Ωに密かに想いを寄せるβ×運命のαを捜すΩ、希求と切望のオメガバース!

シティ・ライツ・バースデイ

city lights birthday

シティ・ライツ・バースデイ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神90
  • 萌×255
  • 萌18
  • 中立7
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
22
得点
731
評価数
175
平均
4.2 / 5
神率
51.4%
著者
本郷地下 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
ホーム社
レーベル
アイズコミックス.Bloom
発売日
電子発売日
価格
¥800(税抜)  
ISBN
9784834264999

あらすじ

あるホワイトクリスマスに、β(ベータ)の東馬は、Ω(オメガ)のまほろと出会う。
怪我をしたまほろを手当したお礼にと、セックスの手ほどきを受ける東馬。
風俗に勤めるまほろは、お金を貯めながら、幼少期に出会った〝運命のα〟を捜しているという。

まほろに惹かれてしまった東馬は、せめて役に立ちたいと「運命のαを一緒に探します」と提案。
受け入れてもらったものの、二人で過ごすうち、まほろへの想いは膨らみ続けていった。

そしてまほろも、運命を求めながら、東馬へ名前のつけられない感情を持ちはじめ……。

「あなたは、ちゃんと運命の人と幸せになってください」

確かな〝運命〟を前に、ひたむきに生きる二人と一人の、切なくも優しい恋の物語。

表題作シティ・ライツ・バースデイ

18歳,スポーツジムの従業員,β
20歳,男娼,Ω

レビュー投稿数22

作者の「これを描きたい」は伝わるけど…

オメガバース。
かつて「運命」に好きな人を奪われたβ(東馬)と、幼い頃会ったきりの「運命の人」を探すΩ(まほろ)

ひょんな出会いから、まほろの勤める風俗店の常連となった東馬は、スケッチブックと氏名しか手がかりのないα(蓮)を共に探すことになる。


あとがきを読むと、作者が「こういうものを描きたい」という信念を持ってこの作品を描いたことがわかるし、実際そういう物語になっていると思う。
ただ、その着地点ありきでそこを目指しすぎているような、登場人物が都合よく動かされているように思えてしまって感情移入が難しかった。


まず、東馬がまほろの人探しに協力し始めてからも、風俗店を介して料金の発生するカタチで会っていたのがすごく不思議だった。
東馬が協力する理由は建前上は、自分が運命に敗れたからそれを昇華したくて、せめて運命同士幸せでいてほしい…みたいな感じだと思うのだけど、それって支払うお金に見合うほど重要なのか疑問。
もちろん、この時点で東馬はまほろに惚れていたのだろうけど、それは無自覚だし…東馬の中でどう折り合いがつけられていたのかなと思ってしまう。


あと、どうしても突っ込まずにいられなかったのが、蓮を探すための聞き込みシーン。
テレビ番組だと嘘をつかれた近所の人が話をしてくれるのはまぁ、こういうもんかなと思ったのだけど、
中学や高校の関係者に事情を説明して話を聞く場面は恐怖を覚えたし、
高校に蓮の作品を引き取りにいく場面に至ってはあり得ないと感じてしまって冷めてしまった。
(なんの縁もない赤の他人が「この人は自分の運命の人なので探してます」と訪ねてきたら家に上げて卒アルを見せ、母校が本人の許可なく作品をあげちゃうって…この世界で「運命」がよほど重要視されているのか、単に防犯意識が薄いのか…
「運命」を騙ればストーカーも詐欺もやりたい放題の世界観に思えてこわい)

気持ちが冷めてしまったせいか、
蓮の手紙も特に感情が動かず、東馬が泣いてるからつられてちょっと泣きそうになったけど実際泣くほどではなかった。


作者の信念を感じるだけに、色々とケチのつく作劇は残念。

2

言葉にできないこの余韻に痺れる❤︎

ハッピーエンドなんだけど、
違う道があったのに…!と思わずにいられない
やるせなさがあるんですよ。それがまたこの話の、というより先生らしさの魅力。。
なので、やるせなさを感じながらも、満足感とも幸福感ともいえる複雑な感情を噛み締めております。

