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hankai no hana
高校の同級生で双子のハルとユウ。そっくりな2人は入れ替わって遊ぶ悪癖があったけれど、豊樹だけは見分ける事が出来た。3人で仲良くやっていると思ったのに卒業と同時に連絡が取れなくなり、再会したのはユウの葬式だった…。
3人という危ういバランス、突然の別れの理由がとても切ない。ユウの想いと共にハルと豊樹には幸せになって欲しい。
電灯先生のデビューコミックスとの事で表題作の他に三編収録されているのだけど、どれも気持ちの揺れが細やかに感じられ時の流れに包みこまれてしまう珠玉の短編集。好きなのに離れてまた再会して…稲穂に〜の2人もすごく良い!
大好きな作家様。「52ヘルツの共振」「See you later,Mermaid」が特に好きな作品。
本作が先生の初コミックス。ずっと気になっていてやっと読みました。4CPのオムニバスです。
【半壊の花】前後編の中編
双子のユウとハル、その友達の豊樹の三角関係のお話。あらすじの通り、ユウは亡くなってしまう。三人で過ごした学生時代と、ユウのいない現在が切なく描かれます。
やはり死が描かれるので、喪失感の漂う切ないお話でした。
【扉の向こうの凪いだ海】短編
幼少期のある経験からお化けが怖い大家の緑(仮・受)と、下宿している大学生の凪(仮・攻)のお話。凪は緑に好意があるけど、緑は鈍くて全く気づかず。凪が飄々とした雰囲気で、うまい具合に緑を囲い込んでいきそうなのが良きでした。緑、絶対つかまるな〜w
【嘘つきたちの食卓】短編
人物の名前が出ないことに後から気付きましたw
セフレ関係の料理人(攻)とライター(受)のお話。
仕事の電話してる受けに、後ろからあーんて食べさせるコマ、すごく好き。
受けがちょっと変わり者なんだけど意地っ張りで可愛い。攻めがちょっとヘタレで気持ちが行き違う。最後はほっこり素敵でした。短いけどすごく好きなCP。
【稲穂に帰る道】【稲穂につづく道】
二編で前後編のような中編。
こちらが一番胸を締め付けられて感動しました!両編で泣いてしまいました。すごく良かった…。
前編では高校時代の二人を、後編では数年後の再会を描いています。
稲穂やススキの描き方が綺麗で、早寝先生らしい描写だな〜と思いました。
高校時代の、幸助にドキドキする櫂が可愛い。
後半ラストはもうキューーンとして泣けてしまう。ぜひネタバレなしで読んでほしい素敵な作品でした。
ラストには全CPのその後が描かれていて嬉しい。どれもほっこり幸せになる書き下ろしです♪
短編集って、刺さる作品とそうでない作品がありがちで、普段はそんなに得意じゃないのですが、本作はどの作品もすごくよかったです。
特に「稲穂に〜」が刺さりました、素敵だった〜。
全体的にエロ度低めですが、良い作品はエロがなくても満足感を得られるものですね。
素晴らしいデビュー作でした。読んでよかった〜!他の未読作も少しずつ読んでいこうと思います。
シーモア トーン修正
表題作のほか、三編のお話が入った短編集です。
こちら短編集ながら一つ一つの話にグッとくる部分があって、大好きで何度も読み返しています。
表題作は、双子の顔を完璧に見分けることができる受けと、そんな彼に同時に恋してしまった双子兄弟のお話。
死ネタが苦手なため、表題作は読んでいてちょっと辛くて「大好き❤︎」というテンションにはならないんですが、読めば読むほどグッと胸に来るものがある、何層にも重なる「味」を感じるようなお話です。「死」が絡む話だからか、読むといつも泣きたくなる( ; ; )
表題作のほかに好きなのは、最後の「稲穂につづく道」かな。学生時代の恋と別れ、そして大人になってからの再会愛。
この再会までの過程、そして再会の仕方が本当に素敵で…!ドラマか映画を見ているような気持ちになります。
ストーリー性のあるもの、余韻の残る作品を読みたいという方に強く強くおすすめしたい一冊です。
先生の初単行本なんですね。
先生作品初読みです。
この後、3作読みます。
本作は短編4本。
