未完成

mikansei

未完成
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神34
  • 萌×22
  • 萌2
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

70

レビュー数
8
得点
184
評価数
38
平均
4.8 / 5
神率
89.5%
著者
凪良ゆう 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
北野仁 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784199011535

あらすじ

自分を制御する術を知らない高校生と分別ある大人でありたい高校教師のほろ苦く切ない恋、凪良ゆうの初期BL代表作待望の復刊!

表題作未完成

17歳→27歳、高校生→美容師
27歳→36歳、英語教師

その他の収録作品

  • Young Swallow
  • さなぎ
  • Blooming
  • Ordinary Life
  • あとがき

レビュー投稿数8

読後しばし放心。心に刺さる最高の作品でした。

作者様買いです。
読み終えて、しばしその余韻に浸り、心を持っていかれた作品でした。
こんなに刺さった作品は久しぶりでした。

教師と生徒、王道のシチュエーションですが、
本作ではその心理描写が秀逸で、揺さぶられました。

常にフラストレーションを吐き出し、不機嫌な自分を
コントロールできない瀬名。
そんな瀬名が教師の阿南に執着し、ちょっかいを出し、次第に
惹かれていく。

瀬名はもちろん、阿南もすごく人間味のある人。そして大人で、魅力的。
冷たい口調と距離を置くが、優しい。
最初瀬名が絡んできても、突っぱねることなく寄り添い
家庭環境に問題がある瀬名の居場所となっていた。

阿南に惹かれ、どうやっても優位に立てない、好きと言ってもらえない瀬名が阿南に対して、子供っぽい怒りをぶつけるのも、全部受け入れていた阿南。
冷たい口調で、冷静な阿南が、流されて、瀬名にに惹かれて、理性を失っていく姿、気持ちの揺れが痛いほど伝わってきて、切なくて、胸がしめつけられました。


知ったかぶりをしたり、大人ぶったり、
デートの作戦も失敗して、それを素直に認めて謝る瀬名がかわいい。
"好きです"って全面降伏する年下ワンコ、めちゃくちゃかわいい。

別れるところ、あと瀬名が指名を受けて担当した子がもたらした情報を聞いて泣くところ、そして再会して喧嘩するところには、こちらも泣きました。
我慢に我慢を重ねて、気持ちを抑えた阿南がみせる涙の破壊力たるや!

美容師になった瀬名、本当によく頑張って、そして自分の子供ことだけではなく、阿南のことを思いやれるようになって、大人になって…。
巻末にある二人のその後は、まさにご褒美‼️
読んでて嬉しくなりました。

私にとっては文句なしの神作品でした!!

0

不完全で未完成な2人の関係性

凪良ゆう先生の既刊作品は拝読させて頂き、今作も作家買いさせて頂きました。

個人的、各項目5段階で
焦れったい 3
クズ 3
エロ 2
甘さ 1
な感じだと思います。

瀬名くん×阿南先生のカプです。

今作は2009年に発行された「未完成」に番外編を2作品収録した新装版で、元々の「未完成」も未読だったので、今作ので初めて読みました。

高校2年生の瀬名くんは、友人がバイトをしている夜のクラブに出掛ける。しかしその日は男性オンリーのイベント中で、ゲイではない瀬名くんは人間観察をしていると、その中に英語教師の阿南先生を見付ける。自身の家庭環境や鬱陶しい彼女のことにイラついていた瀬名くんは、憂さ晴らしに阿南先生に声を掛けるが…。

17歳で生徒の瀬名くんと27歳で教師の阿南先生。年齢歳、立場、男同士、色んなことが壁になっているし、そもそも阿南先生が教師として大人として、瀬尾くんのアプローチに一線を引いているので、なかなか恋愛的な進展は焦れったいものがありますね。

今作は攻めの瀬名くん視点で書かれていますが、未成年で考えの青さや無謀感が凄いですね。正に未成年、学生だなと思わされる言動の数々ですが、その気が無い彼女達に対してなど、なかなかのクズっぷりだなと、そこまで好感は抱けなかったですね。

