果ての荒野でバカンスを

hate no kouya de vacance wo

果ての荒野でバカンスを
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神131
  • 萌×225
  • 萌18
  • 中立6
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
26
得点
815
評価数
181
平均
4.5 / 5
神率
72.4%
著者
赤河左岸 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックスDX
発売日
価格
¥659(税抜)  
ISBN
9784799748077

あらすじ

惑星開拓の任務についているシンは、
毎日、地球にいる友人で技術者のルキヤに定期報告をしている。
夜ごと、ルキヤを想ってAIとの擬似行為をする自分に自嘲しながら、
想いを伝える日を待ち望んでいた。
赴任して3回目の誕生日、ついに地球へ帰還する日を迎えて――。

他、森の奥深くに住む美しい青年と子どものBLおとぎ話「ふたりぼっちのエバーアフター」、
好意が気持ち悪い“蛙化現象"の青年の恋を描く「蛙の王子様」も収録した、
静かに、だけど心に届く長編読み切り集!!

表題作果ての荒野でバカンスを

惑星開拓任務で単身赴任中
技術者

同時収録作品ふたりぼっちのエバーアフター

同時収録作品蛙の王子様

虫好きの高校生
美人過ぎる高校生

その他の収録作品

  • 描き下ろし

レビュー投稿数26

すばらしいSFBL

絵がいいですね。
背景がとても好きです。
アニメのようなテイストあり、コントラストがはっきりしていたり、デザインがすばらしい。

4本のお話からなる短編集。
表題作と「エンドロール」がめちゃくちゃいい。
私がSF好きなのもありますが、しっかりしたSFに乗せたBLの見せ方がお見事だなと思いました。
SFとしてはわかりやすいお話でありながら、驚きの展開が待っていて、それが切なさにつながるという。
その次の前日譚「エンドロール」
「原作の切なさが足りない」のセリフで始まりますが、読んでいるこちらとしては切ない気持ちでいるところなので、いえいえめっちゃ切ないですよ〜と思わず心の中で言ってしまいましたw

ルキヤの思い、セリフがぐっときます。
「僕の魂はもう此処には無いので」
クールな無表情で言うのがまたいい。

タイトル、表紙もすばらしいです。
表題作まるまる1冊でしたら神でした。すみません。
先生の次の作品「屍と花嫁」を今から読みます。楽しみです。

1

The World's End Pain Review

I read with a lot of love and pain.

赤河左岸先生 love to play with emotions and feelings!
The story between Rukiya and Shin was really the one that made me cry the most. I re-read this story at least 10x and I cried everytime I read it.

The love story between the two of them was never sent across. Shin never had the chance to before he found out that Rukiya was exterminated by a meteorite.

Rukiya knew that he was about to die, quickly build an android bot just for Shin knowing that Shin would be all alone in space. If it was me I would fly up and spend my time with him, but knowing that there's not even a ticket left sold to meet my mate, I would also not reveal that the world is coming to an end.
If i was Shin, I definitely would fly back to Earth and die with him. It's painful to not be with the one I love.

Rukiya and Shin both walked on different set of path, while Shin says that he does not have a "family", Rukiya sees differently. Rukiya regrets not proposing to him. I believe in that term dating is not considered as family but proposing and marriage is. Hence, that hurtful word when Shin mentioned that he does "Not" have a family on Earth makes him flew out to space for his work.

赤河左岸先生 work always hits hard and it makes one think quite a bit to the story. Her endings always leave 1 MC immortal/never aging , the other one as a mortal. It's painful to think if in the future of 60/80 years later what will happen to Shin?While the android Rukiya is going to be floating around in space? It's painful but endearing to think about it.

1

衝撃的

お話は3つあり、表題作は一番最後に出てきます。
どれも素晴らしい世界観だなぁと思ったのですが
表題作は帯の通り圧倒的世界観でした。



ルキヤの最期を考えるとすごく辛くて胸がぎゅっとするのですが
シンの真相を知ったときの表情も辛かったです。
置いていく方と置いていかれる方、どっちのほうが辛いのかなぁ。
すごく切ないのですがルキヤの行動は愛ゆえにってやつかなぁと
読み終わったあとぼーっと考えてしまう作品でした。


これがメリバなのかハピエンなのかを考えてみたのですが
そういう括りに入らなさそうな作品だなぁと思いました。

2

短編集です

作家さんデビュー作なのかな?と思って読みました。
ひょっとするとこの出版社によくある同人誌とかWeb公開からの、というやつかな?

というのは、ちょっと習作に近いかな~という感じのお話があったためです。

一番よかったのは、最後に収録された表題作。宇宙で研究のための生活を送る青年と、地上の管制で見守る青年。強い絆、いやそれ以上で結ばれているようです。
自分の分身として作ったAI搭載のアンドロイド(いやターミネーター2のあれ的な何か?)を持たせますが、いつしかそのアンドロイドとやましいことを。。
的なお話なのですが、ちゃんと展開がありラスト、少し割り切れないところもありつつしっとりしたお話になっていました。

他に、美人すぎてそれを嫌がっている高校生のお話や、死ぬことのない妖精との恋のような短編あり。
こちらは、ラストまでのお話運びが今ひとつ荒削りで盛り上がりに欠けました。
なんとなく雰囲気だけで終わってしまった印象。

0

表題作が神以上!泣いた~!

