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ashitaya akinai hanjou
好きすぎる作品って、レビューできないですね…だから初読みは2014年頃だったけどもう10年経ってしまった。
…というわけで、明日屋の2巻目です。
構成は1巻と同じで、持ち込まれる古道具にまつわる怪異と人の心を秋緒(とキッカ)がほどいてゆくストーリー展開。
手が無くて扇子が持てない女形のために地獄を巡る秋緒。
狐の子に火鉢を売ってあげる秋緒。(この話泣ける…)
愛しい人と馬の背で川を飛び越える花嫁御寮。
愛しければ骨だけでわかるの?のガシャ髑髏。
あの世に原稿を受け取りに行く編集者。
そしてついに秋緒の秘密が、天宮とキッカの秘密が、死の世界の秘密が、明らかになってゆく。
目覚めて独りの秋緒は寂しかろ。これなら死んだ方が良かった?それは違う。
いのちは情熱に値する…
私にとっては、そこがテーマのように思えました。
さて真実がわかったところで振り返ると、なんという不思議世界、なんというイメージの奔流。
こんな作品が他にあるでしょうか。正に唯一無二。
究極の神作です。
2巻では後半で伏線を回収しつつ、とうとう謎が解き明かされます。
秋緒たちのいる世界。
なぜたくさんの厄介ごとを解決しなければならなかったのか。
キッカと天宮の関係。
現実と幻想が入り乱れるストーリー。
事故の記憶が戻り、何があったかも明らかに。
ラストは意外な結末に。
そういうことか!と手を打ってしまうほどでした。
丹念に織られた布のように、滑らかで美しいラスト。
そしてまた最初から読み直したくなるのです。
ほんのもうちょっと、2人のその後が見たかったですね。
ARUKU先生の見事な物語のまとめ方に、ますますファンになりました。1巻の終わりの方で、なんとなくこれは幻の世界なのかなぁと思いましたが、幻であり現実でもあったのですね。家族の中で1人生き残ってしまい植物状態となった秋緒が、自分に残された命を捨てて家族を追うのか、もう一度生の喜びを感じたいのか、決断するまでの期間でもあったのかなぁと感じました。
彼の治療を担当した先生が秋緒の夢の中に2人の男として登場する。キッカは現実の彼の雰囲気にも似ていて分かりやすいですが、天宮はなぜ生み出されたのでしょうか。常に冷静で現実的な彼はファンタジーな世界の中では浮いていたけれど、優しく見守るだけのキッカと違い、秋緒がこの世界に馴染み過ぎるのを防ぎ、事故のことも時折思い出させて現実世界との繋がりになっていたのかな。先生自身がキッカのように常に穏やかに大らかにいられたわけではなく、天宮のように焦燥感や悲哀を感じることもあったのが秋緒に伝わっていたのかもしれませんね。読み手に様々な余韻を残してくれる作品だったと思います。
私がaruku先生を大好きになったきっかけとなる作品がこの『明日屋商い繁盛』です。
1巻も素晴らしい。しかし2巻はそこから急転直下、ガラリと展開が変わるのですが、それがまたこれまでの流れを内包してより凄まじいものとなっているのがもうただ一言、天晴れです。
ちぐはぐ感や読者を置いてけぼりにすることなく、この難しいお話を描きあげるaruku先生のストーリーテラーっぷりに酔いしれることができますし、絵柄も癖になります。
とことん惚れ込んだ作品なのですが、唯一要望があるとしたら主人公2人がその後もっとイチャイチャしてる姿を見たかったくらいかな。
それもこの2人が好きすぎる故なので、漫画の内容としてはこれ以上ない終わり方です。
なのでぜひいつの日か番外編でアフターストーリー読みたい!
1巻に比べてBL要素多めだった気がします。どれも切ないですが、その分読み応えがありました。特に編集者の鷲尾と新人漫画家の柿崎は普通にBLですし、むしろキッカと秋緒よりもそれっぽくて好きです。次こそはくっついてほしい!
そして、何よりラストが良かったです。キッカとは?天宮とは?というのは誰もが気になるところだったと思いますが、その問いに丁寧に答えるラストです。また、悲しい死を経験した人も来世ではみんな幸せになれそう。ファンタジーな内容なのに展開は地に足がついていて納得のできるものでした。
BL的に萌えるなぁと思うのは、これまではキッカ→秋緒だったのが、これからは秋緒→キッカになりそうなところ。絶対うまくいくと思える相性抜群の二人なので、どんな世界に居ても幸せになれると思いました。
遅ればせながら「嫌い、大嫌い、愛してる」を読んでからどハマりしてますARUKU先生。
本当にものすごい作家さんだよと
過去作を読みまくっていますが
今回の物語にもそうきたか!と脱帽しました。。
また最後には涙がだばーっとなってしまいまして
この方もうBL作家の枠を超えてますよね
もはやこの死生の物語は文学?を読んだような読み応えがあり心に響きました。
生と死の狭間なんだなと読んでいた
明日屋の世界ですが
ついにキッカ(天宮)の正体、謎が「壺」の章で
明らかになります。
ストーリーがもう秀逸、、
死者を助けてきた秋緒の壺、スタンプカードがいっぱいになって〜
ジャンルはファンタジーになるんだろうか?