若干瀬名くんの無理矢理で身体を繋げてしまう阿南先生。2人の関係性や取り巻く環境の所為で、結ばれることがないのにはやはり切なかったですね。
でも、それから月日が経ち、2人が再会する時には瀬名くんが22歳になっているので、2人の関係はまた変わっているのに、それでもやっぱりなかなか踏み出せないでいる2人が焦れったかったですね。

同時収録されてる番外編は、本編後で一緒に暮らしたり、甘えて甘やかして、本編よりは2人の甘いやり取りが読めます。

登場人物みんながどこか不完全で未完成な言動をしていて、良い所も悪い所も心理描写も細かに書かれていて、2人の関係の行く末に目が離せなくなるので、是非とも読んでほしいです。

0

子供の強さと甘えと一途さが大人の分別と弱さと建前を越えるまで

今回は元生徒の美容師と英語教師のお話です。

攻様が受様へのだしたちょっかいが本気に育ち
生き方を変えていく本編に本編後日談4話を収録。

攻様の両親は父親の浮気による離婚話があり
母親は常に情緒不安定な家に
留まる事は攻様には不快でしかありません。

長い夏休みのある夜もそんな家から抜け出して
中学の友人が年を偽って働くクラブに向かいます。

その日はいつもと違う雰囲気のイベントデーで
知り合いも見つけられずに退散を考えていると
見知らぬ男に声をかけられてる事になります。

友人に今日はゲイナイトだと言われた攻様は
マイノリティへの興味と手持無沙汰から
周りを観察し始めます。

すると妙に雰囲気のある男を目に入り
男が同じ学校の英語教師だと気づくのです。
彼が今回の受様です♪

受様はデキている男と待ち合わせのようで
じわじわと残酷な愉悦感に侵された攻様は
憂さ晴らしで声をかけると

受様は怪訝そうな顔をしたものの
攻様が高校の生徒だとわかると不愉快そうに眉根を寄せ
見逃してやるから早く帰れと言い放つのです。

思ったのと違う受様の態度に苛立った攻様は
受様の性癖をばらすと匂わせますが
受様には軽くあしらわれた上に元にいた男にも
邪魔者扱いされて撤退する事となります。

夏休み明け
攻様は校内で見かけた受様に声を掛けるものの
すげなく情け容赦のない態度をとられた事で
逆に好奇心が刺激されてしまいます。
攻様の好奇心がもたらしす未来とは!?

家庭環境から雑な生き方をする攻様と
偶然性癖を知られた受様の恋物語です。

初出は花丸文庫Blackですが
私はリメイクされたプラチナ文庫が初読みで
今回の再録ペーパーと記念本も所持しているので
改めての読み直しでしたが

いつの時代でも変わらない
生徒と教師という禁断な関係とともに

10代と言う若さと年下だからこその一途さな強さと弱さ
暴走する受様を受け止め阻む大人な攻様の強さと弱さに
キュンキュンさせられました♡

攻様は両親の不仲による家庭環境の悪さを
誰にも打ち明ける事ができずそれを忘れるために
友人や女子とのバカ騒ぎに興じますが
子どもにとって家は帰るしかない場所であり
そこから逃げる術を見つける事は難しいと思います。

それゆえに受様は
性癖と言う弱みを握った事で受様の優位に立ち
今までの交友関係とは違う新たな居場所をつくり
現実逃避を図ったのではないでしょうか。

受様はクラブで友人といた姿が素であり
教師として熱意を感じさせる描写はないものの
人生の先輩として大人として惑う攻様を見捨てられず
攻様に付き合い選択をしますが

受様の一途すぎる想いが夢見る未来を
攻様よりも長く生きた大人の分別によって
ともに歩くことを拒みます。

それは攻様に伝えたような理由ではなく
攻様に日の当たる未来を望むゆえの選択なのですが
攻様を傷つける言葉しか伝えられない
受様の胸の内を思うと辛かったです。

そして互いを思いあいながらも離れた2人が
再びの再会を果たし、2人が同じ時を生きる選択をした
幕引きまで読めてとても良かったです (^-^)/

0

No Title

こんにちは。皆さま。<(_ _)>
こちらの作品は、表紙 左側(黒髪)と右側(アッシュ系)は
どちらが、攻めと受けでしょうか?