3つの短編が収録された一冊。表題作とその描き下ろしは後半です。前半2作はさらっと読んで(これも良かったんだけど、表題作がさらに良すぎて…!)本題へ。
表題作は惑星に単身赴任中のシンが主人公。思い人であるルキヤが作ったAIキューブと共に生活しています。穏やかで背徳的な二人?の日々が描かれてから、明かされる衝撃の真実。
ハッキリとは描かれていませんが、シンとルキヤは付き合っていたわけでも、気持ちを伝え合っていたわけでもなさそうです。なのに家族もいないシンが危機的状況のさ中に戻ってこないようにと、伝えるタイミングを遅らせたルキヤ。両片思いと分かってたけど曖昧な関係のままだったのかな、と思うとより一層この結末が切ないです。
描き下ろしで、魂って何かな…とちょっと考えてしまいました。

4

いたましくいとおしい物語

表紙に惹かれて購入しました。長編小説を読みきったような満足感を味わいたい方は、絶対に読むべきです。
3つのお話はそれぞれカラーが違い、どれもとても素敵です。
表題の「果ての荒野でバカンスを」は、まさかの衝撃の展開に、切なくてさみしくて胸がいっぱいになりました。お話はもちろん、絵も素敵で、涙を流している時の表情がグッと胸にせまる衝動をはらんでいて、ものすごく心が動きます。
何度でも読み返したくなる本です。

4

表題作はネタバレ見ないでぜひ!

切なくて、何度か読まないと自分にはよく理解できないのかもしれない。

蛙の王子様
主人公が病んでいて気の毒です。美しさは生きづらさになりえますよね。
着ぐるみバイトだけが自分の容姿に関係なくみんなから好意を寄せられて、笑顔を向けられて。

そしてクラスの隣の席の変わり者博士くん。
彼だけは自分を美しいとは思わない。
彼だけは普通に付き合える。皆が知らない彼の面白いところ、可愛いところを自分だけが知っていて良かった。

ところが彼に告白されそうになって逃げるも、彼の告白は…。良かったです。

ふたりぼっちのエバーアフター
切ない呪い。愛し合ってるなら何度生まれ変わっても愛するよって。最後はどうなったのかな。

果ての荒野でバカンスを
なんてこった!な種明かし?で。切なくて寂しくて愛していて。これはネタバレを見ないで読んだ方がいいでしょう。

1

切なさに胸がギュッとした

表題作と他2作収録。
どの作品も切なさがあり驚きがあり…
グイグイとこちらの気持ちを引っ張っていくようなお話ばかりで「圧倒的世界観」の帯通りでした。


表題作は惑星開拓のため、
自分以外誰もいない地で独り"単身赴任"しているシンと
地球にいる技術者ルキヤのお話。
まさかのエンディングに切なくて涙しました。
技術の進んだ世界。自分の肉体以外のすべてをAIに託せるとしたら…
ルキヤは真実を伝えるよりそれを選んだわけですが
その時知っていたらシンはやっぱり、一緒に死ぬことを選んだんだろうな。
そんな行動をとらせないために。
愛する人に生きていてもらうために。
何でもないふりで最期を迎えたルキヤのことを思うと本当に泣けました。
シンの誕生日に流した涙の意味が切なくて悲しかった。
そして真実を知ったシンの絶望の表情…
見るのが苦しすぎました。

ハピエンと言っていいんでしょうかね、これは。
一言で片付けたくない、そういう括り以外の表現をしたい、という気持ちになる作品でした。

4

文句なしの一冊

基本短編集に神評価を付けるほど好きになることがないのですがこれは文句なしの神評価です。本当にすごい。読み手を話に引き込む天才です。

3つのストーリーが収録されています。
2人ぼっちのエバーアフターは人間×人外のファンタジー。カエルの王子様は人間に興味がない男の子×自分の見た目が嫌いな顔の美しい男の子の話。表題作の果ての荒野でバカンスをは地球に好きな男を残して宇宙に単身赴任に出た男×地球に残っている友人の話です。
どの話も一番が選べないほど素晴らしいストーリーでしたが、選ぶとしたらやはり表題作の果ての荒野でバカンスをでしょうか。読み終えた後は、人間はここまで人を好きになることができるんだなと胸がいっぱいになってしまいしばらく動けずにじっとしていました。短編なのに一本の映画を観た後のような読後感です。
短編集を普段あまり買わない方もこれは是非読んで欲しいです‪。

5

寂しい自分に与えられる愛

◆ふたりぼっちのエバーアフター
 森の魔物と人間という組み合わせが斬新でした。と言っても、魔物のマグノリアの見た目は完全に人間なので、人外っぽさはそれほど感じません。赤ん坊の頃から彼にどうしようもなく惹かれたエーミルの葛藤、本来一緒になれるはずもないのに不思議な縁で人間に懐かれ好意を寄せられたマグノリアの葛藤が、短い中でも激しさを持って描き出されていました。2人のこれからに想像が膨らみます。

