あの日、制服で

anohi seifuku de

那一天 在制服下

あの日、制服で
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神125
  • 萌×265
  • 萌31
  • 中立8
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
34
得点
986
評価数
234
平均
4.3 / 5
神率
53.4%
著者
中村明日美子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックスDX
発売日
価格
¥629(税抜)  
ISBN
9784799724385

あらすじ

卒業式で告白されて5年。
飲み会で再会したアイツの薬指には指輪があった。
「てかお前、俺のこと好きとか言ってなかったっけ」
俺の言葉にアイツの表情は揺らぎ……。
心が震えるほどの感動と痛み、青春の輝きと影を描いた、
十代の恋にまつわる6編のオムニバス。

表題作あの日、制服で

リーマン,高校の卒業式で受に告白した同級生
リーマン

同時収録作品A先輩

高校の美術部の先輩
B先輩に片思い中の美術部の後輩

同時収録作品中学3年生

中学3年生
目立たなくて暗いクラスメイト

同時収録作品裸の僕

高校生

同時収録作品転校生

高校生
転校生

同時収録作品ニコイチ

大柄な高校生,幼なじみ
小柄な高校生,剣道部

その他の収録作品

  • 今夜、あの日に(描き下ろし)
  • あとがき(描き下ろし)
  • カバー下:カラーイラスト

レビュー投稿数34

同じ制服で

◾️あの日、制服で
「同級生」の2人とは違う道筋を辿った過去"同じ制服だった2人"のお話です。この短さで、ありきたりとも言える設定で、中村明日美子をここまで押し出してくる先生の力がすごい。タイトルの勝利。

救いがない沼のように見えて、収録作どれにも優しさを見出せるところが不思議です。剃毛や女性下着/女装が収録されていても、ただのフェチシズム集とは違う一貫した空気がある。
「裸の僕」の優しさなんてすごい。報われなかったものと、報われなかったものの間にある共鳴。共感とまではいかなかったかもしれないけれど。

1

読んで良かった!

表題作の「あの日制服で」と、書き下ろし作品である「今夜、あの日に」が二つ合わせて一つのストーリーがようやく完成するような構成になっていてとても良かったです。

また、「裸の僕」では受けちゃんが攻めの先輩のことが大好きだけど結局ダメになっちゃうお話で、攻めの先輩はあきらかに受けちゃんのことを遊び目的でからかっていただけな様子だったけれど、別れを繰り出す時にキスをして「ごめんな」と一言だけ言うのが切なかったです。

もしかして先輩は、順従な受けちゃんのことを本気で好きになりかけてしまっていたけれど、学校という閉鎖空間でホモというレッテルを貼られることを恐れて別れを切り出したのかもしれない...と思いました。読む人によって感想が違うと思うので、腐女子友達と本作品について語り合っても楽しいかもしれません。

そのほかにも、余韻の残るような素晴らしいお話がたくさん詰まったとても良い短編集でした。

1

爽やかにいやらしい

 表題作以外もすべて学生もので、どれも異なる背徳感や若いからこそ感じられるいやらしさがありました(厳密には表題作では回想として学生時代が描かれています)。すべての短編に濡れ場があるにも関わらず、けっしてエロエロなんていう安直な言葉が思い浮かんでこないのはさすが、中村先生といったところですね。10代のキャラばかりなのに、どれも儚く官能的という言葉がぴったりでした。

 ハピエンと悲恋が混ざっていますが、やはり前者である『中学3年生』と『ニコイチ』が好きです。『中学3年生』は大人ぶって誘い受けのような真似をし攻めに一線を引いていた受けが、攻めに強く諭されてようやく中学生らしい幼い表情を見せたのが堪りませんでした。『ニコイチ』は硬派なビジュアルの攻めがぶっきらぼうながらも真っ直ぐに受けに想いを伝えるところに萌えました。

 悲恋ではありますが、『裸の僕』も余韻が残りましたね。先輩に悪気があったわけではないと思いますが、必死の思いで告白し、何でも先輩に言われた通りにそういうことも行ってきた後輩が振られるところは切なかったです。引き止めようとする表情がとても印象的でした。『A先輩』は、受けが本当に好きだったB先輩に手酷い仕打ちをされてから初めて、今まで自分がいいように利用してきたA先輩の顔がちゃんと描かれるという演出が良かったです。人の本質を見抜くって難しいよなぁと思いました。

0

出会えて良かった


神、です。

中村先生の作品が人気なのは知っていたのですが絵柄がいまいち受け入れられず読まずにいたのを、ふと手を出してみたのがO.B.シリーズでした。そこからあれよあれよと中村ワールドのファンになっていき、こちらの作品も読んでおかねばと購入した次第です。
中村先生がお好きな受けなのであろう、O.B.シリーズの佐条タイプ(黒髪切れ目眼鏡三白眼受け)が私も好きなのでこの短編集はとても眼福でした。

私自身が学生生活から離れたためか近頃は学生モノは敬遠気味だったのですが、そうではなかったようです。作品の雰囲気が自分の嗜好にハマるかハマらないかという問題でした。とてもとても好みです。

それと短編集というスタイルも、もともと私は短い話がまとまりなく集められたものには少し嫌悪感というか不完全燃焼感というか、物足りなさを感じていました。もちろん素晴らしい短編集がたくさんあるであろうことはわかっているのですがどうしても食わず嫌い気味で…。同時収録がより少ないものを選ぶ傾向にあったのですが、この「あの日、制服で」に出会ってその認識は覆されました。
「学生・学ラン・10代の曖昧で煮え切らない無垢で歪な気持ち」というテーマ(あくまで私が感じた主観的なテーマ)に沿って描かれるこの短編集はそれはそれは素晴らしい短編集です。
素晴らしいだの素敵なだのしか出てこない自分の文章力が憎いほど。

学校生活という社会とは全く違う、隔離された世界に生きる男子学生たち。良くも悪くもそのひとつの世界しか知らない彼らの、まっすぐで、歪で、美しくて、残酷で、無垢なお話。
「エロ度:エロエロ」が半数を占めるこちらの作品ですがエロエロというよりはそこかしこに溢れる色気です。致している描写は多いもののそれを上回るストーリーの良さ、構図や間の使い方から溢れ出る色気がすごい。これは中村先生のどの作品にも言えますね。短編集でこの満足感は神評価に値します。


同性愛者であることを蔑む人物がいたり女装をする人物がいたりレイ○されたり気持ちがないまま抱いたくせに捨てる人物がいたりと、なかなか読む人を選ぶと思います。地雷だのなんだのとうるさい近頃のこの界隈ですがもともと個々人の趣味ですから好きも嫌いも当然あります。なのでここのレビューを読んでいる不特定多数の日とに無作為に「この漫画めっちゃいいよ読んで!」とは言いません。あくまで読書感想文という体で。

バッドエンドのような、ハッピーエンドのような、読む人の捉え方や気分でどちらにも転がるお話がはちゃめちゃに好きなので、中村ワールドのこの作品に出会えてとても嬉しいです。
表題作はバッドエンドですが最後のシーンが美しく、「○○していたら」が叶っていた場合の「あの日」が2ページ(見開き)だけ描かれるので後味は悪くないです。描き下ろしもあり、そちらはバッドエンドとは言い切れず「その先」を読者に託す形です。(たぶんハッピーエンドです)
バッドエンドが割と好きな私は描き下ろしがないままでもありかな~とは思いますね。
それぞれの「その先」を描いて長いお話にしてしまうとバッドエンドなのかハッピーエンドなのかに決着がついてしまうのでそういう点では短編で良かったんだなと。