ラスト、キッカと再会できるエンドはほんとに最高で泣いてしまいました。
そしてARUKU先生のちょっと独特な絵ですが
素晴らしいストーリーに触れてるとだんだん好きになってくるんです。
(みなさんのおっしゃるとおりでした)
それもマジック。とにかく一回読んでほしい。
もはやだいすきです。
唯一無二なストーリーテーラー。
今一番新しい作品の「昨日君が死んだ」も死生を扱う物語で傑作だし未完だから続きをほんとに楽しみにしています。
【登場人物とKIKKA】
《現実世界・夢の中》
・若草秋緒
(主人公。脳の損傷により昏睡状態に陥る。)
《現実世界》
・菊宮
(脳神経外科医。秋緒にKIKKAを導入する。)
・KIKKA
(脳の破損した部分をつなぎあわせるプログラム。菊宮の脳波パターンを元にしている。)
・蓮沼
((おそらく)脳神経外科医。
秋緒の事故から二年目の春、KIKKAの管理をしている人。)
《秋緒の夢の中》
・キッカ
(明日屋の下宿人。
菊宮が秋緒の夢に現れたもの。)
・天宮
(秋緒の友人。
KIKKAが秋緒の夢に現れたもの。)
・黒蓮
(お坊さん。
蓮沼が秋緒の夢に現れたもの。)
【ストーリー】
主人公の若草秋緒は、
交通事故によって昏睡状態になる。
そこで、脳神経外科医の菊宮は、脳の破損した部分を修復するプログラムのKIKKAを、秋緒に導入する。
KIKKAは、まだ実験の段階であった。
ただ、父親を脳の病気で亡くした菊宮は、
目覚めない誰かをただ見ているだけであることが嫌だった。
秋緒が意識を取り戻す可能性が1%でもあるならと、全ての責任を負う代わりに菊宮は、秋緒にKIKKAを導入する。
春も、夏も、秋も、冬も、菊宮は通常勤務以外の時間を全て使って秋緒を介抱する。
菊宮は、目を覚まさない秋緒に常に語りかけ、絵本を読んだ。
菊宮が読む絵本の内容が、秋緒の見る夢となる。
夢の中で、秋緒は古道具屋「明日屋」を営み、付喪神のキッカや友人の天宮と過ごし、さまざまな人に出会う。
本来死ぬはずであった秋緒に、夢の中で「死」が襲いかかる。天宮は、秋緒を「死」から身を挺して守った後、キッカへと姿を変える。
天宮とキッカは同一人物なのかと秋緒はキッカに問うが、キッカは「あれは俺のバックアップシステムだよ」と言い、詳しく説明している暇はないからと、先を急ぐ。
秋緒は、キッカ(天宮)と別れてしまうが、生と死の狭間を切り抜け、秋緒は目を覚ます。
ただ、目覚めた世界にキッカはいなかった。
秋緒は、明日屋があればキッカは戻ってくると、そう思って現実世界でも明日屋を営む。
キッカは、いつも和傘を持っていた。
秋緒が外出している間に、明日屋で、和傘が売れた。
買った人の特徴がキッカに似ていることから、秋緒は再びキッカを探すが、見失ってしまう。
そして、事故から2年目の春が来た。
秋緒は定期検診のために病院を訪れ、そこで偶然蓮沼が言葉にしたKIKKA(キッカ)という言葉を耳にする。
秋緒は、キッカと聞いて蓮沼を問い詰める。
蓮沼は、この病院を訴えないことを条件に、KIKKAについて語る。
秋緒は、KIKKAについて知るとともに、
菊宮が秋緒を熱心に介抱してくれたことを知る。
キッカは存在していた。
菊宮が、キッカとして、
夢に現れていたのだった。
菊宮が病院の庭にいると聞き、秋緒は走る。
菊宮は、明日屋で買った和傘をかたわらに、桜を楽しんで目を閉じている。
誰かが来たことに気づいて、菊宮は目を開ける。
今までの思いがあふれて涙を流す秋緒。
菊宮と言葉を交わし、菊宮の手に触れ、菊宮の香りを感じ、菊宮がキッカであることを秋緒は実感する。
菊宮は言う。「おかえり」
秋緒は、菊宮と一緒に生きていきたいと思った。
【現実世界と夢の対応表】
現実世界 → 秋緒の夢
1、菊宮先生 → キッカ
2、KIKKA(プログラム) → 天宮
3、蓮宮先生 → 黒蓮
黒蓮...夢の中で時折秋緒を支えるお坊さん。
1.キッカが、天宮のことをバックアップと表現。姿も、よく似ている。
→ KIKKAは、菊宮の脳波パターンを基本として作られていたため。
2.
天宮の、途切れたコードをつなぎ直すシーン。
→ KIKKAが、脳の破損した部分をつなぎあわせているということ。
3.