◆蛙の王子様
 高校生同士なので、ファンタジー作品である他の2作とは雰囲気が変わります。自分の美し過ぎる顔が嫌いだという西野。一見贅沢な悩みにも見えますが、何をしようとどんな気持ちでいようと、常に顔でしか判断されないというのは確かに苦しいことなのかもしれません。他人の評価など一切気にしない一匹狼の飯田と心を通わせる彼が、最後は救われたようで良かったです。『美女と野獣』の野獣は、西野自身でもあったのですね。

◆果ての荒野でバカンスを(表題作)
 淡々としていたけれど、じわじわと心に沁み込んでくるような作品でした。惑星開拓任務って、すごく孤独で忍耐を要する仕事ですよね。でも近い将来、似たような仕事が生まれそうな気もします。惑星で1人任務に就くシンには、地球の本当の情報が届かなくて。帰還の直前に、衝撃の真実を知る。キューブを作り上げたのがルキヤで、彼が己の魂をそこに注いだというのなら、キューブは彼なんでしょう。でも、たとえすぐ一緒に死ぬことになっても、地球にいたルキヤに想いを告げられなかったことは、シンの心に残り続けるんだろうなぁと思うと、とても切なくなりました。

2

赤河左岸さんにしか描けない世界観

すごく世界観が確立した作品で、SFBLのなかでは頭一つ抜けていると思います。

SFもの自体ほぼ触れたことがありませんでしたが自分があまりハマれないことが分かりました

絵がとても綺麗で表紙からもアーティスティックさを感じます!

3話の短編集で異世界風なファンタジーものから現代特有なコンプレックスを描いたものまで幅広く考えさせられるものが多いです。

わたしは表紙にもなっている最後のお話の
「果ての荒野でバカンスを」がとてもすきでした。

難しく不思議な話もありますが全てうるっとくるお話です。

2

表題作は涙無しには読めない

三つのお話の短編集です。
それぞれに違った魅力があって、作者さんの才能が垣間見られます。

中でもやはり表題作「果ての荒野でバカンスを」は最高ですね。
せつなくて綺麗なお話です。
ハッピーエンドととらえたい気持ちが強いけど、やっぱり悲しくていつも泣いてしまいます。
二人っきりの世界は幸せに満ちていると信じたい。
いつまでもバカンスが続けばいいのに…。

1話めの「ふたりぼっちのエバーアフター」もファンタジーで切ないお話です。
自分を拾った美しい魔物に恋をするお話。
こういう発想を漫画にできる作家さんてすごいなぁと思います。しかも短編できれいにまとまっています。

2話めは可愛くてほっこりするお話です。
自分の顔にトラウマを持つ美少年と生物オタク同級生の恋です。
シーモア限定の書き下ろしで、着ぐるみを着たままデートしてるのがめっちゃ可愛くて癒されます。

6

切なすぎるハッピーエンド

こんなに泣いたBLは初めて。

シンプルだけど綺麗な絵と儚いストーリーが最高に合っていて
すぐに世界観に没入できました。
言いたい事は沢山ありますが、感想とか必要ない。ですよね?
この作品の良さは、読めば分かるはず。

「魂だけでは不足かい?」

何て切なすぎる名言…。
この一言だけでも作品の世界観が表現されていて涙が止まらない。

表題作は勿論名作ですが、どの作品も
ハッとさせられる展開があるので、とても読み応えがあります。
各話短いながらも星新一のような濃密さを感じました。

今作、私はある意味ハッピーエンドだと思いました。
肉体は無くても魂で繋がっている。
魂で想いあっているなんて、切なすぎる純愛だな…と。

将来大切な人を失った時、魂だけでも繋がっていたい…。
記憶は褪せていくけど、魂で繋がって居られるなら忘れる事も忘れられる事もない。

きっと、ルキヤも離れている間も自分を想っていて欲しい。
忘れないで欲しいから、自分のAIを託したんでしょうね。
ただ、残された者にとっては残酷な事で…
そこが、ハッピーエンドな筈なのに先が見えない絶望感が漂う終わり方になっているのかな…と感じました。

9

そうか・・「いつか言おう」と思うなら今言おう

「羽化(メタモル)」を書いた人の作品。SFものの短編が上手です。
「果ての荒野でバカンスを」この作品を読んだら、きっと泣きます。この作品が巻頭になって居たら、他の二作はかすんでしまう。

三年間の単身赴任がそろそろ終わるシン、恋人のルキヤと帰還後のバカンスの予定を話し合う。帰還まであと3週間。帰還日はシンの誕生日。
「一緒にバカンスでも行かないか 三年間誰も居ない所にとばされたんだ」 
しばらく目を見張るルキヤ 「イイネ 行こう」 「永いバカンスに」
一人ぼっちが寂しくて、ルキヤがプログラムしたAIに、ルキヤの擬態をさせて紛らわすシン。
昨年のシンの誕生日、なぜか泣いていたルキヤ。

地球へ帰還する三回目のシンの誕生日、プリセットされたメッセージが「帰還不能」を告げる。
帯の「365日前の きみに会えたら」の意味は、ソレ。「浦島太郎」の宇宙版です。故郷星は消えていた。

