おおかみルゥと過保護な冒険者

ookami Ruu to kahogo na boukensha

おおかみルゥと過保護な冒険者
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神41
  • 萌×227
  • 萌11
  • 中立5
  • しゅみじゃない8

--

レビュー数
14
得点
351
評価数
92
平均
4 / 5
神率
44.6%
著者
伊達きよ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
犬居葉菜 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784773063646

あらすじ

「ルーシィ……、明日も、一緒にいてくれ」
薬草採取しかできない下級冒険者は、戦闘に巻き込まれて死んだ──
はずが、冷酷な冒険者・リカルドに拾われた仔狼に転生していた。
ルーシィと名付けられ、甲斐甲斐しく世話をされる日々。
噂とも、冒険者時代に垣間見た彼とも違う一面に、ルーシィは次第に惹かれてしまう。
はじめて発情期が訪れた日、ルーシィは昂るままにリカルドへ告白するも「俺とルゥは家族だろう?」と告げられて……!?
愛を知らない最強冒険者×落ちこぼれ人狼の溺愛冒険譚

表題作おおかみルゥと過保護な冒険者

リカルド・ヴァレッティ,特級冒険者
ルーシィ,底辺冒険者・エミリオが転生した人狼族の子ども

その他の収録作品

  • おおかみルゥと過保護な伴侶
  • 最後の秘密
  • 幸せな朝に
  • あとがき

レビュー投稿数14

無自覚の焦ったさ

超絶無自覚などっぷり溺愛攻めに焦れに焦れ、そんな攻めに過保護に愛される受けの図がものすごくかわいくてあったかいお話でした。
「受け以外には興味がない攻め」がお好きな方にはピンと来るものがあるのではないかな?と思います。

読みやすい文章でサクサク読めてふわ〜っとあたたかい。
冒険もののわくわくする要素もありつつ、形が異なる愛がじっくりことこと描かれている作品です。
愛情を知らずに育った攻めが「外れ物」の受けにだけ執着をし、あれこれと過保護すぎるほど過保護に構い倒す姿が良いんですよ〜!
攻めがよちよち歩きの雛鳥状態の受けを育てているようでもあり、攻めが今まで知らなかった情緒を受けが育てているようでもあり、愛情たっぷりのもどかしさを堪能出来ました。

ルゥが一生懸命でとってもかわいくって。
そして、どこからどう見てもルゥを愛してやまないというのに、愛を分かっていないリカルドもまた良しなんですよねえ。
目に入れても痛くないほどの溺愛っぷりを見せながらも、分かっていないのはリカルドだけというのがおいしいところ。
きっとこうなるだろう。いや、こうなってほしい!と先の展開に期待を寄せながら、保護者スタートだからこそのなかなか恋愛関係になってくれない焦ったさをほのぼのと楽しめた1冊でした。
キャラクター的にはリカルドの設定の方が好みかも。

本編+短編何作かで完結といった印象がありまして、これは転生設定を入れずに人狼設定だけの方がすっきりとまとまって読めたかもしれないなあと感じる部分も…
でもそれだとマシュウたちがそこまで絡めないですかね。
恋愛的面でものすごく萌えたかというとそうではなく、どちらかというと2人の間にある唯一無二の大きな愛情にじわじわ萌えた感じ。
マシュウたちCPの方が恋愛面では気になったかなと、こちらの評価になりました。
あたたかみのある作風で素敵な読み心地の作品です。

0

 中身は普通の人間だけど、ルゥのケモ耳しっぽを感じる度にもふもふで可愛い。
 ストレスを感じる胸糞展開(女関係)もないから、終始安心してほわほわ癒されモードで読める。
 欲を言うと、リカルドの半吸血設定の深堀をしてほしかった!
 溺愛で溢れてます。

0

様々な愛の形

すみません、かなりネタバレになるかと思います!

