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nightingale wa ai wo tsumugu
元々好きな作家さんでデビュー作から全て持ってますが、今回は鳥肌が立ちました。
「不器用な男たちの十年純愛」となってますが、これを「純愛」と言うのは何か違う気がします。
ただ、全てを引っくるめて、やっぱり「愛」としか言いようが無い・・・。
作家さん自身も今作は雰囲気が違うと書かれてまして、いつものラブコメや明るいお話を想像されると戸惑われるかもしれません。
どシリアスで痛くて切なくて、大変重いお話です。
綺麗で純粋なだけの愛でもありません。
が、これもまた主役二人にとっては紛れもない愛の物語。
強く強く心を動かされました。
内容です。
オペラ歌手を目指して海外留学するも、夢と現実の間で挫折感を味わっている凛。
そんな時、貴族で実業家のエリアスと出会い、才能を見出された凛は、一流アーティストとして華々しい成功と恋人の地位を手に入れます。
しかし、独特の恋愛観を持つエリアスは、凛の他にも恋人やパートナーを持ち、決して凛のものだけにはなりません。
そんな中、歌えなくなればエリアスに捨てられると凛は恐れていてー・・・と言うものです。
まずこちら、受けである凛は、相当面倒くさい執着系です。
そして攻めのエリアスはつかみ所が無い宇宙人。
終始、凛の視点で語られますが、とにかく痛くて切ないのです。
凛とエリアスの恋愛観はキレイにすれ違っていて、恋人だからこそ自分だけを愛して欲しい凛に、何人も恋人がいて一人だけを愛すると言う事自体が理解出来ないエリアス。
エリアスはある意味とてもズルい男なんですよね。
二人の出会いは、凛を男娼と勘違いしたエリアスが買ってと言うものなのですが、最初から「誠実な愛はやれない」と予防線を張っている・・・。
セレブな恋人にトップアーティストとしての華々しい名声と、全てを手に入れたかのように見える凛。
でも、仕事以外ではずっと自宅でエリアスが訪れるのを待ち、歌えなくなって捨てられる事を恐れて、自身の「声」や人気に縋り付く日々・・・。
純粋な夢を追っていた青年が、「愛する恋人」と出会ったばかりに、大好きな夢が重荷に代わりどんどん追い詰められて行く・・・。
もう、このあたりの凛の心理描写が容赦なくてですね。
読者側はグイグイ感情移入させられ、切なくて切なくて仕方ない。
で、そんな凛を酷い目にあわせるエリアスですが、彼は彼の独特の倫理観で生きています。
上手く言えないのですが、根本的に意識が違うと言った印象なんですよね。浮気性とかでは無く。
要はどちらも不器用なんですよね。
不器用故のすれ違いと言っちゃうには、この二人の十年て痛すぎるのですが。
と、二人のすれ違いに焦れて焦れて読者が爆発しそうになる頃、先に爆発する凛。全てを捨てて、日本に帰国です。
ここからが死ぬほど萌えるのです。
ちょっとだけネタバレですが、攻めザマァてトコでしょうか。
エリアスはエリアスで、誤解されててと気の毒な部分もあるんですけど、やっぱ萌える!!
もっと追い詰めてやってもいいんじゃないの?と。
ラストがすごく感慨深くて、最後の一行に涙腺崩壊です。
ホント遠回りし過ぎたけど、これまでの十年は、今この瞬間の為にあったんじゃないかと。
ここまでたどり着くのに十年て!! なんて不器用なカップルなんでしょうね。
先にも書いたように既刊全て読んでいますが、ちょっとこれまでに無い雰囲気の作品。新境地を開かれたのではないでしょうか。
浮気が地雷の方にはダメかもしれませんが、十年にも及ぶ壮大な愛の物語にぜひ心を震わせていただきたいです。
※追記です。
私は受けを酷い目に遭わせる攻めて大嫌いなのですが、小中先生の書く「酷い攻め」と言うのは好きなんです。
ずっと理由が分からなかったのですが、「愛を知らなかった攻めが、受けによって愛を知る」と言うパターンがどストライクだったんだと、今作でやっと気付きました。
エリアスの「愛を知った」後のヘタレっぷりにも注目して下さい!