どのお話もいい。
ほんのり切なかったり、かわいらしかったり。
絵は少し荒削りかな…なんて思うけど(偉そうにすみません)味があっていいと思います。
「扉の向こうの凪いだ海」
緑さんが幽霊もどきを見て怖がっている時、泣いちゃって凪を呼ぶとこ、抱きつくところがとてもかわいかった。
そんな緑をかわいいと思う凪にも萌え〜。
「嘘つきたちの食卓」
不毛な関係かと思えば、その逆で。
2人の本心がお互いのことをとても思い合っているさま、その描写が好きです。
「稲穂に帰る道」「稲穂につづく道」
これがいちばん好き。
稲穂とススキの風景に、ですます調の独白、切ない恋心が合っていて、じんわり感動しました。
この短編を読んでレビューを書こうと思いました。
「その後」のそれぞれのcpの後日談もかわいらしく、萌えがあってとてもよかったです。
あとがきの「手を動かす」という表現、ステキですね。
コマ割り、コマ枠や、詩情的な表現(独白の乗せ方とか)が草間さかえ先生ぽいな〜好きだな〜と思いました(違っていたらすみません)
早寝電灯先生らしい着眼点で描かれた
表題作と他3作の短編集。
デビューコミックスとは思えぬ完成度の高さで、読み返す毎に違う感動がある作品だなと思います。
表題作は切なくて優しくて、ちょっぴり不思議で温かい、色んな表情をみせてくれるお話です。
ユウの全てを悟った寂しげな笑顔にギュッと胸を締め付けられ、
ハルの複雑な胸の内を思っては切なくなり…。
これまで見分けられたことがなかったからこそ共有してきたモノがたくさんあったのに
同じ人を好きになって、感情だけは共有出来ないことに気付いたふたりの小さな約束が
きちんとした形で果たされなかったことがすごく悲しかった。
でも悔やんだり、涙を流す日々があっても
同じ気持ちでいてくれる人が側に居れば強くなれると思うのです。
ユウのおかげでハルと豊樹はきっといいバランスでお互いを支えあっていけるでしょうね。
ふたりのこれからはきっと明るいものになると信じられるようなラストだったなと思います。
初めて読んだ早寝電灯さんのコミックだったのですが、久しぶりに再読してレビューします。
BLにハマりたての頃に答姐で知った作品でした。
琴線に触れるBLか、同録が良いとかそんなトピだった気がします。
4組の短編集で、双子兄弟との三角関係、怖がりな管理人と賃借人、料理人と食べ物に無頓着な物書き、初恋救済ストーリー。
それぞれに作者さんの味が出ていて、心を揺さぶられるほどの強さはないけど、まさに「琴線に触れる」ような作品たちでした。
中でも最終話の「稲穂に帰る道」「稲穂につづく道」は何度読んでも胸がキューっとなり、後に温かい涙が流れるような作品です。
閉塞感のある片田舎で、2人の思い出の稲穂の道だけが手を繋いで歩ける場所だった…もうこの部分だけでもエモい。
今なら多分別れなくても続けられた気がするんだけど、このお話はスマホはおろか携帯もない時代で、遠距離となると同性カップルにはハードルが高かったのでしょうね。
いい時代になったな。
でも顔が見たい、声さえ聞けない、待ち合わせですれ違うなどの切なさがなくなるのは残念な事と思っちゃう自分もいます。
大人になってからのやり取りもSNSとかじゃなくて、パソコンからのメールってところもいいですね。
お互いが当時の思い出にとらわれていたけど、またやり直せそうで心から良かったと思える作品でした。
どの作品もそれぞれのキャラクターの感情表現が作者さん特有というか、独自の言葉選びで表現されていてそれが読者の心に心地よく響いてきます。
それぞれのお話の描き下ろしも、ちょっとコミカルに甘々にその後が垣間見られて良かったです。
早寝電灯先生のコミックスは全部読んでいるのに、こちらは見落としてて()ようやく買えた一冊。
初コミックスは最高でしたし、これが初とか信じられないくらい。
センスの塊のような作家さまですねえ…すごいなあ。
読後部屋にひとりなのに「…うまいっ!!」って叫んだくらい。
短編が多くてページ数が短いのに、短い頁の中でもものすごく上手くまとめてあって、長編大作にも劣らない満足感。決して明るいばかりのお話ではないのに、切ない中にも爽やかさを感じるし、風景が見えるBLだと思います。
