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Labrado-rescence
ymz先生の他作品を最近、2冊入手し、温かく優しくきれいな空気感が好きになりました。
全作品揃えて行こうと感じた作家さんの約10年前の作品です。
迷いのあるカメラマン、春次が仕事に行き詰まり、ある日、骨折をして入院。仕事をしなくていい免罪符を手に入れたけど、すっきりしない日々。
同じ歳でため口をきく主治医の睦の距離感と言葉の選び方がおもしろいです。
写真展に来てほしいけど、来てくれたのに気づいた瞬間の微妙な表情が、それからの対話、2人の不思議な距離感が味わえました。
医者と患者でもなければ友達でもない、でも、なんとなく気心知れた感じの2人。気に入った写真が同じ、という感性が近いところ以外は全く違う2人だけど、一緒にいるときの空気感が自然で素敵です。
恋愛じゃなくて、情と情の交わしあいが深まっていく感じ、情緒が素敵でした。
お互いのことが好きなのだけど、その好きをうまく自分で扱えていない感じが、少し切なく、そして甘酸っぱく感じました。
そして自分の気持ちがだいぶわかってからの2人がゆったり会話を交わすシーン、動きがほとんどなくて、睦に至っては座っているだけですが、穏やかで情がいっぱいで、欲がない、2人の対話がとても心地よく胸に沁みました。
そんなとき、春次に、睦の昔の交際相手がいきなり声をかけ連れまわし、ほぼひとりごとのような話をたくさんします。
これまでの2人の対話は、動きや変化はあったものの、静かで穏やかな感じが強かったのが、急に活動的で激しい人が介入してきた感じがしました。邪魔をしたいのかと思ったらそうではなくて。彼女も自分で何をしたかったのかよくわかっていなかったのかもしれません。春次と睦の間にはない、執着や欲の残滓のようなものを感じました。
時間が経ち、すごく自然に一緒にいる2人。
そして、好き、だと言葉にして伝える関係。
とても素敵で、読んで、見ていて、多幸感がありました。
BLではあるけれど、大切なことをそっと教えてもらいました。
睦は親が医者で自分も医者になる事に対して疑問も抵抗もない、そして人に優しくすることに対して当たり前だしそういうものだと思っている。
対して藤代は自分に素直で明るい子です。
お話の中で2人がちょっとすれ違うところがあるのですが(睦が藤代の言葉で拗ねる)
藤代が過去にカメラの不調で近所の方の写真をとれなくて次に会った時に撮ってあげようと思ったけどその方が亡くなってしまい、次の機会がなかったことがありそれを思い出して睦に会いに行きます、
今は今しかないんですよね、
あたりまえすぎて気付きませんでした
そんな些細だけど大切なことを教えて貰えた漫画です。
豊かであれ
というセリフもあるのですが日常の中で思い出すくらい素敵だなと思います。
幸せな気持ちになれる作品だと思います。
表紙が美しくて好きです。
遠景や色のトーンが好みです。
前作の表紙も好きでした。
中身は、前作よりは楽しめました。
お話もキャラも前作より大人で。
文字サイズも少し大きくなり、年寄りには助かります。
日常によくあるような人間関係における心理…うん、そうよね、わかる…と共感できる描き方がお上手だなと。
特に大きなドラマがあるわけではなく、下手したら退屈しそうなところをほぼ2人の会話劇で読ませるところが。
小洒落ていて、日常の人間関係の心理描写がメインで繊細で…絵津鼓先生お好きな方はハマるタイプなのかなと思いました(違ったらすみません)
個人的には、医者と写真家の仕事面がもうちょっとリアルに感じられるような絵や描写であればなおよかったかなと思います。
睦が好きでした。
完全に好みですが(5☆満点)
すごい ☆☆
面白い ☆☆
内容が好き ☆☆
絵が好き ☆☆
キャラが好き ☆☆
萌える ☆
ymz先生初読み。
で、何も知らず勝手に子供/中学生くらいの話かな、と勘違いしてました。
読んでみたらちゃんと大人の話で、しかもなかなか深かった。
写真家が頭を打って倒れ、その上手を怪我する。
悲劇から始まる?と恐る恐るだったけど、病院の主治医とのやり取りから全てが始まっていくこの感じ…
結論から言うと、エロなど無いです。それどころか恋愛の空気感も薄い。
写真家の怪我は大したことなくてすぐに退院。(←よかった…)
なんとなく言葉を交わした医師。第一印象は逆に悪かったようでもあり。
でも作品展に誘う。
そこから友人付き合いが始まるわけだけど。
お互い別にゲイでもなんでもない、それどころか普段から愛だの恋だのから遠い感じの2人が、ぼんやりと特別な存在になっていく感じ?