すっごく好きなお話でした。
お話としてはシリアスで結構重い話だけれどそれゆえにぐいぐい引き込まれていきました。
他の方々が内容について書かれてらっしゃるので私はとにかく読んだ感想を…
※ネタバレが多量に含まれてますので注意してください
凛(受け)がとにかく一途で健気で悲しかった。
自分の声がオペラ向きでなく、悩んでいるときにエリアス(攻め)と出会いその声に可能性を見出だしてもらったからということもあり、余計にエリアスに対してあれほど盲目的に愛を向けていたのかな……
そして、その出来事があり、歌うことが凛にとってエリアスの側に置いてもらう理由になって捨てられないために必死になってる姿に、自由に歌っていいんだよっと言いたくなります。
売り上げが伸びなかったりなど色んなことが積み重なり凛が追い込まれていく時には辛くて辛くて……
凛も自分なりに考えて、今までのように言われた通りにやっているだけじゃダメだと思って自分から意見を言ったりしてみてもスタッフや周りの人たちからは鬱陶しがられ、イーサン(マネージャー)にでさえ君らしくないと言われる始末。
凛がエリアスに電話をするシーンでは思わず涙がポロポロと………
((ここがとにかく辛かった;;
凛の切迫した空気とエリアスのそこまで大事に捉えていない空気感の違いが感じられてほんとに切なかった
結果的に凛は歌手をやめて日本に戻りますが、凛にとってはその方がよかったなと思います。
一度外の世界を見ることで盲目的になっていた「歌うこと」や気持ちの面でも整理をつけやすいし、と。
個人的に凛に感情移入しまくっていたのでこの後の攻めざまぁ展開にちょっと胸がすっとしました。
再び心を通わせることが出来てよかったな~とは思いますがそんな簡単に信じていいの!?大丈夫!?とは声をかけたくなりましたね笑
作中で凛の「難しい人だとは思うけど、あなたは不誠実な人ではないよ」という言葉に、ちゃんとエリアスのことを理解しているんだなーと思いました。
自分の愛の形とエリアスの愛の形が違うこともわかってはいるけれどやっぱり耐えられなくて離れてしまった。
でも、一度別れて外に目を向けたことで凛はもう一度エリアスと向き合うことができたのかな……
最後には自由に歌うことが出来てほんとによかったです。
誰のためとか関係なく歌が好き。もうここで拍手したくなりました。
欲を言えば、エリアスの生い立ちなどはもう少し詳しく、出来ればエリアスの視点で知りたかったな、と思います。凛が日本に戻ったときのことなどエリアス側の視点が気になります。
また、エリアスの公のパートナーだったデビッド。凛がノウァに感じていた感情をデビッドも凛に対して抱いていたんだろうな、て思うとデビッドのことが気になって仕方ありません。今の恋人とのことなど幸せになったあとのことを少しでもいいから知りたいです!
評価が「神」までしかないので仕方なく「神」ですが、もっと突き抜けるくらいの評価です。わたし的には!