描きおろしですべての作品のその後が短く描かれていて、お話が終わったあとも、きっとこの二人は幸せに生きていくんだろうなあ…としみじみ。
すべての主人公たちがとても魅力的でした。
センスの塊でしかない短編集です。早寝電灯先生、急速に好きになってしまいました。
◾︎半壊の花
短編集でこれだけ登場人物がいて、キャラ被りがないのがすごい。双子ですらキャラ被ってない。
◾︎扉の向こうの凪いだ海
凪が緑のことを「緑さん」とか、あんたじゃなくて「あなた」って呼ぶのがすごく好きでした。
◾︎嘘つきたちの食卓
短編であれ、登場人物の名前が分からない作品が苦手なのですが、とても好きなので板挟み。この愛すべき2人の数日間を切り取ったお話、好きです。描き下ろしも愛しい。
◾︎稲穂に帰る道/稲穂につづく道
帰る道、がこのまま終わったらどうしようかとページをめくり、出そうになる涙を押しとどめました。やっぱりどこまでもハッピーエンドが好きなので、再会した2人に嬉しくて結局涙が出ました。美しい原風景。後輩よ、君は最高の働きをしてくれた。
最後まで読んで早寝電灯先生のあとがきの書き文字を見たら、その美しさに「好き!!!」と倒れました。レビューが"好き"って単語だらけだ笑
表題作は切ないですねえ。
双子を初めて見分けた豊樹との三角関係。知らぬは本人だけ。でも本当は…。
楽しかった三人での高校生活、双子の秘密の約束、お葬式での再会。
その夜のエッチは合意?
双子の二人の想いも切ないし、双子と連絡がつかなくなって色々考えてた豊樹も可哀想。
前を向いて二人で歩いていけたらいいな。
嘘つきたちの食卓
本当の気持ちを隠して二人は気軽な関係を続けて。
そりゃあ彼女がいたってわかったらショックですよね、さあ今からって時に。それを引きずって都合のいい関係の振りをする方と、とっくに彼女と別れたのに言い出さず合わせて気軽な付き合いに付き合う方。早く気付いて欲しいけど…。臆病な二人がやっと最後に本音を打ち明けられてどうなるのかな?
表題作がもっと長かったらさらに良かったな。
双子を唯一見分ける人を好きになる双子ってあるあるですよね。でも王道で良し!
◆半壊の花(表題作)
一番余韻の残るお気に入りの作品です。ハルには双子の片割れ・ユウがいましたが、彼を交通事故で亡くし、その葬儀シーンから始まります。双子と仲の良かったトヨが葬儀に訪れ、ハルとトヨは高校以来の再会を果たすことに。トヨは高校卒業直後から、双子から一切連絡が来なくなったことを根に持っているんですが、それには理由がありました。親ですら双子の区別がつかなかったのに、2人は高校で唯一自分達を見分けてくれるトヨを見つけた。互いにトヨに惹かれますが、一足早く行動するハルを見て、寂しがり屋のユウは、自分達が落ち着くまでトヨには連絡しないという約束を持ちかけたのでした。結局連絡できないままユウは故人に。理由を聞いてバカだなぁと返すトヨと決まり悪そうに笑うハルを、なんとも切なく感じました。ハルとトヨがくっついても、2人にとってユウはかけがえのない存在であることは変わらないし、それはユウももう分かってくれるでしょう。ユウとの思い出を大切にしながら、ハルとトヨには明るく生きていって欲しいと思いました。
◆稲穂に帰る道 / 稲穂へつづく道
田舎で付き合っている櫂と幸助。2人を田舎特有の好奇の目や噂話から守ってくれるのは、背の高い稲穂だけ。高校卒業後は上京するという櫂に、未来への覚悟がなかった幸助は別れを切り出し、櫂も受け入れてしまいます。何年か経て、櫂の絵の特集をたまたま見かけた幸助は、櫂のホームページから偽名でメールを送ってみます。何度かやり取りし、櫂の個展で2人は再会。一度は怖くて手を離してしまったけれど、大人になった2人はもう互いの手を離すことはないでしょう。稲穂の中を歩く2人や、櫂の描いた稲穂に佇む幸助の絵が印象的な作品でした。
表紙が気になり手に取りました。
短編集なので期待していなかったのですが、素晴らしい作品群でした。