天宮は、メガネをかけたお堅い人のように見えるが、人間的な感覚や意思を持って話している。
→ KIKKAは人間的思考を持つプログラム。
4.
キッカと黒蓮は仲が良い。
→ 菊宮と蓮沼も仲が良い。
蓮沼は、菊宮の過去を知っていて、交わす言葉からも菊宮と仲が良いことがうかがえる。
5.
生まれ変わる前に明日屋を訪れた人が、
現実世界に登場する。
→ 夢の中の明日屋は、生と死の境目。
最後の最後でやっと謎が解けます。
キッカ!
2巻も不思議なお話でしたね。死者を助けたり。
でもみんなお伽噺のようなじんわりいいお話で怖いけど読後感が良くて。
秋緒の家族が亡くなった謎が明らかに。
そして秋緒は、キッカとは。
キッカと天宮はやはり。でも同時に現れたことあるよね?
秋緒が目覚めて約束通りキッカを探して、キッカの正体がわかった時は愕然としました。
でもキッカの本体?の存在がわかり感動しました。
しかしキッカの本体は秋緒を愛してくれるのでしょうか?一から始まるのかな?時間はたっぷりあるし。
1巻から不思議なお話ばかりで死人の集まる古道具屋さんなのも意味が(もちろん)あったのですね。
色んな物語が読めて良かったです。
宝物の2冊になりました。
一話一話に奇妙な世界観があり、切なさや感動、やるせなさや悲しみもあり、なおかつ全体のストーリーに繋がっていく流れが素晴らしい。
ホラーやミステリー、怪奇譚、乱歩的世界が大好きな私には本当にハマりました。
秋緒に何があったのか、キッカとは、天宮とは一体何者なのか。
謎は深まり続け、最後にやっと真相が明かされる。
ハッキリとした恋愛は描かれないながらも、主人公を軸とした本編、各話のエピソード中にそこはかとなく散りばめられたBL的要素が程よく物語に色を添える。
ARUKU先生の作品は独特の不思議な世界観と、胸が震えるようなストーリーが、特徴のある絵柄と相まって、中毒性があるよなぁ…
冒頭や中盤で「別離」を予感させるモノローグがあるのも特徴的だと思う。
それによって読む側は心の片隅に常に覚悟や不安感のようなものを持ってストーリーを追うことになる。
その不安定さがたまらなく好き。
余談ですが、最近ARUKU先生を知りファンになり、過去作を購入しては読み耽る日々を送っております。
…と思ったら、こちらの「明日屋商い繁盛」は以前試し読みしたことがあるのを思い出して…
当時BLにハマったばかりの私は、イケメンと美人のカップルがアレコレしちゃう♡という王道的シチュエーションに萌えまくっていたので、そのときはこの魅力に気付かずスルーしてしまったんだよなぁ。
今回いろいろ調べていて、初めて「あ!あのときの!これってARUKU先生の作品だったんだ!」と記憶が蘇り、一人で大興奮。
早速購入して読了。
結論として、今のタイミングで読むことが出来てよかった!と思います。
作品って「出会う時期も本当に大切だな」と改めて感じました。
個々のエピソードと並行して、靄が晴れるように謎が明かされて予想を遥かに超えた結末にこういうことだったのか!と驚かされました。
どうしてこういうお話を思いつけるのでしょうね。
一巻目でもストーリーテラーとしての凄さに驚きましたが、二巻目はさらに上回ったものを見せつけられて震撼しました。
死の存在が見えるようになった秋緒の言葉
「いつか自分が死ぬ日がくる
それまではもらった命を大事に生きてやる。」
は「memento mori 死を想え」そのものです。
生きるために死を想う。
死は避けられないものだから、今を大切に生きる。
ARUKU先生からの強烈なメッセージを感じました。
それにしても、狐といい、漫画家といい、羽裏といい各エピソードではこれまたいいように泣かされました。
そして一巻に比べるとグロも控えめで幼虫も出なかったので胸を撫で下ろしました。
それぞれのお話がすごく良くて、ストーリーの構成上そのままと言うわけにはいかないのはわかるけれど、ずっと「明日屋」での生活が続いてくれたらいいのになと思いながら読んでいました。
「明日屋」にやって来る客はみんなひと癖も二癖もあり、持ち込まれる品も願い事も厄介な事ばかりなのに、優しくて切なくて穏やかな「明日屋」での生活。それは秋緒にはとても居心地のいい場所なのです。それでも前に進まなければならないわけとは…。
・バラバラにされて殺された人気女形の右手を、地獄へ探しに行くお話。
・子供に化けて火鉢を買いに来たひとりぽっちの子狐のお話。
・意に添わぬ結婚をしたときの花嫁衣装を売りに来た老婆のお話。
・盗まれた鞄を探して「明日屋」に現れた漫画編集者と貧乏な漫画家のお話。
・秋緒が頑張ってもらった壺を「売ってくれ」とやってくる黒い影のお話。