地球の生物壊滅を知った日、たった一人残ったシンはアダムになるのでしょうか。
でも、ルキヤはそれを望んだみたい。 ・・惨い愛をルキヤが押し付ける形になったのは、話し合うことができない状況だったから。

「魂だけでは不足かい」 ルキヤの情報を詰めたキューブ=魂。
・・それは無理。AIは記憶の統合体、マトリックスのホログラムでしかない。・・実態があるから、仮想の映像に満足できるし、どこかで生きていると思うから、成長も変化もない擬態に慰めを得られるけれど、生物は、毎日成長と老化と記憶の蓄積によって、変化が生じます。
ホントのルキヤの代わりには、何時かなり得なくなる。

諦めるしかないし、受け入れるしかないなんて・・・でも、それがルキヤができる精一杯だったと知ると、悲しみが深くなる。
それが、表紙のちぐはぐな絵に示されています。宇宙服のシンと平服のルキヤ。そのルキヤは生物ではないから。

讀みすすむと、もっと泣けます。ルキヤが語る沢山の「・・したかった、でも、ダメだった。」 色々したけど、だめだったの。
シンの死後も幻影のルキヤはきっと残ります・・生物がまた発生するなら、ルキヤは宗教の「神」的な存在に変遷するのかもしれない。ルキヤの擬態は、シンが消えた後もシンを愛し続ける。

また惑星衝突がニュースになっていますので、絵空事ではない内容です。読後の余韻が覚めず泣きながら書く私、家族が呆れています。乱文スミマセン。

もし私が逃げようない天災に遭遇したら、車椅子の家族の手を握り、タイタニック号で船と一緒に沈んだ親子のように、歌いながら運命を受け止めると思います。
独りで最期を迎えただろうルキヤの「一緒に歌いたかった」の言葉がとても沁みて響きます。


★学んだ事
「いつか言おう」と思うなら、今言わないとダメ。今日と変わらない明日が必ず訪れるとは誰も確証されていない。

10

なんて寂しい話…

レビューでの皆様の絶賛を読み、購入。
3作品収録の短編集。

「ふたりぼっちのエバーアフター」
おとぎ話…ふわふわ可愛いお伽話ではなく、呪いと禁忌。
xxしたらxxになるよ…
そんなイメージに、永遠の囚われが描かれる物語。
「囚われ」「呪い」はこの後2人にとっての「happily ever after…」、共に過ごす老いと死こそが幸せになるのでしょうね。

「蛙の王子様」
美形すぎるがゆえの悩みを抱える少年。
誰も彼も自分の顔ばかり、誰かが自分に好意を持ったら吐く!吐く!吐く!
そんな西野の隣の席の飯田は、虫ばかり見て西野に全く興味を示さない。だから西野は飯田が好きになる。だけど…
絶対僕を好きにならないで…!
…というひねりすぎBL。
恐竜の骨や美しい希少昆虫の標本…それらを共有してくれた、という点で飯田は西野を好きになったんだろう、ならもっと詳しい人がいたらそっちにいっちゃったりして、なんて思っちゃいました…

「果ての荒野でバカンスを」
なんて寂しい話。
サッドエンド。
「エンドロール」にてシンの赴任が決まったのは、元々の候補に子供ができたから、とありましたね…ならばその候補者も今は家族もろとも地球で死んでいる…ルキヤは、シンには帰ってきて自分と一緒に死ぬよりも生きていて欲しかった。
シンの本当の孤独はこれから始まる。深い深い愛はどこかエゴイスティックで怖い。

3

よすぎて神

これはもうものすごおおおっくよかったです。
神神神。神でしかない。
表題作がもう。ね。
2020ねんNo.1作品に出会ってしまいましたわ。
それどころじゃない
めちゃくちゃ上手い作家さんです。
自分の大好きな大事な本に加えました。
短編集で3つお話が入っていますが
すごい濃いいです。
どれも完成度高いけどとりわけ表題作が
もうもうせつなさ大爆発で、、
感じとしては山中ヒコ先生の名作
500年の営みみたいなかんじのSFモノとでもいいましょうか
いや傑作。
帯の圧倒的世界観ってほんとです。
レビューみて名作の予感でしたし
表紙デザインもめっちゃきれいでかわいかったので
紙本で読みましたが読んで帯の意味がわかりました。
帯までせつないやらいとしいやら
ネタバレみてなくてよかった。。
シンの思いの話ではなくて
ルキアの思いの話だったんですね、、
愛しているから魂をとばした。
魂だけじゃ不足かい、、
涙腺崩壊しました。
レビュー書いてても無理
読んだらもうタイトルもよくできてて
はあ
最高です。
書き下ろしのエンドロールも含めて
せつなすぎました。
余韻すごい。
ちるちる大賞に推す作品決定。
赤河先生作家買いします。

9

凄い作品を読んだ

すごい読み切り集。魅力しかない。
カバーイラストに惹かれて手に取り、読み始めると魔法にかかったような気持ちになる。
言葉が出ないほど美しく、素敵な世界観が広がります。
これはぜひ1度読んでいただきたい作品集かも。
特に1作目と3作目が好みでした。