全体の雰囲気を通して、絵の暖かさと独自の世界観が素敵。
筆者独特のタッチは「垢抜けない・まだ未熟な男の子」の描写が抜群に似合い
ちょっとジレンマを抱えた臆病なキャラクターの描画は見事のひとことに尽きます。
ザ・メインキャラクターというキャラクターよりも、普段は街並みにまぎれているような青年が
密かに悩みや恋を抱えているような作品ばかりです。
中でも私は巻末の稲穂に帰る道、稲穂につづく道がとても好きです。
2話でワンセット、幼い頃の恋と、大人になってからの恋を描いています。
同じ二人の時間を経た愛を描いているのですが若かりし日を知っているからこそ、大人になっても忘れられないひたむきな恋心が切なくてたまらなくなります。
田舎の風景と、大人になっても驚くほど純真な二人が、正体を隠しながら連絡を取り合うところは
読みながら誰もが応援したくなるのではないでしょうか。
ストーリーとしての帰着はとてもスタンダードなのかもしれません。
それでも絵のタッチや、モノローグの使い方で早寝先生の独自の魅力がぎゅっと詰まった
作品になっていると思います。
エロ度は低めですが、胸の温まる作品です。
既刊2冊とも高評価の作家様ですが、んー残念ながら自分には本作も2冊目もあんまりヒットせずでした。
あの人いい人だけどなんかいまいち感性的な部分が合わないな〜って感じの「合わない」に近くて、「扉の向こうの凪いだ海」なんかを読んでいると特にそう思いました。
このお話はつまりのところ、「独りでいる夜に聞こえる木や風の音は心を不安で波立てるけど、誰かと一緒なら同じ夜も凪いだ海のように穏やかになれる」ということだと思うんですが、んーなんだろうな…なんか「気づきはそこなんだ…」って感想しか出ず…
どのお話も繊細で雰囲気は良いけど、グッとくるまでには至らなかったかなーという感想です。
表題作「半壊の花」はお葬式から始まります。
短編2つは可もなく不可もなくですが、強いインパクトから始まったこの本は、最後の「稲穂に帰る道/稲穂につづく道」で大きな余韻となって締めくくられます。
●「半壊の花」
主人公の豊樹は、ユウのお葬式で、ハルと久しぶりに会う。
ハルとユウは親でさえ見分けがつかない双子で、時々入れ替わって誰も気付かないことを楽しんでいた。
でも豊樹だけは二人が別人に見えて、ハルとユウは見分けられたことをキッカケに髪色と髪型を変えて、同じ二人ではなく個人になった。三人は親友として高校卒業まで一緒にいたのに、卒業後、豊樹は双子と連絡が取れなくなる。
そしてユウのお葬式が双子との久々の再会…
ハルとユウは同じ二人なことに安心感があったのだと思う。それが豊樹に出会って個人になって、自分を見てもらえることが嬉しくて、もっと自分だけを見て欲しくなる。
でも今まで二人だったのが個人になることは、嬉しい反面、不安もあった気がする。だからハルはユウの提案「豊樹にどちらかを選ばせない=豊樹に会わない」を受け入れたのだと思う。豊樹がどちらかを選んで、豊樹に見てもらえなくなることも、個人であることが確定してしまうのも怖かったんじゃないかな?
臆病な双子と豊樹の三角関係はユウの死によって終わり、ハルと豊樹の新たな関係が始まります。
半身が消えてしまったハル、豊樹の気持ちに気付いていたユウ、ハルと気持ちが通じても豊樹にとってもユウは大事な親友だったわけで…三人の気持ちを想像すると胸が締めつけられます。
●「扉の向こうの凪いだ海」
一人で居る時は怖くて仕方がなかった音が、誰かの腕の中で聞くと違った風に感じる。”音”で関係や信頼を表現するのが斬新でした。
●「嘘つきたちの食卓」
はじまりは恋だったのに、ちょっとしたすれ違いで、セフレ関係を続ける二人。攻めは健気に受けの食事を作り続け、受けも好きだと言えなくて…
焦れったい話だけど、本気だからこそ臆病になってしまう気持ち、すごくよくわかります!
●「稲穂に帰る道/稲穂に続く道」
2話構成。高校生の櫂と幸助は田舎だから恋人らしいことは何もできなくて、稲穂とススキが隠してくれる秋にだけ手を繋げる。櫂が描く稲穂の風景の中には幸助がいる。もう、なんて幼くて初々しくてかわいいの!