恋の地獄で人が人を欲しがる罪の深さを見て、愛着を抱いたものを奪われて、運命のやり直しを手伝って、誰かを失った痛みは忘れられないけれどいい思い出も忘れないという言葉をもらい、壺につまった沢山の「ありがとう」を抱えて、秋緒はキッカや「明日屋」を後に一人走るのです。そして秋緒は病室で目を覚まします。「明日屋」は秋緒が見た長い夢だったのか?それとも…。
植物状態から目覚めた秋緒は、一人になった寂しさに「明日屋」の痕跡を探しまわります。助からなければよかった「明日屋」に帰りたいと思っても、キッカや天宮そして「明日屋」の客たちがくれた明日と言う未来を生きなければならない秋緒。
ARUKU先生が用意していたキッカの正体にびっくりです!ここから続く秋緒の「明日」が、キッカとの暮らしのように穏やかになることが想像できてほっとしました。
どのお話も外せないのですが、『ごんぎつね』や『きつねの窓』の刷り込みがあるせいなのかな、一番涙腺を刺激したのは子狐のお話でした。
1冊丸ごと表題作です。
秋緒の過去(事故)が明かされ、キッカと雨宮の正体も分かります。そして秋緒の未来の話です。
1巻の最初のページから、2巻のラストに向かって進んでいるのが感じられるストーリーが素晴らしいと思いました。なんでこの話を入れたのかと疑問に感じたり、ちぐはぐな場面が少しもなく、読んでいて気持ちがよかったです。
1巻に比べるとグロテスクな場面も少なめだった気がするので、グロと幼虫が苦手で1巻でびくびくした身としては有り難かったです(笑)
愛するということ、大切にすること、出会いと別れ、死、生きるということ…読み終えて寂しさと温かさが胸に残りました。素敵な話でした。
なお、描き下ろしは巻末でなく真ん中よりにあります。後日談でないのでご注意ください。カバー折り返しにある四コマも後日談でなく、キッカと秋緒の可愛い日常でした!
かねてよりARUKU作品を読んでみたかったのですが、どのコミックスを読もうかと迷っているうちになんとなく今日になり、それならばとARUKUファンのちるちるユーザーさんに思い切って「一冊目におすすめするとしたらどれですか?」と訊いてみました。まずおすすめいただいたのがこちらの作品です。最初に出逢えたのがこの『明日屋商い繁盛』でよかった、ありがとうございます。以下、1・2巻合わせてのレビューとします。
描かれるのは、古道具屋「明日屋」を譲り受け、商売などしたこともなかった主人公が日々出逢う客たちのなかに見るもの。そして、そんな店主を近くで見守りながらもときどき、可愛い子(店主)には旅をさせる"大きな存在"。勝手なイメージですが、鮮やかな赤・黄・白が強く見事な花を咲かせ続けるような...私にはとても長い二巻でした。ものすごくお気に入りのシーンがいくつもあるのですが、それはあえて書かないでおきます。涙はぐっとこらえて読みました。
天にも情けがある、傷ついて悲しくてなおも恋しい、好きだけど憎い、好きだから憎い、生きていく強さを思うとそこには愛がある・・・そして、生きていくとはこんなことだ、というような。どこにも人の情熱と心がみえたと思います。
そしてなにより。
いやぁ...どうしたらこんなストーリーが生まれるのか。
よくレビューを拝見していると作者の「ファンです」と文中に入れていらっしゃる方が多いのも納得でございます。「完」の文字を読み終えたときの気持ちはなんとも忘れがたい宝物となりました。まぎれもない神作品。これからもぜひ、たくさんの人にこの作品が読まれますように。なお今作未読の方には、特に登場人物たち自体についてや終盤の展開など、ネタバレをせず読まれることを私は強くおすすめしたいと思います。
「明日」を信じるのではなく、そこにいる誰かのためになにかをしたいと思えば、明日がくるのかもしれないですね。
1巻に続き、グロテスクかつ美しい世界観と独特の人外表現に夢中になった2巻でした。
キッカに使役されるつくも神たちがキュートでかわいかった…。
2巻も、オムニバスの一話一話がすごく濃密で面白かったです!
(個人的に、1クールくらいのアニメーション作品としてまとめて頂きたいくらい大好きです…動くキッカと秋緒と妖怪たちが見たい)
一番印象に残ったのはやっぱり子ぎつねのお話なのですが、
生まれて初めての暖かさを知った直後に襲い掛かる、ある種正当でやっぱり理不尽な暴力と、今わの際での強がり、そして見つけられてしまう亡骸…
恐ろしく残酷な展開ですがはらはら泣いてしまいました…
(残酷さの中に、ARUKU先生らしい死生観と美しさを見出すこの感じ…以前読んで大好きだったクリーニング屋さんのお話を思い出します)
お話全体のオチもまたARUKU先生らしいというか…!
