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2sei to utsuwa
なんか変わったテーマのBLないかなと思って手に取ったのがこちらの作品でした。
なんだかとても深い考えさせられるお話です。
宗教にハマる母を持つ春一なんだけど結局宗教って今問題になってるけど、本性はお金をあつめることでしょう
春一の母がどれだけ献金していたかは描かれてないので、そこはどうなんだろうと思ったけど、でも母に騙されて連れて行かれた施設が、まるで推しを愛でる会みたいで、ちょっと笑えた
それくらい綺麗な男の子が燈主様、しかも春一のクラスメイトだった
宗教の教祖様?いやもうこれ推し活みたいなもんじゃね?とか思ったり…
先生まで変な目で見てるし、でも実態は無理やり燈主様をやらされてる永真という男の子で、母親から虐待まがいのことをされている薄幸の少年だった
推し活だったり教祖様だったり、人は何かに縋らなければ生きていけないのかもしれ
ませんね。
もう一つのテーマがアロマンティックというもので、アセクシャルなら聞いたことあるけど、アロマンティックって初めて聞きました。誰にも恋愛感情抱かないけど性欲はあるみたいなので、BL的にはちょっと安心?バッドエンドを予想してたので良くてメリバ?最後はちゃんと結ばれたので、良かったです!
恋愛感情が無い分、家族や友達関係のように一生続いて行ける関係なのは素晴らしいです。好きの形は違ってもお互いなくてはならない存在になっていけたら良いなと切に思うのでした(泣)
本作はマイノリティの可視化・偏見からくる差別を描いていますが、読者側がフィクションに頻出する偏見まみれのカルトにハマるヤバい母親像を共有していなければ、まるで作品に共感できない点に疑問を覚えました。
春一の母親がハマっている宗教が結果として教祖(永真)への虐待を容認する教団だったという点だけで、母親自体そこまで糾弾すべき人間だったのか正直疑問です。
息子の春一にも同じように敬虔な信者であることを望んでいる=個人の信仰の自由を抑圧しているという点ではたしかに批判すべきところもありますが、ではイスラム教徒の親がムスリムの生活に合わせて子どもを育てることは個人の信仰の自由を抑圧していると、その一点のみで作者はイスラム教を批判できるのでしょうか。
作中、春一の母親が教団に多額のお金をつぎ込んでいたとか、家事を一切しなくなったとか、春一や兄に暴力をふるっていたなどという描写は一切無く、また教祖が教団幹部によって暴力を振るわれていた事実を知っていたかも定かではないため、読者側が「カルトにハマるヤバい母親」という漠然としたイメージを春一の母親に投影しなければ、春一の母親のヤバさが際立たないことに居心地の悪さを感じました。
それで作者はあとがきにて『宗教の問題は、偏見が強く社会から隔絶されがちです。信者も2世も搾取されず取りこぼされない社会になってほしいです。』なんて殊勝なこと書いているの、偏見のマッチポンプとしか思えませんでした。
直接的な虐待じゃなく母親との価値観の違いゆえ抑圧される春一を描いていたとしても、そもそも春一の母親が宗教にすがる前に親戚に頼ることはできなかったのか、なぜよりによってこの教団を選んだのか、教団に入信したのはいつなのかが不明なため、こんなディティールの甘さで抑圧される春一の苦しみを描かれても伝わらないというか…結局母親が「良いお母さん」から逸脱していることを疎ましく思っているだけじゃない?と思えてなりませんでした。
極端なことを言えば母親のハマった先がイケメンアイドルでも春一は同じように母親を疎ましく感じていたのではないでしょうか。
そもそも教団の設定がふわっとしすぎていて緊張感が無いというか…だって教祖である永真は作中奇跡を起こすわけでも、人心掌握に長けているわけでも、ましてやカリスマ性があるわけでものないので、なんでこの教団成り立っているの?という疑問がつねに付きまとい、とてもじゃないですがリアリティを感じられませんでした。
とはいえ私も真面目に作品を読んでいましたが、クライマックスに教団創設者と思われる男性が突然数コマ登場したことで一気に冷めてしまいました。