でも進路が別れて離れ離れになるのが不安で幸助は別れをきり出してしまう…
そして大人になって、幸助は東京で働くようになり、櫂の絵を見かけて昔を彷彿させる懐かしさから、別人を装ってファンメールを送り、櫂は幸助とは知らずメールのやり取りを続ける。
櫂が描き続けていたのは幸助の手を離してしまった「懐かしい後悔の絵」。ずっと気持ちが続いてきた絵。
幼い恋のやり直しというより、幼い気持ちが続いたままの恋人としてのリスタート、すごく切ないけれど、淡い幸せが胸いっぱいに広がっていくような余韻がいつまでも続く物語でした。
コマ割り線は幅が微妙に違ったり、黒ペンの置き跡も残る、最近では珍しいアナログらしい漫画です。
絵にところどころ拙さを感じますが、コマの見せ方がうまくて、ここぞってシーンが深く印象に残ります。
そして秀逸なストーリー展開!「ストーリーテーラー」って言葉を軽々しく使いたくはないけれど、早寝電灯先生のデビュー作は心に深く刻み込まれ、「ストーリーテーラー」って言葉しか思い浮かびません。
(『半壊の花』を読んだのはだいぶ前ですが、2作目『転じて恋と生き』を読んでからこのレビューを書いてます。今作で頭をよぎった「ストーリーテーラー」、2作目も期待を裏切ってません!)
短編なのであまり期待していませんでしたが、これは凄くいいです。
かなりオススメします。絵はあまり好みではありませんが内容がよくて全くきになりません。というか、読んでる内に絵もすきになります。
四つのお話が入ってます。短編ものでも満足できるんだ!!と初めて思った作品であり、未だこの本以外で満足した短編集はありません(まだ私が未熟なだけかもしれませんが^_^;)これ短編なのか?と思えるほど内容がよくて、胸にのこります。
一番お気に入りは一番最後の稲穂に帰る道という作品。これ、かなり好きです。田舎の高校生カップルが進路で片方の子が上京し離れ離れになることが怖くて耐えられずお別れするものの、数年後再会する話ですが。描きかたもいいし、切ないけどあったかいんですよ。ハピエンです。短いページ数でよく描けるなぁー凄いなぁと思いました。
いろんなBLよんでますが、泣いた事一度もありませんでしたが初めてウルってきました。悲しくてではなく、なんか、説明しにくいのですが胸にぐっって、きてしまいました。
じわーっとくるいう感覚というか。
改めてページを見ると一つ一つかなり短いのに話をよくまとめられていてこの作者さんは本当に凄いなって感心しました。
短編て大概、なーなーで終わるというか、後は自分で解釈してね、みたいなのとか余韻重視とか綺麗にカッコつけたやつとか物足りないモヤっと感を残すものが多いけど、これはうまくまとめられてます。もちろん続きがみれるなら尚いいとは思いますが
何度も読み返したくなりますし、何度も胸にじわーっときます。
短編集は一冊に一ついいのが、あればいい方と思ってきましたが、これは一冊まるまる全部いいです。
短編のオススメを聞かれたらこれしか思いつかないくらい好きな作品。
デビュー作だなんて信じられない。読んでいて、この方は小説もかけるのではないなかぁと思ってしまう
絵が男性っぽいのであんまり期待してなかったのですがどれも短編なのに長編を読んだような満足感のある作品でした。
特に私のお気に入りは最後のカップル櫂と幸助。
綺麗な田園風景の広がる田舎でまだまだ幼かった高校生の二人が手を繋ぐのがやっとと言う初々しい描写や都会に出て偶然見かけた櫂のポスター、そこから始まるSNSでのやり取り、映画を見ているような時の流れとかこれがたった60ページ足らずの作品だとは思えないような充実感でした。よくレビューで「短編なのが惜しい!」と書いてしまっていましたが、短編でも時の流れや心理描写など深く書くことができるんだなぁと感心してしまいました。
2017年度入って初めての神です。文句なしの神。神を10個くらい差し上げたい気分。
自分でも訳のわからない感情に襲われて、瞼が腫れるほど泣いてしまいました。
断っておきますが決して悲しい話ではないんです。バッドエンドでもありません。
これがデビューコミックスとは末恐ろしい作家さんですね。
今後も絶対に追い続けようと思いました。このような作品に出会えた事に心から感謝したいと思います。
全部で4カップルのお話と、書き下ろしでそれぞれのカップルの続きが入っています。
通常短編集だとどれかは流し読みで終わってしまったり、興味をひかないものが一つくらいはあって当然なのですが、こちらの短編集にはそれがありませんでした。
そしてもっと続きがよみたいなぁ・・・、この設定や内容ならもっと長編で描いて欲しかったなぁ・・・といったモヤモヤ感もありませんでした。
短編という制約の中でしっかりと収まるように、過不足なく100%描ききっていらっしゃいました。
心の琴線に触れてしまってボロボロ泣いてしまったのが【稲穂に帰る道】