タイトルに書いた様々な愛の形というのはあとがきで伊達きよ先生が仰っているのですが、ホントにそんな内容です。愛って言うと恋愛だけに思えるけど、家族に対する愛、親友に対する愛、敬愛、などなど。

ルーシィとリカルドもお互いのことをとても大事に思ってはいるけど、それがどんな愛なのか自覚がないままルーシィが18歳になるまで暮らしてきて、ルーシィの発情とともに一気に自分の相手に対する愛は何なのか?を考えるようになって。

愛って言っても恋愛だけに縛られる必要は無いんだよな、ってことをしみじみ考えるお話でした。ホントに色んな愛が溢れていて、それで世界は成り立っていて。「愛してる」って言うだけが愛情表現じゃなくて、リカルドが言った「明日も、一緒にいてくれ」これに尽きるなぁってハッとした部分もありました。どんな愛って名前が必要なんじゃなく、相手に対してどう思っているのかが大事なことなんですよね。

言葉の内容よりも重さがあるなぁ、と。実際リカルドは(体を繋げてからは執着溺愛むき出しになりますが)スキンシップを重視する傾向にあるみたいだし、(もちろん異論はあるでしょうけど)言葉は嘘つけても態度は嘘つけないからこそ、リカルドのルーシィに対する愛情表現って言葉にしろ態度にしろ、重みがあっていいなぁと思いました。

8

天才

●狼モフモフ萌え
狐とか狼って尻尾がモフモフで人気獣人代表って感じ、群れる生き物なので関係性美味しい、という人狼からしか摂取できない萌えがある
わんこっぽさもいいんだよね、最高
卯年を控えて兎に走りたくなる絶妙なタイミングで狼っていうこの天才センス、つよつよ♡優勝すぎる

●男前寡黙過保護萌え
この作家さんの「春になるまで〜」を先に読んでたので過保護ときいてディビスさん路線かっ!と買う前から萌え萌えでした。
もうなんか性癖としか言えない、この良さみ。作家買いってこういうのをいうのかな、二人の関係はシンプルじゃなくて深みがあって…親子師弟仲間特別伴侶大感情コレゾBL健康に良い。ありがとう…

●タイトルと表紙が神
ブランディングの勝利だと思う
「春になるまで〜」もなんですけどこのフレッシュで清潔感のある…もう語彙が溶けちゃう
suki

11

過保護で愛の重い攻めが良かった。

ギルドで最高ランクの最強冒険者に拾われた貧弱な人狼の赤ちゃんがのんびりと成長していく物語。受けは本当は一般冒険者だったけど、死ぬ間際に幸運のチャームの能力で近くにあった損傷が少ない人狼の赤ちゃんの死体に移った存在。冷徹で無愛想な攻めが受けに対しては甘々なのがギャップで面白かったです。厳つい風貌で花柄のお皿に乗ったレモンケーキを片手に持っている姿を想像すると、とても可愛い。貧弱で食の細い赤ちゃんのために色々工夫して甲斐甲斐しくお世話してくれる攻めが良い。二人の関係が恋人であり親子、師弟としての愛も含まれているのが好きだった。一人のに対しての愛の形が一種類とは限らないってその通りだなって思います。受けの兄や母親の愛、そして受けの命を救った祖父の愛、いろんな愛情が詰まった物語でした。攻めが受けを拾った経緯は切なく、最強な攻めが垣間見せる弱さも胸に刺さります。

9

特別扱いが心地よい

瀕死のエミリオは、特級冒険者リカルドの戦闘に巻き込まれ、死んだ人狼の体に逃げ込みます。リカルドはある理由から、その人狼を拾うとルーシィ(愛称ルゥ)と名付けて一緒に暮らします。お互いずっと一緒にいたいと思っているのに…という話でした。

ルゥは人狼でも劣った「外れ物」なので、リカルドは対等に見てくれない。保護対象の家族であり、伴侶にはなれない。大好きなのに一緒にいられないと泣くルゥが切なかったです。

冒険者、魔法使い、人狼等の人外がいるファンタジーな舞台です。
人外と人間とでは寿命も違う。相手が先に死んでしまう。でもその理由は寿命だけでなく…とか、あちこちに好きなセリフや場面がある作品でした。