ぼんやりとした特別…って何よ?とも思うわけだけど、すごく日常的な交流から始まる2人がいい。
地味な黒い石、だけど光の当て方で微妙ないろ、輝きが見える…見ようとする人にだけ。
絵もさらりとラフな感じ、だけど意外と書き込みは細かい。そんなところも作品の空気感とあいまっている。
(しかし、睦の自称元カノはウゼーな。私も春次みたいにイラっときたよ)
ymzさんの「ハイ·ファイ·ランデブー」と一緒に購入させていただきましたが、本作「ラブラド·レッセンス」は大人の中にある少し子供のような純粋な部分を描いた作品です。
主な登場人物は、写真家の春次と医者の睦の2人です。
ある日、春次が目を覚ますとそこは知らない場所、病院でした。前日、春次は仕事の疲れなどが積み重なり階段から落ちてしまい、その弾みで落ちてしまったカメラを庇って手を動かせなくなってしまいました。春次は写真を撮らなくてもいい理由が出来た事に安心感すら感じていました。そんな中、春次の担当医である睦は、タメ口で接してくる上、態度も偉く、「なんでタメ口なの」と聞けば、「同い年だったから」と当然のように返ってきます。睦の態度に少しイラつく春次でしたが、睦と接しているうちに写真を撮ることの意味を見つけ出していきます。また、睦からみても春次は休憩中にタバコを求めてきたりと、少し困った患者のようでしたが、春次と一緒にいる何気のない時間がお互いに大切なものとなっていきます。
二人の間にある暖かくて何気のない空間がそこにあるどんなものよりも心地の良いもののような気がして、読み進めていくうちに、漫画を読んでいるという感覚よりも、二人の日々を覗いているというような感覚になっていました。
本作品の二人も登場する、ymzさんの「ハイ·ファイ·ランデブー」も一緒に購入していただくことをおすすめします。「ラブラド·レッセンス」に描かれた後の二人についてが描かれています。悩める青年たちに手を差し伸べる存在となっておりますので、是非本作とセットで読んでいただきたいです。
語彙力がないのが申し訳ない~…とても良かったです。
ymz先生の絵、好きなのですが、植物(主に木かな)が多く描かれていてそれがただの背景なんだろうけれど意味のある存在になっているというか。モノクロなのに光と影がきらきらしているように見えて綺麗。
あと背景の描きこみ方もすごい好みです。
今作は医者と患者設定で出会い、始まるストーリーなのですが、そこから始まる2人の関係がとても自然。真逆なようでいてとても相性の良いふたりの会話は無理がなく心地良いです。
恋と自覚してからもたもた…みたいなのはほぼ無く、好きだって感じた瞬間が2人同時にぱちっと合わさったラストはあまりにも自然で、後から「男同士とかの葛藤はなかったんかな…」と思ってしまうほど。
こんなに心地良い相手、見つかったら幸せだなぁ〜
しかし、なんでBLに出てくる元カノとか女の人ってこんな気が強い人が多いんだろ。なんか意味深な言葉残してさってく、みたいなのは(大事な役割なんだろうけど!)むむ〜っとなってしまいました。個人的にBLに女性の当て馬とかいらんタイプっていうのもありますが…
コマも多めなので1冊なのに凄い読後感。漫画って言うかほんと読書感覚でじっくり読みたい1冊です。^^
うーん。好きだなぁ…
やっぱりymz先生の作品と世界観は、良い。
エロじゃない。だけど、好きの先にはセックスは有るんだろうなとは思う。
作品中には、セックスの場面はないです。
だけど、互いが愛しくて、生きている意味さえ変わったり、生きる価値を見出だしたりする。
とにかく、相手に吸い寄せられるように近づくのが読み手としては堪らないわけです。
ymz先生の作品は、逆順読みです。新しいものを読むと、更に過去作を読みたくなる。不思議な居心地が良い話と、作画が本当に魅力的。
睦と春次が、吸い寄せられるように出合って、始めから遠慮なしで話したり、会ったり、ご飯食べたり。
あまりにも自然過ぎる。ガツガツした焦りは有るかも知れないけれど見せない。
人に頼れない睦が、素を出せる春次。春次も、頼られたり甘やかしたりはいやじゃない。
ただ、夕食を作るのだったりしても「作る間に寝て良い」なんて春次が優しい。