先生の作品や、オメガバものを話題にする時に
必ずと言っていいほど、このお話が出てくるんですけど
天邪鬼、というかタイミングの悪い私は
今のいままで読んだことがなくて、
世田谷シンクロニシティ、メトロに続いて
3冊目の御本になったわけなんです。

実際は様々レビューがあって、迷った時もありましたが、でも正直読んで良かったです〜

先生の本を読んでると、
ふつうってなんだろうね。って
言いたくなります。

マイノリティだろうと
トラウマを持っていようと
辛い境遇で育ってきた身の上だろうと
それを無かったことにはできない
抱えて生きていくしかない

そして、幸せも不幸せも、
ラッキーもアンラッキーも
出会いも別れも
全員もれなく平等に降りかかるけど
それでも、その現実を生きていくしかない。

なんだか現実にある
日常の縮図みたいだなぁと
思えて切なくなってきました。

でも読んでる時はそんなことは
気付かないんですよね。
作中であんまり核心的なことを
言われなくて、あとから思い返して
みたくなる。名作だよなぁ

この本にはあとがきがあって、
作品を書くにあたって先生の気持ちが
書かれていたんですけど、
それを読んでなんか上で書いたような気持ちになった気がします。

運命なのか、自分の心の声なのか
どちらの選択をしても、
その後もラベリングされていない
どこにでもある日常というものが
訪れて、2人はそれに生かされていくんだろうな。
そして選択がどうだったのかの答えは
2人だけの秘密みたいになるのかな。

是非、あとがきも読んで
しみじみと余韻を味わってもらいたいです❤︎



2

合わなかった

βの攻めも受けも突然最後に沢山語りがでてきたαもどれにもあまり共感が出来ず、なかなか読み進められない作品でした。

βとΩなのでどうなんだろう?と思ってたけどそれ以前に、Ωが人探しをするのにお金をとってβに会いに来てもらっていることが疑問でした…

性的なことやそれに近いことするならまだしも人探しを協力してもらう時点で店でじゃなくて普通に会おうってならないのかな?、Ωは図々しい感じがして、βは金持ちという設定でも無いし違和感がありました

分厚い割に丁寧に恋愛感情が描かれてると言うより、人探しのくだりが長く、最後に突然α(探していた人)の人生を書いた手紙が登場して冷めてしまいました

突然αとβのふたりが恋愛感情に気づき、くっ付く流れも唐突で私には理解できませんでした…

2

普遍的な。縁とタイミング

愛か、運命か。
オレか、オレ以外か。
…ってまた書いてしまった。
ケド、オメガバースの「運命」を考えるとどうしてもこのフレーズがチラついてしまう。
そして本作は正に「愛か、運命か。」を考えさせる作品だと思う。

主人公は、βの東馬。
出会ったのはΩのまほろ。
まほろは幼い頃に出会った名も知れぬ「運命の相手」を探している。
東馬はまほろに恋する。
まほろだって東馬に好意を抱いてる。
でもそんなほのかで優しい感情は「運命」の前では。

ストリートビューなどを駆使して運命の相手・蓮を探す過程はなかなかにスリリング。
そうやってついに突き止めるわけだけれど。
何もかも遅すぎた…のでしょうか。
これはαとΩの運命の相手の話ではあるけれど、突き詰めれば現実でもままある話。
結局は「縁とタイミング」の事例。
蓮はαなのにつらい人生を生きて、それでも心ではまほろと同じ事を考えてる。
そこはさすが「運命」。
でも、蓮はまほろを探すのを諦めた。
運命でも添えないことがわかったんですね。
だから。
まほろが諦められる事にどこか安堵した時も響きあう。

運命ではなくても。
そのエンディングは暖かくて熱かった。

2

素晴らしいオメガバース

本郷地下先生のオメガバース読めて良かった。
電子書籍で、277ページ。とても丁寧で、隙がない。納得の1冊でした。

読後、ぅぅぅぅう〜!良かった!(涙)の一言。

オメガバースの格差社会。
α、Ω、β。
それぞれの立ち位置で、懸命に生きる3人の人生が描かれている。
αの、蓮さん。
Ωの、まほろ。
βの、東馬。

三人三様に、自らの運命に導かれ〜希望を見つけては砕かれ・・・
それでも、心の中でケリをつけて次に進む。
そしてまた、バース性に囚われず〜自らの選択で幸せを掴み取るお話しでした。

最後に、本郷先生のあらすじの所でもうひと泣きしたわ。
この世の中に、バース性が存在のしたのなら・・・

1

運命じゃない恋のオメガバース!

