旅の道づれは名もなき竜

tabi no michizure wa namonaki ryu

旅の道づれは名もなき竜
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神44
  • 萌×220
  • 萌6
  • 中立1
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
16
得点
319
評価数
77
平均
4.2 / 5
神率
57.1%
著者
月東湊 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
テクノサマタ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
価格
¥650(税抜)  
ISBN
9784199009938

あらすじ

あいつに復讐ができるなら、たとえ死んでもかまわない。復讐だけが生きる理由だった青年が、竜との旅で見つけた大切なもの――

竜を捕らえ串刺しにしていた伝説の剣が、
500年ぶりに引き抜かれた!! 抜いたのは、
力自慢とは程遠い華奢な美青年・シルヴィエル。
「祖国を滅ぼした敵に、この剣で復讐するんだ」
決意と覚悟を胸に旅するシルヴィエルを、
剣から解放された竜が追いかけてきた!?
「俺はお前に興味がある。
暇潰しに復讐を手伝ってやる」
凶暴で人間を餌としか思っていないはずの竜が、
旅に同行すると言い出して…!?

表題作旅の道づれは名もなき竜

竜,伝説の剣に串刺しにされていたドラゴン
シルヴィエル=フロイエ,19歳,祖国を滅ぼされた青年

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数16

心に沁みる、感動のファンタジー

祖国を滅ぼされて復讐を誓う青年と、500年もの間、生き捕らえとなっていた竜。
二人が旅をする中で、大切なものを得て行くと言う、とても感動的で心に沁みる壮大なファンタジーでした。

もうこれ、ストーリーといいキャラといい、エピソードの数々といい、とにかくめっちゃいい話!
感動でボロボロ泣きましたよ~。
いや、単純に、復讐を果たして祖国を救ってってだけじゃなく、その裏に様々なドラマがあるのがいい。
孤独な魂が、救われるのがいい。
互いの存在で。

ちなみに、やれやれと油断した所でグッサリとやられる(かもしれない)ので、気を抜かれないよう、ご注意下さい。
嘘でしょーーー!しか出てこなかったですよ。
展開にも、攻めの真実にも。
いや、ストーリーとしては文句無しに面白いんですけど、ここでその隠し玉は勘弁してよってな感じで。
もうこの時点で二人に感情移入しまくりだから、早く幸せにしてやってよしか出てこないんですよね。
ストーリーとしての面白さそっちのけで。
ダメな読者だ。


内容です。
祖国を謎の黒い霧「黒影」に滅ぼされ、復讐を誓うシルヴィエル。
500年もの間、最後の一匹と言われる竜を串刺しにしていた伝説の剣を引き抜き、復讐の旅に出るんですね。
しかし、剣から解放された竜が、何故か追いかけて来てー・・・と言うものです。

まずこちら、序盤ですが、頑なに復讐を誓うシルヴィエルと、そんな彼を「暇だから」と追いかけて来た竜が、共に旅を始めると言うほのぼのな展開。

えーと、シルヴィエルですが、元々精霊が見え、国の救い子と可愛がられた人物なんですよ。
それが国を黒影に襲われ、自分一人だけ生き残ってしまった・・・。
その事で強い罪悪感を抱えて、復讐する事のみを目標に生きてきたと言いますか。
真面目で不器用で、痛々しい受けなのです。

で、そんな彼に「暇だから」と調子良く付きまとい、飄々としているのに頼り甲斐のある竜。

これ、二人の関係性の変化と言うのが萌えるのです。
最初の軽い調子から、少しずつ少しずつ思いやり深い本心を晒して行く竜。
この旅のパートで、二人が徐々に徐々に心を通わせてゆく様が丁寧に綴られるんですね。
や、竜がシルヴィエルの復讐を手伝う理由に、シルヴィエルの心に隠した深い傷。
二人のバックボーンがしっかり語られる事によって、ストーリーに深みが出ると言いますか。
そうじゃなくとも、少しずつ育って行く淡い恋心に、萌えて萌えて仕方ないじゃないかよ!と。

と、二人は旅をする事で、大事なものを得て行くと言う心に沁みる展開の後、黒影との直接対決と怒涛の展開が訪れます。

これね、ハラハラドキドキと手に汗握らせてくれるんですよ。
互いに協力しあい、知恵と勇気で勝利を得ると言う、ファンタジー好きには堪らない展開。
めちゃくちゃ面白い。
とにかく面白い。