春次がラブラドライトを、睦に送るんです。石が、悪い方にいきそうになると戻してくれる。いつも側にいられないから。お守りって。
この場面を読むと、じわじわ気持ちが揺り動かされる。
ああ、自分だったらやっぱり春次と同じように思うだろうなと考えるんですね。
もう、読んでいると自分が浄化されていくような気すらしてきますね…
ymz先生の世界観は、やっぱりymz先生の作画有ってこそ。
木漏れ日とか、夜の灯りとか明るい日中の風景は、はっとするほど美しいなぁと思いました。
この作品が好きすぎて、ラブラドライトの購入を真面目に検討しているところです。
先に『ハイ・ファイ・ランデブー』を読んでしまったのですが、
私はこちらの方が好きでした。
医師の睦と写真家の春次が出会い、
恋人になっていくまでのお話です。
誰にでも優しくて、少し不器用で素直になれない睦が、
天真爛漫で素直な春次と出会い変わっていきます。
後から考えてみると、
春次は終始全然ブレていなかったように思います。
睦の事をよく理解し、受け入れる春次は、
とてもいい男だと思いました。
睦が言った、「不平に対して不満に思っている」という言葉が、
睦の性格をよく表していると思います。
どういうことかというと、
要するに〝嫉妬している〟という事らしいです。
素直になれず周りくどい言い方しかできない睦の不器用さが、
よく現れていると思いました。
告白も春次に言わせましたね^^
少しずるいけど睦らしいと思いました。
お互いを理解し、一緒にいることが自然な二人に癒されました。
とても優しくて温かい気持ちになれる作品です。
ymz先生の作品についにハマりました。
「さよなら、ヘロン」と、"2人の人間性が相対したときのストーリー展開"が全然違ってますね。こちらが断然好きです。
写真家の藤代は入院した先で医者の睦に出会う…というストーリー
ストーリーをもう少し書こうと思ったのですが、なんとも書くのが難しいです。2人は変化しているようで、変わっていないようでもある。出会った時からそれぞれが特別だった節もあるんだよな。
モノローグより、会話で展開していくシーンが好きでした。藤代と睦の会話に限らず、佐藤(睦の同僚)と睦とか、睦の元カノと藤代とか。藤代と睦の会話なら告白シーンがいっとう好き。名告白シーンです。
決してくさす気持ちはないのですが、神評価にするとしてやられたって気持ちになっちゃうと思って萌2にするか迷いました。なんだろう、ハメ技使われた気分というか笑
明るい写真家の春次と無愛想な医者の睦、一見対象的な二人がなんとなくお互いに惹かれあって恋だと気付くまでのお話です。
甘さがあんまりないからかじれったい感じはなくて、気付いたら一緒にいると心地よくてあれ?なんかあいつのこと優先してるぞ?という流れになっています。
現実ロマンチックな事とかそうあるわけじゃないし、この流れが自然に感じます。
もうちょい切なさがあってもよかったな。でもそうするとこの作品の世界観は失われるしなぁ。
最後まで濡れ場はないのですがとにかく心情描写が上手く、魅せるなぁという印象が強く残りました。特に医師である睦の繊細な気質は言葉で表現するのが難しい類のものだと思うのですが、すとんと腑に落ちるくらい納得しやすかったです。不器用な睦には、多少図々しいくらいに踏み込んでくる春次の存在が意外にもしっくりくるんだなぁと。春次といると、自分の欲しかったものを思い出すという睦の台詞が大好きです。春次も何も考えなしにずけずけと他人の領域に踏み込むわけではなく、口では強気ながらも思いやりのある青年なので、そこが睦に壁を作らせずすんなり受け入れてもらえる理由なのかなと感じました。あまり糖度の高くないカップルではあるのですが、そこがリアルで良いというか、お互い素を晒して言い合ったりしながらも心地の良い空間を築いているところが素敵だなぁと思いました。
この作品を読むのはもう何度目か、というくらい読み返しています。
何度読んでも色褪せず、いつも心が洗われたような気持ちになれる作品。
夢を追って写真を撮り続ける藤代と親の姿を追って医者になった日賀。
藤代の怪我による入院で知り合ったふたりの話です。
明るくて素直な藤代とぶっきらぼうな日賀は本当に正反対。だからこそ惹かれ合う気持ちがとても丁寧に描かれています。
