違うただの変態」って違和感があった。けど読み進めるうちに、それだけ過去に酷い目に合されたってことがわかって、腑に落ちる。
攻めも攻めで、会ったばかりの受けにそこまでご奉仕するの、なんで?って思うんだけど、それにもちゃんとした理由があって。
そんな二人の気持ちが通じ合った瞬間は、まさに感動的で、素直に出会えてよかった〜!って思う。特に攻めは受けに会ってなかったら、そのうち何かしら事件起こして警察のご厄介になったりしてそうなヤバさ。でもこれからは受けがいるから、もう大丈夫でしょうね。

両想いになってからも、たっぷりページが割かれてたのもよかったなあ。ベタだけど、受けがお尻の準備をして攻めの帰りを待つってシチュは萌える。
あと碗先生、パンツ履いたまま射精させるのも性癖かなと思うんだけど、カバー下にそれもちょっとありました(電子版もカバー下あるの嬉しかった!)。電子おまけでは攻めにいろんな鳴かせ方をされていて、エロ可愛い受けを堪能できる。

変態プレイ好きな人もシリアス好きな人も、いつもの作者さんらしいギャグっぽいノリが好きな人も、いろんな人が楽しめる良作だと思います。

11

鳴かぬトヒコが身を焦がす

鳴けて、泣けてよかった(自分もなく)

傷ついた気持ちを抱えたまま上京したトヒコ(十彦)が街中でぶつかったコウと恋に発展する物語。
どんなに防音がちゃんとしていても、ふたりの部屋から漏れる「キュン」音は周りに響くと思います。

切ないなかに碗先生らしいギャグがぶっこまれていて、出てくる涙が何の感情なのかわからなくなりました(笑)
ドラッグストアの幟や看板、洗剤の名前必見!
竹飲料から出ているびわ味の乳酸菌がすごいらしいの飲んでみたいw

5話めのコウ目線によって、それまで4話のあいだコウが何を考えていたかがわかるんですが、これを最後に持ってくるどんでん返しな展開、めっちゃ上手い!

最初から陰を背負って登場したトヒコと同じくらいギリギリのところで生きてきたコウのエピソードがこれでもか!って描かれていて、その部分を知ってから、告白場面を再読すると喉の奥がくぅって鳴りそうになりました。
5話のラストページで涙腺決壊した私です。

碗先生お得意の「異物(オモチャ)挿入」「おもらし」も現在でありがたい限りです。
「~だもんな」「 ~だな」ってコウがトヒコの状態をひとつひとつ報告するのって立派な言葉責めだと思います!
羞恥心を刺激するの上手いよ、コウしゃん。

■コウ
トヒコをお世話する時のハイテンションな笑顔を変態攻って勘違いしてごめんなさい(汗)

不仲な両親の諍いを目にして育ち、感情(愛情)に未熟なまま生きてきた元エリートリーマン。
最初は好奇心だったトヒコとの交流を通して自分にも「かけがえのない想い」が育つことに気づきます。
のど飴が決め手の不(ま)…奇跡な味の料理がチャームポイント。

■トヒコ
高校生のとき、手痛い失恋をして自分の存在価値を見失ったまま上京。
これ以上失うものはないと誘われるまま、見ず知らずのコウの家に転がりこむ。
戸惑いながらもコウにお世話され優しくされる心地良さを実感する姿が可愛い!

家事力高め(ロールキャベツ美味しそう)
トラウマで鳴く(喘ぐ)ことができなくなったが、コウの手取り足取り尻取り御指導で無事に悦びの声を発声。
意外とハッキリもの言うタイプでサラッと毒舌。

*****

カバー下の担当さん:S藤さんの考察するコウの姿がドンピシャで、あ~!作家さんと担当さんと一緒に紡げるお話は最高ですな!と。
トヒコとコウの出会いもですが、碗先生とS藤さんの出会いにも感謝したい。
作中、トヒコも「一緒」って言葉にキュンってしていて微笑ましかった~。

「一方的なコミュニケーション(気持ち)」を「寄せただけで」ツラい目にあったトヒコと「寄せられても響かず」ツラい目にあったコウが寄り添って幸せになれてすごく嬉しいです。

7

2つのお話に分けて読みたい

“すごい生きたがってやがる”

作者の絶妙な言葉のセンスや1頁の使い方が何とも味があり楽しめました。「心の汚れも落ちると思えば落ちる洗剤Q」とか「恩返し的な?鶴か君は鶴なのか」とか。
トヒコの言うコウのダサいところしかり、美点ではなくても引っかかる部分が人を好きにさせるものだよなと肯定的な気分になれました。