1

巧みな心理描写が光る1冊

旧版となる花丸版・プラチナ版ともに既読だったのですが、最後に読んでからかなりの年数が経っているのもあって、初読に近い感覚で読みました。
やはり、何年経っても名作は名作ですね。
本編を読み終えてため息をつき、同時収録されている2人のその後を描いた短編の数々を追っては、余韻に浸りながら胸がぽかぽかとあたたかくなる。
元々好みだったのだけれど、過去の短編が収録されたことによりさらに大好きな1冊になりました。

凪良先生って、日常の中でどことなく居心地の悪さや窮屈さを感じている、どこかにいそうな人の内面を描くのが本当に上手い作家さんだなと思います。
今作でも高校生の瀬名という、子供すぎず、かといって大人というにはまだ幼さが残る、ちょっと触れたら一瞬で壊れてしまいそうなくらい脆そうな少年の複雑な心情が丁寧に綴られています。

瀬名という少年は、我々大人から見ればどうしようもなくどこにでもいそうな子供なのです。
自分にはどうすることもできない世の中の理不尽に憤り、周囲に合わせて日々をなんとなく怠惰に過ごし、将来の夢もなければ、相手の気持ちを考える心の余裕もない。
いわゆる青い時代の真っ只中にいる彼の毎日はとにかく退屈で、家庭環境の影響もありとても不安定です。
そんな彼が、ひょんなことから今まで接点があまりなかった英語教師の阿南と強引に交流を深めていくことになり…
と、瀬名視点で語られる阿南と出逢ってからの日々を追いかければ追いかけるほど、今まで蓋をしていた年相応の未熟で幼い感情が次々にあふれ出してくるのが分かってたまらない気持ちになりました。

自分のことをわかってほしい。構ってほしい。
本当は甘えたいのに、大人に素直に甘えられない1人の少年のデリケートでやわらかい内面が、巧みな心理描写で暴力的なまでにむき出しになっていく様は読み応えがあります。
自身の中でどんどん大きく育つ、年上の阿南への気持ちを持て余して時に暴走してしまう、身体は育っていても幼さが残る彼のことがどうにも愛おしく思えて仕方がありませんでした。
それと同時に、阿南の大人であるがゆえの一見わかりづらい愛情深さが見え隠れするのもすごく良くて。
はっきりと口にはしないのだけれど、見逃してしまいそうなほどさり気ない所作から、瀬名のことを愛しく想っていることがしっかりと伝わってくるんです。
大人なりの不器用な愛し方が沁みました。

青くさくて未熟で未完成な少年はどんな大人になるのか?
まだ形が定まっていない不完全ななにかが、懸命にもがいて成長していく姿を一緒に歩きながら追いかけられる良作です。
再会後の阿南がなんだか妙にかわいらしく、大人同士になった2人のその後をもっと想像したくなりましたね。

6

未完成

好きな作家さんの作品なので、読みました。高校の「生徒」と「先生」とのお話です。高校の「生徒」と「先生」の関係性が、やがてかわってくるのですが、大人とこどもの関係性について、丁寧に描かれている作品でもあるとおもいます。

「生徒」が、やがておとなになり、美容師さんになるのですが、その理由がとてもかわいらしいもので、よんでいて、ほっこりした気持ちになりました。

全体的に、せつない雰囲気がただよっていて、とても心にのこるようなすてきな作品だとおもいます。

4

”暴走機関車”から、思いやりある大人の男へ…胸震える一作

はー……最高に切なくて、痛くて、そして最後の最後に込み上げてくるこの幸福感。。


あらすじなしで、感想のみを。
ぐーーっと胸にいろんな感情が渦巻いているのですが、
うまく言語化できそうにないのがもどかしいです。。


自分は新装版になる前のものは未読、初めてこの物語を拝読しました。
読後の今、あらためて表紙を見返し、「未完成」というタイトルの秀逸さにも
ほうっ…とため息をこぼしています。