好きなことをやっているはずなのに疲弊して逃げ出したくなっていた藤代は、日賀の仕事に対する姿勢を通して自分が見失っていたものに気付く。
ただ医者として患者に頼られる存在になることだけを目指してきた日賀は、藤代と一緒にいることで初めて肩の力を抜くことや誰かに甘えてもいいということを知る。
この作品はBLではないのです。藤代と日賀がお互いに影響しあう姿を見て、自分も誰かにとってこうありたいと思える自己啓発本。というのは言い過ぎかな。
味のある絵の雰囲気も好きですが、言葉も良いです。いちいちメモしたくなるような台詞やモノローグがたくさん。だけど「決め台詞!」という押し付けがましさは一切ありません。すごくナチュラルにそれぞれの場面に馴染んでいるから余計にすんなりこころに入ってくる。素晴らしいです。
ただ日賀の元カノのところはちょっと微妙だったかなという気がしました。藤代が自分の気持ちを自覚するきっかけではあるけれど、あまりいい流れではなかったと言うか、あそこだけは取ってつけた感がありました。
日賀が自分だけに優しいと思っていたら誰にでも優しいひとだと分かって、自分だけの優しさにできないならいらないと別れた元カノ。こういう場合藤代は元カノのスタンスとは真逆でないと効果が感じられないのですが、それまでに特に日賀がみんなに優しいということに関して藤代が何か思うような場面がなかったせいで「ん?」となってしまいました。
それならむしろ「優しさ」押しではなくて、「素を見せてくれたかどうか」の方がしっくり来た気がしました。あ、でも「みんなと同じ優しさしかもらえなかった」=「外面」ということだったのかな。
タイトルの「ラブラドレッセンス」は作中にもラブラドライトという天然石の光のことと出てきますが、調べてみたらラブラドライト全てがそういう光り方をするわけではなくて光らないものの方が多いとか。光を当ててみればいいというわけじゃなくて「これぞという石に光を当てたから光った」というところが、藤代と睦の唯一無二の関係をよく表しているなと思いました。このふたりはどちらもラブラドライトでどちらも光なんですよね。
それに中黒がついていることで「アドレッセンス」もかかっているのかな、と。青春時代や若い頃のように、何かに影響を受けて自分が大きく変わる時期。という深読み。
また何度でも読み返そう。
タイトル、めっちゃセンスいいなぁって思いました。
作中で、「ラブラドレッセンス」がどんなものかっていうのが
出てきますが、よくこんなもの見つけてくるなぁっていう
単純に、すげぇって思いました。
二人の関係の描き方がきれいでした。
というのも、「好き好き」と相手を責め立てることもなく
男性同士の恋愛に対する、よくある悶々系もなく
すごい、自然な流れでお互いを好きになったなぁと
友達の延長なんだろうけど、友達の好きではなくて
ちゃんとお互いを恋愛対象として好きっていうのが
こんなに淡々と、イチャイチャもそうあるわけでもないのに
伝わってくるんですよね。
なんか寧ろ長年連れ添った夫婦のような
付き合いたてのカップルの様な、お互いを思いやる親友同士のような
あーこういう関係っていいなぁって
ちょっと羨ましくなりました。
おまけ漫画で、ちろっとHシーン?があって
それがまた、なんかほほえましくてよかったです。
「ハイ・ファイ・ランデブー」にも二人が出てるので
その後のふたりがちろっと出れてテンション上がりますが
がっつり読みたくなるから、逆効果でした。。。
このお話の主人公は医者の睦と写真家の春次という二人。春次の怪我入院で出会います。主治医と患者という立場は早々に終わって、友人とも言えない知人のような関わりがスタートします。
タイプが全く異なるお互いにないものを持ち合う二人。
二人はノンケ同士だと思います。私は普段、ノンケ同士がすんなり葛藤もなくくっつくとかなりの違和感を覚えてしまうのだけど、この作品に関しては、同性がどうのこうのと葛藤しなくても全く違和感を感じないんです。それってかなり凄いことだと思うんです。
それは性別を超えた感覚というか、その人が自分にとって特別な対象となっていくのってこういう事だねっていうのをじっくり味わえるから。