明日屋という世界の都合の良さ、それでも秋緒を包み込むようなやさしさ、無情な残酷さ、それらの全てにしっかりと理由がついていたのが、
もうそういった部分は度外視して読んでいたので予想外で面白かったです。
(意識を取り戻してから、身の回りのあらゆるものに明日屋で過ごした名残がある辺りもすごくぐっとくる演出だった…)
残酷な話、暖かい話、なつかしい話、オムニバスのすべてが切なくてちょっぴり寂しい『愛』がテーマになっていて、なんだか野島伸司の「世紀末の詩」を思い出しました。
ARUKU先生はやっぱり唯一無二の素晴らしいストーリーテラーだと思います。
濃密な世界観にどっぷり浸りたい時に、1巻から続けて一気に読み返したい作品です。
アルクさんの作品で2番目に好きです。今回で全ての謎が解けて、驚きの結末に度肝を抜かれます。
キッカの正体や黒い影の正体。そして、家族の死の原因。全てが明らかになり、お話の深さに感嘆するばかりです。
明日屋に来る客たちの話も、いくつか切ないものがあり、泣けます。秋緒を兄さんと呼んで慕っていた子狐の話では、最後の力を振り絞って電話した子狐の気持ちを考えると、この終わり方に胸が痛かったです。
現世に戻ってから、生まれ変わった彼らを見れたのには、嬉しくて胸が温かくなりました。特に達磨ちゃんの可愛さは、子狐で辛かった気持ちが癒されます。
キッカとの再会で、秋緒の世界は輝かしいものになると、確信できる終わり方に大満足です。
だたもうひたすら感動!
ひとつひとつの妖怪謎だらけエピソードが最後こんな風に落ち着くなんて。
1巻ではなんじゃこれと思いながらも心惹かれてたけど、散漫にならないどころか、見事な終結。
やっぱりARUKUさんは独特な世界観の持ち主ですね。
子狐の話なんて「手ぶくろを買いに」のようでいて、最後が残酷。
これまでの作品もそれぞれが素敵だったけど、これは抜きん出て秀作です。
いつものアレ?ってなる微妙に狂ったデッサンが、この作品にすごく合っているようにも思えました。
この表紙にこそキッカと秋緒の関係性が詰まっているように思いました。愛おしく慈しむような秋緒の仕草。家族を喪い独りきりとなった秋緒のそばにずっと居てくれたキッカのことを、包むように触れて笑う二人の絵に心が安らぎます。
悲しいと取るべきか幸せと取るべきか、ハッピーエンドなのにうっすらと残る喪失感はいつまでも拭えず、でも秋緒が笑っていると私も嬉しいのです。
2巻での癒しは火鼠・伝助に続く明日屋の住人、達磨ちゃんです。
こう言ってしまうのはなんですが、ARUKU先生の描かれるデフォルメキャラとかミニキャラとか(たとえば四コマの秋緒とキッカもですが)って特別巧くてカワイイわけではないと思うのです。(付喪神たちは見た目もかわいかった!)
でも、彼らみな動作や表情、言動がとにかく可愛い! 姿かたちよりも仕草にキュンとなります。
達磨ちゃんもそのたぐいで、お茶を淹れてくれたりですとか「あさって屋」を開いたりですとか、そういうところが本当にかわいい。
だからこそ、達磨ちゃんとのお別れには目頭が熱くなりました。行かなきゃ、って。お弁当持って、マフラー巻いて、さようならなのにとても明るくて寂しいけれど悲しくない、そんな不思議なお別れに心がギュッとなるのです。
それともうひとりの癒しと寂しさは『火鉢』の柿の葉。
化け学勉強中の関西弁のキツネちゃん。かわいくって仕方のない出会いがあっただけに、終わりがあまりにも切なくてなりませんでした。
致し方のないことだと、それもこの世界の理なのだと、善悪があって因果応報があって、それが当たり前なのにしようのない哀しみがありました。――ああなのに、別離の予感がする。
明日屋での各話気に入りのシーンは
扇>半十郎の舞台、死出への花道
本日定休日>付喪神大集合!
火鉢>火鉢の鳥さん
花嫁衣裳>キッカとの逃避行
羽裏>朝日を背に、しゃれこうべに頬を寄せ泣く骸骨
鞄>やっぱりいいなぁARUKU先生のラブシーン…! 三途の川
壺>『死』の描写
張り巡らされていた伏線を回収し、この明日屋の世界がなんでありキッカは何者であったかがすべて明かされる最終巻。
ひとつずつ分かるたび、ああ物語が終わるのだなと感じて読み進めるのを止めてしまうこともありました。キッカの口から語られる言葉にも、終わりと別れが滲んでいるんです。
最終話で気が付いたのですが、今まで秋緒が明日屋に居た間=こん睡状態だった間はコマの間が黒く塗られて「夢うつつ」の世界であることを明確にしていたんですね。そうでない、あやかしたちの過去エピソードは白いのだから、彼らはリアルなのでしょう。なにしろ秋緒が目覚めたあと、現実世界で出会っているのですから。
(達磨ちゃんのところは、やっぱり嬉しかった~!)
最終的には和風ファンタジーだけでなく、ややサイエンスフィクションの要素も入っており、一層の面白さを感じました。こういう設定すごく好きです。生臭坊主がまさかのお医者さんにはクスッとしちゃいました。(ということは、菊宮先生は彼のことも好みのタイプなのかな?笑)
ずっとそばで守ってくれていたキッカと天宮。(天の菊宮だからでしょうか?)