βの東馬×Ωのまほろの運命じゃない恋の話。

あるホワイトクリスマスの日に、東馬は、火事で家と貯金の全てを失いイメクラ(風俗)で働くまほろ(Ω)に出会います。
それから東馬はまほろに会いにイメクラに通い親しくなります。そして、まほろは幼少期にであった名前も知らない「運命の人」を探してると打ち明けます。少しでもまほろと一緒にいたい東馬はその手伝いを始めます。

ーーーーー
以下ネタバレあり。
運命じゃないオメガバースの恋。
なかなか難しい設定ですが、こちらはストーリーの構成が上手く、綺麗に纏まった1冊でした!「運命の相手」とのほどのセッ〇スにはならないかもしれませんが、ヒート時もあり、「あれ、β×Ωだよね?」と思うくらい濃厚でした!!

運命の人とは結ばれないけど、逆に運命の人を知ってるΩとβなんて、ある意味安心では!?良かったじゃん!って思いました!(特に東馬くんにはトラウマの上乗せになっちゃうし!)
結婚してから
Ω「運命の人に出会っちゃった...」
ってなったら悲しすぎますからね!
とってもハッピーエンドでした♡

1

リアル感高い設定のオメガバース作品だった

色々深く考えさせられた作品で、面白かった。

著者のあとがきの言葉の意味が深い。
オメガバースの世界観は、「この世界で生きるのは 悲しみがつきまとう」
オメガバは、悲しみと背中合わせのバースルールだから、読者が惹かれるのかもしれない。

運命の番は、遺伝子由来のもので、揺らがない。
  でも番同士が出会う確率は1%を切る。
運命の番と出会った二人が沿うことができず、他の相手と恋愛をして番になった場合、どうなるのか・・というのが、この物語のテーマ。

「あなたは、ちゃんと運命の人と幸せになってください」と、言うけど、
コーちゃんの運命のアルファは、どうあっても出会った運命の番と沿えない事情があって、他の相手と夫婦になっていた。
理性で分かっていても、やっぱり沿いきれない無念や悲しみが尾を引く。

遺伝子由来の衝動やすれ違いがあったけれど、夫々が幸せを得て納まる結末。
幸せは「こうあらねばならない」という、遺伝子由来の絶対条件の外にもあるってことなんだと思う。
遺伝子とは、先祖の体験した情報の凝縮と捉えたら、
この物語の二組は幸せを掴む例外の経験値に勝利して上書きを重ねた、
新しい情報を遺伝子情報に記録できた稀なカップルなんでしょうね。
オメガバースというバースルールはないけれど、諸々の格差がある今世の状況と一番今近い内容の物語じゃないかな、と思った。

1

誰に感情移入するかで評価が分かれる作品

東馬(β)→学生時代、想いを寄せていたΩが兄(α)の運命の番であることがわかり2人は結ばれ、それ以降実家に寄り付かなくなる。ある日、階段から落ちたまほろを助け、運命の番探しを手伝うことに

まほろ(Ω)→幼少期に出会った運命の番を探すため風俗店でバイトをするΩの青年。

蓮(α)→まほろの運命の番。幼少期に一度まほろと出会った。消息不明。

私は、中盤あたりから完全に蓮に感情移入してしまい、東馬とまほろを応援できなくなってしまいました。もう少し、蓮の顔が出てないとか、存在が薄ければ「2人が結ばれてよかった(^^)」と思えたのですが、蓮のバックボーンを知ったら、まほろと出会って幸せになって欲しかったなーと考えてしまいました。
そんな心理状況でラストの蓮からの手紙はバッドエンドの何者でもありませんでした。

