スイッチが入った瞬間に 理解する衝動がある。

スリーピング・バグ

sleeping bug

スリーピング・バグ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神71
  • 萌×241
  • 萌20
  • 中立5
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
22
得点
584
評価数
143
平均
4.2 / 5
神率
49.7%
著者
京山あつき 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE comics
発売日
価格
¥650(税抜)  
ISBN
9784396784157

あらすじ

好きなら繋がりたい先輩×好きを大事にしたい後輩。

恋愛は、よく分からないし興味ない。
「パートナーを探す機能」がバグってるのかも…?

そんなふうに感じていた潤野は、
“好き=セックス”になる感覚がつかめないまま
IT業界で働く先輩、本郷に、恋のようなものをしていた。

本郷に気持ちを伝えるも、好き=セックスでないなら
それは憧れだと言われ、納得がいかない潤野は――?

レンアイ低温男子の、
眠れる恋心を目覚めさせるプログラムとは?

表題作スリーピング・バグ

本郷,IT業界勤務,会社の先輩
潤野,IT業界勤務,会社の後輩

その他の収録作品

  • あとがき
  • おまけマンガ

レビュー投稿数22

超!超神で!

ああっ!
これよ!
こんなお話しが好きなの!
こうやって、ゆっくり、ゆっくりと、恋とは、恋愛とは何かを探っていくようなお話。
「一緒にいたい」からの、その先へ進むための手掛かりを探して、ずっと探し続けて、ようやく見つけだす。
見つけてみれば単純な言葉だけど、その言葉一つで回路がきれいにつながって、次々と扉が開いていく。
更に、いざセックスとなってからも、すこしづつ慣らして(開発して)行く期間をちゃんと心の揺れと一緒に描いていく展開も好き。
この、あっさりさっぱりした絵柄も、登場するキャラクターたちにすごくあっていて好き。
白背景にシルバーの文字っていう、ほぼ無彩色のカバーデザインも、内容にとっても似合っていて好き。

9

感情をデバッグするのだ!

草食系男子・極み!みたいなうるのくんが、ひたすら感情をプログラムとして解明しようとしていくのが面白い!
恋愛感情はデフォ、自分はバグでシステムエラーが起きてるというところから、最終的には立派なリア充に!!オメデトウ!
本郷さんも大概バグってますが、ふたりとも着地点が一緒になってよかったです。

大学時代のインターンから、就職、会社の買収、起業待ち、本郷さんとの空白の期間、絵柄と同様、すごく淡々と時間が流れているようで、ふたりの言葉遣いや距離感から親密になっていってる過程がうかがえるのも素敵です。
好き、一緒にいたい、という気持ちを理解する上でところどころで出てくる童話的ハッピーエバーアフターの絡め方も「なるほど!」と唸ってしまう秀逸さ。
お姫さまはプロポーズされたから王子様と一緒に生きていくと決めたんだといううるのくん。
対する本郷さんはキスありきで、それを踏まえてのプロポーズだから決め手になるんでしょう、という見解の違いをさらに理解するために、本郷さん視点の話も読んでみたいです。

あっさりしているようで、実はすごく深い。
感情という曖昧なものを、プログラムとして理論的に解き明かすみたいなストーリーは何度か読んだことがあるけれど、ここまできれいに成功している作品には初めて出会えました。

6

大好き

作者さんの作品大好きなのでちょっと甘めかもしれませんが、とってもよいです!

プログラマーの若手潤野と、その上司本郷。
飄々として何にも執着してなさそうで、純粋だけど現実的な若者、潤野。そんな潤野は、仕事ができて気さくな上司、本郷を慕っている。
本郷さんは恋愛に興味がなくて、何人もつきあうけど適当にしてきた身。ドローンが趣味で、ひとりが一番いいとうそぶく。なんか、こういう人ってかっこいいんですよね。ほんとに。

二人は仲良しで、残業を手伝ったり、ラインをやりとりしたりと、会話が自然な感じで空気感がとてもよいです。

潤野の方は恋愛だと意識してないけど、本郷が職場を変えて事業に失敗したときに、本郷を見つけ出し、自分の貯金をはたいて本郷を”買う”という。一緒に暮らすようになった二人。だんだん自分の気持ちに気づく潤野。繋がりたいという欲求が自然にわき起こる。
一方、本郷も、いつもそばにいて自然な存在、好きな人として潤野を受け入れる。たぶん、潤野より早い段階で意識していたんじゃ亡いかな?