もともと好きな作家さんの一人だった小中先生の作品ですが、この作品はつい最近になって存在を知り、あらすじを読んで「あ、わたし好みの作品かも・・・」と慌てて買って届いて即読みました。
読みだしたら止まりませんでした。
期待しすぎて読みだしたらハードルが上がり過ぎているため「あー、そーでもなかった。期待してたのはこんなんじゃなかった」っていうことが多々あるのですが、この作品は私の期待をさらに上回る私の好み過ぎる作品でした。
そう!こんなのが欲しかった!!という感じ。
人によっては地雷だったりするかもしれませんが、私は攻めが奔放だったり倫理観が他とはかなりずれてたり世間の常識とはかけ離れたところにいる人が好きだったりします。
でもなかなかそういう要素が描かれていても中途半端に終わって、結局ほぼ甘々に終わることが多くて、う~~~ん・・・となることが多いのですが。
で、そんな攻めが受が去ってから初めてその存在の大切さを思い知って弱っちゃう展開は大好物過ぎて悶えます(笑)
凛が苦しんで悩んでどんどん追い込まれていく描写がすごかった。
だから余計にその後のエリアスの思いや凛の怯える心に涙して。
yoco先生のイラストがこの作品にぴったりで、それもこの作品を素敵なものにしてくれています。
読み終わった後に改めて表紙を眺めて、また涙が・・・しばらく見入ってしまいました。
久々に、こういうの読みたかった!と思わせてくれる、とても素敵な作品でした。
音楽ものが好きで、どんなのだろうかと期待していましたら、クラシック、コンクール等ではなく、歌姫(?)としてデビューするものでした。攻め受けの変遷もとても染み入りましたが、受けが自分を解き放って「歌う」ことが出来た時の開放感が好きで、泣きました。ぽきんと折れそうになるまで追いつめられる受けがお好きな方にはオススメしたいです。攻めさんが「複数の方との関係を維持される方」という事を、お伝えしておきます。
お話は、凛の留学している大学の学生寮でのシーンから始まります。中に入ろうとした時に、同室の学生が友人たちと凛の事を話しているのが聞こえ、部屋に入れず街に飛び出します。通りで変な男に絡まれたところを30代半ばのプラチナブロンドの男性に助けられ・・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
大学時代の同室の学生(♂)、デビューしてからのマネージャー、凛より後にデビューした歌手(♂)、攻めの公式パートナー(♂)等。
マネージャーがいい人でした。ほんとに良かった。
*******以下はより内容に触れる感想
苦しく切なく痛く・・・デビューしてから引退するまでの過程が、心配で心配でたまりませんでした。追い込まれるのにシンクロしてしまい、だから凛が逃げるように引退するのはとても良く分かるし、あれで正解だったと思うのです。一度離れた方が絶対良かったと思うのです、失うと分かっていても。一生割り切れる訳のない気持ちだけど、一度逃げてもいいと思うのです。その後、イーサンに会って、エリアスに会ってもう一度見つめなおすことが出来て、本当に凛は幸せだと思いました。二人の想いが掛け違うようなタイミングで無くて本当に良かった。ハラハラし通しだったので、はーと息をつく感じでした。
その後、凛が歌うことを思い出し、最後「一緒にいさせて」と言うところまで涙ぐみっぱなし。凛が自分の在り方をきちんと見つけて、自分の足で立てることが出来て本当に嬉しかった。エリアスが弱り切ってたのも「攻めザマア!」と溜飲が下がる心地で良かったです。エリアス、しっかりしてよね!ほんとに(怒)凛、喧嘩したら家出しろ!!すぐ謝ってくるようになるさっ
攻めに対する怒りはあれど、とにかく受けが目覚めたことが嬉しくて、安堵感、幸せ感でいっぱいな本でした。後日談があれば少しでいいので、読んでみたいなあ。レコードだしてものんびり曲作ってマイペースに過ごす凛に会ってみたい・・・
セルフつっこみ。
紙書籍を一旦手放したものの、我慢できず電子で再購入。ひか〇ブックでカラー口絵もモノクロ挿絵もありました!やっぱり好き、このお話。
切なさに胸を締め付けられるような思いで読みました。
