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happy of the end
普通を求め、絶望の中で手を伸ばした1巻。日常にある小さな幸せに付き纏う不穏さにひやりとした2巻。そして、締めとなる3巻。
これだけ魅力的な表情を描く作家さんの作品だというのに、ハッピー・オブ・ジ・エンドを読んでいて不思議と心を奪われるのは、いつも登場人物たちの顔が見えない後ろ姿や引きの画でした。
セリフのないコマでこれほどまでに魅せてくれるのかと毎巻驚いてばかりでしたが、最終巻となる3巻では思わず苦しくなるほどに泣き顔が美しかったです。素晴らしい作品でした。
私は紙本を読む際にカバーを外してから読むのですが、1,2巻のカバー下とは全く異なる色合いに、これはもしかしてと期待をしてしまったのです。
けれど、読み始めてすぐに2人のごく普通の幸せな日常にヒビが入り、千紘といるだけであんなにも輝いていた浩然の瞳から光が消えていく。
ああ一体どうなってしまうのだろうかと、心が壊れかけた浩然と千紘の逃避行をハラハラしながら追いかけ、お前は何にだってなれるしどこへでも行けると語る浩然に胸が詰まりそうになりました。
外へ出るための靴すら持たずにマヤの部屋で膝を抱えていた浩然はもういないのに。どこへでも行ける靴をあなただって持っているのに。
どこまでも不器用な浩然の愛し方が私はすごく好きでした。
季節を越えて少しずつ育つパンジー。
冬が近付く秋から春先までひっそりと、小ぶりで控えめな花を咲かせる冬の寒さにも強い花。
千紘が植えたパンジーの芽吹きに希望を感じてうれしくなり、何年経っても千紘の部屋には素朴な花があることに気が付いて更にうれしくなる。
花言葉は「私を想って」色によっては「ひとりにしないで」「つつましい幸せ」とも言うそうです。
まさにこの2人の物語にぴったりな花だったと思います。
これが全てなのではないかな。
読み手には見えなかったあの表情も、その後の2人についても私は見られなくても良いと思っています。
それらは全て、彼らだけのものであってほしいから。
読後に見るカバーイラストがまた素敵です。千紘の口元は見えないけれど、きっと笑みを浮かべているはず。
全3巻の中で1番惹かれたのはやはり1巻でしたが、大切な相手がいるからこそ、自分の足で立ち上がることが出来た2人が愛おしくてたまりません。
行間を読んではじわりと余韻が残る素敵な作品でした。
マヤの出現で二人のおだやかな日々が滅茶苦茶になるだろうことはなんとなく予測しつつ、読後感死にたくなるようなのがくるのかと身構えていましたが、想像していたような最悪な最後は回避されていてほっとしました。
いろいろ印象的なところはあるけれど、やはり浩然の行きたいとこいっぱいあるって言った笑顔が小さい子みたいで胸がぎゅっとなりました。なんで毎年冬にって言ってるからもう何度も約束して江ノ島来てるんだろな。全部行こうって千紘に言われて紅潮してる浩然が満ち足りてて、とにかく君らこっからの人生は全勝優勝で行けという気持ちでいっぱいになりました。幸多かれ。
そしてマヤの空虚な結末が思いがけなく堪えました。残虐さにおいてだけれど小さい子供みたいなところがあるからか、邪魔な登場人物退場と思えませんでした。内臓まき散らして死にたいってどんな死生観なんだ。どうせまくならもっときれいなもんまいてほしい。彼岸に一人逝く餞に来世は腕の良い花火師に生まれ変わってもらいたいと言葉を贈って感想を終わります。
『ハッピー・オブ・ジ・エンド』の3巻目にして完結編。
2巻の終わりでマヤが登場してきたので甘々な展開は思い描くことができず、いったい二人はどうなってしまうのかとドキドキしつつ読み始めました。
いやー、こうきたか…!
