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sayonara unmei no alpha
20世紀初頭のパリを舞台としたオメガバース作品になります。
で、こちら、タイトルやあらすじから想像がつく事と思いますが、どシリアスで痛くてめちゃくちゃ切ないお話なんですよね。
この二人のスレ違いな、あまりに辛すぎるわ。
読んでて苦しくて苦しくて、挫折しそうになったわ。
ただね、そんな感じで、とにかく辛い作品ではあるのですが、その分ラストが圧巻なのです。
溜めに溜めて、最後の最後にドンと来る。
運命に翻弄され、引き裂かれ続けた二人が、ようやく・・・!と。
いやマジで、震えが走りましたよ。
胸がいっぱいですよ。
まぁそんな感じで、痛い作品が苦手な方にはオススメしかねますが、ドラマチックで強く心を揺さぶられるお話を読みたい方にはぜひオススメしたい。
内容です。
パリでマヌカンをしているオメガのレオン。
7年ぶりに学生時代の親友・アレクシスと再会するんですね。
別のオメガと番になり、疎遠となった彼を長年想い続けてきたレオン。
男娼と勘違いされた事を利用して、アレクシスに抱かれますがー・・・と言うものです。
で、もう二度と会う事は無いと思っていたのに、何故か「またお前を抱きたい」と言い出し、レオンの元に通うようになるアレクシス。
レオンは辛くもあり、嬉しくもある逢瀬を重ねるんですね。
しかし、そんなレオンを打ちのめす出来事が起こり・・・と続きます。
と、こちら、このあらすじからご想像がつく事と思いますが、とにかく痛いスレ違いものになるんですよね。
そもそも、主人公であるレオンが不憫すぎるんですよ。
ドイツで没落貴族の次男として生まれたレオン。
ギムナジウムでのアレクシスとの邂逅。
アレクシスと親友として過ごした幸せな学生時代。
やがて、他のオメガと番となり去ったアレクシス。
そんな彼を思いつつ、実家の破産により進学を諦めて母親の面倒を見る。
何だろうな。
彼の人生ですが、常に不幸の連続と言うんですかね。
レオンのこれまでが丁寧に綴られますが、彼は身内にも恵まれてないんですよね。
子どもを道具としか見ていない父親に、息子に嫉妬して幸せを阻む母親。ってな具合に。
また、典型的な転落系と言いますか。
貴族の末端として生まれながれも、流れ流されて、現在はパリで一人暮らす。
や、再会したアレクシスですが、最初は結構冷たい態度なんですよ。
レオンの事を淫乱なオメガ呼ばわりしたりして。
で、ここでのレオンがですね、あまりに健気でグッときちゃうと言うか。
傷つきつつも、ただ一度だけ抱いて貰いたいと願うんですよね。
えーと、彼の人生の中で、それほどアレクシスと過ごしたあの数年間が輝いて居たんだろうなぁと思うと、切なくて仕方ないと言うか。
慣れたふりをしてハスッパに振る舞うのに、胸が締め付けられると言うか。
で、ここから逢瀬を重ねる二人。
束の間の優しい時間を過ごしますが、既に伴侶の居るアレクシスとの時間は限られているんですね。
更に、舞台は20世紀初頭のパリ。
不安定な情勢だったりと、これでもかと二人を引き裂く出来事が襲う。
う~ん。
これな、小中先生と言うとズルい攻めなんかがわりと多い印象なんですけど、アレクシスは真逆の純愛系なんですよ。
レオンをとても大事にし、真っ直ぐな愛情を向けて来る。
や、再会時の態度こそ酷いものの、それは嫉妬心がとらせたものだろうと透けて見えちゃうし。
そう、この作品ですが、二人は明らかに相思相愛だと早い段階で気付いちゃうんですよ。
だからこそ、そんな二人が次々起こる悲惨な出来事に、翻弄されるのがめちゃくちゃ辛い・・・!
いや、戦争だのそういう物理的な事だけじゃなく、周囲の人物もかなり酷いんですよね。
レオンの両親といい、アレクシスの番といい。
このへんが結構エグくて、何故そこまでと人間の本性の醜さにゾッとすると言うか。
特に番、毒の塊にしか見えんと。
や、いい人もいっぱい居るんだけどさぁ。
と、とにかく9割しんどくて辛くて痛い作品なんですよ。
作品なんですけど、だからこそ、クライマックスでドカンとくると言うか。
もうこれな、まるで映画のワンシーンなんですよね。
やっと真実が分かったのに、二人はまた離ればなれなの!?と、めちゃくちゃハラハラさせてくれる。
からの、激萌えと震えちゃうほどの感動。
溜まりに溜まった鬱憤がここで解消されて、カタルシスを得ちゃうと言うか。
もう、アレクシスのセリフがあまりに素敵で、胸がいっぱいになっちゃう。
そう、二人は誰にも引き裂けないんだよ!