作者のブログによると彼は永真の父親だそうで、永真の母親が法の裁きを受ける結果になったことに対し、諸悪の根源である父親は思い出の中の美しい存在として描かれていることが、新生児遺棄事件で母親だけが罪に問われ父親の責任が不問にされている現実を想起させ本当に受け入れられませんでした。
作品全体に「母親」に偏見を植え付ける描写があるため、アロマンティックや宗教2世といったマイノリティの理解の為にわざわざこの作品を手に取ったお母様方がこの作品の母親描写を真に受け、自分を責めることがないよう願うばかりです。
タイトルから宗教絡みなのは予想できると思いますが、BLでは扱いにくいであろうアロマンティックなキャラを描いていて、二重にも三重にも現代を反映させた作品でした。宗教2世の春市と、その宗教で崇拝されている永真。永真の生活は何もかも自由を縛られていて、食事も遊びも人との触れ合いも同年代の子供とはかけ離れたもの。自慰すら部屋でできず、春市に教えてもらって初めてできた時に涙した彼を見て、萌えも興奮もなく純粋に共感し私も目が潤みました。
永真が惹かれていく春市の描写も素晴らしかったです。宗教にどっぷりはまっている母親だけど、はまる以前に過ごした彼女との幸せな記憶、自分への愛は本物。だから蔑ろにもできない。ほぼ植物状態で入院中の父親の見舞いに通う家族愛を見せる一方で、疲れた時には死んでくれないかなと思ってしまう。永真から恋愛的好意を明かされて自分もそんな気がすると流されずに、自分の気持ちは同じではないことを表明する。常に彼の正直なありのままの感情が描かれている所がとても印象深かったです。恋愛的好意ではなくても親しい人への好意、愛はある。パートナーになった春市と永真、お互いの気持ちの種類がたとえ異なっていても、大切な人と一緒にいる幸せは同じように感じられているはず。自由を獲得すると共に新たな繋がりを得た2人をずっと応援したいです。
題材が題材なだけに評価が難しいです。
教団というものがどういうものかよく知らないので、話の設定がどこまで事実に近いのか違和感の有無すらわかりません。そういう意味では疑問を持たずにすんなり読みました。実際に何かしらの宗教に入っている人は案外多いと思っています。そうした人がこれを読んだときにどう感じるんだろうという目線で読みました。
新興宗教を信仰する母と暮らす「宗教2世」の東春一(はるひと・攻め)と、幼少時に新興宗教の神、燈主様の「器」とされた賽原永真(とうま・受け)の伝えることと、わからないことをわかろうとすることを考える、大きな意味での救済ラブストーリーでした。
東親子の関係は、繰り返し読めば読むほど、はがゆくなりました。春一に宗教活動をして欲しい母と、宗教の思想を拒絶する春一。宗教関係の話をしていないときは何気ない会話や日常が送れているようなのに、 そこだけがわかりあえない。自分の正しさをわかってもらおうとお互いがもがいて苦しくなっている様子が辛かったですね。
そして春一は心の中にもう一つ「どうせわかってもらえないと諦めようとしているもの」をかかえているわけですが。
何百何千と様々なラブストーリーを読んできましたが、恋愛とは何か?ということを改めて考えましたね。結論はまだ出そうにありません。
わかってもらえないという孤独
わかってもらえた安心感
ちょっと私の中で「わかる」がゲシュタルト崩壊しそうになってますが、
お互いが同じ形や思いじゃないと一緒にいられない、という訳じゃない
違うことをお互いがちゃんとわかってればいいのかもしれないなと思いました。
ちなみに、春一と永真と友人2人で、2回、事を起こすのですが、その時その時で、ちゃんとした大人の力を借りていたのが、何か良かったです。大人を当てにすることができて、大人も信頼に応えられてるって描写はなかなかないんだよなぁと、思いました。
色々考えることができて、とても面白かったです。
戸ヶ谷新先生の作品を購入するのは初めてで、表紙の満面の笑みと蛾のイラストに惹かれました。
onBLUEの作品はわりと尖った今までにないBLを紹介してくれるので、宗教とアロマンティックが物語の核にあるというのもきっかけのひとつです。