人の噂が一瞬で広まるような田舎に暮らす高校生カップルのお話です。
切実に惹かれあって求めあっているのに、周囲の目と両親への罪悪感から恋人らしいことが殆どできない二人。
秋になり辺り一面の田んぼが黄金色に輝く季節になった時、それを背景に笑う恋人(受け)の姿を
「その小さめの姿で 振り返って 稲穂の金より明るく笑う」
と書いていらっしゃるのですが、この文章だけで泣けて泣けて・・・
なんなんでしょうね。
なんでこの一文に心が動かされてしまうのか。
一体どういう仕掛けがこの作品には施されているのか。
そして秋になると背よりも高くのびたススキに隠れて、外で手を繋いで歩けることが嬉しかったという彼らのいじらしさ。
そんな彼らが別れてしまって、大人になってからの再会を描いた【稲穂につづく道】
こちらも読み手の希望を余す事なく描ききっていただいたので、ただただ満足です。
短編集でも長編を読んだ後のような心地よい疲労感。
そして泣いたせいで瞼が重い。
しばらくこの余韻に浸っていたいと思います。
2017アワード直前企画で、新人部門にストーリー重視センシティブBLとしてオススメされていた作品。
4編の作品が収録されていて、どの作品も確かにセンシティブでいいけど、その中でも、最後の「稲穂に帰る道」と「稲穂につづく道」の連作が一番好き。
ザックリまとめちゃうと、高校生の頃、ちゃんと想いは通じ合っていたのに、同性であることと遠距離に離れてしまう事に怖じ気づいて手を離してしまった二人が、大人になって再会するだけの話。
高校生時代は、田舎なので人目を忍んで、背の高い稲穂にかくれて手をつないで歩くのが精一杯の関係だし、大人になっての再会シーンも、再会しただけで終わっちゃうしで、絵柄も地味だし、激しい展開でもないし、具体的なエロ描写だってほとんどない。
でも、モノローグのひとつひとつに、ジーンときてしまう。
伝えたい言葉がちゃんと伝わってくる作品です。
この作品大好きです!
早寝電灯さんは電子書籍のBLinkで「嘘つきたちの食卓」を読んだのをきっかけに知ったのですがコミックを見てどの作品も読み応えがあり素晴らしいのでますます好きになりました。
これから早寝電灯さんの作品が出たら迷わず購入します!
表題作は双子と双子を唯一見分けられる同級生のお話です。 三人の中の誰の視点に立っても切ないお話です。
双子のハルとユウは自分たちをちゃんと見分けられるトヨに惹かれ次第に執着していきます。
トヨがハルに惹かれていると気づいたユウはハルに抜け駆け禁止を持ちかけ二人は高校卒業と同時にトヨとの連絡を断ちます。
交通事故で帰らぬ人となったユウのお葬式で二人は再会するのですが…。
読み終えるまですごく不安でした。
二人がユウを気遣って恋人になり幸せになる事を拒むのではないかと思ったので…。
ハルは双子の片割れを失った喪失感、自分だけ幸せになる事への罪悪感から躊躇いがちでしたがトヨが男らしい性格なのでこの二人は大丈夫だなと思いました。
「嘘つきたちの食卓」も大好きな作品です。
二人ともちゃんと相手が好きでこれは絶対に恋なのに身体だけの関係から一歩も動けない。
傷つくのがこわい、友人としても失ってしまうかもしれない、すごく共感できて切ない気持ちになりました。
「強がりを看破してくれ」がとても印象的でした。
攻めに恋人がいると思い込んでいて本当は傷ついてるのに強がっている受けがかわいそうでした。
攻めは受けのために料理を作ったり洗濯したりすごく尽くしていて優しいのですが、早く彼女と別れた事言ってあげればよかったのに!と思いました。
どの作品も書き下ろしでその後が読めて嬉しかったです。
電子書籍で購入したのですが紙でも欲しいので購入しようと思います。
短編集ですが、どの作品も読みごたえがあり、まるで良質な短編映画を観ているような気持ちになりました。短編なのに、そう思わせない濃密な時間が詰まっている、という感じで…。
繊細で美しいモノローグやセリフの数々、丁寧なストーリー展開、登場人物たちの人間らしい不器用さ…。派手な作品ではありませんが、読み終わったあと心がじんわりとあたかかくなり、優しい気持ちになれます。
特に私は、最後の「稲穂に帰る道」「稲穂につづく道」のお話が好きでした。
「稲穂に帰る道」では田舎の高校生の健気な恋が描かれています。噂になるのことへの恐れや、親への罪悪感から恋人らしいことはできなかったけれど、秋になると稲穂とススキに隠れてこっそり手をつなげるのが嬉しかった、という幼くもまっすぐで純粋な恋心に胸が締め付けられました。
そのふたりは一度別れてしまうのですが、大人になり再会するまでを描いたお話が「稲穂につづく道」です。
バラバラに東京に出てきていたふたりが、とあることをきっかけにメールでやり取りするようになり…という、一途な恋心が再び実を結ぶ様子は、一度別れを見ている分、よかったね…!と心から思える展開で、最後のシーンでは涙してしまいました。本当にいいラストでした…!