ルゥがそんなに小さくありません、と言い張るときのカッコを使う書き方も好きですが、一番お気に入りの場面は、他人には興味がない無愛想なリカルドがルゥには笑顔で甘い声で答える特別扱いのところでした。

寒い夜にも読み終えたらぽかぽか温かな気持ちになりました。

10

可愛すぎて目が離せません

今回は特級冒険者と人狼に転生した下級冒険者のお話です。 

人狼に転生した受様が攻様の大切な人になるまでの本編と
伴侶となった2人の続編など3話の短編を収録。

受様は冒険者になって3年目の8級冒険者です。

冒険者ランクは10級から始まり
冒険者ギルドによって数値化された依頼や
昇級試験をこなす事でランク付けされます。

8級の受様では薬草集採取や
畑を荒らす小型モンスター駆除がせいぜいで
大型モンスター退治なんて夢のまた夢です。

しかも薬草採りは馬鹿にされる事が多く
受様と同時期に冒険者となって5級となった者もおり
受様も今後の身の振り方を考えるようになります。

それでも今回も薬草採取依頼を受け
天候厳しい山の中腹にしか咲かない薬草を
吹雪に耐えて採っていた受様ですが
爆発音と大きなきな振動が響き渡ります。

受様が双眼鏡で捉えたのは
獰猛なシャーザハットドラゴンと
特級冒険者の戦う姿でした。
この特級冒険者こそ今回の攻様です♪

5人しかいない特級冒険者ですが
獰猛なドラゴンを単独で狙う黒髪の猛者なら
攻様しかいません。

受様は戦闘から逃げるべく走り出しますが
迫ってきて爆風に煽られて斜面を滑り落ち
瀕死の身となります。

そんな受様の目前の木のうろから
狼の親子が飛び出していくのですが
しばらくしてさらに仔狼が1匹出てきます。

しかし仔狼は爆風で飛ばされ
受様は必死に仔狼の元に張っていきますが
仔狼は事切れていて受様も瞼が落ちていき・・・

次に目を開けた受様は仔狼の姿で
攻様にミルクを与えられていました。

なんと受様は死んだ子狼の身に転生し
攻様は瀕死の受様を保護してくれたようです。

果たして狼に転生した受様の運命とは!?

比類なき冒険者である攻様と人狼に転生した受様の
転生ファンタジーになります♪

攻様は受様を人狼族だと言い
人狼族も探してくれたようですが見つからず
受様に新しい名前をつけて
受様のお世話をして育ててくれるのです。

タイトルもカバーも可愛らしいものだったので
ほわほわ系な可愛いお話しかと読み始めましたら
切ないパートもポンポンと盛り込まれていて
ハラハラ&ドキドキ、とっても面白かったです。

最強ながらも孤独な攻様が
1人残された(と思われた)受様を保護した事で
誰かに必要とされ、誰かのために生きる歓びを知り
少しづつ変わっていきます。

そうして変わっていった攻様に大切にされて
愛されて前世の記憶で劣等感を抱えていた受様も
少しづつ変わっていきます。

受様は自分の変化の源が攻様であることに気付きますが
攻様は自分が変わった自覚はあっても
その変化をもたらした根本には気づきません。

それが彼らのすれ違いを起こし、
受様の身体の持ち主の家族も絡んできて
2人の恋愛事情だけに終わらないところも
すごく楽しかったです。

受様が可愛くて仕方のない攻様の言動に
とっても萌えさせて頂きました (^-^)/

11

ポンコツぶりが微笑ましくて

すっごく面白かったです。

完璧な特級冒険者であるリカルドが、ルーシィのことだけにポンコツになるのがすっごく微笑ましくて何度もクスッとしました。そんなリカルドの周りを駆け回るルーシィももちろん可愛くて、ずっと読んでいたい気持ちになるお話でした。