が、この作品の凄い所は、ここから隠し玉が出てくる所。
こちら、350P超えと大ボリュームなのです。
ここまで読んできて、やっと二人は幸せに!と、読者はすっかり油断すると思うのですよ。
それが、嘘でしょ!?しか出てこない、衝撃の展開。

これ、攻めの真実が分かった時に、とにかく悲しくて悲しくて仕方なかったんですよね。
彼は前向きに生きていける強いキャラだと思っていたけど、そんなワケないよなぁと。
竜だろうと人間だろうと、心に傷を負うし孤独を感じるよねと。

だからこそ、孤独を癒しあえて、互いの存在で幸せに出来る二人が出会えた事に、すごく感動しちゃうんですよ。
なんかもう、後半からはしょっちゅう涙腺に来ちゃう作品でして。

切なくて泣き、悲しくて泣き、感動して泣きてな具合で。

また、とても優しさが沁みる作品でもあるんですよね。
竜を育てた村人しかり、シルヴィエルを慈しんだ王族しかり。
えーと、語彙力が無いので、なんていい話だ~!しか出てこないんですけど。

まぁそんなワケで、とにかく素晴らしい作品だと思います。
二人が抱き締めあって笑顔を見せると言うラストにも、やたらジーンときちゃいましたよ

13

全部好き

全部好きだったので神にしました。ちょっと長かったけど、お話もキャラも好きじゃない所が無く、読後感も良くて、とても嬉しかったです。色っぽいシーンは少な目ですが竜や精霊等の出てくるファンタジーが大丈夫な方でしたら是非。本編350Pほど+あとがき。

広場の真ん中で背中を剣に刺されて「暇だ・・」とぼやく竜。578年もの間、そうやって、誰かが剣を抜いてくれるのではと待っています。ある日、強い意志を秘めた瞳を持つ、細っこい金髪の少年が、誰も抜けなかった剣を抜いて「この剣はもらっていく」と言い・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
ガブリン(竜のいる広場を掃除し竜の話相手も務めていた爺さん)、王子様、国王(フロイエ国王族)、ガラダ族の方々。でもほとんど二人だけで進むお話です。

++ 好きだったところ

攻めの竜。可愛い。とにかく可愛い。野に咲く花の群生を見つけたら「食べたい!」って駄々をこね始め、食べている間は超ご機嫌!最初シルヴィエルに「ついてくるな」と言われたら「えー」なんて言うちょっと軽めな、陽気な様子!可愛いなあと思っていたのですが、竜の最後の生き残りだし、かばってもらった村の人には迷惑かけたしと、辛い過去もあって長い間孤独を感じていたのだと思います。ふとしたことで泣いちゃって、あーっもう母性本能くすぐられまくり。

受けさんは受けさんで、とんでもなくツライ過去を持っていて、よくここまで耐え忍んで頑張ったよなあああ・・・と驚くメンタルの強さ。強いんです。守られるタイプというよりかは自ら前に出て闘う印象。(実際剣で切り刻んでいる)一人っきりでずっと頑張ってきたのを、竜と一緒に旅するうちに少しずつ竜に助けられて信頼していくようになって、竜の陽気さもあってか、表情をとりもどし・・・と嬉しい次第。

どうなる?というタイプのお話なので、ラブラブ度満点な甘い甘いお話というものではありませんが、ガブリン爺さんも国王、王妃夫妻も、王子様も本当に良い方々で涙しかありませんでした。最後は「本当に良かった・・」という思いでいっぱいです。

敵役として出てくるものについての謎解きという点は少し?でしたが、無器用っぽい二人の幸せそうな様子が読めて本当に嬉しかったです。ファンタジーが大丈夫な方でしたら、本当に是非是非是非!!!!テクノサマタ先生の手になるカラー口絵の竜だけでも確認してください。本当に可愛いんです・・・

10

攻めがとても可愛い!