コウがゲイでもないのに同性相手と玩具に夢中なのは謎ですが、中から出るのを我慢させたり言葉攻めで鳴かせようとするシーンと、じっとりした連続中いきは他にない描写、す…っごいです。
鳴き方が一番可愛いのは電子限定特典なので、絶対そちらをお勧めします。

お話としては、
トヒコの投げやりな生き方とトラウマからの脱却と、
コウの欠如していた人間的な感情の持ち方
どちらも描こうとしてちぐはぐになった感じが否めませんでした。

宿無しトヒコを突然泊めさすBL典型攻めコウ。
そこからの行為には読後も疑問が残ります。ゲイでないのにあの触れ合いは強引にも程があります。
良い人そうでいて裏がないわけない感じがずっと漂っているので、コウの素性が知れるまではトヒコが鳴けないことに関して集中できません。

そしてコウの過去が明かされれば、「それは鳴けないトヒコじゃなくても良かったのでは?」と思ってしまいます。本当にこういう人、私含め現代に多いと思うのです。コウみたいな人が心を触れさせるというのはとても大事なテーマだと思うので、そこにトヒコのトラウマが絡むとブレてしまう。

別々のお話で読みたいくらい、どちらも集中して読みたかったです。あとコウの髪型も顔も苦手…

4

トンネルの様な一冊!

碗島子先生の作品は笑えて明るいイメージだったのでこの作品を読みはじめてみるとすごく不気味で2人ともどうしたの!?と思うくらい人間らしさがなくて怖かったです。

トヒコの過去の話で鳴けなくなった理由がわかりますが、読んでいて腹が立つしひどいと思いました。
コウさんも育った環境が悪く子供の頃に心根が腐ってしまったせいで周りの人に心がないなどいろんなことを言われてきてサイコパスな人間になってしまったと思うと切ないし、育つ環境って大事だなとかいろいろ考えさせられました!(元々サイコパスならなんとも言えませんが)トヒコのおかげで思いやりや人を好きになる気持ちがわかって表情も穏やかになり本当に良かったです。

暗い入りからのどんどん明るくなって幸せいっぱいハッピーエンドでよかったです!!

話の合間に急に笑えるコマがあるのがさすが碗島子先生って感じでした!
料理がまずいとか変な飲み物とかトヒコの突然の毒舌がおもしろかったです!

6

再生の物語

自分の存在意義を見出せずに、消えて無くなりたいけど、死ぬ勇気や気力もない、そんなトヒコが主人公の物語です。
真っ暗な闇みたいな瞳が心の奥を表現しているようで印象的でした。

そんなトヒコが謎めいた人物、コウちゃんに拾われます。
あーこんな訳の分からない男について行ったら監禁凌辱されてしまうっ、と心配しましたが(断じて期待ではありません)、思いの外優しくされて、居場所を与えられ、存在を認めてもらえて自分を取り戻していきます。

コウが妙に親切で、明るくトヒコに接してくるのとか、正体の分からなさに不気味な感じがしていましたが、5話の途中からコウちゃん目線になることでコウの過去、どうしてトヒコを拾ったのかが明らかになります。
自分に無い感情を生みだすために、トヒコを利用しようとしていたけど、トヒコの可愛さや健気さに自然と感情が動き出す。

人生の暗闇に落ちてしまった2人の再生の物語でした。
コメディ、というには笑いがじわじわくるタイプのやつなんですよね。シュールな笑いです。
コウが買ってくれた変な飲み物のカロリー500kcalて高すぎw絶対飲みたくない。

電子おまけのコウが選ぶ「トヒコの可愛い鳴き声」ベスト3がすごくツボでした。
トヒコ可愛い…♡

7

これぞ碗作品でしょう!期待以上です‼︎

碗先生節炸裂でした!!!
最高に面白かったです。
シリアスなストーリーをコミカルに仕上げる手腕、流石です。

そして何より、構成が良かった。
1〜4話までが受け視点、5話〜が攻め視点になります。
この、攻め視点がすごく効いてる!