「幼い頃に出会った運命の番を探す物語」であればしっくりきたかもしれませんが、あくまで自分の趣味や感性にヒットしなかったのかもしれません。

2

なんとも言えない

β×Ωもちょこちょこ読んできましたが、なるほどな……。
ちょっと、αが可哀想すぎて、メインの2人が霞んじゃいました。

蓮さん自身はもうまほろさんを忘れて、心を預けられる女性と子供に恵まれて幸せなんだろうから、まほろさんと東馬がくっつくことで話として万々歳なのはわかります。

だけど、一番感情が持ってかれて考え込んでしまったのが蓮さんで、その後の2人の成就を素直に祝福できなかったのは、BLを楽しみにしていた者としては少し微妙に感じられてしまいました。なので萌2で……。

ただ、オメガバース世界が持つ本質としてのグロテスクさや悲しさが描き出されていたのは、とても素晴らしかったと思います。
お話としてはとても、悲しくて、切なくて、面白かったです。

1

ラストとあとがきに感動

ふくふくハイツ(エロなしキスもなし)を読んだのがずいぶん前のような気がします(つい数時間前なのにw)。
そう思っちゃうくらい、また雰囲気の違う作品ですね。

本郷先生が描くオメガバ…以前よく見た、Ωがかわいそうで、αが強者で、βがモブで…というパターンとは一味違うんだろうなと思いましたが、その通りでした。

あとがきの先生のオメガバに対する言葉に感動しました。やさしく深い目線だなぁと。
先生のお人柄、作品づくりにかける思いが垣間見えるようでうれしかったです。

蓮探しが続いて、まほろと東馬の気持ちや関係はどうなるの?とずっと気になりながら読んできましたが、最後の最後でこうきますか!?とカタルシスでした。

運命は運命としてあるけれども
「でも 恋したのは 東馬だ」
いいシーン!!
長〜い引っ張りはここへくるまでのものだった。

ヒートになったまほろをむちゃくちゃにしそうになった東馬が「動物じゃないから」と理性でやさしくしようとするところもよかった。

「だいたい運命より前に 人と人なんだし」
と夕午のセリフも好きです。
何でも運命で片付けるのも無理がありますよねw そうだそうだ!と思いました。

Ωのヒートを使ってエロく見せるだけだったり、Ωが辛い目にあうばかりの従来の?パターンから脱した、こういうオメガバが増えてきてうれしいです。

2

オメガバース作品を沢山読んだ後に

オメガバースの"運命"を性的興奮と直結させなかったところに本郷先生らしさを感じました。「ただ一人の運命の人 いつだって思い出せる 君に出会った日の空の輝きを 忘れることを許して欲しい」このくだりがとても好きです。運命の人と出会った瞬間を感じる言葉が空の輝きなんです。なんと爽やかなことか。そして爽やかさを持ちながらあるのは失った恋というのがまた切ない。本郷先生の作品は「世田谷シンクロニシティ」でも別れが描かれてましたね。

大好きを表明しつつ萌2評価なのは、主役2人の価値観が自分と離れすぎでいてあまり心を寄せられなかったせいです。性風俗で働く人にお金を払いながら人探しに協力ってよく分からない状況である。

1

切ないオメガバース

お話しがすごく切なくて泣けます。作者様の後書きに納得…
オメガバースの世界は私たちの世界ととても似ています
運命を探すまほろ、まほろが好きで優しく見守るけど運命ではない東馬、α性に翻弄される蓮
それぞれが悲しい思いを抱えながらも、幸せを勝ち取ってゆくのがすごく良かったです。
蓮は運命だけど恋したのは、東馬と言ったまほろがとても素敵です
こんなオメガバース物は初めて読みました。
でも私もΩちゃんは、誠実なβさんとくっついてほしい派なのでこの物語はすごく刺さります
三人が幸せを手にできてすごく良かったです。

3

アンチ・運命の人

表紙が美しくて購入。
攻めは初恋の人を兄に寝取られ
受けは初恋の人を探し求めるも既に家族がいて
設定としては面白いのですが何かモヤモヤの残る読後感でした…
受けは本当に運命の相手を忘れることが出来るのかな?と
オメガバの運命の番設定は強力なので普通の設定でやって貰った方がすっきりしたのかも知れないなあ、と思いました。