どうしてもどうしても会いたくて仕方がなかった彼ら。
秋緒を大切に思ってくれていた菊宮先生。
他のどんな言葉にも変えられない「おかえり」がじんわりと胸に沁み渡ります。
寂しい愛しい哀しい嬉しい、人間の明暗の感情すべてが混ぜ合わさる不思議で恋しい物語でした。
前巻に続いて、明日屋で物とそれに縁或る者とを橋渡す秋緒と、それを助けるキッカのエピソードが連なる中、秋緒はキッカと離れたくないと思い、キッカは別れの日が近づいているのを感じ、、、
キッカの助けを借りて、秋緒は一人、現実世界に戻ります。
戻った現世には、キッカはいません。
そして2年の月日が流れ、、、
ARUKUさんの物語作りの力にはいつも感心する。
硬い絵も、これはこれで味わい深い。
どもあれ、ちゃんと現実世界で結末がハッピーエンドになってよかった、よかった。
この作家さんなんで、終わりが怖くて仕方なかったのですが二巻完結と聞いていたので、覚悟して読みました。
泣きました。
BL漫画で泣いた事はほとんどないのですが、泣けたのは全部アルクさんの著作でした。
本当、たまらないです。
お涙ちょうだいという訳でもなく、不幸が当たり前な主人公が悲しいのだろうなあ。
この話が悲しい展開が多いにも関わらず他に比べて安心して読めるのは、受(?)くんが自分の不幸を受け入れていないし、孤独ではないからだと思いました。
アルクさんの主人公は、貧乏よりも頼る相手が誰もいない孤独なところがつらいのです。
今回はキッカがずっと守っていてくれたので。
最後、絵画展にあの二人がいたのがとても嬉しかったです。
あと、だるまちゃん。可愛過ぎて、お別れのシーンでもほろりとしてしまいました。
本当、いいお話を有難うございました!!!
虫とおきつねさんのお話は多分、つらくて読み返せないです。(どっちも違うつらさですが)
ARUKUさんの漫画は一通り全部持っていて大好きなのに…
でも読む前にはいつも身構えます。
読んだら読んだ後は絶対に裏切られることがなく『素敵だった!』と思えるって
分かっているのに絶対的な切なさや儚さを含んでいることが多いので
世界観に引きずられるのが少し怖くて、読む前に精神統一してからしか読めません(笑)
この度もそうでした。
1巻からの謎も綺麗に溶けて、未来は明るく終わり、読後は大好きだ!
やっぱり素敵だった!と思いました。
摩訶不思議で愛らしい生き物たちも可愛かった。
でも、動物ものに弱い私は本当に泣けて泣けて仕方がなかったです。
これを描き切ってしまうんだな。
先生は描きながら泣いたりしないのかな。
出来上がった漫画だけでなく、描かれた先生の事も、強いなって思える漫画でした。
主人公たちは色々乗り越えて、本当に素敵な未来へ続いて行く終わり方なので
絵には賛否あるみたいですが気にならないようなら楽しめるんじゃないかと思います。
私はこの絵にどハマリしているのでこの絵柄じゃなくちゃいやです(笑)
私もARUKU先生の絵が大好きなので、来花さんと同じく、他の絵なんて考えられません。
インタビューで、アイデアがいっぱいあるので漫画原作もやってみたい、とおっしゃっていた先生ですが、ARUKU先生のお話は全てARUKU先生の絵で読ませていただきたいですよね。
本当に素晴らしかった。ARUKUさんの作品で1番
好きな作品になりました(笑)
明日屋について、天宮について、キッカについて、そして秋緒自身の
真相が分かるのですが・・・こういう事だったのか!と本当に驚かされました。
明日屋での日常と、真相の組み合わせに、私は魅せられました。
キッカの秋緒への思いは無償の愛にも感じます。
秋緒は愛されて見守られて、そして秋緒も誰かの助けになり少しずつ
強くなりました。それは幸せな夢から覚めた時の為でもあったのですね。
本作の最後の言葉には、泣かされました。ARUKUさんは本当に素晴らしい
作家さんです。最後にこの言葉を持ってくるなんて・・・スゴイ!
秋緒に「おかえり」と言ってくれる人がいて、よかった。
不思議なお話で続きが読みたいとずっと待ってました。
今回も1話1話がちょっと悲しいストーリーで涙ホロリもあり。
特に狐の火鉢のお話は本当にホロリ。
狐が悪い事をしたのはわかるんだけれども、可哀相すぎる…。
そして本題!
キッカやそれに瓜二つの友人やら、いろいろと謎でしたが
まさかこういう展開になっていたとは?!
とにかく最初の事故から始まるんだね。
今まで暮らしてきた世界は植物状態になった自分の夢の中(?)
生と死の境目(?)なんて言えばいんだろう?