カバー下もみなさん言っている通りとても素敵です。普通の少年少女青年漫画ではカバー下はあまりないのでこの楽しみはBLの醍醐味と言っても過言ではないと思います。

中盤の「中学3年生」がダントツに好きです。ずっと澄ました顔で、クラスで噂の「男子トイレに出る男のチカン」が自分(相手をしているのが自分?)だと鳥海にバレた時でさえ澄ました顔だった二戸部が、一枚も使ってないという今まで鳥海に渡したお札を投げつけられ怒鳴られて、やっと眉をゆがめ悲痛な表情で静かに泣き出すさまが心を締め付けられるようでした。
描き下ろしがあったせいか表題作の続きを望む声が多いですが私はこのお話で1冊、ぜひ読みたいですね。続きではなく途中途中をもっと描き込んだものを。


長くなりましたすみません。

3

嗜好の違い。

個人的に“熱烈なファンが大勢いる”というイメージの強い中村明日美子さん。
どの作品の「神」レビューを拝読しても読者の愛と熱量が感じられ、心の琴線に触れる作品を生み出していらっしゃるのだな、と未読の私は常々思っていました。
そんな私が初めて手に取った中村明日美子作品がこちらでした。

美しい線。
エロティックでドラマティックな話し運び。
切なく、痛く、余韻のある終わり方。
画面の余白にも感じられる叙情性。
どれも好みなポイントなのにどうにも嵌まらない歯がゆさを感じながら読了しました。
萌えは感じられず「中立」もしくは「しゅみじゃない」の2択で悩み、「中立」を押させてもらった次第です。
大勢の方が支持する作品を「私も!」と感じられないとき、少しの寂しさとともに人の持つ嗜好の多様性や(特にBLに於いての)フェチの奥深さを身に染みて感じます。

ちるちるでは神評価以外の作品にレビューをつけていないのですが、こちらの作品は心に鮮烈な印象を残し、レビューを書いておきたいとの衝動を起こさせる吸引力がありました。
私の好みとは違い萌えもありませんでしたが、心に何かしら刻まれという意味では間違いなく私にとっても抜きん出た作品となっています。

3

目次を見直して納得

どのお話も
ちょっと苦しくて
ちょっと癖があって
ちょっとダークで
学ランがとてもエロい。
これブレザーでやられてたら同級生が
純粋な気持ちで読めなくなってたかもしれない、と思うくらい
学ランがエロい。

目次を見直してすごく納得しました。
これPINK GOLDに掲載されていた短編を集めたものなんですね。
どうりで、すごいです。

描き下ろし作品の続きがとても気になりますが
これは余韻として楽しむところなのでしょう。
間に合っていることを願って・・・

1

「間」で魅せる色気

短編集とは思えない満足度でした。限りなく短い話に少ない言葉で、一人の人間の感情の動きと恋の様相を見せてくれます。

表題作で言えば、高校の卒業式で告白されたまま離れ離れになっていた二人が再会。攻めの結婚が決まっており、そこに笑顔はありません。悲愴感すら漂うセックスのあと、二人はやっぱり一緒になれないと攻めが言う。

台詞のない、受けのうなじと背中の絵でみせる「間」。
そのあと振り返って見せる、受けの無理した笑顔。

そう、ここで初めて受けは「だよなっ」と笑顔を見せるのです。高校時代の無邪気な受けの笑顔と比較して胸が締め付けられました。クールな大人になっていた受けは、その後シーツに包まって思いきり涙を流すことで、初めて私たち読者に心を見せてくれるのです。

語りすぎないキャラ達は、手の届かないミステリアスさを持って私を魅了します。身を持っては永遠に体験できない「少年」という性を、憧憬の気持ちを添えて見せてくれるのです。

視線の色気。仕草の色気。
正直、こんなにエロいとは思わなかった。明日美子先生ありがとう。
私のお気に入りは「中学3年生」と「裸の僕」です。
特に「裸の僕」は、失恋後の空っぽな感じが、すごくわかる気がして。
この話の終わり方にも、まさに「間」の妙を感じます。

1

カバー下がとっても素敵。


あいまいな、愛までいかない恋の話が6編。
大人だろうが子どもだろうが恋は恋だと思いますが、この御本は"十代の"恋ということで。大人の恋も、過去があってこそのものになっていました。
ふたりにしかわからない合図のようなものがよい。
当て馬っぽい攻めが割とほもであることを怖がっている感じでひどくて、受けは健気でまだ淡いという印象を受けました。
表題作の後悔はもっともらしく、「A先輩」の終わり方に今まで見ることのなかった先輩の顔が見れる終わりも素晴らしく、
「中学3年生」とかすきだったなぁ。
殆どが受けの子キッカケですね。それとあと、よくふぇ○してます。

明日美子さんの耽美と"曖昧"、堪能させていただきました。

1

若いって残酷…

社会人になった二人が再会、カラダを重ねて心では一緒にいたいと感じても、もう二人の道は重ならない。過去のあの時、違う行動をとっていたら今は違っているのではないか?叶わない望みと過去の後悔を切なく読ませる表題作は、明日美子先生の雰囲気のある絵にマッチして心に残ります。

あとは制服を着た学生たちの短編集。自分の恋心や性への興味が前に出て、他者への思いやりには後から気付く、若さゆえの残酷さに焦点を当てた話で、どれも余韻が残ります。
おもしろいことに違いはないんです!ただ、中学生のように見える登場人物たちのひねた感じが繰り返されて、疲れてしまったというか…表題作以外は私には合いませんでした。
明日美子先生のダークな話はけっこう好きなんですが。

0

1冊に纏まるということの意味

このコミックより少し前に出た小松さんの「それから、君を考える」を読んだ時にも思いましたが、個々ですでに完成されているはずのピースがいくつか合わさることで更に大きなテーマやエンディングが浮かび上がってくるというのはやはり純粋に凄いなと。
例えアンソロで全編を読んでいたとしても、コミックになったものを買って読む意味のある1冊だと思いました。

明日美子さんの10代モノといえば、「ばら色の頬のころ」と「同級生」という二大傑作がすでに存在していますが、その2冊ともまた更にひと味違えたものを読ませてくれる本作に、この方はどんだけ未成年を描くのに長けていらっしゃるんだと、ただただ感心するばかりです。

こちらは18禁アンソロに掲載された作品群ということで、10代の少年達の危なっかしい性欲を前面に押し出した上で、裏に見え隠れする10代特有のピュアさで読者の心を抉ってくるという。
10代という時代がすでに遠い昔となっている私には、彼等の行動、心情に何度もハッとさせられる瞬間がありました。
アンソロでバラバラに読んでいただけでは汲み取れなかったアレコレに気付けると深みがグッと増してくる作品集です。

そして何と言っても、この作品が読者にもたらしてくれる一番大切な気付きは最後の最後ではないでしょうか。

「あの日」というキーワードが教えてくれること。
「あの日」をただ懐かしむだけの過去にするか、未来に繋げるかは、自分次第。
皆さまに幸あれ、と。

学生服に身を包んだ少年達(と明日美子さん)から読者の大人達に贈られるのは、そんなメッセージなのかもしれません。

4

安定感ある

なんとな~く本屋に立ち寄り、
気づけば7冊もBLを手に店を出ていた…その内の1冊です。

明日美子先生の本はもともと大好きなんですが
短編集でと~~っても良さが出ますね!!
明日美子作品には「同級生」シリーズの明と、
こちら同時期発売の「薫りの継承」といった暗なものがあります。
こちらの短編集は、その明暗どちらが好きな人にもいいのでは。

個人的にグッときたのは表題作です。
こちらだけ書き下ろし?があるんですけど……
頼むから続編書いてくれ~~~~~
という気持ちになりました笑

1

余韻が残る

中村明日美子さんの世界は本当好き。
ちょっとでもバランスを崩すと、
いや、バランスなんかもうとっくに崩れてるのに、
そこでバランスを保っているようなこの世界。
そのバランスを支えるものはただただ純粋な気持ちだけで、
それが痛くて、せつなくて、時にはあったかくて、大切で。
本当好き。