yoco先生のイラストが素敵で手に取りましたが出会えてよかったと思う作品です。
初めて愛した人は恋人に対して不誠実な人。
パートナーと複数の恋人もいる貴族で実業家。
自分の知らないところで何をしているのか、他の恋人たちをどんな風に愛しているのか辛くて想像もしたくない。
一番の望みは他の人と別れて、自分だけを愛して欲しい、でもそれを言ったら捨てられる。
歌手として成功しても満たされない。
そんな凛の心情が健気で不憫で胸を締め付けられます。
作者様がおっしゃる通り『終始どよーんとした空気の話』でしたが、私としてはこのシリアスで重いお話が案外好きなのだと知りました。
途中で面倒になることもなく一気に読ませていただき、ファンになりました。
この手のネガティブでぐるぐる悩む自己完結型主人公にしばしばイラっとくる場面が少なからずあるのですが、この作品ではなんだかリンと同調したのか、嫌われたくない、捨てられたらどうしようと言いたくても言えないことを飲み込んで必死で歌いすがりついて行く感情が痛々しくて離れることを選ぶシーンでは泣きそうでした。
エリアスはその生い立ちから誰からも人を愛する喜びや辛さを教えられず、『不誠実』とは自覚していても改めることなく人を愛する気持ちを軽んじてきたツケを支払うことになるのです。
初めて人に執着したり嫉妬したり、あるいは恋するが故に怯える気持ちを知り凛を手放したことを後悔して深く反省することになるわけです。
最後にやっと本音を語り合い分かり合えるのですが、あのまま何もなく関係が続いていたらいつかきっと張り詰めていた糸が切れてしまったかもしれません。
又は、無理しすぎて疲れた凛が壊れ、理解できないエリアスとではやっぱり続けられなくなるかもしれないと思いました。
冷静になってやっぱり好きだという結論になる為に時間が必要だったのだとおもいます。
その後の二人は…
二人きりの甘々な隠遁生活もそう長くは続かず、新しい事業に触手を伸ばすエリアスと一斉を風靡した歌手の一皮剥け成長した凛を世間は放っとかないんじゃないかな。
静かな別荘暮らしはいつまで続くのやら…
先生他の作品よりかなりシリアスです。
でもラストはハッピーエンドなのでハッピーエンド好きの方は安心してください。
凛の重い愛と、歌声だけを愛されてるのではという疑心暗鬼の部分は読んでいて辛いです。
でも凛の愛が報われるのです。
彼のこれからの幸せを祈ります。
読み終えてからタイトルを読み返して、鳥肌が立ちました。
この物語は、ナイチンゲール(受け)が、愛を知らない攻めに愛を教えるために歌うお話です。
舞台は、A国と書かれていますが、イタリアやフランスでしょうか。英語が公用語ではないようです。
はじめに攻めのことを受けがマフィアと勘違いしたと書かれているので、そのあたりの国かなあとほんのり思いながら読みました。
オペラ歌手を目指す受けが、その才能が無いと周りに言われ大学を飛び出した夜、攻めに出会います。
男娼と間違われてホテルまで連れられて行きますが、そこで披露した歌声に興味を持たれ、歌手としてデビューさせられるお話です。
攻めの財力やコネクションであっという間にトップ歌手まで上り詰め、名声や財産を手にしますが、攻めの愛だけが手に入らずに受けを苦しめます。
攻めの恋人の地位は得たものの、攻めには他にパートナーや恋人がいて、攻めの唯一にはなれません。
読んでいる最中、本当に攻めが憎らしく思えて、受けちゃんを苦しめるな!と殴りたくなりました。
受けのマネージャーである友人が理解者だったのがたったひとつの救いです。
こんな攻め、見限ってしまえと思いましたが、そこは小中先生。ちゃんと攻めに罰を、受けに救いを与えてくれます。
終盤の、攻めザマァ!な展開にこれほど喜んだのは久しいことです。
攻めの愛が大きければ大きいほど良いと思っている私ですが、この攻めは終盤までほとんど一途な愛を感じることがありませんでした。
ふつふつと湧く怒りを昇華させてくれた小中先生、ありがとうございます。とってもスッキリです(笑)
尚且つ、攻めが愛を自覚してからの受けへのセリフが甘くて苦しくて重くて……!