目が覚めた後にも、それらに繋がるものもあったり。
それより、なんといってもキッカの存在ですよ。
傘のお化けでもなければ、友人でもない、
天才脳神経外科医が見せた奇跡なのです。
でもこの天才脳外科医、すでに日本(医師会?)から追い出されてるわけだけど
奇跡的にも目を覚ました秋緒がいるんだから
また日本に戻ってくるのかな?
それとも向こうで一緒に暮らすのかな?
なんとも不思議な世界のお話し。2巻でラストです。
絶対ここは「現世」ではないんだろうな。と思うのに、秋緒は死んでない。ではここは・・・?
親戚から受け継いだお店に居候として居座るかさかさおばけのキッカとキッカにそっくりな秋緒の友人・天宮との関係は?
1巻からの謎が全部あきらかになります。
正直「BL的萌え」は少ない作品だと思います。「大人が楽しめるおとぎ話」のようで、ぐっと心をつかまれるのです。
秋緒が引き継いだ古道具屋「明日屋」には死者の思いが強く残った品物が持ち込まれます。
物についた死者の思い。それを秋緒が解決してあげることで死者の思いが浄化されていく。
なので、一話完結なのですが、それぞれに切ない思いがあふれていて涙が出てくるのです。
そんな日常を一緒に過ごすうちに同居人キッカに惹かれ始める秋緒ですが、火鉢を買いに来た子ぎつねちゃんの悲しい最期を目の当たりにして「自分が思いを寄せる人はみんな死んでしまう。だからキッカに好きと言わない」だから一緒にいれるよね・・・。その秋緒の想いも切ないのです。
↑みなさんお書きになっていますが、子ぎつねちゃんのお話しは号泣しました。やっとやっと人間(秋緒)と仲良くなれたのに。あぁ、今思い出しても泣ける!!
いつまでもこのままで。
そんな二人の生活も、とうとう最後の日がやってきます。
自動車事故で家族を奪った「死」がとうとう秋緒の元まで迫ってきます。それを身体を張ってキッカが、天宮が守るのです。
二人(実は同一人物っていうのかな?)の思いと、今まで秋緒が助けてあげた死者達の秋緒に対する感謝の思い、そして何より秋緒を愛してくれた家族の思い。
それが一つになった時。
秋緒を事故から1年。やっと目覚めます。
「元の世界」に戻った秋緒は、キッカを失った喪失感でいっぱいです。
生き返った秋緒が幸せそうに見えず、悲しい気持ちになりました。。。
それでも「いつかキッカが戻ってくるかも」と、秋緒は「明日屋」を開くことにします。
そこにはあの「死」と「生」のはざまの世界にあった「明日屋」で出会ったような人たちが。
道端では、生まれ変わらなきゃと泣きながら秋緒の元を去って行ったダルマちゃんが生まれ変わった男の子の姿で登場します。←かわいい。
そして。そして。
定期健診で訪れた病院で、秋緒は思いがけない<事実>を知ります。
そして、一番会いたかった人に出会います。それは正確にいえば秋緒が本当に望んでいた<再会>とはちょっと違うのかもしれない。
でも、生きている二人がこの先新しい関係を築くのを予感させるような終わりになっています。
キッカはいつも軽口を叩きながらも、秋緒の支えでした。男前だったなー。
秋緒はあんなにつらい目にあっているのに、まっすぐな気持ちを忘れない青年でした。
ほんと、素敵な家族だったんだなーと、家族エピソードもじーん。。。
最期はちょっと駆け足な印象もありましたが、私の想像よりちょっと上を行く真実に「ほぉぉぉーーー」と思いました。そうきたか!と。
最初に書いたように「BL的萌え」というよりも、上質なファンタジーを読んでいるような充実感でした。
いっぱい泣いて、でも大きな「愛」を感じました。
ARUKU先生、短編も読みごたえのあるお話をお書きになりますが、やっぱり長編いいですねー。1と2、合わせて神評価です!
1作目で不思議ワールドに魅惑され、続編が気になって気になっていた待ちに待った続編。
内容を簡単に語ってしまうには素敵過ぎて是非読んで欲しいと思った1冊でしたね。
昭和初期やそれ以前の時代を感じさせる設定や、物の気たちが沢山出てくる
そんな不思議ワールド、主人公の秋緒がいわくありげな骨董屋で曰くありげな
骨董品やそれにまつわる不思議な客たちとの各章1話完結のような内容で綴られる
物語は、結果的に一つの出来事に繋がる為の布石のような作品なのです。
家族を1度に亡くした秋緒、生きる気力を無くしていた秋緒が始めた骨董店の明日屋
そこにいつの間にか住んでいたと言うキッカ、そして自分の友人と思われる
キッカと瓜二つの友人の天宮。
1作目でも気になっていた二人の正体が明かされる、その意外な結末に驚きと共に
涙を誘う展開が随所に入っていて、まさにヤラレマシタ!ありがとうな気分。
BL的にはラブが少なくて物足りないと思う所なのですが、そんなのが気にならない結末。
楽しみにしていた続編が予想を大きく裏切るくらいの展開で描かれる。
読んで良かった面白かったと素直に感じる事が出来る作品に出会えて嬉しいと思った1冊
表紙の絵なんですが、秋緒がキッカの頭皮をマッサージをしているように見える(笑)
キッカが将来ハゲないように、秋緒が健気にマッサージしているのかな。
「キッカ、最近頭薄くなってきてない?」
「何ぃ!本当か」なんて会話をしていそう、と妄想。
さて、今回でこの明日屋のお話も完結です。
前回もそうですが、今回も私の個人的な趣味の部分を確実に突いてくる作品で、
ネタ的に濃い過ぎなんですけど「地獄」「がしゃどくろ」辺りにはときめきました。
とても女性が喜ぶネタではないんですが、私のハートを確実に捉えているのは「妖怪」!!