もう、一言でいうなら「神」。
おげれつ先生の才能にひれ伏しました。もうね、皆さまにお伝えしたいのは、もうこれに尽きる。
読んでください。
痛い展開も多いのでもしかしたら読み手を選ぶかもしれません。でも、浩然と千紘の2人が築いていったのは紛れもない純愛。読んでいて何度も涙をこらえました。
マヤについていった千紘。
彼を待っていたのは凄惨な暴力だった。
が、マヤを危険な目に合わせたのは自分なのだと。そう気づいた浩然はー。
千紘はゲイという性癖によってつらい過去を持ってはいますが、でも浩然の過去は千紘のそれとは一線を画すダークさ。千紘にだけは幸せになってほしいと願う浩然と、その浩然の想いに気づいた千紘は道を分かつけれど。
そこにあるのは、お互いがお互いに向ける愛情だけ。
それだけを糧に、彼らは生き続ける。
相手の幸せだけを願って。
そして、いつか会えたその時に胸を張って会えるように。
もう、萌えしかない。
設定やストーリーとしてはさほど奇抜ではないにもかかわらず、キャラの魅力と繊細なストーリー展開で魅せる手腕はさすがという言葉しか出てこない。表情、仕草、ちょっとした描写で、少ないコマ数で、けれど端的にそれらを読ませる。
マヤもね、哀れな青年でしたね。
でも、思うんです。マヤと浩然は、もしかしたら同じ道をだどったのかもしれないと。日の当たらない場所で生きる彼らが、その後決定的に違う道を歩くことができたのは、浩然は千紘と出会えたからではないかと。
千紘と出会い、彼が浩然のすべてを受け止めてくれたから。
愛されること、愛することを、浩然は知ることができたから。
自分のすべてを捨てても、守りたい存在と出会うことができたから。
マヤにもそういう人が現れてくれたなら、会うことができたなら、あるいはマヤの「今」は違ったのかもしれないな、と。
浩然、そして千紘の、幸せなその後のエピソードをもっと読みたいとも思いましたが、読者がそれぞれの胸の中で二人のこれからを思い描けばいいのかな。
いろいろな幸せな姿が、二人のその後が、それこそ読み手の数だけ思い描かれるのだとしたら。めっちゃ良いよね。
登場人物としてはそう多くはありません。
ありませんが、だからこそなのか?みんな等しく魅力的なのが良い。
加治くん、好きなんですよね。おげれつ先生の描かれたあとがきを拝見して、彼が生粋のノンケさんだとわかりましたが、彼のスピンオフも読んでみたいなと思う魅力的な人物でした。
終わってしまって寂しいような残念なような思いもありますが、とにもかくにも二人が幸せになってよかった。評価で、神×10くらいつけたい素敵な神作品でした。
終わりのその向こうにある「幸せ」を手に入れた二人に、心からのエールを送ります。またどこかで彼らに会えることを願って。素晴らしい作品に出会えたことに、感謝です。
完結しましたねぇ…
神なシリーズでした
今回このレビューをあげるのに何回も何回も書き直してしまいました…
すごくすごく悩みました
この作品を通して流れ込む感情が様々過ぎて、自分ではうまく書けないな、と作品を読み直しレビューを書き、また書き直し、また読む…を繰り返してしまいました
そしてその都度評価を萌、萌2、神を何度も行き来してしまったのです…
結果まとめきれず長いレビューに…
それ位に惹き込まれ、囚われたシリーズでした
この3巻はあらすじの「俺のこといっぱい思い出して、それで――もう忘れろ」
これだけで胸が締め付けられて苦しかった……
そこに表紙…!見ましたかっ???勿論ご覧になってますよねっ⁉
なんとエモーショナルな胸打つ表紙でしょう…!
正直この表紙とあらすじを読んで、泣きました…(最近涙腺がどんどんガバガバになって来ました…)
しかも2巻のあの幸せ過ぎて、普通の幸せが怖くて、そんな日常に不慣れ過ぎた浩然の想いを知りながら続いているこの3巻、更に最終巻!…そう思うと余計この表紙とあらすじのミスマッチさだけで切ない妄想にキューっとしてしまいました (>ㅅ<)
こんなに感情を揺さぶられたのに素直に神評価に出来なかったのは3巻としての評価に迷いがあったからです
ちょっとココから辛めです
正直このシリーズは2巻が私の中では最高潮だったかも知れません
不確かな初めての幸せに戸惑い怯えながらも時と体を重ねた2人
そして幸せなハズなのに常に何か不穏さを纏わせる空気感
世界観に酔い、惹き込まれ、手に汗を握る展開にドキドキして3巻を待っていました
ようやく読めた3巻の冒頭から息の詰まるような流れの展開…
マヤの異常さに恐れ戦くばかりでした
その後の千紘の不安定さやそんな千紘を労りながらも自己嫌悪に陥る浩然の切なさにはページを捲る手が重くなってしまう程
すごく丁寧に進みながらも例のあらすじのセリフが常に頭を掠めてしまい先を行くのが怖くなります(「忘れろ」って言われても私は「忘れられない」wそして私には言ってないwww)
ーーーーー。
こんなに2巻からグッと惹き込んだ冒頭でしたがこの後からの中盤、終盤への流れが、、、一言で言ってしまえば正直あっけなく見えたんです。。。(最初は…!)
