おねがいヒーロー涙をみせて

onegai hero namida wo misete

おねがいヒーロー涙をみせて
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神77
  • 萌×240
  • 萌16
  • 中立5
  • しゅみじゃない3

73

レビュー数
24
得点
598
評価数
141
平均
4.3 / 5
神率
54.6%
著者
早寝電灯 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
ホーム社
レーベル
アイズコミックス.Bloom
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784834265484

あらすじ

シノとユキは幼馴染でありながら、顔を合わせると些細な言い合いをする仲。
大学進学を機に会うこともなくなる──と思っていたのに、親の提案でルームシェアをすることに。
ふたりきりの同居生活が始まるが、喧嘩相手だったシノにどう接するべきかわからず、複雑な感情を抱くユキ。
少しずつ関係性が変わっていく中、ユキはシノから「俺のこと意識してよ」と言われ……?
そしてユキが抱える、誰にも言えなかった過去の出来事とは──。
イケメンで一途な幼馴染×生物学科の苦学生、腐れ縁の幼馴染ふたりが新しい関係を模索する同居ラブストーリー。

表題作おねがいヒーロー涙をみせて

大学生
大学生

その他の収録作品

  • 描き下ろし

レビュー投稿数24

感情の機微が繊細で、共感を呼ぶ

シノ×ユキ

ただの腐れ縁の2人。
ずっとぎこちなく、いつもピリピリしていて、
お互いのことをあまり知らない幼馴染という関係が新鮮。

上京して大学の予想外の同居生活が始まってから、
2人の関係が大きく動き出す。

無自覚だけど確かにずっとシノを好きだったユキと
ずっと一途でユキを好きだったシノ。
2人とも健気で愛おしい。


それぞれが抱えた「好き」がごちゃごちゃから
解きほぐされていく過程が繊細で、
微妙に揺らぐ空気感、
少しずつ縮まる距離感、
静かだけど、確実に動いていく恋という感情の機微にギュンと共感して、
その中の一つ一つの表情、仕草、セリフ、心理の変化も見逃せない。


普通にできない2人。

避けたり、考えないようにしたり、
普通に振る舞おうとするけど、
次第にシノを守りたいという本心に触れ、
シノの存在の大きさに気づき、恋心を自覚していくユキ。

一途だけど強引じゃないところが男前で、
でも、普通ではいられない。
抑えきれない気持ちに正直になるシノ。

それぞれの感情が絡み合って、
恋が少しずつでも前に進む様子を見守るのがじわじわと心に沁みる。

冒頭からの上京して大学に進学した後で、
もうシノと会うことがないと考えるユキの
無自覚の感傷に引き込まれた。
小学生の頃がシノのヒーローだったユキが、
泣き虫だったシノの成長にどうしても追いつけなくて、
貧しい家庭の背景からくる
自己卑下と劣等感で、シノを避けてしまった。
ユキのその好きなのに逃げてしまうという
もどかしくて不器用な気持ちが切ない・・・。

そんなユキを理解してくれるシノ、
2人の関係を支えるシノの大きな包容力も見事だ。
ユキのように強くなるために柔道を始めた、
そのためやめたピアノを再び弾くようになる姿が、
2人の関係の成長を象徴していて温かい。

ずっとすれ違った関係性が胸を締め付けても、
ユキの寂しい心を優しく包み込むユキの愛情と共に、
深まっていく2人の愛情にうっとりして、
失った時間を、
心、そして体の両方でじっくりと取り戻していく2人の姿が、
読むことで心地よく、安らかな気分になれる作品でした。

8

涙と糸とシノ

早寝先生作品好きで新刊楽しみにしていました。
やっぱり好きだわ〜と何度思ったことか。

第一印象的には、シノのユキへの思いに萌えまくり。
その魅せ方〜!! 52ヘルツもそうでしたが、早寝先生の好きなところです。
シノが見るユキが輝いていてかわいい(恥ずかしくなるようなキラキラではないのが好き)
そんなユキを見るシノの目が切なくていい。
シノが自分の思いは重いと自覚しているのもいい。好き。
─ゲームみたいに 口説いて落とそうとするには
─大切すぎる(ユキのかわいい笑顔)
に、ひえ〜(好き好き)となりました。