こんなに人を愛せるんだったら、なぜ初めからそうしなかったのかと、お尻を引っ叩いてやりたいくらいです。
充分に反省した攻めが、これからどれだけ受けに尽くしてくれるのか。それが楽しみでなりません。あわよくば、その後の2人を読みたいです。
頑張り屋で溜め込みがちな受けを、一途な愛で甘やかしてあげてほしいです。
幼い頃にローエングリンの白鳥の騎士に憧れて、歌手を目指している凛という日本人音大生(受)が、進路に行き詰まっていると きに偶然エリアス(攻)という謎の青年に出会います。
男娼と間違われて一夜を共にするのですが、そのまま恋人になり、パトロンとなって歌手デビューをさせてくれるというシンデレラストーリー。
でもエリアスには凛以外に正式なパートナーや、たくさんの恋人や愛人がいて。。。
話が面白くて一瞬で引き込まれました。出会ってすぐに身体の関係になってしまう2人ですが、愛撫から何から描写が美しくてとても素敵でした。
主人公の2人もすごく魅力的で愛情深くて読んでいて幸せな気持ちになりました。
「鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?」と、違うパターンの
「パトロンが、支援者の虜になる」恋物語。
エリアスにとって、凛は、最初は支援を求める一人にしか過ぎなかった。
凛が、淋しさを耐え忍ぶ過程を辿る粗筋になってますが、
物が溢れる中で情愛だけ受けず育った歪で無機質な心の持ち主;エリアスが、
本当の愛と愛を育む関わり方を、失ってから気づく話。
印象深い場面。
最初は、一夜の恋人:
海外留学中の与那覇凛は、憧れのテノールに不向きな資質と自覚、絶望する。
夜の街を歩いて、酔った暴漢から凛を助けてくれたエリアスを、凛はマフィアと勘違い。
凛を男娼と勘違いしたエリアスの一夜の遊び相手となり エリアスに「ずっと恋人」をねだる凛。
実は、エリアスは貴族の大実業家で、凛が在籍する学院の理事長、
しかも、男性の配偶者が居て、凛の他に恋人が複数いると知る。
エリアスから配偶者が去る:
エリアスの配偶者デビッドが借金返済を終え、恋人を作り去っていく。
「自分だけを愛してほしい」叶わない願いを封印する凛は、デビッドの心情に共感する。
凛も若手に譲る決意をする:
凛の喉にポリープが出来て、歌えなくなったら寵愛を失うと怖れる凛。
その頃、エリアスは若い歌手ノウァの支援を始めた。
過去のデビッドを思い出し、老いた自分の進退に悩む凛。
一切を整理して引退、日本に戻る。日本では凛は無名の一般人。
帰国後手術を受け、元のように歌えなくなった。
再会:
心の変調をやっと通常に戻せた二年後、凛は30才。
人を介して、凛に「エリアスが一目会いたいと言っている」と連絡が来る。
・・・凛が拒否らないように、エリアスが再会を手配。ココから後は、よくあるハピエンの展開。
エリアスは、本気で愛した人を失うことを怖れた寂しがりで、最後まで素直じゃなかった。
面白かった。
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夜啼鳥:
ヨナキウグイス スズメ目ヒタキ科
小夜啼鳥、学名:Luscinia megarhynchos ナイチンゲール(英語: Nightingale)墓場鳥 スズメ目ヒタキ科
ウグイスより大型 名の由来は、夕方から夜更けまで美しい声で鳴くから。
カウンターテナー:
(英: countertenor)カウンターテノール
ファルセット(裏声)を用いて女声音域(男声のオクターブ上)を出すパート
今回は侯爵であり音楽活動にも熱心な実業家と
オペラ歌手を目指して留学した学生のお話です。
受様が歌手としてデビューして引退するまでに
攻様との恋愛事情が絡まって進展します。
受様は子供の頃に見たオペラで
白鳥の騎士(ローエングレン)に憧れ
自分も彼の様に歌いたいと
オペラ歌手を夢見るようになります。