序盤のからっとした明るい雰囲気と、終盤のハラハラする重たい決意が対照的でした。
受けのエルが最初はツンツンなのに、次第にデレが加わってきたかと思うと最後はツンはなりを潜めて可愛いったらないです。
月東先生もあとがきでおっしゃってましたが、テクノサマタ先生のイラストでも心を開いていくと表情がどんどん柔らかくなりほっこりしました。
しっかりとした長さがあるので、二人の気持ちが寄り添っていくことや、心を閉ざしていたエルが、徐々に竜を信じて柔らかくなっていくことが丁寧に描かれているので唐突に置いていかれることもなかったです。

そしてなんと言っても格好いい攻めの竜までもがめちゃくちゃ可愛い!
意地悪したり怖かったりしないで常に飄々と優しいんですが、竜になったときの食事というかお花パクーっが可愛くて、更に終盤全てを晒してエルと向き合ってからの竜の甘えたりがすごく良かったです。

9

いつか名前を呼びたい竜と一緒に旅を。

とってもハラハラドキドキの冒険ファンタジーでした。

 攻め様は578年間「英雄の剣」によって串刺しにされていた竜。
この最後の竜を封じた事で勇者は神となったそうなんだけど、どこに目をつけてたんだっ勇者を神にしたもっと上の神様Σ( ̄皿 ̄;;
と訴えたくなりました。

 受け様は、「英雄の剣」を抜いたシルヴィエル。
故郷フロイア国を滅ぼした「黒影」への敵討ちの為、英雄の剣を携えてフロイアへ向かう。

 自由になった竜は、シルヴィエルについてきて、一緒に旅をすることに。
不信感満載のシルヴィエルに対しても気にする事なく、竜は道中いつだって上機嫌。
竜だけど花喰いの竜なので、花には目がなくて、花を見つけたら「食べたい、食べたい」とちゃんと許可を取って嬉々として花を食べる竜はめっちゃかわいい。

 初めは頑なだったシルヴィエルだけど、旅をする中で、竜の気遣いや優しさ誠実さにふれて、少しずつ気持ちを許していく。

 2人は自分の昔話をするのだけど、どちらも自分の大事な人や仲間を理不尽に奪われていて。

 それでも、自分は花喰いの竜だから、と今目の前にある幸せを大事に生きていく、と穏やかに笑う竜が切なくてぎゅーってしたくなりました。
自分を自由にしてくれたシルヴィエルを助けたい、と励まして力を貸してくれる竜。

 2人で力を合わせて「黒影」を倒して、これでやっと、とホッとしたのもつかの間、驚愕の事態に!Σ(×_×;)!

えーっ乗り越えなきゃいけないこと、まだあったの!?
ハラハラさせられましたが、やっと2人がお互いに、相手に会えたから幸せになれた、と抱きしめあったシーンでは、よかったね〜と心からホッとしました。


 ストーリーとしてはとっても面白かったのですが、ちょっと残念だったのは、2人のえちシーン。
最初は、治療と称して致してたから甘さが足りない。
晴れて相思相愛になっての初めては思い出話だし、宿でのシーンは他の人を気にしながらの遠慮遠慮しいだったし。
竜は甘えたでかわいかったですけどね。

 これから2人、いろんな所へ旅をして、たくさんの幸せを抱えて生きていってね。
いつか竜の名前も呼べるといいね。


 イラストはテクノサマタ先生。
嬉しげに花を食べてる竜の口絵のイラストがとってもかわいくてかわいくて、うわぁって微笑ましくなりました。


5

ファンタジーをあまり読まない方にも

なんて優しくてあたたかいお話なんだろうか。
読み進めながら大好きになってしまったな。

350P超とやや厚みがあるのですが、月東湊先生の細やかでスッと馴染むような文章で丁寧に綴られていて読みやすいのです。
テクノサマタ先生のイラストも作品の雰囲気と良相性でした。
内容を含む詳しいレビューは他レビュアー様が書かれているので、未読の方向けにネタバレ無しのレビューを。

竜と、剣と、青年と、そして復讐と。
あらすじを読むと、手に汗握るような王道ファンタジーものなのかな?と思ってしまいそうですよね。
確かに手に汗握るシーンもあるのですが、それよりも優しさだったり、胸にジンと来るエピソードだったり、物語全体に穏やかで小さな幸せのようなものが沢山散りばめられているんです。
妖精や精霊は出て来ますが、全く難しい内容のお話ではないですし、登場人物の人数も多くありません。
BLもののファンタジーが初めての方でも本当に読みやすい作品だと思います。
そして、何よりもお話が面白い上に読後感がとても良くて。
これはね、ファンタジー好きの方には勿論おすすめなのですが、普段ファンタジーを読まれない方にもおすすめ出来る…というよりも、ぜひ多くの方に読んで頂きたくなるような1作かも。