こちらのお話は転生ものですが、亡くなった時点でその場で転生してるので思ってたお話とはちょっと違っていました。

他者に興味が無いリカルドが、どうして瀕死の仔狼であるルーシィを拾って育てたのかは後に明らかになるのですが、これが凄く切なかったし実はリカルドの心を深く傷付けていた事を知って悲しくなりました。

リカルドはルーシィを愛することで救われていたんですよね…。溺愛ぶりはポンコツですが。www

ルーシィの兄であるマシュウの登場や母狼によってルーシィな無事に大人になるんですが、今度はルーシィが本当のことをリカルドに話せないという苦しみが待ってて、また切ない展開になってました。周りから見てても読者からもそんなことでリカルドの気持ちが離れるとは思えないのですが、純真なルーシィからすれば凄く大事なことなんですよね。

でも想像通りリカルドはルーシィはルーシィでしかないのがブレてなかったです。www

愛ってひとつじゃないですよね。家族へ愛、恋人への愛、友達への愛、それらが1人に対して全て当てはまるかもしれないじゃないですか?
そんな素敵な愛のお話でした。

暖かい気持ちになりたい方にお勧めです。

13

過剰な愛情に胸があたたかくなる

愛しいと可愛いしかない!俺のルゥ。

リカルドの溺愛ぶりがたまりません。ルゥルゥと構ってばかりで。死にそうだったり、体がいつまでも弱かったルゥをなんとか育て上げて、そりゃあ過保護にもなるかな?その過保護の理由も切ないですね。

お話はとっても良かったです。色んな愛がありますね。リカルドの自覚待ちが長かったです。

途中まではすごく良かったのですが、残り1/3くらいはなんだか失速してしまいました。

ルゥが成人した姿のイラストも見たかったな、と思ったら2枚ありました。
ルゥが可愛くて仕方ないリカルドが読んでてほっこりでした。
本編のイラストのルゥが微妙に可愛くなくて、なのに可愛い可愛いって言ってるリカルド!
リカルドは特級冒険者でカッコいい設定なんですが、イラストからはそんなに筋肉やカッコよさを感じなかったなあ…。髪型が某アニメの登場人物に見えてしまって。

ルゥのために何でもするリカルド。大きな愛情を受けるも伴侶にはなってもらえない切なさ。いつまでも保護者で並んで立てないもどかしさ。読み応えがありました。

14

『好き』の種類

作家様買いです。
タイトルの『過保護』と言う部分に期待しかなかったのですが
いやぁ…今回も最高でした…!!!!!!

今回は『好きの種類』について考えさせられました。
ルーシィは恋愛として好きなことを早々に気付きますが
リカルドは恋愛としての好きがわからなくて
明らかに両思いなのに切ない気持ちになりました。
そんな二人がお互いの気持ちを伝えるシーンは、涙なしでは読めなかったです。

ルーシィの母(厳密に言うと違うけど)とルーシィのお話も
とても切なくて涙が出ました。
子が大切じゃない親はいないよね…。

タイトル通り、過保護なリカルドが沢山見ることが出来てほっこりする部分も多いけど
切ない部分もちゃんと織り交ぜられていて
伊達先生すごいなぁ…と思いながら読みました。

個人的にはマシュウとルドルフの過去のお話や
これからのお話が読みたいなぁと思いました。
※こっちはこっちで涙なしでは読めないと思いますが。



今回もとても素敵なお話でした。
買ってよかったです(*´▽`*)

0

広〜い意味で愛とは何ぞや?