短編集で、どのお話も本当好きなのですが、
私は「裸の僕」がもっとも痛かった…
先輩の事が大好きで、
その先輩と繋がっていると思えるものは安全剃刀で、

「あの け けっこう 生えて きてて…そろそろ ちょっと…」
「自分で剃れば?」

の所は、もう胸が痛くて痛くて泣けました。
自分にそんな経験はないけれど、あの気持ちは解る。
目にいっぱい涙浮かべて、
先輩に「もう、やめよっか」と言われても首を横に振り続ける気持ち…解る…解るよ。
最後の先輩の目、「ごめんな」の一言。
結局もてあそばれちゃった関係なんですけどね、
先輩、酷いんですけどね、
でもちょっとだけ最後、救われました。
最後の男の子の背中がちょっと大人になったような気がしました。
これから先、あの子がどういう恋愛をしていくのか解らないけれど、
素敵な相手と恋愛していって欲しいと心の底から思いました。

次は印象に残ったのは「中学3年生」。
ほんの偶然から、1万円で彼のものを口でっという取引を二戸部から持ちかけられた鳥海。
中3で、受験生で、欲求不満。好奇心も旺盛なこの時期。
始めはお金を受け取る事を拒否する鳥海だけど、
お金を受け取らなかったら僕と同じ変態だ、と言われて
おかしな取引関係が始まります。
このお話の最後がいい!
二戸部が「もうやめる」と言った時に鳥海が
今迄受け取ってた1万円を出して、怒るんですよね。
泣きながら親の財布からお金を抜いてた事を話す二戸部、
返してこい!と怒る鳥海。
むちゃむちゃピュアで、もぅ頭を撫でてやりたいです。
この2人には同級生の2人みたいに幸せになって欲しい。
可愛かったです。

「転校生」、これも良かった。
女性ものの下着を着けてる転校生のお話。
女性ものの下着を着けた話って他のBLでも読みますが、
正直、頭のどこかで「変態」って言葉がちらつきます。
あーそういう趣味があるんだなー、
まぁそういう人は世の中にいるだろうなー…みたいな。
嫌悪感等は特に感じませんが
(感じる頭があったらBLは読めない気がする笑)
でもやっぱり頭のどこかで「そういう人」って感じます。
なのでこの最後の駅のホームのシーンはやられました。
「うん」って言いながら頭を撫でてあげてるんですよね。
先生の事、大好きだったんだよね。
あの子も幸せになって欲しい。
本当、好きだったんだよな。まちがえちゃったんだよな。

最後に表題作。
良かった、面白かったです。
感想は…遅い、もぅ遅いよ。です。
この作品だけ書き下ろしが一番最後に入ってます。
今度こそ間に合って欲しい。
あの日に間に合って欲しい。
これを最後に持ってくるなんて。
もぅ…本当好きだわ、この1冊。


3

その後のふたりを長編で見たい

人気があるのは重々承知しているのですが、これまで個人的に、あくまで個人的にあまりツボにハマらなかった中村明日美子さんの本。
今回の本も、買ってしばらく置いていたのですが、手元の新刊が途切れたので読んでみましたら、何とも切なく、楽しんで読めました。

受けがクズだったり、攻めがクズだったり、その他の人物がクズだったりの短編集です。
いちばん心に残ったのは表題作、『あの日、制服で』。
同窓会で再会した元クラスメート。卒業式の日に告白されて、そのまま別れた関係です。
告白した方の薬指には指輪があり、再会した夜身体を重ね、翌日攻めは妻の元へ帰っていく、という話です。それだけの話ですが、文章では説明されていないいろいろな感情が、キャラクターの表情に現れていて、上手いなぁと思いました。
朝別れるときの「バイバイ」はきっと湿っていただろうな、とか、高校時代の攻めは告白したあと、10分くらいは待つべきだったよね! とか思いました。
巻末に収録されていた『今夜、あの日に』で、あの日に間に合いそうなので、脳内でその後を補完。同窓会の日と同じように顔を合わせ、同じように身体を重ね、同じように「帰んなよ」と言って…、そしてふたりの時間が動き出すといいな。

1

恋になればいいのに

 中村先生が後書きで「うまくいくようないかないような恋っぽいお話」と書かれていましたが、うん、ホントに一言で言うと恋っぽいお話の短編集でした。
このまま恋に成就するのかどうかはこれからの彼ら次第。

 表題作の「あの日、制服で」
一番切なかったな。
このお話だけが卒業した2人が同窓会で再開した時のお話で、学生時代の思い出と今とが交錯しながらすすんでいく。
「あの日」「制服で」と題名につながったラスト。
秀逸すぎて切なすぎて胸に刺さりました。
書き下ろしで唯一この2人のその後が描かれてましたが、「あの日」に間に合ってくれればいいな、と思わずにはいられませんでした。

 「中学3年生」も好き。
鳥海君がかっこいくてかわいい。
きっといい男に成長するはず。
その時、二戸部君は隣にいるのかな、いるといいな、とこれからの2人を想像せずにはいられないお話でした。

 この2人は多分きっとこのままいい感じに恋を育てていくハズ、と思わせてくれたのは「ニコイチ」
幼馴染のケイタとアツシのお話は、王道な2人で一番安心してきゅんきゅんできました。

 「裸の僕」だけが1人になっちゃったけど、それ以外のお話はこれからどうなっていくのか気になる2人ばかりです。
「裸の僕」の僕も含め、彼らたちはこれから本当の恋というものを知っていくのでしょう。
 表題作の2人のように学生時代が思い出になる頃、あの頃の自分達を愛おしく懐かしく思い出しているのか、「あの日」に還れたら、と切なく思い出しているのか。

 未熟で未完成な制服時代の青い果実のような、甘いばっかりではないお話ですが、短編6編がそれぞれ違う魅力をかもし出しています。

4

イテ、イテテテっ


心が。

基本ハッピーエンドが好きで、そうでないとモヤモヤする事が多い単純趣向の私ですがこの一冊はそうじゃなかった。
絵を見ているだけで、表情から空間から切なさがビシビシ痛いほど伝わってきてツラかったです。
が、萌える場面はそうそうないものの神評価。
普段は萌えてナンボのBL作品を多く読んでいるのでこれは私にとっては貴重な一冊となりました。
7話の短編のなか、表題の『あの日、制服で』は抜群に好きです。
あの日、制服で…その後どういう言葉が続くのか解った瞬間にギューっときました。
そして『裸の僕』では、思春期の危うさや淫猥に反して瑞々しい主人公の描写に引き込まれました。

それにしても中村明日美子さんの描く男性は本当に色っぽいなー。
眼福です。

4

素晴らしい。中村明日美子ワールド

この作品を読んだらもう、胸が苦しくなりました。BL本でこんなにも苦しくなったことはなかったので驚きました。文才もないしレビューはやめようかと思いましたが1人で多くの方が読んでくれればいいと思い投稿させて頂きました。本当に素晴らしいの一言です。短編集ですと1つは自分に合わない話があったりするのですが、あの日、制服ではありませんでした。1つ1つの短編集が苦しくて、愛しくて。

それでも1番は表題作のあの日、制服で。です。
切ない、の一言です。
本当に切ない。
あの日、追いかけて抱きしめていれば…
と読んだあとに何回も何回も頭をよぎり泣きました。
でもこの作品には描き下ろしがあって。
ネタバレになるのが言えないのですが救われました。
その後がとても気になります。
中村明日美子先生の本は絵柄がとても特徴的ですので絵柄で買う方は買うことを躊躇することが多いと思います。私も一ヶ月前まではそうでした。笑
でも、1度手に取って見てください。
中村明日美子ワールドにはまります。

3

表題作は切ない

萌えにするか中立にするか迷いました。
表題作の『あの日、制服で』は、二人のすれ違い、言葉足らずなところがじれったくて、切ないのが好きな方にはお勧めです。
それと、最後のお話、『ニコイチ』は、幼馴染みの二人の話なんですが、ある事件がきっかけで結ばれるという、まぁ安心してみてられる話でした。

その他の話は、初心者には理解しにくいです。というか、初心者というより嗜好の問題かな。

中村明日美子さんの作品、『O.B』シリーズが好きで買い揃えていましたが、どちらかというと『薫りの継承』とか『ダブルミンツ』系のお話です。

1

一言一言に、描写に、、、引き込まれます(>_<)

明日美子先生の作品を手に取ったのは
まだ三作目なのですが、、、、
シャープな描写がストーリーとよく合ってる、、、。

短編作品になるのですが
『あの日、制服で』が1番印象的で
読み終えてからも ずっと残る切なさで(>_<)


なにより好きな場面、、


「じゃあ」

「バイバイ」

「さようなら」

が、、、もうヤバい、、、
たった一言一言にいろんな感情や思いが詰まっていて
苦しくて切ない、、、そんな気持ちになりました


制服を着ていた、
あの頃 を悔やみながら
思いを殺しているシーンが
とくに印象的ですごく残りました


これはもう 神としかいいようがない(>_<)


あっという間に
明日美ワールドに引き込まれて
胸の奥をいい意味で掻き乱される!
そんな作品でした!


