深潭回廊 3

shin tan kairou

深潭回廊 3
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神39
  • 萌×29
  • 萌5
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
8
得点
247
評価数
54
平均
4.6 / 5
神率
72.2%
著者
永井三郎 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
ふゅーじょんぷろだくと
レーベル
POEBACKS Be comic
シリーズ
スメルズライクグリーンスピリット
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784865896848

あらすじ

【アイツは根っからの娼婦だからな。】幸せな恋にふわふわしていたはずが、そこは真っ暗な闇の中。
渚(なぎさ)と一緒にいることで初めて満たされた柳田(やなぎだ)。
しかし2人の蜜月はすぐに終わりを告げる――渚は島の男達を相手に売春行為を繰り返していた。
渚を取り巻く異様な状況を知った柳田は、自分が渚を全く知らないことに気が付く。
都合の良い夢から覚め、ようやく現実を直視する柳田。
花畑だと思っていた現実は終わりのない暗闇だった。

表題作深潭回廊 3

中学3年生

その他の収録作品

  • おまけの漫画
  • あとがき

レビュー投稿数8

読んでいてしんどい。だが。

『深潭回廊』の3巻目。

永井作品の中でも人気の高い『スメルズ ライク グリーン スピリット』のスピンオフ作品。『スメルズ~』を未読の方には、まず『スメルズ~』を読んでからこちらを手に取られることをお勧めしたい。

ペドの性癖を持つ山田。
山田と身体の関係を持つ中学生の渚。

1、2巻を読んでシリアスな話だと分かってはいましたが、3巻はさらにそのシリアス度を上げてきました。子どもが性的な搾取に遭う作品なので、苦手な方は回れ右。痛く、しんどい話を読みたくない時にもお勧めしません。けれど読んでいてこんなにもしんどく、けれど読むことを止められない作品はそうそうない気がします。

渚が貸してくれた本を読み、そしてかつて恋焦がれた南條くんの死を知った山田。
そして、その事実を介して、彼はかつての己の自己中心さにやっと目を向け、そして自身を恥じ自らの死を選ぼうとするが―。

というところで終わっていた2巻。
3巻はその続きからスタートします。

自死を望んだ山田にストップをかけたのは渚。
時に辛辣な言葉で、けれど山田の心に深く問いかけてきてくれたのは渚だった。
常に「自分」の内に籠ってきた山田は、やっと「渚」という少年と向き合うがー。

3巻に入り、少しずつ渚の置かれている状況が見えてきます。
彼が、大人たちにウリをしていることが。

「渚」という、その男の子の中身ではなく、周囲のゲスな男たちは「娼婦の息子」という虚像を彼に見ているんですね。「娼婦の息子だから」、渚は淫乱で男を欲しているのだ、と。

ゲスな男①が、渚とはじめて身体の関係を持った時の状況を山田に話すシーンがあります。あれはゲス男①の嘘なのではなく、彼はそれが真実だと信じているんじゃないのかなと思いました。

それはゲスな奴らの望みであり、都合の良い願望でしかないのに。

その虚像を破って初めて「渚」を見てくれたのが、山田だったのだと。
そう、読んでいて思いました。

けれど、渚は渚で、男たちの欲求のはけ口にならざるを得ない「何か」がまだある。ように見える。ラスボスはあいつなのか…?と思う人物も登場していて、続きが気になって仕方がない。

山田が、いや、柳田先生が渚と出会い、やっと己と向き合い救われたように。
渚もまた、柳田先生との出会いによって救われて欲しい。
渚には良き友人もいます。彼らの動向にも注目したい。