ゆっくり、でも着実な二人の世界がとても素敵でした。

2

誰でも知ってる魔法の呪文

やっと読みました^^;
とてもよかった!すごく好きです‼︎
最初、二人の恋愛プログラムはぶっ壊れてる?と思いましたが、
実は壊れてるんじゃなくて作動してないだけ。
後半一気に〝ひとつになりたい〟という甘美なテーマに突入していきます。


上司の本郷が気になっている潤野ですが、借金を抱えた本郷を500万で買うところから同居生活スタートです。
一緒に住むならセックスしないと気が済まない本郷と、
気持ちの方を重視する潤野。
潤野はプラトニックを望む男なんだなぁ〜と思っていたのですが、実は恋愛プログラムが作動していなかっただけ。

潤野が望んでいたのは、愛あるセックスなんだと思う。
恋愛プロブラムを作動させる呪文は「好き」の一言。
潤野って、自分を恋愛欠陥品みたいに思ってるけど、本当はすごく一途で強い執着心の持ち主だと思います。
一度好きになったらその人と離れたくないし、離したくない。
一日中くっついていたような恋愛脳の人なんじゃないかな?
前半と後半のギャップが凄かった!

そして、本郷……
本郷は、恋愛=セックスなんだろうな。
そういう仕様なんだと思う。
でも、そこに愛がないかっていうと、それも違う気がする。
なんとも理解し難いけど魅力的な男でした。

二人でじっくり準備して、やっと体を繋げて……
でも、それでも不安で……っていうのを、これから時間をかけて混ざり合って行こうっていう結論に結びつける。
ここがすごく好き。
パートナーなんて、一朝一夕で出来上がるものじゃない。
生涯かけて一緒に関係を築き上げていくんだっていうラストが、
甘くて愛しくて本当に良かったです^^

前半のサッパリした関係から、後半のべったりくっつきっぱなしの関係への変化が自然で素晴らしかった。
大きな男二人がべったべったにくっついている様子が可愛くて、
ニヤニヤが止まりませんでした。

2

500万のお買い物

◾︎本郷(先輩)×潤野 エンジニア
恋愛感に関するお話でした。ボーイズ"ラブ"作品はどれもラブなんだから恋愛感のお話だろってのもそうなんですけど、もう一歩踏み込んで恋愛を解釈するお話です。
自分の感覚と近しいところもあり、全くとなるところもあり、とても面白い。

そこに関心の薄かった潤野が、ひとつになることを切望し、本郷に丁寧に丁寧にしてもらった後は、毎日のように求めるという展開が好きです。中に入りたい、内臓をくっつけたい。
潤野は恋愛に限らず、仕事についても本郷から新しい価値観を得ているので、500万は安いお買い物だ。人生の伴侶でありたいと思えたなら素晴らしい。

バグだの仕様だの言う彼らが、とても彼ららしくていいです。同じチーム内でしか使えない共通言語でつながっている。
ネコミミさんもいいキャラ。

1

雰囲気が好き

京山先生の空気感好きです!!!
大人のなかなか踏み込みきれない感じやバグと
恋愛を兼ねたモノローグがとっても良い。
『陰にひそんでるバグはそっとしておくほうがいい』とか
ステキだなって思います。。

194ページなんだけど、ページ数以上の読みごたえを感じる。
くっついてからの気持ちの擦り合わせ方も会話のセンスがよく、焦れったさが心地よい。
『体が溶けて、ひとつになってしまいたい』を気持ちの面で丁寧に描いてくれてるのが良かったです!

0

バグのその先にあるもの

「3番線のカンパネルラ」で、衝撃を受けて惚れ込んだ、京山あつき先生。
次に購入したのが、こちらの作品でした。
時間がある時に、じっくり読みたい1冊。
久しぶりに読み返しました。
京山あつき先生の作品は、コミックなのに小説を読んでいるかの様になるのは、全体のストーリーと、セリス回し、決して綺麗とは言えないけど、癖になる絵柄のせいかもしれないね。
タイトルの「スリーピング・バグ」ってのからして、興味がそそられた。
主人公達の職業、エンジニアならではの、「バグ」を愛や恋愛、人生の例えとして表現している所が素晴らしくマッチしていた。
とても良い作品ですね。
ネタバレ無しでオススメしたい。
バグのその先にあったものは、素晴らしいものでした。