明日美子先生、最高です。



1

黒い衣装に閉じ込められたエロス、あるいは黒髪萌え

制服という共通点でまとめた短編集。
青くて、歪で、短くて、狭い、学生服の時代。
一見平凡で見分けがつかないかのような彼らの
十分十色なエロティシズムの断片を
覗き見るかのような作品たち。

個人的には明日美子さんは長編の方が好きだが、
短編を読むとそのセンスとうまさにやはり唸る。
それぞれ違う趣で切なく、余韻が残る。


カバー裏のセンスを含めて表題作が好き。
最後のおまけ漫画に救われるが、それがあってもなくても。
多分、唯一学生服の時代の中だけにとどまらず
それを相対化する視点があるからかと。

女装もの、特に下着となると個人的には微妙なのだけれど、
この作者の手にかかるとひたすら美しく切ないのも
明日美子マジック。
やはりこの流麗で個性的な絵あってこその、世界なのだと思う。




11

中村明日美子の「反旗」

規制規制の世知辛いご時世に、敢えてR18を掲げた心意気を応援したい とピンクゴールド創刊の折りに仰っていた……と思うのですが……(笑)

非実在青少年なんたらへのエレガントな挑発か と思えるほどに乱される「非実在青少年」たちの学生服。

最近はいい年の社会人がわりと人生かけて恋愛するBLが多く、そういうものもよく読むし大好きですが、こういう刹那的な、残酷な、稚拙な、人間として未完成な少年同士の「恋のようなもの」っていうのがボーイズラブ(少年どうしの愛)の原点のひとつなのでは。

一万円を介した秘め事も、同級生の男の子のブラジャーを外したことも、鍵のかかる美術室でのセックスも、体育倉庫で触りあったことも、彼らが表題作のふたりくらいの年齢になったら朧気な思い出になってしまってそうな。どの話もそういう不確かさがただよっているように感じます。

それにしてもエロい中村明日美子描く舌と乳首そしてまなざし……それと擬音。


あと、受けのビジュアルがみんな似通っていると感じる方もいらっしゃいましょうが、O.B.でまったくデザインのかぶらない3CPを動かしてらっしゃるので、描けないのではなくただただ明日美子先生が佐条利人的ビジュアルが非常にお好きなだけなんですよ!と誰にともなく訴えたい。

13

ごめんね...

10代でしか味わえないヒリヒリとした感情が存分に描かれてました。
大人になったという事は少なからずとも鈍麻したのだと自分を省みる
機会を与えてくれた作品でした。
「あの日、制服で」
あの時応えて貰えなかった気持ちを今になって「俺も」なんて
信じられないと告白した僕「違う、その気持は」
「そうだよな」と誤魔化し笑顔で彼を見送る告白された僕
そのあとの彼の慟哭に滂沱しました
遅すぎる 全てが....あの日、あの制服で手を取っていれば...
告白した彼は、「俺も」を信じるには大人になりすぎ、
告白された彼も、どうすることも出来ない現状に
立ち尽くすしかありませんでした。
大人の弱さとしたたかさを垣間見ました。

「裸の僕」
大好きな先輩との秘密のSEX剃毛プレイ
徐々に興味を失いつつある先輩に羞恥を押し殺し
「生えてきてしまって...」と伝える
「もうやめようか」と告げる先輩
いやいやと首を横にふる僕が可哀想で可哀想で
号泣してしまいました。
最後に先輩が「ごめんね」と頬にキスした時に終りを
受け入れざるを得ない僕
先輩の気持ちを押しやり、自分が傷つくことも厭わない
諸刃の剣の様な恋心に胸が締め付けられました
ごねられるのも10代までですよね。
こうして大人になって訳知り顔で人は飲み込み傷を内に秘めて
生きていくんだなと思い返しました
甘酸っぱさと過ぎ去ったヒリヒリとした感情を疑似体験させてもらえました
表題作は描き下ろしで間に合うかも!と思わせてくれてます
明日美子さんしか描けない少年期の世界観にどっぷり浸りました
大人になっても思い返せる機会を与えてくれたこの本に賛辞を送ります

7

眼鏡少年!黒髪少年!

隅々までシャープな絵と、ぎりぎりまで絞られた展開、緊張感。
思春期を描いたBLコミックの、在る意味到達点。
眼鏡少年!黒髪少年!
とんでもないよね、
おでこの丸い、薄いお腹の少年たち。
エロいし、かわいいし、
あまりのエロかわいさに、町内3周くらい駆け回りたくなっちゃうほどだ。
制服時代のままならない恋と性欲。
濃厚に香るのは、甘酸っぱいとも、ほろ苦いとも違う、もっと直截な精液の香り。

ブックデザインが、これまた素敵。
同じレイアウトで、カバーをはずすとあの日の制服の二人。
ドキドキする。

6

さすがとしか言いようのない神作品

『 PINK GOLD』に収録されていた6作品をまとめた作品集です。PGは明日美子さんの作品が読みたくて買っていたようなものなので全て既読作品でしたが、それでも非常に満足度の高い作品でした。

R18を売りにしたPGに収録されていた作品ばかりなので明日美子作品の中でもエロ度の高い作品ばかりなのですが、さすがだと思うのはR18を表現するのにエロさだけではないところだと思うんですよね。どの作品にもそこはかとなく漂う背徳感というか不道徳感。

そして、この短さにしてこの完成度の高さ。短編て、その作家さんの技量が端的に表れるなあとしみじみ思ったりしました。

さて、内容はすでに書いてくださっているので感想を。

表題作「あの日、制服で」
高校時代に告白されたのに、その時に気持ちに言葉で答えることが出来なかった受け。5年後の同窓会で再会するも、既に彼は既婚者で。

高校生の時も3年生の時、1年間だけクラスが一緒になっただけ。それなのに好きになり、卒業後5年間合うこともなかったのにお互いのことを忘れることもできずにいた二人。
目線とか、仕草一つで二人の気持ちが端的に表現されていて、すごく共感もできるし、切ない。そして萌える。

最後にこの二人のその後が描き下ろしで描かれていて、それがまた何とも良かった。今度こそ、二人幸せになってほしいです。

「A先輩」
この話はPG2に収録されていて、私が初めて明日美子作品を読んだ話でした。それまで絵柄がちょっと好きになれず読まずにいたのですが(失礼!)この作品が神すぎて、明日美子ファンになったという…。

CくんはB先輩が好きなのだけれど、A先輩が自分に好意を持っていてくれている。A先輩の好意に乗っかる形で体の関係だけが続いていく二人なのだけれど。
自分の気持ちとは裏腹に、「気持ちいいこと」にも興味があってA先輩でそうした好奇心を満足させる、Cくんの若い故の傲慢さや幼い感情の描き方が非常にお上手。
そしてB先輩の、あの年齢ならではの残酷さも、A先輩の優しさも、すごくリアリティに溢れていてよかった。