はるか昔、勇者の手によって「伝説の剣」に串刺しにされ、同じ場所から動けずに長い時を生きながらえていた竜と、かつて祖国を滅ぼしたものに復讐をするために「伝説の剣」を手に入れようと竜の元へ訪れた青年・シルヴィエル。
と、あらすじの通り、500年ぶりに伝説の剣を抜いた青年と伝説の剣に囚われていた竜が出逢い、共に旅をするお話です。
旅をしながら、シルヴィエルが復讐をしたい相手についてや、竜が長年囚われていた理由が判明していきます。

繰り返しになりますが、本当にあたたかくて優しいお話なのです。
王道のファンタジーでありながら、決して単純ではなく、中弛みのない展開で読者を飽きさせず、それでいて行動を共にする2人の心の距離や関係が変化していく様子が丁寧に描かれている。
雰囲気的には大人向けの児童書のBL版といった感じかな。
とにかく、お話もキャラクターもすごく魅力的なんですよ。
細かなエピソードによって、読んでいる内に登場人物達のことがどんどん愛おしくなっていくような感覚というのでしょうか。
竜と人間の組み合わせではありますが、きちんとBL小説らしさもあります。
カバーイラストを見ると、このファンタジー全開のイメージからどうやってBLに持っていくの?という感じもあるかと思います。
けれど、そちらも無理のない自然な流れで描かれていますので、まずは流れるままにお話に身を任せて読んで頂きたいな。
全体的にバランス良く描かれているのがお見事なのです。
なんだか難しいことは言えませんね。
多くの方に読んで欲しいです。

読後は心穏やかな気持ちでいっぱいになり、この作品を読めた事に嬉しくなる。
良いお話を読んだなあと思える、そんな素敵な作品でした。
日常に癒しが欲しい方や、優しいお話が読みたい方におすすめの1冊です。

4

剣に込めた受様の悲願と自由を得た攻様の秘めた望み

今回は英雄の剣で広場から動けない竜と復讐を誓う青年騎士のお話です。

故国の復讐のために生きる受様が攻様の助力を得て念願を果たすまで

とある大国の山の麓には龍の町と呼ばれる町があります。その町の広場
には、何百年も前に滅びたとされる竜族の最後の1匹が生きたまま捕えら
れているのです。

所かまわず暴れて人や動物達を喰らう恐い怪物である竜は力自慢の人間
達に徐々に倒されていきますが、この広場にいる竜は最後の竜であり、
死闘の末に竜殺しの勇者が使った1本の剣で封じられる事になります。

勇者はその功績で神となり、竜の背中を貫いて地面に縫い留めている彼
の剣は「英雄の剣」と呼ばれるようになります。この剣を抜いて名を上
げようと力自慢の男達が次々に訪れますが、未だに誰にも抜く事ができ
ません。

この世界最後の竜こそが今回の攻様になります♪ 攻様が英雄の剣で大地
に縫い留められてから既に578年が過ぎていました。その間、攻様は
飲まず食わずですが、元々人のように食べ喰いしない攻様は暇を持て余
していたのです。

動く事ができない竜にとってここ最近の楽しみは、竜の周りを掃除し続
ける老人との会話くらいしかありませんでした。そんなある日、町長が
いかにも力自慢という風の赤紙の大男と、細身の繊細そうな金髪の青年
を挑戦者として連れきます。この青年こそが今回の受様になります♪

2人が名乗りをあげ、竜にも「剣が抜けても人々に害をなさない」という
宣誓をさせて挑戦が始まりますが、間見守っていた誰もが剣が抜けると
は思っていませんでした。

ところが受様は静かだった緑の瞳に思いがけないほどの強い意志を籠め
て剣の柄を握り、強い雄たけびと竜の体から剣を引き抜いたのです!!
広場は受様は歓声に包まれ、受様は引き抜いた剣を手にしてその場を去
ろうとしますが、直後に町長は彼に剣を戻すように懇願するのです。

町長が最後の竜は動けないから大人しくしていただけで、抑えが無くな
ったら竜が暴れ出すと思ったのですが、受様は抜いた剣は持ち帰れると
いう約束だから挑んだのであり、町長の嘆願はすげなく断られます。

受様が去った後の広間に残されたのは竜と町長だけでした。町長は慌て
て町と人々の助命を乞いますが、攻様の返答は呆れたような口ぶりの
「そんなことしねえよ」と言うものでした。

攻様は宣誓は守ると言い、いつも話をしていた老人すらも信じてくれな
かったのかと嘆きます。せっかく自由になったのに、誰も旅立ちを見送
ってくれないと言う攻様に町長は花向けの言葉を与え、老人も遅れて駆
けつけて攻様が飛び立つ姿を見送ってくれました。