何度でも出会って、愛しあうんだよ!!みたいな。
繰り返しになりますが、痛くて切ないお話が苦手な方は避けた方がいいんじゃないかと思うのです。
でも、そのへんが大丈夫なら、本当に心が震える。
読み終えたあと、感動で胸がいっぱいなんですよね。
素晴らしい作品だと思います。
会いたいのに会えない、好きなのに伝えられないもどかしい恋。
困難だからこそ、結ばれた時にカタルシスをもたらし、大きな感動が生まれるロマンティックで奇跡ともいえるオメガバースです。
舞台はドイツとフランス。
パリでマヌカンをしているレオンは、かつての想い人であるアレクと再会し、彼に番がいると知りながらも関係を持ちます。
しかし、蜜月は長く続きません。
そんな2人の愛の結末とは…
小さな頃から惹かれあってきたΩのレオンとαのアレク。
自分ではどうしようもないくらい惹かれてしまう2人。
何度引き裂かれて離れ離れになっても、決して気持ちは揺らがない。まさに、不純物なしの愛。
身分差、ライバルΩのユーイ、家の没落、別離、再会…そして戦争。
過酷な運命が2人を翻弄し、その関係を容赦なく引き裂いていきます。
ユーイの嘘は、レオンがアレクの愛情を無条件に信じることを躊躇わせます。ユーイが狡猾で浅慮。
それと対比するように描かれるレオン。
家を出たレオンが友人に助けられながら懸命に生き、慎ましくも健気に生活している姿を丁寧に描き出していく視点が素晴らしい。
αであるアレクも偉そうに見えて、不器用にレオンを想い続けている姿に好感が持てる。
ラストに明かされる真実は、まさにネタバラシの様相でちょっと情緒にかけたかなとは思います。
それでも、狂おしいほど愛しいという感情が上手く描けていたと思うし、yoco先生のイラストも作品の世界観に非常に合っていました。
複雑な事情が絡み合って苦しいけれど、オメガバースにありがちな肉欲に溺れるといった下品さもない。
とても純粋に、もどかしい恋の顛末を楽しめる作品となっていました。
作家買い。
小中さんて本当に引き出しの多い作家さまだと唸らされる。改めてしみじみ感じ入ってしまった作品でした。
貴族の子息でアルファのアレクシス。
没落貴族の出で、劣悪な環境にいるオメガのレオン。
学生時代に出会い、恋をして、けれど様々な要因が絡み合い袂を分かつようになってしまった二人。それが数年後、意外な場所で再会して―。
王道と言えば王道と言えるストーリー展開なのですが、彼らを取り巻く周囲の人たちの存在とか、アルファとオメガという性差、そして、大きな時代のうねりがあった20世紀初頭のヨーロッパが舞台になっているという設定も大いに生きていて、二転三転するストーリーになっているのはさすが小中さんというべきか。
タイトルからもわかるように今作品はオメガバースものですが、なんて言うんですかね。オメガバ、というバックボーンがこの作品のすべてではないんですよね。ベースはあくまで攻めさんと受けさんの恋の物語。そのストーリーを引き立てる因子にはなってはいますが、アルファだから、オメガだから、というところにすべてが起因してはいない。
何度でも、どこでも、いつでも出会い、恋をする。そんな壮大な愛のお話なんです。お互いに勘違いし、すれ違い、けれどずっと忘れることができなかった「ただ一人の人」。それがアルファ×オメガだから、という部分に終始していないところが素晴らしい。
で、そこに華を添えるのがyocoさんの挿絵。
もうイメージにぴったり。美しく、儚く、切なく。
良い人ばかりが登場するお話ではありません。
ほっこり優しい恋のお話でもありません。
人の欲やどす黒さもきっちり描きつつ、けれど今作品に描かれているのは深い深い愛情のお話。
文句なしの神作品。
小中さんとyocoさんの才能にひれ伏した、そんな1冊でした。
由緒ある貴族のαアレクシスと没落貴族のΩレオン。
読んでて胸が痛かったです。幼い頃の出会いから惹かれた2人。だけどレオンは境遇が酷く支えてくれる友人はいたけど、アレクシスへの愛が唯一の希望だったのかも。あと優しすぎる。悪意から何度も何度も引き裂かれ、誤解から素直になれず、ずっとすれ違う2人が辛かった。胸にくるシーンばかり。そんな中で特に印象的なのが、襲われたレオンをアレクシスが助けたシーンと列車のシーン。前者はやっと本音で話せた事に安堵、そして後者はやっと‥やっとで想いが通じた2人に泣きました。胸を打つ作品
