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futtara doshaburi
長雨を思わせる文章に、ちょうど滴る雫のような感覚で、フっと作品の世界へ誘われました。
雨が年月を経て石を穿つように、小さな小さな積み重ねが不可逆的な変化をもたらし続け、やがて俯瞰した時にはもうどうすることもできなくなっている。
愛と性に翻弄されるふたり。
一つの共通点から始まった関係の先で何を失い、また、何を得るのか。
見届けた後のこの気持ちが表現できないのがもどかしいです。
一穂先生の表現力には毎回驚かされます。
今作は特に女性キャラの描写が物凄かったです。
恐ろしさすら感じました。
同棲で良かったなと、とりあえず本当そう思った
かおりのビンタする図々しさと、頭撫でたりセクハラを躱すみたいに扱って一顕をなめてるところ絶妙だった
かおりは本当同棲なんかしてバカだなって感じ
セックスをしないで暮らせたら一番いいのにって思っちゃうのは理解できるんだ
デートでするのは良いんだけど、生活には要らないんだよね、解る
一顕が好きで結婚して子供を持ちたかったのなら同棲はダメ
結婚して子を設けて、自分の親と同じ道たどって被害者ぶるしかなかっただろうに
一顕からしたら同棲で良かった
てか、優しい人すぎる
結婚してないのに1年も拒否されながら怒りをためたり憎んだりせず将来も考えるって、こんな良い人いない
半井はこっちの一顕とやっていくことになったの最高だ
でも、パートナーと夜は恋人でいたいのであれば食事の用意みたいな家事を一手にさせてるのはおかしいとも思う
お母さんの部分を担わせて恋人でもいて欲しいってのは一人の人にかける期待として大きいんじゃないかな
かおりは勝手にそうしてたのだろうけれど、飲んだビールの缶の片付けまで自ら引き受けてた
お世話する対象として一顕を見てたら性的には見られなくなるの当たり前な気がする
半井の方のは気の毒なことでどうなればよかった誰が悪いとかとは考えられないけれど、単純に和章の性格がちょっとモラっけがある?つぅか、クリエイター気質ってことなのか、気難しいよね
ずっと一緒にいたいけど性的な欲求には応えないんなら外でしてくるのは一つの正解にしか見えないのにあんなふうになったりして
かおりはメールを辿って美術館のとこで「え〜!?」てなっただろうか
そこはなったんだろうな
でもメールのやり取りで、自分にはその気がないのに性的に狙われていたらキツいみたいなことを一顕が書いているのとかあったし、1度「やらせるやらせない」みたいな言葉使ったことはあったけれど、全般通して敬意のない蔑みみたいなのはなかったのが一時的には良くて、将来的には苦しくなるような気がする
かおりを嫌悪している先輩が意地悪することで読んでる側の苛立ちを消化してくれるのね
自分は悩むことにすら罪悪感持ったりしてたのにかおりはあんなふうに他人に話してる
犬みたいに与えられるのを待つものだと思われている
暗雲が厚く厚くなっていく
降り出してからの勢いたるやすごい!降り始めまでこんなに長かったのに止められず読んだ読んだ
とてもとても面白かった
タイトルは一個人の感想なので、多目に見て欲しいのですが。
この作品は、一穂先生の、バッチリハマった!の方ではなく、ああ言いたいことは伝わってくるけど完全にはハマれない悲しい…みたいな方の作品で、私の中ではちょっと長い、読むの苦しい、みたいな気持ちで読み終えました。
とは言え、内容的には実に繊細で一穂先生らしいリアルさがありましたし、色んな人が読んでるので、こんな感想もありかなと思って読んでもらえたらと思います。
さて、乗り切れなかった理由の1つに、セックスについての話題が生々しすぎて辛かった、というのがあります。
うーん、皆が皆、言いたいことはすごく伝わってくるんですけど、内容がリアルすぎて乗り切れなかったんです。
一穂先生は、リアルな感情を文学的な文章でとても繊細に伝えられる天才だと思うんですが、今回はリアルさが勝ってしまった感じでした。
作中出てくるかおりとその先輩女性にしても、かおりのセックスレスに対する言い分はわかるけれど、先輩に対しての配慮は滅茶苦茶欠けてるし、人としてとうなんだ…と思わずにはいられない。
なんとなくですが…駄目なもの、苦手なものは理解しようとするんじゃなく、突っぱねて見ないふりして生きてきた、みたいなのが伝わってきました。(悪口みたいになっちゃうな…)いや、それもかおりという人間性なんですよね。そういう人だって居るよね…
けれど先輩とのやり取りは軽い冗談めいた口調だったせいもあり、実際目の当たりにしたら、人って単純にこんな風にボタンをかけ違えて憎まれたり狂ったり壊れたりするんだろうな、とも思えて、人の醜さとかが表に立ってしまって恐ろしくなってしまいました。(先生の文章を書く力量的にはそこが素晴らしいところなんでしょうね…難しい)