4

運命に惹かれてしまった

オメガバース作品。
α×Ωの恋が溢れる中でこちらはβ×Ωメインのカップリング。
完全に好みの問題だが、私はαの蓮に惹かれてしまった。彼が辛さと孤独を抱えて耐え続け、歩み続けなければならなかった時を支えたのは一度だけ巡り会えた運命の番Ωのまほろ。記憶を頼りに描いたのであろうまほろの絵を何枚も壁に貼り付けて机に向かう蓮の後ろ姿に胸が痛くなる。しかし、運命の番に巡り会うことができないことに気がついた彼は父への静かな怒りを燃やし、やがてそれはその身を灼くほどの激情となる。結果身体を壊し、父と決別して運命から遠ざかっていくことになった。
勝手な願望になってしまうが心身ともに削られた蓮に運命の番を出会わせたかった。運命は万能でもスーパーパワーでも正解でもないけれど彼らが出会った時の世界の輝きはきっと蓮をこの上なく幸福にさせたであろうと想像してしまう。実際は伴侶となった女性と子供と穏やかに幸せに暮らしているのだろうが、女性の姿がおぼろげであり、もう少し蓮との絆を見せて欲しかった。やがて視力を失う彼はこれからも幸せに生きていけるだろうか。まほろのことを知れば未練になると言う彼の言葉から悔いの感情を受け取ってしまった。
まほろは蓮に電話をかける前にβである東馬を選び取り、運命を手放す覚悟を決めて涙を流しているのに、そのシーンで私は蓮を思って泣いてしまった。
その後の東馬とまほろの情事に心が追いつかなかった。
東馬はまほろを引き留めたくて嘘をつくけどすぐに後ろめたくなる...という優しすぎる性格をしており、Ωへのトラウマもそこまで強いものではなく、蓮と比べるとキャラクターが弱く感じた。ただこの弱さは彼がβであるということそのものなのかもしれないとも思う。それだけに運命の番と結ばれたαである彼の兄がつまらない喧嘩をしているのを知って「ちゃんと仲良く生きてろよ」と言う気持ちも非常によく分かる。
先生のあとがきにあるように、生きることには哀しみが付き纏うと感じさせる作品であり、泣ける萌える以上にぐるぐる考え込んでしまった。
書影の構図が裏表紙含めて斬新で目を惹くのと、ページ数にボリュームがあり、紙媒体の方がお得に感じる。

3

どうあっても 切ないスパイラルに陥ってしまう。

ぐわぁ…切ない。
最後、泣きました。
中盤から後半にかけて号泣が激しく襲い掛かってきます、ご注意を。

オメガバース作品の中でも「運命の番」の唯一無二の運命という
ロマンチック感と何者の介入も許さない絶対的な絆が好きでした。

だけど、惹かれ合う二人がもし、運命じゃなかったら?

クリスマスの夜、家への帰り、東馬が上を見上げると
そこには背中から天使の羽が生えたまほろがいました。
それはまるで“運命”を感じてしまうような象徴的な出会いでした。

ただ、βの東馬にはそもそも運命自体が存在せず、
Ωのまほろにはどこかに運命の相手がいるはずで、
二人のために用意された“運命”はどこにもありませんでした。

その後の再会でまほろが男娼をしていることを知った東馬は
幾度となく通うようになり、彼が幼い頃に一度だけ会ったことのある
“運命の番”を探し続けていることを知ります。
そして、まほろに惹かれていた東馬は運命の番探しの手伝うことに。

まほろの運命のαである「蓮」の捜索を通じて絆を深める二人ですが、
それと同時に東馬は秘かにまほろへの恋心を募らせていました。
蓮への距離が縮まる度にはしゃぐまほろに喜びを感じつつも、
彼が見据える先にいるのは自分ではなく、運命の相手という
残酷な現実が東馬を苦しめます。

蓮に近づけば近づく程、東馬の恋は終わり向かってゆく
切なさのスパイラルに胸が締め付けられるようでした。
しかも、東馬は過去にも運命によって愛する人を奪われていて、
まほろの件は過去のトラウマを追体験しているようなものでした。