タイトルの「ラブラド・レッセンス」はラブラドライトという天然石の光のこと。
見る角度によって光の色が変わるので見ようと思わないとただの石だけど、見ようとする人にだけその美しさを見せてくれる光。
知人とも友人とも違う、恋人にしか見えない、見せてくれない光。それを一番近くでいろんな角度から見ることができる。
恋人って何だろうというそのものを表しているかのようで、初めてそれを知った時はなんて意味深い、素敵なタイトルなんだろうと感激しました。
この他にもところどころ意味深いセリフが散りばめられていて、雨の日にでもゆったりとした雰囲気の中で読みたい気分になる作品です。
新刊のハイ・ファイ・ランデブーを読んだらこの二人も登場していましたよ。
平坦でいて、人と人とのつながりのなかで大事なこと、幸せなこと、気付かなければいけないことをたくさん描いている漫画でした。BLだからと言って読まないのはもったいない気さえしてくる作品です。あまりよろしくないかもしれませんが、BLに興味ない人にも薦めたくなる作品です。
そもそもBLというより人を好きになるとはなんたるか、どう人を好きになっていこうか、というのを考えさせられる作品です。タイトルも本編に絡めて光るセンス!表紙も日差しの光の具合が淡い宝石のようで素敵です。
ymz先生の登場人物の感情を生っぽく描く表現が好きで今回の作品も楽しみにしていましたが期待以上でした。素晴らしい作品をありがとうございました!
さよなら、ヘロンから読みとても良かったのでこちらも読ませていただきました
blの濃い恋愛と性愛描写は大好物です、が、私は稀有な関係性とか自分の意思に関係なく堕ちていく様をなによりblで見たいと思っています
ラブラド・レッセンスは一目で分かるエロも情熱もないけれど間違いなく素晴らしいbl作品だと思います
ついこの間ストレートの男友だちにblとはどういうものなのかを説明した時に、「エロがあればいいというものじゃないんだ!」と熱く語ったのですが正にコレ!ですね
人を丁寧に好きになるということが描かれている本です
今日の私は、長期連載コミックス化まとめ読みの日。
とは言っても、この作品は連載期間2年で6回だから素早くまとまった方かな。
でも、ページ数、分量的にはコミックス丸々一冊、読みごたえはしっかり。
元々男性が恋愛対象ではなかった、というか、恋愛そのもの、それ以前に対人関係を築く事すら不得手だった医師・日賀睦が、事故で緊急入院した写真家の藤代春次と出会って、何度か会っているうちに、少しずつ、少しずつ、お互いがお互いを思う気持ちが恋愛だと気づいていくお話。
最後までエロ無しなので受け攻めも明らかにされていませんが、このまままったり夫婦になってしまいそうな、そんな緩いハッピーエンドも、また、いいかなと思える二人でした。
カメラマンの春次は、階段から転落する際カメラをかばったせいで頭を打ち、病院に搬送された。主治医となった睦は初対面からタメ口をきく、何を考えているのかわからない男で春次を苛立たせる。その一方で睦が気になって仕方がない春次は、何かとつきまとい、退院後に交流を始めるが…。
独特の雰囲気のある作品でした。
本編では受け攻めは判明せず、キスシーンすらないほのぼのな進展です。でもじっくりと育っていく気持ちが見えるので不足は感じませんでした。
どこからふたりの気持ちが恋愛感情になったのかな、と考えてみたのですがわかりませんでした。頭をなでられたときかなぁ。もっと最初の方の、写真をプレゼントされたときかなぁ。わからなかったけれど、間違いなくどこかで恋に落ちたんでしょうね。
本番がないので受け攻めはわかりません。そもそもお互いに肉体関係を求めているのかどうかも疑問。(カバー下のおまけマンガにて、そういう関係があるのだけは判明しました)
精神的につながっているだけで、かなり満足できるような恋人同士だと思います。
沁みました、心に
大人になっても抱えてる自分の人には見せられない弱さ、脆さ
それを見せられる相手に巡り合えた睦
医者という職業柄人に頼られなければならないとプライベートでも分別出来なかったんです
優しさを与える事は出来ても、無条件に優しさを与えられる事に慣れずに距離をとってしまって...