Cくんの感情に伴ったA先輩の表情の描き方も良いよねえ…。

「中学3年生」
痴漢が出ると聞いていた場所で、たまたまクラスメイトが痴漢らしき男と遭遇するのを見かけてしまった攻め。
2回も同じような状況を見かけた攻めは、お金のために彼が男と会っているのでは…?と推測するのですが…。

受けの子の切ない恋心にキュンキュンきました。お金を渡すことで、攻めの子に、男同士の行為に対しての「言い訳」や罪悪感を持たなくていいようにしてあげてたんですよね。
受けの子の気持ちに応える攻めくんもナイスガイでした。

「裸の僕」
受けの子は攻めの子のことが大好きで。それ故におもちゃのような扱いにも耐えているのだけれど攻めの子に彼女が出来たことであっさり捨てられてしまう。

って、ざっくり内容だけ書いてしまうと攻めがただのクズ男にしか思えない。イヤ、実際酷い男には間違いないのだけれど。
恋心を持たれて、性的な興味だけでセックスしてみて、徐々に受けの子にハマっていくけれど、はたと現実を見たときに自分のしている行為は世間的には受け入れられないんだ、と気づいて受けの子をサクッと切り捨ててしまう。
受けの子の一途な気持ちを可愛いと思いつつ、そして彼自身、本当に受けの子のことが好きなのだろうけれど、でも…、という。
そんな攻めの子の自分本位な感情がリアルだなあ、と。
受けの子目線でストーリーが進んでいくので受けの子が可哀想でならないのだけれど、そういうクズはとっとと忘れて、もっと素敵な恋をするんだよ、と母の気持ちになって思ってしまった。

最後の剃刀を捨てるシーンは非常に印象的。彼がひとつの恋を終わらせた、その表現の仕方に唸らされました。

「転校生」
不穏な噂のある転校生。ある日、彼が女性物の下着を身に着けていることに気づいてしまった攻めは…。

女性物の下着やセーラー服を着る理由、二人の行為を写メを取る理由、その写メを誰に送っているのか。
徐々に見えてくる受けの子の気持ちや過去にぐっと惹きつけられました。

「ニコイチ」
幼馴染みでいつも一緒だった二人。ある日、その幼馴染みが部活の校外指導で来ていた男に弄ばれて…。

もうね、この男に腹が立って仕方がないのだけれど、それはちょっと置いておいて、この二人のお互いを想う気持ちにキュンときました。
アツシの可愛さにもやられてしまいましたが、ケイタの男気にもホッコリ。クズ男のことはきれいさっぱり忘れて、二人幸せになってほしいです。

高校生だったり中学生だったりするのですが、この年齢ならではの精神的な危うさや脆さを体つきとか、表情とかでここまで表現できるって凄いなと思いました。
それとカバー下がまた素晴らしい!ああいうセンスが非常にツボなのです。

とにもかくにも、文句なく、神評価です。

13

その後が切実に見たくなる

7作品の短編が詰まった短編集。
とっぷりと余韻に浸れる味わい深い名作揃いでした。

往々にして、短編集は起承転結があっさりと終わり、「もっと(濃い展開が)読みたかった…」と思ってしまうことがあります。

しかし今作は、どの話も気持ちが最高潮に突き動かされたタイミングで物語が終わるんですよね。そのため、「つ、続きを…!もっと読みたい…!」と衝動的にその後を求めたくなりました。


まず表題作『あの日、制服で』
最高に切なかったです。想い合っているのに、タイミングが合わなかったがために結ばれることはなかった……人知れず流す互いの涙に胸が締め付けられました。
そして最後のページに「あの日、制服で追いかけていたら…」という架空の姿が描かれます。そこにはまるで、明るい未来を示唆するような表情の二人が……。
しかし、そんな未来はなかった。やるせなさに、たまらなく切なくなりました。
どうか二人、再会して「あの日」の続きをやり直してほしいです。

『A先輩』
三角関係ものです。C君が好きなのはB先輩、
だけどA先輩はC君が好きで体の関係を持つ。
A先輩の顔が最後の一コマ以外描かれないためモブっぽく、
B先輩とくっ付くのかな、と思っていました。予想を覆す天才ですね明日美子さん!A先輩とC君が幸せになれますように。

『中学3年生』『転校生』の二作品はノンケっぽい平凡男子と美人なゲイ男子、という組み合わせが非常に魅力的でした。
特に『転校生』の女物の下着や制服姿が扇情的で淫靡で、これは興奮して当然です!

『裸の僕』はまた、切ないです。”僕”が、先輩に振られた時に揺らぐ愛らしい表情。こんなに健気で一途な子が報われないなんて……とすっかり感情移入してしまいました。

『ニコイチ』は幼いアツシと冒頓なけーたの幼なじみ身長差コンビに癒されました。

しっとり甘く切なく胸がいっぱいになる、何度も読み返したくなる短編集でした!

3

学ラン祭りだワッショイ

PINK GOLDシリーズに掲載された全6話がまるまる一冊に。
こうしてまとめて見てみると、ぜんぶ学ランだった!いいですよね学ラン(*´Д`)ハァハァ
明日美子先生の学ランは正義。

表紙のカバーを外すと、カバー下もカラーになっててなんだか豪華に感じます。明日美子仕様?BBCデラックスは結構多いのかな?
そして本を開けばPG2で表紙を飾ったあの卑猥な絵が扉絵に。PGシリーズでわたしがいちばん好きなあの穴あきカバー、あのデザインはよかった。
残念ながら黒髪少年のいちばん大事なトコはタイトルの黒枠で隠されちゃいましたが、その下にはとってもいかがわしいピンクの勃起tnkが描かれています…

♦︎あの日、制服で♦︎
学生時代、攻が受に告って答えを出さないまま別れたその5年後に再会。
攻は結婚が決まっていたけど、その気持ちは今も変わってなくて…
身体を繋げるふたりですが、時すでに遅し。あの日、答えを出していたら…という後悔に泣く男たちが切なすぎる。
描き下ろしの『今夜、あの日に』でさらに2年後、まだ間に合うかも…という希望が見えたショートストーリーでした。
描き下ろしでふたりの名前が明らかになった。

♦︎A先輩♦︎
A先輩→C君→B先輩
気持ちは→のように一方通行。
C君はB先輩が好きだけど、A先輩と身体の関係を持ってます。
C君はB先輩が嫉妬してくれるのではと淡い期待を持ちながらA先輩に抱かれているところをB先輩に見せつけますが、B先輩は残酷な態度をとり…
前作の『薫りの継承』の受の妻もそうだったけど、それまで顔を出さずにいたのに、ここぞというときに表情を見せてくる明日美子先生のテクに感服です。
A先輩って最初は読者にとってもC君にとってもモブっぽい存在だったけど、顔が出た瞬間「あ、好きなのはこの人だ」と思えたんですね。

♦︎中学3年生♦︎
学生ふたり、しゃぶる側としゃぶられる側。金銭を渡して、その行為に理由付けしています。
金を渡してまで、関係を持ちつづけたかった受ちゃんが切ない。
公開オナニープレイで、無意識に乳首をいじっちゃうのが良かった。

♦︎裸の僕♦︎
剃毛♪剃毛♪
後輩が先輩にダメもとで告ったらオッケーで、いろいろヤられて捨てられちゃうお話。
もう今さらリブレの修正にアレコレ言うのもなんですが、明日美子先生の絵って全体的に淡白だけど、チンはちゃんとトーンでプリッとしてるから、そのチンがぜーんぶ白抜きになるとナニがどうなってるのか本気でわからんくなってるコマが多々あった。

♦︎転校生♦︎
前の学校で男の担任と噂になってたという美少年転校生が、女性下着つけてるやつ!
偶然下着のことを知ってしまった暫定攻が、その転校生にどんどんハマっていきます。
下着のデザインがリアルに可愛くて、それを付けてる美少年がマジでエロすぎた。明日美子男子の華奢なバディに可愛い下着がよく映えます。
ブラ外すのが上手くなり、転校生に「いつ女と付き合っても大丈夫だな」と言われた攻が、まるで反論するかのように男の象徴であるtnkをしゃぶって転校生を悶えさせるのが良かったぁ〜^ ^
女より、女の下着を着けたお前がイイてことですね!