◯ふたりぼっちのエバーアフター
何者かの死に際から始まる物語。
ある日、少年エーミルは不思議な夢を見る。
いつからか共に暮らしている、育て親のような、家族のような、愛してやまない"マグノリア"が誰かに抱かれていて、言葉に出来ない感情でいっぱいになる。
そんな夢を少年時代から青年になる今でもずっと見続けていて…

御伽噺のような世界観がたまらない1作です。
この作品のテーマは「愛し続ける」ではないでしょうか。
愛とはある種、呪いにも似たもの。
愛し続けるという世界で1番幸福で、あまりにも一途で、時に切なく、くるおしくもある甘く苦い呪い。
一途に愛する気持ちの表現や、何度でも愛し愛される者の描き方が素晴らしい。
種族の垣根をこえて愛し合った者同士の宿命ともいうべき寿命の差という垣根。
気が遠くなるほどの長い年月をかけて、文字通り愛を貫き乗り越えた2人が辿り着いた先にあるものは。
55Pの水面に反転する2人の絵が大好きです。

◯蛙の王子様
"美しさ"というのは目に見えるものだけなのでしょうか?
自身の外見の美しさに苦悩する少年のお話。
作中に美女と野獣について描かれていますが、私も野獣が人間の王子に戻ってしまった時がっかりしてしまったんです。
「野獣だから良かったのに」「野獣のままではだめだったのかな」なんて思ってしまっていた。
けれど、この作品を読んで少し印象が変化したかもしれません。
うーん、上手く言葉が出ないのですが、この作品は逆・美女と野獣という感じなのかな。
飯田にとって西野の顔なんてものは入れ物でしかないのでしょう。
西野も飯田も、相手の素の部分やちょっとした表情に心惹かれてから、初めて"西野" "飯田"というその人を縁取るものを意識したというか。
化学博物館を絡めた、一風変わったアプローチの学生ものでした。

◯果ての荒野でバカンスを
3作の中で1番強烈な印象が残る作品でした。
どうしたらこんなに素敵なお話が思いつくのでしょうか。
コマ割と余白、そして何もない荒野を含めた引きの画が1人である孤独や距離を更に感じさせるものになっているからなのかも。
地球から遥か彼方、惑星開拓の任務についているシンの宇宙・他惑星での生活を描いたSFのような世界観の作品ですね。
この作品の何がすごいって、私は読みながら勝手に遠距離恋愛をしている恋人同士のお話だと思っていたんです。
しかしながら、読後によくよく読んでみるとどこにも恋人だなんて一言も書いていない。
愛情を持っているのは伝わるものの、2人とも相手に対して一言もそんな事は伝えていないのです。
ここになんとも言えない味わい深さと切なさを感じてしまって。
想いも真実も伝え合わないまま離れた2人が、宇宙の果てにある惑星ですべてを知る。
どのような展開になろうとも、その後の2人が少しでも幸せなものである事を願わずにはいられません。

読後にカバーイラストをもう1度見ては、絶妙な色使いと構図、そして愛おしげにダンスを踊る2人の姿が美しくてため息が出てしまう。
初めにカバーイラストに惹かれて手に取ったと書きましたが、思わず手に取ったのは間違いではなかったなと。
この1枚に切なさも幸せも詰まっています。
紙媒体購入された方はカバー下、そして帯の返し部分までぜひ見ていただきたい。
カバーにはENDの文字がないのに、カバー下にはTHE ENDの文字があるんですよ…この演出はにくい。
デザイナーさんのお仕事が素晴らしいです。

どの作品にも独創的なセンスが光る宝石箱のような1冊でした。
決して多くは語られていないからか、読後の心地良い余韻が抜けず、本当にどの作品も50P前後の読み切りなのだろうか…?と思ってしまうほど完成度が高いです。
宝物のような1冊となりました。

9

不思議で魅力的な世界観に圧倒されます

初めて読んだ赤河左岸先生の作品です。
こちらは、表題作の他に2作品が同時収録されています。
『ふたりぼっちのエバーアフター』『蛙の王子様』
表題作『果ての荒野でバカンスを』は最後に収録されています。

同時収録『ふたりぼっちのエバーアフター』
森の奥に住む魔物 マグノリアと少年 エーミルのお話。

幼いエミールは一緒に暮らすマグノリアを家族として大切に想っていました。
エミールが子供から少年になり、青年になり、そして大人になって、マグノリアと結ばれた時にある真実を知ります。
それは、自分自身にかけた呪いでした。
愛し続ける…何度でも。
儚く美しい2人の愛が「おなじ命」になれたとき、ようやく最期まで一緒にいられるのです。

同時収録『蛙の王子様』
虫好きの高校生 飯田と美形の同級生 西野のお話。

奇跡的なバランスで生まれてきてしまった美人の西野くん。
美人過ぎる故の弊害のため、自分の顔にコンプレックスを抱いています。
ある日、バイト中の西野くんは隣の席の飯田くんと会いました。
「自分の外見ばかりで中身を見てくれない」
そんな西野くんに飯田くんが言った言葉は?
獣でも人間でもどちらでもかまわない…。
外見ではなく相手の本質を好きになる。
それは当たり前のようで案外難しいのかも知れません。