そんな攻様が目指した先は受様の元でした。受様は大きすぎる英雄の剣
を背負って故郷を目指していました。受様の故郷は原因不明の黒い霧に
よっ年前に一夜にして滅んだフロイア国でした。受様は最後のフロイア
国民だったのです。

受様は国を逃げ出す事しかできなかった12才の時から7年、未だに国を
覆っている正体不明のモノを倒す為、死に物狂いで生き延び、剣の腕を
磨いてきたのです。

攻様はそんな受様を追っていき、受様に問答無用で剣を向けられますが、
全くひるまず受様に同行を申し出るのです。曰く、仲間はおらず、故郷
もない攻様には行くところ無く、受様に興味があるから暇つぶしを兼ね
て受様についていくと言い出すのです!!

果たして受様を追ってきた攻様の真意とは!?
そして剣を得た受様は復讐を果たす事ができるのか!?

魔法こそでてきませんが、竜や妖精や精霊たちが存在する世界を舞台に
故国を滅ぼされた受様が竜である攻様の助力を得て旅の果てに敵を倒す
までのファンタジックで壮大な物語となります♪

月東先生のお話は受様の不憫率がかなり高くて、けっこう痛いシーンが
多いのですが、そんな状況にあっても未来を諦めず、前を向いて立ち上
がっていく受様の強さにいつも胸を熱くさせて頂いています。

今回もどんなお話なのかな♪ と発売をワクワクして待っていたのですが、
期待以上にハラハラさせられ、ワクワクさせられ、沢山泣かされました。
とってもとっても良かったです ๐·°(৹˃ᗝ˂৹)°·๐

攻様は人間よりも強大な力を持つ竜ですが、竜としては小型種で花のみ
を好んで食べる「花喰いの竜」でした。乱暴者で厄介者の代表格のよう
に言われている竜にも色々な竜がいたけれど、人にとっては所詮は竜と
言うだけで同じだったのだったのだと言います。

小さな竜では神となった優者には敵わないし、かつての仲間達は攻様に
復讐しろとは言わないだろうと言うのです。それでも故郷を亡くした
受様の復讐に付き合ってくれようとするのです。

受様は徐々に攻様に心を赦し、彼を信頼していきます。そして旅の果て
に辿り着いて故郷でも攻様の助けを借りて復讐を果たすのですが、こ
こでめでたしめでたしとはならないのですよ♪

ここから先もさらにまた泣かされて、2人がお互いの手を取って幸せな
日々を手に入れるまで、ホントに沢山泣かされました。いつ何時泣かさ
れてもいいようにハンカチかタオル必携です。

テクノサマタ先生のイラストも物語世界のイメージぴったりでとっても
良かったです♪

3

凄く良い作品でお勧めします

こちらもChara BIRTHDAY FAIRの為に購入しました。この前出たばかりの「呪われた黒獅子王の小さな花嫁」もとても良かったので、こちらも期待していましたが想像以上でした。
元々とても気になっていた作品だったので、どうして読んでいなかったのかと後悔しました。

孤独な者同士だった竜とシルヴィエルが、お互いに救われて行く様子が見事としか言えませんでした。

とくに祖国で「黒影」との死闘の後に、ずっとシルヴィエルの側にいた妖精の正体が明らかになるんですが涙と鼻水が止まりませんでした。

そこからのまさかの展開に神に対する怒りと、竜の優しさと彼を愛し続けた村人達にも涙涙でした。

実は去年のペーパーセレクションの感想で、シルヴィエルと竜の寿命の違いに危惧してたんです。でも本編を読んで解決しました。

月東先生の見事な世界観に浸れて、こちらの作品を読んでとても良かったと思ってます。

2

すごいファンタジー!竜攻めも良し!