描きおろしのその後も、とてもよかった。
モノローグやセリフの言葉が、胸に響く美しさで、絵はまだ少し粗削りな感じもありますが、雰囲気に合っていると思いました。
一話一話が丁寧に作られていて、何度も読み返したくなる(実際に何度も読み返している)作品です。
高校に入学した豊樹(受け)は、ある人気者の双子と出会う。その双子は、親からも間違われるほどの同じ顔をしていたが、豊樹が2人を見分けられることに気づき、懐いて付きまとってくるようになる。双子のハル(攻め)とユウは豊樹に執着していたが、高校卒業後に連絡が途絶え…。
親でも間違える双子を完全に見分けられる唯一の存在、というのは鉄板の萌えだと思います。
誰も自分たちを見分けられないので、見分けられる人が現れるのを待っていた双子。受けが完全に自分たちを見分けられる、と気づいた時の2人のテンションの高さが微笑ましいです。
そのまま友達づきあいをしていた3人。なのに高校卒業後に双子からの連絡が途絶えます。そして数年後、受けは双子の片割れ・ユウが死んだと知らされます。(片割れの死はかなりのネタバレだと思うのですが、本の裏表紙のあらすじに明記されています)
とても切ないお話でした。
自分たちを見分けてくれる受けを見つけて、子供のように喜んだ双子たちの微笑ましさと、その後受けに対する恋愛感情が双子双方に芽生えてしまった切なさとのギャップが大きく、可哀想でなりませんでした。
受けくんの方も双子だったら良かったのにな、とアホなことをつい考えてしまいました。或いは3Pじゃダメだったのかな、とか。
受けが双子を見分け、その内のハルに惹かれた、という流れなのですが、そのハルに惹かれたシーンがワンエピソードしか描かれていなかったのが少し残念ではありました。ハルじゃないとダメだという理由があまりハッキリしなかった。
あと、ユウが可哀想で切なかった。
他にも短編が3本収録されていましたが、どれもとても良かったです。
怖がりなアパート管理人と店子の話、セフレ関係の料理人と物書きの話、田舎の高校生たちが進学を機に別れ、のちに再会する話。
個人的には料理人×物書きのお話が可愛くて好みでした。大人同士のセフレなのですが、最初に関係ができた時にボタンを掛け違ったせいで両片想い状態に陥っている2人。
受けが好きでせっせと料理を食べさせ、世話を焼いているのにちっとも気持ちに気づいてもらえない攻め、天然で生活能力に欠けまくりのちょっと抜けた受け、どちらも大人ならではの可愛らしさで、ニヤニヤしながら読んでしまいました。
描き下ろしの、くっついたあとに同居することになるエピソードにすんごく萌えました。
短編集。どの作品もとても良かったです。
「半壊の花」
双子x同級生。
親でさえ見分けのつかない双子のとりかへばやゲームを終わらせたトヨ。
ハルとユウは「抜けがけ禁止」のルールを勝手に作ってトヨとの連絡を絶つが、ユウが事故死してしまう。
三角関係、とあるけど決して三角などではない。当時からトヨはハルに惹かれてて、トヨにとってはユウとハルはちゃんと別人だった。
2人を同一視してたのは彼ら自身。喪失感は、トヨを得るハルの罪悪感。
「扉の向こうの凪いだ海」
すごく雰囲気のあるお話。設定が良い。
ざっといえば、大家さんの青年と、部屋を借りている大学生のお話。大家さんの緑はお化けの怖がりさんで、大学生の凪はお化けより怖いオオカミさんじゃないの?という…
「嘘つきたちの食卓」
料理人xライター。セフレ?