伊達きよさん×犬居葉菜さん再タッグ…!
これは絶対読まねばと思い光の速さでポチしました。
ほのっとした話の雰囲気と合ってて安定の良さ*。゚+

さて。
読後にふわふわした気持ちが残るお話でした。

"深く刺さった!"ではなく"ふわふわしてるな"って感じ。
これをどう評価に繋げて良いかちょいと悩むところです。

BL特化ではなく
広~い意味で愛とはなんぞや?っていう…(。_。)
優しくて暖かでふわふわしてる愛情が沁み渡る。
そんな印象を受けました。

個人的に萌えたポイントは、
 ・過保護な攻め
 ・セキュリティー発動する攻め
 ・マメマメしくお世話する攻め
 ・受けちゃんしか見てない攻め
 ・同衾!!同衾!!同衾!!!
 ・受けの成長(幼い頃の舌っ足らずめちゃ可愛い!)
 ・無自覚両片思いの切なさともどかしさ
・・・が良かったです(∩´///`∩)


あらすじをザックリ。

冴えない冒険者だったエミリオ。
戦闘に巻き込まれて命が絶えようとしてた時、
同じく目の前で息絶えた仔狼の中に魂が転生されてーー。

その後 最強と謳われる冒険者・リカルドに拾われ、
仔狼・ルーシィとして愛情を注がれて成長していく物語です。


リカルドの生まれた境遇は不憫で孤独を極めてます。
エミリオも、亡くなった仔狼も、転生したルーシィも、
それぞれ生きづらい境遇を抱えてひとりぼっちでした。

それぞれが共鳴しあうかのように出会って、
孤独を埋める様にギューギュー寄せ合って暮らす。

個人的に孤独ワードに滅法弱いのでグッとくる!
しかもココに『寿命の長さ』が加わるんですね。
失ったら長い長い命をひとりぼっちで過ごすことに…(;ω;)

リカルドの過保護の理由に失う怖さがあるのが
もぅもぅ…!!めっっちゃ萌えました(;////;)
幸せを知ってしまったらもう手放せない的なね!!!
ああああ、切な尊い…。

んで愛し方も愛され方も教わることなく一人で生きてきたリカルドにとって、
ルーシィという愛情を注ぐ存在が出来たのは生まれて初めてのことなんです。

だからこそ愛情表現がちょっと不器用で、
ルーシィの恋心もうまく受け取れなくて、
結果無自覚両片思いですれ違ってくのがッッッッ!!
もどかしくて、もどかしくて、焦れったいのですよ!

まぁそこから愛とはなんぞや?って話になって。

そもそもルーシィを育てたのはリカルドで、
関係性としては親子的な繋がりという方がシックリくる。
そもそも性的対象とか恋愛相手って概念が薄めっていう。

でもルーシィの方は恋愛の意味でリカルドが好きでね。
この辺りの展開がゆっくりなので焦れったさが大きかったです;

恋愛の進みとしては遅いけれど溺愛はバッチリ…!
リカルドが「ルゥ」「ルゥ」と呼ぶ声が好きだ。
溺れそうなほどデロデロに甘やかしてて好きだ。
ルーシィ自身が愛されてる実感を持ってるとこも良き。

種族違いで寿命の長さが違う2人といえば
脇カプのほうが断然気になりました。
リカルド×ルーシィより脇カプの方がガッツリBLかな?
脇カプの人生を想像するだけで切なさが襲ってくる…泣

12

過保護

先生買い。ふふ、と楽しく読ませていただきましたが、超推しか?と聞かれると?だったので萌2よりの萌にしました。可愛らしい、ちょっときゅうってするところもあるお話、本編212P+番外編3編60P弱+あとがき。可愛いお話ってのがほんとに良いです!

八級冒険者のエミリオ。その日も薬草取りの依頼を受け吹雪の中、頑張っていたところ、獰猛で知られるドラゴンと特級冒険者リカルドの争いに巻き込まれひん死の重傷を負います。倒れたエミリオの目の前で、避難する母、兄弟たちから置いていかれた子狼も同じように息絶えたようで・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
ルドルフ、カタリナ(有名冒険者)、マシュウ(ルドルフたちと一緒にいる)、ルゥの母狼、サーシャ(番外編で登場)ぐらい。マシュウ、ナイス♡