0

スイッチはありきたりな「あの言葉」です

大学生の潤野くんはインターンシップに入ったプログラミング会社で先輩社員の本郷さんに「ちゃんとした恋愛を面倒くさがって手っ取り早くヤろうとするからこういう問題が出る(潤野くんはちゃんとした恋愛をやりなさいね的な意味と私は受け取った)」と言われ、『ちゃんとした恋愛…してんのかな…大人だもんな…』と思うエピソードから始まります。
で、「ちゃんとした恋愛」ってなんなんだ?というのを潤野くんが探していく、潤野くんが探していることに気づいた本郷さんもそれを考えていく、という話ではないかと思います。

本郷さんに思慕の様な想いを抱いている潤野くんは本郷さんと同じ会社で働き続けますが、本郷さんは友人に誘われ別会社へ。経営の失敗で多額の借金を負ってしまいます。500万円(多分潤野くんが出せる上限額なのでしょう)を貸すという提案を本郷さんに断られた潤野くんは言っちゃうんです。「オレ本郷さんを買う500万で」「ヨシ売った」

ここから一気に「お約束展開」にならないところが面白い所だと思うんです。
好きという気持ちがあっても、別に本郷さんと体をつなげたいと思っているわけではない潤野くんに本郷さんは「ただ一緒に住むとか…オレはムリ」と言われてしまいます。
恋愛感情を持っているのならば体の関係があるのは当然のことで、そのスイッチが入らないのはバグなんじゃないかと同僚に言われ「『気持ちだけ』はちがう?」と本郷さんに問いかける潤野くん。
これはせつない。私基準で今年最大のせつなさだった。

すれ違っていることを感じつつ、カラダと気持ちについて真摯に話し続ける二人は、互いに対してとても誠実で胸が熱くなります。この真摯な態度から「魔法の呪文(これはネタバレやめときます)」が導き出されるくだりはとても感動的!それが解れば、総てが解るというあの感じが見事に伝わってきて、年甲斐もなく恋愛が人生の重要課題であった頃を思い出してしまいました。

今、恋愛が人生の重要課題である方も、もうそれは過去のことだわと宣っている方も、恋について考えるタイプの方であれば、多分面白く読むことが出来る一冊だと思います。

13

現代版「もののあはれ」

 「好き」と言う気持ちと真面目に向き合う二人の姿がしみじみと胸に染みます。スローテンポで、それでもしっかりと構成されている世界観が、京山さんらしい一冊。華やかな絵とキャラクターの魅力でドキドキハラハラさせるBLではないので、渋好みの方でないと難しいと言うか、ツボにはまらない方は全くピンと来ないのだろうなぁと思いつつ、いきなりギュン!とバロメーターが上がらないので、これから何年先でも読み続けられ、飽きが来ない、貴重な一冊かと思います。
 今作は、身体の結びつきと恋愛感情について、答えを求めて悩む二人の姿がメインに描かれ、IT業界の無機質で機械的な世界と、人間としての感情が対比として浮かび上がり、テーマとテンポと、よく合っていたと思います。
 恋愛経験が乏しい潤野くん(受け)が、攻めと寝てから「もっとひとつになりたい」と焦る姿がとてもいじらしかったです。じりじりとしたもどかしさが伝わって来る、ある意味王道のラブストーリーでした。あと、表紙のデザインがシックでオシャレでした!

5

こんなBL、待ってた!という感じ。

ヒトの本能って? 恋愛って? 性欲って? そんな根源的なことをさら〜っと、淡々と描いた作品でした。

割と感情薄めのポケーッとした主人公が、気になる先輩への思いが「恋愛」であることを自覚して、人が「恋愛」をしたら、なぜくっつきたくなるのか、「性欲」ってなんなのか? そういうことをひとつひとつ噛んで含めるように、自分の気持の変遷をプログラミングに例えつつ言語化・体験していきます。

つながりたい・混ざりたいは…、ベターハーフを求めるアンドロギュノスの寓話などでも語られるヒトの根源的な欲求。恋愛感情が「子孫を残すため」だけのものだとしたら、「異性間以外にも恋愛感情は生まれる」ことは説明ができなくなりますが、こう考えると説明できるわけで。

時間をあけて、もう一度読み返してみよう、と思える作品でした。

4

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