行方知れずの運命のαなんて押しのけて、自分に振り向かせることだって
出来た筈なのに、自分の恋心よりもまほろの気持ちを優先って健気すぎ…!
「役に立っててよかった」と笑う東馬の健気さに胸がきゅっとなって、
涙が出ちゃいます…。

一方、その献身に絆され、まほろにとっても
東馬は友人以上の存在となっていました。
けれど、蓮との再会への望みも捨てきれず、蓮へのいとおしさと
東馬に抱くあたたかい感情の狭間で揺れ動いていました。

好きって想いも、時間と共に築いてきた気持ちも一瞬でふっ飛ばしてしまう。
いつもなら二者を繋ぐための運命が東馬とまほろとっては障壁でしかなく、
運命ってそんなに偉いんか!強いんか!と憎らしく思えてしまいました。

最終的に蓮に辿り着いたまほろ(と蓮)の決断は予想外のものでした。
これで良かったと思えた反面、切なくもありました。

でも、少なくとも蓮もまほろも本能に抗い、
自分の心で、意思で選び取ることが出来た。
あるいはその選択しかなかったという見方も出来るけれど、
蓮に既にかけがえのない存在があることを知ってそれを
「よかった」と思えるということは恋心が勝った証だと思うんです。

ただ、「少しでも知れば未練になるから何も知らずにいたい」と
蓮が言ったように運命は完全に切り捨てられるものではないんだな、と。
相手のことを知れば、声を聞けば、会いたい想いは溢れてしまうし、
だからこそ、自分が選んだ愛しい人のために二度と溢れることのないように、
蓋をすることで目をそらし、胸の内に抱えていくしかないんだろうな。

でも、たくさん苦しんで、切ない思いをした分、
最後は二人が笑顔のハッピーエンドが沁みわたります。
「まだ続いていく物語」も見てみたいなぁ…。

12

願うもの、求めるもの

βの東馬とΩのまほろ。
東馬がふと視線を上げた先の非常階段で天使の格好をしたまほろを見つけ、目が離せずにいるとまほろが階段を滑り落ちてしまう。
慌てて駆け寄り介抱してくれた東馬にそのお礼をしたいので今度お店に来てくれと誘う。
こんな偶然の出会いからまほろの運命の番を探す、というふたりのお話が始まっていきます。

ぽつりと明かされたまほろのここ最近の不運は決して軽いものではなく、出会ったばかりの東馬が他意なく力になりたいと思うのも不思議ではなかったし、そしてその先に辛く切ない感情が待っているなんて思いもしなかったでしょう。

一度会ったきりの蓮さんを探し出すのは簡単ではなく、貯めていたお金も燃えてしまって。だからといって諦めることをしなかったのはやっぱり、本能的に求めていたんですよね。

探し出して会うことが出来ればきっと幸せになれると思っていた。
蓮さんと会えたまほろの幸せを願っていた。
蓮さんに辿り着くまで、違う誰かに心動かされるとは思っていなかった。
そんなふたりの気持ちが痛いほどに伝わってきて切なかったです。

まほろと番になれない東馬はβだからといって幸せにしてあげられないことはないのに
自分の気持ちを抑え込んででもまほろの幸せを願う姿が苦しかった。

やっと見つけることが出来た蓮さんのこれまでの人生も重く苦しい試練の日々で…
終盤になるとページをめくる度に苦しい、切ないのオンパレード。
でも結末にはその中でも幸せな選択をした3人が居るので救われます。
表紙のまほろの小指にくくられた運命の線は、東馬の小指と繋がってはいません。
それでもふたりの表情は晴れやかで、温かな雰囲気は伝わってくるのです。

楽しくて嬉しくて喜びに溢れるようなラストではないですが
運命や本能のその意味を深く考えるような作品でした。
そして先生の書いたあとがきが心に響いて止まった涙がまた溢れました。
素敵な作品に出会えて良かったてす。