まだまだ完結ではなく一波乱も二波乱もありそうな流れではあります。早く二人に幸せになって欲しいな。

と思いつつ、次巻を楽しみに待っていようと思います。

18

どんな決着を見せるのか…

とてもしんどいお話ですが、まだ続いていました。
永井三郎先生があとがきで「濁った水の中のような話」と書いてましたが、その通りのようなお話でした。

島という閉塞感の中で大人の男たちに搾取され続ける渚、自死を思いとどまって渚を知ろうと動き出す山田…でもその事が山田自身の罪を否応無しに突き付けて来るのです。

これだけ人間の暗部を見せつけておいて、最後はどういった決着を付けるのか想像も出来ません。

渚の同級生の真理と井上少年の良心に賭けるしか無い気がして来ました。
それと渚の母親が居なくなった真相が父親だったとしたら、渚の逃げ場は何処にも無いことにゾッとしました。

願わくば山田にも渚にも救いのある展開になって欲しいです。

6

バケモノから人間へ

他の方もおっしゃってますが、このお話、とても重いです。重厚なストーリーをお求めの方にはいいでしょうが、かなり読み手を選ぶお話だと思います。

私は重めの話も大好きなので、スメルズライクグリーンスピリットからここに来たクチです。

本人の弁でもありますが、「自分が一番不幸で可愛そう」だった柳田がやっと周りの人間に目を向けられるようになり、渚の苦しみに目を向けられるようになった、展開としてはとても大きな巻だったと思います。いや、いい大人やろ!って突っ込むところではあるんですが、柳田も壮絶な人生送ってきてるんですよね…(とは言え、スメルズ〜での彼の行いを肯定するわけでは決してありませんが)。

そして渚。小学生の子供が大人から守られることもなく性的な搾取をされて育つこの島の環境はかなり異常でムナクソ案件なのですが、大人を信じて生きていくことができなかった渚が柳田を信じられるのか、そしてようやく人間になった柳田がどこまで渚を守ることができるのか…。まだまだ問題は山積みなように思いますが、終盤に差し掛かっているのかな〜というところだと思います。最後まで彼らを見届けたいという気持ちです。どうか、柳田と渚に少しでも明るい未来がありますように。

3

アイツ、マヂ許せぬ

ふわふわハッピーモードから現実に戻った柳田が渚くんに向かい合おうとするお話でした。

バケモノから人に戻ってくるキッカケを作ってくれた渚くんにちゃんとお返しというか気持ちで返してあげて。

渚くんが不憫すぎるよ。
母親が元娼婦だから、美少年だから、人の気持ちを察してしまう子だから、自分を犠牲にしてしまってるし、閉鎖的な田舎町だからと諦めてしまってる。
本当は勉強できるし高校進学できる学力あるのに、中卒で働く気でいてるし、父親からは逃れられないと思わされてる。

柳田繊細過ぎて現実を受け止め切れずにすぐ吐いちゃうけど、自分の事しか考えてなかったのが渚くんを救済したい気持ちが芽生えて成長してるやん。
このまま2人で幸せに向かって欲しい。

しかし、井上くんの父最低な男や。
同い年の息子がいてるにも関わらず、渚を性の対象にする。でも、家ではいい父親なんだよと井上は言ってんのよ。性欲で相手の気持ち考えられなくて頭バカになる奴は、お前が犯されてみろ!と思ってしまう。それか、ちょん切ってやろうかって。
今後私の溜飲が下がるような事井上父に起こらんやろうか?でも、そんな都合いい事はないよな。

紙本で購入
修正の必要な描き方ではない

1

blind themselves

あらすじのセリフで嫌な予感がした人は回れ右を。
正直脱落ポイントが多い巻かもしれません。
私は最後まで読むと決めています。って人はどうぞ

かなり暗いエピソードが続きます。
まさにタイトル通り、暗い深潭の淵を巡るよう。
読む時は元気な時じゃないと永井先生の胆力に引き摺られるかも。

伏線回収があって、そこで初めて山田は渚と向き合おうとします。ここまで一切気づいていなかったんだなぁと納得できました。
プチストーキングする山田の不器用さは可愛いかったです

智のお父ちゃんも渚のお父ちゃんも残念な親です。

スメルズライクグリーンスピリット
センコウガール
などと同じく親との関係性がしっかり書かれるのかな?