『果ての荒野でバカンスを』
民間宇宙飛行士のシンと研究所技術者のルキヤのお話。

新たな惑星開拓の任務のため3年間も単身赴任しているシン。
毎日、通信で技術者のルキヤと会話していました。
プライベートではルキヤが制作した人口AIの「キューブ」と一夜を共にしています。
「キューブ」には生体ロボットの機能があり、シンはキューブをルキヤの姿にスキャンさせていました。
1年前のシンの誕生日。
モニター越しのルキヤは「ハッピーバースデー」を歌いながら泣いていました。
なぜ、ルキヤは泣いたのか?
シンはずっと不思議に思っていました。
とうとう今年のシンの誕生日がやってきました。
それはシンが帰還する日でもありましたが…。

あまりの衝撃にしばらく動けませんでした。
そして、表紙のイラストとタイトル、帯の意味を理解して涙が流れました。
シンを愛するルキヤの想いが、あまりにも切なくて悲しい…。
愛し続けることの難しさと尊さを感じられる作品だと思います。
ぜひネタバレなしでご覧ください。

描き下ろし『エンドロール』
『果ての荒野でバカンスを』のシンがまだ地球にいる頃のお話。
惑星に単身赴任が決まったシンにプロポーズすれば良かったと後悔するルキヤ。
この描き下ろしを読んだら、もっと涙が溢れました…。

どの作品も不思議で魅力的な世界観に惹き込まれます。
赤河左岸先生は絵が丁寧で表現力も豊なので、エロはほとんどありませんが満足感が高いと思いました。
表題作の『果ての荒野でバカンスを』は、人によって受け止め方が異なると思います。
個人的には、もう一方のエンディングでアナザーストーリーを残して欲しかった(泣)

何度も読み返すほど心の奥に沁みる1冊です。

5

ネタバレなしで読んでほしい。

表紙を見て、
お、珍し!SFでBLだー。 
と軽い気持ちで読みはじめたのですが、最後までのめり込んで読んでしまいました。
誰かに紹介したくてレビューを書こうと思ったのに、私みたいにまずはネタバレなしで読んでほしくて、うまくレビューが書けなくて悔しい!!!でもこの良さ伝われ!

「ふたりぼっちのエバーアフター」
美青年とこどものBLおとぎ話。この二人の関係は何?と思っていたら、深い愛情が最後に詰まっていて…最後のセリフが胸にせまります。

「蛙の王子様」
タイトルに?となってあらすじの『蛙化現象』調べました!美しすぎる顔にコンプレックスを持った青年の物語。
博物館?の雰囲気とか学校の空気感とか二人を取り巻く世界観も含めて最高。

「果ての荒野でバカンスを」
表題作はもうただただ読んでほしい。
描き下ろしも通して切なくて…だけど幸せで。

いろんな受け取り方があると思う。
私は読めてよかったです。

10

表紙買いしたいBL入選作

ちるちるさんの『表紙買いしたいBL』に入選されていてそのコメントですごく気になって購入しました。

読んだ方の心に1番残ったセリフがなんだったかすごく知りたいです。
私は
“魂だけでは不足かい”
が読後、心にへばりついて取れません。

地球と宇宙、離れ離れの恋人(?)たちの話はもしかしたら世の中には数あれど、ありきたりな物語と感じないのはこういうセリフ選びの秀逸さがあるからだと思います。

3編とも作者さんのそういう天性のセンスを感じずにいられませんでした。こんな宝物みたいな一冊に出会えて本当に幸せです。

それとカバーをはずして広げた時さらにこの本の世界観完璧だな…と感じます。上に見える表面だけでなくカバー全体すみずみまで世界を逃さないような本なかなかないです。
ぜひ読んだ方カバー外してみてください!
まさに表紙買いしたいBLでした。

11

泣くほど好き

ちるちるの新刊作家インタビューで気になったので予約して購入。
案の定というか、想定通りに、絶対泣くヤツだった。
元々、この手の、越えられない時間を扱ったファンタジーとかSFが好きで、好きで、
「ふたりぼっちのエバーアフター」で既にウルウル、
「蛙の王子様」のきれいなお顔の高校生くんのかわいいお話でちょっと一息ついて、
表題作の「果ての荒野でバカンスを」で涙腺決壊。
この、3作品の並べ方もよかった。
絵もきれいで好みのタイプ。

昔、ハヤカワのSF小説やファンタジーが大好きで、いろいろ読み漁っていた頃を思い出す、私好みの大絶賛の神!