6

サブキャラの方が辛すぎたので…

表紙の引力に抗えませんでした。β×Ωで、二人でΩの運命の番探しをする話。
まほろは家を失くし風俗で働くΩですが、明るい笑顔でケロっとしてて、悲壮感はありません。東馬は童貞をまほろに捧げた初心なβで、絵に描いたような善人って感じでした。
子供の頃一度だけ会った運命の番を探しているまほろを手伝い始める東馬。徐々に絆が深まり惹かれ合っていきますが、私は東馬の一言で一気に冷めてしまいました。東馬は発情期のフェロモンにあてられながら「動物じゃないから」って言うんですね。αが言うなら納得ですが、東馬はβだし、αだって好きで動物になってるわけじゃないんじゃ?って思うとモヤりました。
見つかった運命の番にはメインキャラが霞むほど重い運命を背負わせていて、バランスが悪いです。最後にやっと出てきたキャラに感情移入も何もないのに辛い半生を語られても困ります。αが可哀想な印象が強すぎて、その後メインカプがくっつく展開も純粋に楽しめませんでした。
Ωとβで泣きまくってたけど、本当に泣いて欲しいのはαの彼。オメガバ作品として三つの性を描きたかったようですが、あとがきで完結する感じで、物語への落とし込みが上手くいってるとは感じませんでした。

7

泣きました

「メトロ」で好きになった作家さんです。
悲しいけれど不幸じゃない、でも切なくて泣きたくなるようなそんなオメガバースでした。
最高でした。

運命の番が数々の困難を乗り越えて結ばれるお話は、過去に何度か読んできました。
そうではなく、運命だとわかっていた、けれど自分を取り巻く環境が運命の番と結ばれる事を許してくれず、別の人を愛し選んだ。
それは決して不幸ではないはずなんですが、運命の番である二人にとっては、二人にしかわからない喪失感がきっと命尽きるまで残るのだろうと感じ、涙が出ました。

運命の人と恋した人、それが同一人物ではないこともあるんだということ。
運命のまま生きられれば楽なんでしょう。
でもきっと、そうじゃないから人は悩み苦しみ、強く美しくなるのだろうと思います。

主人公であるβの東馬がΩのまほろのかけがえのない存在になるまでのお話を、オメガバースは苦手だという方にもぜひ読んでいただきたいです。
あとがきもとても素敵です。

8

ちょっと苦しかった

オメガバースでβとΩの話って苦しい物が多いですけど、ちょっとビターな雰囲気で苦しい話でした。

絶対にΩの運命の人にはなれないβって辛いですよね。オメガバースでも細かい設定が色々違う話はありますが、βって噛む事も出来ないし番になれないのは共通ですよね。
どんなに好きだと想っていても、αに横からかっ攫われちゃうみたいな。
東馬はそんなβです。

そして小さい頃に出会って消息不明になってしまった、運命の番を探しているΩのまほろに出会い、またΩに恋をしてしまう…あああ切ない…

またΩに恋をしてしまい、しかもその人の心は過去に出会った運命の番の方を向いてるなんて悲しすぎるんですけど、好きな気持ちはどうしようもないですからね。

まほろと幼少期に離れる事になってしまったαの二人の物語も苦しかったです。お互いに惹かれ合いながらも、消息を知る事も出来ずずっと引き摺っています。あんなに二人とも求め合っていたのにある意味悲しい結末です。

ほろ苦くて気持ちをちくっと刺されるような、手放しのハッピーエンドとはいかない話ですが、心にずしんとくるようないい話です。

オススメです!ちょっとビターでも大丈夫な人は読んで欲しいです。

6

あとがきがよかった

受けの運命のαを探すのを攻めが手伝うって絶対苦しい話だと思い買うか迷い評価をみるといい方が多く目についたので買ってみました。

どんな終わり方なのかドキドキしながら読んでいてついに探していた運命のαにたどり着いたところからいろいろ悲しすぎて泣けてきて、2人ともスッキリした状態で恋人になってよかったとホッとして終わって、最後にあとがきを読んでこの話をわかりやすくまとめたような内容でなんだか泣けてきたし、悲しい事もあったけどそれも含めていい話だったなと思わせるようなストーリーとあとがきでした。