同居して心と体の距離が近くなっていく過程がめちゃくちゃ良くてドキドキだし。
シノの気持ちがわかってから更にキュンだし。
ユキの心の変化も繊細ながらわかるし。
距離感、ハグ、キスシーンが最高です。
とにかくキュンとくる過程と瞬間の描き方がお見事で大好きです。

と、ここまででもう十分なんだけど…早寝先生作品に感動するのはそこだけではないのがいいんです。
ユキが子どもの頃はシノのヒーローだったのに内向的になったのは家庭環境以外にも理由があり。
子どものシノが怒って泣くことに励まされる気がした…とユキが何度も回想するのは、自分がそうしたくてもできなかったからだろうなと。
真っ向勝負に涙するシノの味方にしてほしかった。味方になってほしかった(でもつかず離れずの関係だった)
だから、タイトルとラストシーンでの回収につながった。ユキがシノと一緒にいられて泣くことができた。
2人にとっての原体験が始まりでずっと心の中で続いて物語になりタイトルなのがエモいです。

─見なれたはずの風景がいつのまにかうつりかわっている
─とどめてもとどめても変わっていってしまうので
─俺はせめて
─一生 覚えておきたいと思う ←ここで光の中の笑顔のシノ
↑このユキのモノローグにじんわり感動しました。

ユキの過去ですが…
「俺 男だし こんくらいたいしたことないとか 周りは思うかもなって」「なかったことにしようと〜」
が悲しい。
現実にこういうことってありますもんね(だからこそBLで軽々しくレイプを描かれるのは好きではないです)
なかったことにしようと思いながらも被害者の記憶の中ではなかったことにはならないし。
心の傷を抱えたまま生きている(女の髪、糸の描写がユキの心情を表している)
そんなユキの淡々とした心理描写が陰鬱になりすぎずむしろ爽やかなのが早寝先生らしくていいし。
シノとの関係から、からまった糸が少しずつ巻き取られていろいろ考えられるようになった…というのかとてもいい。
その後のセリフ(シノに抱いてもらえるかも…)と頭を抱えながら言うユキに、シノと同じように私も卒倒しそうに萌えたのは言うまでもありません。

7

難しいが、味わい深いお話

ユキ、難しい子。心情を追うのにめちゃくちゃ悩まされた。
分かったと思ったらまた別のところで引っ掛かりが出てきたりで。
感じたことは山ほどあるのに言葉にするのが難しいのですが、自分なりにこのお話を咀嚼できたような気がしています。

ユキは「自分は人とは違う」と思って生きてきました。
ふつうの人間関係の枠外に身を置いていて、自分の周りに立ち入り禁止の線を自分で引いてるような。

母子家庭、けして裕福ではない環境で、思春期からアルバイトを掛け持ちしながら頑張ってきたわけで、確かに中学生で新聞配達というのは、かなり大変な家庭ではあるので…
学校のクラスメイトたちとは違う環境にいたことは確かだと思います。

お母さん、そんなに毒親感はなかったけど、金銭的にはそこまで差し迫ったものがあったのでしょうかね。
ユキが過剰に背負いすぎる性格だったのもあるんじゃないかな。自分でできるだけお金を工面して、親に頼らず強くあろう、自分で立とうとしていた子なんだと思います。
そのプライドがまた他人を隔ててしまうんでしょうけども。

孤独や自分の気持ちに鈍感になりながら、人にもそういう自分の弱さをけして見せないようにして、強い自分でいたいユキ。

そんなユキにとって、シノは特別な子でした。
幼い頃いじめられていたシノを助けたことで、自分をヒーローのように誇らしく思うことができたから。
そして、ほどよい距離にずっといてくれることに安心できていたから。
自分の素直な気持ちを見せないユキにとっては、感情豊かなシノが自分のために泣いたり怒ったり自分の気持ちを代弁してくれているようで、見ていて嬉しい、眩しい、ちょっと羨ましい、そんな存在だったはずです。
唯一、自分から近づきたい人だったんだと思います。シノにはけっこう、自分の素直な表情とか気持ちとか見せてますしね。

でも、人一倍強くありたいユキを追い詰める出来事が起こります。自分の矜持をガラガラと崩されるような、自分の価値がなくなったと感じるようなことだったと思います。
それでも、もしかすると自分のせいかも。とか、たいしたことじゃないかも。とか、苦しみに蓋をして、誰にも知られたくなくて、シノからも離れることを選んで。シノの前では、強いヒーローのままでいたかったのです。