小中大豆先生の作品は大好きで、欠かさず購入しています。本当に引き出しの広い作家様で、今回はショコラ文庫さんでの初めての作品だそうで、シリアスなオメガバでした。
他の方のレビューにあったように250ページまでは、アレクシスとレオンのすれ違いに胸が絞られるように痛くなりながらもページを捲る手が止まりませんでした。読み始めたら止まらなくなるので、夜中から読み始めるのはお勧めしません。www
こんなにもお互いに求め合っているのに、他者やタイミングや時代の流れに翻弄される二人が歯痒くて歯痒くて、この盛大なすれ違いが性癖に刺さりまくりで萌えまくりました。
沢山の悪意を振り撒いたユーイという日本人が登場するんですが、彼は何の為にドイツに渡って来たのだけが謎でした。オメガの性でも学業を修められるドイツに来たはずなのに、アレクシスに出会ってしまった事によって狂ってしまったのでしょうか?
アレクシスに拒絶され続けて、彼の父親には最後には疎まれて、彼が最終的に取った行動には呆れ果てました。
そのユーイの対局にいるのがレオンなんです。不幸な境遇や悪意に遭っても他者を思い遣り、自らを失わない強いオメガなんです。
どんなに周りに翻弄されても、幼い頃からお互いにずっと思い続け出来たアレクシスとレオンに胸熱でした。特に学生時代の二人の距離感にはキュンとしどうしでした。
すれ違いの上にすれ違いが続いて、この設定が好きな人にはかなりハマる内容だと思います。
私はすれ違い→不憫→ハッピーエンドの流れが好きなので、そのど真ん中を行くこのお話は本当に満足行くものでした。
ユーイは韓国ドラマに出てきそうな意地悪なお姉さんと言った感じ(ユーイは♂です)。
そのユーイに引っ掻き回されるレオンとアレクシスなのですが、読んでいて「オイ!!ウジウジしてないで確認取れ!!」と叫びたくなる箇所が何度もあり(笑)
まぁ、そこで確認してしまったら、物語も終わっちゃいますが。
読んでいていつのまにか涙が溢れてました。
さすがは小中大豆先生!!
是非読んでほしいです。
とにかく切なかったです
なんかもうずっと涙しながら読んでました。
幼い日のたわいない約束…再会するまでは忘れていたくらいの。
ずっと胸に秘めてた訳じゃないけど、お互いに好き合ってるかも…という期待が無惨に踏みにじられて、その上追い討ちをかけるような事件が起こってそのまま長い別れ。
そして大人になってから思いがけず再会したけども、それからもすれ違いまくり…
これまさかのアンハピですか!?ってなりながら読みました。
いやもうどんだけ拗れるんですか?先生鬼畜ですか?って言いたくなってしまうくらい邪魔入りまくり。ずっと忘れられなくて夢に見るような人に再会して…番になれる訳じゃないって分かってるけど、体だけでも繋げたくて…悪い事だと分かっているけど、今だけ…って、切なすぎて幸せな2人をどれだけ待ち望んだか分からなかったので、ハピエンで本当に救われました。
面白くて一気読みでした
電子化が遅かった作品。絵師買い。
「運命の番は、どんな障害が有っても結ばれる」がテーマの大戦中のレトロ・ロマンなオメガバース。
レオンはドイツの貴族、アレクは富裕な家の出自。
幼少時にレオンがΩなら婚姻させたいと親同士が話していた。
レオンに発情期が来た時、αのアレクは喜ぶ。
でもそこに嘘吐きユーイが登場して波乱が起きる。
すれ違いと大戦の動乱で二人は誤解したまま別離。
仏国に亡命した美貌のレオンがマヌカンとして働く店に、
娼館と勘違いした上司に同行するアレクが偶然立ち寄り、7年ぶりに再会。
レオンが諦めているから 再会後も続く誤解とすれ違い、二人の想いはなかなか通じない。
嘘吐きユーイが登場したりで二転三転、そのたびにレオンが呟く「さようなら」
直ぐレオンは身を引こうとするから、アレンが頑張るしかない。
とうとうアレクのレオンへの執着が愛を実らせる場面はほっとした。