読み応えがあって買ってよかったです。

7

それぞれの性の哀しさ

作家買いです。
どんなオメガバースになってるんだろうと楽しみ半分、不安半分で読みましたが本郷地下先生らしい、何か心の奥に爪痕が残る作品だったと思います。

Ωとの恋愛にトラウマを持つβの東馬がひょんなことから、風俗で働くΩのまほろに筆おろしされる所から始まる物語。
…こう書くとエロ優先なお話のようですが、運命の番を巡ってそれぞれの気持ちが交錯する切なく優しいストーリー重視のオメガバースでした。

あとがきにも書かれてますが、オメガバース性を生きるそれぞれの性の悲しみが描かれていて、特に強者であるはずのαにも強者になりきれなかったαの物語を描いている所が独創的だなぁと思いました。

出会ったタイミングや生い立ちで運命が狂ってしまった2人も切ないですし、運命の番が居ながら東馬に惹かれたまほろや、トラウマがあるにも関わらずまたΩを好きになってしまった東馬もまたオメガ性に翻弄されていてどの立場も苦しい。
運命の番と一緒になることが最高の幸せなのかもしれないけれど、心から好きになった人と思いが通じる事がそれ以上の幸せになり得るっていう事を2人には証明して欲しいなと思ったりしました。

6

斬新なオメガバもの。

初読みの作家さまでしたが、あらすじを拝見して購入しました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






ベータの東馬は、ある日階段から落ちてけがをした青年を助ける。
オメガで近くの風俗店で「まほろ」という源氏名で働いているというその青年から、助けてもらったお礼にと言って風俗店でセックスをさせてもらうことに。

そこでまほろから聞いたのは、まほろは子どもの時に会ったことのある「運命の番」を探しているのだという。自身の過去の経験から、アルファとオメガの運命の番を信じている東馬は、そんなまほろを助けたいと一緒にその「運命の番」を探し始めるが―。

というお話。

オメガバものって、どうしてもアルファ×オメガ、なんですよね。
その組み合わせが、オメガバものの真髄っていうか。さらにそこに「運命の番」なるものがあって、どうしてもベータははじかれてしまう存在。

今作品は、そのベータに照準を当てて描いた作品です。

まほろと出会い、彼が探し続けている「運命の番」を共に探すことで、東馬はまほろにどんどん惹かれていくけれど、まほろが求めているのは彼の運命の番であるアルファで。

まほろを愛しているから、彼のために運命の番を見つけてあげたい。
けれどそれは、すなわち東馬の失恋を意味する。

そこにさらに加わってくる因子が、東馬のかつての苦い失恋。
彼はベータであるというただそれだけにおいて、アルファに負けたという過去がある。

もう一人重要なキーパーソンがいます。
まほろの運命の番である、アルファくん。

登場人物としてはさほど多くはありません。多くはないのですが、いかんせん、それぞれが抱えるものがすごく多いんです。なので、内容としては凄く濃い感じがします。

運命の番であるアルファとオメガ。
その「絆」は、違う愛によって断ち切れるのか否かー。
そこが、今作品の軸かと思われます。

正直、アルファ×オメガという組み合わせに食傷気味というか。そんなオメガバものにおいて、ベータ×オメガというCPが成立するのか。もう気になって、ページを捲る手が止められませんでした。

まほろは風俗店で働いている、という設定だからかな、濡れ場はそれなりにあります。けれど、東馬がねえ、一途で頑張り屋さんなんですよ。まほろの色香に惑わされることなく、彼の運命の番を一生懸命探してあげる姿にもう萌えが滾って仕方なかった。

しいて言うと、彼らのバックボーンがちょいちょいと気になりました。

まほろの両親って、もしかしたら毒親なのかなと思っていたのですが、まほろの幼少期の描写を見るときちんと愛されていたように見えるし。
東馬の過去の失恋も、いや、言うほどトラウマになる…?という失恋話だし。
まほろの運命の番に至っては、彼の薄幸さって、正直必要だったかな?とか思ったり。

と、色々思うところはありましたが、ベータ×オメガの恋の成就を描いた展開は斬新で面白かった。何より東馬の一途さと愛情の深さにめちゃめちゃ萌える、そんな作品でした。

8

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