作者さんの最新作を読んではまり、こちらも読んでみました。

すごかった、とっても読み応えがあり、長い物語を読んだような不思議な充実感があり。

シルヴィエルが悲壮で破滅的で泣くことも笑うことも心を開くこともできずに、敵をうつことだけを考えて生きてきたのが…。
毎晩悪夢にうなされ闇を怖がり。

竜に刺さった大剣を抜いたことで、竜についてこられて。
誰も信じないシルヴィエルが竜と旅をするうちに、過保護な竜によってどんどん本来の自分らしくなって。

精霊や妖精や竜などが登場するファンタジーで、旅の相棒は竜なのですが、人間にもなれて愛嬌がありニコニコして頼りになって。

いつの間にか竜に後ろから抱かれてスヤスヤ眠れるようになり。

二人がどんどん仲良くなっていくのや、シルヴィエルがどんどん竜に心を開いていくのが、そしてドキドキするようになるのがとっても良かったです。

そして竜の力を借りて復讐を遂げて。
竜はなぜか先の話をしても答えてくれなかったのは…。
そんな覚悟で助けてくれたの!
シルヴィエルをもう仲間より大切になったのに。

今度はシルヴィエルが竜を助ける番です。

竜の何百年もの悔恨が晴れて。奇跡が起きて。
ああ、良かった。これでお終いかな?と思ったら!

夏は北へ冬は南へ、東も西も二人で旅をしよう!ここを拠点に新しい君の故郷だよって。

晴れて恋人同士になったら竜はシルヴィエルに甘えて子供みたいで。
それに竜の体液は竜の雫と呼ばれる万能薬で。
これはいいですね!
シルヴィエルもどんどん竜の仲間に近づいて。

二人が失った人たちと二人が罪だと思っていた事が、それぞれの形で再会できて、罪ではなく感謝されてて。

竜の人間味あふれるところ、意外とエッチに積極的なところ、二人が種族を超えて愛し合うところ、みんなとっても良かったです。

竜は約束を守る、幸せを大事にする。
その通りですね。

1

この作品に、出会えて良かった

578年間「英雄の剣」で刺されて動けなかった竜と、その剣を抜いたシルヴィエルが出会ったことで始まる物語。

最初は竜を信じられず、常に疑いを抱いていたシルヴィエルでしたが、だんだん交流が深まるにつれ、竜に信頼や愛情を寄せるようになります。

その過程がとても好き。

お互いに同じような背景を抱え生きていた彼らは、お互いの「弱み」や「他人には見せない部分」をさらけ出し合って打ち解けていきます。

はじめは剣によって吸い取られた力を補給するための行為である抱擁でさえも嫌がっていたシルヴィエルですが、いつの間にかそれを超えたキスや行為まで受け入れるようになります。

二人の打ち解けてゆく様を見ていると、とても温かい気持ちになります。
ここが私のホームタウン・・・
わたしはこんな温かいBLが読みたかったんだと思います。

これからの二人の旅にたくさんの幸せが訪れますように。

テクノサマタ先生の素敵なイラストとともに月東湊先生の温かい作品を読むことができて本当に幸せでした。

1

これは、治療。

謎の黒い霧に国ごと滅ぼされた国の唯一の生き残り。
『救いの子』として神殿で大切に育てられながら何もできずに一人生き残ったことで、仇を討つことだけが生きがいで旅をしていた青年シルヴィエルが主役の物語です。

人を喰い殺す乱暴な竜の一族が全て滅ぼされ最後の一匹は勇者が刺した『英雄の剣』によって大地に刺し抜かれたまま500年以上生き続けていました。

シルヴィエルが勇者の剣を台地より引き抜き自由を得た竜はなぜかシルヴィエルになつき共に旅をするという。
一緒に復讐を果たすと言い出す竜の真意はわからないまま人懐こい竜との旅の中で大切な人を全て失い凍りついた心が溶かされいつしか仇を討った後も共にいたいと思うようになっていくのでした。

シルヴィエルが妖剣に力を奪われたり黒い霧に襲われた時に『竜の雫』を摂取することで治癒できるという竜の言葉を信じ、口付けやハグや交尾のような行為をして回復するたびに「これは治療」と唱えながらも後ろめたい気持ちになるところが可愛かったです。

この物語の神様は平等でも博愛でも無く無知と思い込みで一方的に罰を与え苦しめる存在のように思います。
濡れ衣で虐殺されていった竜の一族が哀れで仕方ありません。
本当に弱者を助ける神がいるなら虐殺された竜を助ける人間たちこそ罰するべきなのではないのかと思えて。
それでも竜を友として彼らに罪がないことを信じて寄り添ってきた人間がいて言い伝えることを忘れない一族の存在はせめてもの慰めでした。

失われた国の廃墟で竜とシルヴィエルがいつまでも仲良く平和に暮らせることを祈ります。
そしていつの日にかその亡国の地に再び人が住み良き国が栄えてくれたらいいのにと思います。

1

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