自分に存在価値を見出せないトヒコが拾われたのは、親切な好青年・コウ。
お礼にとコウとHな行為に及ぶも、トヒコは鳴け(喘げ)なくて……と、いうお話。

トヒコが鳴けない理由が切なくて、自分勝手な理由でトヒコを性処理の道具として扱った同級生に腹が立ちました。
トヒコは鳴けないけど、泣けるんです。だから余計に辛い。

そんなトヒコが鳴けるようにと、あの手この手で責めるコウ。
碗先生お得意の、水責めやお漏らしが惜しみなく展開されていきます。
そして少しずつ心を開き、鳴けるようになるトヒコ。

トヒコがエロ可愛い。
責められている時の表情も、控えめな喘ぎ声も♡
おとなしくて謙虚で、「好きになってもいいのかなあ…」なんて悩んでいるところはキュンとしました。

そして5話からは、コウの本心が明かされていきます。
暗い生育環境、渇き切った心。
慈しみ、愛情、思慮──何一つ持たないまま大人になったコウは、かなり闇深い。
トヒコを責める姿に、少なからず狂気を感じていたので納得。

気まぐれで飼い始めたトヒコ。
コウは、弱い生き物を飼えば何かが芽生えると期待しています。
だけど、自分のためといいながら早々にトヒコを愛おしく思ってる。
あっという間に芽を出したコウの感情。
可愛い、俺を見て、呼んで、鳴いて──。

救われていたのは、コウの方だったんですね。
トヒコを好きだと言って、泣きながら微笑んだコウの表情が絶妙で涙が溢れました。

二人とも自分を見てくれる人を求めて、〝居場所〟を探して彷徨っていたんだと思う。
コミカルでシュールなのに、要所要所で感動させてくれます。
ラストはちゃんとオチもあって、さすが!という感じ。

エロは、変態寄り。
碗作品を読んだことがある方には、期待通りだと思います。
ただ、白抜きがねぇ……残念過ぎました。(シーモア)

20

素晴らしき恋のお話。

作家買い。
碗さんの描く受けさんてちょいアホな子(褒めてます。そして大好物です)が多い気がしていますが、今作品はシリアスと言って良いでしょう。今までの碗さん作品とは一線を画す、そんな作品でした。

前半は受けのトヒコ視点。
後半は攻めのコウ視点のお話。
攻め・受け両方の視点で描かれているために、彼らの感情が分かりやすいストーリーになっています。





主人公はトヒコ。
田舎を出て上京したは良いものの、住む場所にも金銭にも困る日々。
けれど、彼はそこから這い上がる気力を持っていない。

手持ちのお金が尽きた彼は住み込みで働ける場所を探し始めるが、そんな彼に声をかけてきたのは前日にトヒコがぶつかってしまったリーマン・コウ。コウに誘われるがままコウの家に連れていかれたトヒコは最悪な状況(売られるとかハメ撮りされるとか)を想像するが、その想像に反し、コウはトヒコに優しくて―。

タイトルの「鳴けないトヒコ」。
「鳴けない」ってどういう意味かなー、と思っていたのですが、ああ、そういう意味か。

快楽を与えられても、トヒコは喘げない。
声を出すことができないんです。

それなら「鳴けるように」頑張ろうね、とコウからありとあらゆる快楽を施されるようになりー。

トヒコが鳴けない理由。
そしてコウがトヒコに優しくする理由。

碗作品にしては珍しく、かなりシリアスな、ダークなお話です。

が、碗さんらしいギャグが盛り込まれていることによって、シリアス過ぎない。バックボーンがシリアスなのにギャグがてんこ盛りだと、設定も、ギャグも上滑りしてしまうことがありますが、さすがと言って良いでしょう。そのバランスが秀逸です。

過酷な過去を持つトヒコが、コウから与えられる様々なものに癒され、そして感情をあらわにしていく過程にほっとしつつ、けれど、それで良しとはならない。なぜコウがトヒコに優しくしてくれるのか、その理由がトヒコとともに、読者にも理解できないからです。

そこにきての、コウ視点。
んー、お上手です。素晴らしいです。

コウの幼少期、そして学生時代、リーマン時代。
そこを少しずつ描くことによって、コウの「中身」が見えてくる。

トヒコは紛れもなく被害者なのですが、コウもまた、被害者でしかない。
お互いに欠けた者同士、なれ合うのではなく、与え合うことができたからこそ紡がれていく彼らの恋心に、心からのエールを送りたい。

薄幸なトヒコがコウによって幸せになりました、というだけに非ず、コウもまた、トヒコと出会ったことで心の隙間を埋めていく。素晴らしい恋のお話でした。

で、何が素晴らしいって、彼らの心の機微が瞳に端的に描かれていること。

序盤、真っ暗なトヒコの瞳が、少しずつ明るい瞳になっていく。
コウは、トヒコを抱くときに道具を使い、まるでおもちゃのように抱いていたのに、終盤は道具は使わない。

そういったところで彼らの想いを汲み取ることができるのも非常に良かった。

文句なく、神評価です。

14

枯れが満たされていく

評価は神寄りです。(変更する可能性あり)