また、整と一顕が、わりあい最後の最後まで、どこでどういう風に感情が変化していったのかちょっと感じ取れなくて、途中途中で、文章の中で、「今、気持ちが揺らぎましたよ」みたいな説明に読めてしまう部分があったので、そこはヤキモキしてしまった部分でもありました。
とは言え、一顕の、実直さとか誠実さ、弱さはとっても好印象。普通の人らしい(言い方が難しいですけれど)健全さは好感が持てました。
「車に轢かれて」と軽々しく言った俺に腹を立てた。
という作中での部分。
そこに気づける一顕は多分、他人に優しくしなくちゃ、と思わなくても自然とできる優しい人だと思うし、そういう日向の人らしい部分に整は掬いあげられたんだと思います。
作中の、「半井さんとセックスしたい」のシーンも、お互い好きという恋愛感情ではなくて、その言葉って、俗物的ですけれど、心底救いを求めてるSOSのように感じられて、一顕は自分がそれを整に求めているのにも本能的に気づいているし、整も一顕を救いたいって思ってるのが伝わってきて、一瞬、「うん?いましちゃう?」とも取れるシーンかと思うんですが、私の中では違和感なくすんなり入ってきました。
頭では理解してないけど、感情や心は元いた居場所の相手ではなく、お互いをもう新しく求めてるって気づいてる。そんな絆が見える一言だったと思います。
そして、和章。
苦手だと言われる方が多いんですねぇ。なんとなくわかる。わかるんですけど、私は好き…
この人意味わかんない。だからこそ一穂先生に丸裸にされた部分を読みたい。理解したい。みたいな気持ちになってしまいました。
という事でナイトガーデン読みます。
萌えはあんまりないけど、一穂先生のお話はいつでもどれを読んでも心が持ってかれてしまって、疲れるのに虜になってしまう。そんな吸引力が凄まじいですね。出会えて良かった。
心理描写、風景描写、セリフなんかも文芸作品色濃いめな雰囲気で好きでした。
お互い名前も知らないままのメールのやり取りから始まり、気持ちは少しずつ近づいていく、日常の変化も小さくでも確実に積み重なっていく。じりじり感に少々じれったく思いはじめた頃合いで、ある事件を境に急速に近づき物語が激しく展開していくという、、この急にくるスピード感がとってもドラマティックですっごくドキドキしました。
苦しくなるくらい切ないエピソードもあり、感情揺さぶられっぱなしで、しばらく頭から離れなそうです。絶対また読み返すと思います。
メールのやり取りのお話しは大好物です。
特に相手がわからない場合は特に。
ユーガッターメールやハルなど映画でも萌えたくちです。
見せ場は見知らぬメール相手が知り合いだと気づくシーンですねー。
営業一顕と総務の整。
一顕が整相手に同期で、少し生まれが早いだけなのに敬語で話のが気になりました。
浮気の話は苦手なのに両方の主人公の相手がなんだかなと、思う人たちでした。
主人公目線だと浮気されてもしょうがないんじゃない?と思えるようになっていたので、ストレスなく続きが気になって一気読みです。
お話しも面白いし、キャラも良いし、本当良かった。
メールのやり取りを確認したくて、もう一回読み直し決定です。
この本は何回も読むんだろうな〜
大人同士の重くドロドロした内容を、主人公二人の心持ちと雨、一穂先生の文章が優しい人格の作品に仕立てていて、こういった題材はBLでも一般小説でも手を出して来なかったので読めてよかったです。
レスの原因について、最後に女性側の気持ちが聞けて当然のように納得したし、登場人物どの人も性について考えさせるスパイスになっている。受け入れた時の平井の萩原への言葉はそれだけで萩原は救われて生きていけるんじゃないかと思える位グッとくる。
「スモールワールズ」から一穂さんの作品を読みましたが、BL初心者の大人にもこちらを推したいです。
細かすぎる心理描写が、共感深まりすぎて息苦しくなる。
トラウマ持ちの整と和章。
二人は、正直な気持ちを告げていたら本当は相愛の仲だったのに、すれ違ってしまう。
会話を阻む原因は、双方の真面目過ぎる性格の自責。
カオリは、母もセックスレスで離婚していた。
キャラで唯一健全なのは、一顕。健全男子にセックスレスは酷すぎる。
キャラの環境設定が惨たらしい。生殺しのような中で藻掻く夫々が気の毒でたまらなくなる。
どうしたらより良い結果になったのかと考えても、たらればばかり。一旦行動したら、もう元に戻れない。
★メモ・・このシリーズは、3冊一気読みが、読後メンタルがよいと思います。
① ふったらどしゃぶり~When it rains, it pours~完全版
萩原一顕 同棲中の恋人とのセックスレスに悩む一顕。
半井整 一顕の会社の同期、同居中の和章に片思いの整。(実は双愛)
★著者の説明。
https://bit.ly/2V4Og5t https://bit.ly/3dMMiNG
「旧版の版元さんのご事情もあり、発行から五年を機に出し直し・・・。web連載を文庫化するにあたり、ページ数の都合でカットした部分を含め、新たにちょこちょこと手を入れ、掌編を書き・・・とはいえ、大きく物語が変わるわけではありません」
② ナイトガーデン 完全版