思わぬ同居生活となり、これまでと違い距離を詰めようとするシノに戸惑いますが、一緒にいられる嬉しさも楽しさもあり、素直にシノ呼びするほどに心は近づいていきます。

シノからすれば、ずっと好きだった人、憧れだった人だから、2度とユキが離れて行かないように、詰めて詰めて詰めまくる!って感じになりますよね。
ユキのラッキースケベとか、不意な表情とかにいちいちドキドキしてるシノはとてもピュアで、でも激重なこじらせ愛を心の中で爆発させてるのが良きですね。

そんなシノだからこそ、ユキに告白することでユキを「ふつうの人間関係(恋愛含め)」のなかに引っ張って来れたのだと思うのです。
あれだけ枠の外側にいたユキを…
自分も恋愛していいんだ?特別な好意を寄せられてもいいんだ?そして恋愛としてシノを好きになっていいんだと思えた。
そして、自分の隠してきた辛い出来事をカミングアウトして、そうしたらシノは泣いて怒ってくれたから、泣いて怒っていい出来事だったのだと認めて、飲み込むことができた(もちろん許せることではありませんが)
初めて、ユキは自分の弱さを、涙を見せることができたのだと思います。
カミングアウトしたときは厳密には涙を見せていないのだけど、キスをした時に、シノの涙がぱたぱたとユキの顔にうつっていくんですよね、そこがなんていうのかな、ものすごく「伝わった」感じがするんです。

自分に全力で近づいてきてくれたシノ。
最後にシノの弾くピアノの音色が、幼いころの思い出、シノから離れようとした過去、たくさんの感情をユキから溢れ出させました。
ユキが今まで流せなかった涙を流し、いまの幸せをふたりで分かち合えたことが、ふたりにとって最上のハッピーエンドでもあり、新たな幸せの始まりであるように思います。

早寝電灯先生らしい良さをじわじわ味わうことができ、ホッとしました。

7

エモさ、切なさ、きゅん…全部詰まった早寝先生の新刊

『52ヘルツの共振』が大好きで何度も何度も読み返している、大好きな早寝電灯先生の新刊!楽しみにしていました。

幼馴染同士の両片想い(受けは無意識だけど)ストーリー。
小学校3年生の時からの幼馴染、シノ(高里)とユキ(鹿角)。大学進学を機に離れ離れになるかと思いきや、思いがけず同居が始まってーー

と続くお話です。

何よりも、早寝先生の描く攻めが本当に大好き……受けのことが好きで好きでたまらないんですよね。今作の攻め・高里(シノ)もまさにそんな攻め。まっすぐ受けのことを追いかけてます。

攻め目線で語られる部分もあって、もう最っ高にキュン。
「意識して おねがい…」の一言に、胸が高鳴ってしかたなかったーーーーー!!!!

”何かすることで変わってしまうこともあるけど、「何もしない」ことで変わってしまうこともある”っていう独白が深く、刺さりました。しばらく噛み締めてしまった…

で、「やっぱり先生の作品は最高にエモいな…」とじーんとしていたら、途中受けのユキの高校時代のある思い出話がなかなかにショッキングで、、
彼が悪夢を見てうなされていた理由がここで分かり、胸が抉られました( ; ; )

そんなトラウマを持つユキを最大限に気遣いながら包み込みながら…の日々の流れ、そして二人の初えちに、嬉しさと切なさが混じって感情が爆発しそうに。
攻めの筋肉のついた体、そしてお尻に最高に萌えました。。

描き下ろしの、受けの嫉妬とそれに喜ぶ攻めの図も最高に最高だったなあ…(余韻)

攻め視点の心情を表したタイトルも、読後あらためて見て「なるほどなあ」と納得&萌え。。

エモさ切なさがぎゅぎゅっと詰め込まれ、包み込む攻めの優しさ、想いの強さにキュンが止まらない、素敵な素敵なお話でした・:*+.