攻め春一は宗教2世でアロマンティック、受けの永真は宗教の神様の器、同級生のふたりの物語です。ボーイズがラブするだけじゃない、なんなら片方はラブできないけれど間違いなく愛の物語でした。
物語は母親に無理やり連れてこられた新興宗教の集まりにクラスメイトが神様として拝められていたのを知るというかなり特殊な出来事からはじまります。
その夜に自宅を燃やそうとしているそのクラスメイトを見つけ、止めたことによって今まで交流がなかったふたりがその日をきっかけに仲良くなっていきます。
子どもは親を選べないとよく言います。愛して守ってくれるはずの親にとって都合のいいように子どもを導こうとしている宗教や親の強要は、読んでいて辛くなります。ただ自分がいる、ただ愛してほしい、それだけを認めてほしいのに。
もちろん、宗教によって心が落ち着いたり助けられたりすることもありますが、子どもを利用するのは間違っていますよね。子どもが親の心の平安のために犠牲になるなんて。
ふたりはそれぞれ誰にも言えなかったことや、クラスメイトの中で生き辛い思いなどを語り合い、認め合っていきます。いままでできなかったこと(肉を食べたり、高校生らしく話したり遊んだり、性的欲求を爆発したり恋をしたり)をし、永真は諦めていた人生を取り戻そうとしていきます。また、春一の友だちとも仲良くなっていきます。
そしてひとり、ふたりじゃ考えつかなかったことを友だち4人で、そして信用できる大人を見つけて、親と宗教の呪縛から逃げ出します。子ども以上に親は弱くて、大人だからこそ誰にも相談できず、神様に頼る以外に辛い事から逃げられなかったんだと感じました。
表紙と作品の中に永真の周りに蛾が描かれているシーンがあります。
「蛾」という漢字は、「虫」に「我」と書くので、自己中心的な言動への警告を意味すると考えられています。「飛んで火にいる夏の虫」とは蛾のことで、光である永真に思慮なしの信者である大人たちが表現されているのではないでしょうか。永真が蠟燭となって顔が溶けてなくなっている絵には哀しくなってしまいます。でも最後にはその蛾も……。
春一のアロマンティックについてはわかりやすく説明されています。彼は性衝動もあるし、恋愛感情がなくても心穏やかにいられるパートナーと一緒に暮らせるタイプのようなので、BLとして安心できるハピエンになっています。
この作品はBLというエンターテイメント以外にも深く考えさせられるテーマがいくつもあり、とても読んでいて刺激を受けました。
「知らないと、傷つけたかどうかも知れない」
「違うことは絶望じゃない」
「全部同じになることはできない」
いろんな人がいていろんな考えがあるから、それを恐れずに、でも互いに話し合って少しでも理解し合えたら素敵な世界になるな、なんて考えて読み終わりました。
神様に奉られた高校生と宗教二世の同級生の救済BLだとばかり思って購入したのだけれど、その同級生がアロマンティックであるとかその友達がゲイだとかでなんでまた風呂敷を広げてしまうんだろう、散漫な印象になるだけじゃんと余計な心配をしつつ読み返しました。
地頭が良くないわたしにもキーワードは
偏見とか、信仰の意味とか精神と肉体の自由とか言葉、対話、愛の種類、仲間、ファミリー、性
だとぼんやり分かってくる。
でも上手くまとめられないし、まず第一コミックス1冊分の厚さしかないわけで作者本人も綺麗に過不足なくまとめられたとは思ってないだろう。
せめて数巻要るでしょ。
初出の登場人物がアクションを起こし話が進んでいくのは総集編を見ているような気すらしてくる。
続編があるのだろか。
にもかかわらず作者の熱意ははっきり伝わってはくる。
こちらも興味を持ち学習したいとも思えてくる。
ー恋愛的指向と性的指向は二つの異なる概念です。
アロマンティックの人がみなアセクシャル(誰にも性的に惹かれないという性的指向)ではありませんー と彼らは記事を読んで勉強する。
わたしはまだネットで軽く調べる段階にも至っていない。
が疑問がすぐ浮かぶ。
ハルイチと永真は付き合い始めたのだが、ハルイチはアロマンティックだがアセクシャルではない、とすると性欲発散は決まった相手としかすべきではないという世間の常識は理解出来ないのでは?