あんなに私の胸を締め付けたセリフさえもその後の展開を想うと、、、んー…何だかやるせない。。。
なんて表現していいか分からないですが「そっかぁ…ウンウン♪そうだよね!」と思いながらも「なんか違ったなぁ…」と少し燻ってしまう感じで煮え切らないくらいに駆け足。。。
そして裏切りの無い展開。。。
あのセンセーショナルなセリフを自ら覆してしまう位に浩然にとっての千紘の存在の大きさを示す流れなのも素敵なんですけどね…
決して結末を受け入れたくない!と言う訳でもないですしこの作品タイトルへの回収にも不満はナイんです!
だけど。。。自分自身で期待値を上げ過ぎたかも知れません
あの1巻→2巻とボルテージが上がる興奮、そしておげたな先生への期待、、、これらを高め過ぎてしまって「普通」を望んだ2人に対して「普通」を嘆く…というヒドイ読者になってしまったかもしれないですね…今回は、ワタシ…。
と・・・読み解きが追い付かない中だと物足りなさを感じてしまったんです
でも!読めば読むほど、自分の浅い感性に気付きます…
全然あっさりなんてしていなかった
あっさり魅せる先生の高尚な構成力の賜物がこの3巻でした
テーマが重かったですね
印象深いのは同じ絵のシーンとパンジーのお話しです
どちらも「型」と「中身」のお話し
同じようで違う
絵のお話しは「型」見た目は一緒に見えても象る中身が違う
浩然とマヤを想起させます
どんなにダメに見えてもそれを良しとしているか抗っているか、その想いの違い
パンジーは同じ種なのに小さな器から大きなプランターに変える事で芽吹いた命
過去から逃げずに清算・決別し新たな道を歩み出した浩然と千紘ですね
環境が変わる事の重要さ
絵のお話しでは中身=人間そのものの芯や想い、パンジーは「型」=環境の、それぞれの担う重さを表してるのかなと受け取りました
芽吹いたパンジーの花言葉が「わたしを想って」
そう。。。「忘れる」なんて土台無理なお話しです
駆け足に思えた中~終盤もこうして読み込めば読み込むほど見えて来るものがあります
この作品と2人をこれからも「思い出して、想って」いたいと思います
きっと読後直後の感想で評価を付けたら後悔していたかも知れません
何度も読み、深く想う事で味わいの深くなるシリーズであり、3巻でした
1巻は、おげれつたなか先生の作品ということで
内容も何も分からない状態で完全に作家買いしました。
話が進んでいくにつれ、「あれこれ私の苦手分野だな…」と思いながらも
2巻まで読んでしまったので3巻も購入。
犯罪や死が入ってくるお話はホント地雷なのですが、ハッピーオブジエンドに関しては最後まで読めました。
最後、生きて二人が再会できた。ということが何よりも救いです。
多分別れたまま終わっていたら幸せエンドだとしても私的には中立かしゅみじゃないだったかも!
かなり重い内容でしたが、ハオレンは美人だし、千紘は可愛いし。再会、というところで終わったけど
読み手が幸せを想像できる再会の仕方だったのではないかな?と思います!
おげれつたなか先生だから描けた世界だと思います。
朝から涙流して読みました(笑)
すごく良かったです。また読み返したいと思います。
巻を重ねるごとに温かみの増してく表紙がステキなわけですが
最後まで読んで裏表紙見て、わーーーんってなりました。
辛くてエグくて非条理で切なくて、どうしよどうなるの先に
じんわりした未来が、浩然の願った日常が続いていくことが感じられて…
胸いっぱい!!!!
しんどいストーリーの中にも浩然の愛情も千紘の愛情もたくさん感じられました。
2巻がほのぼのだった分マヤの非道さ読めなさの恐ろしさがすごく、
メンタルやられまくりました。
一緒にバカやってなんてことない日常を積み重ねたいだけなのに!
千紘を想うからこその浩然の行動が、なんでなんでなんで…
そうせざるを得なかったことが分かる分、苦し~
浩然の選択も踏ん張る千紘にも泣いちゃいます。
離れても想いは募るばかりで、お互いを想う気持ちが
とてもとても切なくて胸がギュッとなりました。
楽しすぎるからもうここで死にたいって境地だった浩然が、
千紘がいる世界で生きたいと思えるようになったなんて…
また、二人が一緒にいられるようになるまでもドラマティックで美しかった。
良かった…とても良かった。とてもあたたかな気持ち!!
願わくば総仕上げえちも見たかったけど良かったです!