前の担任には否定され拒絶された可哀想な転校生。これからは攻が下着とか含めまるごと転校生を受け入れてあげてほしいですね。
切ないとこで終わってんだなコレがまた…

♦︎ニコイチ♦︎
幼なじみde身長差カップル!!
剣道部のふたり。残念ながら道着エロはなかった…
OBの先輩に暫定受がいたずらされたところを暫定攻が目撃して、そのままお互いに欲情し身体を慰め合うお話。
フツーのお話なのに、攻が受を見る視線とかで、どんだけずっと好きだったかってのがうまくエロく表現されててさすが明日美子先生。
PGなのにナニこの初々しいカップルはっっっ!と、読んだ当時は萌え滾りまくってました。

短編集だから、切ない終わり方のものが半分くらいでした。
もっと先が見たい!って気持ちはモチロンあるんですが、満足感と読了感がちゃんとしっかりあるのが明日美子マジック。
またPGシリーズでのご活躍期待してます!

3

天才的な短編集

個人的に短編集は苦手でほとんど読まないのですが、大好きな中村先生の作品なので購入。
やはりこの方は天才ですね。
高校生同士の独特な空気感とか関係性を描かせたら右に出る方はいないですね。
全てがハッピーエンドとはいかなくて切なくてこの終わり方かーと思うものもありました。
特に表題作は残念に思っていたので、最後の短編で救われました。
後悔だけで終わってしまうのは辛すぎますよね。
中村先生の描くイイ奴な攻めになんだか救われます。

2

甘くて苦い

ビターチョコレートというか
甘くて塩っぱいというか
どのお話もチョコっと苦味を含んでる印象。

これは上手くいったのかなーと希望も読み取れるんだけど、読み返すとやっぱり苦いなーなんかツラいなーとも思ったり。「うっひょい!萌えたぜー!!」ってテンションにはならないのが、物足りないようなそれがイイような。そんな読後感です。

フワッと始まってフワッと終わる、空気を読んで、終わりが明確でないお話はあまり好みではないのですが、こちらの本だと読み方によって甘くなったり苦くなったりが楽しいです。

6話中気に入ったお話の感想を。


◆あの日、制服で

このお話が一番好きです。「あの時 ああしてたら、こうしてたら」って考えても仕方ないこと考えて、ツラくてもグッと堪えて笑ってみせて布団に潜って泣く・・・そんな夜もあったなと大なり小なりある身近な経験で感情移入してギュっとなりました。
書き下ろしで、まだ終わってない まだ間に合うんじゃないか って含みを持たせてくれたのがウレシいです。現実は簡単じゃないけど、本の中ぐらい夢を見たいヽ(;▽;)ノ

◆中学3年生

え?あ!この子たち中学生なの!?タイトル見て気付いた( ゚д゚)
イケナイものを見てしまったような背徳感・・・これが18禁パワーか。
このお話は攻めの真っ直ぐさがイイです。大人びた?大人ぶってる?チョコっと屈折してた受けの虚勢が崩れる瞬間にキュンってなる+゚。*(*´∀`*)*。゚+
きっと攻めの真っ直ぐさに救われるんだろうなー(萌)

◆裸の僕

受けの一途な恋心に対して攻めの弱さというかズルさ。まだ子供だもんね、マイノリティって怖いよね。苦いんだけど、最後に見せる攻めの目が切ない(つД`)


18禁のPINK GOLDに掲載されてたお話ばかりですが「エッロー!!っ(///Д///)hshs」って鼻息荒く興奮する感じではなく、エロいには十分エロいんだけど溜め息が漏れるようなシットリした艶のある色っぽさでした。明日美子さんの描く男子高校生(中学生)恐るべし。

3

目は口ほどにものを言う

ため息が出てしまいました。
自分は基本短編はあまり読まない方で
長くじっくりと読める作品が好きなのですが
これは、違いました。
「ここで終わっちゃうの?」と思わせるような
なんとも歯がゆい終わり方・・・
ハッピーエンドを好む私としては、「う~ん・・・」
と、ちょっと気持ちが宙ぶらりんになりそうになりましたが
それでも、この終わり方がいいんだ
あえて、こういう終わり方なんだ・・・と納得させられる
そんなストーリー。

いろいろある中で、やっぱり私は表題作の
「あの日、制服で」が一番好きかな。
多くを語らない作品ですが
主人公二人の気持ちが、文字ではなく
表情と仕草と、その場の空気感で痛いほど伝わって来ました。
「後悔先に立たず」そんな言葉が頭を横切ったそんな作品。

5年ぶりに会った2人が、一夜を共にします。
すでに結婚している攻めがそっと薬指の指輪を外すシーンは
じーんと来てしまいました。
一晩一緒のベッドで過ごすことによって
今まで気づかずに、だけど引っかかっていたいた気持ちがはっきりする。
お互いの気持ちはそこにあるのに、5年と言う月日はいろんなものを変えてしまっていたんですね。
高校時代告白された受けがあの時その告白を受け止めなかったことを
今になって悔みますが、もう遅かった・・・
攻めを送り出し、布団をかぶって涙する受けと
その気配に気づきながら、涙をこらえて出ていく攻め。
台詞はないのに、そこに二人の気持ちがすべて語られていました。
もう、すごいです。
中村先生さすがです!!
目は口ほどにものを言うとは、良く言ったもので
台詞をしゃべらなくても、中村先生の描かれる人物の目が
ちゃんと語ってるんです。
主人公の表情で、このお話を読んだ人が
それぞれの解釈で受け止めるんでしょうね。
私はこのラストに完全にやられました。
文句なしの「神」です!!

4

中村明日美子ワールド、美しさ反則級。

ほぼ既読作品でしたが、改めて読んでみると、
その美しさが分かります。

体の線の細さ、魅せる体躯の柔軟性、際どいところまで
美しさを感じる絵の数々。

技巧力を感じるコマ回し、切なさが言葉がなくても
伝わるひとつひとつの表情。
どれをとっても魅せられました。
さすがの中村明日美子ワールド全開です。


◆「表題作」あの日制服で + おまけ描き下ろし

「制服で過ごしたあの日々はもう、戻れないのか」
それがテーマになっている気がします。

攻めが卒業式に受けに告白し、フラレて5年の月日が流れ…。
再び会った時には、攻めは既に結婚していた…という切ない話。
そして酔って、事を致してしまいます。
けれど、攻めも受けもやりきれない思いで、情事の事後を悔やみます。

もし、あの日に戻れていたら、受けは振り向いて
正直な想いを伝えることが出来たのに…という最後。

おまけ描き下ろしは、攻めが離婚したと知り、
駆け足で攻めに会いに行く受け…という話。
「(制服で過ごした)まだあの日に戻れるだろうか」と……。

どうか、攻めも受けも幸せになって欲しい。
そんなラストでした。

◆A先輩

これも秀逸な作品です。
「A先輩」という体の繋がりだけがある受け。
しかし、好きだったB先輩に酷い屈辱を受けます。
そこで初めて、顔もまともに見てなかったA先輩のことを
想います。
何故、今まで好きでいてくれたこの人の顔さえ見てなかったのだろう…と。
最後、A先輩の顔の造作・表情を見ようとする受けに
ほっとしたと同時に、気づいてくれて良かったと思いました。

◆中学3年生

「チンコしゃぶらせてくれたら、一万円をくれる変質者」
ということで、受けが登場します。
そこにそれを阻止しようと、攻めが現れますが、
そうしたら逆に、受けからフェラされることに。
そして、「犯罪者」と「被害者」の関係を保つため、
攻めは一万円を受け取ることになります。
そんな関係がずっと続いて……。