2人は脆い関係なのかしら??
疑問には知識を増やすしかないんだろうな。
カルト教団が題材ということに興味を惹かれ作品を手に取りましたが、教団の描写に引っ掛かりを感じることが多く素直に作品に入り込めませんでした。
例えば神聖化されている燈主様(教祖)の永真がなぜ普通に高校に通えているのか、永真が肉食を禁じられているのに燈母様として崇められる彼の母親が信者の前でも普通にステーキを食べていることに教団内でどう整合性をつけているのか、燈主様に畏敬の念を抱いている春一の母が永真をファミレスなんて庶民的な場に誘えるものなのか…等、そういった疑問が教団の得体の知れない不気味さに繋がっているわけでも無くただただ疑問にしか感じられませんでした。
カルト教団が題材ということでサイコホラー的な内容を期待していると拍子抜けするかもしれません。
私のように教団の細かな描写が気にならなければ、人間ドラマとして大いに楽しめると思います。
ただ結末も、この瞬間の当人たちが幸せならそれで良しという意味ではハッピーエンドなのでしょうが、解体後の教団の後始末や信者たちの行く末を考えると一抹の不安が感じられ、単純に祝福して良いのか分からず何とも言えない読後感でした。
宗教2世が、ある日集会に連れていかれ、教祖がクラスメイトだったことに気がつくという、衝撃的な冒頭。
そこから2人の交流は始まり、やがて教祖にさせられ、虐待のような制約された生活を送る永真を助けようと、クラスメイトたちで奮闘するお話でした。
恥ずかしながらこちらの作品で、「アロマンティック」という言葉が存在することを知りました。
ちなみにアロマンティックとは、誰にも恋愛感情を持たない人のことを指すそうです。
宗教2世の春一が、それでした。
そして、春一に救われた永真はそんな春一を好きで、パートナーとして一緒にいたいと思う。
そんな結末でした。
宗教という強烈な題材のインパクトにかき消されがちかもしれませんが、相手のことを「分かりたい」と伝えること。
それから、相手に諦めずに伝えようとすることの大切さを、改めてこちらの作品で認識しました。
大人になるとどうしてもこの作業って、諦めがちだったりしますよね。
(少なくともまりあげははそうだった)
でもそういった忘れていたものをこちらの作品を読んで、ふつふつと思い出しました。
BがLをしているかと問われると、正統派ではないかもしれません。
が、多様性が叫ばれる昨今。
ほかの友達ともちょっと違う好きで、なんか特別。
こういった愛のカタチがあってもいいし、ゲイでもなんでも自由でいいのではないかと思いました。
ただ、相手も自分と同じ考えなのだということはなく。
相手の自由を奪うことはないように。
常に、相手のことを知ろうとしようとする気持ちが大切であることを忘れずに。
最後の「僕は人間だ!」のスピーチに涙。
そしてカバー裏の永真の「好き」欄に、外出と肉って書いてあったのが、エモしでした。
そっか。
あれから永真、肉が好きになったんだね、、、(感慨深げ)
また1作、すごいお話を読んでしまいました!!
デビュー単行本『CURE BLOOD』を拝読して完全に惚れ込み、新作を楽しみにお待ちしていた作家様。
2作目となる今作は、宗教2世と教団の神様。
読む前から何やら感じるものが...
そして読み始めるともうページを捲る手が止まりませんでした。
正直、自分ごときがストーリーについて語るのは野暮としか思えないので、内容については何も書きません。
ただ一つ、読むか迷いつつこのレビューに辿り着いてくださったそこのあなたに、ぜひ読んでみていただきたいと思います。