もっともっともっと2人がいちゃいちゃヤイヤイしてるとこ見たかったーーー
と、ハッピーな結末を迎えて感無量……なんて良い笑顔するんや!と、
いろんな気持ちが渦巻いてぐっちょぐちょです。
全体を通して、浩然が千紘の振る舞いにことある事にグッと心鷲掴みにされ、
日常に悦びを感じているのが可愛くて可愛くてとても良かった!!
これまで生きてこなかった浩然の生きる理由……失いたくない光。
浩然の寂しさが埋まって人間味が増してくのとか、
千紘と2人でケラケラしてるのとか、忖度ないところが良かったです!!
1巻から考えるとまさかこんな表紙で最終巻を迎えるとは。。。
全く予想も出来ませんでした
良くぞ3巻でまとまったな、、、とつくづく先生の技量の高さに驚嘆しかありません
懸命に生きる事が普通の事、普通に生きれるって一生懸命でなければ得られないんだな~とつくづく沁みました
そして、懸命に生きていれば少ないかも知れないしタイミングも合わないかも知れないけれど必ず見ていてくれる人がいる
マツキさんや加治の存在に救われる想いでした
新たに進んだ先でも2人が「普通に」生きているからこそ浩然には安本君、千紘には大川さんという意図せず2人の歯車を回してくれる出会いがあったのだろうと思いましたしね
マヤも逃げずに一生懸命になれたら良かったのに。。。
簡単な事ではなかったと思うけれど彼に対しては何とも形容し難い感情が湧いてしまいます
ただ…あの終わり方しかなかったのかな…というもどかしい苦しさは避けられなかったです
ともあれ、2人の物語としてのこのシリーズを最後まで読めて良かったです
最後まで描いて下さった先生に感謝です
ありがとうございました!
1巻を読んだ時には、コレどんな終わり方をさせるつもりなんだろう、と不安半分期待半分でした。
先が読めないという。
でも、とても印象的で素晴らしいラストでした。
先生、お疲れさまでした。
ありがとうございました。
ただただ、凄い作品と出逢ってしまったという衝撃に撃たれています。
皆さま方が情熱的な感想を述べているのを、うんうんと頷きながら読んでいましたが、ここのレビューの熱さも楽しい。
改めて思ったのは、この作品の登場人物って、社会的には「クズ」ばかりですよね。
なのに、どうしてこんなに愛おしく思ってしまうのでしょうか。
胸が締めつけられるような絶望の中で、彼らに光を注いであげたくなるのでしょうか。
3巻は、浩然も千紘も幸せになってほしい、と祈りながら読んでいて、胸は痛いわ、頭は痛いわで、もう大変でした(笑)。
浩然の「ひっひっ」って笑い声、大好きです。
彼らの未来が笑い声で溢れるものでありますように。
願ってやみません。
久しぶりに「すごい作品に出会った」と思いました。
人気作だけど、1巻の表紙からして「暗そうだなぁ」と敬遠していたのです。
皆さんのレビューを確認して、大丈夫そうと判断し一気読み。
疲れている日の夜中に読んでしまって途中精神にくるものがありましたが、心を揺さぶられるストーリーに引き込まれて、読み終わった時は感動と衝撃で呆然としました。
想像を超える内容でした。
もっと早く読んでいればよかった!…ような、完結してから一気読みできてよかったような。
そして眠れなくなりました。
疲れてたのにー!
社会の最底辺のようなところで生きる不器用な2人。
2人にとってのささやかな幸せが…いちいち泣けます。
BLだけどラブだけじゃないヒューマンドラマでした。
怒涛の展開で、1回読んだだけだと咀嚼できないので、言えることが少ないです…
読み込みたいですね。
電子で読んだのですが、読み終わってすぐに紙本も揃えました。
こんなこと初めてです。
普段BLを読まない人にも読んでもらいたいです。
幸せなシーンにも、どこか脆く儚い印象が付き纏っていた本作。縋るように寄り添う浩然と千紘の姿を、ずっと応援しながら見守ったシリーズでした。
人の死を乗り越えたり、もう二度と会えない形で愛を描く作品をたくさん読んできました。それが愛だと言われればそうかも知れない。けれど、そうではなくて、これでよかったんだと諦める必要はなくて、素直にハッピーエンドだと言える。凄惨な人生をやりすごしてきた二人が”普通の"幸せにたどり着けたことに涙が出ました。
生きる希望は、下手な笑い方や芽吹いたパンジーかもしれないし、使い捨てカメラの最後の一枚かも知れない。閉塞的な人生の中で、お互いにこの人がいる世界に生きていたいと思える、幸せに手を伸ばせることがどれほどに尊いことか計り知れません。
1巻から読了した今、多幸感が溢れています。おげれつたなか先生、本当に素敵な物語をありがとうございました。