いつしか関係は、セックスの真似事に。
「これで最後  もうやめにする」と言う受け。
しかし、攻めは受け取った一万円を一回も使っていませんでした。
最後はハッピーエンド。
お金より大事なものを、ふたりとも見つけたのでしょう。
そんなトコロが嬉しいラストでした。

◆裸の僕

安全剃刀で攻めから陰毛を週に一回剃られる受け。
攻めのことが好きだから、許せた行為でした。
しかし、攻めに彼女が出来てしまいます。
「(こんな関係は)やめよう」と言われ、泣きじゃくる受け。
胸が苦しくなります。
アンハッピーエンドの話でした。
だからこそ、切ない。受けの最後の背中が寂しすぎて、
胸に去来するものがあります。

◆転校生

転校生で、女性物の可愛い下着を付けてくる受け。
そんな受けについ欲情してしまう攻めという設定。
挿入をするわけでもなく、体を弄るような関係が続きます。
女物の下着だけに、勃起してしまうという攻めに、
ちょっとムカッときます。受けのことは好きじゃないの? と。

ある日、転向前の学校の担任が現れ、
「仕事も家庭も全て失った」と暴言を吐かれます。

「それでも、その担任が好きだった」という受け。
最後に流す涙が、物語のラストを切なく表現していたと思います。

◆ニコイチ

幼馴染の受けと攻め。
しかし、剣道部のコーチに受けは体育館倉庫で悪戯され、
射精してしまったところを攻めに見られてしまいます。
それから、流されるように2人でコキ合い。
次の日、いつものように一緒に朝登校しますが、
「あんなこと、またしちゃうかもしれない」という攻めに対し、
「いいけど」と手を握る受け。
照れてるところが可愛かったです!

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

一気に読ませてもらいました。

いやあ、この空気感この雰囲気、最高です。

今回の本も中村明日美子ワールドに
すっかり魅了されてしまいました。

ふぅ、感嘆のあまり、ため息すら出ます……。

3

本の作りに惚れ惚れします

PINK GOLDは読んでなかったので全話初読みの作品集でした。

久々に明日美子先生の学生モノが読みたいなぁと思って手にしたのですが。

表紙・裏表紙といい、カバー下といい、口絵といい、
なんて素敵な作り!!!

表紙は卒業後の成人し、制服を脱いで大人になった二人。
裏表紙にはスーツと革靴。
そして、そのカバーを外すと同じ姿勢で制服のままの二人。
革靴ではなく、上履き。

カバー下もフルカラーと大盤振る舞いな作りで
しばらくうっとり眺めちゃいました。(*´∀`*)ホケェ

口絵は「A先輩」の二人のエロエロショットvvv(*´д`*)ハァハァ
膝立ちの受けが学ランの胸をはだけさせ、ズボンがひざ下まで
下がって露わになった股間をタイトルブロックで隠す!!という
見事なデザインに脱帽です。
この時点で心鷲掴みですよ。もう!笑


全話10代の透明でいてちょっと残酷な儚い空気を纏ってますが
(コミカルだったり、きゅんきゅんももちろんありますよ!)
やはり表題作の「あの日、制服で」と「A先輩」がよかったです♪

「あの日、制服で」
5年ぶりに再会した攻めの左手の薬指に光る輪を見つけ
5年前に好きだといった言葉を確かめ合ったけど、やっぱり
5年前につなげることができなくて。
あの日、制服で追いかけて抱きしめていたら…と反芻する想い。
あぁせつない…。
最後のページで制服姿で攻めにかけよる姿がまたせつなくさせるんだよぉ。

「今夜、あの日に」
5年ぶりの再会から更に2年。
岸(受)にもまっとうな春が訪れようとしたとき城田(攻)の離婚を知る。
まだ、間に合うだろうか、と城田のもとに走り出す岸。
今度こそ間に合って!!!!と激しく願うのでありました。(^^)
ってか、今頃名前が判明したのか。苦笑
描き下ろしで幸せになれそうな雰囲気で終われてよかった♪

「A先輩」
何故A先輩の顔がモブのように映らないんだろうか。
と、思ってたらC君の視界だったわけなんですね。
B先輩を見ていて視界に入らないA先輩と興味本位で身体だけはつなげて。
最終的にC君がA先輩の顔を正面から見せて…と言ってきたときは
あぁよかったよぉう。(ノД`)・゜・。ホロリ
C君がちゃんと自分を好きでいてくれる人を見つけることができて。
で、口絵のA先輩がC君のプリケツをにぎにぎしているシーンを見ると
悶絶します。笑
(顔が見えないからこれはまだ視界に入ってない頃なのかしらん)

モザイクには大変定評のない(笑)リブレさんですが、今回のモザイクは
あまり気になりませんでした。
あからさまにどーんっと白抜きではなく、背景等にとけこむように
白抜きになっていて、細い線と相まって白抜きのえろさがありまた。
明日美子先生の絵柄勝ちですな。これは。
(もちろんい意識して描いていらっしゃると思いますが)

6

これぞ短編集

【あの日、制服で】
はあぁーーー、せつない!
中村作品は同級生シリーズ然り、先月発売の薫りの継承然り、キャラクターの笑顔で読者を泣かせにきます。このお話もそれでして。
高校生や大学生ならまだしも、社会人それも結婚を控えたとなるともう勢いでどうこうなるもんじゃないのだなと。
結婚前ということで理性が働いたのは女としては嬉しいですが、腐女子としては悲しいですね。
しかし、描き下ろしで希望が少し見えたのでよかったです、よかった!

【A先輩】
はあぁーーー、せつない!(2回目)
お話の最初の方、A先輩は表情が見えないように描かれていたのでモブのあて馬かなと思ってしまいました(タイトルがA先輩だからモブってこたないだろうに、自分バカ過ぎる^ ^;)
C君のあわい期待がガツンと打ち壊された次ページでのA先輩のためらいの無い動きはかっこよかったです。モブとか思ってごめんなさい!
A先輩とC君には幸せになってほしいですね。
ただ、A・B・Cと名付けた作者の意図がわからず...
どなたか思いついた方がいらっしゃったら、教えていただきたいです(._.)

【中学3年生】
せつないお話が続いた後のこちらのお話はほっこりしました。
お金を支払う関係から始まったけれど、もうお金はいいとなかなか言い出せない鳥海と、「もうやめにする」と言いだしながらも一言攻められたら涙が溢れ何も言えなくなってしまう二戸部。
大人でもなく子供過ぎない「中学3年生」感が絶妙に描かれていて素敵でした。
あと自慰するところの逆光っぽい感じがエロかったです。

【裸の僕】
またしてもせつないお話...
先輩め〜、よくもこんなにかわいい後輩君を泣かせたな〜、と思っていたのに最後の「ごめんな」。
捨てられた剃刀と後姿で締めるラストでせつなさ倍増です。

【転校生】
女物の下着をつけながらも飄々としたように見えた受け・葛城洋一。
葛城が自撮りを止め、過去との関係を終わらせようとした矢先に現れた元担任。
隣で頭を撫でながら黙って受け止めてくれる攻め。
2人のこれからは明るいものになるだろうと思わせてくれるラストでした。

【ニコイチ】
このお話は倉庫でエロやってるシーンよりも、その後の幼馴染2人のなんともぎこちない感じがツボでした。
(オガタさんが襲いたくなるのも頷ける)アツシの小動物のような可愛さと、けーたの真っ直ぐな思いが素敵でした。

学ラン、黒髪受けは全話共通でした。
そしてちっちゃいキャラ(C君、【裸の僕】の受け、アツシ)の手が可愛かった〜
もう「おてて」って感じでした。

短編集って「この2人の続きが気になるなー。この2人だけで1冊描いて欲しかった...」と思うことがしばしばあり、あまり好きではないのですが、今作はどのお話も読み終わって「ああ、いい話だったな」で終わるのがすごいと思いました。
それだけ1話1話のまとめ方が素晴らしく、どれか1つが突出するようなことはなく全てに違った良さがあるというのは、中村先生のなせる技なのだろうなと感動しました。

せつなさ、可愛さ、エロ、そして10代特有の色々な感情を味わえる大満足な短編集でした!