上記の両作品で最後は光を見せてくれた永井先生だからきっと救いはあると思います。

3

子供と身体だけ成長した子供

 この作品は過去守られるべき時に大人に守られず、その苦痛を抱えたまま生徒を襲った山田がどのように救済されていくかがテーマだと思っていたけれど。単純に、渚という中学生に救われるわけもなく、渚もまた狭い島の中で雁字搦めになった未熟で大人への反感を持った子供であり、2人だけが病んでいるように見えても、彼らが病むきっかけを作ったのは周りの思慮の浅い大人達なのだということを、この3巻ではっきりと突きつけられたように思います。

 娼婦、という言葉。旦那と子供のいる女が別の男と共にどこかへ行った、という言葉。これらを聞いて、果たしてどれくらいの人が、彼女の実体を正しく思い浮かべられるでしょうか。渚も母親の血を継いだ淫乱だというのはさすがに信じなかったし、彼が大人の男を余裕の笑みで誘ったのも当然本心からではないだろうと思いましたが、そもそもそんな事実すらなかったのです。一方の話だけ聞くことの危うさ、恐ろしさを改めて感じました。人は自分の信じたい話、受け入れやすい話を信じ、よく分からない話や不都合な話には聞く耳を持たない。その浅はかな考えが、誰かを山田や渚のように泥沼に沈めてしまうかもしれない。そのことを痛感しました。渚には彼を本心から思いやる同級生もいるので、どうにかこの狭い世界でも救済されて欲しいですね。

2

もう柳田はいらない

「深潭回廊」3巻目。
私はこの作品でどんな展開を求めてたんだろう?
何が読みたかったんだろう?
なぜそんな気持ちになったのかというと…
この(3)、感想が出てこない。

山田/柳田の目が覚め。
渚の地獄は続き。
柳田は急に道徳的になったかのように渚を助けようと決意し。
だが渚の住む地獄は「悪い大人」でがんじがらめ…

で、まだ終わりません。
まだ続くの〜?と感じた、感じてしまったというのが今の全て、なのかな…
胸糞な設定と展開への辟易感。
こういうのは単に肯定すれば露悪的、一方で定形的な否定は偽善にしかならない。どちらにせよ読んでてモヤモヤする。
モヤモヤしたい人や考えたい人におすすめだけど。
母親に対する侮蔑、そんな親から生まれたという事でその侮蔑/差別が子供に継承されて攻撃を受ける。
渚に対してはそれは性的暴行として。「あんな子だから」という噂として。
柳田に関しては、被害を受けた者が加害する者になる、という「にいちゃん」的現象か。
絵柄は黒部分が目立つ暗めの画面。それでいて背景はあまり描き込まれていない。
特に渚の大きな瞳は真っ黒。
思うのは。
渚を救うのは「いい人」になった大人の柳田じゃなくて、中学の友達であって欲しい。
渚のいる地獄を知らず、だからこそ渚を助け出し、その後も地獄の内容を知らず。
そんな等身大の友達によってみんなのいる当たり前の世界に戻って欲しい。

6

闇深い

スメルズライクグリーンスピリットのスピンオフとして始まったこちらのシリーズも3作目。
今回は今までもかなり仄暗いお話でしたが、閉鎖的な場所で逃げ場のない中学生の渚にスポットが当たっていて、この渚はもしかしたら罪を犯した山田の救いになるんじゃないかと思って期待していたのですが、渚自身がいろんなことにがんじがらめになっていて逆に山田に救いを求めているんじゃないかと思えてきました。
そろそろ色んな事に決着がつくんじゃないかと期待して読んだのですがもう少し二人のお話が続きそうです。
スメルズライクグリーンスピリットも色んな読み方ができると思うのですが、こちらの方はまだ救済が描かれていないので、二人の未来を見届けるまで追いかけようと思います。

4

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