始まりの時の行き違いから、どうも心がすれ違ったままきてしまった2人。
『潮時だ』と心で思ってるモノローグからのハピエン。もっと早く言えば良かったのに!
「稲穂に帰る道」「稲穂につづく道」
高校時代の淡いけれども真剣な恋心。進路が違って別れてしまった。
何年も経って片や新進画家、片や結局自分も上京した会社員。偽名を使ったメールのやり取り。
そして…
高校時代のほんっとに人目を気にした付き合い、好きだけど別れる気持ち、大人になってからまた思い出すときめき、あの頃個展開いたら行くよ、って言った約束…それは自分自身への約束でもあったんですね。読んでて胸が一杯になりました。
「その後」
各話のその後が、描き下ろしにて少々コミカルに。
早寝電灯さんのデビューコミックス。
表題作を含め4つの物語と、巻末にそれぞれの”その後”が描き下ろしで収録されています。
〇半壊の花(前後編)
入れ替わりをゲームのように楽しむ双子と、それを見破った同級生の物語。
双子の片割れの”死”を起点に、3人が出会った高校時代に遡ることで、現在の痛みや切なさを伴う喪失感が非常に巧く描かれた良作。
特にクライマックスからエンディングにかけてがすごく良かった。
〇扉の向こうの凪いだ海
下宿人大学生と、怖がりの大家さんのお話。
こちらは早寝電灯さんのデビュー作で、眠れない夜に読みたくなるような、絵本のような物語BL。この雰囲気、好きだなあ。
〇嘘つきたちの食卓
料理人と物書きのお話。
男同士のデリカシーのない体の関係。気持ちはあるのに中々踏み込めなくて…
不安な気持ちを表現した物書きのモノローグや泣き顔がとても良い。料理人らしい攻めの最後の台詞もじんわりキュン!『その後』も含め、一番好みのお話でした♪
〇稲穂に帰る道 / 稲穂につづく道(稲穂シリーズ)
『稲穂に帰る道』では高校時代、『稲穂につづく道』では大人になってからが描かれた、切なく瑞々しい田舎の同級生BL。
田舎の噂話への恐れ、両親への罪悪感、そんな中で精いっぱい育んだ淡く幼い恋心。稲穂とススキに覆われてできた、”恋人らしいこと”があまりにも健気で初々しくて涙が出ました。『その後』がめちゃくちゃ可愛かった♡
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先のレビュアー様も書かれていますが、どの作品も引き込まれる物語ばかり。
キャラクターやストーリーが本当によく練られているし、心理描写も非常に丁寧で、それに伴うキャラクターの表情もとっても魅力的。
個人的に最も惹かれたのは、作中のモノローグです。時に抒情的に、また時に恥ずかしい程ド直球。でも、だからこそ胸に響き、熱を灯してくれる。
あと、タイトルセンスがもう、すごく好きです...
奇をてらうストーリー展開や刺激的なベッドシーンはないし、画が少し粗削りに感じる部分もあるけれど、読後じんわり温かな余韻をもたらしてくれる味わい深き珠玉の作品集。おすすめです!
追記:当初”萌×2”と評価しましたが、繰り返し読み作品と向き合った結果、”神”に変更致しました☆
凄く良かったです!!
デビュー作とは思えない完成度の高い作品でした。
とにかく心が揺さぶられました。
絵柄も表紙から受ける印象とは違い、味があって感情豊かに描かれていて好きです。
特に受けがどれも目つきが悪くて男前で真っ直ぐな気性で好き。
表題作は前後編の短いお話なのに、ぐっと世界観に引き込まれてしまい、思わず泣いてしまいました。
短編の田舎の高校生同士のプラトニックな関係性も情景描写が目に浮かぶようでした。
なんて青くて切なくて懐かしいような焦がれるような気持ちになるのでしょうか。
短編でここまで心揺さぶられるのは珍しいです。
その他のキャラクターもそれぞれに生きていて、感情がよく分かるからこそ、一緒に切なくなったり嬉しくなったりできました。
あらすじを書くと陳腐にしか表現できないので、ぜひ手に取っていただきたいです。