こちらの新装版には、新たに番外編2編(「Blooming」「Ordinary Life」) が収録されています。

特に、出会って9年、再会して同棲を始めた瀬名(攻め)視点の
「Ordinary Life」が最高に最高に幸せで。。

タイトルそのままに、”ある日常の風景”なんですが、仕事で後輩と揉め、
やさぐれた気分で帰った家で恋人が優しく生徒と電話する姿を見てはっとし、
お風呂でじっくり甘く抱き合ってーー

瀬名が高校生だった頃の、激動の日々の話を読んだ後だからか、
そんなささやかな日常の一幕が胸に迫ってきて、なんだか泣きそうになってしまいました;涙腺、緩んでるなあ。。

ただただ、先走る気持ちのままに阿南(受け)に激情をぶつけ、
体を抱く17歳の瀬名。

1行1行、1ページ1ページ読み進めるごとに
瀬名が阿南にどうしようもなく惹かれ、恋に落ちていき、好かれたい、
求められたいと必死に手を伸ばす様子が胸に迫ってきて、
たまらない気持ちに。

思わず一度本を伏せ、ふう、と気持ちを落ち着かせたほどでした。

まさに”暴走機関車”そのものの、若くて眩しい恋する青年の姿。

もー、デートに浮かれ、劇場に誘った時の瀬名の失態とか、
可愛くてたまらないです。阿南視点で瀬名を見ちゃう。
恋人の前でちょっとでもカッコつけたくて。カッコいいと思って欲しくて、
見直して欲しくて…

(元)ヤリチン攻め、どちらかというと苦手な方なんですが
物語序盤、阿南に恋をしてからの瀬名のことは、
もう思いっきり前傾姿勢で心から応援してました。

どうしても超えられない10歳差という年齢の壁、
生徒と教師という壁、そして重く重い家庭内不和の壁にぶち当たり、
もがく様子には心掻き乱された...( ; ; )

高校は中退して働くから一緒に住もう、先生さえいれば何もいらないから
大丈夫…
そう言い募る瀬名だけど、本人だって心のどこかでは「そんなの無理だ」という
思いがあって…でも縋らずにはいられない。


で、番外編以外は全て攻め視点で進むこのお話だけれど、
瀬名から見て10歳も離れた”大人”である受け・阿南の気持ちや苦しみも、
痛いほど伝わってくるんですよね。。

その表情や、気持ちとは裏腹な言動など、(瀬名と比べると)少ない描写でも、
彼の葛藤が感じられ切なさに胸が詰まってしまう。うあー…

二人の別れのシーン、別れてから涙を流す瀬名の姿が痛々しかった、、

どんなに気持ちが強くても、愛があっても、愛だけじゃどうにもならないことが、
厳然とそこにある。


でもでも、だからこそ!

後半、5年越しの再会がもうめちゃくちゃに輝く、というか。
もう住んではいないマンションに、足を運んだ阿南の気持ち。
そして、去っていく阿南を追いかけて、言葉で気持ちを確認して、
ついに離さずしっかりつかまえることのできた瀬名の気持ち。
…想像するだけでもう、胸いっぱいになります。

そして、再会し両思いになり、年下の恋人に”甘える”ことを覚えた
阿南の可愛さといったら!

こんな可愛い恋人、離せるわけないよね。
大型犬のようにじゃれつく瀬名の気持ちがわかります。


そして、スパダリ溺愛(時々俺様)彼氏へと変貌した瀬名も
カッコ良すぎて眩しすぎて✨
阿南を少しでも不安にさせたくないと、周囲にきっぱりカミングアウトもして。。

なんっって素敵な大人になったのか!