++ 攻め受けについて

リカルドは寡黙不愛想無表情、めちゃ強な冒険者。人と交流しようという意思が無いのだけど、あまりに強くて有名なので、皆さんいつでも注目しているような方。そんな方がちっこいルゥを大事に保護してるものですから、「どしたどした、あれは誰だ」と大騒ぎ、という様子です。過去の自分の境遇と重ね合わせて、ルゥをほんとに大切に大切にしてますねえ・・そんな大切に(というか超過保護に)していたちっこい子が育った後に、実は愛してたんだと気づく過程がきゅうって胸にキました。

受けは人間のエミリオもポンコツだったけど、人狼のルゥとしてもポンコツ。なんとかリカルドの役に立つようになりたいと一生懸命頑張る可愛い健気ちゃんというところでしょうか。好きで好きでいつまでも一緒にいたいのに・・・とひたむきに思うところが、きゅんきゅんでした。

お耳、しっぽ描写がありますし、マシュウがいいところで突っついてくれて、楽しいし、ちょっとせつないところもあるし、楽しめた一冊でした。小説初めての方でも読みやすく、楽しめると思います!

10

溺愛とギャップ萌えが光る一冊

溺愛(過保護)に埋没する作品でした^^

恋愛というより親子愛みたいな感じです、最初はね。というのも、瀕死の人狼・ルーシィ(ルゥ)を保護し育てていくのは最強の冒険者・リカルド。リカルドは最強の冒険者で、どんな猛獣をも倒してしまう猛者。誰ともつるまず、群れず、感情を失ったような男が、唯一デレデレになるのが、人狼の子・ルーシィ(ルゥ)です。

ルーシィは実はルーシィではなくて(意味わかんないですよね 笑)…、中身はエミリオという元は低級の冒険者なんです。どういうことかと言うと、薬草採集していたエミリオが瀕死の人狼の子の身体に魂が入り込んだというワケ。そのキッカケは、リカルドの戦闘中に巻き込まれた事故でした。

リカルドがルゥを拾い、それからはもう溺愛に溺愛を重ねて育てていきます。溺愛というより過保護に近く、ルゥも周囲も引く程。誰にも関心のない氷の心を持つ男が、ルゥのこととなると別です。リカルドの外と中のギャップは、この作品の1番の推しポイントです♪

リカルドとルゥは親子のような関係だけど、ルゥの方はリカルドを恋愛的に好き。リカルドとしてはどうなんだろう…こう思って悩んでいくわけです。伴侶になりたいルゥと、家族でいたいリカルドのすれ違いが、ちょっぴり切ないお話なのです。
ですが所々に見えるリカルドの溺愛…これが本当に家族に対してとる態度なのか?なーんて思うくらいの嫉妬ぶり。無自覚の"好き"で振り回すリカルドに、焦ったく感じてしまいます。リカルドの自覚と覚醒はいつ訪れるのやら…ヤキモキしました。


リカルドには確かにルゥへの愛がある。
ベースは家族愛ではあるけど、それとも違う恋愛的な愛も存在しています。でもリカルドはそれに気付かない。というか、"気付かないようにしていた"のが正しいのかな。「恋人はいつか終わりはくるけど、家族ならずっと一緒だと思っていた」というセリフが全てを物語っています。

リカルドのその思いは分からなくもないけど、家族でいるからこそ、子離れという局面で物理的に離れることだってある。同じ"家族"であっても、「親と子」より「伴侶」としての"家族"を怖がらずに積極的に選択して欲しかったです。だって、伴侶だって家族だもの^^

ルゥへの恋愛的な愛情を覚醒したリカルドの、イケイケモードには笑うしかないです。溺愛に拍車がかかって、プラス身体の愛情表現がえらいこっちゃになってます…(〃ω〃)よく今まで耐えてきたなと……さすが最強の冒険者。


色んな愛を感じとる温かい作品でした。
家族愛、恋人(伴侶)愛、師弟愛、友情、兄弟愛、母子愛…などなど、作者さんもあとがきで仰っていましたがまさにその通りだなと。その様々な愛をじっくりと鑑賞できるようなストーリー展開だったと思います。