4

PINKGoldで載ってたあの日制服で…と

短編集の読みごたえある1冊です♪

中村先生の作品は切なかったり甘かったりクスっと笑えたり胸がこうギュッと締め付けられたりと素晴らしい‼

特に短編集の裸の僕でがうるうると来ました。大好きな先輩に「もうやめよう(こんな関係)」って言われて涙ためながら何回も首を振るシーンに涙腺崩壊しそうになった

あの日制服ではPINKgoldで読んでいたのでもしかしたら丸々1冊あの日制服で(続編)なのかなー?と思っていたのですが違っててある意味良かったです

あー枯れっ枯れの心が充電出来たー‼って思えるかなりおすすめの短編集いっぱいのお得な1冊です♪
また仕事これで頑張れるw

2

あの日に、駈けて行けたら

 6作品すべて既読していた作品ですが、一冊の本で読むのを楽しみにしていました。表題作が一番最初の作品になった話の並べ方は秀逸で「はぁ、またやられた」という気持ちです。
 
・『あの日、制服で』
 卒業式の日に「好きだ」と告白してきた同級生と、5年ぶりの同窓会で再会する。彼の左手には結婚指輪が・・・。二人ともこの5年間、ときどき思い出していたのかな?それともほとんど忘れていて、再会をきっかけに溢れて来たのだろうか?それがどちらだとしても、あの日の思いに嘘はなかった。無理して笑った後の、布団をかぶった泣き顔が切なくて、そこから3ページのモノローグには、やり直せないあの日の輝きが満ちていて、切なさが一層胸に沁みるのです。
 
・『A先輩』
 顔の見えなかったA先輩が、目を背けていたことを口にして片目が現れた。そしてC君が言います「もっとよく顔を・・・見せてください」向き合って、今度はしっかりと見つめ合うことが出来るのかな。

・『中学3年生』
 あまり接点のなかった同級生同士が、ちかんをきっかけに始めた取引関係。大人びた同級生の泣き顔が急に子供で、背伸びしていた関係が、初恋になったらいいなと思いました。

・『裸の僕』
 高校生にしては幼い見た目の僕と、彼女と別れたばかりの先輩。僕の告白を受け入れてくれたその日にSEXをした・・・。あそこをつるつるに剃ってのSEX、先輩はただの好奇心だったのかな。結局は振られてしまったけれど、あんなふうに優しく「ごめんな」って言われたら、忘れることなんて出来ないよ。先輩、罪深いな。

・『転校生』
 葛城洋一はやばいと噂のある転校生。印象的な視線とすらりとした容姿に女性物の下着がチラリと見えて、誘われて思わず手を出してしまう同級生。Hの後に自撮りして笑う顔は噂どおりに「やばい」感じなのに、見つめられると拒否できない。大人でも子供でもない曖昧な時の過ちは、先生も自分も傷つけたけれど、先生は大人なんだ。もっと上手くかわすことも出来たはずだと思う。不器用に頭に手を置く同級生に泣きながら話しだす葛城。「うん、うん」ってただ話を聞くだけの同級生の優しさに泣けました。
 女装とか女性下着を身につけるとか全然好きなシチュじゃないのに、これはとてもよかった。葛城の見た目もすごく好みでした!

・『ニコイチ』
 いつのまにか体格的にも差ができた幼馴染のアツシとけーた。剣道を教えに来ているオガタに嫌なものを感じていたのに、アツシを助けられなかったことを悔やむけーた。ひどくショックを受けたアツシだけど、けーたとのことで傷も広がらなかったようで、安心しました。けーたの大きくてゆったりした体格そのままの性格にすごく癒されます。真っ赤になって手を繋ぐ二人が可愛いかった。

・『今夜、あの日に』
 表題作から更に2年が経ってからのお話。
あいつが離婚したことを知って駈け出した俺は、きっといつの間にか制服姿になって、あいつの腕を掴むんだ。あの日のやり直せないはずのモノローグみたいに・・・。
 -あの日、制服でー 心からこの作品が好きになりました。
 
 6作品の中で唯一大人の主人公たちの『あの日、制服で』から始まり、彼らの描き下ろしで終わる短編集。あの日にむかって駈け出した姿に、それが出来ない私は、懐かしさと羨ましさと切なさで、制服を着ていたあの日に思いを馳せてしまう、素敵な短編集でした。
 表紙には大人の俺たちと、カバー下に制服の俺たち。アルバムをめくるような作りがすばらしいのです。

7

PINK GOLD1~6の作品を収録

PINK GOLDで読んでいるのがほとんどなのですが、
それでも6作品をいっきに読むと、それぞれの秀逸さをより感じました。

激しく想いを寄せて、欲情が止められなくて、傷ついて、包まれて…
明日美子さんの無駄のない細い線が、
まだ未熟な体、繊細な心、独特の熱とで織りなされる十代の恋を、
色を付けるかのように鮮やかに描き出していました。
不意に見せる子供っぽい素の表情も、すごくいい。

今回、表題作になっているPINK GOLD6掲載の、
言いようのない切なさが残る作品に、
最後、明るい未来を感じさせる描き下ろしがプラスされて、
嬉しさと共に胸が熱くなりました。

カバー下もカラー絵で凝っていて、本当に素敵な1冊でした。


■表題作「あの日、制服で」1話+描き下ろし
卒業式で告白されて、返事も伝えることなく別れて、5年。
再会した彼の薬指には既に結婚指輪が。
当時の想いが溢れ、指輪を外して激しく体を繋げるけれど、
共に寄り添っていくにはもう遅すぎて…

無理をした笑顔と、別れの言葉を聞いて溢れる涙が、
激しく胸に刺さります。

描き下ろしは、その夜から2年経った日の話、
期待に胸を膨らませて彼の元へ向かう姿が、とても眩しいです…

■「A先輩」1話
他に好きな人がいるのに、A先輩に好意を寄せられ、
ちょっとの誤解と興味から、性的行為に耽るようになって…

少しずつ行為がエスカレートしていく様子とたどたどしさが、
すごくエロティック。
最後にA先輩への気持ちが溢れて、同時にやっと顔が…素敵な演出でした。

■「中学3年生」1話
同じクラスの目立たない奴が、男のチカンと関わっているのを見て思わず…

冷めた顔でフェラをし、ひとりでするのも見せれる子が、
不意に幼い顔になって涙をためる姿が堪らないです。

■「裸の僕」1話
ショタに見える高校生の子が、先輩に告白したらOKされて、
安全剃刀で毛を剃ってもらってペニスを裸にしてからセックスを…

涙で訴える無垢な想いが報われないのはすごく切ないけれど、
そうやって、大人になっていくのかな…

■「転校生」1話
オトコの担任とヤってて退学処分に…
そんな噂のある転校生の学ランの下から女性モノの下着が見えて…

フリルやリボンの付いた下着をずらして、触って…
こういう話は何度も読んだけど、こんなにエロく見えるのは初めて!
最後に、
いじらしい真剣な想いがあって女性下着を付けていたのが分かる、
その切なくもあたたかいラストへの持っていき方は、流石。

■「ニコイチ」1話
ある日、体育館倉庫で制服を剥かれて、
性的悪戯を受けてあられもない姿で泣いている幼なじみを見て…

小ザルとクマのような体格差のあるふたりのエッチと、
その後のちょっとぎこちないけど通じ合ってる雰囲気がとても可愛い。


文句のつけようがない神本でした☆

※ 修正も白抜きばかりじゃなく、
 よく見えないからこそのエロティックさもあって、
 わたしは許容範囲内かなと感じました。

22

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