4

ヒーローは涙をみせてはいけないのか

最推し作家様のひとりなので発売日が発表されてからずっと楽しみにしておりました。

早寝電灯先生作品の良さの一つには、モノローグがありますよね。
『半壊の花』に収録の『稲穂に帰る道』は特に素敵で、"秋に 外で〜"などはその最たる例だと思います。
繊細な情景描写と相まって、言葉の一つ一つが心に響きます。

そして今回の新刊『おねがいヒーロー涙をみせて』も、モノローグが主人公達の心の機微を見事に表現していて素晴らしかったです。

主にユキ目線で話が進んでいきます。

腐れ縁の幼馴染ズの関係が変わっていく。
ストーリー自体はありふれた設定ですが、流石は早寝電灯先生で、唯一無二の作品になっています。

他の方のレビューに同意する部分が一つあって、読後に振り返ってみるとユキの"とある過去"はああいうものである必要はあったのか、とは思いました。
ユキが過去を打ち明けることによってストーリーが進展するのですが、その内容は別のものでも良かったように感じます。
(といいつつ代案は思いつかないのですが...)

と、少し思うところはあるのですが、全体的に今回も大変素晴らしい作品で感動しております。

これからもずっと応援させていただきます!

4

読み返して読み返して…そしてまた読み返す

早寝先生作品は過去数作拝読させていただいてます
静寂と強さを感じる作品が多いイメージです

今回の作品も徐々に徐々に…段々と近付いていく、心を開いていく流れが人知れず気付いたら花を開いていた野花のような、じっとその時をまっていたさなぎの蝶が気付いたら飛び立っていたような…そんな静寂の中にある強さを感じました

普通の人が手に出来るような普通が特別に映るユキ
そんなユキが自分にとっての特別なシノ

この2人の物語を何度も何度も読んでいくとこれ以上ない!と思えるこの作品タイトルの優しさがすごく心を震わせてくれます
早寝先生の素晴らしい感性に唸ってしまうしかないですね

あと!
過去拝読した作品でも目で魅せる描写が上手いな~と思った事が多かったのですが、今回はより多く「目で語る、目が語る」描写の上手さを感じました

ちょっと肩の力を抜いて楽しく掛け合いを読めたり、一気にキュっと切なさを感じたり、、、先生の筆が魅せて下さる力強さが今まで以上にキャラの目からすごく感じました
時には作中のユキやシノの視線が自分に向いているんじゃないかな?なんて勘違いしてしまう位に刺さる描写に心をずっと掴まれました!

レビューを書いていたら、、、また読み返したくなって来てしまいました
何度も読みたくなる!すごく好みの1冊でした!!

4

幼馴染の初心で綺麗なラブストーリー

好きな作家様。「52ヘルツの共振」「See you later,Mermaid」が特に好きです。
本作も試し読みが面白かったので読んでみました。

十年来のくされ縁の幼馴染、シノとユキ。現在はそこまで親しいわけでもない二人が、同じ大学に進み同居することとなり…というお話。

キャラデザは攻めのシノが好きなお顔です。ユキよりちょっと男らしくてかっこいい。少し体格差あるのもいいです。
ユキは三白眼気味のお顔ですが、たまにニコってしたり、目を伏せて照れたりして、可愛い表情を見せてくれます。

先生の作品は、心情を少し遠回しに表現するモノローグが多いのが特徴かなと思っていて、本作でもそれを感じました。
そこがちょっと難しいな、と感じつつ、それを読み解いていくところに、面白さを感じます。

中盤で片方の想いがはっきり語られます。「ふ〜ん、やっぱりそうなんだ、うふふ」とニヨニヨしてしまいました。ウブな恋が可愛いな。

ユキやシノがニコって笑う顔とか、シノがユキに向ける真摯な眼差しとか、ユキのちょっと照れたような顔とか…本作では、二人の表情が魅力的だな〜って感じる場面がたくさんありました。
特に「意識してよ」と言う時の表情(どちらかは伏せますが)、とっても可愛くてキューーン!てなりました♡

後半、ユキがある告白をするシーン。
シノの涙に、読んでいるこちらも胸が締め付けられて泣けてしまった。好きな人の辛い時に側にいられなかった悔しさが、痛いほど伝わってきて…。辛いけれど美しい素敵なシーンでした。

ラストに二人の初夜。
すごく美しく描かれていて、二人の愛に胸が締め付けられる、素晴らしいベッドシーンでした。

タイトル通り、二人の涙が綺麗で印象的な、美しいラブストーリーでした。
先生の作品、やっぱり好きです。今後の作品も楽しみにしています。


シーモア 濡れ場は修正不要な描き方でした

4

ユキの笑顔を守りたい

シノとユキ、適度な距離のある幼馴染みだったけど、気付くと同じ大学に合格していて、同居をすることになって。

特別仲がいいというわけではないけど、ずっとお互いのことを気にしていた。でもそれだけではなく、実はお互いに好きだったのですね…!
特にシノは滅茶苦茶こじらせてるようで可愛かった!
ユキもシノのことが好きだったけど、シノが勇気を出して告白してくれたお陰で自分の気持ちに正直になることができたのでしょうね。

ユキがずっと自分の胸に仕舞い込んでいた事をシノにだけ打ち明けて、そのことに対してシノが怒って泣いてくれたことでユキは本当に救われたと思います。

ユキが寮の抽選に落ちて、シノと同居することになって本当に良かった…!