幸いにも家族の受様の夢を応援し
EUの音楽大学に留学します。
高校でも専攻の声楽で高い評価を受け
周りの生徒と比べても
「上手い」という自負がありました。
しかし
音楽大学の学生のレベルが段違いで
プロレベルがゴロゴロしていた上に
華奢な体格からの成長は望めず
音楽教育や訓練を受けても
生まれ持った声帯の限界を感じ
憧れたローエングリンのような歌を
謳う事は出来ないという挫折を
味わうことになります。
努力だけではどうにもならない現実に
打ちのめされた受様は自棄になって
学生寮を飛び出します。
薄着のまま繁華街に出た受様は
男娼と間違えられて絡まれたところを
凄みのある美貌の男性に助けられます。
その男性こそ今回の攻様です。
攻様は音楽活動にも熱心な実業家で
名家である侯爵家の当主でした。
攻様もまた受様を男娼だと思い
一晩分の時間と金の代価を求めますが
誰とも寝た事のない受様は
自分が満足させられるか判りません。
そこで攻様は受様に歌を歌わせますが
オペラのテノールの曲は全否定されます。
しかし、
その後に受様が歌った歌によって
受様の歌の才能を確信し
受様の身体も翻弄します。
そして受様にプロデビューの道を示し
攻様の恋人にしてくれるのです。
しかし、攻様には
正式な場で伴う同性のパートナーと
複数の恋人がいたのです。
攻様を愛し始めていた受様は
攻様の唯一の存在になれないなら
一番になりたいと望みます。
そのためには
攻様が認めてくれた歌で
攻様が望むスターになるのだ
と強く思う様になります。
そして受様は攻様の元
プロ歌手としての道を歩み始めます。
受様は歌手として花開けるのか!?
そして攻様との恋の結末とは!?
受様の歌と恋が
攻様との出会いによって
徐々に変転していく様子が
シリアスに描かれたお話です。
受様は攻様に恋をした事で
求めていた夢とは異なるタイプの
歌手として才能を見出されます。
攻様の後援と受様の努力で
受様はプロ歌手として大成しますが
攻様にとって受様が
唯一の恋愛相手で無かったために
受様は常に不安と背中合わせで
攻様との付き合いを続けます。
やがて受様は攻様の恋人の1人から
攻様のパートナーにまでなりますが
受様の人気が衰え始め
自身の喉に違和感を覚え始めた頃に
攻様が自ら新人歌手のデビューを
手掛けた事から
受様は徐々に自分の歌と恋を見失い
不安定に失速していくのです。
受様と攻様の愛の違い、
2人のすれ違いに胸を痛めながら
歌を失い、攻様との恋を手放した受様が
最後に手にするものとは何なのか
ハラハラしつつ読み進めたお話でした。
受様は音大に入れまで
自身の実力を疑わず挫折知らずですが
留学先の音大には
受け様より才能のある学生に囲まれ
自分の歌を信じられなくなります。
そんな時に出会った攻様が
受様の歌を認めてくれた事で
失われた自信を取り戻したのです。
それ故にプロ歌手を目指した時から
受様にとって歌は攻様を失わない為の
手段となってしまいます。
それほどまでに受様を縛る恋は
攻様の気持ちをも変えていくのですが
喉に異変を感じた事で
歌えなくなれば攻様を失ってしまうと
新人歌手との関係を疑うほどの
疑心暗鬼に陥りるのです。
攻様が絶賛した歌を
歌えない自分に価値はないのでは?
かつての自分の様に
攻様が新人歌手の手を取るのでは?
かつてのパートナーのように
自分もあっさりと手放されるのでは?
受様が徐々に歌を歌えなくなり
攻様との恋を見失っていく様子は
とても切ないです。
小中さんのお話なので
受様が別れを選んでも
攻様との復縁は疑いませんでしたが
途中かなりハラハラでした (>_<)
受様が歌への真摯な思いを取り戻し
攻様が唯一の愛に辿り着いて
本当に良かったです。
今回は年の差モノ&切ない系で
凪良ゆうさんの『雨降りvega』は
いかがでしようか。
両想い確認まで時間がかかるところも
似てるかも(笑)