そんな睦にゆっくりと時にぐっと近づいていく春
素直に言葉を紡ぐ春を羨ましく思う睦
徐々に近づく距離
写真家の春は写真は一場面しか切り取れない
でも、そこには映らない背景が大事
見えない所に本質、本音はあると知ってるんです
そういう人が側にいる事で見せれない自分を気遣って貰える安心感に心が開けて、甘えられる様になっていく睦
この見えない所にある本質がこの作品のキーポイントで所々に散りばめられてるんです
ymzさんのセンシティブな作品の真骨頂だと思いました
不器用で自分の本音を明かせず、甘えられない睦
素直で敏感で時に強引な春
最後に結ばれたのは最早必然でした
素晴らしい小説を読んだ時の共鳴感を味わいました
ymzさんの描く心模様、キャラに心が潤い救われる気がしました
そのままでいいんだよ、って肯定して貰ってる様で
所謂分かり易いBL萌えではない作品ですが、だからこそ最後のキスシーンにキュンとしました
BL界では稀有な作品を描かれるymzさん
私は大好きです、これからもずっと応援していきます
ymzさんの新作、楽しみにしていました。
前作『さよなら、ヘロン』と比べ、シリアス度は低め
沸点と甘さもかなり控えめなのですが
ymzさんの作風というか、感性ってすごく魅力的なんですよね。
医者の睦(むつみ)と写真家の春次という
普通なら接点のない職種で性格も真逆のふたりが知り合うことで
ゆっくりと動き出していく物語です。
出会いは医者と患者として、
そこからはじまるちょっと不思議な交流。
不思議と思うのは、真逆のふたりが違和感なく
理解し受け容れ合っているからで、
友達や恋人とはちょっと違うけれど
互いを尊重し、そのままで良いよって、大丈夫だよって言い合える
パートナーのような関係性として描かれています。
忙しい中で時間を作って会うこと、
一緒にごはんを食べること、電話で声を聞くことー
それは、代えのきく存在じゃないこと
誰でもいいわけでは決してないということ。
視点は、はじめは春次、そして睦、
睦の元カノからまた春次へと滑らかにバトンタッチされ
それぞれの想いが縫い、紡がれていきます。
睦の元カノさんの飄々としたキャラがとても好きです。
女性として、彼女が睦に求めていたことがよく分かるし
春次へのちょっと切ないエールもすごく良かった。
”ラブラドライト”という鉱石について
はじめて知ったのですが、とても素敵ですね。
調べてみるとこの鉱石は、自信を失いかけた時、
生きる意味を語りかける効果を持つらしいのですが、
ふたりのパートナー性にぴったりだと思いました。
終盤になって、ようやく自分の気持ちを明らかにするふたり。
自分の家の鍵を自然に渡す睦、
ラブラドライトと共に、仕様がないやつと言いながら
好きだと睦に気持ちを差し出す春次。
色気も甘いロマンスもなく
通常運転の延長上にある、ごく平坦なテンションなのだけど
その自然さが逆にグッとくる。
巻末、『after story』でようやくふたりのキスが見れます。
が、期待するなかれ、やっぱり糖度低めです(笑)
それでも、当たり前じゃないそこにある温かさや幸せが
じんわり伝わってくる素敵なお話となっています。
”萌え”とは明らかに違う。
でも、呼吸するようにごく自然に相手を求め、
一緒にいるふたりが描かれる今作が魅力的だと思うし
ymzさんの作品が好きだなあと改めて思える、そんな一冊でした。
目を覚ますと病院のベッドにいた写真家の春次(しゅんじ)。