作品全体がホワッと包み込まれるように、文章も優しい雰囲気。とても読みやすく、フォッフォッフォッ♡な溺愛をたくさん楽しませてもらいました。

10

攻めさんがカッコよすぎて。

作家買い。
伊達さんの新刊は、伊達さんらしい、と言っていいでしょう、ファンタジーもの。しかも可愛らしいモフモフに癒される、そんな1冊でもありました。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。



ドラゴンや魔獣を倒す「冒険者」がいる世界。
冒険者はその強さでランク分けされているが、エミリオは薬草採取しかできない底辺冒険者だ。

その日も山で薬草を摘んでいたエミリオだったが、ドラゴンと対峙した特級冒険者・リカルドとの闘いに巻き込まれる形で命を落としてしまう。いや、落としたはず、だった。

が、たまたま目の前にいた人狼の子どもの中に入ることで人狼として転生してしまう。まだ子どもの「彼」を見たリカルドは「彼」を放っておけず、エミリオの魂が入った人狼にルーシィ(愛称はルゥ)と名付け育てることにするが―。

視点はあくまでエミリオ、もといルゥ。
冒険者だったのに、死んだ途端に人狼に転生してしまい、どうしようかと思う間もなく偉大な特級冒険者であるリカルドに育てられることになってしまう、という。そこに伊達さんらしいコミカルさを加えたストーリーです。

タイトルにご注目。
「過保護な冒険者」なんです。リカルドという男は。
闘いによって身体についた傷。
凍土よりも冷たいと噂されてしまう孤高さと寡黙さ。
数少ない、選ばれし特級冒険者。
でありながら、ルゥにはゲロ甘です。他人にはそっけない態度を取り続けるのに、ルゥのために甲斐甲斐しく食事を作り、手ずから食べさせ、グルーミングし、人狼のルゥが人に擬態できるよう(生活しやすくなるよう)様々な教育を施す。

ルゥの本性は、人狼の子どもではなく、冒険者として生きてきた17歳の青年なのでそのリカルドの行動に戸惑いつつ、それでも惜しみない愛情を注いでくれるリカルドに、ルゥは少しずつ惹かれていくけれど。

リカルドという攻めさんは、紛うことなきスパダリさんなのですが、いわゆるBL作品における「スパダリ」とは一線を画すスパダリさん。カッコいいのに可愛くって素敵という、新しいスパダリさん像を魅せる攻めさんなのです。

BLとしての軸は二人の想いが成就するまで、なのですが、これがすんなりいかないのが面白くって。最終的にはくっつくんでしょ?と思いつつ、二人のすれ違いっぷりにハラハラさせられるのです。

ルゥはねえ、とにかく可愛い。
可愛いんですよ。
人狼ゆえにケモ耳、シッポが生えていますが、それらが彼の内面を表すツールとして描かれているもの良い。

でも、個人的萌えキャラはリカルドです。
冒険者としては有能で、他者を寄せ付けない孤高さを持っていながらルゥには激あま。まさに「過保護な保護者」です。そして、それがなぜかという理由もきちんとあるので、これがまた良い。パーフェクト男子に見える、リカルドの過去。これ、萌えずにいられます?という。

そんな素敵攻めさんを、犬居さんの描かれる挿絵がドンピシャで、これも最高過ぎました。

ルゥのことを庇護すべき子どもだと思うリカルドと、リカルドの横に立つにふさわしい男になりたいと思うルゥ。この二人のお話だけでおかわり3杯いけますが、彼らは途中、二人で旅に出ます。この旅の理由もまた良い。

ストーリー良し、キャラ良し、挿絵良し。
二人を取り巻くキャラが数人登場しますが、彼らがまた素敵なのです。続編、あるいはスピンオフを激しく所望しています。

伊達さん作品の、このホンワカさ、っていうんですかね。
シリアスにも振り切れるバックボーンを、これでもかというくらい温かな作品に仕上げる手腕に脱帽。読後、心がほっこり温かくなる感じが凄く好きなんです。

ファンタジー、コミカル、そういったものを上手にミックスさせた良作でした。

15

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