「ふったらどしゃぶり」スピンオフ、版元の刊行停止にともない、ディアプラス文庫版として出し直し・・・フルール版に加筆修正と、書き下ろしの掌編が一本
藤澤和章 休業中のプロダクトデザイナー、28歳
石蕗柊 植物園のアルバイト、21歳
③ メロウレイン ふったらどしゃぶり
https://bit.ly/3wmiD4y
「「ふったらどしゃぶり」の同人誌・特典系SS・ブログのこばなしなどをぎゅぎゅっと・・・恋人同士になった一顕と整のその後」
萩原一顕 27歳,会社員(営業)
半井整 27歳,会社員(総務)
シリーズ3冊。
ナイトガーデンは、主人公が異なるので、不要かも??と思ったけど、一番捻じれていないまともな恋愛小説だった。
メロウレインまで読んで、やっとキャラの状態への不安が消えて、読後感が爽快になった。
男性も、女性も、お互いの生き物としての性の違いと意味を理解する必要があるのだと、学びました。
体液交行を伴う行為は、繁殖の為だけではない一面がありますよね。(融合遺伝子(キメラ遺伝子)とエンパシー)
しんどいーしんどいよー。
メールの送り間違えから始まった、たわいも無い、だけど心の拠り所のような一顕と整のやり取りが微笑ましいだけに、女性陣のアクの強さ、整と同居してた和章のいたたまれなさが…しんどい。一生懸命な整が報われたのが救い。好きな人と生きるって難しいな。
彼女のリアルさと気持ちの汲めなさが本当にきつくて、先輩じゃないけど友達にはなりたくない…先輩のレス告白、悪口もドロドロしてて恐ろしかった。女子の圧が強い作品は苦手なので余計にしんどい。
幼なじみは尊いけど、幼なじみだからって辛さも…甘えれる安心感とか大事にしたすぎる気持ちとなんか複雑で切なかった。整と和章、なんとかならんかったものか…主役二人にはモヤるとこが多く、和章派になってしまったので微妙な読了感です。
ちるちるの評判が良かったので遅ればせながら読んでみました。ただ、結論から申しますとハードルが高すぎたのかな・・・「神」評価は付けられませんでした。内容的にも好みが分かれるので期待値は上げ過ぎないほうが良いと思いレビューを書いています。
まず、一穂ミチ先生の得意分野であろう二人だけの秘密ができてそこから恋が生まれて~といった展開なのですが、景色の描写や表現がすごく丁寧で読んでいて楽しいです。二人が惹かれ合う過程もおとぎ話のようでした。
ただ、BLの醍醐味である「男同士の絆」要素が見えにくく、この二人はカップルとして続くのかな?と疑問に思ってしまいました。展開は面白いのに、二人が問題を解決したわけではなく、問題を回避した結果結ばれたという描写になってしまった所がすごく残念だなと思いました。それぞれが抱えてる苦しみに(サブキャラ含めて)まっすぐぶつかって、全員が別の着地点を持って前に進めたらそんなに違和感はなかったのかなと思いました。
特に残念だったの和章ですね。ここはもうちょっと掘り下げたらよかったのかなと思ったりもします。整に感じる罪悪感は状況からして当然のもので、愛情の一部が闇に転じてしまったところに涙が溢れました。罪悪感から恋人として付き合っていくのは無理だったと思うのですが、彼本来の恋は尊いものだったと思うので、その部分があまり描かれていなくて残念でした。整はたくさん愛されていて、和章も愛されてて、二人が両思いであったところはもっと楽しみたかったなというのが本音です。
一穂ミチさんという作家さんは、豊かなストーリー性で読ませつつ、割と丁寧に行為も描写される作家さんだと思うのですが、本作品は中でも特に行為の部分が激しいです。
というのも主人公が双方ともパートナーと身体の関係を築けない事に悩み、それがきっかけで結ばれるからです。
身体の関係を持つ、持てるということが大きな鍵となっているんですよね。
一顕は長く同棲している女性にセックスを拒まれ、自分が受け入れられていないのではとの不安を抱えています。
整も片想いの親友と同居し、親友から大事に大事にされてはいるものの、性愛を伴う愛の告白は受け入れてもらえていません。
メアドの間違いから、メールだけの関係でお互いのそんな秘密を知り、本音で語り合うひとときをはけ口にしているうちに、ひょんな事で実は同僚であることに気付いた二人は急速に近づきます。
あるどしゃぶりの日、行き場のない思いに翻弄された2人は慰めあうように身体の関係を持つのですが、一度触れ合ったら、今まで耐えてきた身体と心が相手の身体をどうしようもなく求めて…という。
レーベルのテイストもあるのか、かなり性行為の比重が大きいのですが、ストーリー的な必然性がちゃんとあるので、そこだけが浮く事もなく、タイトルにあるようにどしゃぶりの雨が似合う、メロドラマ的な盛り上がりがあって、物語として面白かったです。
愛が有ればプラトニックな関係でもOK、
なんならかその方がピュアだという話や、身体からの関係に愛がないという話はありがちですが、この作品は身体を丸ごと受けいれてもらえる事を愛とし、そこから発展する純愛物語で、そこが新鮮でした。