納得のゆく作品が撮れないことと腕の骨折が重なり、写真をやめようかと弱気になるが、主治医の睦(むつみ)の何故だか偉そうな態度と「大丈夫」という言葉に不思議と元気づけられる。
ぶっきらぼうで、でも優しくて、どこか本心の見えない睦。そんな睦を知りたくて、春次は食事に誘ったり彼の家へ料理を作りに行く。
睦もまた、春次の素直な明るさに惹かれて笑みをこぼすようになります。
そうして少しずつ時間を重ね、互いの心のなかにある見えないもの、大事にしていたはずのものゆっくりと思い出し、知っていく。
とてもゆったりとしたお話です。
作中にも出てきますが、タイトルの【ラブラド・レッセンス】とは、鉱石である"ラブラドライト"の特性。見る角度や個々の石によって様々な光の色を見せるこの石の特徴をそう言うのだそうです。
『見ようとする人にだけわかる光』
相手がくれる優しさも、愛情も、正直さも、受け取り方は人それぞれで、良くとる人もいれば悪くとる人も必ずいる。その人のもつ魅力や人間性というのは見る人によって七色に変化します。
言葉も感情も、ついでに行動も素直でよく笑う春次。
他人への深い優しさをもちながらも、感情や言葉を現わすことが苦手な睦。作中に登場する睦の元恋人なる女性は、誰に対しても等しく優しい睦の人柄を理解することができませんでした。
対する春次は、それが睦のありのままの姿だとあっさり言います。
また、感情を表に出せず持て余す睦にも「お前はそのままでいいよ」と素直に言葉を伝えるのです。
物語の全体的に恋愛や萌という要素は薄いです。
前作のお話もそうでしたが、どちらかといえば人間性などをベースに、一人と一人の心の交わりを緩やかに、温かみのある味わいで描いています。
最終話での睦の色々悟った顔というか、春次を見つめながらふと気付いたらこんな処に行き着いていたよ、というような表情はとても印象的でした。
睦の本当に欲しかったものを思い出させてくれる春次。
明るい彼の光は睦の優しさも不器用さも柔らかに受けとめ、春次もまた睦だけのもつ小さな光を愛しく思っています。
何かあげたい、返したいという想いに満ちたやりとり。穏やかな雰囲気に包まれた素敵な終わり方だと思いました。淡く色づく表紙がそれを現わしているようです。
巻末、カバー裏に後日談があります。
睦よりも春次が押せ押せって感じで可愛らしいです。
今回もymzさんの魅力あふれる一冊だと思いました。
1回通して読んでみただけだと面白さはわかりにくいかもしれない。
セリフや間など空気感を味わうタイプの話な気がします。
また、2人のトラウマや欠点的な部分も匂わせてるだけで深く描いてるわけではないので相手に出会ったことで解消されていくカタルシスを得るものではなく、やんわり、じんわりと解消のようなものがなされてる。
あと、カバー裏とかも見て思いましたが、作者はあえて読者に見せる情報をカットしてるのかとも思いまいた。好きになる過程がちょっとあっさり感もぬぐえません。
前半あたりは淡々としていてラブラブしさもなく、後半でも相変わらずなのですが、女性のライバル?がいいアクセントになっています。
睦(黒髪の方)の元カノのがちょっと主人公的な回があるのですが、彼女の気持ちに共感してしまいます。
「なんで忘れてしまうのかしらね」
彼女のセリフは印象深いです。
それ以外にも2人のセリフは読み直してああいいなあと気づくものもあります。
それと絵で描写されてるのはキスまでです。