誤解が解けてハピエンの結末まで何度もすれ違う構成。
その分、最後のハピエンを読む読者の喜びが大きくなるのだけど、焦れが苦手な人にはお薦めできない。
私は、凄く楽しめた。内容とマッチしたレトロな絵も綺麗だった。
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ユンカー(ドイツ語: Junker):ドイツの地主貴族
元貴族を表す姓 「フォン」
ドイツの戦後処理では、東西に分断されたが、日本のように貴族制度は廃止されなかった。 そのため、ドイツには今だ多くの貴族が残っている。
アルファ・ベータ・オメガは男だけ。
アルファを産むには、アルファとオメガでなきゃいけない。女なんかにはアルファは産めない。
同性婚もアルファとオメガの番のみできる。
なのでアルファの妻は大半が男(オメガ)。
この設定めちゃくちゃ安心できて良い。
主な登場人物
アレク(攻):アルファ。幼少期からずっとレオンのこと好き。
レオン(受):オメガ。幼少期からずっとアレクに片思い。
エミール:アルファ。アレクとレオンと同級生。レオンに片思いしていた。卒業後にケヴィンと結婚。
ケヴィン:オメガ。レオンの先輩。性格がよすぎる綺麗なお姉さん♂。
ユーイ:日本人オメガ。学生時代、途中参戦してレオンからアレクを横取りする。最初から最後まで性格悪い。これぞ嫌われキャラ。今流行りの悪役令嬢みたい(詳しくないけど)。
ユーイが結構ストレスに感じる存在です。
ダンスパーティーで、アレクがユーイをパートナーに誘ったと聞き、落ち込んだレオンがエミールに誘われてパートナーになったシーンは、見せつけのように感じてテンション上がった。
発情期に入ったユーイが周りの目を盗んでアルファ寮に侵入したシーンは、胸糞という言葉しか出てこない。
積極性は足りないけど、アレクが攻めの中の攻め。レオンを一途に想ってて偉い。
ユーイによる掻き回しでモヤモヤするのは要所要所あるけど、それ以上にアレクとレオンの掛け合いにキュンとする。
アレクとレオンが番になって子供も産んで、どれほど幸せかをユーイに知らせることがささやかな復讐、とあって、もっと惨い復讐してええんやで……で思った。
男同士で結婚できて、当然のようにお互いが夫、妻・女房、って呼ばれててめっちゃほっこりしました。
レオンの店で、アレクが妻用に装飾用のチョーカーを購入するシーンを終盤まで覚えていてください。
殆どの方が『作家買い』ですよね!
私も『ド その通り!!』
小中先生、一度ハマると抜け出せない沼 笑
私は知ったのがかなり遅くて、今必死で追い掛けている途中なので、皆様のように全てを読んでいるのではなく、またまだ発展途上~~~
でも、この作品も本当に良かった。
『オメガバース』
『切ない』
『運命の番』
『すれ違い』
もう好きな要素が「これでもか!」っちゅー位に揃い踏み!!!!
そして、初めて読んだ『外国物のオメガバース』
そりゃオメガバースが人 ヒューマンであるならば、世界中にあって当たり前なのに、全く失念しておりました。
又もぉパリにオメガが似合う♡似合う♡♡
ドイツのギムナジウムでも似合ったのでしょうが、そこはまだま幼く、αΩβが居てもまだ子供で・・・。
そこへ大戦前の成熟期して退廃したパリ。
はぁこれだけで世界が出来上がっちゃう。
この二人のドイツから引きずった『すれ違い』
そして『元凶』となったとてつもなくイヤな奴が出て参りますね。
『ハッピーエンド』だと聞いていたからこそ、手に汗握りながらも、ドキドキ 胸糞悪く思いながらも読む事が出来ました。皆さまありがとうございます。
しかも私達はこの先の大戦を知っている訳ですから、ドイツ人がパリに居てヤバいじゃない!一刻も早く逃げて!!が加わり、読んでてもどうしよう! どうしよう!!と居ても立っても居られませんでしたー!!!
そしてどれ程引き離されようが、戦争と言うとてつもない大波に巻き込まれようが、やはり『運命の番』って うるうる(´இωஇ`)♡♡♡
やはり小中先生、夢中になってしまいました。
ありがとうございます。