14

SFが好きだ

ファンタジー、高校生、SF作品が一冊に纏まっていながら空気感が壊れていないのは、きっと先生の中に表現したい確かなものがあるからなんでしょうね。

表題作が圧倒的に好きでした。これを表題にして、かつ最後に持ってきてくれたことが嬉しいです。
タイトル、表紙共に素晴らしい。
この先はバカンスで、更に先を考えてしまうのはヤボというものでしょうか。シンがいつか死ぬときに、ルキヤは残されてしまうのか。あるいは、ルキヤが先に壊れてしまうのか。もっと色々と想像できますが、やっぱりこれはヤボってもんですね。

一方でこれらが男性同士の恋愛である必要性はなく、男女であってもよければ、女性同士でもよいし、むしろ地球人でなくたっていいような作品でもありました。そういう意味で先生はBLレーベルから作品を出す必要はないのかもしれないし、BLだからこそ単行本が出て、購入されるようなこともあるのかも知れない。しばらくしたら一般レーベルから作品を出していそうな気もする。

11

切なくても美しくて優しい物語集。

ピンク色の空。
ライムグリーン色の大地。
ダンスを踊っているかのような
宇宙服の彼と軽装の彼。

この表紙と帯にある
『圧倒的世界観』の文字にて購入。

はじめましての作家さまでしたが…
思い出すだけで胸が熱くなる作品集。

・転生を繰り返す人間の青年×森の奥に住む魔物
・動物だけが好きな飯田くん×自分の美しいと称される顔が大嫌いな西野くん
・惑星開拓任務中のシン×地球にいる技術者で友人のルキヤ

素晴らしい画力とお話の構成力とセンスのある台詞。
それぞれのバランスが絶妙で、けして明るくない話なのに読後が爽やかなのがすごい。表題作の『果ての荒野で~』は泣ける。

10

沁み渡るのだけど。

新刊チェックをしていた時、表紙とタイトルが気になったのですが、帯などで何となく察しました。
というわけでネタバレには配慮していません。
どういう物語か最後まで知りたい、それから読むかどうか決めたい時ってありませんか。そんな方向けです。

すでに地球がないであろうことは容易に想像できるので、単純な「結果」としては読む前以上の情報はなく、【3年の間地球に帰る日を夢見ていたシンが、いざ帰れると思ったその日、地球もなくルキヤもすでにこの世にはないことを知る】という思っていた通りの物語でした。

シンを送り出したルキヤの切ない想い。その後、地球がなくなってしまうという事実を前に、飛び出していきたい気持ちを抱えて業務に向き合い続けた日々。
「(シンの星へ行く)乗船券すらもらえなかった」と語る言葉とともに描かれる、迫りくる隕石を見上げるルキヤ。
シンの誕生日に涙を流したその想いはいかほどであったでしょうか。

一部の人間だけが乗れた宇宙船、ルキヤは地球を出てシンのもとへ行くことが可能で、その意志もあったのにできなかったというのがやるせない。
何かが違えばという可能性があったと示唆されていることがより悲しみを増幅させます。

それでもキューブに自身を託した。シンのもとに行く方こそを本当の自分だとして。
そんなキューブの「ハッピーバースデイ」と祝う言葉を「どうでもいい機能」と言い放ち、キューブとの日々で寂しさが癒えていったはずなのに、常に「お前じゃない」というシンの態度が、わかっていながらもルキヤを傷つけていた気がしてしまいます。
たった一人で惑星の開発を続けるシンの孤独、そしてたった一人で真実に向き合わなければならないのもまた残酷で、シンを憎む気にはもちろんなれず、行き場のない思いが浮かびます。

これからのバカンスが二人にとってどのようなものになるのかわかりません。
シンが人としての寿命を終える時は来るでしょうから、それまで魂のルキヤと幸せな気持ちで過ごすのか、個体としての孤独に絶望することはあるのか。

それにルキヤが死んでしまった事実は変わらない。シンはある意味ルキヤとこれからを過ごせるけど、ルキヤはそうではない。死んで終わったはず。
死したルキヤの魂がキューブに宿るのだと捉えればまた見方も変わるのですが、その発想はナンセンスかなと。

私は彼らではなく読者ですから、見てるだけしかできない立場としてはシンの孤独、ルキヤの覚悟に、どうしてもとめどなく悲しい気持ちが溢れてきます。

7

世に広まるべき名作BLです。

表紙に惹かれたなら間違いなく買いです!
もちろんそうでない人にも推していきたい。

この見るからに素敵な表紙、しかし読み終えこの表紙が訴えかけてくるものに気づいた時より一層この本が好きになる事でしょう。
ここまでの世界観を表紙一枚の絵に落とし込める稀有な作家さんだと感服致しました。

次に全体の印象。
読みきり3編からなる読み切り集です。私は漫画を描く人間ではないので漫画の上手い下手には正直鈍感ですが、グッと引き込まれるコマ割りやセリフ回しで漫画の世界にどんどん浸れます。また読み切りで連載作に比べればページ数は少ないはずなのにしっかりお話として完結しており過不足がないのでこの一冊で大満足です。
もし続編があったら逆に手に取るのを躊躇してしまうのではないかと思います。名作の蛇足になって欲しくない感覚と言いましょうか。
この続きに思いを馳せるのも読者の楽しみというものでしょう。その余白もまた気持ちいい。


ここで先に特典ペーパー情報書いときます。
・電子→果ての荒野でバカンスを
・シーモア→蛙の王子様
・コミコミ→ふたりぼっちエバーアフター
・アニメイト →果ての荒野でバカンスを