和風ファンタジー!それも水木しげる系の世界観。
コア過ぎてあれですけど、大好きなんです。
もうね、分かってる~ARUKUさん!と思いながら読みました。
地獄行きの電車に乗るとか、付喪神が集合するとか、胸熱です。
もちろん男色家の付喪神キッカもマスト!(笑)
はぁ~設定だけでご飯10杯いけるわ~♪
「火鉢」のキツネの話は反則です!!
関西弁をしゃべり、化け学の勉強を熱心にしている感心な狐さんが出てきます。
あんな健気で可愛いキツネが・・・あぁぁぁ泣けました。
動物ネタに弱い私にはちょっと辛かったわ・・・。
でも全体的に切ないながら心あたたまるお話ばかりでした。
それは主人公の秋緒の心根が優しいからあたたかみを感じるお話になるのだと思います。
今作もARUKUさんらしさ満点でした。
ARUKUファンならば買って損はない作品かと思います♪
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~以下激しくネタバレのため閲覧注意でお願いします~
(↓完全なネタバレは避けておりますが、これから読もうと思っている方は自己責任で閲覧お願いします)
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そして最後にキッカと天宮の正体が分かり、
和風ファンタジーから現代科学へと進むというこの展開。
ドラ○もんは実はの○太くんの夢だったんだよ!というオチと同じような展開ではありますが、
現実に戻るということが「夢から覚めて」つまんなくなるような話ではなく。
そこからが素敵展開なのです!乙女の気持ち鷲掴みです。
白馬の王子様の献身的な語りかけによって秋緒は目覚めることができたのです。
もちろんそれはあの人のおかげ。
ページはここまでですが、お話はここで終わりではありません。
二人の物語は最後のページ、ここからまた始まります。
ずっとファンタジックな雰囲気で行くのかと思いきや、最後には現実世界と入れ替わりました。
が、さすがARUKUさん、落としどころもバッチリ決まっていたと思います。
個人的に好きなネタ満載かつ素敵なお話でとっても楽しめました~♪
親と姉を事故で亡くし、遠縁から譲られた古物屋「明日屋」を切り盛りする主人公・秋緒と、男色家で唐傘のつくも神というキッカの、この世でない者たちが集まる世界のお話はとうとう完結を迎えました。
この世界観からしてそうなんですが、大人の為の童話の世界がとても胸を打つ作品でした。
そして、完結ですからキッカと、彼にそっくりな友人だと言う天宮、そして秋緒の謎自体もわかるのです。
ファンタジーから現実へと戻るのかと思いきや、やはりそこにファンタジーは介在しており、ARUKUさんの手腕の見事さに、すっかりハマってしまうのです。
第1巻もそうであったように、明日屋を訪れる客の「心残り」が、モノに憑いた想いが胸を打ちます。
◆密かな想いをこめた女形の紅葉の扇
◆子狐の火鉢
◆添い遂げられなかった無念の想いの白無垢
◆キッカの羽織の羽裏のドクロの想い
◆編集者が亡くした鞄の中身
どれもこれも、相手を想うそれが報われなかった哀しい別れを伴います。
しかしモノを通して、秋緒がその想いを届けるのです。
しかし、その中で狐の話だけはとても悲しいモノでした。
冬の寒さに何とか手に入れた火鉢なのに、ほんとうのお金で買いなさいと秋緒に言われて持ってきたそれは…
兄さんと秋緒を慕った子狐に、秋緒も愛情を感じていたのに、好きになったものの命はどうして皆奪われてしまうのか。
いつも人助けをして自分も温かい気持ちになるものが、この回だけは秋緒の恐れが表現されたお話でもありました。
そんないつものエピソードの中、秋緒に届けられたスタンプカード。
そこには11個の印があり、あと一つで願いが叶うと言う。
このスタンプは、秋緒が今まで人達の想いを遂げた数ですよね。
そして、スタンプがいっぱいになったとき商品として与えられた壺。
それを寄越せと迫る黒い影。
キッカが時々天宮になって現れたりするのにはわけがありました。
生と死をこういう表現で見せていたのですね。
ラストの話では、胸があつくなってじんわりとこみあげてくるものがあります。
ARUKUさんの動きのない、平面的な絵が苦手な人も多いかもしれないのですが、ストーリーテラーとしての力は素晴らしいものがあると思います。
なので、絵が気にならなくなってしまうマジックです。神に非常に近い萌×2評価です。