番外編の甘い甘いお風呂エッチが、最高に幸せです(言うの2回目だけど..)。

胸刺すような切なさと、それを超える幸福感と。
そんな気持ちを味わわせてくださった凪良先生に、
ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。

11

十数年余りの時を経てもなお色褪せぬ名作

2014年版の方を既読済みで、およそ3年ぶりに再読ですが、やはり素晴らしい作品だなと改めて思いました。
2025年版は北野先生がイラストを担当しており、挿絵の雰囲気が前回の草間先生のときとはまた違う雰囲気を醸し出していますね。コミックス版の 『美しい彼』でお馴染みの美しい絵が、今度は『未完成』の世界を彩るとか、もう最高としか言えません……。゚(゚´Д`゚)゚。

レビュー自体2回目になるので、前レビューとのカブりも少々あると思いますが、今巻に加わった書き下ろしエピソードも含めて語らせてもらいますね。


家庭環境に難アリのやさぐれ高校生とゲイの英語教師の歳の差BLとでも言いましょうか。それか、禁断の恋か。出会いは最悪で、2人共に印象最悪なところから始まっていくところに注目のストーリーです。
両親の離婚問題と荒れた家庭環境のせいでクズ寄りに育ってしまった瀬名が、ホンモノの恋にぶち当たるお話で、冒頭から教師の阿南に返り討ちに遭うなど、攻めザマァ的なスタートが小気味よくて楽しい^ ^ こういった惹きつけ方はやはり凪良先生のセンスが生きていて、スタート地点から心を鷲掴みにしちゃう物語構成がグッドでした。

要は、ゲイをバカにした頭の空っぽな高校生が、自分がバカにしたゲイの教師に惚れていくストーリーということ。高校生らしい未熟さや目先のことしか考えない視野の狭さが眩しくも痛々しく映りました。
特に一線超えてからの独占欲はエグく、本当にノンケだったのか?と思うほど。いつまでも自分の欲しい2文字の言葉をくれない愛する人への苛立ちを、身体にわからせようとする歪な愛し方をする瀬名の心が苦しくて堪りませんでした。

彼の唯一の救いは阿南という存在です。家庭環境があれではどこかに温もりを求めたくなる気持ちが理解できるだけに、彼の阿南への強い執着心はある意味仕方のないことかも知れません。
身体だけじゃなく、心も欲しいと焦る気持ちは自己中心的でワガママだけど、でもそんな方法でしか気持ちをぶつけられないほど彼は若い。阿南のことより、自分の気持ちを優先させてしまう愚かな愛が切なかったです。

教師として生徒と身体の関係を持つことはタブーだけど、阿南が瀬名に身体を許しているのはなぜか。恋人でもない瀬名の欲望を一心に受け入れる理由はなんなのか。
阿南は大人ですので、瀬名のように分かりやすい態度を見せてくれません。
阿南の隠された本心は後々に分かることになりますが、自分の気持ちより瀬名の将来を大事に思う教師としての姿と、愛する人には幸せになって欲しいと願う瀬名を想う1人の男としての姿が垣間見え、阿南の想いもまた瀬名とは違うベクトルで愛が深いのだなと胸に熱くこみあげるものを感じました。

ただ一心不乱に相手に想いをぶつけることで愛していく男。
想いを潜めながら愛する男の幸せを見守る男。
静と動の対極にある愛し方のコントラストに魅入られてしまうシーン展開はさすがの凪良先生ですね。


時間を経て、精神的に大人になった瀬名の成長ぶりはすごかった。
こうなることが分かっていたから、阿南はあのとき瀬名の手を離したんだと。あのときの選択の正解が目の前に広がる景色にウルッとくるものを感じました。
2人の再会劇は、超最高すぎる……何度読んでも心が滾ります。
最高オブ最高……泣けるし泣けるし泣ける……
再会の演出がドラマチックで運命的で、素晴らしいの言葉しか出てきません!

書き下ろしのエピソードは、既刊のものに2つ短編が追加されています。
あまあまのアフターストーリーがこれまた最高でした。
十数年余りの時を経てもなお色褪せぬ名作の余韻に未だ浸っています。

8

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