面白かった!し、めっっっちゃ良かった!!安定のドエロも絶妙なギャグも織り交ぜつつ、彼等が抱えていた生き辛さや闇が描かれていて。攻めも受けも救済される物語で2人が出会えて良かったなとジンワリ沁みました。

とことんシリアスに振り切っているのではなく、笑えるシーン(碗作品のシュールなブッコミ大好き…♡)やトヒコが可愛くて可愛くて可愛くて∞キュンキュンする場面も多々。仄暗さを感じさせつつも重たい気持ちを引っ張ることがなく読めたのも良かったです♪

地雷がなければネタバレ無しがオススメかな…?
攻め受け両側からの視点が描かれているところがポイントかと思います。


(以下ネタバレ有り感想)


受け:トヒコはあらすじにも書かれているように生きる気力すら持っていません。自分の価値がわからず、誰からも必要とされず。自殺願望があるわけじゃないんですね。画面から伝わってくるのは心の中の大きな喪失感と淋しさでした。

誰の目にも留まることなく生きていたトヒコは街中で声をかけられます。

攻め:コウは証券会社勤めのサラリーマン。街中でぶつかっただけのトヒコと2度目に会った時にグイグイと話しかけてきます。行くアテのないトヒコを家に泊め、せっせと世話を焼き、一見とてもお人好しっぽい感じでした。

泊めてもらったお礼に…とトヒコが身体でご奉仕をしようとすると、コウはトヒコがエッチのときに声を出せないことに気付くのですね。で、アレコレ手を変え・品を変え、我慢しないで喘げるように責めまくります。コウの人肌や優しさに触れたトヒコはーーーと展開します。


最初は「喘げないトヒコ」を「鳴かせる」ためだけのお話かと思ってました。トヒコを喘がせようと頑張るコウは目がキラッキラしてたので、お人好しだけど性癖がマニアックな人なんだなぁ…とw なので私はトヒコが"コウさん優しい…"と絆される度に

これって優しいの…?
タダの変態じゃない…?(褒め言葉的な意味で)
表情を見てみ…?すげー楽しそうやで…?

と心の中でツッコんでしまう。優しそうに見えて絶対ヤバイ人だって…!と思っていたら、コウ視点ですよーーヾ(;ω;)ノ 違う意味でヤバイ人だった…。

コウの半生を振り返りながら心の闇が描かれて、ぐぅぅぅ…そうきたか…と思う反面シックリくるんですよね。前半のコウを見てて感じた僅かな違和感の理由がハッキリして、違和感のズレをカチッと埋めてくれる感覚が味わえたのが、私にとってこの作品にハマる瞬間でした。

トヒコには喘げなくなるトラウマがあって、
コウには自分で認識している心の欠陥があって。

誰かに見て欲しい・必要とされたい・愛したいし愛されたいのに上手く出来ない枯れてしまった心をどちらもが抱えていて。互いの足りない部分を補い合うように関係が深まっていくのがグッときます。

個人的な解釈だとべったり世界に浸る依存というよりは、生きていく上で精神的な支えになっている…という印象かな。淋しさに満ちた心が少しずつ生まれ変わっていくんですね。トヒコもコウも救済されるお話でとても良かったです…!!!

でね。トヒコがとにかく可愛いんですよ!!
上手く喘げなくて我慢してるとこも可愛いんですが、日常の動きとか小動物みたいなとこがあって愛くるしい♡過去のトラウマで臆病になっていたトヒコがコウを好きになってもいいのか不安になりながら、少しずつ感情が抑えられなっていくのに切なキュンでめっっちゃ萌えたッ(;////;)

コウもほんと良かったとしか言えない…!一時は目がやばくてイっちゃってたけど。(コウの解釈はカバー下の編集さんの言葉が沁みました;∀;)感情が欠落した人間だって自覚しながら、それを求めて生きる。闇堕ちしそうなとこでトヒコに出会えた喜び。「俺はまだ人間だ」と幸せそうなシーンが印象的でした。

エッチシーンは安定の碗ワールド。ゴムが水風船化するのが今作でもバッチリwちなみに紙本の修正はQpaさんのグシャ消しでしたが、消されている割合は大きいので白抜きよりはマシだけど修正厳しいねー…(泣)って感じでした。

6

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