ユキの心許した人だけに見せるくしゃっとした笑顔がちょっと幼くなって凄く可愛かったです!!

3

言語化能力が足りない

言語化できないけどただただ心に沁みる良さがある。早寝電灯先生の作品は総じてそういう傾向があるイメージなのですが例に漏れず今作もとても良かったです。

つかず離れずの距離感で過ごした高校生から大学生になり同居することになり距離感に変化がありそうであまり変わらない2人。表面的にはとても仲の良い信頼しあった男友達感が強いのにそれぞれが頭の中ではすごく色々なことを考えているのがもどかしくも楽しかった。

個人的に幼少期シノが怒りという感情が溢れて大粒の涙を流しながら泣くというのがすごく印象的で、そしてそれを見て思わずヒーローになってしまったユキもまたすごく印象的で、きっとこの瞬間から2人は互いを唯一無二の存在だと思っていたんだろうなと思うとなんかもうたまりませんでした。

過去が織り混ざりながら現在の2人が距離を縮めていく。こういうのをエモいっていうんじゃないのかなぁと思いながら読んだ1冊でした。

3

涙の意味

安心の涙はよいものです。
レビュータイトルを「弄ばれる童貞」という早寝電灯先生の作品に対するタイトルとして似つかわしくないソレにするか悩んだ。高里はコメディ、鹿角はかなり深刻な、というか犯罪なんですけど。

早寝電灯先生の新刊!大好きなので新刊のうちに。絵柄や背景やお話にまた試行錯誤の跡を見出して、もはや早寝電灯先生の模索を観察したくて読んでるような。

読み返して、「幼なじみ」「高校の同級生」って言っちゃった、そして相手の回答はソレだった2人の心情を思うとニヤニヤしてしまう。
幼馴染って言ってくれるの嬉しいでも自分は高校の同級生って言っちゃったよ幼馴染って言っておけばよかったな〜距離感あったな〜って高里くんと、幼馴染とか言っちゃったよほら高里は高校の同級生って言ってんじゃんの鹿角。結果落ち着くところに落ち着いたので振り返れば可愛い2人。

相変わらず繊細な思考回路の主人公。早寝電灯先生がそういう人なんだろなというのが毎度滲み出てます。性別で人をくくるのもどうかと思うが、男性でこの繊細さを持つ人は希少な気がする。
高里視点の3話が好き。鹿角ほど繊細ではない。そして高里視点だと、高里の"好きな子"である鹿角がいちいち可愛いの。だから攻め視点はいい。増えろ攻め視点。
床で寝っ転がる鹿角に高里が「行儀わりぃー」って言うのもかなり面白い。思考回路こそ繊細ではないけれど、お育ちの良さが出る。この一つのセリフが早寝電灯先生のセンス。

それにしても今作もうちょっと溜めと余白があってもいいと思う。コマに連続してずっとセリフがある感じで、読んでて駆け足だなぁと。編集部さん、先生にもっと最初から話数をくださいよ。
あと洗面台の物置はオタクのフェチシズムポイントなのでもっと力入れて欲しかったですね。同棲している2人とならば尚更。
そういえば早寝電灯先生って、人物・音・環境(自然)に関しては細やかだが、登場人物の家(部屋・家具)や持ち物・服に関してはそこまでの細やかさがないのよな。興味の持ちどころの違いか。(先生の厄介オタクと化しつつある)

よんちゃんとか溝口くんとか、川辺くんも、ほんの少ししか登場しない彼らの人生が気になる。キャラクター作りがうまいよね。
カマキリより重要〜〜?でたった一つのすることはデートの川辺くん…好きだわぁ。この作品で付き合いたい男ナンバーワンだわぁ。
電子限定版おまけ漫画(2ページ)◎溝口くんも出るよ

3

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