このようになってます。どれも1ページですがさらに物語に深みを与えてくれるものばかりで読めてよかったと心から思いました。なので好き作品の特典がもらえるところでぜひ読んでください。


ここからネタバレレビュー。好きな二編について語ります(蛙の王子様も素敵ですが長くなるので泣く泣く割愛)。

特に表題作はネタバレなしで読んで欲しいので未読の方はバックを。



・ふたりぼっちのエバーアフター
多分皆さんと好きポイントが一緒なのではないかと思いますが…

『やっと同じ命になれた』
『君が老いて死ぬところが見たい』

ここです。最高ですね。命ある生き物、皆死ぬために生きている。生と死の対比があるからこそ限りある命が輝くというもの。異種間BLは寿命の違いなども重要な萌えポイントですが私的には共に命を消費して生きるCPが好きですね。

・果ての荒野でバカンスを
これは2度読んで楽しめるBLです。このようなお話ってどこかでラストが予想できてしまうのですが、これは恋心を巧みに匂わせることによってラストの衝撃を新鮮なものにしています。ずっと生身のルキヤに恋い焦がれていたシンにとっては一番残酷でしょう。

「魂だけでは不足かい」
地球滅亡の日、最後に望んだのがパッピーバースデーを歌うこと、
「この星が焼かれたあと 光になって それよりも速く 僕は君の元にいる」
「見えるよ シン」

どれも私の心に深く突き刺さり抜けません。よかったちゃんと魂は届いていた。映し出されているキューブとしてのルキヤが生身の肉体でなくても、本物のルキアでなくても魂さえあれば…シンを一人にしなけば、悲しいけれど、涙が止まらないけれど、それだけで大丈夫です。私も救われました。AI技術が今の世界の何十倍も発展していて、これからもシンを一人にしませんように、それだけ願っています。
二人きりのバカンスを、夜が長くて昼が短いあの星で楽しんで、そう2人に伝えたいです。

書き下ろしのタイトルが「エンドロール」なのも素敵ですね。映画の幕が降り、真っ暗な中数秒の静寂と共に余韻に浸るあの瞬間を体験しているようでした。

私はこの本の表紙を見た時にノスタルジックで素敵だな〜と思ったんですが、読み終えるといかがでしょう?ノスタルジック、郷愁…まさにその通りではないでしょうか。

14

どの作品も素晴らしかった!

この短編集、切な過ぎるよ(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
でもいいよ、とってもいい。
3作品収録の短編集なのですが、その全てが切なくて泣いた。
どの作品もそれぞれ良くて、短編にありがちな物足りなさを感じさせないところが素晴らしかった。
何といっても表紙がいいですよね。これは買っちゃうよ。

【ふたりぼっちのエバーアフター】
森の奥に住むマグノリアと少年・エーミル。
少年はいつしか成長し、マグノリアを性の対象として見るようになります。
そんな自分に絶望するエーミルをマグノリアは静かに受け入れーー…

おとぎ話BLです。
世界観、そして一途な愛が美しい作品。
伏線が至る所に張り巡らされ、マグノリアの真実を知った時には納得すると同時に切なくて涙がこぼれました。
愛するからこそ続く幸福と迎える絶望。
愛した人に永遠に愛されたいと望むことは、身勝手な呪いなのでしょうかね……

「君が老いて死ぬところが見たい」という台詞。
どちらがどちらに言ったのか確かめて欲しい。
ラストまで美しくて幻想的です。

【蛙の王子様】
美し過ぎる容姿のため中身を評価されない西野と、人に興味がなく虫に夢中な飯田。
この二人が人知れず交流していく、心温まる高校生BL。

美人過ぎることがコンプレックスの西野は、「君の顔を美しいとは思わない」という飯田に唯一心を許していきます。
西野のコンプレックスが想像より大きく、好意を向けられただけで吐いてしまうほど。
飯田にだけは好かれたくないと思う西野の気持ちに反して、好意を向けてくる飯田。
吐き気がこみ上げてくる西田に飯田が言った言葉とは……?

これがすごく良かった。
誰だって自分自身を見て欲しいもの。
野獣がイケメンに変わるから好きなんじゃないでしょ?
野獣のままでも好きでいてくれるよね?そんな気持ち。
これも最後泣いてしまいました。とても素敵な作品です。

【果ての荒野でバカンスを】
こちらが表題作で、表紙の二人です。
ネタバレなしで読んで欲しいので、サラッと書きます。
SFファンタジーBL。

惑星開拓のために単身赴任しているシンは、友人で片思い中のルキヤと毎晩交信しています。
一人きりの寂しさを紛らわしてくれる唯一の相手はAIのルキヤ。
長い任務を経て、ようやく地球に帰ろうとするシンにコンピューターが告げた事実とはーー…!?

切ない。切な過ぎるけど美しい。
押し寄せる悲しみ、絶望。
それすら払い除けるのは、相手を想う強い気持ち。
決して読後感は悪くないです。
表紙の印象を裏切らない世界観とラストが素敵でした。


とにかく、どのお話も心に響きました。
今まで読んだ短編集の中で一番好きです。
エロはほとんどありませんが、ストーリーが秀逸。


20

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